pina121
この記事は妻に嘘をつく祖父の続きです。

ピナちゃんの知らぬ所でモンブランを巡る攻防はあったものの祖父母との食事を楽しみ、食後に今回訪れた最大の目的である、"ジオの片手鍋"をお披露目する事になった。

調理器具に興味のない祖父は「昼寝をしてくる」と言って、早々に自室に戻ってしまったが、祖母はニコニコしながら私が片手鍋を箱から取り出すのを見ていた。

その隣では祖母以上に興味深そうな顔をして、箱を覗き込もうとしてくるフィリピーナもいた(笑)


ジオの片手鍋は少し重さを感じるもののシンプルな洗練されたデザインをしていて、使い勝手は分からないが良さそうに見える。

ピナちゃんだけなら中々取り出さない焦らしプレイを楽しむ所だが、祖母に怒られる気がして今回は素直に箱から取り出しテーブルの上に置いて、「この鍋は100年持つからゴシゴシ洗っても大丈夫だからね!婆ちゃん持ってみなよ。」と、姉から聞いた情報を知ったかぶりをして伝えて手渡すと、鍋を傾けて形を確かめ数回鍋を振り「太郎ありがとうね」と祖母はお礼を言った。


ピナちゃんが鍋を見ながら「カクイイ!!カクイイ(゚д゚;)」と興奮気味だったからか、祖母はピナちゃんに「持ってみる?」と鍋を差し出すと、恐る恐る鍋を受け取っていた。

新しい祖母の鍋だからかピナちゃんは指紋を付けないように持ったまま固まっていたが、嬉しかったのだろう「フフフフ('ω` )」と笑いがこぼれ、満足したピナちゃんが祖母に鍋を返そうとすると、祖母は鍋を受け取らず思わぬ発言をしてきた。

ば「ピナちゃん、よかったらその鍋をもらってくれる?」

ピ「!? ダメデス、お婆ちゃん使ってクダサイ(´・ω・`)」

ば「婆ちゃんはもう鍋は必要ないからね。」

私「どうしたの?新しい鍋がいるって言ってたでしょ?」

ば「婆ちゃんはもうすぐ死んじゃうから、ピナちゃんに使ってほしいの(´・ω・`)」

最近食も細くなり痩せこけてしまった祖母は気が弱くなっていたのかもしれないが、「縁起でもないことを言うな」と祖母の発言を遮ろうとしたが、祖母は続けて「ピナちゃん貰ってくれる(´;ω;`)?」とポロリと涙を流して話しかけた。

祖母の発言を理解したピナちゃんまで「鍋はエラナイデス、お婆ちゃんシナナイデ(´;ω;`)ウオーン」と泣き始めてしまい、食卓は先ほどまでの楽しい雰囲気から一転して重苦しい空気に包まれたのである。

祖父母がいつも行う"どちらが先に死ぬ"という年寄りジョークとは異なり真剣な感じだったので、これは何とかしなければと「婆ちゃん何でそんな事を言うんだよ、肉食ってりゃ100まで生きられるよ。」と軽口を叩いてみたが好転する事は無く、祖母は腕にしがみついて泣いているピナちゃんの頭を撫でながら、声を震わせて日頃の思いを話し始めた。


ば「二人は庭に草が生えれば嫌な顔一つせず草むしりをしてくれるし、調子が悪くなると飛んできてくれる。疲れて横になるとピナちゃんは一緒に寝てくれる。年寄りの相手をするのは面倒だろうに優しい子だから・・・

毎朝仏様に手を合わせて無事を祈ってるけど、ピナちゃんは太郎がいるからってだけで外国から何も知らない日本に来てくれて、分からなくて困ることもあるだろうから心配で本当は色々教えてあげたいの。

でも婆ちゃんはすぐに疲れるし体も思うように動かないから教えてあげることもできなくて、だけど婆ちゃんは二人が家に来てくれるのが嬉しいから、どこかで二人で遊んでおいでって言えないの。二人に会いたいから。

だから新しい鍋くらいはピナちゃんに使ってもらいたいの(涙)」


祖母は私達に対する日頃の思いや、心配しているけれど体が付いていかなくて何もしてやれない事を涙ながらに話していたが、私が小さい頃にかけた迷惑の数々を思えば利息分にもなっていないし、ピナちゃんに至っては、誰も受け入れてくれなかった結婚当初に優しく受け入れてくれた祖母に感謝の気持ちもあり、何より同居したいと言ってくるほど祖母の事が好きである。

祖母の涙を見ると貰い泣きしてしまいそうになるので、年寄りが遠慮するなよ(笑)と祖母の話を笑い飛ばし、私達は祖母の事が好きで一緒にいるのが楽しいから来ているだけだと伝えた。

隣ではピナちゃんも一生懸命に祖母に話しかけていたが、涙でえずき言葉になっていなくて、何を言っているのか分からなかったけれど似たような内容だろう。

祖母から「お前たちは本当に優しいねぇ(涙)」と言われて照れ臭くなったが、「ピナちゃんは頭が良いから日本でも大丈夫だよ。何かあっても俺が全部何とかするから婆ちゃんは心配するなよ。」と男前な発言をして綺麗に場を収めようとしたが「太郎は優しいけれど頭が悪いからねぇ・・・ピナちゃん、婆ちゃんは長生きするからね(´・ω・`)」と、何故かディスられる形で話が終わってしまったのである(心外)


そんなタイミングで祖父が異変に気が付いたのか部屋から出てきて、涙ぐんでいる祖母と号泣しているピナちゃんを見て何を思ったのか、「太郎!なにしやがったんだ(怒)」と怒鳴りつけてきた(涙)

ば「鍋をピナちゃんにあげたいんだけど・・・(´・ω・`)」

じ「太郎!鍋くらい買ってやれ!」

ピ「フライパンもクワレテマス(´・ω・`)」※初耳

((えっピナちゃん空気読んで(汗)))

「この糞馬鹿垂れ!ピナちゃんを困らせんじゃねぇ(怒)」

えぇ・・・


こうして祖母に片手鍋をプレゼントしただけなのに、私がフライパンと鍋を買わないのが涙の原因のようになってしまったが、先ほどの涙は夢だったのかと思うほど、楽しそうに過ごしている祖父母とピナちゃんを見ると、言い訳がましく話をぶり返すのはやめようと、アマゾンで鍋とフライパンを追加注文する事にしたのである。


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