7月15日(月・海の日) 14:00〜@子どもの本の家ちゅりっぷ(我が家)


絵本研究会・ファンタジー研究会が2月24日に一旦最終回になった(最終回のブログ記事→こちら)あと、有志の方々が中心になって、学びの場を継続していこうと「子どもの本研究会」としてリニューアルし、6月から活動が再開しました。

IMG_7415

第1回目の6月の会は、残念ながら文庫活動と重なってしまって参加できなかったのです。
そして7月の第2回は私が担当することになったので、文庫のお披露目もかねて(文庫オープンは3年前ですが、研究会仲間には来る機会のない方もいたので)我が家で開催しました。


IMG_7398


そんなに広くないダイニングに家中から集めた椅子14脚をずらり。


朝から大掃除をして、椅子を並べてみなさんがいらっしゃるのを待ちました。






IMG_7397

今回のテーマは、私が決めてよいと言われ、悩んでいた時にお世話役の方に「たとえば一番好きな絵本って何かしら?」と聞かれて、咄嗟に答えたのがバージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』でした。


ちいさいおうち縦

記憶を辿れば、まだ4歳だったころに、岩波子どもの本の1冊として縦書き判型の『ちいさなおうち』を母に何度も何度も読んでもらったこと。


1954年に出版された岩波子どもの本の『ちいさいおうち』は、本来横書きのものを無理やり縦書きにするために逆版で作られていました。




今、手元には縦書きの『ちいさなおうち』はないのですが、ネットの情報からどんな文章だったかを知ることが出来ました。(→「青蓮亭日記」古道具屋「ロータス・ブルー」のブログ


そこでまずは石井桃子さんの翻訳についての比較をしてみました。


ちいさいおうち
ばーじにあ・りー・ばーとん
岩波書店
1965-12-16





ちいさいおうち (岩波の子どもの本)
バージニア・リー・バートン
岩波書店
1954-04-15






1965年に原作と同じ判型で出版された『ちいさいおうち』大型本と、1981年改版の岩波子どもの本『ちいさいおうち』

少しずつ訳が変っていて、タイポグラフィという文字の配置もそれぞれ変化していました。そのことをツイートすると、岩波書店児童書編集部の方から返信ツイートがありました。

曰く、「それぞれの版が異なっているのではないかと思います。大型絵本は2001年に石井桃子先生が訳文を見直して改訳決定版としていますが、その時に「岩波子どもの本」と訳文をそろえています。」(2019/7/11)


それを受けて、2012年出版の改版58刷の『ちいさいおうち』を図書館で借りてきて、4つの訳文を比べてみました。

石井桃子さんの翻訳については、竹内美紀さんの『石井桃子の翻訳はなぜ子どもをひきつけるのか』(ミネルヴァ書房 2014)が参考になりました。





その上で、自分が子ども時代に読んでもらった時の気持ちになって、もう一度『ちいさいおうち』を読み直してみました。
64814121_2339168429498747_2131414444473843712_nなぜ何度も母に「もう一回読んで!」とお願いしていたのか、何が幼かった私の心を惹きつけたのか・・・そう思うと、以下の5つの点が思い浮かびました。


1)ちいさいおうちの擬人化・・・窓がつぶらな瞳に見えて、自分の想いをちいさいおうちに重ねることができたこと
2)時間の経過がわかること・・・太陽の動き、月の満ち欠け、自然の変化、四季の移ろい、開発されていく町の変化など、絵を読むことでその変化を感じることができたこと
3)人々の暮らしがわかる・・・「大草原のちいさな家」のような、西部開拓時代のアメリカの暮らしが手に取るようにわかったり、親子の生活が描かれていて、家族の会話が聞こえて来そうだったこと
4)自己の再発見・・・誰からも顧みられなくなっても、いつかまた見出してもらえるという希望を感じたこと
5)回復・・・そしてふたたび初めにあったのと同じ場所へ戻っていくちいさいおうちの姿を見て、安心感を感じたこと


あの時代に、行き過ぎた開発による公害問題などにも言及しているこの作品は、親になって再び出会って、多くの示唆に富んでいるものだと驚嘆したものでしたが、子ども時代はそうした背景にはあまり意識せずに、ただただちいさいおうちになりきって、安心していたんだなあと思います。

66763194_2339168492832074_8384486029691715584_n
そんなことに加えて、バージニア・リー・バートンが生きた時代などについても、昨年の「バージニア・リー・バートン展」の図録や、伝記などを用いて1時間ほどお話ししました。




ヴァージニア・リー・バートンの世界: 『ちいさいおうち』『せいめいのれきし』の作者
小学館
2018-03-14







IMG_7410

そのあとは、ティータイム。14人が最近気になっている子どもの本について話したり、今やっている活動について報告したり・・・


IMG_7407

そのどれもが、興味深いものばかりでした。


IMG_7409

みなさんが持ち寄ったお菓子もどれも美味しくて




IMG_7402


あっという間に17時になってしまったほど、楽しい時間となりました。

遠くまで足を運んでくださったみなさま、ありがとうございました。