ポロリのハローグッドバイ

関西を中心とした出会い体験記です。 風俗や出会い系、クラブなどの色んな女の子たちとの美しい出会いと別れについて深く追求していきます。 殆どは多くの人が体験するあるあるネタだと思います。

2016年12月

2016年度 MVPの発表

こんにちは、ポロリです。



いよいよ2016年度のMVPの発表です。


去年のMVP発表以降にハローグッドバイをした21件の女たちが対象。
その中で最もアツかったトップ3を発表した上で、今年のMVPを決めようと思う。   




その前に、過去3年間のMVPはコチラ。


2013年度 MVP


2014年度 MVP


2015年度 MVP


どの年も、トップ3にランクインした女たちは全員、自分の人生において何らかの影響を与えているように思う。
多分、一生忘れないと思う。






では、発表。






3位。


友達作りTalkの女⑥ 酔うとタラちゃんになる女との燃える青姦


出会いアプリで出会った女子大生。
ブログ史上初の青姦がなされた。
焼酎で温もった肉体同士のアツい絡み合いは本当にエロかった。
ちなみに現在、このJDとの連絡は途絶えました。




















2位。


信太山新地の女② 国宝の女


裏風俗スポット「信太山新地」で7500円払うと出てきた女。
ブログ史上、最大のデカさだった。
圧倒的な質量のおっぱいにひっくり返りそうになった。
それを超えるおっぱいに、おれは一生出会う事はないのかもしれない。
























そして。




1位。






今年のMVP。


大阪デリヘル「D」の女 DIRTY ANIMAL


自分の中で、現時点での自己ベストみたいなシリーズがこれだと思う。
女そのものの良さも申し分なかった。
そして、記事の展開の仕方も良かったと思う。
これを書いて以降、新しい記事を書くときは常に「ダーティーアニマルを超えられるかどうか」というのを意識しながら書いている。
そのくらい、このシリーズに対しては、一つの到達点みたいなものを感じた。
コメントもめっちゃ頂いて嬉しかった。










という事で、今年も本当に最高だったね。
でも、来年は、今年以上に最高になると思います。  
構想もだいぶ固まっています。



とりあえず、これからもよろしくお願いします。   







是非コメント下さい。
喜びます。 


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婚活パーティーからの飛田新地の女⑥ 完璧な体と香りの女

2016年度「ポロリのハローグッドバイ」MVP候補の女の記事。


こんにちは、趣味は卒論を書くこと、のポロリです。
それでは聴いてください、「両成敗でいいじゃない」。




2015年9月。


また、婚活パーティーに行くことになった。
例によって「がのたさん」と一緒に。
今回のパーティー開催地は、大阪の堺筋本町という街だった。


この夜をもって、おれはしばらく婚活パーティーに足を運ばなくなる。
そんな夜の一部始終がこの記事。


真夏の暑さが少し和らぎ、季節の変わり目みたいな涼しくて気持ちのいい風が吹き始めていた。
待ち合わせ時間は夜7時。
大阪メトロの堺筋本町駅に、おれとがのたさん、二人のエロメンが現れた。


まずは恒例の、ミーティングになっていないミーティングをすることに。
近くにあった居酒屋に入る。
全く無意味な今夜の展望を語り合う。
これまでに二人で潜入したパーティーを振り返りながら、今夜の目標をうちたてるのだ。


ここでこの夏に潜入したパーティーの記事を紹介しておこう。

婚活パーティーの女① SWEET DAYS

婚活パーティーの女② ハーレム状態が逆に女たちの意気込みを無くさせた夜

婚活パーティーの女③ 卑屈に喋り続ける女

婚活パーティーの女④ セパレートの末に観覧車でイチャイチャした夜

船上パーティの女① 「爆踊り」の女 からの松島新地の女⑨ 洗車みたいな女


どれもこれも楽しい思い出ばかりだ。


その中でもやはり「婚活パーティーの女④」で、エロ仲間の「瞬希さん」と3人で出撃して、すったもんだの果てに、女の子2人組をセパレートして観覧車に乗った夜が一番楽しかった。
がのたさんも同じ意見だった。


なので、今日のパーティーでの目標は「女の子を連れ出して観覧車に乗ること」となった。
すっげー適当に決まった。
ほら、全く無意味でしょ?


ほどほどに酒を飲み、居酒屋を後にする。
外は完全に日が沈んでいた。 


「ガム、食べます?」とおれは持参していたキシリトールガムをがのたさんに差し出す。
「頂きます」がのたさんはそれを受け取り、包み紙から取り出して口の中に放り込む。
「これ、この前松島新地に行った時に女からもらったやつなんですよ」
「まじっすか、うーお、松島の味がする!!!」


適当か!


パーティー会場へと向かう。
土地勘が今イチないので若干迷う。
てゆうか駅近辺なのに全然人がいない。
こんなんでほんまに婚活パーティーに人が集まるんかい。


噂に聞くところによると、パーティーによっては会場の立地や日取りの関係で、洒落にならんぐらいの少人数で行われる場合もあるらしい。
そんな状況が想像されるほど寂しい街並みだった。
時間帯のせいか?わからん。


それでも何とかパーティー会場にたどり着く。


果たして、今夜はどんな展開が待ち受けているのだろうか。
キシリトールガムでも噛みながら読み進めて頂ければと思う。


ゲスの極み乙女。「喜劇的に見える真面目な話」


やって来たのは、地下にあるバーを貸し切ったパーティー会場。
受付の綺麗系の長身の女がテーブルの上の受付用紙かなんかに書くために屈むたびに、思いっきり谷間が丸見えになっていた。
何を狙っているのか分からなくて、笑った。


参加費は男性5500円、女性3500円。


落ち着いた照明の、高校の教室3個分ぐらいの広さの会場だった。
ちょっと内装に関する記憶が曖昧になってきている。
恒例の「臨場感を出すための現場の地図」は今回は書くことができない。
誰も期待などしていないが。


外の人通りの少なさとは裏腹に、そこそこ参加者はいた。
60~70人ぐらいか。


バーカウンターで適当に酒を頼む。
パーティー開始の乾杯の合図と、共にがのたさんと2人で女に声をかけることに。
とりあえず近くにいたOL風の結構カワイイ女二人に声をかけ、4人で喋る。
がのたさんがギャグを交えながら、ガンガン話を展開してくれた。


話がひと段落したところで、連絡先を交換する。
一旦お別れすることに。
その場から離れる。
がのたさんと小声で話す。


「てゆうか今の2人組が今日イチじゃない?」


推定その日一番カワイイ女に、しょっぱなから絡んでしまったのだ。
一番最初にメインディッシュが出てきたコース料理みたいな感じだった。
ただ、前回潜入した婚活パーティーでの経験から、
「一番カワイイ女はその分一番固い」
という法則を自分たちの中で学んだつもりだった。
なので、後日運が良ければまた会えるんとちゃうかぐらいの気持ちで、他の女に照準を合わせることにした。


改めて、パーティー会場全体を見渡す。


うーん。
全然グッとくる女の子がいない。
その他大勢みたいなのばかりだ。
男も目を見張るようなイケメンは殆どいないねんけどな。
もちろん、自分たちの事は完全に棚に上げて言いたい放題言わせてもらった場合の率直な感想を書いているだけなので、実際こういったパーティーに参加する男女がどんな顔ぶれなのかは、直接足を運んで確認して頂くしかない。
そんなもんや。


とりあえず手持ち無沙汰そうにしていた、食事エリアにいた若そうな2人組に声をかける。


声をかける前から気づいていたが、例によって二人とも全っ然可愛くなかった。
そして、そんな女に限ってやたらと反応が良かったりする。
この法則も、前回までのパーティー潜入で分かっていたことだった。
女2人をあっさりセパレートして、それぞれ離れた椅子に座り、会話をする。


おれと会話をした方の女は、24歳で普段は惣菜屋で惣菜を作る仕事をしているらしい。
適当なトークからのスキンシップを図りながら、いい感じに持っていこうとする。


しかし、女がちっとも可愛くない。
なので、それ以上踏み込もうとする気にならず、中途半端な感じだった。
ほんま何様やねんおれ、みたいな感じやけど。


数分たつと女とやることがなくなったので、ツーショット写メをとって瞬希さんに送ったりした。
意味わからん。
やがて、女と短時間で築き上げてきた全ての世界が下らなくなってくる。
すると、女がトイレに行くと言い出した。
それを機に女と別れることに。
少し離れたところで、まだがのたさんは女といい感じに喋っていた。


それからは、なんとなく新しい女を探す気分になれなかった。


可もなく不可もなくの、自分の身の丈に合った女に声をかけて、適当な会話をして、せいぜい連絡先の交換をするぐらいの結果になることが目に見えていた。
そして、連絡を取り合って、後日待ち合わせをして、食事に行って、あわよくばエロ行為を、みたいな流れを目論む。
そんなのはもう、全然面白くもなんともなかった。
全国で何万人もの素人の男女が嬉しそうに行っている行為に過ぎない。


両成敗かよ!
いや使い方間違ってる。


会場内で孤立した状態で椅子に座る。
所在ない素振りで、アイフォンをポケットから取り出し、操作する。
インターネットに接続し、とあるブログを開く。
ツイッターでフォローして頂いた「ナカイエさん」という東京の方のブログだ。
内容は何気ない日常を綴っているだけなのに、すげーシュールなテンションが心地よくて、リズミカルな文章もセンスがあって読んでいて楽しい。
その頃、おれは彼のブログの過去の記事を遡って読むことにハマっていた。
その続きを一人で座りながらおれは読みだした。
婚活パーティーの最中であるにも関わらず。


………………。


めっちゃおもろいやないか!(パーティーの最中)
読みだしたら止まらんやないか。
婚活パーティーで、何のために生きているのか分からない系の女の機嫌をとりながら連絡先を交換していく半分作業みたいな行為よりも、この凄まじく面白いブログに熱中することの方がよっぽど有意義な気がした。


逆に言えば、そのくらい、婚活パーティーという場所におれは飽きが来ていたのだと思う。
この夏、行きまくったしな。
毎回がのたさんに連れていって頂いての参加やけど。


ここに長居は無用だと思った。
こういう時のおれの判断はめちゃくちゃ早い。


パーティー会場を後にする。
地下鉄堺筋本町駅まで一人で戻る。
がのたさんには申し訳ないけど帰る旨をラインで伝えた。
身勝手な奴だ。
すいません。


…さあ、どうしようか。


思いついた。
ここから飛田新地って、結構近くない?
電車の乗換検索をしみる。
地下鉄堺筋線に乗れば、ものの数分で飛田新地のある動物園前駅へとたどり着くじゃないか。


行こう。


地下鉄に乗って数分。
動物園前駅へとあっさりと到着する。
堺筋本町より、よっぽどこっちの方がホームタウン感があるぜ。


アーケードを真っ直ぐに進んでいく。
適当なところで左に曲がる。
すると、そこはいつもの桃源郷だった。


今日も大勢の男たちでごった返していた。
ただ、その時点で23時前だった。
かなり遅い時間だ。
早くセックスする女を決定しなければならない。


とりあえず新地全体を一周する。
メイン通り、青春通り、いくらでもカワイイ女はいた。
さっきまで参加していた婚活パーティーで一番カワイかった女よりも遥かにカワイイ女が50人ぐらい座っていた。
その事実が、その日をもっておれが婚活パーティーから足を遠ざける要因の一つだとも言えた。


3周目の青春通り。
通りの真ん中らへんの料亭に座っていた、どっからどう見ても芸能人級に激カワで愛想の良さそうな色白の巫女コスの女を選ぶ。


おれ、結構巫女コス好きなんですよね。
ファッションを感じるよね。
見ていてそれほど貧乏くさくない、上品な素材感と、おしなべて麗しい形状が格調高い雰囲気を演出するコスチューム、それが巫女コス。
エロとは一見対極に位置する衣装をエロで使うことによって姦通感が効果的に出てくると思う。


そんな巫女コスの激カワの女と一緒に2階のプレイルームに上がる。
最短で15分11000円コースというのがあった。
それにした。
青春通りでこの値段で遊べるというのが、価値のある出来事だと思った。
この通りの料亭では大体16000円は払っていた気がしたから。


間近で見ても、女の顔は驚くほど整っていて、肌はきめ細やかだった。
性格がスレているなんて事も全然なかった。
女はものすごく愛想よく、ふわふわと可愛らしい声で喋った。


「お兄さん、今日は一人で来られたんですか?」と定番のセリフを女は言う。
「一人っす。友達とね、婚活パーティーに行ってたんですけど、つまらなくて一人でこっちに来ちゃった」とおれは言う。
適当な雑談を交わしながら、スムーズに服を互いに脱いでいく。


先ほども述べたように、女は巫女コスを着用していた。
言うまでもなく、そのコスチュームは胸を隠せる。
だからこそ、当然女の胸は小さい、もしくはやや小さいといった程度のものを予想していた。
おれとしては別に胸の大きさ関して特別なこだわりは無かったので、それで全然構わなかった。


そんな女に対する先入観を持ちながらの脱衣をする。
女の下着姿が露わになる。


えっ。


目玉が80メートルぐらい吹っ飛びそうになった。


………めっちゃくちゃ巨乳やないか!


身に着けていた巫女コスの衣装からでは到底想像もつかないような、存在感のある巨大な乳を女は持っていた。
それは黒いブラジャーを外して完全に丸見えになった状態でもそうだった。


全く、やられたぜ。
花壇に花を植えようと穴を掘っていたら石油が出てきたみたいな気分や。
わけわからん。


互いに全裸になり、布団の上で50センチぐらいの間隔を開けて座位で向かい合う。
「おっぱい、触っていいよ…」
と、まるでおっぱいが言ったかのように女は言いながら、接近してきた。
女の美巨乳がスッ…と真っ直ぐに近づいてくる。


おれの顔面まで女のおっぱいが到達するまで、時間にして2秒ぐらいだっただろう。
しかし、おれの体感時間的には、昔の金曜ロードショーのオープニングムービーの映写機をクルクルと回しているお爺さんがアップになっていくアニメーションの一部始終ぐらいの時間をかけてのおっぱいの近づき方に感じた。


こういう感じ。



そのくらい濃密でエロティックなおっぱいの接近の仕方だった。
すべすべでいながら弾力のある女の大きなおっぱいを両手で包み込むように撫でながら、頬でその温度を味わう。
そして女と軽めのキスをする。


女にうながされて、布団に仰向けで寝転ぶ。
首筋からの乳首舐め、そしてゴムを装着してからのフェラチオを手際よく、それでいながら心を込めて女はしてくれた。
この間約5分。
残り時間は10分。
余裕や。


女が上の体勢のまま、挿入。
女は丁寧に腰を振った。
そのたびに大きな乳がぷるんぷるんと跳ねるように揺れた。
頃合いを見計らって、女の方から素早く体位変換の動きを見せる。
まるで体位変換の時間が来たことを告げるアラームが鳴って、それに敏感に反応したかのような、素早い体位の切り替え方だった。


正常位へ。
布団に寝そべる女の美しい肉体を眺めながら、挿入する。
角度を変えながら丁寧に突いていく。
最後は女に覆いかぶさりながらの密着状態で射精する。


すっげー出た。
そのままの状態で余韻に浸る。
女の首筋に鼻先を当てていると、女からめちゃくちゃいい匂いがした。


草原のような爽やかな香りでもなく、花のようなフローラルな香りでもなく、お菓子みたいなスイートな香りでもない、他に形容できない「いい女のいい匂い」だった。
匂いの元が香水なのか、ヘアスプレーなのか、ボディミルクなのか、ちょっとわからなかった。
とにかく、女から立ち上る甘美な芳香がおれの脳の奥まで沁みこみながら痛烈に刺激した。


結果的に、最後に匂った女のいい匂いが、その日一番の素敵な思い出となった。
婚活パーティーでは絶対にひっかからない、というよりそもそも巡り合う事のない、超絶ハイクオリティの美女とお金を払ってセックスをした夜。
十分、満足だった。
おれにはこれが最大限の楽しみ方だと思った。


もう、両成敗だった。
その言葉使ってみたいだけやろお前、みたいな。


でも、また婚活パーティーとか街コンにも行きたい。
損得とかじゃなくて、色んな楽しみ方があるから。
欲張りなやっちゃ。



最後まで読んで頂きありがとうございます。
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大阪デリヘル「D」の女 DIRTY ANIMAL 完全バージョン

ポロリのハローグッドバイ 第1部
「下らない人生だと誰かが言う お前の事 でもそれは、でもそれは」
最終章。


2016年度「ポロリのハローグッドバイ」MVPの女の記事でもある。


5話からなるこのシリーズ。
それぞれの記事を1つにまとめた完全バージョンです。


BlogPaint

2015年8月。 


婚活パーティーへの出撃に勤しむ傍ら、きっちりと風俗の利用を怠らずにいる自分がいた。 
今夜はデリヘルを呼ぼう。 


デリヘル。 
デリバリーヘルス。
電話をかけ、女が運ばれ、金を払い、それと引き換えにエロ行為を行う。
一部の男たちはそれに夢中になる。
おれもその一人だ。
以前より利用する頻度は減ったものの。
楽しいよな。


その日は新規開拓してみたい気分だった。
今まで利用したことのない店舗をネットで色々と閲覧していく。


目に止まった、ある店舗を利用することにした。 
事情があって店舗名を掲載しにくい。
その店は「コスプレオプション」が無料で付けられた。 
しかも、女がコスプレをした状態で部屋まで訪問するというのだ。 
これは結構ワクワクするぜ。 


電話をかける。 
全く問題のない対応をする受付の男に、利用する旨を伝える。 
出勤情報に載っていた、小柄で清楚系の21歳のパネルの女を指名する。 


はたして、今夜はどんな展開が待ち受けているのだろうか。


受付を済ませて数十分。 
オートロックの音がおれの部屋の中に鳴り響く。 
相変わらず、この瞬間は魂震える。
モニターに女の姿が映し出される。 


………………。


おれは息をのんだ。 


JKや!!!
JKのコスプレをした女がモニターに映っとる! 


一気にテンション上がった。 
1分後、玄関口にJKコスをした女が現れた。
小柄で色白童顔、少しパーマがかった長い黒髪をツインテールにしたJKコスのかなりカワイイ女がおれに微笑みかける。
部屋に通す。 


「ほんとにコスプレして来るんですね」とおれは言う。 


これまでもコスプレのオプションをデリヘルで付けたことはあった。
しかし、いずれの場合も、部屋の中で女はコスチュームに着替えていた。 
今回のように、いきなりコスプレで登場するパターンは初めてだった。 
もしマンションの他の住人とエレベーターとかで一緒だったらすっげー気まずいだろうな、と思った。 


「うん、すっごい恥ずかしかった…」と女は恥ずかしげに言う。 
「でも、すごい似合ってる」 とおれは言う。
「ありがとう。しかもね、ノーパンなんです」そう言いながら女はセーラー服のスカートをおもむろにめくり上げる。 


色白の女のやや薄めの陰毛が露わになる。 
思わずおれはそこに手を伸ばし、優しく撫でる。 
「すごーい」 
「お兄さん、すっごい綺麗な顔立ちしてますよね」 
「えーまじ?そんなん初めて言われた。君もカワイイよ」
「えーっ。ありがとう。嬉しい」 


出会って数分で、エロくて若干恋人チックな良いムードを演出することができるハイレベルな女だった。 
女の性格は落ち着いていて慎ましやかな感じで、大人びた印象だった。
おれ好みだった。
斜めから見たときの女の切れ長の綺麗な目元がなんとなく素朴な趣があって、そこも男心をくすぐる部分だった。
そんなお淑やかな大人の雰囲気とは対照的なJKコスとのギャップがより一層興奮を駆り立てた。


そして。
おれの胸にメラメラと湧き起こる興奮に追い打ちをかけるようにして、女は衝撃の一言を放った。 


「私ね、実は30歳なんです」 


………………。 


うおおおぉぉぉーー!!! 


「私ね、実は30歳なんです」が出たー!! 


デリヘルのホームページ上では女の年齢は確かに21歳となっていた。
店の方針で、女は9歳サバを読むことを余儀なくされたのだと言う。


「実は30歳の女」がツインテールにセーラー服の格好で、おれの1Kのマンションにエロ行為をしにやってきたのだ。 
そのシチュエーションはなかなかのものだった。 
20前後の女が普通にJKコスをして普通にカワイイ、というのではなく、30歳の女が頑張って着用したJKコスという本来有り得ない姿でいるという倒錯感におれは打ちひしがれた。 
なんて夜だ。
まだエロ行為は始まってもいないのに、この巡り合わせに心から感謝している自分がいた。


しかも、女はおれに対してかなり良い第一印象を抱いてくれたようなのだ。 
興味津々といった感じでおれに様々な質問を投げかけてくれた。
言うまでもなく、そういう風に演じているだけなのかもしれないが。
仕事だから。 


とにかく、出会って数分にして見かけ上は一気に親密なムードになる。


シャワーへと移動する。
互いに脱衣する。 
全裸の女の姿を眺める。


色白できめ細やかな女の肌がおれの視界に飛び込む。
女の肌は30歳という年齢など全く感じさせなかった。 
そして、小柄な割にぷっくりと大きな弾力のあるおっぱいが女には備わっていた。 
乳首も形が良くて、きれいなピンク色をしていた。 


シャワーのお湯を女がおれに浴びせかける時、女の肌に触れる。 
柔らかで温かで滑らかな女の肉体の甘美な感触がおれの脳を刺激する。 
思わず、女の首筋にキスをして、抱きしめた。 
女もそれに応えるようにおれの腰に腕を回す。 
数十秒抱き合いながらキスをしてイチャイチャしたあと、改めてシャワーでの洗浄を行う。 
イソジンでの消毒もしっかりとこなした。 


ベッドへ移動する。 
電気を消して、恋人感覚のイチャイチャプレイを全体を通して行う。 
テクニックがどうとか、そういうものは吹っ飛んでしまうほど、女とのなんとも言えない性的なシンパシーをおれは感じていた。 


キスして、抱き合って、愛撫し合い、舐め合って、興奮度は高まる一方だった。 
女は小柄な肉体を振り絞るようにして一生懸命おれを気持ちよくしようと動いてくれた。 
その心意気みたいなものが女のつるりとした肌から直に伝わってくるような気がした。 


プレイが後半に差し掛かる。
女は言った。 
当然の流れであるかのように。
「入れたくなっちゃうね」 
「おれも今同じことを思ってた」とおれは返した。 


女は鞄からコンドームを取りだす。
それをおれの激烈に勃起したチンコに装着する。 


その時、何故かおれの脳裏には一抹の不安がよぎっていた。 
その不安の源泉は一体何なのか。
はっきりとは分からない。 


強いて言えば、何もかもスムーズに事が進み過ぎていることに対する非現実感、言いかえれば「嘘感」みたいなものを察したことから来る残念な気持ちが湧き起こっていたとでも言おうか。 
その、基本的には実体の掴めない漠然とした不安がゴムが装着されたおれのチンコに伝わり、少しだけ萎んでいた。
それでも女の股にチンコを持って行ってこすり付けることで何とか復活させ、女の中に入ることができた。 


正常位。 
女はかなり小柄だったので、マンコのサイズも小さかったように思う。 
若干慎重に最初は腰を振った。
なるべく痛みを与えないように。


でも、途中からテンションが上がる。
結果的に激しく突いてしまうことになった。 
女は大きくもなく小さくもない、演技っぽくもなく無反応でもない、極めて中庸的な、ナチュラルな喘ぎ声を漏らした。 


そしていよいよ射精までのラストスパートの流れになる。
正常位の角度を30度程変える。
再び突こうとしたその時だった。 


チンコにヌルヌルとした違和感を感じた。
抜いてみた。 


おれの勃起したチンコがコンドームを完全に貫通させていた。
背筋が凍る思いがした。 


あの時の再来だった。 


スマともの女⑤ 胸いっぱいの愛と情熱をささげたくなる女 


あの時も、サイズの合わないコンドームを装着していた。
それによって、完全にチンコがゴムを貫通した状態でおれは女の膣内に意図せず射精してしまった。 
その迂闊さや腹立たしさが、一気に女との関係を断ち切る方向へとおれの心を動かすことになったのだ。


あの夜がフラッシュバックした瞬間だった。 
サイズがどうこうと言うよりも、ゴムを着けてからいったん萎んで、また勃起したことによってゴムのサイド部分に亀頭が引っかかって破れたのかもしれない。
いずれにしろおれは女の持参したゴムを取り去ってすぐさまゴミ箱に捨てた。 
その時点でおれのチンコはトラウマに怯えたかのように縮こまってしまった。 


とりあえず、射精しなくて本当に良かった。
気を取り直すように、女とベッドに寝転がりながら抱き合い、キスを交わす。 


女の唇はその胸とは対照的に薄くて肉感が乏しくて少し物足りなかった。
それでも何度もキスをしているうちに再び興奮してきた。 
キスすっきゃねん。 
女のフェラによるアシストもあって再び勃起した。 
そして、今度はおれの所有物である安心のLサイズのコンドームをしっかりと装着して臨んだ。 


再びの正常位。 
今度はシンプルに同じ角度で突き続けた。 


そして、あっさりと射精した。 
射精したあと、ちゃんとゴムの中に精子が溜まっていることを確認する。
安心してそれをゴミ箱に捨てた。 


射精したおれを見て女は満足そうに微笑んでいた。
可愛かった。とても。 
女と再び抱き合う。 


選択していたのは60分コースだった。
プレイ時間が結構長かったのを考えると、配分的に、余韻に浸る暇もなくさっさとシャワーを浴びて着替えなければならないのは分かっていた。


しかし、女は名残惜しげに、しんみりと切れ長の瞳で言った。
「シャワー浴びずに帰る」 
「いいの?」 とおれは言う。
「うん。このまま少しでも長くひっついていたいから」 
そう言いながら女はおれに密着する。 
おれは女の髪を撫でながら女の事についていくつか尋ねた。 


「結婚してないの?」とおれは尋ねた。 
「してない」と女は言った。 
「彼氏は?」 
「いる」
「そっか」 
「でも別れないといけないの。なかなか別れられないんだけど」 
「なんで?せっかく付き合ってるのにさ」 
「彼氏には奥さんと子供がいるから」 
「えー。不倫やーん」 
「そうやねん。だからいつか別れないと」 
「なんか、そういうの詳しくめっちゃ聞いてみたい」 
「え~、今度ね」 
「うん。今度ね」 


今度また逢えたら奇跡だよな、と思いながらおれはエロ行為の余韻に浸る。
余韻に浸る時間の中。
少し冷静になった頭になって、改めて女の肉体を見て触れて抱いてキスをする。
すると、その体の素晴らしさをじわじわと感じた。


女の肌質の瑞々しさは多分、生まれ持った素質による部分が確かに大きかったように思う。
しかし、30歳という年齢にはとても見えないきめ細やかさだった。
そして、女の肉質の感じは決して代謝のいいものでは無いということがなんとなく分かった。
すなわち脂肪を貯めこみやすい、太りやすい体なのだ。
それにも関わらず、女は贅肉が限りなく抑えられ、二の腕も、腹も、腰も、脚も、首筋も、全体的にキュッと引き締まった体だった。


これらは全て、日頃から肌のケア、食事制限、運動などといった節制に余念がない生活を女が送っている事の裏付けだった。
そんな、相当な努力の跡が見て取れた。
まさに鍛練の結晶みたいな体を女はしていた。


この5年間ほど、素人・プロ問わず、下は18歳、上は42歳ぐらいまで、それなりに色んな年齢の女の裸を見てきた経験から、女がこの年齢でこの肉体を維持しているのは本当に奇跡かと思えた。
そんな感動さえ覚えるほどの素晴らしい肉体を女は作り上げることに成功していた。


すーげーまじすげー。
尊敬する。


今日はいい日だと思える幸福な気分がおれの胸の中を支配した。
その後もイチャイチャしながら雑談を交わしていると、程なくして女の携帯に店からのアウトコールが鳴り響く。
制限時間の終了が女に告げられる。 


女はいそいそとタオルやローションを片付け、持参して来た私服に着替える。 
着用して来たセーラー服は女の鞄にしまわれた。
女は行かなければならない。


本当にいい60分間だった。
とおれは思った。
その時点では、店名も大々的に掲載して「いい店でした!」というブログ記事を書く気満々だった。
しかし。 


片付けを終えた女がこちらを向く。
携帯電話を操作しながら、女は言う。 


「ポロリくんの連絡先、教えて」 


………………。 



別に俺は歓喜しなかった。
「ポロリのハローグッドバイ」を初期の記事からご覧いただいている読者の方なら分かるかもしれないが、4年前のおれなら間違いなく歓喜していた。


数々の風俗嬢とのやり取りを繰り返していくうちに、こんな連絡先の交換といった行為など、ほとんど無意味に等しいのが分かってくる。 
なぜなら、女はあくまでも仕事でここにやってきて、仕事上のエロ行為を施しているのだから。 
男と出会うためではない。 


そこは割り切らなければならない。
それが基本ルールだから。
言うまでもなく。
だからおれは、これは別れ際のリップサービスだな、ぐらいの軽い気持ちで女の連絡先の交換の打診に応じた。 


ラインIDを交換する。 
「じゃあ、またね」と言いながらおれは玄関で女を見送る。 
「またね」と女は言う。 


キスを交わして、サヨナラをする。
女はドアの向こうへと消えた。


洗面所に行くと、女がイソジンを置き忘れて行ったことに気付く。
せっかくだから、使っちゃおうかな。
二度と会わないだろうから、返しようがないしな。


60分間16000円で十分に恋人感覚を味わわせてくれた。
イソジンという置き土産付きで。 
悪くない。
いい夜だった。 


ありがとう。
二度と会うことはないだろうけど。
そう思っていた。 


電気を消して眠ろうとしていたおれの枕元の携帯が鳴る。 


女からのラインメッセージだった。 
スタンプが一つあるだけだった。 
おれはそれに対して「ありがとう」といった内容を返す。 
その上から洒落のつもりで
「またご飯でも行こうよ。いつ空いてるの?」
とメッセージを送る。 


女からすぐに返信があった。 
おそらく待機場所まで帰る途中の車の中からだ。


「結構毎日仕事入ってるの…」 


はいはい。
それで結局タイミングが合わずに、なんとか他の話を振って繋いでいこうとしても、そのうちに話題も尽きてフェードアウトやろうな。
そういうパターンだよね、と素直に割り切るつもりだった。 


すると、女は続けてメッセージを送ってきた。 


「ランチでもいい?」 


………………。


このワンフレーズが何を意味するのか考えてみようと思う。 
まず第一に、女はほぼ毎日夕方ぐらいからデリヘルの仕事が入っている。 
知り合いに会うために時間をとるとしたらデリヘル出勤前の昼間の時間帯となる。 
だから夜ごはんではなく、ランチを共にしないかと打診してきたのだ。 


当然の流れと言える。 
途轍もなく自然や。 
明らかに普通や。 
こんなにもシンプルな理路整然としたセリフにおれは心が揺さぶられた。
なぜか。 
それは、その言葉から来るどうしようもない「当然さ」に驚愕したからだった。 


女とおれが後日、逢引を果たす。 
そのことが大前提として女の中で固まっているのだ。 
その前提の上で普通のやり取りを普通にしてくる。 
あまりにも新鮮すぎた。 


おれの中で、デリヘルの女と客として出会った以上、「客でいなければならない」という固定概念が根強く植えつけられていた。
今回の女はそんな固定概念とはまた別の例外的な空気感があった。 


時間にしてたったの60分間。 
客と風俗嬢として出会った二人の関係性が一気に延長されるシチュエーションを見事に一言で言い表したセリフ。 
それがこの 
「ランチでもいい?」 
という言葉に集約されているとおれは勝手に思った。 
テンション上がるじゃないか。 


おれは今の勤務スタイルになってから、週に一回ほど平日の昼間に体を空けることは可能だった。 
なので、平日に日時を指定して女と再び会う事になった。 


2015年8月。
待ち合わせ場所は例によって梅田のビッグマン前。


女の望むランチデートの行き先はおれが決めていいようだった。 
女に予めざっくりとした希望を聞くと、
「賑やかな所よりも落ち着いてマッタリできる所がいい」 
との事だった。
迷いなく「中崎町」エリアを選んだ。 


中崎町。 
個人で経営している服屋とか雑貨屋、オシャレなカフェがひしめき合いながらも、そこまで大勢の人々で賑わうことのない、まったりと落ち着いた雰囲気のオシャレな女子大生なんかが足繁く通うこのエリア。 
そこに行こう。 


待ち合わせ時間になる。 
時間通りに女は笑顔で現れた。 


今日の女の服装は、30歳という年齢に似つかわしくない若い感じだった。 
悪く言えば子供っぽくて安っぽい格好とも言えた。 
チェックのノースリーブに膝丈のデニムスカート、頭にはカチューシャ、腕にはやたらと沢山の安物っぽいブレスレットをジャラジャラと付けているというイデタチ。 
それに対しておれの服装は、、、おれのは別にいいか。 
いつものいつもの。 


先日デリバリーされて来た時は、女はしっとりと落ち着いた雰囲気を醸し出していた。 
しかし、今日はそれとは打って変わって元気で明るい女性というノリで女はおれに声をかける。
何となく緊張しながら、並んで歩きだす。
雑談を交わしながら茶屋町方面へと向かう。 


新御堂筋を横切って少し歩く。
目的の中崎町エリアへと辿り着く。 


表の世界でもこの辺りは結構頻繁に利用する。
知り合いとかがいたらイヤやなーと思っていた。 
すると、思いっきりいつも行ってる服屋のオーナーとばったり出くわして目が合った。 
しかし、おれと女の間に漂う何とも言えない「密会感」を敏感に察知してくれたのか、そのままスルーしてくれた。 
ありがとうオーナー。 
この日、あなたの店で買った服を着てましたけど。


歩いていて、しくじったなと思ったことがもう一つある。
あっつい。 


この夏一番の暑さと天気予報が報じるほど、その日は茹だるような暑さだった。 
真昼間の炎天下を女に歩かせて駅から少し離れたエリアに行くより、普通に「グランフロント」とか「ルクア」といった駅直結の涼しいビルで食事を済ませた方が良かったのではないか。
そんな、恋愛か!みたいなツッコミが入りそうな事を考えながら、女の日傘を持ってやりつつ気遣いの言葉をかけ、平日の中崎町を歩く。 


カフェ&食堂みたいな、ちょっとオシャレな雰囲気のこじんまりとした店に入る。
テーブル席に向かい合って座る。 
健康食材を使った体に優しい食事を心掛けているというのを全面的に押し出したメニューを見ながら、適当なランチセットを注文する。 


料理が来るまで、女と会話をする。
女のデリヘルの仕事について興味があるものの、根掘り葉掘り聞いていいものか少し迷う部分もあった。 
しかし、意外にも女は自ら進んで自分の仕事について語った。 
店舗スタッフや他の女の子の事、指名を稼ぐための「写メ日記」などのマメな努力について、自らの体型を維持するための節制について、などといったことを細やかに女は話した。 
職業に貴賤などない、という言葉がまさに当て嵌まるほど(と言ってしまうと風俗の仕事を蔑視するのが前提みたいになってしまうが)、女はデリヘルの仕事を本当に「仕事」として真摯な姿勢で捉えているのが分かった。 


料理が来る。
「炭水化物を食べるの、3日ぶりやわ」と女は言う。 
「まじで!昨日は何食べたん?」とおれは言う。 
「豆腐のサラダとササミ。あと水」 
「1日でそれだけ?」
「あと、待機中にチョコとか、お菓子食べちゃった」
「そんなんで大丈夫かよ。死んじゃうで」 
「だって、私すぐ太っちゃうもん」 
「運動すればいいんじゃないん?食べた分消化していけば」 
「してるよ。運動。2日に1回ぐらいランニングしてるし。それでも食事制限しないと今の体型を維持できないねん」 
「大変やね」 
「うん」 


うーん、仕事ちゃんとしてはるわ!
学校の教師が予習をしてから授業を行うように、医者が医薬品の情報を得てから診察に入るように、スポーツ選手がトレーニングをこなしてから試合に出場するように、女は自らの顔や肉体を少しでも美しく見えるように努力した上でエロを提供するという仕事に臨む。 
世の中にある、色んな仕事のうちの一つとしての「風俗」を女は仕事としているのだ。 


おれは日常において、あくまでも客としてしか風俗に関わらない。 
だから、そういう感覚で風俗というものをあまり考えたことがない。 
女の話を聞いていて改めて新鮮な気持ちになった。 


そこで、気になっていたことを、おれは顔立ちの整った女に向かって尋ねる。
「なんで、おれには本当の年齢のこと、最初から言ってくれたん? 
適当にごまかせば良かったんじゃないん?」 


すると、店舗のパネル上では21歳、実年齢は30歳の女は言う。 
「この人には嘘つけないと思ったから」 


女は結構重々しく言った。 
エロ行為の制限時間内ではないナチュラルな女の言葉を聞いた気分だった。 
ちょっとドキっとした。 


ただ、その発言の真意は分からなかった。
幾多のエロい客の中から、どうしておれという客を店外デートをしようとまで思ってくれたのか。
もちろん、何かしらのハニートラップが仕掛けられているかもしれない、というのは常にどこかで念頭に置いていた。 
しかし、素朴な雰囲気の女からはそんな感じもしない。


何より、女には彼氏がいるというのだ。 
しかも、結婚している男と不倫関係にあるという。 


話題は女の彼氏の話まで及んだ。 
詳しく書くつもりは無いが、子供がいるものの結婚生活がうまくいかず夫婦の仲が完全に冷え切った男と付き合っているとのこと。
男の事が放っておけずに、いけないことだと分かっていながらもなかなか別れられないという。 


そんな人物関係の上で、おれという男の立ち位置はどこにあるのか。
全く見えてこなかった。
本当に、全く見えてこない。 
おれはどうすればいいのだろう。 


しかし、一瞬でおれはどうすればいいのか思い出した。 


楽しめばいいのだ。 
真意や立ち位置なんて、なんだっていい。 
女がいて、テーブルを挟んで向かい側におれがいて、会話を交わしている。 
これ以上ない、揺るぎない真実だ。 
十分じゃないか。 


そんなジャン=ポール・サルトルの実存主義チックな考え方プラスエンジョイみたいなノリでおれは女に言う。
「そんな男、別れておれと付き合えばいいやん」 


後々、これが鬼みたいな発言である事を読者の方は気付くことになるかもしれない。
おれの言葉を聞いた女はまんざらでもない表情で、「えー」とか嬉しそうに言いながら流してくれた。 


ご飯を食べ終わる。 
そのままの流れで、かき氷を追加で注文して、食べる。
その後も終始和やかな雰囲気で会話は進む。 
会話は女の過去の恋人の話や、家族が抱えた借金の返済話といった濃い内容にまで発展していった。


1時間強ほど喋って、店を出ることに。 
会計は半分ずつ出し合った。 


ちなみに、健康志向のランチの味自体ははっきし言って大した事なかった。 
こういうオシャレな感じのご飯屋さんで本気で絶品グルメを提供する所って皆無な気がする。 
とりあえずオシャレだからそれでいいでしょ、みたいなスタンスで収まっている所が多いように思う。 


店を出て、再び炎天下の中を歩く。 
女のデリヘルの出勤時間が迫ってきていた。


HEPファイブ前まで戻ってきた。 
平日なのに多くの人が行き交っている。 
ここでサヨナラをすることに。 
おれは駅へ、女はデリヘルの待機場所まで、それぞれ向かうことになる。 


「仕事がんばってね」とおれは言う。 
「ありがとう。楽しかった」と女は言


次の瞬間だった。 


女の薄い唇が、おれの唇にスッと重なる。 


時間にしてほんの0.5秒ほどの出来事だった。 
ほんのわずかな時間、二人はさりげなくキスをした。
笑顔で女とおれは別れ、それぞれの方向へと向かっていった。 


このキスは、客と風俗嬢という関係性を超えた重要な証拠のような気がしないでもなかった。
でも、キスはキスだった。 
そこに意味を見出さなくていい。
キスはキスだから。 
そういう気分だった。 
そして、そんなさりげなく甘酸っぱいキスを交わしながらも、女に対して恋愛感情を1ミリも抱いていないおれがいた。


どうしてなのか。
ここで、ブーイング来まくりそうな男側の身勝手な考えが出てくる。


だって、おれとキスした口で、これから女は何人もの不特定多数の男のチンコをしゃぶりに行くんだぜ?


それでもあなたは風俗嬢に恋をしたいですか?
なーんてな。


とりあえず今日の逢引きに感謝、けど次はないかも、と思っていた。
しかし、その後も女とのラインのやり取りは続いた。


2015年9月。 


再び女と会うことになった。 
今回は、女のデリヘルの仕事が休みの日の夜に会ってくれるというのだ。 
平均で週に6日も出勤している女にとって、休みは貴重なハズだ。 
なのに、女はおれに会うために時間を取ってくれた。 
妻子持ちの彼氏がいるのにも関わらず。 


待ち合わせ場所は、例によって梅田のビッグマン前。 
女の中でのおれという存在の大きさや優先順位、あるいは歯牙にもかけられていない可能性、なんかを考えながら、お馴染みの場所へとJRに乗って向かう。 


風俗嬢と2度目の店外デートをする。 
やはり、おれの中でそれは特別な出来事だった。 
もちろん、何らかの罠が仕掛けられているかもしれないという事を念頭に置いて臨むつもりではあった。 
すなわち、美人局的行為や如何わしいビジネスや宗教の勧誘、金の無心といった事を女が狙っているかもしれないという可能性である。 


先日、昼間にランチデートをして対峙した感じでは、女からそういった目論見は全く感じられなかった。 
しかし、一旦気を許させておいて、いきなりそういう流れに持って行かれる場合もある。 
それほど、風俗の女の子と店以外で遊ぶという事は自分の中で通常あり得ない事、というか、ある意味反則行為だった。 
油断できなかった。 
だからこそ臨む価値があった。 


当然、出会いアプリで出てきた女たちも、そういったトラップを仕掛けてくる可能性はある。 
しかし、おれの中でプロの風俗嬢というのは、そんな女たちとは一線を画する存在だった。 
男側からは理解したつもりでも理解できないような絶対的な深淵が風俗嬢からは常に感じるのだ。 
相手がプロであればあるほど。 


そんな相手に立ち向かっていくことができるのだ。 
千載一遇の巡り合わせだと思う。 


待ち合わせ時間ぴったりに女は現れた。 
黒いノースリーブに格子柄のタイトミニスカートにヒール。 
先日昼間に会った時より、いくらか大人っぽい年相応の格好をしていた。 


軽く挨拶を交わし、茶屋町方面へと手を繋ぎながら歩く。 
女のテンションは、初めて出会った時のしっとりと落ち着いた感じと2回目に会った時の天真爛漫な感じの中間ぐらいだった。 
3度目の逢引きという事で幾分慣れのようなものが出てきたのかもしれない。 
女の素の部分が出始めているとでも言おうか。 


居酒屋が沢山入っているビルに入る。 
オシャレ居酒屋「キチリ」へ。 
予約していなかったけど、平日の割と早い時間だったのもあって、席は普通に空いていた。 
激カワの女子大生風の女の店員に誘導される。
どうでもいいけど、「キチリ」の店員の女の子ってどの店舗に行っても死ぬほど可愛くないですか?  


他の客とは隔離された隅っこのテーブル席に向かいあって座る。 
女はワイン、おれは梅酒ロックを頼む。 
女が食事制限をしている関係もあって、食べ物はあっさりしたカロリーの少なそうな物を中心に注文する。 


乾杯して、女と会話を交わす。 
中心になるのはやはりお互いの仕事の話。 
おれは女の風俗という仕事に興味があったし、女もおれの職種に興味を持ってくれたようで、色々と質問をしてきた。 


一通り会話が盛り上がる。 
女は赤ワインを繰り返し頼んだ。 
「ワイン、好きなん?」とおれは聞く。 
「最近ハマってるねん。お客さんがプレゼントしてくれて飲み始めたのがきっかけで」と女は言う。 


デリヘルのホームページ上に、そういった内容の写メ日記を更新しているらしい。 
ちなみに後で確認してみたところ、先日おれと行った中崎町のカフェについても日記が書いてあった。 
「友達と一緒に健康志向のご飯屋さんに行ってきました!」 
とランチプレートの写メを掲載しつつ、若干事実をぼかした事を書いていた。 


酒を飲み、ご飯を食べながら会話は進む。 
女はほとんど食事には手をつけなかったが。 
やがて、女のこれまでの彼氏、そして今の妻子持ちの彼氏について、話題が転じた。 


しかし、その途中で他の客が隣の席にやってきた。
何となく落ち着かなくなる。 
エロを含む内容を話すには不向きの状況だった。 
場所を変えて女と喋りたい気分になった。 


彼氏についての話が中途半端に途切れかけたところで、店をハシゴしようと提案してみることに。 
「近くにワインバーがあるけど、行く?」とおれは言う。 
「そうなん?行ってみたい!」と女は言う。 
数ヶ月前に、出会いアプリ「スマとも」で出会った女といい感じになって、その後エロ行為へとつながる起点となったワインバーだ。 


スマともの女⑦ 夢は夢で終わって将来破滅していきそうな女 


別にエロ行為を目指しているわけでも無かったが、なんとなく思いつきで、そのワインバーに女と行きたくなった。 
「キチリ」を出る事に。 
会計は女にワリカンを提案されたので、素直にそれに従った。 


生ぬるい風の吹く、夜の梅田の街を手を繋いで5分ほど歩き、ワインバーへ。 
新阪急ホテルのすぐそばにあるビルの二階の店。 
広々とした空間に落ち着いた照明と内装の店内は、平日の夜にも関わらず、大勢の客で賑わっていた。 
客の入りがピークの時間帯だったんだろう。 


カウンター席がギリギリ2つだけ空いていた。
そこに座る。 
椅子と椅子との間隔がものすごく狭かった。
自然と太ももと太ももが密着するようにして座る。 


フランス産のワインをボトルで注文する。 
先ほどの店でもそうだったが、女はワインに氷をいくつか入れて薄めて飲んだ。 
そうすると女にとってちょうどいい濃さになるのだという。 
おれもそれに倣った。 


再び乾杯をする。
グラスの中で氷をカラカラと鳴らして弄びながらやや甘口のワインを少しずつ口に含む。 


至近距離で女の色白の横顔を眺める。 
正面から見るよりも、斜めや横から見たときの女の顔の方が美しかった。 
特に、女の草食動物のように素朴で、何かしらの悲しみが漂ってくるかのような切れ長の瞳はサイドから眺めるとすごく素敵な形をしていた。 


ワインバーでの会話は一気に生々しいものになった。 
会話といっても、女が一方的にデリヘルで出会った印象的な客の男のエピソード(大概は嫌な思い出)を次から次へと語って、それにおれが相槌をうつというものではあった。 


彼女が10人ぐらいいて3Pじゃないと満足できないと自慢げに話す医者、女を指名しては偉そうに説教ばかりする会社役員、半身不随で人生で一度きりのつもりで風俗を呼んでみた無職の男…。 
氷の入ったワインを口に含みながら、女は実に饒舌に喋った。 
女はデリヘルという仕事で、あまりにも多岐に渡る人種の男たちと出会っていた。 


女は、そいつら全員のチンコをしゃぶってきたのだ。
そんな何年もの繰り返しの日々の果てに、女はおれという男に出会った。 


………………。 


おれは誰なんだろう。 


おれは漠然とそう思った。 
前回に引き続いて。 
正確に言うと、女がタガが外れたように身の上話を喋りまくる対象のおれは、女にとってどういう位置づけの存在として捉えられているのだろう。と思った。 
通算何百人、何千人ものデリヘルの客の男の中から選ばれて今日ワインバーで酒を共にする相手は、おれでなければならなかったのか。 
それとも、女は「おれ」という固有名詞を持った存在ではなく、ただ不特定多数の男のうちの一人としての人間に対して喋っているだけなのか。 
あまりにも自分が空虚な存在になりかけているような気がした。 


それでは聴いてください、「私以外私じゃないの」。 





私以外、私じゃない。


おれ以外、おれじゃない。 


本当にそうだろうか?


ここに座っているのがおれ以外だったとしても、結局それはおれと同じなんじゃないかな。 
そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。 
自殺する時の芥川龍之介みたいな漠然とした不安と、自分が徐々に透明になっていくような虚無感が6:4ぐらいで混ざりあったみたいな微妙な気持ちになる。 


しかし、女は喋り続ける。 
自分の身の上話を。 
女は話し上手で、聞いていて飽きなかった。 
喋る女の顔はワインのせいか、かなり火照っていた。 


喋る女。 

耳を傾けるおれ。 

おれに見つめられる女。 

女に見つめ返されるおれ。 

風俗嬢の女。 

客のおれ。 

おれ以外、おれじゃないのか。 

そうじゃないのか。 

それとも。 


確かめたかった。
だからおれは、多くの人で賑わうワインバーのカウンターであるのもお構いなしに、女の瞳をじっと見つめ、顔を近づけて傾けて、女にキスをした。 


5秒間ぐらいの割と長いキスだった。 
女の唇は相変わらず薄かった。 


唇をそっと離す。 
女は顔を赤らめて恥ずかしそうに言う。 
「こんなに人がいるのに、恥ずかしいやん」 
「あまりにも君がカワイイから、つい」 
「でも、めっちゃ嬉しい」 
そう言って女からキスをされた。 


キスをしても、根本的にはなんの解決にもならないという事実を圧倒的なまでに分かるためのキスだった。 


それでもおれは女の事をもっと知りたかった。 
あわよくば、女の事を手に入れてしまいたかった。 
恋愛とは別の感情で。 
そのためには、女にとって、おれ以外がおれじゃない事を証明しなければならなかった。 
もう少し日にちが必要だと感じた。 


その後も女と会話をしてはキスをするという事を繰り返す。 
気付いたら終電の時間が近づいていた。 


「君の家に行っていい?」とおれは言う。 
「家はちょっと…。また今度にしよ?」と女は言う。
別にそれで全然構わなかった。 
正直、この女の家に行くのってちょっと怖かったし。 


ワインのボトルは空になった。 
会計をする。 
4000円ぐらい。 
今回もワリカンにしてくれた。 


女によると、デートや旅行での支払いは常にワリカンにしたいらしい。 
半分ずつ出し合った方が結果的に良いものが食べられていい所に行けるからだと言う。 
いいね。 
すごくいいぜ。


会計を済まし、店を出ようとする。 
入り口の所になぜか拳銃が落ちていた。
「なんでこんな所に拳銃が落ちているんだろう…」 
バイトの店員と女とおれの3人で首をかしげた。 


駅方面へと歩く。
女はかなり酒が回っていたのか、足元が覚束なかった。 
小柄な体がおれにもたれかかる。 
おれは女の腰に手をまわして支えながら歩く。 


「大丈夫?家まで送って行こうか?」とおれは言う。 
「大丈夫大丈夫。タクシー拾って帰るし」 
そう言いながら女はおれを駅まで見送ってくれた。 


お別れのキスをする。
「またね」とおれは言う。 
「うん、またね」と女は言う。 


おれがこの女に恋愛する可能性は0%だった。 
そんなデリヘルの女に名残惜しそうに見送られながら、電車に乗る。 


電車に乗ると、すぐに女に「今日はありがとう」という内容のラインを送る。 
すぐさま、女からも「ありがとう」と返事が送られてくる。 


そして。
数秒後。
続けて女はメッセージを重ねてきた。


「ちょっと好きになっちゃったみたいです」


それではもう一度聴いてください、「私以外私じゃないの」。 


ラインでのメッセージなど、どうにでもなる。 
同じようなことを何人もの男に言っている可能性だってある。 
しかも、女には別れたくても別れらないと言うものの、彼氏がいる。 
妻子持ちの彼氏が。 
でも、まあ悪い気はしないよね。 


「えー、ちょっとだけなんー?」 
などと適当な返事を返す。 
後日予定を合わせて、再びデートするまで、のんびりラインのやり取りを続けるつもりだった。 


電車を降り、いつもの道を一人でゆっくりと歩き、家に帰ってくる。 
風呂に入り、軽く部屋を片付け、歯を磨いて寝る。 
その日は女から返信はなかった。 


次の日。 
いつも通り顔を洗って、軽く朝食をとって、いつも通りの服を着て、家を出る。 
いつも通りの電車にいつもの時間に乗り、会社まで行く。
この、いつもの通りの世界と、昨晩のデリヘルの女とのやり取りとの異次元感が強烈に身に染みた。 


その日は割と忙しい日だった。 
それでもいつも通りの世界の範疇を超える程の事ではなかった。 
頑張った結果、ようやく仕事がひと段落する。 


昼休み。 
アイフォンを開く。 
ラインの通知があった。 


女からメッセージが送られてきていた。 


「あれから引ったくりにあっちゃった」


唐突に送られてきた女からのメッセージ。 
寝耳に水だった。 
女に返信をする。 
詳しい話を聞く。 


後日、女に会った時に直接聞いた話も含めて経緯をまとめると、以下のようになる。 


あの夜、女はおれと別れたあと、まだ酒を飲み足りないと思ったようだ。 
真っ直ぐ家に帰らずに、知り合いのやっているバーに寄り、再び酒を飲んでいたらしい。 
おれと別れた時点ですでに結構酔っていたのにも関わらず。 


結果、酒が相当まわり、泥酔寸前のフラフラの状態になった。 
なので、タクシーを呼んで家に帰ろうとした。 
その時点で午前4時。 
その際、バーのマスターにつかまりながら何とか店の外へ出てきた所に、いきなり男が現れ、女の鞄を引ったくって持ち去ったらしい。 
マスターがそいつを追いかけるも捕まらず。 
鞄には財布も鍵も携帯も全部入っていたという。 


結局その日はそのマスターの家に泊めてもらい、夜が明け、速攻で携帯の代替機を手に入れ、鍵屋に家の鍵を開けてもらい、警察に盗難届けを出し、クレジットカードとかを全部止めて、ようやくおれにラインを送れたのだという。 
携帯を失くしたことで連絡先が全部消えてしまう事を女は当然危惧したようだった。 
しかし、代替機のスマホでダウンロードしたラインで、何とかもともと持っていた携帯の連絡先を引き継げたのだという。 


「もしデータが消えちゃって、ポロリ君と連絡とれなくなったらどうしようかと思って、昨日は本当に焦った」と女はメッセージを送ってくる。 
「その時は、またデリバリーするから大丈夫だよ」とおれは冗談混じりで返す。 


そんなこんなで、結局女とのラインのやり取りはその後も続いた。 
そして、その後も女の所属しているデリヘルのホームページを見ると、女はほぼ毎日昼過ぎから夜中まで出勤していた。 
不特定多数の男のチンコをしゃぶる仕事を、女は来る日も来る日も続けていた。 


数週間後。
2015年9月。 


仕事がいろいろと忙しかった。 
おれは猛烈に肩が凝っていた。 


そのことを女にラインで伝える。 
すると女は言った。 
「私がいつも行ってるマッサージ屋さん、今度一緒に行く?割引してくれるよ」
女の行っているマッサージ屋は北新地駅の近くにあるという。


今度のデートは一緒にマッサージに行くことになった。 
再び、女がデリヘルの仕事が休みの日をあけてくれた。 


平日の夜、仕事終わりに北新地駅へと向かう。 
数十分で到着する。


改札を通り抜け、外へ。 
あまり見慣れない街の風景を眺める。 
初秋のさわやかな涼しい夜だった。


女は駅近くの知り合いがやっているバーで酒を飲みながら、おれのことを待ってくれているという
北新地駅の出口近くのスタバ前で女に電話をする。 
到着した旨を伝える。


程なくして、女が笑顔で迎えに来てくれた。 
女はタイトなノースリーブの真っ白なワンピースという格好だった。 
白い生地の内側に着用している下着がうっすらと透けていてちょっとエロかった。 
それに対しておれの格好は、…おれのはまあいいか、いつものいつもの。 


女が荷物を置いていると言うので、一旦バーへと一緒に戻る。 
手を繋いで歩く。  


注意して探さないと絶対に見落としてしまうほど小さなビルの3階にそのバーはあった。 
幅の狭くて急な階段を、前を行く女のパンツのラインがくっきりと透けて見えるプリプリとしたお尻を眺めながら上る。 


店のドアを開ける。 
薄暗い照明の狭い店内へと入る。 
カウンター席の前に椅子が8つほどと、テーブル席が2つほどが物置のように所狭しと並べられている店内。 
大してセンスのいい内装でもなく、流れている音楽も微妙な感じで、全体的にコンセプトが今いち見えてこない中途半端な店だと思った。 
カウンター越しにいた、20代前半から半ばぐらいの金髪の店員の男が、にこやかに女とおれを迎える。 


「うーお、めっちゃイケメンじゃないっすか!」と店員はおれに向かってお世辞を言う。 
「さっきまで、ポロリ君の話しててん」と女はおれに言う。 
「おれの話ってどんなんやねん」とおれは女に言う。 
「一緒にお酒飲んだ話」 
「そのおかげでこの前は大変やったね。ひったくり」 
「そうやねん。めっちゃショックでしばらく立ち直れなかった。でもお店の女の子が化粧品貸してくれたり、店長も色々助けてくれて、ほんまに良かった」 
「とりあえず君が無事で何よりやわ」 
「ありがとう。せっかくだから、何か飲む?」と女は言う。 
「じゃあ、梅酒で良いのがあれば。お酒が初心者でもいけるようなやつで」とおれはカウンターの店員に言う。 
「飲みやすい感じのやつっすね。分かりました。飲み方はどうしますか?」と店員は言う。 
「ロックで」 


しばらくして、梅酒ロックのグラスがおれの目の前に置かれる。 
飲む。 
甘酸っぱくてすっきりとした味わいが口の中に広がる。 
美味しいじゃないか。 


そのあとは店員の男は会話に入って来ず、10分ほどおれと女とで適当な雑談をする。 


マッサージの予約の時間が迫って来たので、バーをあとにする。 
酒代は女が払ってくれた。 


「大阪駅前ビル」へ女と二人で向かう。 
大阪駅前ビルとはどんな建物か。 
至ってシンプルでスタンダードな名称なのにも関わらず、キタエリアに似つかわしくないカオス感がなぜかそこら中に沈殿しているビルだ。 


実際に行けばわかるが、一等地なのにも関わらず若干シャッター通りっぽくなっていて、入っている店もよう分からんのが結構多いイメージのビルである。 
間違っても付き合いたての初々しい大学生のカップルなんかが大阪でデートする行き先に選ばれる事はない建物と言って良い。 
しかし、風俗嬢とエロブロガーが人目に触れずにこっそりと逢引きを果たす際には、ちょっとしっくりきてしまうようなロケーションである。 
そのビルに女がいつも行くマッサージ屋はあると言う。 


ビルの中を歩く。 
半分以上のテナントのシャッターが閉まっていた。 
人気のない道を進み、目的地であるマッサージ屋にたどり着く。 
マッサージ屋に到着するまで、誰一人として通行人とすれ違わなかった。 


店内へ。 
 ビルの雰囲気とは対照的に至って小綺麗な造りの店だった。 
狭いスペースの受付で女が予約してきた旨を伝える。 


会員価格でおれも通常の半額での利用となった。 
1時間5000円とかそんなん。 


すぐにマッサージルームへと案内される。 
女とおれ、それぞれ別の個室へと通される。 
一旦女と別れて、マッサージを体験することになる。 
個室といってもベッドと簡単なテーブルが置かれただけの3畳もないぐらいの広さのブースである。 


すぐにマッサージ師の女が現れる。 
30代後半ぐらいのアジアンテイスト漂う特にカワイイわけでもない女。 
でも、あ、この人となら全然セックスできるなーと勝手に思った。 
マッサージ師の女は営業用の笑顔でマッサージの内容の説明や、使うオイルの選択や特に凝っている箇所の質問をしてきた。 


使用するオイルは10種類ぐらいの中から選べて、それぞれ効能が違った。 
ストレスを和らげる効果のあるものにした。 
そして、とにかく肩が凝っている事を伝えた。 


「それでは服は全部脱いで頂いて、こちらの紙パンツだけを履いた状態でお待ち下さい。 
上からこのタオルをかぶって頂いて大丈夫ですので」 
と、マッサージ師の女はビニールに包まれた青色の薄っぺらい紙パンツと、大きなタオルをおれに差出しながら言って、一旦個室を去って行った。 


個室に残されたおれは着ていた服を全部脱ぐ。 
そして、渡された紙パンツをビニールから取り出して履いてみる。 
テロンテロンの青いパンツ一丁の、変態みたいな格好になる。 
その上から全身にタオルをかぶる。
ベッドに仰向けに寝転がって、マッサージ師の女が帰ってくるのを待つ。 


程なくして、マッサージ師がにこやかに帰ってくる。
マッサージが始まる。 


これまでのブログ記事において潜入してきたマッサージ店は全て手コキで射精のフィニッシュがある風俗マッサージだった。 
なので、どうしてもそのイメージがまとわりつく。 
「ちょっとエッチな展開になるんとちゃうか」と最後までドキドキしていた。 
当然、そんなことはなかった。 
殆ど初体験の健全マッサージだった。 


感想。 
まじで痛い。 
あまりにも痛くて死ぬかと思った。 
それ以外に取り立てて感想はない。 
これが健全マッサージかよ。 
この痛さは不健全やぞ。 


地獄の不健全な健全マッサージが終了する。 
女と合流する。 
店の奥のスペースで、出されたお茶を並んで座って飲む。 
「どうやった?気持ちよかった?」 と女は言う。 
「痛すぎて5回ぐらい死んだ」とおれは言う。 
「ほんまー?揉むのが強すぎたんかな?」 
「あと、ちょっとエッチな事してくれるんかなーって思ったけど、全然そんなん無かった」 
「そりゃそうでしょ!そんなマッサージ店なんか誘うわけないし」 
二度とこの店には来ないだろう。 


店をあとにして、大阪駅前ビルの外へ。 
街は程よい涼しさの夜風が吹いていた。 


スッキリと体がほぐれた所で、酒を飲みに行くことに。 
居酒屋が立ち並ぶエリアに向かって手を繋いで歩く。 
特に知ってる店がある訳でもなく、フラフラと二人で彷徨うように歩く。 
すると、客引きの男に声をかけられる。 
海鮮中心の落ち着いた雰囲気の居酒屋を紹介してくれるという。 
そいつについていく。 


一分ぐらい歩き、居酒屋ばかりが入ったビルの4階の店に連れて来てもらう。
店の中へ。 
思ったより店のスペースは広々としていた。 
客の入りはまばらだった。平日やし。


席の間隔が広くてテーブル同士の遮蔽もまあまあしっかりしていて、いい感じの店だと思った。 
店内を流れるBGMは少し前に流行ったJ-POP。 
そのBGMの音量が大きすぎず小さすぎず、適切でものすごく心地よい音量だったのが印象的だった。 
オーダーメイドのスーツに袖を通した時のような、店の広さにぴったりと合った気の利いた音量でBGMは流れていた。 
選曲がどうというより、その音量が素晴らしかった。 


カウンター席に座る。  
注文をする。 
おれはハイボール、女は赤ワインを氷付きで。  
そして、海鮮中心のカロリー控えめの料理を3品ほど選ぶ。 
すぐに酒が来る。 
すると、酒を持ってきた店員の男が意味ありげな目線で女を見たまま動かない。 
女はふと男を見て、驚く。 


「えっ、○○さん?」
男は、女の知り合いだった。 
女は以前、北新地のクラブでホステスをしていて、その時代からの古い知り合いらしい。 


「久しぶりやーん」と男は女に言う。 
「え、ここって○○さんのお店?お店新しく開くって前に言ってたのって、ここやったん?」と女は男に言う。 
「そうやでー、半年ぐらい前にオープンしてんけど。入ってきた時に、あっ、て思って。一発で分かった」 
「まじかー、てゆうかめっちゃ偶然。たまたま外で声かけられて入った店やったからさー」 


少しの間、女と男の近況を伝え合う。 
そして、男は女とおれの二人を見比べながら尋ねる。 
「彼氏さんですか?」 
「いやいや、まだ、これからやねーん」と女は言う。 
「あはははは、これからなんすね。お似合いやったからつい。すいません、なんか」と男は慎ましく笑いながら言う。 
おれも苦笑する。 
「ポロリくんて言うねん」 
「ポロリくんですね。おれは○○です。このお姉さんと結構古くから知り合いなんですよ~。まあ、変に気を使わせちゃうとアレなんで、一旦失礼しますね。ごゆっくり」と言いながら男は辞去する。 


そして料理が来る。 
出てきた料理はどれも素直に美味しかった。 
サラダの野菜はみずみずしくてシャキっとしたものを使用していて、魚はほんの数分前まで生きていたのかというぐらい新鮮で、全体的な料理の味付けもちょっと深みのある工夫されたものだったと記憶している。 


再びカウンターで二人きりになり、女と会話をする。 
2時間以上にも渡り、覚えきれないほど、女と色々な話をした。 


特に、女のデリヘルの仕事の話はやはり何度聞いても新鮮で楽しかった。
「最近3Pコースの仕事がめっちゃ増えてるねん。女2人男1人で」 
「大変やね」 
「でも、だいぶ慣れた。3Pってしたことある?」 
「うーん、どうかな」 
「あるんだ」 
「さあね」 


そして、女の様々な身の上話を聞く。 
ところどころで、おれの仕事の話や趣味の話なんかも入る。 
しかし話題の6割から7割は女の身の回りに関するものだった。 
その割合が凄まじく心地よかった。 
素直に楽しかった。 


風俗嬢と客という垣根を超えるとか超えないとか、嘘とか本当とか、そんなことはどうでも良くなるほど、今現在のおれと女との相互関係を目いっぱい楽しめる事自体が十分価値のある出来事なんだと自然に思わせてくれる。 
そんなコミュニケーションが交わされているという実感がものすごくあった。 
少なくともおれにとっては。 


一杯目の酒をすぐに飲み終わり、次におれは焼酎を、女は再び赤ワインを氷付きで頼む。 
広々と落ち着いた雰囲気の店内。 
程よい音量のJ-POP。 
白い肌の綺麗な女。 
新鮮な食材を使った料理。 


酒は進む。 
会話が一旦途切れると、今の心地良さを表現するかのように、二人はどちらともなく自然にキスを交わした。 
少し離れた所に他の客がいたが、別に気にならなかった。 


ふと店内のBGMに耳を傾けると、例の心地よい音量で「MISIA」が流れていた。
ミーシャ。 
5オクターブの音域を持つと言われる圧倒的な歌唱力で、2000年前後に大ヒットした日本の女性シンガー。 
アラサー世代は曲を聴くと懐かしさと共にこみ上げてくるものがあると思う。 


流れていた曲は「つつみ込むように…」だった。 


恋人と 呼びあえる 時間の中で 特別な言葉をいくつ話そう 


なかなか暗示的な歌詞だと、今となっては思う。 


そして。
女は唐突に言う。 


「私、子宮頸ガンやねん」
「え」 
「ステージ2なんやってさ」 
「そうなんや。いつから分かってたん?」 
「結構前から」 
「病院、ちゃんと行ってる?」 
「行ってない」 
「なんで?」 
「怖いから」 


家に帰ってから、調べてみた。 


癌。 


もはや説明不要の国民病。 
毎年何万人もの人々がこの病気で命を落とす。 


しかし、癌が発生する臓器によってその危険度というか、治りやすさが違う。 
その指標として、「5年生存率」というものがある。 
癌の治療を始めた人が5年後に生存している人の割合を統計的に表したものだ。 
同じ部位の癌でも進行度(ステージ)によって5年生存率は異なる。 
癌を早く発見して早く治療するのが推奨されるのはこのためだ。多分。 


「子宮頸がんのステージ2」の人の5年生存率。 


調べてみた。 


70%だった。 


言いかえてみる。 
女は30%の確率で、5年以内に死ぬ。
詳しい状況を聞いたわけではないので、一概には言えないが。 


女からそのセリフを聞いた時、率直におれがどう思ったか。 
不謹慎だと言われようと、正直に思った事をここでは書く。 


あ、やべ、ちょっと好きになっちゃうかも。 


そう思った。 


MISIA「恋人と 呼びあえる 時間の中で 特別な言葉をいくつ話そう」


おれは当然の事を言った。 
「病院、行きいや」 
「だって、行って、いろいろ知るのが怖いもん」 と女は言う。
「知らない方が怖くない?」 
「でも、もし万が一、あと何年の命ですとかってなったらショックやん」 
「そうじゃないかもしれんやん。てゆうか、治療しないとあかんのなら早めの方がいいやろうし。 
逆に、もう一回診てみたら大丈夫になってるかもしれんやん。
安心するためにも行った方がいいやろ、どう考えても。 
とりあえず行ってみてから、そこからどうすれば良いか考えればいいやん」 
「そうかな」 
「それに自分だけの問題じゃなくない?もし君になんかあったら周りの友達は当然悲しむやん」 
「うん」 
「それに」 
「…うん」 
「何よりおれが悲しむ」 
「ありがとう。ポロリくんのまわりで若くして病気で亡くなった人とかいる?」 
「病気ではないけど、事故で死んだ友達ならいる」 
「そうなんや」 
「そいつは19で死んだ」 
「めっちゃ早いね」 
「多分、童貞のまま死んだ」 
「そうなん。彼女とかいなかったの?」 
「おれの知る限りでは」 
「そっか」 
「彼女もいなかったし、多分、デリヘルを呼ぶこともなく、3Pをすることもなく、コスプレエッチをすることもなく、童貞のまま大学生活を送ってて、ある日突然、通学の途中で電車が脱線して、マンションに突っ込んで、一瞬で死んだ。 
たまたまその電車の先頭車両に乗っていたからという理由で、あっけなく死んだ。 
生きてたら今年で30歳になってた。 
でももう二度とそいつは帰ってこない」 
「………」 
「だからじゃないけど、その事と君の事と、別に関係ないけど、とりあえずそういう事なんやったら病院に行ってほしいな」 
「分かった。でも怖い」 
「大丈夫」 


そのあたりで、女の知り合いの男が再び現れる。 
3人で当たり障りのない会話をした。 
一通り喋ると、終電の時間が近づいていた。 


帰ることに。 
会計は例によってワリカンにしてくれた。 


男に笑顔で見送られ、店を出る。 
いい店だった。 
正確な場所はもう忘れたけど。 


新御堂筋を北へと進み、駅まで手をつないで二人でゆっくりと歩く。 
少しひんやりとした夜の空気の中、繋いだ女の手だけがじんわりと温かかった。  
今日も酒がまわっているのか、女の足元はおぼつかなかった。 
十数秒に一回、立ち止まって甘いキスをじっくりと時間をかけて交わした。 
単なる酔っ払いカップルみたいな感じだった。  


女は言った。 
「ねえ、風俗やってる子が彼女でも、ほんとにいいの?」 
「そんなことより、今の彼氏と別れるのが先じゃない?」とおれは言った。 
「そうだね」 
「今日は真っ直ぐ家に帰ってな。引ったくりにあうで、また」 
「分かった。真っ直ぐ帰る。ありがとう」 


おれがこの女に恋愛する可能性は0%、「だった」。 


そして。
今まで辿ってきた全ての出来事がひっくり返り、最後は、氷みたいな世界になる。 


………………。


デリヘル。 


風俗。 


そもそも、風俗、とは一体何なのか。 
という根本的な事について、ここで書いてみることにした。 


まず初めに、「売春」という概念があった。 
売春とは何か。 
もはや説明するまでもなく、女が男に自らの体を売る行為を言う。 
その逆バージョンもあるが。 


売春の起源は古い。 
どのくらい古いのか。 
いつから始まったのか正確に分からないほど古い。 
紀元前3000年ごろのメソポタミア文明において既にその行為は行われてきたという。 
「セックスしたら神が宿りますぜ!」という名目での「神殿売春」がそれに当たるらしい。 


ここで、中村文則の小説「掏摸」の一部を引用してみる。 
売春婦の女とスリの主人公との会話。 


「あのさ、また会ってよ……もうこんなにお金いらないし、もっと少なくていいから」女はそう言うと僕の肩に鼻をつけた。
「いや……」僕がそう言うと、女は声を少し大きくした。その声が一瞬佐江子と重なったように思い、僕は視線を逸らした。
「良かったでしょう?良かったはずだよ。やっぱり」
「違う。そういう意味じゃない。………大体、売春は、人間最初の職業って言われてる」
「最初?ふうん。……二番目は?」
「スリだよ。盗み。これは本当の話」
「……スリは職業?」
そう言われたので、僕は少し笑った。


そう、「売春」は人類最初の職業だったのだ。 


日本においても売春の歴史は古い。 
万葉集の時代から売春行為は行われていた記録があるらしい。 
そして安土桃山時代、豊臣秀吉が大阪の道頓堀に売春婦を一か所に集めた。 
「遊郭」の始まりである。 
飛田新地の、ああいうスタイルの所ね。 


その後の数百年の歴史の流れの中で、売春行為が表向きに法律で禁止されたり、「赤線」という形で認定されたり、それも廃止されたり、エロ行為を提供するスタイルが法律に合わせて変更されたり、と紆余曲折を経て、「売春」から始まった女から男にエロ行為を提供するビジネスは「風俗」という名前で現在、バリエーションに富んだ一大産業となっている。 


そんな長いエロの歴史の果てに、おれは現代を生きる。 
そして、とあるデリバリーヘルスの女とおれは出会った。 
女とおれの二人の間には何とも言えない繊細な相互関係が築かれた。 
その何とも言えない繊細な相互関係を、おれは物語調にして書いていった。 
自らのブログ「ポロリのハローグッドバイ」において。 


物語。 


ここで「ジョジョの奇妙な冒険」の作者である荒木飛呂彦のコメントを引用する。


人類最古の職業といえば「売春婦」というモノが、その№1の栄誉に輝く。
歴史の授業でそう言っていた(どんな仕事か、わからない人は、お父さんに聞くといいです)。
本当にそれより古い職業はないのか?
あった!
証明しろ!と言われたら「できません」とあやまるけど、きっと古いぞッ!
それは恐怖の物語を聞かせてくれる「語りべ」である。
昔々、星空の下で火をかこみながら、老人から少しだけ恐怖する話をきく。
きっと話をきいている人たちは、ものすごい集中力で想像力を働かせて、その世界にひたりきっていただろう。
「さぁ。今夜の話はここまでじゃ」
「もっと。ききたいよう。木の実あげるから話しておくれよう」
「あした、あした! さぁ寝た寝た!」
このような物語を作りつづけていきたいものである。


ということで、この物語ももう少しで終わりです。 


2015年10月。
デリヘルの女とのラインのやりとりはユルく続いていた。 
互いにそれなりに忙しい生活の中で。 


ある日、映画の話題になった。 
その結果、今度は女と映画を観に行くことになった。 
「観たい映画とかある?」とおれは言う。 
「テッド、観たい」と女は言う。 


テッド。 
命の宿ったテディベアが色々と奮闘する内容のアメリカのコメディ映画だ。 
何度か書いたかもしれないが、おれは普段、アメリカ映画を観る事はまずない。 
どうして、おれが出会う女の観たがる映画は、おれのセンスとことごとく噛み合わないんだろう。 
でも、断る理由もないので、「テッド」を一緒に観ることに。 


今回は女の出勤前の平日の午前中に会うことになった。 
おれも午後から仕事場に行かないといけなかった。
逢引きを果たした後は互いにそれぞれの職場に出勤するという流れになる。 
いつものように梅田のビッグマン前で女と待ち合わせる。 
映画の上映時間に合わせて、朝9時に集合とかそんなんだったと思う。 


約束時間通りに女は現れる。 
女は前の日の仕事が午前3時ぐらいに終わって、まだ6時間ほどしか経っていない。
なのに、結構元気そうな顔を見せた。 
女の服装は黒を基調とした大人っぽい感じだった。 
それに対しておれの服装は、ビューティフルピープルのオープンカラーシャツをブルーナボインのTシャツの上に羽織っていた。 


ビューティフルピープル。
このシリーズのタイトル「ダーティーアニマル」の対となる言葉のブランドだ。 
どうでもいいよね。 


手をつないでヘップナビオに向かう。 
ビッグマン前で待ち合わせてからのヘップナビオの映画館というコースは、以前婚活パーティーの女との映画デートと同じ流れだった。
時間帯は違うが。 


ヘップナビオのエレベーターに乗り、映画館フロアで降りる。 
朝イチの平日の映画館は人気が少なくてひっそりとしていた。 
なんとなく非現実的な感じがした。 
薄暗いエントランスフロアの自動券売機で、二人分のチケットを購入する。 
そして、キャラメルポップコーンとドリンクも購入する。 
ソファに並んで座って開場時間を待つ。 


女と雑談を交わす。 
女は二日前、例の妻子持ちの彼氏と喧嘩をしたらしい。 
その愚痴話を聞かされる。 


二日前は彼氏の誕生日だったようだ。 
だから女はプレゼントと、食事に行く準備していた。 
しかし、彼氏の仕事が長引いた。 
その結果、彼氏と会うのが遅れて、その事に対して詫びが無かったことが発端となって喧嘩になった、とかそういう感じの話だ。 
別にどうでもよかった。


「それでね、もう別れようと思って。彼と」と女は決心したように言う。 
「そうなん?」とおれは若干白けた顔で言う。 
「彼に、ポロリ君の写真を見せたの」 
「まじか」 
「もうあなたと別れて、この人と付き合ってもいい?って言ってやった」 


女の話を聞いていて率直に思ったこと。 


どうでもいいぜそんな事柄。 


とにかく、女が彼氏と付き合うとか別れるとか、愛してるとかいないとか、知ったことではない気分だった。
「そんなことより今日は映画を楽しもうよ」とおれは言った。 


その後は当たり障りのない内容を話したり、待合スペースにあったスヌーピーのでかい人形と並んで写メを撮影したりして過ごす。 
開場時間になり、劇場内へと入り、後ろの方の席に座る。
どうでもいいけど、TOHOシネマズの映画本編前の予告編とかコマーシャルとか小ネタのアニメとかって、本当に鬱陶しくないですか? 


拷問のように無駄すぎる前座映像のオンパレードがやっと終わる。
本編が始まる。 
「テッド2」を観る。 
喋るテディベアが主人公の映画という情報だけで臨んだ。 
何となくメルヘンチックな子供向けの映画を想像していた。 
すると、結構下ネタとかドラックネタとかのアダルトな内容が多くを占める内容だった。 
それはそれで、まあまあ驚きではあった。 
でも全体を通した感想を言うと、はっきし言って、予想通り全然面白くなかった。 


そんなことよりも気になった事があった。 


映画を観ている最中、饐えた臭いがおれの鼻腔をずっと刺激していたのだ。 
何の臭いなのか最初は分からなかった。 
劇場内の誰かが食べている食べ物の臭いか何かかもしれないと思っていた。 
しかし、その臭いは至近距離から漂ってくるような気がしていた。 


そして、途中でおれは気付いた。 
この悪臭は女の口の臭いだ。 
おれも、横に座る女も当然スクリーンに顔を向けている。 
それにも関わらず、女の吐く息から顔をしかめたくなるような酷烈な臭いが発せられていたのが分かったのだ。 
息苦しさすら覚えるほどの耐えきれない悪臭だった。 
眼前に広がる映画のスクリーンすらひどく歪んで見えるほどのキツい臭いが、女の口腔から漂ってきていた。 
映画のストーリーが進むほど、その臭いが気になって仕方がなかった。 


おれは表の世界で、ちょっと高級な口臭スプレーのプロモーションをするみたいな仕事を一瞬だけしていたのもあって、結構オーラルケアには細かい所がある。 
だから、なおさら女のそういう部分に敏感になった。 


臭いと言えば、かつて「一人の女を愛し続けるシリーズ」というシリーズものを書いたことがある。 
その時の女と別れる決め手になった要因の一つも、セックスの時に女の股から漂ってきた腐敗臭だった。
かと言って、女の臭い一つで全てを決めつけるような事などない。 


ただ、その臭いから、どうしても連想してしまうことがある。 
その臭いの元となっている部位は、毎日不特定多数の男達のチンコをしゃぶっている女の口腔からなのだ。 
なんて腹立たしい悪臭なんだろうと思った。 
この十年の間に嗅いだ臭いの中からワーストスメルを選ぶとしたらこの臭いは間違いなくトップ3に入るはずだ。 


ただ単にクサいというだけではない。 
そこには人間の尊厳そのものを意図的に冒瀆しているような凶悪ささえうかがえた。 
他のエピソードは徐々に記憶が薄れていくけど、その壊滅的な饐えた臭いの事だけはいつまでも忘れられない。 


なんとか我慢しているうちに、映画が終わる。 
映画館を出て、下の階で軽食をとることに。 
オープンスペースっぽくなっているカフェを利用する。 
おれはチョコレートワッフルとホットコーヒー、女はパンケーキとアイスティーを注文する。 


3分ぐらいで注文の品が来る。



中途半端に撮影された注文の品々。 


すっげーまずかった。 
ワッフルの生地は道端から拾ってきたんかというぐらいパッサパサで、細かく切られたイチゴは酸っぱすぎて、その上にかかっているチョコレートソースは嫌がらせかと思えるほど劣悪な甘ったるさで、口に含む度に吐き気を催した。 
アイスクリームだけは辛うじて普通だったのがギリギリ救いだった。 
それを我慢しながら食べた。 


その時にどんな会話を交わしたのかは全く覚えていない。 
きっとどうでもいい事だ。 


女のデリヘルの出勤時間が迫ってきていた。 
建物を出ることに。 
エスカレーターを使って、ビルを一階ずつ降りていく。 
映画館同様、平日の午前中なので全然人はいなかった。 
エスカレーターに乗って立ち止まっている間、ずっとキスをしていた。 
イタいカップルのように。 
でも、おれたちはカップルですらなかった。


建物の外に出る。 
ムカつくぐらい良い天気だった。 


キスをして別れる。 
別れる時、女は寂しそうな顔をしていたように思う。 


二人はそれぞれの職場に向かう。 
女は今日も誰かのチンコをしゃぶる。 
おれはオフィスで資料を仕上げる。 


仕事場まで向かう電車に乗っている間、全然面白くない逢引きだったなと思う自分がいた。 


数日後。 
午前の仕事が終わり、昼休み、アイフォンを見ると、女からメッセージが送られてきていた。 


「今日の夜、あいてない?」 


そのメッセージを見た瞬間、おれは思った。 
ここが分かれ目なんだろうな。 
女にとって。 
おれは、女が何をしたいのかが何となくわかった。 
女は、自分の気持ちを確かめるとかいう行為をしたいんだろう。 
流れ的に。 
現在付き合っている妻子持ちの彼氏か、おれか、どちらか一人を愛そうと女は考えているんだと思った。 


あくまでもおれ主観で感じただけだから、実際のところは知らない。 
女にとっておれという存在は、ただの暇つぶし相手だった可能性もある。 
ただ、空気的に、タイミング的に、そういう決定的なやり取りが含まれる逢引きの打診を女はしてきた。 


しかし、おれにとっては本当にどうでもいい事だった。 


なぜなら、おれがこの女に恋愛する可能性は0%だったから。 
デリヘルをやっている女という珍しいシチュエーションだとしても、女が鍛練の結晶みたいな美しい肉体をしていても、病気を患った儚い境遇にいたとしても、今の彼氏と別れようとしてまでおれに想いを寄せる素振りを見せてくれたとしても、おれの結論は変わらなかった。 


おれがこの女に恋愛する可能性は、最初から最後まで完全に0%のままだった。 


絶望的なまでに残酷な言葉で、女を突き放したかった。 
そのための準備をおれは周到にしてきた。 
実は女を地獄の底に突き落とす手筈は既に整いつつあった。 
そして、ついにそのタイミングが訪れたのだと思った。 
圧倒的真実を告げることで、もう二度と立ち直れないぐらいに女を徹底的に傷つける千載一遇のチャンスだった。 
その結果、女はおれの事を恨み、その恨みをエネルギーに変えて本当の意味で幸せに向かって進んでいく事になる、大一番の逢引きがそこに待っているような気がした。 


しかし。 


その時点で、おれの中での女に対する熱がだいぶ冷めてしまっていた。 
放置したお湯が常温に戻ったみたいに。 
それは揺るぎない事実で、どうしようもなく自然なことだった。 
なんか、もう面倒臭くなっていた。 
この、「なんかもう面倒臭くなった」感覚って、男特有の感覚だと思う。 
なんか、ほんま面倒臭くなることってありますよね。 


「ごめん、ちょっと仕事で疲れてるから、また今度にしてもらってもいい?」とおれは返信した。 
別にそこまで疲れてはいなかったが。
「分かった。ゆっくり休んでね」と女は返した。 


そして、おれは二度と女と会うことはなかった。 


その後、女がどうなったかは知らない。 
女が誰と結ばれるかも知らない。 
5年後も生きているかどうかも知ることはないだろう。 


おれのではなく、女の人生だ。 
好きにすればいいと思う。 
これまでと同じ事だ。 
それぞれの女に、それぞれの人生がある。 
おれのものではない人生が。 


街を歩く。 
色んな女が街にはいる。 
カワイイ女もいれば、そうでもない女もいる。 
あんまり注目しないけど、男も色んな人がいる。 
富んだ人もいれば、貧しい人もいる。 
病んだ人もいれば、幸せな人もいる。
優しい人もいれば、怖い人もいる。 
壮絶な過去を持った人もいれば、壮大な夢を持つ人もいる。 
生き方や死に方を選べる人もいれば、生き方も死に方も選べない人もいる。 


すれ違う人間全員にそれぞれの人生があって、日本ではそれが1億人もいる。 


美しい人々。
汚い動物。
あるいはその両方を兼ね備えた1億人が。 


気が狂いそうになるよね。 
1億分の1のデリヘルの女の人生にほんの少しだけ寄り添うだけでも、これだけの物語になったんだしな。 
とりあえず、せっかくだから女には幸せになって欲しい。 
おれのいない人生で。 
おれも君のいない人生で勝手に幸せになるから。 
そんなことを、ふと思った。 


そろそろ一つの季節が終わる。 
無垢な季節が。 


もう二度と帰ってこない。 
あの夢のような日々は。 


ありがとう。 
さようなら。 


3か月後、おれは結婚した。 



ポロリのハローグッドバイ 第1部 

「下らない人生だと誰かが言う お前の事 でもそれは、でもそれは」 

END

プロフィール
【名前】 ポロリ

【居住地】 大阪

【年齢】 アラサー

【職業】 サラリーマン

【趣味】 読書、映画鑑賞、アート鑑賞、ファッション、旅行、街をブラブラ、エロ全般

【コメント】 ブログをご覧いただきありがとうございます。
男と女のギリギリのドラマが大好きで自らの体験談を記録しています。
他にも音楽や文学やファッション、アートなどの話も書いてるので良かったらご覧になって下さい。
男女問わず色々なご意見ご指導いただけると幸いです。
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