5月18日(土) 13:20〜15:10 @専修大学神田キャンパス 学校図書館実践講座〈特別企画〉

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全国学校図書館協議会主催の川島隆太先生の講演会「子どもの脳の発達と読書」に参加してきました。場所は神田神保町にある専修大学。




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講演会に先立って、全国学校図書館協議会(SLA)理事長の設楽敬一氏のご挨拶がありました。





そこで強調されたのは、2015年に「学校図書館法」が改正され、第6条に「学校には、前条第1項の司書教諭のほか、学校図書館の運営の改善及び向上を図り、児童又は生徒及び教員による学校図書館の利用の一生の促進に資するため、専ら学校図書館の職務に従事する職員(次項において「学校司書」という。)を置くように努めなければならない。」と明記されたように学校司書が法制化されたにも関わらず、子どもたちの読書活動の促進に繋がってないということでした。

それは、昨年秋に公表された「第64回学校読書調査」では、昨年5月1カ月間の読書冊数を調べた結果、「0冊」と答えた不読者の割合が予想値よりも高かったということなのです。


不読者の割合は、小学生8.1%、中学生15.3%、高校生55.5%というように依然高く、この問題の根底には、司書の配置状況や学校図書館への予算措置など、なかなか思うように進んでいない現実があるということでした。

その上、ネット社会におけるスマホやタブレットの普及が子どもたちを読書から遠ざけているのではないかとも。う〜ん。たしかに今の子どもたちは、デジタルネイティブ世代で、コミックスも書籍も、デジタルブックを読んでいる可能性があるので(事実、うちの子達はもっぱらデジタルで読んでいることが増えている)、ネット社会がそのまま読書しなくなった原因だとするのはなあと、ここだけは反論したくなりました。(ここは補足 文科省の調査によるとあまりデジタルブックが子どもたちに浸透しているとも言えないみたい→こちらの調査報告書を参考に)


なんでかって、わかってんじゃん。国が2001年に「子どもの読書活動の推進に関する法律」を制定し、昨年までに子ども読書推進計画も第4次まで出しているけれど、結局学校図書館にも、学校図書館司書にも予算が割かれていない。以前よりは増えたとしても、ほかの予算と比べてすごく少ない。単位が億(しかも十億程度)ではどうしようもない。(私個人としてはF35戦闘機をトランプに阿ってバカな首相が1兆2千億円分購入すると約束したらしいけれど、そのせめて2千億円だけでも学校図書館に配分してくれたら、毎日図書館に司書がいて、生き生きと活躍して、子どもたちに寄り添った読書指導が出来るのに・・・。予算を取りに行く力のないSLAも、そして日本の図書館界も情けないなと、自戒をこめて思います。)



と、そんな前置きがあってやっと始まった川島先生のお話でした。




東北大学加齢医学研究所所長の川島先生に、まず初めに脳の部位ごとの機能について説明がありました。その後、脳の発育に、読書や睡眠がどのように関わっているかという調査報告、最後にスマホのしようと脳の働きの関係についての調査報告がありました。




読書と睡眠時間がテストの成績にどう影響するか、仙台市で2010年から始めた小・中学生の日常生活習慣と学力に関する調査は、小5から中3までの4万838人対象にデータがあるそうです。



それらはくもん出版から昨秋出版された『読書がたくましい脳をつくる』に詳しく書かれているので、ぜひ読んでほしいのですが(小学生向けに書かれています。)
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読書を習慣化している子どもたちの脳は、大脳左半球と、左右の前頭前野、それから脳のその他の領域を結ぶ神経線維(白質…情報を伝達する電線のようなもの)が著しく発達していることがわかっています。

ここが発達しているということは、これまで蓄えてきた知識をいかに用いて新しい発想を生み、あるいは多様な情報を処理するために重要な部分であるということから、成績の伸びにも密接な関係があるということは理解できます。

ところが、加えてもう一つの視点からの報告が興味深かったのです。


先の仙台市の子どもたちの調査では、家庭で読書習慣のある子たちの成績を偏差値でグラフをつくると、やはり総じて高い結果が出るのですが、それに睡眠時間を掛け合わせると、睡眠時間が短くなると、いくら家庭学習の時間が長く、よく読書をしていても成績の伸びが落ちているという結果が出ているのです。



この学力は国語以外の教科でも調査されており、読書が子どもの学力を上げていることは確かですが、かといって睡眠時間を削ってまでして読書をしたり、勉強することは却って逆効果という点も面白いのです。


また家庭学習時間が短い子でも、読書習慣が身についている子で、睡眠時間がたっぷりある子は成績もよいという結果も出ています。


川島先生の著書には、そのあたりの調査結果が立体的なグラフで出ているので、ぜひ手に取って読んでほしいなと思います。



もうひとつは、スマホとの関係。スマホを3時間以上使っている子どもたちと、1時間未満の子どもたちでは、やはり成績に大きな差が出ていることが、調査で判明していました。しかもスマホでは前頭前野(ものごとを考えたり、記憶したり、様々なことを理解し、状況を判断したり、あるいは自己抑制するという働きをしている領域。いわば理性を司る場所)が、活発に働かないこともわかっているそうです。


こうした調査は光トポグラフィーという脳の血流量を計る装置で行われています。こうしたデータを突き付けられると、「あっ、やっぱり脳の発達には十分な睡眠と、そして読書習慣が大事なんだな」と理解できます。「そうじゃないかな〜」とこれまで経験則で話していたことが、データによって裏打ちされたわけですからね。


質問時間に寄せられたのは、「読み聞かせもやっぱり脳を発達させるか」ということ。川島先生曰く、この「読書」とは、自分から能動的に読む読書であるということが示されました。


ただ、身近な大人に読んでもらうことは、情緒を司る部分がよく働いているそうです。子どもたちがいきなり自分一人で読めるようにはならない。その前段階として、読んでもらう「耳から聴く読書」がとても重要で、大人と子どものコミュニケーションを重ねていく、という意味で「読み聞かせ」も大事ですという答えでした。


一方で、能動的な読書、とりわけ声に出して読むということは、高齢者の脳の衰えを抑制する働きもあるとのことで、認知症予防にも繋がるそうです。



子どもたちが、幼い時に信頼できる大人から(親だけではなく、保育者や図書館の司書さんから)絵本を読んでもらうことで「本の楽しさ」を知ること(ここには物語絵本だけではなく、知識の本も入っています)によって、成長するにつれて自発的に、能動的に読書に親しむようになることが、成績が良い悪いだけではなく、自分で人生を切り拓く力を身につけることになるわけで、やっぱり「本を読む」って大事だな〜と感じました。

面白いのは、本が好きで、よく寝る生徒は家庭学習の時間が短くても、成績がよいってこと。

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小さいうちから塾に通わせて、遅くまで勉強させるよりは、親子でゆったりそれぞれが本を読んだり、読み合ったり、会話をしながら、早く寝る生活の方が絶対健全で賢い子を作りますよ〜って、私は多くの保護者に伝えたい・・・




本を読むって、それくらい力になります!