みどりの緑陰日記

香港で始めたプレイルームどんぐりから数えて28年、子ども達に絵本や児童書を手渡し続けてきました。保育士養成の場で仕事をしたこともありますが、今は図書館にかかわる仕事をしています。絵本や児童書のこと、文庫活動のことなどを綴っています♪

講演会・勉強会

クレヨンハウス子どもの本の学校☆落合恵子さん

4月20日(土) 16:00〜 @表参道クレヨンハウス

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永福図書館での「のまりんの紙芝居劇」場が終わって休憩をし、先生をお見送りしたあと、表参道のクレヨンハウスへ急ぎました。



この日の講師は、クレヨンハウス代表の落合恵子さん。
テーマは「子どもの頃の「わたし」に出会う」

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1時間半の講座の、後半40分しかお話を聞けませんでしたが、物語に出会うことで、自分の中に生きている子ども時代の「わたし」が、今の「わたし」を支えてくれている・・・と感じるという部分。


ほんとうにそうだなって思いました。



この日、落合恵子さんが紹介してくださった絵本『その手がおぼえてる』(トニー・ジョンストン/文 エイミー・ベイツ/絵 落合恵子/訳 BL出版 2019/2/1)

その手がおぼえてる
トニー・ジョンストン
ビーエル出版
2019-01-29


カバーの見返しに「かあさんの手とあかちゃんの手。親子の手がつむぐおだやかでかけがえのないものがたり」とあります。


生まれてきたわが子の手を取るおかあさん。子どもが育っていく過程で、おかあさんの手は子どもを支え、背中を押してきた・・・ある日、息子はおとなになって旅立つ。年老いていくかあさん。今度は息子が時々帰ってきてかあさんの手を握って励ます・・・

そんなストーリーです。


「かあさんの髪はすっかり白くなった。
思い出は 砂のように こぼれおちていった。
けれど たったひとつ しっかり おぼえていたことがある。
あなたと いっしょにした すべてのことを
あなたと いっしょにいた すべての時間を。」



手をつなぐと、そうした日々が思い出されていく。親から子へ、子から孫へ・・・


子どもだった「わたし」が、おとなになりわが子を育てる中で自分の中の「わたし」に出会い、子どもたちを広い世界に見送ったあとには、わが子との時間の記憶が老いた「わたし」を支えてくれる


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これもまた「母」に贈りたい素敵な1冊となりそうです。




またもう一冊、紹介してくださったのが『ベイビーレボリューション』(浅井健一/文 奈良美智/絵 クレヨンハウス 2019/2/5)


ベイビーレボリューション
浅井健一
クレヨンハウス
2019-01-28


「(前略)
あおいそらの したのほう
3ぜんまんの ベイビーが
しょうきゅう じょうやく ほうりつ
なんのことだか わからない
まもなく せんそうちたいだ
おかまいなしに すすんでいく

へいしも せんしゃも ミサイルも
みんな ひょうしぬけ してるよ

3おくにんの ベイビーが
みんなの にくしみ けしていく
みんなの あらそい けしていく
(中略)

ぼくたち なにをやってるのか
ばくだん おとして ぼくたち
かなしみ つくって ぼくたち

いったい なにをやってるのか
なんのために ころしあうの
なんで こんなこと してるの
(後略)」

ミュージシャン浅井健一さんの詩に、奈良美智さんのインパクトの強い絵のこの絵本、落合さんが『おとなの始末』(落合恵子 集英社新書 2015/1)に書かれているこの一文に繋がります。


「だから、焦ってはいけない、と思う。原発も沖縄の問題も、どんなにがんばっても、どうにもならない、と諦めそうになる一瞬があったとしても、思いを伝え続けることで、少しずつなにかが確かに変わり、「夢」だと思っていたことが、いつかは「現実」になるかもしれない。
 わたしの願いは、誰もが職業や人種。セクシュアリティなどによって差別や偏見にさらされることなく、それぞれが「自分色」に輝ける、そんな社会だ。それこそ「夢物語だ」と言われるが、夢であっても一ミリは実現したい。
 わたしたちが、次の世代に受け継ぐことを諦めなければ、彼らが新しい形で「自分色」を輝かせることが出来る社会へのバトンを受け取ってくれるはずだ。それを夢見つつ、わたしは今日も声をあげる。」(p195−196)



私も、次の世代のために、「ダメなものはダメ」と語り次いで行きたいと思いました。


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サイン会の時に、私が甲状腺癌になったことを伝えました。喋っていると「原発とエネルギーを考える朝の教室」の第1回目で私が話したことも覚えていてくださって、通院の時、いつても寄って、と仰ってくださいました。ありがたい。

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短い時間でも、聞きに行ってよかった!と思いました。





今年も春はのまりん♪に決まり!!!

4月20日(土)

今年ものまりんこと野間成之先生の紙芝居劇場に参加してきました。


朝9時20分に丸ノ内線方南町の駅で待ち合わせ。これまでエレベーターもエスカレーターも無かった方南町駅に新しい出口が出来て、バリアフリー化がやっと実現。
(それまでは、ベビーカーを抱えて昇降してくれる'おろすんジャー’が登場する駅でした。→こちら


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10時半からは方南児童館を会場に「のまりんの紙芝居劇場」




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お天気も良くて、時間になるとつぎつぎに親子連れが集まってきました。






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のまりん、今年78歳。ますますパワーアップしています。


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紙芝居劇場は1時間。それもあっという間に感じるほどでした。



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午後は永福図書館に場所を移しての紙芝居劇場です。





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こちらでもたくさんの親子連れが集まって、のまりんの紙芝居を堪能しました。



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今回の紙芝居劇場では全部で8作品が披露されました。




2006年春から毎年方南図書館で紙芝居劇場が続いています。なんと14回!永福図書館でも10回目。

シンガポール・ポプラ文庫での2002年の紙芝居劇場から数えると、かれこれ18年。このご縁に心から感謝しています。

のまりんは、この4月は4週続いて週末は、東京のプーク劇場や図書館での公演でした。(そのうち7図書館は、勤務先が受託してる図書館でした)この日の翌日は、新宿区の図書館での公演。そこにはシンガポール時代の文庫スタッフ数人や、私のママ友も集まったそうです。(私は仕事で行けず〜)


そして連休明けの5月初旬は香港へ。友人が中心になって招聘。友人のFacebookでのまりんが香港でも多くの子どもたちに楽しい時間を提供しているのを知ることができました。


そのあとは上海へも行くとのこと。

これからもますますお元気でご活躍されますように


以下は、今年ののまりん紙芝居劇場演目












4月のわらべうた講座あれこれ

毎年恒例となっている勤務先が受託する図書館でのわらべうた講座。今年も4月に3か所で実施しました。


4月14日(日)@N区E図書館IMG_6012

ここでのわらべうた講座、もう何回目だろう?5回目になると思います。


前半、後半と年齢を分けて実施しました。



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今年は担当者が変って、若手男性司書さんになりました。
でも細やかな配慮が行き届いていました。



4月17日(水)@C市M図書館
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ここでのわらべうた講座は3回目かな。



ちょっと遠いけれど、郊外にあるので子育て世代もたくさんいる地域。





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前半は1歳未満の小さな子、後半は歩き回れる年齢の子どもたちの2回、親子連れがわらべうたを楽しんでくれました。
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4月21日(日)@I市I駅南図書館

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なんとこちらの図書館、勤務先が受託開始をしてちょうど10年目。わらべうた講座も10回目になりました〜



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図書館が大きなタワーマンションの中にあるためか、ここはご夫婦での参加が多く、とても賑やかでした。


私もいつか自分の孫とわらべうたで遊んであげたいな〜なんて思いました♪

宮澤賢治 愛のうた 百年の謎解き@ともだち書店

4月7日(日) 14:00〜 @日吉本町、山口さんち 主催:ともだち書店


この日はうららかな春の一日でした。

午前中は慌ただしく次男がアメリカに帰国する準備を手伝って送り出し、急いで横浜・日吉へ向かいました。(最寄りの私鉄駅に送って時計を見たら、JR駅で私が乗らなきゃいけない電車までちょうど10分!自転車でめちゃくちゃ飛ばしました。普通だと15分ちかくかかる道のりを!必死で漕いで間に合いました〜)

日吉でママ友ぐぐさんと待ち合わせをし、地下鉄で日吉本町に降り立つと、この日滋賀からかけつけたMちゃんと一緒にランチを詩に集まってきたくまこさん、Sさま、N子さんもちょうど着いたところで、みんなで目的地を目指しました。
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今回はともだち書店ではなく、ともだち書店から徒歩5分ほどのところにある山口さんち。



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お庭には春の花がいっぱい咲いて優しい佇まいで私たちを迎えてくれました。ところが・・・そこに着くころには腰痛が。さっき必死で漕いだ自転車だ〜負荷かけすぎてしまったみたいで、椅子に座ったら動けなくなってしまいました(なので庭の写真はない・・・)




昨年の4月に出版された澤口たまみさんの『宮澤賢治 愛のうた』をベース、ハープの演奏に合わせて朗読してくださるという素敵なイベントにぴったりの会場でした。


宮澤賢治は、30歳過ぎて音楽に目覚め、今の金額で100万円するチェロを手に入れるなど、音楽に合わせて朗読したい、朗唱伴奏を望んでいたそうです。まさに今、それを後輩の澤口さんが実現されているのです。
新版 宮澤賢治 愛のうた
澤口たまみ
夕書房
2018-04-24

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澤口さんは、高校、そして岩手大学の賢治の後輩にあたるそうです。

自然をよく観察し、どんな生き物も、植物も尊いと感じ、花や動物を主人公にたくさんの物語を作りました。

ところが後世の人間は、それを絵空事、ファンタジーとしてしまっている。賢治の作品は、毎日自然を観察する中で生まれてきたもの。そうやって澤口さんは賢治の作品を読んできて、あれと思ったことがあったそうです。

それは『春と修羅』という詩集を読んだ時のこと。もしかして賢治は恋をしていたのでは?と感じたのだそうです。


賢治の研究者の間では、賢治が生涯独身だったので、『春と修羅』に収録されている「永訣の朝」など妹トシへの愛が深く、そのためだという説もあったり、学生時代の後輩保阪嘉内に対して同性愛的な感情を抱いていたという説もありました。


でも、どうしても『春と修羅』に出てくる詩を読んでいると、これは恋をしていたとしか思えない・・そこで澤口さんはいろいと調べていかれるのです。



そうすると『春と修羅』が書かれた大正11年から13年までの間の書簡が、大正11年の賀状1枚きりを残してごっそり無くなっている、意図的に処分されたと推測できたそうです。

そうして賢治がトシさんという方と相思相愛の恋愛をしていたことがわかったのです。

この恋は町中の噂になったことで逆に実ることなく、賢治は相手に迷惑をかけてしまったと後悔していたというのです。

昭和54年に賢治の弟にあたる方がその事実を公表しようとしたのですが、結局それを阻止する動きがあり、賢治の年譜にはその事実が残らなかったのです。


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澤口さんは、10年ほど前にある出版社から「宮澤賢治は生涯童貞だった」というような本が出版されたことに、いくらなんでもそれは酷い、賢治という人格を冒涜するものだと感じたといいます。






そこから、この本を書くことを始められ、ひとり出版社である夕書房から昨年4月24日に出版されたのです。そしてこの本を作者自ら営業しようと、ベーシストの石澤さん組んで、全国あちこちで朗読会を開催されているのです。


私がこの作品を知ったのは、昨年秋11月に茅野の今井書店でのイベントの案内でした。(こちらには絵本児童文学研究センター修了式と重なってしまい伺えませんでした)


詳しい賢治の恋については、ぜひこの本を手に取って読んでほしいと思います。


賢治の恋人だったヤスさんは、賢治との恋が終わった後の大正13年6月14日に結婚してシカゴへ向かったそうです。しかし渡米後3年経ったときに亡くなってしまいます。シカゴの教会で、キリスト教で葬られたヤスさん。賢治もキリスト教に改宗しようとしていたそうです。

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そのヤスさんの誕生日が4月7日。まさにこのイベントの日がヤスさんの誕生日だったのです。

会場に、ヤスさんがいるような、そんな気持ちになった柔らかな時間でした。

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参加したひとりひとりが、心に温かいものを感じた時間となりました。

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夜は澤口さんたちが宿を取っていらっしゃる蒲田に移動して、有志で打ち上げ会をしました。

N子さんが澤口さんのかがくえほん『わたしのあかちゃん』を読んでくださいました。



打ち上げには澤口さん、ベーシストの石澤由男さん、そしてともだち書店のSさんの友人のハーピストの西村由里さんも参加されて、ぎゅっと詰まった楽しい時間を過ごすことができました。


ともだち書店のSさん。そしてともだち書店のスタッフのみなさま、素敵な企画をほんとうにありがとうございました。

そしてなにより澤口たまみさん。素敵な本を書いてくださりありがとうございます。石澤さんとの全国ツアーの中で、より多くの人に賢治とヤスさんの恋の事実が浸透していきますように!

石澤さん、西村さん、素敵な演奏、ありがとうございました

『はっぱのうえに』発刊記念・たてのひろしさん×石倉知直さん対談

4月に入り、はや11日。
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3月下旬からしばらくいろんなことがあって、ブログを書く暇がありませんでした。



ひとつは、長女の結婚式。それに参列するためにアメリカにいる次女と次男が一時帰国。二人そろっての一時帰国は3年ぶりでした。加えて次女はUC Davis時代のルームメートも一緒の帰国で、我が家は久しぶりに大所帯になって賑やかな日々でした。


もうひとつは、私の病気のこと。以前ブログにもちらちら書いていましたが、宣告を受け、治療の準備を始めることになりました。

そんな嬉しいことと、ちょっとしんどいことの重なった3月でした。おいおい、そのことも記していくこととして・・・記録しそびれていた3月の絵本イベントからブログを書いていきます。
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3月17日(日) 14:00〜 @横浜・日吉ともだち書店

『しでむし』、『つちはんみょう』など精緻な絵と、精密な観察による昆虫絵本で知られる舘野鴻さんと、福音館書店の「ちいさなかがくのとも」編集長の石倉知直さんによるトークイベントが行われました。

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福音館書店の3〜4歳児向けの身近な自然への発見を促す月刊誌「ちいさなかがくのとも」(公式サイト→こちら





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2019年の4月号を飾るのは、舘野さんの『はっぱのうえに』です。今回は、この絵本を制作するにあたっての裏話的なことも聞けるときいてわくわくしていました。


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おふたりでの仕事は2014年8月号の『なつのはやしのいいにおい』が最初。この時の主役はサトキマダラヒカゲという樹林帯を飛ぶ蝶の生態を描いています。

子どもたちの生活エリアで出会う、花の蜜を吸うアゲハ蝶やモンシロチョウとは違って、とてもマニアックな題材だったのです。


そして今回は、初めて子どもたちの生活の中で出会える身近な昆虫を描いた絵本になりました。というのも『はっぱのうえに』は、春先に葉っぱの上でみかけるテントウムシを描いているのです。

舘野さんと石倉さんの制作裏話は、それはまた面白いものでした。

「虫屋」の視点では、「こんな虫がいるんだよ。面白いでしょ!」と、出会ったことのない人に注目してほしくて絵本を描く。(『しでむし』や『つちはんみょう』がまさにそうだった)
しでむし
舘野 鴻
偕成社
2009-04-01






つちはんみょう
舘野 鴻
偕成社
2016-04-13





でも対象が子どもの絵本となると・・・読者の視点、読んでもらった子どもたちが面白いと感じられるか?そこを考えながら作ることになる。

絵本で何を表現するのか、何を伝えたいのか、文学的にどう伝えるのか。

そう悩む舘野さんに、編集者としての石倉さんからは「あなたは面白いかもしれないけれど、読者にはわかるか?」という問いが投げかけられたという。だから舘野さんは石倉さんを称して「正しい人過ぎる。ブラック石倉さん」

絵本の打ち合わせになると丸一日。石倉さん曰く、「舘野さんの絵本はJazzみたい。どんどんアレンジされていく」と。一緒に打ち合わせしている間に、どんどん新しいアイディアが生み出されていく。油断が出来ない刺激に満ちていたと。メールでの打ち合わせではこういうダイナミズムは起きない。

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舘野さんは、それを「編集者によって、絵本のアイディアが生き物のように育っていく」とおっしゃる。



身近な昆虫で、というオーダーが来たとき、舘野さんはナミテントウで描こうと思っていたそうです。ところが、観察を続けていると、3,4歳児の子どもたちの目の高さにはナミテントウはいないことがわかってくる。

春先の野原で見つかるテントウムシは、ナナホシテントウムシばかり。2年目の観察に入った時にどうしてだろうと思い、3年目ひょっとしたらと思ったら、5月にナミテントウが増え始める、しかも桃の木に!ナミテントウの幼虫は木につくアブラムシを餌にする。草本と木本では芽吹きの時期が2週間も違っていて、しかも子どもたちの目線より高いところにいるナミテントウは、「ちいさなかがくのとも」には描けないと判断し、小さな子どもたちが目にするナナホシテントウムシを描くことにしたというのです。

しかもこの絵本、タイトルも難産だったそうです。

最初は「はっぱのさきに」にしていたそうです。葉っぱの先っちょから虫が飛びたつのをイメージしてたそうです。ところが、葉っぱの上にあるテントウムシの蛹は、決まって葉っぱの真ん中にある。思い込みは危険!と、観察を続けることで修正されていったのです。

舘野さん、今回の作品は文章から入ったとのこと。ことばの置き方にも、ことばのリズムも意識をしたそうです。

たとえば6~7ページ見開きの文章
「はっぱのうえのこれは
 なに?」
当初は
「はっぱのうえの
 これはなに?」と改行の場所が違っていたそうです。


子どもたちが手にして読んだ時の、どこで息をきるか・・・そこまで丁寧に作られているのです。感動的!(どこぞの、ママが泣いちゃう絵本との、そもそもの絵本製作に向かう姿勢が違っている)


またタイトルの文字も手書き風のフォントを使っていますが、これ、中国語用のフォントだそうです。タイトルの文字の色も、赤か青か・・・草むらの中から空を見あげている視点で描かれた表紙の中で映えるのはどちらか・・・検討されたそうです。


石倉さん曰く、「舘野さんは描くために見る。見る力がすごい。幼虫が脱皮する瞬間の描き方がすごい」と仰る。舘野さんは、羽化するのをじっと観察していると、なかなか羽化せず、ほんのちょっと目線を外した隙に、羽化していて、とにかく忍耐で観察を続けたとのこと。


あと、裏話としては、12月に大山でご一緒した時に(その時のブログ記事→こちら)もちらりと聞いていたのですが、1ページ目のタイトルページと、4~5ページの見開きと、8~9ページの見開きの中に、この絵本を描いている最中に悪性リンパ腫で亡くなった愛猫を登場させているのです。でもね、目を凝らしてみないと発見できないほどに、小さくなのですが!

この愛猫、最期はかなり苦しみ、吠えて亡くなったのだそうです。勇敢に生き抜いて死んだという印象が強く、その猫から「今日をどう生きるのか、人生は一期一会。明日死ぬかもしれない人生。隅々まで全力で描け」というエールをもらったのだそうです。だから追悼絵本として登場させたのだと。


虫もまた純粋に勇敢に生きている。そんな虫と幼い時に出会う体験は、捨てがたいのではないか。でも「どう見ればいいのか」それには答えはない。どう感じるかはひとりひとりの問題で、感じ方は押し付けたくない。自分で感じるかどうかだという。


そういう押しつけがましくないというのも、逆に心を惹きつける絵本の魅力なのでしょう。

この絵本の付録に生物学者の福岡伸一さんが、素敵な文章を寄せています。
「舘野さんの絵本にはいつも静かなドラマと巧みなカメラワーク、そして深い詩情があります。まず何気ない路傍の草むらが描かれます。よく見ると何か虫がいそうです。するとグーンとレンズがズームして細部が拡大されます。やっぱりいました。そこにはひっそりと隠された宝石のような虫がいます。透けている羽の柔らかさが手に取るようにわかります。エッシャーのパズルみたいな葉脈の模様、私たちはたちまち虫の視線に降りていきます。レンズはふっと引いたり、またぐっと近づいたりしながら虫の変化を逃さず捉えます。私は息をのんで見つめます。そして青い空の彼方に飛び立ったテントウムシを見送ります。ここには紛れもなく、私がもっとも大切にしていたセンス・オブ・ワンダーがあります。なんだかとても爽やかな気持ちになれます。」

舘野さんも、石倉さんも、このセンス・オブ・ワンダー、子どもたちが身近な自然を見て感じることが大切だと口をそろえて仰っていて、この絵本、そして「ちいさなかがくのとも」はそうした感性を育ててくれるシリーズとして優れているなと感じるのでした。


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そうそう石倉さんが編集された「ちいさなかがくのとも」2017年10月号の『きょうはたびびより』(とうごうなりさ/作)が、昨年のボローニャ国際絵本原画展で入選したのです。それをともだち書店のしまさんが皆さんに披露してくださいました。


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こうした丁寧に作られた絵本が、多くの人にきちんと評価されるといいな。そして多くの子どもたちに行きわたるといいなあと心から思いました。



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終了後は、ともだち書店の並びにある地元に愛されている居酒屋で、舘野さん、石倉さんを囲んでの懇親会もありました。



すてきな時間を作ってくださったともだち書店(なんとともだち書店は46周年です)のみなさまと、舘野さん、石倉さんに心から感謝したいと思います。ありがとうございました





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