溶けることにない雪のように

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もう一つのミッドウェー 【我は瑞鶴!突入する!】 Episode8

Episode8

【ミッドウェイ近海】

「さてと、ミッドウェイ島上空の制空権の確保はできているか?」

「加賀さんの零戦隊を中心に確保出来ています。対空砲火による迎撃もまったくありません。」

「利根、水偵による近海哨戒は問題ないな?」

「万全ぞな!」

激戦の2日目があけても、機動部隊はミッドウェイ近海にいた。

連合艦隊のミッドウェイ島占領部隊が到着するまで、近海の制海空権確保のためである。

「そろそろ、瑞鶴さんも合流するはずですね。」

「…。そうだな…。」

増援部隊である瑞鶴は進軍速度を落とし、巡航速度でこちらに向かっているはずだ。

はずと言うのは、あれから一切の無線が入ってこないし、こちらからの無線にも応答しないのである。

「通信機が故障でもしているのでしょう。そうであれば、あのノイズだらけの通信も納得出来ます。」

何故かうかない顔の提督に加賀がそう答えた。

「そこは気にしても仕方ない。それよりハワイより敵増援が来たら厄介だ。哨戒・索敵は厳とせよ。」

「任せると良いぞ!」





【3時間後司令船内部】


「提督。到着しましたよ。」

赤城が司令船にいる提督に呼びかけた。

「わかった。こっちに来てもらって。」

「了解しました。」

しばらくして、赤城を含むこの海域にいる全ての空母が入ってきた。

「遠路はるばるご苦労様。おかげで助かったよ。翔鶴さん。」

提督は入ってきたメンバーを見ること無く、窓から海を眺めながら言った。

「気づいていらしたのですね。瑞鶴でないことに。」

申し訳なさそうに言う翔鶴に

「わかるさ。いくら混線してようと瑞鶴の声はね。」

提督はどこか照れくさそうに答えた。

「偽るような事をしてしまい、申し訳ないです。」

「偽った理由は、あの時わかっていながら瑞鶴と呼びかけた俺と同じ理由なんだろうからね。詫びられる事じゃないさ。」

皆の方に振り返った提督は、笑っていた。

苦笑ではない。でも喜びの時の笑みでもない。

なんとも表現の仕様のない、笑い顔であった。

「あの雑音としか言えないような通信で違いがわかったのですか?私には瑞鶴の声に聞こえましたが。」

加賀は訝しげにしていた。

「そりゃ、姉妹だからな。似せようとすれば出来るだろう。あのノイズ混じりの無線も恐らくは翔鶴の細工だろうしね。」

「なぜそのようなことを?」

赤城もまた不思議そうな顔だった。

「それは、あの後のみんなの士気の高さを考えればわかるさ。瑞鶴が援軍に着た。これで勝てる。そんな雰囲気になっただろ?翔鶴はそれを狙ったんだよ。」

提督の解説の間、翔鶴はずっと皆を騙して申し訳ない。そんな空気を醸し出していた。

「改めていう。翔鶴、君の援軍があったからこそ、我々は今ここでのんびりと話をできている。本当に感謝している。」

提督は翔鶴に向けて頭を下げた。

「やめて下さい…。提督という立場にある人が簡単に頭を下げては…。」

慌てて静止しようとする翔鶴の声に提督はまっすぐ翔鶴の目を見て

「お礼・お詫びの類は地位・年齢にこだわるものでは無い。俺はそう思っている。なので司令官も提督もないさ。」

晴れ晴れとした、笑顔でそういった。

「瑞鶴の気持ちが今わかったような気がします。」

翔鶴もつられたのか、ここにきて初めて笑顔を見せた。

「でだ。占領部隊はいつここに来るか聞いているか?」

「明日にはこの海域に到着すると連絡がありました。」

「翔鶴に伝えておいて、こっちに連絡が無いとは…。それはそれでいいとして、加賀、霧島と響・雷を連れて先に戻っていてくれ。」

「なぜ私が。と言いたいところですが、さすがに少々キツくなってきました。先に戻って修復に入らせていただきます。」

提督は「うん」と返事すると、おもむろに通信機を取り

「それと霧島。お前も隠してるが結構至近弾もらっただろ。一緒に修復しておくように。雷、ちゃんと頼むよ。」

「はーい。司令官。私に任せて。」

翌日、占領部隊とその護衛艦隊が到着し、任務を引き継いだ提督の艦隊は泊地へと帰投した。



【泊地】


「提督さーん!おかえりー!」

泊地に帰投した機動艦隊を出迎えたのは瑞鶴その人であった。

「ただいま。怪我は?大丈夫なのか?」

指揮船から飛び降り、瑞鶴に駆け寄る提督の慌てぶりは一番付き合いの長い電の記憶にも無いものであった。

「色々あって派手に艤装はやられたけど、私自身は大した怪我もしなかったから。大丈夫。」

瑞鶴の返事に

「そうか。それなら良かった。」

提督は、やっと安堵の息を吐いた。

提督の周りには一緒に戻った機動部隊の面々に翔鶴。AL方面に出張っていた足柄艦隊。お留守番をしていた五十鈴水雷戦隊。

皆が集まっていた。

「よし。一旦各自風呂なりなんなり済ませて2時間後に食堂集合だ。艤装の修復が間に合わない者は光速修復剤の使用も認める。祝勝会1日目、始めるぞ!」

提督の言葉に皆が答える。

「一航戦。赤城。食べます!」

「電の本気を見るのです!」

「赤城は想像通りだが、電までか…。」

提督は苦笑いを浮かべながらそういった。

「よし、それでは一旦解散。」

「「「「はーい!」」」」

元気の良い、しかし軍隊とも思えない返事とともに各々、自分の部屋へと戻っていくなか、瑞鶴だけがその場に立ったままだった。

「瑞鶴。いくぞー」

提督の声にも動かない。不審に思った提督が改めて問いかけると

「私、1人だけ負けて帰ってきたね。私、祝勝会はパスして部屋にいるね。」

そう言うと少し寂しそう顔を浮かべて自室に戻ろうとした。

「怒るぞ?瑞鶴。」

「えっ?」

「今回の勝因は、みんなを助けたいって瑞鶴の思いが詰まった烈風隊を、妹思いの翔鶴が連れてきてくれたことだ。2人の思いが、俺達を勝たしてくれたんだ。」

「本気でそう思ってる?提督さん。」

提督の言葉を聞いても不安そうな瑞鶴に

「俺が嘘をついたことがあるか?」

そう言葉を続ける提督。

「相手の反論封じる時、それセリフしか言わないね。」

瑞鶴はやっと笑った。

「そういえば、つけてくれてるんだな。」

「やっと気づいてくれた?」

嬉しそうに左手を見せる瑞鶴。

「でも、こういうのは、ちゃんと言葉を付けて、提督からはめてもらいたいな…。」

「そうだな。」

提督は空を見上げ一度大きく息を吐いた。そして

「瑞鶴。」

「はい!」

その時上空に1機の艦載機が大きな飛行機雲を曳きながら飛んでいった。

2人の様子を見守るように旋回すると飛んできた方向に戻っていった。

「こちら赤城所属。彩雲。提督のプロポーズの成功を確認。繰り返す、提督のプロポーズの成功を確認した。コレより帰投する」


もう一つのミッドウェー 【我は瑞鶴!突入する!】 Episode7

Episode7


【提督機動部隊】

「敵機がおおすぎるぞ!」

引っ切り無しに襲いかかる敵攻撃機に対空弾幕を張りながらボヤく。

「直掩隊は二航戦を中心に守ってもらっているからな。利根・筑摩!大変だと思うが頼む。」

小舟ゆえか直接狙われることもない指揮船で、提督は敵の攻撃の切れ目を図っていた。

直掩機の大半と戦艦娘2人に守られた二航戦ではなく

重巡洋艦娘2人と小数の直掩機に守られただけの一航戦に敵の攻撃が集中するのは仕方のな事だった。

その時、前方で炸裂音が響き渡った。

被弾したのであろう叫び声が聞こえる

「大丈夫?加賀さん?」

赤城も自身が装備する対空砲を撃ちまくりながら声をかける。

「かすり傷です。飛行甲板その他被害軽微!戦闘行動に支障はありません!。」

体勢を立て直しつつ、加賀は返事をする。

「もう当てさせません!」

一航戦を援護する筑摩が今まで以上に対空弾幕を張る。

と言っても、今までも全力だった訳なので、気持ちの問題だけであるが…。

「敵の攻撃機は艦攻隊がメインだな…。」

提督は敵の攻撃隊のバランスが艦攻隊に偏っていることに違和感を感じずにはいれなかった

「ハッ!制空隊低空に降りてきすぎだ!高高度の対空迎撃機がいない!!」

旧軍のMI作戦もそうだった。

勝負を決めたのは急降下爆撃機だった。

提督が気づき叫んで上空を見た時。すでに敵急降下爆撃機が急降下のポジションにつこうとしていた。

そしてそこから向かう先は

「赤城!加賀!上だ!!!回避行動を!!!」

提督の叫びに2人は上空を一瞥し、状況を確認するとすぐに回避行動を取るべく動き出した。

1機目。2機目となんとか躱す。

が3機目の急降下爆撃機に加賀がつかまろうとしていた。

「加賀!!!」

被弾する。そう感じた時だった。

信じられない速度で何かが飛び抜けていった。

そして次の瞬間、加賀を狙っていた急降下爆撃機は大破四散した。

加賀は呆気に取られながらも再び体勢を整えた。

「ワレ瑞鶴烈風隊!コレヨリ突入スル!」

次々と烈風隊が制空戦闘に加わる。

元々、深海棲艦の艦載機はゼロ戦21型でも十分戦えるのである。

52型なら1機で2機を相手しても勝てる。

そこに烈風が参戦したのである。

敵の本格的な航空攻撃も2波目を迎えていたが、烈風隊の活躍で、至近弾すらない状態になっていった。

「こ・・ら ・・・・かく。おうt・・・・がいま…。」

戦闘中のためか、距離のためか無線の調子は良くない。

「瑞鶴か!!」

提督は必死に呼び掛ける。

「こち…も、こう…た…をだし…。にじこ…はまかせ…。わ‥は‥‥かく。これよ…と…うする」

ノイズが大きく聞き取れないが、恐らくは攻撃隊をだした。二次攻撃隊を出せということだろう。

「飛龍!蒼龍!いけるか!」

「「もちろん!!!」」

「敵機の攻撃もほぼ終わりだ。三次攻撃が来る前に頼むぞ!」

言うが早いか二航戦の2人は攻撃機発艦の準備にかかった。

敵の攻撃はまだ散発的に続いている。

「気の早いことだ…。だが…頼んだぞ!」

「友永隊。頼んだわよ」

「そろそろ反撃よ。全艦載機、発進!」

一航戦が艦隊防空戦を担当する中

二航戦が敵艦隊へ必殺の矢を放った。

ミッドウェー作戦はまさにクライマックスを迎えようとしていた。


「加賀!傷は?」

二航戦の艦載機が発艦を終え、直掩機の収容と補給を行う中、提督が問いかける。

「飛行甲板の端を少しやられただけ。まだ行けます。」

加賀の声は少し辛そうにも聞こえたが

「そう…。なら赤城のゼロ戦も回収して補給してくれ。赤城は瑞鶴烈風隊を頼む。」

「了解したわ。」

「格納庫で攻撃隊を編成完了です。加賀さんに収容されたゼロ戦の準備出来しだい、三次攻撃隊を出せます。」

赤城の進言に

「12機でいいならすぐにでも出せるわ」

被弾した傷が痛むのか、少し表情をしかめながら加賀が答える。

「赤城!」

「了解。第三次攻撃隊、全機発艦!」

提督と瑞鶴程ではないにしても、赤城と提督もある程度以心伝心である。

言葉数が少なくとも、連携できる。

これこそが提督の機動艦隊の真の強さの秘訣だった。



【深海棲艦艦隊上空】

「これより攻撃を開始する!」

友永隊が攻撃に入ろうとした瞬間、飛龍の通信機を通して提督の声が聞こえた。

「友永!旧軍時のような特攻は禁止する!必ず生きて戦果報告せよ!」

提督直々の指示に

「そのつもりであります!」

艦隊攻撃直前の緊張感の中で少し表情がほころぶ。

「もし、貴様が撃墜されたら、飛龍の祝勝会参加は認めないからな!」

「ちょっ!そんなぁ…。。」

提督の言葉に慌てたのは友永でなく、むしろ飛龍であった。

「うちの泊地の祝勝会は豪華なのに。飛龍さん残念ね。」

加賀は心底残念そうに言う。

「その代わり、空母1隻撃沈する毎に、祝勝会の日数伸ばしてやる!」

「ヲ級2隻中1隻は先行した攻撃隊により大破、ヌ級2隻とも小破していますが。」

「全部やったら5日連続だ!嘘はいわん!その代わり、お前が撃墜されたら無しだ!」

提督の言葉に

「「「「友永隊!頼んだわよ!!!!」」」」

正規空母4人の声が見事にハモったのだった。



「聞いたか?みんな?」

「はい。」

「全部殺りたいところだが、下手に撃ち漏らすとまずい。ヲ級2隻に絞ってやるぞ!」

「「「「了解!!!!」」」」



【提督機動部隊】


「提督。本気ですか?」

「俺が今まで嘘をついたことがあるか?」

赤城の問いに提督が答える。

「これは是が非でも叩いてもらわないといけませんね。」

「みんな優秀な子ですから。大丈夫ですよ。」

赤城と加賀はそう頷き合う。

先程までとは打って変わってのどかな空気である。

深海棲艦の空襲部隊を2度に渡って撃退し、直掩隊の布陣も終わっている。

艦隊周囲では長良が第六駆逐戦隊を率いて対潜警戒を続けている。

利根・筑摩の水偵が長駆進出して他の深海棲艦がいないか索敵し

なおかつ敵航空戦力による奇襲に対する警戒も続けている。

「一航戦主体の第三次攻撃部隊も向かってます。深海棲艦が一個艦隊ならこれで終わりですね。」

「ポートモレスビー方面にも機動部隊を出していたし、これ以上機動部隊を運用してるとは思いたくないな。」

提督が渋い顔で言った。

そうこう話していると

「ヲ級1隻、ヌ級1隻それぞれ轟沈確認!これより残存部隊ヲ攻撃ス!」

4人の正規空母が歓声をあげた。

「これで3日連続確定。」

赤城が隣にいた利根とハイタッチを交わす。

「さすがに胸が熱くなります。」

少し紅潮した感もある加賀。

「楽しみですね!」

蒼龍も期待に胸が膨らむといった感じである。

「まぁ。友永妖精が血気にはやって突っ込んだら無しだけどな」

皆が思い思いに完成を上げる中、提督がぼそりと冷水を浴びせる。

「友永妖精!深海棲艦の対空砲圏外に離脱して!厳命よ!護衛戦闘機は4機護衛にまわって!!!」

提督の一言に飛龍が慌てて指示を出した。

その様子を提督はニヤニヤ笑いながら見ていた。

MI作戦が始まってから初めて見せる提督らしからぬ笑顔でもあった。

友永隊はこの後、軽空母2隻とも撃沈するには至らなかったが

一航戦主体の第三次攻撃隊が、そこに突貫する。

結果、重巡洋艦、駆逐艦を含む、護衛艦艇を全て轟沈させて戻ってきた。

後にミッドウェイ沖海戦と呼ばれるこの戦いは、帝国機動艦隊の勝利で幕を下ろしたのである。

雨のち晴れ SCENEⅢ

部屋を出てみたものの、行く当てがあるはずもない。
大学進学を気に生まれ育った街を飛び出して、
今の街に俺は住んでいる。

18の時からもう10年になろうかとしている。
思い返してみれば、彼女と一緒に過ごさなかったのは大学の4年間だけだった気がする。
俺は就職するのも嫌だたし、幸い親のすねは結構頑丈なつくりで
大学院に4年間も行かして貰えた。

大学院に進学した春に彼女は俺の住む街へとやってきた。

彼女が来た前の年の春に、奇怪な天気の日があった。
その日はまるで年末にでも戻ったかのような寒い日だった。
桜の花たちはその寒さをものともせず、咲き誇っていた。
寒さのわりに天気は快晴。太陽の光が眩しい中、
横殴りの雪が降り出した。
ピンクの桜吹雪と真白な雪の2重奏に感動した俺は、
他の誰よりも彼女に届けたく
写真を必死に取り、初めて彼女に手紙を書いた。

メールではなくて、手紙ってところが
自分でもなんだかなぁ・・・って思うが。

さらに、手紙の内容と言えば、
つまんない日常の報告をつらつら書き連ねてたように思う。
最後の結び以外は覚えていない。

唯一覚えている最後の結びは
「ただお前とこの景色を見たかった。」

今考えたら最初の事だったかもしれない。
彼女の存在がいかに大切なものだったかを・・・
それを知った最初。
でも俺はそのとき自覚出来ていなかった。
 
彼女は就職の際、俺の住む街を選んだ。
こっちに来た時に俺は彼女に問いかけた。
「なんでこの街を選らんだ?」っと
彼女の答えは明確だった。
「貴方が同じ景色を見たいって言ってくれたんじゃない。
だから私はここに来たのよ。」っと
 
そうなんだ。
彼女は俺の無意識のサインをきちんと受け取ってくれていたんだ。
そして、彼女は彼女が最善と思う方法を選んでくれていた。
俺のささやかな望みを叶える為の最善の方法を・・・

何度考えても悪いのは俺。
当てもなく歩く道。俺の目に移い行く景色は
様々な彼女との思い出をフラッシュバックさせる。
街の時計は丁度正午を指していた。
そろそろ結婚式の始まる時間だった。

気がつけば、俺は通いなれた公園についていた。
天気の良い晴れた日には、2~3冊の小説と共に
この公園に足を運んだ。
いつものベンチに腰をかけ、気がつけば持ってきた
小説を枕に昼寝をする。
そして目が覚めた時、必ず隣には彼女がいた。

呆れた顔して
「おはよう」
と言ってくれた彼女。
そんな日常ももはや過去のものでしかなかった。

俺はいつものベンチに腰をかけ天空にのぼりつめた太陽を仰ぎ見て
「幸せにな」
そう呟いた。
その言葉が漏れた瞬間、一筋の涙がこぼれた。
太陽が沈み、日の暮れた公園。
俺の頬をなでる風の冷たさに目が覚めた。
一つ身震いして寝転んでいたベンチから身を起こした。
「おはよう。って言う時間じゃないよ?」
不意に背後から声を掛けられた。
俺は自分の耳を疑った。
そして振り返り声の主を見た瞬間、絶句した。
「・・・・・なんで・・・・ここにいるんだ?」
数回の瞬きの時間のあと、俺は問いかけた。
「なんでだろうね?」
困ったように笑う彼女がそこにいた。
そしておもむろに俺の横に座ると、
「貴方は自分の生きたいように生きてきたよね?
私も貴方のように、自分の生きたい用に生きる事にしたの」
「お前・・・結婚式は?」
「うん。やめてきた」
俺は自分の耳を疑った。
彼女が何を言ってるかわからなかった。
「昨日彼と話をして、ふられちゃった・・・」
「ふられたって・・・・。今日結婚式だったんじゃないのか?」
「そうなんだけどね・・・・」
しばらくの間、二人の間沈黙が漂う。

きっと夢に違いない。
俺はまだ寝てるんだな。
そう思った俺は、現実社会では伝えられなかった言葉を口にした。
「愛してる。誰よりもお前を愛してる。」
「やっと聞けた・・・。私も、私も愛してる!」


その瞬間目が覚めた。
やっぱり夢だったみたいだ。
いつもベンチに横になっていつもの空を見上げてた。
「おはよう。寝言とだとしても・・・やっと聞けたね」
そういって俺を覗き込む彼女の顔。
「結婚式すっぽかしちゃった。こんな女誰ももうもらってくれないかもね」
少し淋しそうに、そして少しすっきりした表情で彼女はそういった。
「誰ももらってくれなくて良いよ。俺のそばにずっといてくれ」
俺は彼女の顔を見上げたまま、そういった。
すごく簡単なことだった。
ただ、この一言が言えないために、どれだけ傷つけ、どれだけの人に迷惑をかけたのだろう?
「愛してたよ。そしてこれから先もずっと。愛してる。」
俺はもう一度そうつぶやいた・・・・

Fin
 
プロフィール

粉雪亭

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兼業提督@艦これ  pixivにUPした物をここに保存中。 誤字脱字等の修正も気がついたらやってます。 艦これの二次創作に関しては 微妙に調整して、途中から別の話になるよてry