薔薇の言葉

フランス語・フランス語教育/フランス語圏の諸相と女性事情/メディアと現代女性など

2005年11月

Paul-ailleurs 様、

 拙ブログをご訪問くださいまして、ありがとうございます(滅多にしか書かないブログで恐縮です)。Paul-ailleursさんのブログには、様々なご専門の方がおられるようですので、こちらにお誘いしてしまいました。

ブログにお書きになられているValeryの言葉のように、

"Je n'hesite pas a le declarer, le diplome est l'ennemi mortel de la culture. "

「資格は文化に死をもたらす敵であると宣言することに躊躇はない。」

DALFも仏検も、人間の長い歴史における、ある一時期に、ある人々によって何らかの目安となるものと考えられて作られたひとつの試験制度にすぎず、ほんの恣意的な小さな一現象にすぎないものです。大げさに極言すれば、死刑すら、誰がどのような権利があって、そのように人を裁くことができるのか、という議論にも繋がるものかもしれません。特にグロバリゼーションといわれる現代においては、資格の重要性が強調されすぎて、生身の人間あるいは人の命の価値が背景に追いやられ、その姿がぼやけてしまうという危険に晒されているようにも思います。

そうは言ってみても、やはり学生たちを見ていると、語学の検定試験は学習者にとっては大きな目標となっていて、合格すると喜びもひとしおのようですから、一慨にこれを否定することはできないように思われます。お仕事をされながらフランス語の勉強を始められて、若干4年という短い期間で準一級を取得されたPaul-ailleursさんの実力には、目を瞠るものがあります。英語に長けておられるせいか、時々、フランス語の書き言葉にその影響がみられるようです。なかなか難しいことですが、フランス語らしい表現を身につけられること、また性数の一致、単数、複数の問題や活用の語尾のsとtの書き違い(フランス人でもうっかりミスで間違えているのを見かけますが)といった細かい点に気をつけられれば、すでに一級の取得は射程距離に入っているといえるのではないでしょうか。どうか、気を落とされることなく、DALF や仏検を利用してやるのだ、という程度に軽くお考えになられて首尾良く合格され、今後も末永くfrancophile でおられますようにと願っております。

DALFは受験して楽しかったが、仏検はあまり楽しい気分になれなかった、というご指摘は、しかしながら、やはり気になります。「楽しい」という言葉には、頭を使うことができた、考える力を試された、という意味が込められていることと推測しますが、少なくとも、受験者が受験してみてよかった、勉強になった、もっと勉強しなくては、という気持ちになれるような試験でないといけないように思います。そのような設問を日本の仏検担当の先生方や関係者の方々にお願いできるよう、機会がありましたら、日本フランス語教育学会の会合などで(SJDF は、直接的には、仏語検定には関与してはいませんが、フランス語教育に関わるひとつの問題として)お話してみたいと思います。

また、フランス語学習に関してお気づきの点がありましたら、ご指摘くださいますよう、よろしくお願いいたします。

Paul-ailleurs 様、

 DALF C1 と仏検一級の受験、たいへんお疲れさまでした。

DELF/DALFと仏検については、Paul-ailleurs 様がお書きになられているように、これまでもその違いが指摘されてきています。仏検は、世界共通の仏語検定試験であるDELF/DALFが日本に導入される以前に、わが国で制度化された唯一の仏語検定試験ですので、その伝統が現在も引き継がれてきているという傾向があるのではないかと思われます。

 他方、DELF/DALFには、今年から大きな改正が行われ、DELFは受験しやすくなりました。

 受験されたDALF C1 では、文法上の知識もですが、選択されたテキストについて、その内容を理解しよく把握した上で、受験者が自分の意見を系統立てて(内容については賛成でも反対でもいいのですが)、序、展開、結論(身近な具体例を挙げ、できればその意見に対して予想される反論についても述べつつ)というように、換言すれば、批判精神をもって自分の意見をフランス語で表現できるかどうかの能力を問われます。ただ単にテキストの内容をまとめて述べるだけでは、評価の対象とはなりません。それどころか、減点されてしまうので、このようなレジュメは避けなくてはなりません。
 このほか、日仏の審査員が重視するのは、発音、イントネーション、速度、使用語彙の水準、淀みなく話されているかどうか、また、文章構成の的確さ、様々な時制、条件法、接続法や抽象的な語彙を駆使しているか、テキストの文章の繊細な綾まで把握しえているか、といった表現形式と読解力に関する総合的な言語運用能力です。(その意味では、文法中心の仏検は、DELF/DALFとは、相互補完的な役割を果たしているのではないかと推測されますが、この点についてPaul-ailleurs 様は、どのような感想をお持ちでいらっしゃるでしょうか。)
 また、選択したテキストが掲載されている雑誌や新聞の傾向を知っておくこと、つまり、テキストの書かれた、社会、文化的な文脈を知っておくことも、受験テクニック上のひとつのてがかりとなるでしょう。

 仏検一級もDALF C1も、極めてハードルの高い試験です。ですが、だからといって後込みされるのではなく、Paul-ailleurs 様もそらさんも「不可能という文字は我が辞書には無し」という心意気で果敢に挑戦されることをお奨めいたします。

 大学では英語や中国語に押され、フランス語学習者が減少するという状況にあって、francophiles でいらっしゃるPaul-ailleurs 様やそらさんが、フランス語を勉強されている努力に感動し、応援したい気持ちに駆られ、つい余分なことを認めてしまいました。Paul-ailleurs 様のフランス語に関するブログは、フランス語教育に携わる者にとって、大変興味深く、参考になります。なかなか時間的な余裕がなく、コメントができずにいますが、これからも楽しみにブログを拝読させていただきたいと存じます。
                                       Sophie
   

 

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