2011年12月

路面電車メモリアル6

 仙台市の市電,1973年8月の撮影である。仙台市電は戦後の1948年に約16㎞にわたる路線網の完成をみたという。だが1964年に赤字経営に転じ,1976年3月末限りで廃止された。筆者が訪問したのは結局この1回限りであったが,この時点で1969年廃止の北仙台線以外は市の中心部を含めて存続し,比較的頻繁な運行であったことを記憶している。
 このたびの震災で仙台市は郊外の海岸部における津波の被害が大きく報じられたが,一方で都心部の地下鉄にも被害があり,運行再開まで時間がかかったと聞く。もし市電がいま存続していたら,という仮説は空しいが,比較的早期に運行再開したのではなかろうか。仙台のようなコンパクトかつ繁華な政令指定都市では,コストのかかる地下鉄を新設したり,バスを増やすよりは,路面電車を頻繁に運行した方が効率的に思う。もちろん近代化と採算性改善の努力は必須だが,近年市営バスの民営移管など合理化が報じられるたび,仙台市電のことを思い出すのである。

仙台①

  写真上は広瀬川にかかる広瀬橋をわたる,都心部から長町駅前を結んだ長町線。下は2000形電車で,廃止された呉市電から移籍した軽量車だが,呉市からの移籍車はほかに3000形などまとまった数が稼働していた。なお仙台市には市電保存館があり,400形などプロパーの代表車の姿を今でも見ることができる。(S)

仙台②


押しボタンも移り変わる

 路線バスに搭載されているバス機器は様々なものがあるけれど,お客さんが直にさわれるものは限られている。その代表が押しボタンではなかろうか。押しボタンは降車合図装置を成す一員で,メーカーでは「子ランプ」などとも呼ぶが,現在販売しているメーカーは限られており,1960年代半ばに発売した元祖オージ(この会社はバス用自動方向幕の元祖でもある)を筆頭に,レシップ,ゴールドキングの3社でほぼ市場を網羅している。押しボタンでおそらく最も知られているのがオージのWS-20で,楕円形で銀メッキ仕上げの本体に紫のレンズ,丸い白ボタンで構成されている。ただ各メーカーとも近年は交通バリアフリー法に則り,本体が黄色い製品を発売,特に市街地路線バスで採用が増えている。車両本体だけでなく押しボタンも確実に標準化が進んでいるのだ。

東陽バスREボタン

 上はかなり昔の押しボタン。ボタンも内装もくたびれているが,沖縄730車の1台,東陽バスが登録ナンバー付で『動態保存』する日野RE101のもの。角ばった銀メッキの本体,紫色のレンズに四角い白ボタンと,当時のベストセラー・オージWS-20を意識した構成だが,メーカー名は不明である。
 写真下はゴールドキング製で,関東バスの日デUAノンステップバスへの採用例(運行中に点灯したところ)。濃グレーの本体は薄くスタイリッシュで,1990年代後半には比較的よく見られ,現在もカタログにラインアップされている。だが交通バリアフリー法で黄色が原則とされる今では,新車への採用例は少ないようだ。
 なお押しボタンの世界にも熱烈な愛好家やコレクターがおり,サイト「つぎとまります」を開設しているB氏はその代表か。限られた資料の中での入念な考察や研究成果には感心させられている。 (S)

関東1100ボタン

今年1年間,ぽると出版,バスラマ&ワーキングビークルズをご愛顧いただき,誠にありがとうございました。
弊社は新年10日より業務を行います。
来たる2012年が皆様にとって幸せの多い年になりますことを祈念しております。  株式会社ぽると出版

路面電車メモリアル5

 1969年1~2月に撮影した東京急行電鉄玉川線,通称・玉電。もともと多摩川の砂利運搬が目的だったという玉電は玉川通り(国道246)を経由する渋谷―二子玉川園間を幹に,三軒茶屋―下高井戸間(渋谷―下高井戸間直通),二子玉川園―砧本村間の砧線を運行していたが,1969年5月に本線と砧線が廃止され,三軒茶屋―下高井戸間は世田谷線として現在まで継続している。ちなみに玉川線の廃止から地下鉄の新玉川線(現田園都市線)開業までの間は東急バスが代替輸送を担ったが,その際に長尺のラッシュバス(日産ディーゼル4R110など)が大量増備され,玉電の車庫を引き継いだ大橋営業所などに配置された。

玉川線150 B用

 上は玉川通りの上通り付近(現在のバスの大坂上付近)か。まだ首都高速3号線はなく,空が大きく開けているが,背後には大規模なビル建設工事が進んでおり,時代の変革期であることがうかがえる。車両は玉川線廃止以前では最後の新車150形。鉄道線7000系と共通性のあるスタイルを持つ鋼製車である。下は瀬田-二子玉川園間の勾配の大きな専用軌道を行く200形204。現在残る世田谷線は全線が専用軌道だが,本線にも専用軌道が少なからずあり,特にこの区間は都内とは思えない,のどかな風景が広がっていた。200形は1955年に6編成が新造された低床の連節車で,その個性的なスタイルで利用者から親しまれたが,ボギー車に比べて使いにくくトラブルが多いなどの理由で玉川線廃止とともに姿を消した。204は現在,電車とバスの博物館に保存されている。また200形のスタイリングイメージは,現在の世田谷線連節車300形に反映されている。(S)

玉川線204 B用


西鉄が埼玉進出

 12月8日,日本一長距離の路線バス『はかた号』(博多天神-新宿)よりも長い路線バスが誕生した。路線距離約1,170kmの『ライオンズエクスプレス』で,博多天神-横浜・池袋・大宮間を15時間強で走破する,超長距離夜行高速バス。西鉄高速バスと西武観光バスという,東西大手の子会社同士の運行である。
 で,西武は当然としても何で西鉄がライオンズなの?という疑問をお持ちの方もおられるだろう。だがライオンズは元々西鉄系の球団。福岡の球団は今や福岡ソフトバンクホークスだが,かつては西鉄ライオンズが博多っ子を沸かせていた。野球オンチの筆者だって三原監督や『神様・仏様・稲尾様』の稲尾投手の名前くらいは知っている。だから元々のライオンズの盟主と現在のライオンズのファミリーが手を組んで『ライオンズエクスプレス』なのだ。
 写真は西武観光バス大宮営業所に入庫した西鉄の車両。ただしこの車は暫定車で,外装ははかた号と共通。近々,かつてのライオンズのロゴを大きく描いた専用車が投入されるらしい。一方,西武の専用車は紺に白抜きで現在のライオンズのロゴとマークを描く。ちなみに車内は横4列。超長距離路線なのに3列じゃないの?と驚かされるが,これは今後も変わらないようだ。詳しくはバスラマ№129で。(S)

ライオンズ


路面電車メモリアル4

  1973年夏に撮影した函館市電である。当時,函館市は市電と市営バスを運営しており,市電の規模縮小が取り沙汰されていた。事実1970年代から路線距離を減らしたが,1990年代からはむしろ市営バスに大ナタが振るわれ,函館バスに全路線を委ねて2003年に全廃されたのはご存じのとおり。残った市電は現在,低床車の新造導入や,観光資源の一環としてレトロ電車を運行するなど,利用者の維持向上をめざして積極策を打ち出している。
 

函館700 B用

    上は国鉄五稜郭駅前への系統で活躍する700形で,1957年に5両新造されたが,この撮影からほどなく全車引退した。1000形(都電7000形)を小ぶりにしたようなスタイリングである。また五稜郭駅前への路線もいまはない。下は現在も残る区間(当時2系統)を行く800形のラストナンバー812。1965年に新造された当時のエースで,僚車800形の多くはその後車体を載せ替えられ8000形となったが,812は当時のままのスタイルで現役である。
 函館市電の管轄部局は2011年4月に交通局から企業局交通部に変わったが,車両やサービスの改善に見るべき点は多い。市営バス時代からハード面の改善に尽力した担当者Hさんはじめ現場の努力が奏功しているのだろう。東京以北では札幌と並んで「唯二の」路面電車の公営事業者でもあり,末永い運行を祈ってやまない。(S)

函館810 B用


最新号の事業者訪問

 東京モーターショーでは多くの方々のご来店,誠にありがとうございました。モーターショー出店と相前後してバスラマNo.129の編集追い込みと,社内は多忙を極めたが,ようやく締切を迎えた。なおNo.129は発行日がいつもより2日ばかり後ろにずれているので,何とぞご了承のほど。
 そんなNo.129のバス事業者訪問のひとつが,千葉県房総の日東交通グループ。最近は都内で見かける機会が増えたが,もともとは館山が本拠で,現在はアクアラインの房総側の玄関である木更津に日東交通本社を置いている。ローカルバスだけに,ご多聞にもれず路線環境は大変厳しいが,近年は高速バスへのシフトで新たな道を歩み始めている。詳しくは本誌で。
 
 もうひとつのバス事業者訪問は平成エンタープライズである。むしろツアーバスVIPライナーの会社といった方がいいかもしれないが,もともとはインバウンド専門の貸切事業者だった。自ら『ネコ社長』として同社キャラクターにもなっている田倉社長に,急成長の経緯,ツアーバスに投入するアイデアの源などを聞いた。

 写真は豊かな自然の中を走る日東交通グループの路線バス。車両は日産ディーゼルRMだが,現在でも路線車は日産ディーゼルが多く,7E,8Eの宝庫,6Eもいる。同社は富士重工の大好きな事業者で,ふそうへの架装例も多い。筆者のような富士重工ファンは必読かと…。 (S)
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棒シフト

年末発行予定のバスラマNo.129取材から,試乗ネタをちょっと出し。

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フィンガーコントロールに慣れきった目&手には非常に新鮮なロッドシフトの車両でした。さてこの車種は何でしょう?答えは次のバスラマで。

最近のロッドは一度ポジションに入れたら勝手にどこかにフラフラ遊びに行くこともなく,パワーアシストもあってまずは快適。No.129では3車種4台の試乗記を掲載予定,ほかにも話題たくさんです。ただいま鋭意制作中!

東京モーターショーで営業中!

東京モーターショーで弊社はプレスデー初日の30日から営業中である。最新刊の年鑑バスラマ2011-2012,ワーキングビークルズ№48のほか,ミニチュアのクラブバスラマが付録となる『クラブバスラマワールド2011』,バスラマアーカイブス01,さらに各種洋書も取り揃えている。またバスラマ,ワーキングビークルズのバックナンバーは会場特価で御奉仕中! ぜひお越しいただきたい。
ただ,今回は初のビッグサイトでのモーターショーだが,ビッグサイト全体を使用しているため場所がいささかわかりにくい。弊社コーナーは西1ホールと西2ホール(トヨタや輸入車)の間の『アトリウム』の書籍販売コーナーにある。運転体験ゲーム・グランツーリスモの場所に近い。商用車会場でもある東ホールからはいささか遠いが,多くの方のご来店をお待ちしています。


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