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わが子の進学を喜ぶ一方で、公教育に予想以上の私費負担が必要なことを知って戸惑う保護者が少なくない。福岡県春日市の40代女性もその一人。2月初め、長女が来月入学する市立中の説明会に参加し、制服や通学かばんなど総額約7万〜9万円を現金払いしなければならないと知らされた。共働きで2人の子を持ち、児童手当を受給する「標準的世帯」のこの女性にとっても重い出費

 憲法26条2項は「義務教育は、これを無償とする」とうたう。だがキャンペーン企画「子どもに明日を」の取材で知ったのは、制服代や学用品費などが貧困家庭の重荷となり、時には進学や通学の「壁」にすらなっている現状だ。

 日本の国内総生産(GDP)に占める学校など教育機関への公的支出の割合は3・5%にとどまり、経済協力開発機構(OECD)加盟国で比較可能な32カ国中、最下位だ。日本は世界3位の経済大国で、少子化対策を国の最重要課題に挙げているにもかかわらず、子どもに費やす予算は他国と比べれば大きくはない。

 中間所得層が厚く、「1億総中流」と呼ばれた時代もあったが、今では経済格差が広がって子どもの6人に1人が貧困状態で、九州はさらに深刻だ。連載でも3万5千円の制服代が支払えず、入学式を欠席した中学生を紹介した。金銭的な理由で義務教育や高等教育から脱落する子どもが増えているのではないか。

 憲法26条は空文化していないか。教育現場を歩きながら問い掛けたい。
(子ども問題取材班)

=2016/03/06付 西日本新聞朝刊=

https://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/229204https://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/229204


<経済苦で高校中退5千人超 授業料無償化5年、支援に課題>

高校授業料無償化が始まった2010年度から5年間に、経済的理由で高校中退を余儀なくされた生徒が全国で5385人、九州で少なくとも754人に上ることが、西日本新聞のまとめで分かった。

子どもの貧困問題に詳しい湯澤直美・立教大教授(社会福祉学)の話 文部科学省が把握している高校の中退理由は、選択肢から一つだけを選ぶ方式のため、複数回答にすれば「経済的理由」はさらに多くなるだろう。不登校の定義も病気や経済的理由によるものを除いており、調査方法の改善が必要だ。義務教育であっても学校納付金がかかり、高校ではより保護者負担が増える。教育格差を解消するには、授業料以外の諸費用を含めた「完全無償化」が望まれる。

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