ポロリのハローグッドバイ

関西を中心とした出会い体験記です。 風俗や出会い系、クラブなどの色んな女の子たちとの美しい出会いと別れについて深く追求していきます。 殆どは多くの人が体験するあるあるネタだと思います。

過去編

真・過去編③ 2011年5月の田園風景、365日の立ち止まり

2011年5月。


おれは彼女に電話をかけた。


「もしもし」
「もしもし。ポロリ?」
「久しぶり」
「どうしたん?急に」
「おれ、被災地に行くことになった」
「え、ほんま?転勤?」
「ううん。3泊4日の災害支援活動みたいなやつ。石巻市まで」
「そうなんや。偉いやん」
「向こうはスゴいことになってて大変やねん」
「テレビで毎日見てるで」
「うん。もしかしたら余震に巻き込まれて帰ってこれなくなるかも」
「そんな縁起でもないこと言わんとって。ポロリが帰ってくるのん待ってるよ」
「ありがとう」
「気を付けてね」
「もし、無事に東北から帰ってこれたらさぁ」
「うん」
「アイツに会いに行こう」
「いいよ。行こう」


こうして、おれは東日本大震災で被災した人々のために、東北へと向かった。
ほんの数日間、ほんのささいな活動ではあったが、自分なりにやれる限りの支援活動をしてきた。
幸い、余震に巻き込まれることなく、無事に災害支援活動から帰ってきた。


数日後、おれは彼女と会う事になった。
彼に会いにいくために。


良い天気だった。
もう夏はそこまで迫っていると言わんばかりの生命力漲る日差しが世界に降り注いでいた。


彼女の家の最寄駅で待ち合わせをする。
待ち合わせ時間通りに彼女は来た。
会うのは久しぶりだった。
なのに、まるで昨日会ったかのような親近感が湧いてくるような人だった。


あくまでもおれと彼女は友達同士だった。


駅前にあった花屋で花を買う。
ワリカンで。 
1000円とかその程度のものだった。


互いの近況を語り合いながら、電車に乗る。
数十分すると、彼の家の最寄駅に到着する。
降りたのは、超絶ド田舎の無人駅だった。


そこから目的地まで、バスに乗らなければならない。
バスは1時間に1本のペースで出ていた。


30分ほど待つ。
他にバスを待つ人はいなかった。
田舎だから、みんな大体車で行動するのだ。


ようやくバスが来る。
それに乗り込む。
一番後ろの座席に並んで座る。


バスは走る。
雲一つない青空の下を。
乗客はおれたち二人だけだった。


窓の外を眺める。
日盛りの日を受けた田園風景が絶え間なく流れていく。


のどかだ。
この世に残酷な出来事など何一つ存在しないかのような、圧倒的にのどかな田園風景だった。


本当にのどかだ………。


のどかな田園風景が人の心に呼び起こすのは穏やかさ以外には何もなかった。


おれの横に座る彼女は、静かに、眠そうな声で言った。
「………のどかやな………」
「うん…」とおれも穏やかな声で返す。


「友達同士」の男女二人を乗せたオンボロのバスが、美しい田園風景をゆるやかにすり抜けていく。


良く晴れた5月下旬の、爽やかな青空の下。
キラキラとした日差しを受けながら。
のどかな景色は果てしなく続くようだった。
やすらぎに満ちた透明な空気の中を。


一面に広がる田んぼの緑色が、そよ風と太陽の光を受けてサラサラと揺れているのが窓から見えた。
なんて、綺麗なんだろう。
平和だ。
途轍もなく。


まるで時間が止まっているみたいだ。


バスは走る。
一人の男のもとへ。
のどかさのあまり、二人が交わす言葉は自然と減っていく。
交わす言葉などなくても、この穏やかな感覚を確実に共有できているという確信があった。


このバスに乗っている時。
それが、これまでのおれの人生の中で最も美しいシーンだ。
本当に美しかった。


25分ほど、バスは走る。


とうとう、目的地の最寄りのバス停に到着する。
降車する。 
バスは乗客ゼロになった。
それでも引き続き田園風景の中を走り続けていた。


おれと彼女は近くの林に入る。
その中を進んでいく。


汗ばむほどの陽気の中、歩く。
虫にまとわりつかれたり、木々に引っかかったりしながら。
草木の匂いが新鮮だった。


数分後。


少し迷いながらも、辿り着いた。


彼の墓に。


「会いにきたよ」 
彼の墓に向かって、言う。
彼の魂に向かって、呼びかける。
しかし、返事はない。


買ってきた仏花を供える。
そして、二人で手を合わせる。 
静かな林の中。
死んだ人間に思いを馳せる。


長居しても仕方ないので、すぐにもと来た道を引き返す。
林を抜ける。


降りたバス停の近くに彼の実家があった。
ちょうど、庭先に彼の父親がいた。
庭仕事をする後姿が見えた。
なんとなく声をかけるのはやめておいた。 


自分より先に子供に死なれた父親の気持ちってどんなんだろうな。
それは今でも分からない。


1時間に1本のバスに再び乗る。
駅まで戻る。
無人駅から電車に乗る。


乗換の駅に着く。
おれと彼女は、それぞれの家の方向の電車に乗り換える事になる。
ちょっとお茶してから帰る、という感じではなかった。
そのまま帰るのが、なんとなく適切な気がした。


友達同士の、サヨナラをした。
おれと彼女は、あくまでも友達同士だった。


それから一年間、おれは数多くの風俗嬢たちと戯れ続けた。


そして2012年5月。
おれは「ポロリのハローグッドバイ」というブログをスタートした。
ブログを書いていく上で、他の人たちの色々なブログを閲覧する事が増えた。
ある日、人気ブログのとある記事を目にとめる。


364日震災のことは忘れています


大まかに言うと、「せっかく体験した震災だから、3月11日だけは大切な人に伝え忘れた事がないか、立ち止まって考えてみよう」という内容のブログ記事だ。


しかし、この頃のおれは、365日、立ち止まっては彼の死を考えていたように思う。
1日たりとも、悲惨すぎる死を遂げた彼の事を忘れる事はなかった。


第4話に続く。


あるいは、第2話へと戻る。



このシリーズの目次はコチラ


真・過去編② 2012年11月→2013年5月の二重の絶望

2012年11月。


おれは風俗遊びを繰り返していた。
主にデリへルだった。


電話一本で、女がおれの家に現れる。
女に金を払い、エッチな事する。
用事が済むと、女は身支度を整え、ドアの向こうへと消えていく。
ほぼ全員の女と、その後の人生において二度と会う事はなかった。


風俗の女とエロ行為をしている間は、忘れられる。
自分の名前も、職業も、ふるさとも、未来も、過去も、夢も希望も絶望も全て。
そして、女の名前も、職業も、ふるさとも、未来も、過去も、夢も希望も絶望も、何一つ気を使わなくてよかった。
金を払っている以上。
そこが風俗のいい所だった。

   
風俗で現れるのは、震えるほど良い女もいれば、話にならないくらいダメな女もいた。


その日の女は、本当に最悪な女だった。


大阪デリエステ「H」の女⑪ 絶望の淵に持ってかれる絶望女


めちゃくちゃ不愛想な女によって、ゴミクズのような扱いでの下手くそなマッサージ、からの手コキをしてもらうという内容に対して支払った金額は1万3000円。


女が帰ったあと、おれを急速に襲ったのは絶望感と孤独感だった。
男って、たまにそうなるよね。
全員かどうかは知らんけど。

  

無性に寂しくなって、たまらずおれは数人の女にメールを送った。
その数人の中に、「彼女」はいた。


夜中にも関わらず、彼女からすぐに返事が来た。
記憶に残らないほど他愛のない内容のやり取りを交わす。
彼女と連絡をとるのは約1年ぶりのことだった。
でも、久しぶりな感覚はなかった。
しょっちゅう会っている間柄のようにしっくりとしたやり取りだった。


数週間後、彼女の方から、再びメールが送られてきた。 


「ポロリに2次会に来て欲しいねん」と女は言う。
「え、2次会って?」とおれは返す。
「来年の5月○日に結婚するねん。言ってなかったっけ?
まだまだ先やけど、早めに声かけておこうと思って」


先日抱いた絶望感を遥かに超える絶望がおれを襲った。

   
彼女が結婚するなんて、全く知らなかった。
まじかよ。


おれは咄嗟に嘘の返事を送った。


「ゴメン、ちょうどその日、偶然にも上司の結婚式があるねん。
めっちゃお世話になってる人やから、そっちに行かなあかん」 



それから、半年の月日が過ぎた。


2012年から2013年になった。


おれは相変わらず風俗遊びを繰り返した。
彼女は多分、結婚に向けての準備を進めた。


おれは26歳から27歳になった。
彼女も26歳から27歳になった。


死者だけが19歳のままだった。




2013年5月。   


彼女の結婚式の当日の夜。
二次会が行われていたであろう時間帯。


おれは「飛田新地」にいた。


当然、上司の結婚式など、無かった。
   
  
飛田新地の女② 全ての男の中で諭吉が一番好きな女 
      
この記事の書き出しの文章。


「ある雨の夜、飛田新地へ行ってきた。


2013年5月。


久々に行こうと思った経緯は省く。
そこに新地があるからや。
とかいって。」
   




その日、飛田新地に行ったのは、彼女と、そして、もう一人の死んだ男のことを忘れるためだった。       


風俗の女とエロ行為をしている間は、忘れられる。
自分の名前も、職業も、ふるさとも、未来も、過去も、夢も希望も絶望も全て。
   


その日、エロ行為をしたのは、結構いい女だった。
可愛かったし。


もちろん、女の名前も、職業も、ふるさとも、未来も、過去も、夢も希望も絶望も、何一つ気を使わなかった。



そしておれは前よりもっと独りになった。 
   


第3話に続く。


あるいは、第1話へと戻る。





    
   




このシリーズの目次はコチラ     






真・過去編① 2014年11月の二人の会話、交わらない運命

2014年11月の夜。
ショッピングモールでおれは彼女と待ち合せる。
彼女に会うのは久しぶりだ。


待ち合わせ場所で、おれは彼女を見つける。
ゆっくりと近づく。
そして、微笑みながらおれは彼女に声をかける。


「久しぶり」
「久しぶり」
「元気やった?」
「うん。ポロリは?」
「元気やで。てゆうか、ほーんま久しぶりやんな!5年ぶりとかそんなん?」
「そんなに経ってへんやろー。今のポロリのマンション、よく行ってた時あったやん」
「そう言えばそうやったな」
「全然同窓会とか来ーへんし。飲み会とかやっても来たことないやろアンタ」
「来たことないことないし。何回か行ったよ」
「いやいや、全然来てへんし」
「そうかな」
「そうやで」
「お腹すいた?」
「うん、まあまあ。ポロリは?」
「すいた。仕事終わりやし」
「お疲れ様っ」
「ありがとう。何食べたい?」
「なんでもええよ」
「おれはねー、めっちゃ肉食べたい。上の階に焼肉屋あるから行かん?」
「いいよ」
「よっしゃー」
「あっち?」
「うん………、ちょ、ちょっとまって」
「何?」
「赤ちゃんできたん?」
「そうやねん。よう気付いたね」
「思いっきり付けてるやん、『お腹に赤ちゃんがいます』のキーホルダー」
「うん。付けるの恥ずかしかってんけどなー。もらったし、せっかくやからと思って」
「それやったら、あんま脂っこい物は食べへんほうがいいんちゃうん?よう分からんけど」
「んー、まあ、そやね」
「体にいいもんにしようぜ」
「いいん?焼肉食べたいって言ってたやん」
「他ので全然いいよ。………この和食みたいなんにせーへん?」
「はあい」
「最初っから言っといてやーそういうのは」
「別にええやーん」
「一見分からんよね。何か月?」
「3か月。まだ全然お腹おっきくなってへんやろ」
「うん。つわりとかはー?大丈夫?」
「だいぶおさまってきた。あんまひどくなかったし」
「よかったよかった。…何にする?」
「この、うどんと親子丼セットのやつ」
「じゃあおれもそれにする」


歳月が彼女を落ち着いた大人の女にさせていた。
おさまる所におさまっていた、といった感じだった。
それに比べて、おれは相変わらず、さほどおさまる所におさまっていなかった。


「ポロリはまだ旅を続けてるん?」
「旅?」
「全都道府県、旅して制覇するって言ってたやつ。
台湾行ったってこの前言ってやん。電話で。
たから日本は全部行ったんかなーって思って」
「全部行ったで。だいぶ前に」
「まじで!?すごー!」
「全県制覇とか懐かしいな」
「てゆうか、行くのん一人じゃ寂しくない?」
「全部一人ってわけじゃないで。
職場のヤツと行ったり、まあ、その時の彼女と行ったりもしたで」
「でも一人の方が多いんやろ?」
「まあ、基本そうやな」
「わたしやったら絶対無理やわー。寂しいわ~」
「その県の人との出会いがあるやないか」
「そっか。今まで行った中でどこが一番良かった?」
「んーどこやろうなー。
九州とか良かったかも。鹿児島とか。宮崎とか」
「へー」
「ほんでさあ、だんだん行く県が増えれば増えるほど『行ってない県』の場所が飛び飛びになっちゃうねんな。
北陸は富山県だけ残ってて四国は徳島だけ行ってないとかそんな感じになっていって。
だからそれを全部回収しようとして、2年前ぐらいのお盆休みに1週間ぐらいで日本1周みたいなことをやってん。
初日に宮崎県に行って泊まって、次の日に徳島まで行って、ほんで次の日に富山県まで行って、次の日に山形まで行って、次の日青森県まで行って、最終日に福島県まで行って帰ってきてん」
「めっちゃハードやん」
「うん。ほとんど移動で終わった。でも旅としてはそれが一番印象に残ってる」
「アホやろー」
「まあ、そんなこんなで忙しくて飲み会とか同窓会も行かれへんかったわけや。
他にも同級生で結婚した子っておるん?」
「去年MちゃんとJ君が結婚した」
「まじで?中学んときから付き合ってなかった?」
「うん。その結婚式の時にみんな集まったのにポロリだけ来てへんかった」
「てゆうかおれ、誘われてないねんけど。二人が結婚したのも今知ったし」
「そういうのに行かなさすぎるからやろ~」
「他には?」
「Tちゃんも結婚したな」
「誰と?」
「職場の人と」
「そっかー。みんな結婚していくな」
「ポロリは?」
「おれ?」
「うん。彼女おらんの?」
「おらんよ」
「なんでなん」
「なんでって言われてもな」
「どのぐらいいないん?」
「半年ぐらい」
「そうなんや」
「まあ、おれは『常に半年ぐらい彼女がいない』ねんけどな」
「なにそれ~」
「とりあえず君が幸せそうで良かった」
「そんなことない」
「そんなことあるやろ」
「そんなことないよ」
「そうかな」
「…………………」
「順風満帆やん。
まあまあ適齢期に結婚して、いいタイミングで子供もできて」
「やめて」
「え?」
「そんなん言わんとって………、ほんまに泣きそうになるから」
「…………」
「…………」


詳しい事を聞いてはいけないような雰囲気が漂っていたので、それ以上は尋ねなかった。
それなりに色々あるんだろうけど、彼女はおさまる所におさまっているんだろうと思った。
思った、というより、願った。
おれはそういう訳にはいかなかったから。


そのあとは当たり障りのない話題をするように心掛けた。


「おいしかった?」
「うん。おいしかった。ありがとう」
「よかった」
「これ、ポロリにあげる」
「なになに?」
「プレゼント。もうすぐ誕生日やろ?」
「えー!覚えててくれたん?ありがとう」
「そら覚えてるよ」
「まじか」
「うん」
「君から誕生日プレゼントもらったのって、何年ぶりやろ」
「そういえば昔、あげたような気がする」
「うん。手袋もらった」
「そうやっけ」
「一生大事に使おうと思いながら使ってた」
「大げさやな」
「さすがに何年かしたらボロボロになっちゃったけど」
「そりゃあね」 
「一緒に映画観に行ったん覚えてる?」
「覚えてるよ。行ったね」
「あの時もおれの誕生日祝いを兼ねてみたいな感じで会ったやん」
「そうやったかなぁ」
「うん、多分その時に手袋もプレゼントしてくれたんやと思う。
それでさあ、あの頃は全然金が無かったから、フードコートで600円ぐらいの、なんか、ロコモコ丼?みたいなやつ、買って食べたやん」
「そうやっけ?」
「ほんで、セットのアイスコーヒーをおれが思いっきりテーブルにバッシャーって派手に全部こぼしてしまって、『ほんまありえへん』とか言って、君が呆れてタオル借りに行ってくれて、新しいドリンクももう1個貰ってくれたやん。
ほんまアホみたいやったよねー」
「そんなんあったー?よく覚えてるね」
「覚えてるよ」
「映画を観たんは覚えてるけどなぁ」
「そっかー」
「うん」
「………………」
「………………」
「あの頃が一番楽しかったね」
「………………」
「ウチ、寄ってく?」
「旦那が家にいるから帰らなあかん」
「そっか、駅まで送るよ」
「いいよここで。ありがとう」
「そう?こっちこそありがとう。プレゼントまでわざわざ」
「ううん。また飲み会開くから、その時はちゃんと来てな。
みんなポロリが来るの、待ってるから」
「まあ、気が向いたら行くわ」
「うん。バイバイ」
「バイバイ」


笑顔で手を振って別れる。


おれは、彼女がどこの誰と結婚したのか知らない。
知る必要がないからだ。


いずれにしろ、「彼」のいない世界で、彼女とおれはこれからも生き続ける。


そして、おれは二度と彼女と運命が交わらない人生をこれからも歩み続ける。


「ポロリ」として、ハローグッドバイを繰り返しながら。








第2話に続く。


あるいは、
序章へと戻る。










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プロフィール
【名前】 ポロリ

【居住地】 大阪

【年齢】 アラサー

【職業】 サラリーマン

【趣味】 読書、映画鑑賞、アート鑑賞、ファッション、旅行、街をブラブラ、エロ全般

【コメント】 ブログをご覧いただきありがとうございます。
男と女のギリギリのドラマが大好きで自らの体験談を記録しています。
他にも音楽や文学やファッション、アートなどの話も書いてるので良かったらご覧になって下さい。
男女問わず色々なご意見ご指導いただけると幸いです。
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