薔薇の言葉

フランス語・フランス語教育/フランス語圏の諸相と女性事情/メディアと現代女性など

2005年07月

毎日新聞の記事より:


<明大教員>「仏語は国際語失格」石原知事に学習セット贈呈
 「フランス語は数の勘定ができず、国際語として失格」などと発言した石原慎太郎・東京都知事にフランス語を勉強してもらおうと、明治大学のフランス語専任教員の有志が26日、都庁を訪れ、教科書や辞書、電卓の「学習セット」をプレゼントした。
 政治経済学部の小畑精和教授ら13人。石原知事は28日まで休暇のために不在だが、「勘定の仕方を含めて言語は多様。違いを認めることが国際理解の第一歩であることも学んでください」などとする要望書とともに、都民の声課の担当者にセットを手渡した。
 「コツコツ勉強すれば、数は数えられるようになる。難しければ、われわれが個人教授いたします」とメンバーたち。小畑教授は「抗議というより、フランスのエスプリを示したかった。知事にはぜひフランス語を理解してほしい」と話した。
 石原知事の発言は名誉き損に当たるとして、フランス語学校長ら21人が13日、謝罪広告や損害賠償を求めて東京地裁に提訴している。【猪飼順】
(毎日新聞) - 7月26日13時27分更新)

05725560.dat"Label" No59 troisie'me semestre によると、

「フランス人の85%は、女性大統領に投票する」- 2005年2月におこなわれたアンケート調査によると、このような結果が出た。ちなみに、現在、女性の選挙者数は国民の51%を占めているが、女性議員は上院で13.3%、下院では17%に過ぎないフランスにとっては明るいニュースである。

LES FRANCAIS PRETENT A ELIRE UNE FEMME PRESIDENTE DE LA REPUBLIQUE

interoge's pour la premie're fois sur cette question, les Franc'ais et les Franc'aises sont 85 % a' de'clarer qu'ils seraient pre'ts a' e'lire une femme pre'sident de la Re'publique, selon un sondage re'alise' en fe'vrier 2005. Un re'sultat encourageant pour l'avenir de la parite' en politique, alors que les femmes repre'sentent seulement 13,3% des de'pute's et 17 se'nateurs pour 51 % du corps e'lectoral. Pour faire progresser la repre'sentation des femmes en politique, les Franc'ais font confiance aux assoiations des droits des femmes, aux femmes politiques, aux medias, et, enfin, aux partis politiques.

愛知大学の中尾先生の調査より

1)*haricot (9,389 items) / 有音
新スタンダード、クラウン(第5版)、プチ・ロワイヤル、ロワイヤル、プログレッシブ、で有音のhと記述。ただし、プチ・ロワイヤルだけが「日常会話ではしばしばリエゾンが行われている」との説明がある。
(d'haricot(s)の多くは、複数形で用いられ、アルザス・ロレーヌ地方、ブルターニュ地方などの地方紙に集中していて、私に確認しえた限りでは、Le Monde, Liberation, Humaniteの中央紙(?)ではd'haricot(s)の例はありませんでした)
ex.Les viandes sont accompagnes de pommes de terre sautes aux herbes et d'haricots verts.(DNA2000/04/21)

2)hurler (10,723 items) / 無音
新スタンダード、クラウン(第5版)、プチ・ロワイヤル、ロワイヤル、プログレッシブ、で有音のhと記述。なお、muet扱いしているものはフランス語のメーリングリストやネットニュースなど、かなりくだけたフランス語と考えられうるものに集中しているが、Liberation等の新聞のデータの中にも散見される。

3)humer (1,233 items) / 有音
同上。
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詳細

** h non-muetとみなしうる例
de haricot(s) 1071
le haricot 248
du haricot 99
au haricot 22
ce haricot 10
TOTAL 1450

** h muetとみなしうる例
d'haricot(s) 85
l'haricot 9
cet haricot 1
TOTAL 95
** h non-muetとみなしうる例de 574
je hurler 175
ne hurler 147
le hurler 51
que hurler 28
se hurler 10
TOTAL 985
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** h muetとみなしうる例
d'hurler 106
j'hurler 23
n'hurler 14
qu'hurler 9
TOTAL 152
ex. Les enfants eurent encore l'occasion d'hurler comme des
loups...(Alsace 1998/12/27)

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** h non-muetとみなしうる例de 574
de humer 100
je humer 28
le humer 28
se humer 12
la humer 9
ne humer 2
TOTAL 179

** h muetとみなしうる例
d'humer 30
j'humer 5
l'humer 5
n'humer 1
TOTAL 41
ex. Avant d'humer l'odeur du gazon et d'apprecier le chant
du rossignol dans sa petite propriete,...(Liberation 1995/05)
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これまで授業では, 有音のh・無音のhの説明に関して、habitude, harpe, hotel, heros, heroi'ne といった例を挙げ,「有音のh」の言葉の場合には、辞書により十字架のような印がついているが、それはリエゾンやエリズィオンをしてはいけないということである、という風に学生達に教えてきたのですが、このような文法説明ではいけない、という言語学者の論争を知ってヒヤリとしました。

言語学専門の先生によると、たとえば、helas の語頭の h は、h muet なのか それとも h non-muet (h aspire'/ disjonctif )なのかは、辞書によって指示が異なっているそうです。

- muet 派 :スタンダード仏和、クラウン仏和、小学館ロベール仏和大/ DFC, Petit Robert (CD-ROM)

- non-muet 派:白水社ラルース仏和、ロワイヤル中(初版、第二版)、ル・デ ィコ、プチ・ロワイヤル、白水社仏和大、小学館プログレッシブ仏和 / Robert methodique, Dict. de la langue fr.(Larousse) 

一体どちらが正しいのでしょう。
しかも
*「辞書では、hyene(ハイエナ)や hiatusに†が付いていたりしていますが、e'lision やliaison をしないとしても、それを有音のhだからと説明するのがよいのかどうかは分かりません」
*「hyene や hiatus の前でelision や liaison をしなかったとしても、それは、hが有音だからではなく、発音が半母音で始まっているために起きていることかもしれない」のだそうです。
*「hierarchie や hieroglyphe(象形文字)も、語源からすると無音のhのはずなのに、e'lision/liaison しないのは、これも半母音のせいで起きていることだと説明されるかもしれないのだとのこと。実際、Le Bon usage (12 ed.) では、hyene, hiatus, hieroglyphe を「有音のh」の項(§48)ではなく、「半母音」の項(§49)で扱っているそうです。

「hyene はギリシャ語 he huaina, -es で元々有音、hiatus も hio もラテン語では,有音でどちらもまさに hiatus があるゆえ,これに半母音が加わって事態を複雑にしている」ということになるようです。

http://www.kyoto-su.ac.jp/~hiratuka/essays/aspirate-huit.html

いずれにしても、教育上は「有音のh,無音のh」という観点からのこれまでの説明で構わないという記載もあったので、ひとまず胸をなで下ろしましたが、自分が正しいと思っていることが必ずしもそうではないかもしれない、ということをいつも頭に入れておかなくてはいけない、なかなか時間がとれないとはいえ(実際のところ、大半の私立大学ではいよいよ前期期末試験が迫り、Quatorze Juillet 前後をピークに20日頃まで、試験問題作成に追われる毎日となります)、時には教師もデカルトのように、すべてを疑うことから始める「懐疑主義の精神」を思い起こさなくてはならないのではないかと思ったのでした。

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