まだまだ3月の絵本関連イベントですが・・・4月に行ったものも含まれるので、一つ前までの「3月の絵本つれづれ」にはせずに投稿しようと思います。
3月20日(火) @銀座・教文館ウェンライトホール ばーじにあ・りー・ばーとん展
午後半代休をいただいて、行ってきました♪「ちいさいおうちのばーじにあ・りー・ばーとん展」へ。
午前中で保育の仕事が終わるという友人のくまこさんを誘って一緒に見て来ました♪
この日は午前中は雨、午後も薄曇りの寒い日でした。でも、大好きなバージニア・リー・バートンの原画に再び会えて、またくまこさんと、久しぶりに飲むこともできて、なんだか心は温かくなった午後でした。
展覧会は、昨年6月に行った東陽町にある竹中工務店のギャラリーエークワッドでの「ちいさいおうち バージニア・リー・バートン」展(その時の日記記事→こちら)と、ほぼ同じですが、ウェンライトホールにぎゅっとまとめられている感じで、もう一度じっくり味わうことができました。
←この『せいめいのれきし』の一場面の前では、探検家の帽子をかぶって記念撮影することもできるのですよ〜(私は恥ずかしくてできなかったけど^^;)
展示会入り口で写真撮ってもらいました・・・この日は冬の格好をしています。
教文館の松屋通り側の1階入り口を入ったところには、羊毛フェルトで作ったちいさいおうちとひなげしの丘が飾られています。
羊毛フェルトの先生をしているくまこさんは、早速作り手の気分で観察していました。
その後、4時過ぎからくまこさんと松屋通りの筋向いにある(といっても1ブロック西側)のキリンシティで昼飲み。この日、仕事の準備でランチタイム取れなかったので、ランチ兼早めの夕食と言うことで、しっかり飲んで食べました。(いかに自分が痩せたいと言いつつも、それが単なるお題目になっていて、実際には食欲が勝っていると認識しました・・・・・)
中島京子さん講演会 20日 19:00〜 @教文館ナルニア国
くまこさんと18時半に別れて、私は再び教文館ナルニア国へ。作家中島京子さんの講演会に参加しました。
中島京子さんは、『小さいおうち』という作品で第143回直木賞を受賞しています。
松たか子、黒木華出演の映画にもなって、この映画で黒木華さんがベルリン映画祭で最優秀女優賞を取ったことも知っていましたが、本は未読で、映画も見逃していて、この作品がバージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』と関係があるってことも、この日の講演を聞くまでピンと来ていませんでした。
中島さんがバージニア・リー・バートンの絵本と出会ったのは『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』と『ちいさなおうち』とどっちが先だったか、定かではないけれど、とにかくバートンの絵本が本との最初の出会いだったそうです。
杉並区内に住んでいた昭和40年代、団地の集会所で開催されていた子ども文庫で読んでもらったのだそうです。
最初に手にしたのは岩波子どもの本の『ちいさいおうち』だったとのこと。
その後、オリジナルに近い版も手にする。
子ども心に『ちいさいおうち』の周りに流れる時間の流れが描きこまれていて、それが心を虜にしたというのです。ユーモラスで、細かい描きこみ、デザインを大切にした絵本で、見た時の視覚の効果を生かしている・・・
時間を描くということではバートンは、『せいめいのれきし』の中で、地球誕生から現代までの悠久の時間を絵本の中に閉じ込めつつ、その時間は未来へと続くように流れ出ていた。
さて、中島さんの『小さいおうち』に描いた時代は、バートンが生きた時代と重なる。この物語の語り部となるタキが、12歳で女中として奉公したのが昭和5年(1930年)、バージニアが21歳で結婚してフォリーコーブに移り住むのが翌年の1932年、『小さいおうち』に出てくる赤い屋根の家が建つのが昭和10年(1935年)、タキが仕える平井時子は1910年生まれで、バージニアは1909年・・・
戦前というイメージがあるかもしれないが、昭和初期は大正デモクラシーの空気が残り、大正モダンと呼ばれたリベラルな雰囲気があった時代。
ひとつの家を主人公に描く時に、バージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』を思い出しながら書いていたということでした。
バージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』の英語版には表紙に「Her Story」と入っている。これは「Historiy=his story」に相対するもので、新しい女性の時代を意味している。『ちいさいおうち』の世界観は、子どもだけでも大人にも通じるものがあり、今、私たちはその続きの「her story」を生きていて、決して古びないって、おっしゃったのがすごく印象的でした。
Lisa Von Drasekさん講演会 4月5日(木) 19:00〜
ミネソタ州立大学図書館の The children's Literature Research Collections のキュレーターで、またミネソタ州立大学教授を兼任しているというリサさんによる講演会にも参加しました。
このコレクションは、カーラン博士の個人的なコレクションで、絵本の原画だけでなく、ラフスケッチ、手書きの手紙や加速写真、日記や新聞記事、世界各国の研究書、希少本などを、ミネソタ州立大学に寄贈したことから始まったのだそうです。(カーラン コレクションとも呼ばれている)
リサさんは、このコレクションを43年間管理してきた前任者のあとを引き継いでキュレーターに就任。この度は、バージニア・リー・バートンの絵本つくりの制作過程について話してくださいました。
バージニアがフォリーコーブデザイナーズを設立してテキスタイルのデザインをしていたことが、そのまま絵本つくりに繋がっていること、『ちいさいおうち』に描かれている丘のうえのちいさいおうちは、全ページ同じ大きさで描かれていること、ちいさいおうちの周囲が変化することを見事に表現していること、絵の配置と文字の配置がシンクロしていて、時間の経過を効果的に表現していることなど、4色刷りのための4つの色別版木のことなど、絵本を手にしているだけでは気が付かなかったこの絵本の魅力を教えてくださいました。
3月20日(火) @銀座・教文館ウェンライトホール ばーじにあ・りー・ばーとん展
午後半代休をいただいて、行ってきました♪「ちいさいおうちのばーじにあ・りー・ばーとん展」へ。
午前中で保育の仕事が終わるという友人のくまこさんを誘って一緒に見て来ました♪
この日は午前中は雨、午後も薄曇りの寒い日でした。でも、大好きなバージニア・リー・バートンの原画に再び会えて、またくまこさんと、久しぶりに飲むこともできて、なんだか心は温かくなった午後でした。
展覧会は、昨年6月に行った東陽町にある竹中工務店のギャラリーエークワッドでの「ちいさいおうち バージニア・リー・バートン」展(その時の日記記事→こちら)と、ほぼ同じですが、ウェンライトホールにぎゅっとまとめられている感じで、もう一度じっくり味わうことができました。
←この『せいめいのれきし』の一場面の前では、探検家の帽子をかぶって記念撮影することもできるのですよ〜(私は恥ずかしくてできなかったけど^^;)
展示会入り口で写真撮ってもらいました・・・この日は冬の格好をしています。
教文館の松屋通り側の1階入り口を入ったところには、羊毛フェルトで作ったちいさいおうちとひなげしの丘が飾られています。
羊毛フェルトの先生をしているくまこさんは、早速作り手の気分で観察していました。
その後、4時過ぎからくまこさんと松屋通りの筋向いにある(といっても1ブロック西側)のキリンシティで昼飲み。この日、仕事の準備でランチタイム取れなかったので、ランチ兼早めの夕食と言うことで、しっかり飲んで食べました。(いかに自分が痩せたいと言いつつも、それが単なるお題目になっていて、実際には食欲が勝っていると認識しました・・・・・)
中島京子さん講演会 20日 19:00〜 @教文館ナルニア国
くまこさんと18時半に別れて、私は再び教文館ナルニア国へ。作家中島京子さんの講演会に参加しました。
中島京子さんは、『小さいおうち』という作品で第143回直木賞を受賞しています。
松たか子、黒木華出演の映画にもなって、この映画で黒木華さんがベルリン映画祭で最優秀女優賞を取ったことも知っていましたが、本は未読で、映画も見逃していて、この作品がバージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』と関係があるってことも、この日の講演を聞くまでピンと来ていませんでした。
中島さんがバージニア・リー・バートンの絵本と出会ったのは『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』と『ちいさなおうち』とどっちが先だったか、定かではないけれど、とにかくバートンの絵本が本との最初の出会いだったそうです。
杉並区内に住んでいた昭和40年代、団地の集会所で開催されていた子ども文庫で読んでもらったのだそうです。
最初に手にしたのは岩波子どもの本の『ちいさいおうち』だったとのこと。
その後、オリジナルに近い版も手にする。
子ども心に『ちいさいおうち』の周りに流れる時間の流れが描きこまれていて、それが心を虜にしたというのです。ユーモラスで、細かい描きこみ、デザインを大切にした絵本で、見た時の視覚の効果を生かしている・・・
時間を描くということではバートンは、『せいめいのれきし』の中で、地球誕生から現代までの悠久の時間を絵本の中に閉じ込めつつ、その時間は未来へと続くように流れ出ていた。
さて、中島さんの『小さいおうち』に描いた時代は、バートンが生きた時代と重なる。この物語の語り部となるタキが、12歳で女中として奉公したのが昭和5年(1930年)、バージニアが21歳で結婚してフォリーコーブに移り住むのが翌年の1932年、『小さいおうち』に出てくる赤い屋根の家が建つのが昭和10年(1935年)、タキが仕える平井時子は1910年生まれで、バージニアは1909年・・・
戦前というイメージがあるかもしれないが、昭和初期は大正デモクラシーの空気が残り、大正モダンと呼ばれたリベラルな雰囲気があった時代。
ひとつの家を主人公に描く時に、バージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』を思い出しながら書いていたということでした。
バージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』の英語版には表紙に「Her Story」と入っている。これは「Historiy=his story」に相対するもので、新しい女性の時代を意味している。『ちいさいおうち』の世界観は、子どもだけでも大人にも通じるものがあり、今、私たちはその続きの「her story」を生きていて、決して古びないって、おっしゃったのがすごく印象的でした。
Lisa Von Drasekさん講演会 4月5日(木) 19:00〜
ミネソタ州立大学図書館の The children's Literature Research Collections のキュレーターで、またミネソタ州立大学教授を兼任しているというリサさんによる講演会にも参加しました。
このコレクションは、カーラン博士の個人的なコレクションで、絵本の原画だけでなく、ラフスケッチ、手書きの手紙や加速写真、日記や新聞記事、世界各国の研究書、希少本などを、ミネソタ州立大学に寄贈したことから始まったのだそうです。(カーラン コレクションとも呼ばれている)
リサさんは、このコレクションを43年間管理してきた前任者のあとを引き継いでキュレーターに就任。この度は、バージニア・リー・バートンの絵本つくりの制作過程について話してくださいました。
バージニアがフォリーコーブデザイナーズを設立してテキスタイルのデザインをしていたことが、そのまま絵本つくりに繋がっていること、『ちいさいおうち』に描かれている丘のうえのちいさいおうちは、全ページ同じ大きさで描かれていること、ちいさいおうちの周囲が変化することを見事に表現していること、絵の配置と文字の配置がシンクロしていて、時間の経過を効果的に表現していることなど、4色刷りのための4つの色別版木のことなど、絵本を手にしているだけでは気が付かなかったこの絵本の魅力を教えてくださいました。
Virginia Lee Burton
HMH Books for Young Readers
2012-04-17
昔話について研究する研究者でもあるリサさんは、長くニューヨーク公共図書館の児童図書館員だったこともあり、最後に英語で絵本を読んでくださいました。でもそれはバージニア・リー・バートンの絵本ではなく、エリック・カールの『はらぺこあおむし』でした。ナルニア国にはその時日本語の絵本しかなかったので、その絵本を手に覚えている英語のお話を語ってくださいました。
児童図書館員として、子ども達に本を手渡すこと、それが一番好きだというだけあって、人懐っこい笑顔の素敵な方でした。
この講演には、バージニア・リー・バートンさんが1964年に日米文化協会の招待で来日した時に、石井桃子さんの依頼でバージニアを沼津、下呂、京都と案内して一緒に旅行された松岡享子さんがいらして、思いがけずリサさんとの対談に!今回の展覧会の目玉として、バージニア・リー・バートンのフォリーコーブデザイナーズのテキスタイルでつくられたワンピースがあるのですが、それが若き日の松岡先生が、バージニア本人から贈られた布で仕立てたものと知って、感激されていました。
というのも、リサさんはバージニア・リー・バートンの絵や作品を研究しているとはいえ、彼女が生きている時に会ってはいないので(バージニアは来日した4年後に肺がんで59歳で亡くなっている)、余計に感動が伝わったようでした。
フォリーコーブデザイナーズのテキスタイルは、バージニアが亡くなった翌年に閉じられて、作られなくなっているのでそのデザインは、美術館などでしか見られないのに、日本に来たらこの展覧会に合わせて包装紙になっていることに驚いた、これはすごいことだってリサさんがおっしゃっていたので、講演終了後にみんながそれを購入していました。
かくいう私も2種類購入。包装紙として使うのはもったいないので、これをポスターパネルに入れて文庫で展示したいなって思います♪
昔話について研究する研究者でもあるリサさんは、長くニューヨーク公共図書館の児童図書館員だったこともあり、最後に英語で絵本を読んでくださいました。でもそれはバージニア・リー・バートンの絵本ではなく、エリック・カールの『はらぺこあおむし』でした。ナルニア国にはその時日本語の絵本しかなかったので、その絵本を手に覚えている英語のお話を語ってくださいました。
児童図書館員として、子ども達に本を手渡すこと、それが一番好きだというだけあって、人懐っこい笑顔の素敵な方でした。
この講演には、バージニア・リー・バートンさんが1964年に日米文化協会の招待で来日した時に、石井桃子さんの依頼でバージニアを沼津、下呂、京都と案内して一緒に旅行された松岡享子さんがいらして、思いがけずリサさんとの対談に!今回の展覧会の目玉として、バージニア・リー・バートンのフォリーコーブデザイナーズのテキスタイルでつくられたワンピースがあるのですが、それが若き日の松岡先生が、バージニア本人から贈られた布で仕立てたものと知って、感激されていました。
というのも、リサさんはバージニア・リー・バートンの絵や作品を研究しているとはいえ、彼女が生きている時に会ってはいないので(バージニアは来日した4年後に肺がんで59歳で亡くなっている)、余計に感動が伝わったようでした。
フォリーコーブデザイナーズのテキスタイルは、バージニアが亡くなった翌年に閉じられて、作られなくなっているのでそのデザインは、美術館などでしか見られないのに、日本に来たらこの展覧会に合わせて包装紙になっていることに驚いた、これはすごいことだってリサさんがおっしゃっていたので、講演終了後にみんながそれを購入していました。
かくいう私も2種類購入。包装紙として使うのはもったいないので、これをポスターパネルに入れて文庫で展示したいなって思います♪