初登板でハッキリ SB松坂の「3年12億円」はムダ金になる

自己採点はよかったが…(C)日刊ゲンダイ

「去年、メジャーで結果が出なかったときのフォームとほとんど変わってませんよ」
パ・リーグのあるスコアラーがこう言った。
4日、阪神戦に先発した松坂大輔(34=ソフトバンク)の投球を見た感想だ。

最速は146キロ。3回を投げて4安打無失点と得点は許さなかった。

「久々の実戦で緊張というか、フワフワして力が入らなかった。(3イニング目になって)
ようやく落ち着き、力のあるボールが投げられるようになったのは良かった」
とは試合後の本人だ。

日本球界には9年ぶりの復帰。本人が言うように、実戦形式のマウンドも久々だった。

しかし、「そういう問題じゃない」と前出のスコアラーがこう言うのだ。
「キャンプ中のブルペンはまだ良かった。左足を踏み出すときに体が沈み、
下半身を使ったピッチングをしていた。けれどもこの日は違った。
上体に頼り、体の開きが早い。阪神の打者はツーシーム主体の投球に多少、
戸惑ったのかもしれない。
松坂の状態がこのままだとすれば、打者が振れてくるだろう今後も
同様の結果を出せるとは思えません」

オープン戦の登板日を自分の意思で決められる松坂が今回、甲子園を選んだのは
「(投げるときに踏み出す)左足つま先の感覚を取り戻したい」からだった。
プロ野球の球場は、メジャーのマウンドと比べて土が軟らかい。
中でも特に軟らかい甲子園であれば、理想的な体重移動ができるという
松坂なりの計算があった。
キャンプ地のブルペンで矯正したフォームを試すのにもってこいのはずだったのに、
「まるでメジャーの硬いマウンドで投げているかのように、歩幅は狭く、
突っ立ったフォームだった」(前出のスコアラー)という。

「いや、下半身を使いたくても使えなかったんじゃないか。古傷が再発したのか、
あるいは古傷がトラウマになっているのかもしれません」
と、松坂と親しい関係者がこう言った。

「股関節痛です。松坂は09年のWBCに臨む過程で股関節を痛めた。
球団(レッドソックス)の反対を押し切って出場した手前、
言うに言い出せず症状を悪化させた。思うような体重移動ができないばかりか、
患部をかばっているうちに肩と肘を痛め、
のちの靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)につながった。
この日はマウンド上でしきりに股割りをしていただけに、
股関節に不安があるのだと思う」

古傷が再発したのであれば今後は絶望的。
トラウマになっているとしても事態は深刻だ。

■松坂が求めた「年数より年俸単価」

ソフトバンクはそんな松坂と3年12億円もの大型契約を結んだのだからビックリだ。
ソフトバンクの孫正義オーナーは「補強選手を取るなら名前のある大物」
というのが口癖だという。松坂は、WBC日本代表のエースとして連覇に貢献。
レッドソックス1年目の07年にはワールドシリーズを制覇。
日米での実績は十分で、客も呼べる選手だ。
それにしても、右肘にメスを入れた11年以降はサッパリ。

「1年間フルに投げられるかもわからない34歳の投手に、
3年12億円+出来高という契約は考えられない」と、
在京球団幹部は呆れ顔で言うのだが、「実はソフトバンクは4年契約を結ぶはずだった」と、
ある球界OBがこう続ける。

「ソフトは当初、巨人との争奪戦を考え松坂に4年契約を提示したのです。
でも、松坂は、3年契約でいいので、年俸単価を上げて欲しいと言って、
1年4億ベース+出来高の3年契約になった。松坂はこの間、巨人とも交渉していた。
提示された金額を見て増額を求めたが、巨人はあっさり交渉から降りたようです」

本紙評論家の山崎裕之氏がキャンプで工藤監督に
「松坂が期待を裏切り続けたらどうするのか」と質問したら、
「どんな投手でも波はあります。調子が悪くなっても、
再び上がってきてくれたらいいのですが、下がったままなら考えます」
と語っていた。

「考える」とは先発を外すという意味だろう。
首脳陣が断を下す時期は、思いのほか早くやってきそうだ。