【ファイアボルト】

20 世紀末、ニンバス競技用箒会社はすべての競合企業を抑え、トップの座にありました。ニンバス 2000 とニンバス 2001 の売上本数は、他のトップクラスの箒すべての売上本数を合わせた数の 3 倍に上っていました。

ところが、そのときすでに新しい競技用の箒が開発されていて、発売から 12 ヵ月で売上本数 1 位の座を奪うことになろうとは、ニンバスのデザイナーたちは予想だにしていませんでした。その新しい箒とは「炎の雷・ファイアボルト」で、ランドルフ・スパドモアが手がけた極秘プロジェクトで開発されたものでした(ランドルフ・スパドモアは、1940 年にティンダーブラストを開発し、1952 年にはスイフトスティックを開発した、エラビー・アンド・スパドモア社のエイブル・スパドモアの息子です。いずれも十分な機能を備えた箒でしたが、絶大な人気を得るには至りませんでした)。

創意に富んだ腕利きのデザイナーだったランドルフは、小鬼製の鉄製部品(足置き、スタンド、小枝を束ねるバンドなど)を初めて使用しました。完全な詳細は明らかになっていませんが、ファイアボルトが悪天候に耐えうる安定感とパワーを向上させ、足が滑りにくいというクィディッチ選手にとって大いに有利な特徴を備えているのは、こうした部品を取り入れたためのようです。箒の柄には磨き上げられた黒檀が使われており、小枝は好みに合わせてシラカンバかハシバミを選べるようになっています(シラカンバは上昇時に「馬力」が出ると評判で、ハシバミは敏捷な操縦を好む魔法使いに好評です)。

ファイアボルトは高価な箒で、ハリー・ポッターはいち早く手に入れた使用者のひとりです。比較的生産量が少ないのですが、その理由のひとつとしては、特許で保護されている鉄製部品の製造に携わる小鬼の作業員たちが、ほんのささいなことで怒ってストライキを起こしがちなことが挙げられます。

【クィディッチ・ワールドカップ1990-2014】

1990
カナダ 270 点、スコットランド 240 点
あと数ミリのところでスニッチを捕り損ねたスコットランドの惜敗でした。シーカーのヘクター・ラモントは試合後のインタビューで、父親のスタビー(ずんぐり)・ラモントがもっと長い指をくれなかったせいだと言い放ったことで話題になりました。

1994
アイルランド 170 点、ブルガリア 160 点
ピッチ上で行われたことよりも、試合後の出来事が記憶に残る決勝でした。若きシーカー、ビクトール・クラムが素晴らしいプレーでスニッチを捕りブルガリアのプライドは守ったものの、優勝にはあと一歩届かなかったのです。

1998
マラウイ 260点、セネガル 180 点
史上 2 度目のアフリカの国同士の決勝戦でした。1994 年の暴動を受け、試合の安全対策は今までにないほど厳しく、マスコットのヤンボーたちがスタジアムの外で逮捕されたセネガル代表チームは、これに抗議し試合を放棄しそうになりました。ヤンボーはアフリカに生息する屋敷しもべ妖精の一種で、逮捕されても暴れたりはしませんでしたが、報復として半径 10 マイル圏内の食べ物をすべて盗んで夜の闇に消えました。

2002
エジプト 450 点、ブルガリア 300 点
またしてもブルガリアにとって残念な結果となった年でした。ビクトール・クラムはエジプトの天才シーカー、ラウヤ・ザグルールに僅差でスニッチを捕られてしまったのです。試合後、クラムは涙ながら引退を発表しました。

2006
ブルキナファソ 300 点、フランス 220 点
アフリカの小国にとっての大勝利でした。シーカーのジョシュア・サンカラは試合後すぐにブルキナファソの魔法大臣に任命されましたが、クィディッチをやりたいと 2 日後に辞任します。

2010
モルドバ 750 点、中国 640 点
3 日にも及ぶ白熱した試合となり、今世紀最高のクィディッチが行われたと評判の一線でした。モルドバは小国ながら常に優秀なクィディッチ・チームを排出してきましたが、キャンプ中に龍痘が流行したために 2014 年大会にはエントリーできず、多くのファンが悲しみました。

今年のクィディッチ・ワールドカップも、熱い試合展開が期待できると評判です。出場国は以下の 16 か国です:
ブラジル、ブルガリア、チャド、フィジー、ドイツ、ハイチ、コートジボワール、ジャマイカ、日本、リヒテンシュタイン、ニュージーランド、ナイジェリア、ノルウェイ、ポーランド、アメリカ合衆国、ウェールズ

上位 2 チームはナイジェリアとノルウェイで、アメリカは初めて決勝戦進出を狙えると言われています。ブルガリア代表には、一度は引退したビクトール・クラムが復帰し話題を呼んでいます。クラムは 38 歳でシーカーとしては年齢が高いのですが、「死ぬ前にワールドカップを手にする」という目標を掲げています。このため、ブルガリアは予選落ちした国々のファンの間で人気のチームとなっています。リヒテンシュタインは前回大会の準優勝国である中国を下して予選を突破し話題を呼んでいます。リヒテンシュタインのマスコットはハンスという名前の大きくて陰鬱なオーグリーで、彼専属のファンクラブを持っています。

今大会に関してはこれ以外に特に変わったことは報告されていません。ハイチが亡者を使って相手チームを脅かしたという噂もありましたが、ICWQC によって「根拠がなく、悪意に満ちている」と一蹴されています。ポーランドのシーカー、ボナヴェンチュラ・ヴォイチックが、実はイタリアのシーカー、ルチアーノ・ヴォルピが変身術を使って化けているという疑惑は、ヴォルピがヴォイチックと記者会見に同席したことによって解決しました。ウェールズのマネージャー、グウェノグ・ジョーンズ(もともとはホーリーヘッド・ハーピーズに所属していました)は、ブラジルのマネージャーであるホセ・バルボーザにチェイサーを「無能な鬼婆」と非難されたことに腹を立て「顔を呪い消してやる」と発言しています。(バルボーザは、発言を曲解されたと弁明しています)

ワールドカップの開幕試合は、来月パタゴニア砂漠で行われます。

【ゴブストーン】

ゴブストーンは、古代から伝わるビー玉に似た魔法のゲームです。普通のビー玉との大きな違いは、失点するたびに勝者の石が負けたプレイヤーの顔にいやな臭いのする液体を吹きかける点です。ゲーム開始の時点でプレイヤーはそれぞれ 15 個の丸い小さなゴブストーンを持っていて(ゴブストーンは 30 個 1 セットで売られています)、相手の石を全部取ったプレイヤーが勝ちとなります。名前が示すとおり、石製のものが一般的ですが、なかには貴金属製のものもあります。

プロのゴブストーン選手はナショナルリーグや国際大会で活躍していますが、ゴブストーンは魔法界でもマイナーなスポーツで、ファンにとっては腹立たしいことながら、「クールな」スポーツという評価は受けていません。低年齢層の魔女や魔法使いの間で人気がありますが、成長するにつれて「卒業」し、クィディッチのほうに興味を示すようになるのが一般的です。全国ゴブストーン協会は過去に「ゴブストーンに日の目を」といったスローガンを掲げて勧誘キャンペーンを展開してきましたが、ポスターに使われた写真(現チャンピオンのケビン・ホップウッドが目にぬるぬるした液体をたっぷりかけられているもの)は、適切ではなかったかもしれません。

ホグワーツでもゴブストーンの人気は低く、娯楽の中では、クィディッチや魔法使いのチェスのほうが圧倒的に人気です。

なお、セブルス・スネイプ先生の母親のアイリーン・プリンスは、ホグワーツに在学中、ホグワーツ・ゴブストーン・クラブの部長を務めていました。