ライトバン

いすゞプラザの企画展を見る

一昨日の1月18日にエントリーした「年鑑バスラマの1月30日発行予告」から立て続けとなるが、現在いすゞプラザで開催中の企画展をご紹介。

すでにワーキングビークルズNo.69でご案内のように、藤沢市のいすゞプラザでは「レストアカー・バックヤードコレクション『ベレットとその仲間たち』」を開催中である。ベレットといえば日本で初めてGT(グランドツーリング)を名乗った“ベレG”ことベレットGTがあまりにも有名であるが、基本はファミリーカーとして売り出した小型セダンである。1963年のデビューから約10年間の間にセダン(4ドア、2ドア)、クーペやファストバックスタイルのGT、さらにセダンの前後のデザインを変えたBタイプ、セダン系スポーツモデルなどが販売された。これと併せてシャーシーフレームを持つ商用車のベレットエキスプレス(バン)、ワスプ(1トン積ピックアップトラック)も販売されたが、こうした幅広い展開は当時の小型乗用車系では珍しいものではなく、トヨタではクラウンおよびコロナ、また日産の場合はブルーバード/ダットサンの一連の系列で展開した。ただしベレットの場合は、ガソリンに加えて、お家芸たるディーゼルエンジンも乗用車とワスプの双方に設定されていたことが特徴的である。
企画展では4ドアセダン、ベレットエキスプレス、ワスプの3台が、常設展示場所ではなく、いかにも業務用といった風情のバックヤードスペースに展示されている。ベレットというと現在でもファンの多いベレGに光が当たりがちになるが、あえて地味な存在の3台にスポットを当てることで、ベレットの知られざる歴史を紹介する意図があるようだ。
今回は時間の関係もあり、オフィシャルな取材ではなく私的な観覧であったが、昭和の小型商用車ファンである筆者には、これまでのいすゞプラザ関連の取材でも登場しなかったワスプとの対面は楽しみであった。ワスプは比較的最近レストアを終えたようで、ディーゼルのC180型エンジンを搭載し4速コラムシフトを組み合わせる1967年式KRD10である。担当者によればレストアはまだ完ぺきというわけではなく、バンパーの色の修正などが今後行われる予定という。ちなみにベレットエキスプレスはいすゞプラザ開館準備段階の2016年12月に取材し、ワーキングビークルズNo.64に掲載している。
企画展は2月2日までの予定。いすゞプラザは土曜日・祝日が入場自由、平日は予約制となるので、詳しくはウェブサイトで確認されたい。(S)

http://www.isuzu.co.jp/plaza/


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バックヤードスペースに3台並んだベレットファミリー。先頭の4ドアセダンはベレットを代表する車種だが、展示車はボルグワーナー製フロアシフトATを搭載した、MT全盛の当時にあってはレアなクルマで、1965年式の型式PR20。3台目の赤いベレットエキスプレスは1967年式KR10V


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今回の観覧目的たるワスプ。車体の構成はフレーム付でベレットとは別物だが、リヤボデーを含めてベレットと同基調でデザインされたスタイリスト。現代の海外向けピックアップSUVとも違う、真の商用車である。ちなみにワスプという名を今聞くと“変なネーミング”に感じるが、英語で蜂(スズメバチなど)を意味している


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会場では開館1周年記念企画展「いすゞプラザの世界~その誕生の記録」シーズン3「レストア」編も開催されていた。展示車のレストアの過程と、それに盛り込まれた技術を示したもので、エンブレムやグリルなど欠品パーツの一部は試作用の光造形機(3Dプリンターの一種)を活用して製作されたことも紹介されていた


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ビッグホーンを最後に2002年に国内の乗用車市場から撤退したいすゞだが、海外市場では乗用車系SUV/商用車を継続している。いすゞタイランドで生産された展示車mu-Xに装着されていた、タイ進出60周年記念のエンブレムには、かつてのいすゞマークが!


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いすゞプラザへの公共交通機関でのアクセスは、小田急江ノ島線・相鉄いずみ野線・横浜市営地下鉄ブルーラインの湘南台駅(東口3番バス乗り場)から、いすゞプラザシャトルバスが便利。1時間に2回運行されている。シャトルバス専用車はこのシルバーのガーラSHDで、現行スタイルのガーラがデビューした時のカタログ撮影車そのものだ。いすゞプラザのエントランス付近で

ご長寿商用車 7

仕事で日々酷使される商用車。数年で寿命を終えるものも珍しくない一方で、恐ろしいほど長期間使われ続ける車両もある。と言うわけで、実に久々のご長寿商用車のエントリーです。

バスラマの瀬戸内運輸の取材で訪問した愛媛・今治市。夜の発車シーンを撮影しようと今治桟橋の駐車場にレンタカーを停めると、何やら気配を感じた。ふと見ると、街灯の灯りに何とも懐かしいライトバンが1台照らし出されている。停留所に向かう前に、慌ててシャッターを切った。

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懐かしのミラージュバンまたはランサーバン。車名が分かるはずの、お洒落なデザインのテールランプを備えたリヤ側をなぜか撮影せず、今になって後悔。見る人が見れば、グリル形状などで識別できるのだろうけれど。

1985~1992年にかけて生産されたミラージュ/ランサーバンだが、本車の年式は不明。グリルにスリーダイヤがあるから、1988年6月以降の個体だろう。もし最終年式としても、撮影時点で実に四半世紀を生き抜いてきたベテラン商用車である。お店の屋号と取り扱いブランドのロゴがくっきりと描かれ、また一見して小奇麗な雰囲気を保っており、オーナーが愛着を持って維持しているのだろうと想像した。さすがに各部に多少の凹みはあり、ボンネットは端部が錆びたのだろうかダクトテープで補修されている。しかしそれすらも『歴戦の兵』の風格を感じさせた。これからも、いつまでもお元気で!

取材先で思いがけず巡り合うご長寿商用車、実は秘かな楽しみなんです。(や)

*車体の屋号&所在地・電話番号、ナンバープレートは加工してあります。

同時代、東西を越えてなんとなく似てるクルマ

昭和30年代、“もはや戦後ではない”日本はオリンピックに高度経済成長にまっしぐら。同じく敗戦国の東ドイツ。1960年初頭にベルリンの壁を建設し、優秀な頭脳&労働力の流出を食い止めるとともにこの瞬間は計画経済の歯車が噛み合い、共産圏の優等生として経済成長まっしぐら。ここに体制も経済も全く異なる2つの国で、何となく似たクルマが登場する。それがトヨタ・パブリカとVEBザクセンリンク・トラバント601。

仕事だ!ノルマだ!働け!運搬手段が必要だ!庶民でも何とか手の届くクルマも必要だ!鼻の先にニンジンをぶらさげろ!というわけではないけれど、パブリカは通産省の国民車構想を背景に、またトラバントは計画経済の中で誕生した。両方とも乗用車はもちろん、ライトバンの設定がある。ちなみにパブリカは初代が1961年に登場し、トラバントは1957年の初代モデルをモデルチェンジし、エンジンを大型化した601が1963年に登場する。ほぼ同時代の車両と言えよう。

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どうです、なんか似てません?車だけでなくて雰囲気も。

寸法はパブリカが全長3,555×全幅1,415×全高1,385ミリ、トラバントは全長3,560×全幅1,510×全高1,437ミリ。トラバントがかなり幅広なのは、欧米人と日本人の体格差!?そしてエンジンは、パブリカが4サイクル空冷水平対向2気筒(排気量697cc、出力28PS/4,300rpm・トルク5.4Kg/2,800rpm)、トラバントは混合給油式2サイクル空冷直列2気筒(排気量595cc、出力23PS/3,800-4,000rpm・トルク5.3Kg/2,700-2,800rpm)。なお駆動方式は大きく異なる。パブリカは当初はFFを目指したと言われるが結局FRを採用し、トラバントは初代以来のFFである。変速機はパブリカが4速コラムシフト(シンクロ2~4速)、トラバントはフルシンクロの4速コラムシフトである。

さて商用車として気になるのは、どれだけモノが積めるかということ。車重と積載量はパブリカが620Kgで2人乗車時300Kg、トラバントは650Kgで2人乗車時260Kg。ちなみに昔からドイツ人は日本人より大柄で、1人あたり65Kgの計算である。またパブリカで4人(定員)乗車すると驚くなかれ積載量は0になるのに対し、トラバントは95Kgを確保している。

「平日は工場や小ビジネスの軽輸送に、週末はキャンプや小旅行に」これはパブリカの売り文句ではなく、トラバントの売り文句。「バンというよりスマートなワゴン・タイプ。室内装備は乗用車なみ。レジャー・カーにも使いたい商用車です」これがパブリカの売り文句でした。

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バンからワゴンへ

10月18日、富士重工業はBEAMSとのコラボレーション企画として、レガシィアウトバック「2.5i EyeSight EX Edition」を発表し、11月3日から発売する。というわけで、詳細は同社ウェブサイトをご参照されたい。
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これはレガシィアウトバックをベースに、富士重工とBEAMS双方のアイデアを融合した商品ということが売りで、様々なライフスタイルに合わせられる特別装備を設定している。ワゴンなのでもちろんファミリー・レジャー用途一辺倒、カタログは小さな女の子のいるファミリーの、湖畔での釣りや野原のピクニックのシーンがメインである。ところがこれはどう解釈すればいいのだろう、ビル街でアウトバックのドアに手をかけたスーツ姿の父親がたたずむカットがある。「平日にはお仕事にも使えます」ということか。そしてその下には、遊び道具を積み込んだリヤスペースのカット。そんな2.5i EyeSight EX Editionのカタログを眺めていて、なんとなくどこかで見たような…そんな気がした。それもつい最近のレガシィやインプレッサではなく、もっと昔のモデルだったような。

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これは1972年のレオーネ・エステートバンのカタログ。あくまでもバンというのが時代を感じさせるが、「動くリビングルーム」「レジャードライブに若さを表現するエステートバン」といったコピーが躍り、片手間ではないファミリーユースも打ち出している。このあたりは後年大ヒットしたレガシィワゴンの先触れかもしれない。カタログの登場人物は、若いファミリー(子供はやっぱり小さな女の子)とそのご両親と思しき夫婦風の計5人。そしてページをめくっていくと…
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あった!このカットだ。スーツ姿の父親&祖父(中折れ帽なのが“前の世代”のイメージ?)がやはり扉に手をかけてポーズをとっている。そしてその下にはテールゲートを開けて腰かける女の子のカット。車は違うしアングルもちょっぴり違う。でも雰囲気はやっぱり似ている。ライトバンからワゴンへとイメージ大転換を果たしつつも、血筋は脈々と受け継がれているのは、見事だ。かつてのライトバンの「平日は仕事、週末は一家の外出」が、今や「普段はファミリーカー、たまには仕事もOK」と逆転してしまったのだろうけど。(や)

カタログの楽しみ

今回は趣味的人気はあまりないライトバンのカタログから。

最近のライトバンのカタログといえば,生活感を感じないお洒落な西洋人モデルが荷物を積み込んでいたり,あるいは人すら使うのを節約して車の写真と数字だけで済ませたり,そのようなものが目立つような気がする。

でも一昔前のライトバンのカタログは一味違う。商店街のおっちゃん・おばちゃんをかき集めてきて,これでもかとモノを積み込むようなカタログ,店先で商品を積み込むシーンや客先で商談するシーンを活写するもの,週末は当然私用で使うので,一家全員を押し込んでみたり,ラケットやサッカーボール,スキー板を積み込んでみたり,甚だしきは猟銃まで持ち出したり…と,“積荷”“使い方”を眺めているだけでも実に楽しい。

言うまでもないけれど,車種バリエーションも今とは比べ物にならないほど多かったし。OEMなんて意識にすらなく,メーカーでも販売チャンネル,車両寸法,エンジンの大小でクルマを丸々作り分けていた時代。同一車種を販売チャネルごとに名前だけ買えて売っていても,カタログも丸々違っていたりした,そんな二度と戻らない古き良き?時代。

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有名だけど無名な商用車

商用車と一口に言っても様々。趣味の対象の度合いとしても様々。
バス?これはバスラマをはじめバス雑誌がいくつもあるし,歴史も長い。ファン層も厚い。
タクシー?車両としては乗用車だけど,立派な商用車。趣味誌はないけれどファン層は決して薄くない。
トラック?これはサイズで大小様々で関心の度合いも様々。軽トラックでもいわゆるサブロク軽は,濃いファンがいる。550cc~660cc,新規格となるといわゆる趣味の対象からは若干はずれるけれど,日々使う上で愛着を持ち,実用と趣味の両面から語るファン層が確かに存在する。小型も歴史が長い分,軽トラと同じようにファンがいる。大型はプロの働き場,道具としての評価があり,またプロドライバー,オーナードライバーがいる。素の働く車としても趣味の対象だし,またデコレーショントラックとしての趣味も根強い。

さて。普通に街を歩くと,いや郊外や田舎道でも,ごく自然に何度も目にするのに,いわゆるファンが目立たないジャンルがある。軽ボンネットバンと普通車のライトバン。生産台数から言えば,バスやトラックを遥かに凌駕するし,実際にハンドルを握ったことのある人,仕事で使う人,自分の家にある人,いずれもすごい人数のはず。なのにファンとなると非常に限られている。

車両の成り立ちそのものが乗用ワゴンの派生車というケースも多いし,安価さを追求して快適装備すら剥ぎ取ったチープなグレードが多く,自動車趣味者の食指が動かないという事情は分からないでもない。またはじめから荷物を運ぶ商用車として売り出されたわけでなく,かつての軽ボンバンのように節税・廉価を追求した結果(登録上は)商用車という成り立ちからしても,商用車ファンが注目しないのも分からないでもない。

というわけで,今回はそんな「有名だけど無名な商用車」から,大ヒットしたあのボンバンをご紹介。ワーキングビークルズでやりたいところだけど,上で触れたように微妙な存在ではあるし,純粋なはたらくくるまかと問われたら怪しくもあるので,ブログ上でひっそりとやりましょう。続きを読む
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