「10年後に、10年前の君に会いたかった」

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と思うポロリであった。


今日書くのは、シングルスバーで出会った女の話。


2017年5月。


週末の夜、おれは梅田にある「シングルスバー」に一人で向かっていた。
その行為に至るまでの物理的な、あるいは精神的な詳しい経緯は省略する。
あるやん、1対1で勝負したくなる時。
そういう気分だった。


そもそも「シングルスバー」とはどういうシステムのバーなのか。
ポロリが目的地に到着するまでの間に軽く説明しておく。
出会い系ビギナーや、素人童貞や、近くにシングルスバーのない地方在住の方々にも記事を楽しんで頂くために。


男が座る。
女が来る。
男女が出会う。
一対一で数十分、会話をする。


ただそれだけの店だ。


過去に潜入した記事も参考にして頂ければと思う。

婚活バーの女① カルテットで臨んで、鹿に紛れてキスをした女


今日向かっている店は約30分女と会話をするのが2セットというシステムだった。
料金は3000円ちょっと。
2回転するエロくないピンサロみたいやな、と即座に思ったあなたは自信をもって素人童貞と名乗れると思います。


などと説明しているうちに店に着いた。
愛想の良い若い店員に和やかに迎えられる。
受付で料金を支払う。
早い時間だったので500円のディスカウントがあった。
これでピンサロやったら価格破壊もいいところだ。


入る。
薄暗い空間に、それぞれの人生を歩んできた人間たちが、それぞれの思惑の下で、それぞれの座席に座っていた。
それを眺めて、こんな風景に溶け込んでしまいたくないな絶対に、と思う自分がいた。


端っこの席に案内される。
フリードリンク制で、店員が注文を聞いてくる。
ハイボールを注文する。
一瞬で酒が来る。


早くも一人目の女が案内される。
テーブルを挟んだ向こう側の椅子に女が座る。


一人目の女は全くお話にならない、態度もデカければ顔もデカい女だった。
なのでトーク内容は省略する。


若干の腹立たしさを覚えながら、一人目が終了する。
そのタイミングで二杯目の酒を店員に注文する。
梅酒ロック。


一瞬で酒が来る。
と同時に二人目の女が案内される。
テーブルを挟んだ向こう側の椅子に女が座る。


さっきの女よりもはるかにスッキリした顔立ちのスレンダーな女だった。
この女こそが今回の記事の女だった。


めっちゃ無理して言えば和風美人と言えなくもない、黒髪ロングで瓜実顔の清楚系の女は単純なルックスレベルだけで言うと、
「アリかナシかでいうと、うーん、まあ、贅沢は言われへんからギッリギリでアリ」
といった所だった。失礼かよ!(セルフツッコミ)
しかし女が纏う柔和な雰囲気がおれに仄かな安らぎを与えた。


乾杯をして会話がスタートする。
女は外見の印象通りゆっくりとしたスピードで喋る。
落ち着いた口調で話す女と慎重に周波数を合わせるように会話を進める。


「おいくつなんですか?」とおれは訊く。
「え~っ、逆に何才?何年生まれ?」と女は淑やかに訊き返す。
「おれは〇年生まれですよ」
「そうなんや。私は、その〇個うえ」


頭の中で素早く計算する。
女は今年で41歳という事になる。
パッと見ではそうは見えなかった。
しかし改めて女の顔面を眺めると、笑った時に見せる目尻の深い皺が年齢を感じさせた。


女の異様な程に穏やかな喋り方は年を重ねた事で身に付いたものなのだろうか。(伏線)
その喋り方から、動物で例えるよりも植物で例える方が適切な女だと感じた。
植物といっても、花ではない、深い森の奥で密やかに生き続ける深緑色の葉と焦げ茶色の幹や枝を持つ古木みたいな植物だ。
そんな植物を、広大な荒野に打ち捨てられた真っ黒な鉄の塊みたいな瞳でおれは見る。


何度見ても、女の外見は特に美しいわけではない。
しかし、常に穏やかな微笑を浮かべて独特のテンポで話す女には何とも言えないエキゾチックさがあった。
美しさという概念から孤立した女のアイデンティティーみたいなものに魅力を感じた。


互いのプロフィールネタについて色々と話す。
しかし大した盛り上がりもなく制限時間が近づく。
もう少し女と話したいと思った。
この後、どこかで飲み直そうと打診してみた。


すると、
「今日は友達と一緒に来てるから…」という定番の断り文句を女は唱えてきた。
「関係ないっすよ、てゆうかその友達も、ここで良い男が見つかるかもしれなくないですか?」と、すかさずおれは言う。
「えーっ、どうだろ?」
「なんなら2-2で飲む感じでも全然いいですし」そう言いながらアイフォンを鞄から取り出し、素早くラインを立ち上げる。
「友達が明日、朝早いから、このあとは帰ろうかってさっき話してたんですよ」と女は言う。
そのセリフを軽く聞き流しておれは言う。
「ちょうど、おれの友達が梅田に来てるっぽいんですよ。
めっちゃくちゃ面白い奴なんで、もし良ければ、ソイツと一緒に4人でちょっとだけでも二軒目、行きましょうよ。
もしお友達が速攻で帰らなあかんかったら、そのまま帰って頂いて全然大丈夫ですし。
とりあえずこの後、この店の前で待ってるんで、もし良かったら考えてみて下さいよ~」


とか言っているうちに制限時間が来た。
女の「友達と相談してみる」というセリフを聞いた所で終了となる。
店員に促されて女が去る。


シングルスバーの利用はこの二人目で終了となる。


店を出る。


すると。


シティボーイ風エロメンが立っていた。

あ無題

がのた!!


「ポロリのハローグッドバイ」を継続してご覧いただいている方ならお馴染みの、ポロリの数少ない盟友だ。
この日、彼もちょうど用事で梅田に来ているという連絡が入っていた。
少しなら時間に都合がつくようだったので、先程のやり取りの最中にシングルスバーまで来てもらうようにお願いした。
するとタイミングよく立ち寄ってくれた。


頼もしい仲間と合流したぜ。
そのまま雑談しながら女たちが出てくるのを待つ。


数分後。
女とその友達がシングルスバーから出てきた。
がのたさんの親しみやすい雰囲気のおかげもあって和やかな感じで合流となる。
結局、近くで少しだけ2-2で飲む事に。


女の友達の単純なルックスレベルは、
「アリかナシかでいうと、うーん、まあ、悪いけどギッリギリでナシ」
といった所だった。失礼かよ!(セルフツッコミ)
あくまでも個人的な感想だ。


シングルスバーのすぐそばにあるイタリアンバルに入る。
丸いテーブル席を囲んで座る。
適当な酒とつまみを注文する。
殆どの時間、おれはシングルスバーで出会った女と、がのたさんはその友達と一対一で会話をして時間は過ぎていった。


まあまあの食い付きを感じながらも、結局その日はこれで解散することに。
連絡先を交換して店を出る。


駅まで送る。
女二人が電車で帰った。


そのあとがのたさんと二人で適当な立ち飲み居酒屋で飲みなおす。


がのたさんにおれが担当した女の感想を尋ねる。
すると彼は言った。
「ああいう女に限って、ドスケベな下着を付けてたりするんですよ。めっちゃ興奮しますよね」


それはうまい表現だと思った。
と同時にそれを聞いて女との関係性をもっと深めたいという意欲が湧いて来た。

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中途半端に撮影された盟友との立ち飲み居酒屋。


数週間後。
2017年6月。


女とデートのアポイントが取り付けられた。
女は週に一回、平日に休みがあるらしい。
こちらの仕事に折り合いを付けて女の平日休みの昼下がりに会う事になった。


行き先は女の地元にある大型複合施設。
梅田とか難波ではなく敢えて郊外を選んだ理由は女の印象によるものが大きい。
虚飾と喧噪の入り混じる大都会よりも、ある程度ゆっくりと時が流れるローカルなロケーションの方が女に似つかわしいと思った。
また、女の地元で遊ぶ事で、夜遅くまで一緒にいられてエロ行為にまで事が及ぶ可能性を上げる意図も少しあった。


女が指定する駅まで向かう。


着く。
女は車でおれを迎えに来てくれるという。
駅前のロータリーに突っ立って待つ。
小雨がパラついていたが傘をさすほどではなかった。


改めてシングルスバーで出会った41歳の女の事を考える。
ポロリと今回の女との年齢差は10個差とかそんなものだ。
ジェネレーションギャップ?
余裕余裕。


少し前の、40歳の超大手化粧品メーカーの元専属モデルの人妻と死みたいなセックスを繰り返した経験をもってすれば十分通用するだろう。
そんな謎の余裕があった。


所詮はただの1人の人間と向き合うだけの事だ。
その女が植物みたいな不思議な女だろうと構わない。
かかって来いや。
植物みたいな女。


などと考えているうちにグレーのミニバンがおれの目の前に停まる。
中にシングルスバーの女が乗っていた。
女は梅雨の季節に映えそうな群青色のワンピースをクールに着こなしていた。
特別高価には見えなかったがそのワンピースは女のエキゾチックさを引き立てていた。


それに対しておれの服装は、まあおれのはいいか。
ゾゾスーツね。
嘘。
ごめん、適当。


助手席に座らせてもらう。
車が発進する。
西日本最大級の大型複合施設へと向かう。
こう書くともはやどこの事なのかバレバレだと思うけど、一応具体的な名前は伏せておく。


着く。
大規模な駐車場に車を停める。
降りる。
ショッピングモールへと入る。


平日だからガラガラだった。
「平日だからガラガラだ」という一般的なイメージを遥かに超えるほどガラガラだった。
引くぐらい閑散としていた。
超大型台風が上陸した時の宮古島かと言いたくなるほど人がいなかった。


適当なカフェに入る。
広々とした店内の客席には仕事をサボった風のサラリーマンと主婦友達っぽい女たちが1組いるだけだった。


注文をする。
おれはミックスジュース、女はフレーバーティー。
それに加えてスコーンをシェアする事に。


だだっ広い店内の95%以上の席が空いていた。
座る席を決める時、なんか笑ってしまった。
結局、仕事をサボった風のサラリーマンと主婦友達っぽい女たちと直角二等辺三角形を形成するような位置の席に座る。


女と会話をする。
主に女のこれまでの41年間の人生についておれが尋ねて相槌をうつという感じだった。


女は大阪で至極平凡な中産階級の家庭で生まれ育ち、専門学校を出たあとは歯科衛生士として働いた。
当然、交際する男は何人かいたが、結婚をするほどの相手に巡り合うことはなかった。
気付いたら40代になっていた。
このままでは良くないと思い、婚活を始めた。
出会った男と食事に行ったりしてみるものの、これといって特別な人は見つからずに今に至る。
ちなみに一時期は一人暮らしをしていたが、今は実家に戻ってきていて家族との仲は良好。
休みの日は家で撮りためていたドラマを見たり、近所に住む姪っ子と遊んだり、買い物をしたり友達とご飯を食べに行ったりして過ごしている。
今の暮らしは快適で不満があるわけではないけれど、将来の事を考えると不安が募る。


ここでこの記事をご覧の出会い系ビギナーや、素人童貞の方に言っておく。
婚活女子って、だいたいみんなこういう感じです。
もうほんま、なんでこんなにも同じような人間が量産されちゃったんだろうと嘆いてしまうぐらい、みんな同じような事を言ってきます。


それでも普通だったらその人の語る人生にはそれなりの凹凸や彩りみたいなものがある。
基本的にはそこにフォーカスを当てて諧謔混じりに話を広げていく。
そのようなやり取りを重ねて関係性を深めていき、あわよくば最終的にはエロ行為に至る、みたいな流れが自分の中でのスタンダードな男女の駆け引きとしてあった。


しかし、この女の話に人間的な凹凸や彩りを見つけ出すのは難しかった。
それらしきエッセンスを見つけて掘り下げようとしても、女の反応は植物のように薄い。
話が盛り上がるという事がなければ続くという事もなかった。
結果、一つ一つの会話のキャッチボールが単発で短時間で終了してしまい、不自然な間ができがちになる。


不自然な間によってもたらされる沈黙は決して心地の良いものではなかった。
なので無理やり何か新たな話題を持ちかける。
しかしその新たな話題も大して盛り上がらず終了、不自然な間、沈黙アゲイン、という悪循環に陥る。
女が中途半端な愛想の良さを見せてきているのが余計に停滞感を生んだ。


このままではどうしようもなさそうだった。
てゆうか、これ、初めて会った時になんで気付かんかったんやろ?謎や。


とりあえずカフェを出る。
適当なショップを見て回って買い物をする。
でもなんかちょっと白けた感じだった。


何か二人で一緒に楽しめそうなスポットはないだろうか。
すると複合施設内に「水族館と動物園と美術館をミックスさせた、新しい感覚のミュージアム」があった。
こう書くと、もはやどこの事なのかバレバレやと思うけど、一応具体的な名前は伏せておく。
そこに入る事に。


入場料金は1900円×2人分。
おれが払った。


入る。
ちなみにこのミュージアムも「平日だからガラガラだ」という一般的なイメージを遥かに超える程ガラガラだった。


各種魚、ペンギン、カバ、ワニ、ホワイトタイガー、ビーバー、カピバラ、カワウソ、フクロウ、ペリカン、あらゆる動物が至近距離で見物できて、いくつかの動物は実際に触れる事ができた。
ちなみに記事の冒頭に掲載した写真はここにいたキツネザル。
気の合うカップル同士で行ったら普通に楽しめると思う。
しかしこの植物みたいに静かな女と回っても心が冷たくなるような気分になるだけだった。


1時間ぐらいかけて全ての動物を見る。
停滞した状況を打開する糸口は特に見つからなかった。
ミュージアム自体はまあまあ面白かったのが救いだった。


ミュージアムを出る。
外は夜が来ていた。
雨は止んでいた。
晩御飯を施設内で食べる事に。


近くにあった沖縄料理を中心に取り扱う居酒屋っぽい店に入る。
食べる。

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中途半端に撮影された現場の風景。


「おれでよければ立候補しますよ。彼氏」とおれは直球で言ってみる。
「私で良ければ、全然もらってください。ほんまに」と女は言う。
抑揚のない口調で植物的な笑みを浮かべながら。


それでも二人の間に漂う森の中みたいにしんとした空気感は変わらなかった。
もし仮にこの女と一生を共にするとしたら絶対に気が狂うと思う。


食べ終わる。
店を出る。
料金は全部おれが払った。


そのあとも適当にショッピングモールを歩いて適当な買い物をして帰る事に。
女の車で駅まで送ってもらう。


着く。


夜の駅前のロータリーに車が停車する。
今日は帰ることに。
次に会う曖昧な約束をして、サヨナラをする雰囲気になる。


その時。


女を軽く抱き寄せ、キスをした。
植物みたいな女の唇は沼地のようにトロっとしていた。
そんな女の上唇をやや強めに吸う。
すると女は下唇を金魚みたいにパクパクと引き攣らせた。
それが植物みたいな女が初めて見せた動物的な動きだった。
その動きは醜くて、生々しくて、本質的で、美しかった。


そのあとも女の湿り気を帯びた唇が敏活に動くのに呼応させるように唇と舌を絡め合わせる。
結構アツいキスだ。
女の植物みたいになる前の動物的な姿を呼び覚ましたような感覚があった。


数分間、車の中で濃厚なキスをした。
多分、外を歩く人々から丸見えだったと思う。
でも別に気にしなかった。


助手席のドアを開ける。
車を降りる。
笑顔でサヨナラをする。
最後の笑顔によって形成された41歳の女の目尻の皺は、これまでで一番美しく感じた。


車が発車する。
見えなくなるまで見送った。

 
二度と女に会う事はなかった。


電車に乗る。
帰り道で思った。


年齢が逆だったら二人、結構いい感じだったんじゃない?


すなわち、今から10年前の31歳の女は、最後のキスの時のような動物的な感じが通常時においても幾分か備わっていたと思う。
そして、今から10年後、40代になったおれは女のような落ち着いた雰囲気の人に惹かれるようになっているような気がする。


10年後のおれが10年前の女に今回のシチュエーションで出会っていたら。
もっとドラマチックな展開だったのかもしれない。
実現不可能な事だが。


今のおれは女の子との関係性において刺激的で情熱的な要素を求めた。
それは若さと言い換えられるのかもしれない。
しかし40歳を超えるとまた感性が変化するような気がする。


答え合わせが出来るとしたら10年後だ。
10年後もこんな活動をしていたらの話だが。


そんな事を考えながら大阪郊外の街を後にした。


………………。


エロブログのクセに、結局今回もキスだけして終わりかい!って思いました?


安心してください。
次の記事ではめっちゃくちゃセックスします。

友達作りTalkの女⑪ 振り返らない女の旅立ちのセックス

を、良ければお楽しみに。



最後まで読んで頂きありがとうございます。
是非コメント下さい。
喜びます。


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