<もはや現代の日本人は「子どもが欲しい」という欲求すらない>
米国、フランス、韓国、スウェーデン、日本のおよそ1000人の男女を対象として行った内閣府の「少子化に関する国際意識調査」によると、「子供を増やしたくない」と答えた日本人の割合は53.1%だった。他の4カ国と比較して最も多いそうだ。

それでという訳ではないけれど、何と言うことでしょう!女子大の授業で、つい次のようなことを口走ってしまいました。

「皆さんの老後が心配!
少子化のせいで、このままでは皆さんの老後は、ほんの僅かの年金しか貰えなくなってしまいます。恐らく皆さんの時代には、ロボット介護が進んでいるんでしょうけど、でもしかし、やはり国を繁栄/発展させるのは、ロボットではなくて人間。知識だけではなくて、情と意のある人間と自然が地球を作ってきたのだから。人間が生きる地球でなくては。だから、子供を作ること。もう、今すぐ、みんな赤ちゃんを産んでしまいましょう!

日本では子供を育てるのにお金がかかって産めない?それは法律のせい。子供を産んで育てやすくする法律をどんどん作って政府がこれを施行する。そのためには、その法律を作ってくれる議員に投票すること。まずは投票に行きましょう!

それでも世の中、なかなか変わらない。だったら、自分が議員になってしまおう。クラス全員が議員になっちゃおう。個人で出馬するとお金がかかるから、資金を出してくれるところを探しましょう。皆さんの若さがあれば大丈夫!」

なんて言ってしまって、みんな笑ってたけど、苦笑だったのかも。ごめんね。

実際のところ、子供を持つ女性が働き続けるのは、日本では本当に大変だ。とくにシングルマザーやシングルファザーは。それに、親の介護のために退職する人も、男女を問わず、多い日本。

これらの問題に共通するのは、日本人の労働時間が長すぎることだ。正社員も非正社員も、見返りが少ない割に労働をしすぎている。
女性が美しく輝くためには、まずは男性が会社に拘束される時間を少なくし、労働条件を改善すること。同時に保育制度を格段に充実させること。現在の幼稚園の短時間保育制度(朝9時か10時頃から2時か3時頃までといったフランスでは到底考えられない短さ)も国がバックとなって徐々に長時間保育に改善してゆくこと、そうすれば、パパとママは、二人とも働いていても、家事や子育てを大幅にシェアしやすくなり、きつい子育て生活がハッピーライフへと大きく変化するだろう。
先進国では希な長時間労働の現制度のままでは、女も働いて輝こう!と言われても、男女とも家庭生活とのバランスを保ってゆくのは至難の業。輝くどころか男も女も疲弊しきって、子育てどころではなくなってしまう。その上、教育費が一人につき一千万以上かかると聞いて、それでも子供を作ろうという気になれる奇特な人はいないだろう。政府と企業が率先して働く男女の安定したワークライフバランスを保証すること、これこそが、最も重要かつ先決問題なのだということに、為政者に是非とも気づいてもらいたい。

石田久仁子、井上たか子、神尾真知子、中嶋公子編
『フランスのワーク・ライフ・バランス 男女平等政策入門:EU、フランスから日本へ 』
パド・ウィメンズ・オフィス; 初版 (2013/12/6)
http://www.amazon.co.jp/フランスのワーク・ライフ・バランス-男女平等政策入門-EU、フランスから日本へ-石田-久仁子/dp/486462061X/ref=sr_1_fkmr0_1?s=books&ie=UTF8&qid=1418498871&sr=1-1-fkmr0&keywords=ワークライフバランス%E3%80%80石田%E3%80%80中島http://www.amazon.co.jp/フランスのワーク・ライフ・バランス-男女平等政策入門-EU、フランスから日本へ-石田-久仁子/dp/486462061X/ref=sr_1_fkmr0_1?s=books&ie=UTF8&qid=1418498871&sr=1-1-fkmr0&keywords=ワークライフバランス%E3%80%80石田%E3%80%80中島


フランスの積極的な子作り支援政策を紹介した次のようなブログもあります:
「これでいいのか日本の少子化対策!産む国フランスに学ぶ7つの政策」
http://www.madameriri.com/2013/01/16/これでいいのか日本の少子化対策!産む国フラン/http://www.madameriri.com/2013/01/16/これでいいのか日本の少子化対策!産む国フラン/

1.三人っ子政策
・子どもが3人いる場合は子どもが2人いる場合よりも経済的負担が少なくなるように国が援助
・三人目からは一人に付き約150ユーロ(2万1千円)と給付額が倍以上。

2.産休期間の延長
日本の産休は産前6週産後8週だが、フランスでは子供が三歳になるまで両親の一方が休職することができる。

3.子ども手当の充実
・妊娠・出産手当(妊娠5ヶ月〜出産)・・・すべての費用について保険適用
・乳幼児手当(妊娠5ヶ月〜生後3歳)・・・子ども1人あたり約2万3千円/月
・家族手当・・・子ども2人で約1万6千円/月。1人増す毎に約2万6百円/月追加(20歳まで支給)
・家族手当補足・・・子ども3人以上の1人ごとに約1万5千円/月
・新学期手当(小学生〜)・・・約2万9千円/年
・産後の母親の運動療法・・・保険全額支給
・双子もしくは子ども3人以上など・・・家事代行格安派遣(1〜2度/週)
・片親手当・・・子ども1人で約7万6千円、1人増えるごとに約1万9千円/月

4.高校までの国公立教育費を無料化

5.不妊治療費を完全に無料化
日本では5年間のボーナスをすべて不妊治療に使ったという人もいる。

6.労働者の権利を強化
日本は「働き過ぎ」
厳しい日本の社会や労働条件が少子化につながっている。

7.出産&子育てドキュメンタリー番組を放送する。
日本は「単純に出産や子育ての素晴らしさを伝えるマスコミ」が少ない。
女性が「子どもを産みたい」と思う社会に変えていくことが先決。

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問題は女性だけではないのだ。なんの罪もない幼い子供が親のDVに苦しめられたり、果ては殺されてしまっている。介護の疲れから、親子の間で殺人事件が起きている。そんな国は世界でも珍しいし、極めて異常なことだ。これらは、果たしてそうした行動に出てしまう個人のみに帰せられる問題なのか。犯罪の陰には、どうしようもない貧困や社会的格差という底深い問題が潜んでいるのではないだろうか。