お久しぶりです。前半をupしたあとすぐ途中まで書いたもののずっと放置してましたすみません…
メイキング後半は街灯り、雲、人をメインにとにかく塗りこんでいく作業になります。
しかし、ひとことに「塗る」と言っても、この作業の中にぽちのこだわりの8割が入っていると言っても過言でないくらいいろんな塗り方が詰まっています。
今回はそんなこだわりもちょいちょい織り交ぜながら書きましたのでかなり長くなってしまいましたが、「ああ、こいつはこんなところに拘って描いてるんだな~ほほ~」みたいな感じで緩く読み進みて頂ければ幸いです…

では早速行ってみましょう!
※画像が小さくてわかりづらい場合はクリックして拡大表示でご覧ください^^

4.彩色-街灯り(遠景)-

ここからは細部の色塗りになってきますので、掲載画像も一部切り出しが多くなりますのでご了承ください~。
まずは彩色の基本、遠景から明かりを灯していきます。

実はこの手の俯瞰で見た遠景の夜景は描くのが初めてで、今回も沢山の風景描きさんの作品を見てどう描こうかうんうん考えた結果、道を明るい線で描いて、その周りに街灯りを適時足していくことに。
正規01夕焼けd切り取り










まずは渓谷部分の陰影や森、そして町と、町をつなぐ道を光で表現。あくまで街灯の反射光なので淡く控えめに、そしてほぼ一定間隔で濃淡をつけて。

次に、上から不透明度を落とした加算発光レイヤーを重ねていきます。街灯に近いところは濃く(明るく)遠い所は薄く(暗く)塗っていきます。
この段階で大体街と道の位置が決まるので、後は窓や看板、航空障害灯などの街灯りを適時追加していきます。
正規01夕焼けe切り取り













これで遠景の大まかな塗りは完了です。あとは近景の町を塗りこみつつ適時手を加える感じで。



5.彩色-街灯り(近景)-

さて、いよいよ近景の塗りでございます。こちらは遠景と違って建物にも色を載せないといけないので、まずはそこから。
下準備として道の灯りだけぱぱっと置いておきます。これは建物の壁面を塗る時に反射光を考慮に入れないといけないからです。

さてさて、では初めに指標になる建物を塗ります。今回は一番手前右側のちょっとお洒落な看板建築から。
正規01夕焼けf切り取り
 












基本的に光が当たっているところは色、光の当たっていないところは明暗で表現するので、色を決めるために屋根から取り掛かり、次に壁の部分を塗ります。
寒色基調のイラストなので全て青よりに振って塗ります。例えば瓦の部分はかなり青をきつめに、本来なら赤色である手前のスレート屋根の部分も彩度の低い(灰色に近い)青色といった具合です。
また、壁の部分は街灯や窓明かりの反射により暖色系の色が混ざるので、光源が近い部分に近づくに従い少しずつパレットを暖色寄りに変えていきます。

★ちょっと道草ぽちの街塗り方法 -窓明かり編-

ここで突然ですが、ぽちがちょっとこだわっている街の表現方法をちょこっと紹介します。
まずは街の命、窓明かりの塗り方!
 ・ガラスの部分だけくり抜く
 ・階層一つ下のレイヤーに室内の灯りを塗りこむ
 ・光源に合わせて窓枠や周辺の壁に反射光を塗る
 ・不透明度を10~30%くらいまで下げた加算発光レイヤーで、光源にあった色のエフェクトを上から軽くかける
という4段階で描いてます。
室内を描くにあたっては机や棚などの小物、カーテンや窓に張り付けられている掲示物などがあるとより奥行きや生活感が出てきますよ。
また、例えば前作「宵闇の双子町」の様に近景に窓がある場合、ガラスの四隅を白く曇らすと古いガラスの質感が表現できます。
正規01夕焼けn窓切り抜き
















双子町17sまど切り抜き
















★ちょっと道草ぽちの街塗り方法 -看板編

続いては活気ある街に欠かせない看板の照明の塗り方です!
廃坑の街の看板は
 1.普通の板にペイントされたものを照明で照らす
 2.肉厚な看板の内部に蛍光灯が内蔵されていて発光する
 3.ネオン看板
の3タイプがあります。

1.は、まず暗めの色で看板のデザインを描き、そこから照らされている部分(光源を扇頂にした扇型)に明るい色を塗り足していきます。
ある程度グラデーションが出来たら仕上げに不透明度低めの加算発光レイヤーを照らされている部分を中心に重ねて完成!
デザインが複雑だと一番初めの行程が面倒くさかったりします笑

2.も基本は同じでまずは少し暗め(1.よりは明るく)に基本デザインを塗りますが、明るい部分は扇形でなく蛍光灯を中心にした角の丸い長方形になります。ということで蛍光灯の部分を中心に細長くグラデーションを塗りこんだあと、加算発光レイヤーを太めのブラシで蛍光灯一本ずつにビビーッと重ねていきます。
面倒くさかったら初めからある程度明るく看板を塗っておいてグラデーションは省略して一気に加算発光レイヤーを重ねてもいいかもしれませんね。

3.これが一番簡単!まず初めに彩度高めのブラシでデザインを描きます。基本的に一本書きで。
そしてその上から加算発光レイヤーで少し太めのブラシを使ってなぞっていきます。
看板説明


















街を表現する上で欠かせない街灯りや看板の夜景、廃坑の街ではこんな工程を経て表現されています。シャープな表現にはあまり向いてないですが、ふわっとした暖かい街の表現には向いているのではないかと思います。
以上、ちょっと道草でした!



さてさて、これ以降、基本的には上記のような明かりを灯す作業をひたすら続けて街を拡張していきますよ。

どん
正規01夕焼けis














どどん
正規01夕焼けns




















どどどん
正規01夕焼けr補正有ss

















う~ん、近景を描くと一気にそれっぽくなりますね。
ようやく生きた街になってきた感じです。

テンション上がった勢いで左下端の階段や中央の駅にも灯して風景は完成!
正規01夕焼けvs







 







…と思ったんですが、何だろう…なんだかちょっと寂しい。

左側の街が明かりによって情報量が増えたことで右側がどうにもスカッとしすぎてる感じがしたんです。
ということで、ここでぽちは植物と並ぶ風景の苦手分野、雲に手を付けることにしました。
一言に雲と言っても、季節や高度などによって様々な種類があり拘りだしたらキリがない沼の世界なので、今回はそういった細かいことはとりあえず横に置いておいて、広角の構図を意識した広大な空間イメージを中心に描きました。

まずはるか上空の方に放射線状のすじ雲を描きます。
次にすじ雲より下の空にジグザグ上の雲を描きます。
この時、上の雲は光を浴びているので白、下の雲は上の雲の影や角度的に光が届きにくいことから灰色で塗ります。

この放射状やジグザグな形は、ともに空間に広がりを見せるとともにそれぞれの収まっていく地点(この絵では日の出の場所)に視線を誘導する効果があります。
正規01夕焼けws雲説明










最後に、上空のすじ雲は「フィルター」→「ぼかし」→「ガウスぼかし」で軽くボカします。こうすることで空と馴染ませ、下の雲との高度差を強調出来たかなと思います。

雲の描き方や空間表現の仕方はインターネットの様々な場所に解説やメイキングが載っていますので詳しくは検索してみたください^^
自分もまともに空間を意識した雲を描くのは初めてだったのでいろんな方の解説を参考にさせていただきました…


さて!そんなわけでようやく風景は完成です!!
正規01夕焼けxs















いよいよここからは最後の味付け行程に進みます。

街の絵自体はこれで完成です。でも、街にはまだ描かれていない必要不可欠なものがあります。
そう、人です。
街というのは人と、その営みがあってこそなのです。人が居なければそれはただの廃墟。

ということで、これからはこの特別な一瞬を共に過ごそうと町中を闊歩する住人達を描いていきます。

今回も風景になじませるために人物は線画なしで描きこんでいきます。
まずはどこにどんな人たちをどんなポーズで置いていくかを決めるためにシルエットを置きます。
正規01夕焼け人a切り取り2
 

















正規01夕焼け人a切り取り1















なんだかホラーゲームのような怪しい影になってしまいましたが、この時点で一人一人のストーリーを大まかに決めて描きこんでいます。
例えば駅のホーム手前の方に居る二つの人影は親子で、右側の子どもが親を引っ張りながら日が昇りそうな空を指差しています。多分「お母さん、日の出だよ!」なんて言ってるんだと思います。
こんな感じで、街の絵はモブではあっても住人一人一人が主役でもあるので、彼ら一人一人がこの街で何を思ってどんな行動をしているのかというささやかな物語を出来るだけ込めながら描いています。

さて、そんなわけで設定を考えつつ影を置いたらいよいよ色を塗ります。
一人一人は小さいので、街灯や街灯り、それに各人が持っている角燈の灯りを光源の中心にして大まかに塗っていきます。あまり細かく描くとゴチャゴチャしてよくわからなくなるのであくまで大雑把に…(そしてこれが苦手だったりいます^^;今回も何だかんだ言ってつい楽しくなってしまい細かく描いてしまいました…)

正規01夕焼け人kランプ正規01夕焼け人es














 













ということで描きあがった住人達です。
表情ではなく身振り手振りで彼らの今をどう表現するか。難しいけど描いててとても楽しいです。
ちなみに人物に関しても、角燈を中心に不透明度を落とした加算発光レイヤーを二重に重ねています。これによってフワッとした光のフレアが表現できるかなと…

これに湯気、煙、そして日の出の光線を描きこみます。
湯気は覆い焼き(発光)レイヤーで、煙は普通のレイヤーで、煙突の口に近いところは赤を多く含ませる感じで描きました。
この煙の表現に関しては普通ならあまりあり得ないオーバーな強調表現ですが、こうすることであえて石炭をガンガン燃やしていた頃の煙っぽさや力強さをだせるかと思うので個人的にお気に入りな表現です。


さて、以上で描きこみに関しては完了です。あとは適時レベル補正や明るさ調整をして完成!!
正規01夕焼け人kオーバーレイsign入1980













 





いかがでしたでしょうか。
特に後半の記事はやたらと長くなってしまいましたが、 『廃坑の街』がどのようにして考えられ、どのようなこだわりを持って創られていっているかを少しでも感じていただけたら幸いです。

正直なところ、プロの背景描きの方々のような無駄のないシンプルな描き方とは真逆の、あえて面倒くさい描き方を多用したものですので、あまり直接的な参考にはならないかもしれません。
しかし、『廃坑の街』を見て下さった方々によく評価していただける「温かい」「生活感がある」といったポイントは、こうした手塗りを中心にして丁寧に仕上げた後で発光レイヤーを軽く重ねる描き方や、モブ人物や建物小物ひとつひとつにできるだけ意味を持ってそこにあってくれるように時間をかけて考えて積み重ねていく作業の上に成り立っていると思っています。
そしてなにより、楽しく描くこと。
この、自分の心の中にしか存在しない、自分だけの世界に精一杯のこだわりと萌えを投影し、自信を持って描いていくことが、時間がかかり単純作業の多い風景制作を最後までやりとげるにあたって一番大切なことだと思います。

納期や制作枚数の問題がある依頼などはまた別ですが、純粋に趣味としてのお絵かきなら、時間がかかっても楽しく「好き」という気持ちを保ったまま描けるのがいちばんです。
このメイキングが「風景イラストも描いてみたいな、でもちょっと敷居が高いな」と躊躇している方の背中を押す力に少しでもなれたら、そしてより多くの方の心の内にある風景が見られるのならこれほど嬉しいことはありません!


◆追記:2/1に東京ビッグサイトで行われるCOMITIA111にこの『冬至祭りの夜明け』を含む『廃坑の街』のフルカラー風景イラスト集『廃坑の街 弐 -故郷へ-』(A4/28p,¥500)をひっさげて参加します。
特に『冬至祭りの夜明け』はA3を念頭にして細部まで描きこんだイラストですので、ぜひA3見開き一面に広がる廃坑の街の世界を見ていただければと思います。
【W14b】にてお待ちしております!