みどりの緑陰日記

香港で始めたプレイルームどんぐりから数えて30年、子ども達に絵本や児童書を手渡し続けてきました。絵本や児童書のこと、文庫活動のことなどを綴っています♪

おすすめの本

福岡伸一さんのトークイベントへ

2月29日(土)16:00〜 @神保町ブックハウスカフェ



29日はもともと違う予定が入っていました。そちらが新型コロナウィルスの感染拡大防止のために休校休IMG_1216園措置が発表された直後の週末で中止になり、一方でこちらのイベントに申し込んでいたママ友ぐぐさんから、代理で行きませんか?とのお誘いで、急遽参加することにしました。




(ママ友ぐぐさんも、結局この日参加できることになって、一緒に参加しました♪)

IMG_0242



ブックハウスカフェでは、入り口で手指の消毒をして、途中での換気にも気を付けながらの開催となりました。







冒頭、福岡さんは2月22日に実施された都立高校の入試問題についていきなり触れられました。

福岡さんが生命の捉え方について論じている『動的平衡3』が入試問題に使われていたそうです。

動的平衡3 チャンスは準備された心にのみ降り立つ
福岡伸一
木楽舎
2017-12-06






こういった場合は著作者に確認も行われないし、著作権料も出ないんだそうです。この本ではエントロピー増大について(秩序あるものは乱雑なほうへ動くもの…その秩序をいかに保ち続けるかというような内容)書いている本なんだそうですが、試験の作者は密やかな意図をもって改変しているらしく引用を明示するのなら、正確に引用してほしい〜とおっしゃいました。これ、読者としても肝に銘じなきゃですね。

でも一方で、一度出版してしまったら、あとはどう解釈しようと読者にゆだねられてもいるとも。



かつて、入試問題頻出著者は小林秀雄だったけれど、今はがらりと変わっているのだそう。
3大頻出著者は、内田樹さん、茂木健一郎さん、そして福岡伸一さんなんだそうです。



そんなことから若い読者あらお手紙をもらうことがあるそうです。ある日7歳の男の子からいわゆる「読者の手紙」が届いたそうです。お手紙の中にヘラクレスオオカブトを折った折り紙が入っていたそうです。折り鶴の折り紙を応用したその作品のほかに『せいめいのれきし』(岩波書店)のp34に出てくるオルニソレステスの折り紙も入っていたそうです。

そして質問に「学校が好きではなくて行けていない。でも生物学者になりたい」と書いてあったそうです。


福岡さんは、大きな声ではっきりと「なれますとも!」好きなことを追いかければいいのです!って


『せいめいのれきし』は福岡伸一さんの原点なんだそうです。福岡伸一さんは私と同い年、昨年還暦を迎えています。1964年に出版された『せいめいのれきし』に小学校低学年の時に夢中になったということは、よく理解できます。

せいめいのれきし 改訂版
バージニア・リー・バートン
岩波書店
2015-07-23



46億年前の太陽系の誕生から始まる地球の歴史と微生物から始まって、この地球に生命が生み出されていく過程が劇場仕立てで描かれており、それぞれの場(シーン)の司会者が天文学者から地質学者、生物学者と移り変わっているところに惹かれて夢中になって、何度も読んだそうです。


この絵本で「進化」という言葉を知り、ダーウィンの進化論『種の起源』も読み始めたそうです。歴史を変えた10冊と言われるこの本は、難しくて福岡伸一さんでもなかなか読み通せなかったそうですが、その福岡さんが今回ダーウィンの進化論を子どもたちにわかりやすく説いた絵本を翻訳されました。

ダーウィンの「種の起源」: はじめての進化論
ラデヴァ,サビーナ
岩波書店
2019-04-24


それが上記の『ダーウィンの「種の起源」はじめての進化論』(サビーナ・ラデヴァ/作 福岡伸一/訳 岩波書店 2019)です。


どうしてこんなに地球には豊かな生命に彩られているのか。それを子どもたちと一緒に探ることができるといいですね♪この絵本、おすすめです!



そんなわけで、福岡伸一さんは小さい時から生物が大好き。とりわけ昆虫が大好きだったそうです。


まず夢中になったのが蝶。(このあたり、うちの亡夫と同じ!ちなみにこのブログの冒頭の蝶の標本は私の夫の遺品です)
IMG_0244

アゲハ蝶の羽化には目を瞠ったそうです。庭にみかんや山椒の木(アゲハ蝶の幼虫の食草)に卵を産んだアゲハ蝶が芋虫になり、蛹になって羽化するまでの、ものすごい変化を見て「生命とはなにか考えたい」と思ったのだそうです。


福岡さん曰く、友達付き合いがうまいほうではなく、買ってもらった顕微鏡が友達に。その顕微鏡でアゲハ蝶の鱗粉を見た時の驚き!感動!粉というけれど、それはモザイクタイルのように美しく配されていてものすごく綺麗で「小宇宙が広がっていた」というのです。


虫ヲタクだったわけですが、顕微鏡に魅せられると今度は顕微鏡の源流を辿りたくなって、いったい誰が顕微鏡を発明したのだろうと図書館に通って調べ始めたそうです。その当時は、インターネットはなかったわけで、書物で調べるしかないわけです。


簡単には見つからず、いろいろ道草しながら調べて学ぶ過程を経たことで、学びが豊かになったそうです。今はインターネットで一直線に知りたいことに辿り着いてしまうけれど、図書館で調べることをお勧めしたい!と図書館司書にとっては嬉しい一言!


図書館の本は単に並べてあるだけでなく、日本十進分類法に則って並べられていて生物は400、そして昆虫は480になっています。(これヨンヒャクとは読みません。ヨンゼロゼロ、ヨンハチゼロと読みます)情報を探して書庫の中にいると、まるで秘密の花園のように感じたそうです。


そして少年・福岡伸一さんは顕微鏡を使ってさまざまなものを発見したオランダ、デルフトのアントニー・ファン・レーウェンフック(1632〜1723)に辿り着きます。レーウェンフックは町の洋服屋さん(織物商)だったのですが、興味本位で自作の300倍という倍率で見える顕微鏡で人体の細胞を観察し、白血球や赤血球、いろんな動物の精子、微生物などを発見し、生物学の父と呼ばれるようになるのです。


そこでアッと思ったのです。福岡伸一さんとフェルメールが、レーウェンフックで繋がるのか!と。(会の終了後に、そのことを質問しました。やっぱり。デルフトからフェルメールへと興味が広がったそうです)

同じ時代のデルフト、レーウェンフックの家とは広場を隔てた反対側にフェルメール(1632〜1675)がいて、フェルメールはラピスラズリ(当時は金よりも高かった)を使ったェルメールブルーと呼ばれる青を使った絵を描いていたのです。

福岡伸一さんがフェルメールを好きになってきっかけはここか!うちの夫は蝶が好きで、福岡伸一さんの著作を読むうちに影響されてフェルメールの絵を追いかけるようになったという、なんという影響力(8年前に夫と行った福岡伸一さんプロデュースのフェルメール・センターへ行った時の記事⇒こちら









ルリボシカミキリの自然が創り出した美に魅せられながら、福岡さんは1980年前後分子生物学の世界に入っていき、ミクロの世界を研究するようになります。細胞の核の中に折りたたまれた30億文字の遺伝子DNAを、端から端まで読み解くゲノム研究に没頭していくのです。


生命はミクロな部品から出来ている精密機械、メカニズムで支えられているけれども、要素還元主義では生命を一面でしか捉えていないことになり、豊かな生命性を見失ってしまう。まさに生命とはいったい何だろうという問いが常に立ちはだかる。ダーウィン以前は、それは「神が創造した」と片付けられていたけれど、ダーウィンは神様を持ち出さなくても地球の生命の豊かさを説明できる「進化論」を導き出したのだと語る福岡さんは、すごく生き生きとされていました。



この地球上の生命は、諸説あるけれど植物、動物、昆虫、菌類など300万種〜1千万種とも。そのうちの半分が昆虫で、彼らは環境に適応するように体を変えて生息していることにガラパゴス諸島での調査で発見する、それが進化論へと昇華していったというのです。

神が創ったのではなく、適者生存の法則で生き残ってきた、それは強いものが生き残るというわけではなく、変わりえたものが生き残ってきた。利己的にではなく、利他的に行動したものたちが、環境のバランスの中で生き残ったというところがとても興味深かったです。



福岡さんは、生命はエントロピー増大の法則(無秩序のほうへ向かっていく)に対抗するために、次々に作り替えながら利他性をもって環境の中で互いに活かしあう性質を相補性(Mutually complement)と呼び、それはまるでジグソーパズルのピースのように相補性が保たれたまま、生物のピースだけが入れ替わっていく、それが動的平衡論なんだそうです。ダイナミックな生命の営み・・・(私たちの体はどんどん作り替えられ細胞が入れ替わっていくのに「私」は変わらないという意味)


そこから話題はまた蝶へ戻っていきます。子ども時代に夢中になった「原色図鑑 世界の蝶」(北隆館)に載っていた台湾・江東州の江東諸島へコウトウキシタアゲハを追いかけ(捕獲はできないので)生きている姿を許可申請をして絹でできた補虫網で捕らえ、観察して逃がした話などは、夫が生きていたら垂涎の話題、すごく喜んだだろうなあ・・・


われわれ人類は進化の完成形では決してない、まだ変化の真っただ中にある。新しい在り方を求めて変わっていっているのだと。

進化の過程からいうと、進化のプロセスでは女性がすべての基本形。メスはメスだけで存続して行ける存在であったのだが、なぜオスが生まれたかというと、メスという縦糸にオスが横糸として、より強い生命として存続するための「使い走り」でしかない、生命としてはメスが勝っていて、イブがアダムを作ったのだと、旧約聖書とは真逆のことを教えてくださいました。進化論はフェミニズムでもあると!


また書店は文化の交差点であること、インターネットで調べたことは今という時間軸の中での知識にならない、書物の中に流れている時間こそ、史、歴史を作り出していく。グーグルで検索してわかったつもりになっても、それでは本当の学び、教養にならない。科学(サイエンス)と技術(テクノロジー)はわけて考えるべきだろうと福岡さんはおっしゃる。

IMG_0245(Edited)
科学(サイエンス)はモノガタリであるとも。人間が世界をどう捉えたかという物語。人間という人類史、物語で見ていくと微生物やウイルスのことも理解できると、新型コロナウィルスに揺れている私たちに最後にそんな話をしてくださいました。


人は微生物がないと生きていけない、人間の消化管には3億もの腸内細菌がいて、ウイルスも絶えず出入りしている。ウイルスは太古からあるのではなく、私たち生物が進化していく過程で、私たちから家出していった高等生物なのだとも。ウイルスも我々も生命系の一部で、共存してきたもの。生物は自分自身を壊すコトでエネルギー代謝をしている。生命を考えるときに、原点に戻って理解していけば恐れすぎることもないと、仰ってくださったのが心強かったです。


ウイルスの話は、後日朝日新聞にこんな記事(→ウイルスは撲滅できない)を書いておられます。こちらもぜひ!

久々の代官山蔦谷書店へ

1月16日(木) 19:30〜 @代官山蔦谷書店
IMG_9851


仕事帰りに代官山蔦谷書店まで足を伸ばしました。(半年ぶり以上。実に昨年の6月22日以来です→こちら



ここで児童書コンシェルジュをしているY子さんに会うために、そしてある研究誌に2019年に出た絵本についてレビューを書くことになったので、見落としている絵本がないか、Y子さんに教えてもらうために・・・


どうしても私が手に取る絵本は福音館書店とか岩波書店に偏る傾向が・・・(いずれも素晴らしい作品が多いから当たり前なんですが)


やっぱり・・・見落としていた、でも面白い絵本を10冊以上リコメンドしてもらって、Y子さんが仕事終わるまで読んで選定し、購入しました。
IMG_9853(Edited)



そしてこちらも久しぶり。代官山蔦谷書店2階にあるAnjinでY子さんと軽く食事。




IMG_9854(Edited)




ホットワインと野菜中心のおつまみ・・・




IMG_9855(Edited)



そして別腹のわらび餅(ふたりでシェアしました)





子どもの本について、いっぱいおしゃべりが出来て幸せでした。

菱木晃子さんの講演会へ@教文館ナルニア国

1月13日(月) @教文館ウェンライトホール

publicdomainq-0012570odc
“リンドグレーンにまつわる最近の私の仕事―映画「リンドグレーン」の字幕監修と、新訳「名探偵カッレ」シリーズ―”と題した菱木晃子さんの講演会へ行ってきました。




この日は、成人の日。真っ青な冬の空が広がっていて、気持ちのよい一日。午前中は板橋区立美術館で駒形克己展を見て(→こちら)、成増経由で銀座へ。


菱木さんのお話の前半は、映画「リンドグレーン」の字幕監修したことについてでした。この映画は2018年にスウェーデン、デンマークで公開されました。監督はペアニレ・フィシャー・クリステンセンとう女性。そして脚本は、『おじいちゃんがおばけになったわけ』の作者でもあるキム・フォッブス・オーカソン。

おじいちゃんがおばけになったわけ
キム・フォップス オーカソン
あすなろ書房
2005-06-01


1958年に国際アンデルセン賞を受賞し、『長くつ下のピッピ』や『やかまし村の子どもたち』など世界中で愛読されている作品があるアストリッド・リンドグレーン(1907〜2002)の若き日を描いた映画です。


2002年にリンドグレーンが亡くなったあとで、リンドグレーンの伝記がデンマークで出版されました。その中心に書かれていたのは、リンドグレーンが未婚の母であったことや、子の父親との関係、実は二人は結婚を考えていたこと、彼なりに誠意を示していたこと。



「長くつ下のピッピの向こうにいた女性」として書かれたこの伝記のタイトルは「This day,One life」。直訳すれば「この日、人生そのもの」


この言葉は、17歳だったアストリッドが、のちの未婚の母になる相手と出会うヴィンメルビー新聞で働いていた1925年に女友達と徒歩旅行に挑戦、300劼鯤發い謄好肇薀鵐錨腓離┘譽鵝Ε吋ぁ陛時、「児童の世紀」という考え方を発表して世界的に注目されていた教育学者→こちら)の家を訪ねていき、エレン・ケイの玄関に掲げられていた言葉なんだそうです。

エレン・ケイのウィキペディアによると彼女は1926年1月に亡くなっているので、アストリッドはその前年に訪ねていったことになる・・・そこで会えたってことが、アストリッドの人生にも大きな影響を与えたのでしょう。


その辺りのことは小野寺百合子さんの『バルト海のほとりにて』にも書いてあるとのこと。未読なので読んでみたいと思います。




84630618_2756268137788772_6561904185049088000_o

菱木さんがこの映画を監修したのは、もともとスウェーデン語とデンマーク語で撮られた映画を直接ではなく、一旦英語字幕にしたものから日本語字幕に訳されているため、日本語にした時にスウェーデン語とのズレがないか、特に習慣、風習の部分をチェックしたとのこと。






スウェーデン語とデンマーク語の違いは、ちょうど鹿児島弁と青森弁くらいの違いと想像してみると良いと仰ったのが印象的。通じなくはないけれど、微妙にアクセントが違ったり、使い方が違う。


未婚の母として長男ラッセを産んだ後、彼女はデンマークの里親に預けるのですが、我が子を引き取った時に、「お腹がすいた」という言葉がそれぞれで違っていて、そういう微妙な違いに親子の断絶が表現されているのですが、英語字幕だけだとその微妙な差がわかりにくいため、そういうところを監修されたそうです。


それから映画の中で、家族で日曜日の礼拝へ出かけ、牧師が旧約聖書創世記の中の「ソドムとゴモラ」の話をするのを、アストリッドがソドムをソッケル(ソーダ水)とゴモラをゴモラン(おはよう)とわざと言い換えてふざけるシーンなども、菱木さんが解説してくださいました。(ここ、後日映画を見に行った時に、「このことだ〜」と嬉しくなりました)



アストリッドが13歳の時に書いた「わたしたちの農場で」という作文では、実にのびのびと子どもたちが育っていったことがわかります。その作文がヴィンメルビー新聞に掲載されたことで、その新聞社でアルバイトをすることになったアストリッド。そしてその新聞社のボスが彼女の恋の相手になるのです。


進歩的な北欧と言うイメージがありますが、1937年までは姦通罪があり、またアストリッドの父は教会の農場の作男。厳格なクリスチャンの家庭では未婚の母と言う事実はできる限り周囲にバレないようにしなければならなかったわけで、ひとりでストックホルムに出ていくことになる背景なども、その時代背景を考えればわかります。


アストリッドが生まれた1907年とは日本では明治40年。まだまだ男尊女卑の考え方が染みついていた時代でした。


アストリッドが未婚の母となり、我が子と離れて暮らし、その後息子を引き取って一緒に生活を始めるところあたりで映画は終わります。そんな背景を菱木さんがわかりやすく解説して下さり、ますます映画を観たい!と思いました。(1月26日に観に行ってきました。また別記事で)



後半は、“北欧ミステリーの原点と呼んでも過言ではない三部作「名探偵カッレ」シリーズの新訳”(教文館ナルニア国の案内文から)について。

名探偵カッレ 城跡の謎 (リンドグレーン・コレクション)
アストリッド・リンドグレーン
岩波書店
2019-09-26




菱木さんはこの作品の前に『長くつ下のピッピ』も新訳で出していらっしゃいます。
長くつ下のピッピ (リンドグレーン・コレクション)
アストリッド・リンドグレーン
岩波書店
2018-08-04



なぜ新訳なのか?

永遠の名作ではあっても、これまで読み継がれてきた文章では、言葉遣いなどが古めかしく、古風な感じがして、今の子どもたちが手に取ってくれなくなっているという事実を前に

変わらない方がいいものがあるけれど、変えることによって子どもたちにまた手に取ってもらいたいと願っているとのこと。

「名探偵カッレ」シリーズの挿絵は、平澤朋子さん。私の大好きな挿絵画家です。


講演会終了後に、サイン会にも参加して、お二人にサインをしていただきました。


その後は、絵本研究会仲間とcafeきょうぶんかんで、お茶しました。横浜で続いている「子どもの本の研究会」のお世話役の友人たちと、これからどんなことを学びたいかっていう話が出来ました。


なかなか参加できないけれど、出来る限り学びを続けたいなって思いました。IMG_9825(Edited)


お茶の写メは撮らなかったけれど、教文館ナルニア国のYさんがおすすめしてくださった木村屋のいちご餡パンを買って帰ってきたので、それはしっかり写メ撮りました。


ほんのり酸っぱいいちごの餡でした。季節限定なんですって。いつまで買えるかな。美味しかったです


朗誦伴奏・シグナルとシグナレス

12月20日(金)19:00〜 @神保町ブックハウスカフェ


この日は出張先の名古屋に16時半過ぎまで滞在していて、なんとかぎりぎり19時開演の澤口たまみさん、石澤由男さんによる宮沢賢治・朗誦伴奏に間に合って帰ってきました。



2019年4月7日に横浜・ともだち書店主催の朗誦伴奏「宮澤賢治 愛のうた 百年の謎解き」(→こちら)に参加して以来、5月31日ブックハウスカフェ(→こちら)、8月23日盛岡・すぺいん倶楽部(→こちら)、8月24日西和賀・縄文の谷キッチン開(→こちら)、8月31日白州・薮内正幸美術館(→こちら)、10月15日ブックハウスカフェ(→こちら)と、おふたりの朗誦伴奏に魅せられています。



今回は、「シグナルとシグナレス」。本線(東北本線)の信号機シグナルと、軽便鉄道(岩手軽便鉄道)の腕木式信号シグナレスの恋物語です。

まさに花巻駅は本線のほかに岩手軽便鉄道(今の釜石線)が乗り入れていて、そこから着想したと言われています。


この物語は1923年(大正12年)5月11日〜23日に「岩手毎日新聞」に連載されました。


澤口たまみさんの『新版 宮澤賢治 愛のうた』によると、ふたりの恋とその行方がわかるといいます。

新版 宮澤賢治 愛のうた
澤口たまみ
夕書房
2018-04-24



恋を妨げる人々へ、渾身の反撃
ヤスとの相思相愛を念頭に入れてこの童話を読むと、恋するふたりの会話、反対する人物の怒りよう、そして告げ口する人や、助け舟を出す人の存在など、じつにリアルなストーリーに感じられます。」(『新版 宮澤賢治 愛のうた』p162)

IMG_9614(Edited)

それを頭に入れて、朗唱伴奏を聞くと、ふたりの切なさがぐっと胸に迫ってきました。



IMG_9611(Edited)たまみさんの前に、ブックハウスカフェのスタッフYさんが「氷河鼠の毛皮」を朗読されました。
こちらの物語も、『新版 宮澤賢治 愛のうた』を読むと、恋人だったヤスさんに関係があるようです。


80015180_795437450928464_5843823285661335552_n


次の朗誦伴奏は、2月20日とのこと。また聞きに行きたいと思っています。

「JBBY希望プロジェクト」学びの会・第3回

12月14日(土)@神保町・出版クラブビル


午前中は文庫を開催。久しぶりに来てくださった方や、小学校帰りに寄ってくれる親子あり(この日は土曜授業参観だったそう)で、嬉しかったです。

片付けをしたり、昼食を摂っていたら、家を出るのがぎりぎりになってしまいました。ところが・・・市ヶ谷で都営新宿線に乗り換えた時点では、なんとか開始の14時に間に合って神保町に到着するはずが、何を勘違いしたのか、一つ手前の九段下で降りてしまったのでした。

IMG_9534



時間がないと焦りすぎて、改札に行くまで一つ手前で降りていることにも気がつかなかったという失態。
結局10分以上の遅刻になってしまいました。






IMG_9535


この日のテーマは「今、必要とされるまちの子どもソーシャルワーク−貧困・虐待・いじめ、居場所を求める子どもたち−」、講師はNPO法人山科醍醐こどものひろば前理事長で、現在は大津市にあるNPO法人こどもソーシャルワークセンター理事長の幸重忠孝さん。





山科での活動は『子どもたちとつくる 貧困とひとりぼっちのないまち』(かもがわ出版 2013)にも、まとめられています。



幸重さんは、まず「なぜ、町の中で子どもの居場所づくりに関わっているのか」ということを話してくださいました。


お母さまが子ども劇場・親子劇場に関わっていらしたため、子ども時代に学校とは違う異年齢の子どもたちとの交流の場があったこと。そこには自分の親とは違う、さまざまな価値観を持っているおとなとの関わり合いがあった。

中3でいじめに遭い、学校生活が苦しかった時に、子ども劇場の活動に関わることで居場所があった。家庭でもなく、学校でもない場があって、そこでは自分が必要とされていた・・・という経験をなさっていたそうです。
62108470b8b8c09c4ad6757991298637



大学生になって、バイトに追われ、しんどかった時に、こんどはリーダー役として子ども劇場に関わると、やはりそこが居場所になり、救われたと感じる経験をしたそうです。





家庭の問題や、学校でのいじめなど、生き辛さを抱えている子は、親にも先生にも知られたくないという気持ちが働くことを、ご自身の経験から感じていて、学校でもなく家庭でもないけれど、安心して若い人たちが、素のままで居てもいい場所を作りたいと考えたそうです。



とくに学校が終わって、家に帰るまでの間の「トワイライトステイ」。とくに家族が遅くまで仕事をしていたり、単親家庭で食事もまともに作ってもらえない子ども達が安心して、自分をリセットする場所を提供されているのです。もちろん、貧困や虐待などのネグレクト状態の子どもたちを受け入れているので、学校のスクールソーシャルワーカーや福祉機関と連携を取りながら・・・


子どもに関わるおとなは地域のボランティアさん。



地域のリタイアしたおとなたち、老人たちにとっても、そういう場で地域の子どもと関わるって、自分が必要とされて嬉しいし、やりがいにも繋がっていく。そういうプラスのスパイラルになっていけるんじゃないか。実際にそれを実践されている幸重さんのお話は、具体的で説得力に溢れていました。

むこう岸
安田 夏菜
講談社
2018-12-06



『むこう岸』に出てくる「居場所」という喫茶店(スナックかな)のマスターのようなそんな場所が理想とおっしゃっていた。


実は、私も『むこう岸』に出合って、文庫活動をもう少し広げて放課後預かり、つまり幸重さんのおっしゃる「トワイライトステイ」に出来ないかと考えていたところだったので、タイムリーな話題でした。


講演会終了後の懇親会にも、第2回の話題提供者だったりんさん(→こちら)に誘ってもらって参加させていただき、幸重さんご自身から、そういう活動を立ち上げるために、どんなことが必要か、具体的に伺うこともできました。


家庭文庫を30年してきた中で、かつてはいろんな家庭の子どもたちが、文庫に足を運んでくれいたのだけど、事情が変化していると感じています。

今は、「本を読む」ことの大切さがわかっているご家庭の方々がきてくださっていますが、この地域にはもっと「本を読む」年代の子どもたちがいるはずなのに、広がっていかない。


「本を読む」ということを前面に出すと敷居が高く感じるのか、家の前に文庫開催中の看板を上げて自由に持ち帰れるフライヤーも用意しているのに・・・そしてフライヤーは減っていっているのに・・・もちろん、不定期開催で平日はやってないから、興味はあっても来れないのかもしれないし、一方で初めての家に問い合わせて行くとか、子どもだけを行かせるっていうのは、ちょっと疑わしく思っているのかな・・・

となると、文庫の看板だけでは、地域の子どもたちに本は手渡せないのではないか。いや、私がやりたいことは何だろう?と突き詰めていくと


文庫活動をしているのは、絵本や児童書を手渡したいだけではなく、もともとの願いはそのことを通して、どの子にも「あなたは大切な存在」だって伝えたいってこと、この世の中には理不尽なことのほうが多いけれど「本の世界」を知ることで、それを乗り越えていく方法を知ることも出来るよと伝えたいだってこと。


30年前に始めた時は。子どもたちに、あるいは子育て中のママたちに、安心していられる居場所を提供したかったわけで、私の場合はたまたま「子どもの本」もあったから文庫になったんですよね。だからシンプルに「居場所」提供を前面に出してもいいのかもしれないと考えるわけです。


今はまだフルタイムで仕事をしているけれど、65歳で完全に定年退職をした後には、この家を活用して、そんな居場所作りが出来たらいいな。子ども食堂もできるといい。家族が多かった時は、一度に8人分くらいの食事を作っていたわけで・・・それだけ作れるスペックがあるキッチンでも、今はひとりでお惣菜を買ってきて温めるだけという寂しさ。(食器も処分せずにいっぱいある)


夫が残してくれたこの家を、そんな風に活用出来たら・・・AirBとして、海外からの旅行客を受け入れるのもいいかもっていう子どもたちの提案もあるけれど・・・実際に昨年も4回ほど海外からの長期旅行者(1週間〜1か月)をボランティアで預かったりした(子達の友人ね)けれど、それと「トワイライトステイ」は両立も出来ると思う。


親の帰りが遅いし、預かってくれる居場所として行ってみたら、なんかそこには本がいっぱいあって(コミックスもいっぱい)、知らないうちになんとなく絵本を見てたら懐かしくなったとか・・・居場所で夕飯を出してもらったら同じ食卓に海外から来ている若いお兄さん、お姉さんがいて、コミュニケーションとってみたら面白かった!とか


そんな偶然があっていいのかも。


幸重さんの実践を聞いていて、私の夢はどんどん膨らむのですが、実際には一人ではできない、きちんと福祉や臨床心理についてのプロも必要で、そういうネットワークを構築する必要があるなあと思いました。定年までの5年弱で、そういう準備ができるといいな。そう思っています。


この学びの会で、具体的なビジョンが見えてきて、参加してほんとうによかったです。

記事検索
月別アーカイブ
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

緑陰本棚
   
greenkakoをフォローしましょう
プロフィール

みどり

QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ