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日々の記録。

■世界経済

2014年の世界経済のリスクを点検する(中原圭介)


2014年01月14日

ご存知のとおり、迷走を続けてきた米議会の財政協議が前進し、民主・共和両党は、
今後2年間の予算の大枠で合意した。この合意により、政府機関が再び閉鎖される事態は、
回避できる形となったが、来年2月には、債務上限引き上げの期限を控えている。
この問題が、2014年の米国が抱える最大のリスクになると思われる。

気になるのは、11月頃までは共和党に世論の風当たりが厳しかったのだが、
12月に入ってからは、オバマ政権へのさらなる逆風が吹き始めているということである。
CNNの最新(12月)の世論調査によると、オバマ政権の支持率は、過去最低の41%、
不支持率は、過去最高の56%を記録した。
政権を支えてきたリベラル層からも、批判が強まってきている。

他の世論調査でも、支持率が過去最低を記録するという結果が出ており、この結果を受けて、
共和党が再び強硬姿勢に転じる可能性が高まってきている。
共和党は、債務上限を引き上げる代わりに、社会保障制度の抜本改革などを通じた、
財政赤字削減策を強く求めていく方針を固めたようであり、与野党対立が、
再び激化する情勢になりつつある。

にもかかわらず、オバマ大統領は、債務上限引き上げの問題について、
未だに共和党に無条件で引き上げるよう求めている。1週間前にも、改めて、
「議会と交渉をするつもりはない」と明言したばかりである。
こうなると、米国経済、ひいては、世界経済の来年の最大のリスクのひとつが、来年2月に迎える、
債務上限引き上げ問題(=政治的リスク)になるのは避けられそうもない。

2014年の世界経済を考えるときに、もうひとつのリスクとなるのが欧州の問題である。
2008年から2012年まで、欧州は金融危機、ギリシャ危機、南欧債務危機と毎年のように、
危機に見舞われてきたが、2013年は何事もなく無難に乗り切ったかのように見える。
しかし、景気の低迷は相変わらず続いており、ユーロ圏およびEUの失業率は、
依然として、過去最高の水準で推移している。

そういった状況にあるのに、為替市場では不健全なユーロ高が進んでいる。
景気が低迷し続けているのに、ユーロ高が進んでいるのは、欧州の銀行が、
来年1月からのストレステストを控え、海外資産を処分して、ユーロを買い戻しているからである。
欧州の銀行が、不良債権処理を進めているために、米国や日本の株式・債券で運用していた
資金を本国へ戻そうとユーロを、買っているのである。
現在のユーロ高は、域外への輸出競争力を削いで、遅かれ早かれ、
ユーロ圏の経済に跳ね返ってくるであろう。


さらに、来年の欧州には、政治的な分裂が深刻化するリスクもある。
2014年の各国の選挙では、反EUを掲げる政党が、議席を伸ばす勢いにあるからである。
英国の独立党、仏極右政党の国民戦線、ギリシャの黄金の夜明けなど、中には、
既存の政党を抑えて、第1位の得票を獲得する政党も出てくるかもしれない。
欧州の政治的な分裂が進めば、ストレステストで判明する不良債権の処理方法すら、
具体的に決めることができなくなってしまう。

もちろん、日本経済にもリスクはある。それは、消費税引き上げ後に消費が伸び悩むことである。
たとえ景気対策として財政支出を5兆円程度増やしたとしても、駆け込み需要の反動は避けられない。
すでに住宅市場では、その影響が出始めているが、
来年4月以降の経済指標は、政府が想定しているよりも悪くなるだろうと予想している。

先進国を見渡した時に、米国は政治リスク、欧州は政治と経済の両方のリスク、
日本は経済のリスクと、それぞれにリスクのあり方が異なるが、いずれにしても、そのすべてが、
世界経済あるいは国際金融のリスクに直結していく。これらのリスクを如何にして消化していくのかが、
2014年の経済や金融市場を見る上で大きなポイントになるのではないか。

2014年の世界経済のリスクを点検する(中原圭介)

2014年以降の米国経済(中原圭介の「経済を読む」-2013.11.19)

【2014年以降の米国経済(中原圭介の「経済を読む」-2013.11.19)】


米国経済は、2014年にも本格的に回復傾向を強めると、私は考えています。
シェール革命と呼ばれる、かつての産業革命に匹敵する大変革が進行中だからです。
シェール革命が進むと、米国は、再び、「世界の工場」として復活し、膨大な雇用を生むことが、
期待されているのです。


米国の製造業は、原油から、安価なガスへとエネルギー転換を進めており、圧倒的なコスト競争力を、
手に入れようとしています。製造業にとって、生産拠点の決定には、人件費と並んで、
エネルギーコストが重要であるのはいうまでもありません。元々、米国南部と中国沿海部の賃金差が
縮小する中で、シェール革命に伴うエネルギーコストの低下が重なり、自動車、電機、機械などの
製造分野から始まった米国企業の国内回帰は、化学、鉄鋼、非鉄金属など広範な業種に、
広がりつつあるのです。

素材や部品など、周辺産業の厚みをとっても、世界最大の消費地を抱える点でも、生産拠点としての
米国の魅力が再評価されています。もはや、中国は、「世界の工場」としての地位を失いつつあります。
いまや、かつてとは逆に、中国では、人や生産設備を、外に「押し出す力」が働き、対する米国には、
それらを国内に「引きつける力」が作用していると言えるでしょう。

その証左として、昨年あたりから、米国に対して、国内外から多くの投資が行われています。
米国や欧州、日本などの先進国の企業ばかりではなく、中国や南アフリカ、韓国、台湾など、
世界中の新興国の企業までもが、生産コストを下げるために、米国に工場を建設しようとしています。

このような動きは、米国経済を復活させます。国内外から、米国への設備投資が増え続け、
多くの工場建設によって、国内では、新たな雇用が創出されていくのです。大規模な工場が、次々と
建設される2015年以降には、良質な雇用が急増する見通しにあります。

残念ながら、2013年11月時点での米国の雇用を見ると、実態はあまり良いとは言えません。というのも、
リーマンショック後に米国で失われた雇用900万人のうち、4分の3が、豊かな中間所得層だったのに対して、
回復した雇用700万人の半分が、賃金の安い非正規雇用だからです。したがって、
失われた中間所得層の雇用回復は芳しくなく、実際には、低所得者層が増加していることになります。

しかし、米国の雇用の実態が良くないからこそ、シェール革命が重要になっていきます。
2013年の失業率の傾向を見ると、全米平均が7%台半ばで推移しているのに対し、失業率が最も低い州は、
ノースダコタ州の3%台前半、次いでサウスダコタ州の3%台後半、ネブラスカ州4%台前半となっています。
こうした失業率の低い州は、例外なく、シェールオイルが豊富な油田地帯を擁している北部の州です。
シェールオイルは、シェールガスよりも利益率がはるかに高いので、シェールオイル生産が急増している
これらの州では、失業率が低いだけでなく、所得のほうも急伸しているのです。

その一方で、シェールガスが潤沢に採れるガス田を擁しているテキサス州やルイジアナ州、
ニューメキシコ州などの南部の州では、失業率が際立って低いわけではありませんが、
世界一安い安価なガスが世界中の企業を引き寄せています。これらの州でも、シェール革命が進めば
進むほど、失業率が低下し、所得も増える可能性が高いと思われます。よって、2014年以降の
米国経済は、明るいでしょう。

ただし、最大の懸念材料は、債務上限の引き上げのリミットが2014年2月に再び迫っていることです。
前回のブログでは、米国経済は2013年末に向けて踊り場を迎えると書きましたが、
債務上限の問題が混迷を深めるようなことになれば、2014年春先くらいまでは、
米国の経済指標が悪化する可能性も否定できません。そうなれば、QE3の縮小時期が、
2014年前半から後半へと先送りされることもあるかもしれません。

2014年以降の欧州経済(中原圭介の「経済を読む」-2013.11.25)

【2014年以降の欧州経済(中原圭介の「経済を読む」-2013.11.25)】

欧州経済は、2014年以降も低迷が続くでしょう。

その根拠は、欧州を苦しめている、「三重のバランスシート」にあります。

かつて日本では、1990年代初めのバブル崩壊後、企業のバランスシートが急速に悪化しました。
そのために、企業は設備投資を控えて、借金の返済を優先するようになりました。これが、
日本の長い不況の始まりでした。その後、1997年の金融システム危機後には、銀行のバランスシートも
悪化したために、銀行は財務体質を改善させる手段として貸し渋りを行い、日本は2000年代半ばまで、
深刻な不況を経験することとなります。 

米国では、2007年に住宅バブルが崩壊し、家計のバランスシートがひどく傷みました。
家計のバランスシート不況はすでに最悪期は過ぎ去りましたが、日本とこの米国の例は、
バランスシート不況を克服するためには、10年単位の時間が必要なことを教えてくれます。

米国の家計でバランスシートが大幅に悪化したときに、欧州の家計は米国ほど重症ではなく、
欧州の人々は、米国の住宅バブル崩壊やそれに伴うサブプライム問題に対して、借金に依存しすぎだと
非難していました。

しかし、事態は大きく変わりつつあります。IMFの2013年5月の報告書によると、米国の可処分所得に
対する家計債務比率は2007年の130%から2012年には105%まで下がっている一方で、ユーロ圏の
家計債務比率は同じ期間で100%から110%まで上昇してしまっているのです。 

つまり、日本が企業と銀行の二重のバランスシート不況、米国が家計の単一のバランスシート不況を
経験したのに対し、いまや欧州は、国家と銀行のバランスシート不況に加え、家計のバランスシート
不況にまで陥ってしまっているということです。三重のバランスシート不況を克服するためには、
とても10年単位の時間では難しく、15年あるいは20年の長期低迷も覚悟しなければならないでしょう。

EUの見通しによれば、2013年のユーロ圏の実質経済成長率は、マイナス0.4%と2年連続のマイナス
成長になりますが、2014年にはプラス1.2%に浮上するとのことです。しかし、この見通しは楽観的
すぎると思います。ユーロ圏の失業率は、2013年10月現在で12%台と過去最悪の水準にあり、
改善の兆しはまったく見えていません。今のところ、欧州経済では内需がしばらくの間は期待できない
状況にあるのです。

それならば、米国や中国などの外需に期待したいところですが、債務危機が落ち着きを見せている
こともあり、主要通貨に対するユーロ相場は、2012年半ばを起点に大幅に上昇しています。
実体経済は悪化し続けているのに、ユーロ高により域内の輸出競争力は下がってしまっているのです。

現在、ユーロ圏のフランスをはじめ、中軸国では、財政再建が思うように進んでいません。
ドイツが主導して財政規律を厳しくする新しい条約をつくったにもかかわらず、ドイツを除いた中軸国で、
ルールを守れないケースが続出しているのです。各国が2014年も財政規律を緩和しようとすれば、
金融市場で再び債務危機が蒸し返されることになるでしょうし、財政規律を厳格に守ろうとすれば、
景気の悪化に拍車がかかることになってしまうでしょう。

こうなってしまうと、財政出動や金融政策では、期待できる効果を生みだすことはできません。
長い時間をかけて、国家と家計は地道に債務を返済し、銀行は不良債権を処理していくしかないのです。
とくに国家は、財政を再建するために、少なく見ても、これから10年単位の時間を必要とするでしょう。
その間、欧州経済は、長い低迷の時期を迎えるでしょう。

2014年単年の懸念材料としては、ECBにより約130の大手銀行の資産査定が始まることです。
ECBの査定が甘くなっても厳しくなっても、どちらのケースでも欧州にとっては厳しい結果が予想される
からです。査定が甘くなれば、金融市場からの納得が得られず、銀行株が急落するリスクが高まりますし、
査定が厳しくなれば、南欧の大手銀行を中心に深刻な貸し渋りが起きるでしょう。

おまけに、銀行が資本不足の場合の穴埋め処理については、EUでは具体的な方策をまだ決定していない
のです。先が見えない見切り発車の資産査定では、欧州の政治・経済だけでなく、世界の金融市場が
動揺することも想定しなければならないでしょう。

QE3の縮小開始(中原圭介の「経済を読む」-2013.12.19

【QE3の縮小開始(中原圭介の「経済を読む」-2013.12.19】

FRBがこれから迎えようとしている最大の試練は、2008年の金融危機以降に実施した量的緩和の、
縮小・停止を、市場の混乱を招かずに、どう進めるか、ということです。

FRBがこれから行う出口戦略は、大きく分けて3段階になります。

第1段階は、現在のQE3、すなわち、毎月850億ドルの資産購入を縮小することです。
購入額を徐々に減らしていき、最後にゼロにするという作業です。
ここで初めて、FRBの資産拡大は止まります。

続く第2段階では、3兆ドル超に膨らんだFRBの資産規模を縮小し、第3段階では、
ゼロ金利政策の解除に伴う、政策金利の引き上げが待っています。

当面、金融市場の注目を集めている第1段階は、長い出口戦略の始まりにすぎません。
それでも、バーナンキ議長が慎重を期しているのは、量的緩和縮小の初めの一歩であっても、
市場が過剰に反応するリスクを、段階ごとに和らげていく必要があるからだと考えているからです。

この第1段階については、比較的ハードルが低いと思われます。拙速に2013年中には行わず、
雇用情勢を注意深く見ながら2014年前半に取りかかれば、大きな混乱は起きないのではないでしょうか。

問題は第2段階からです。FRBが市場に供給した巨額のマネーを、いかにして混乱なく吸収していくか。
これは非常に難しい問題であると思われます。

第2段階が第1段階のQE3の縮小と明らかに違うのは、FRBが、市場に供給する資金の総量が、
リーマンショック後に初めて減少するということです。

これまでは、歴史的な低金利で資金を調達したヘッジファンドが、レバレッジを利かして、
リスクの高い金融商品に強気で勝負をしてきた。ところが、FRBがひとたび資金を吸収し始めると、
ヘッジファンドは、レバレッジを引き下げるために金融商品のポジションを、半ば強制的に、
縮小しなければならなくなるのです。

FRBでQE1、QE2、QE3と量的緩和を行うたびに、アメリカの株価は上昇し、他の先進国や新興国の
株式市場にも、ずいぶん投資資金が流れ込みました。世界のヘッジファンドの運用資産の残高も、
増加の一途をたどってきました。

FRBが資産規模を縮小するということは、世界のヘッジファンドの運用資産の残高が、
減少することにつながります。
FRBの資産規模が減らないQE3縮小(第1段階)の観測が流れただけで、5月〜8月に世界の株式市場は、
伸び悩み、多くの新興国の通貨が大きく売られたのです。

したがって、資産規模の縮小(第2段階)は、きわめて慎重にやっていかないと、金融市場のみならず、
世界的に経済が動揺する恐れがあります。

ただし、FRBの救いとしては、日銀が新たに大規模な量的緩和を始めたことで、
FRBの資産規模の縮小分を、すべてではないにしても、日銀が補ってくれるということです。
FRBの本音としては、日銀が2014年末まで量的緩和を続けている間に、
資産規模の縮小を何としても始めたいのではないでしょうか。

しかしそれでも私は、資産規模の縮小は、3年くらい時間をかけて、ゆっくりとやるのが妥当であると、
考えています。新興国を中心として、資産バブルと借金経済が、同時進行で大きく膨らんでしまって
いるからです。

ですから、第3段階の政策金利の引き上げについては、かなり先の話になると思います。

サクソバンクFX証券年間見通し2014

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(サクソバンクFX証券年間見通し2014)
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