2005年11月24日

女人結界

大峰山の女人結界を破った御仁がおられるとか。
これから述べることは、伝統であるとか差別であるとかという
お話ではありません。
しかし、法律上の公有地かどうかという問題も語りたくありま
せん。
かつて、数度に渡り大峰山に入山し、宗教的な修行を行った者
としての意見として申し述べるに過ぎません(特定の宗教
団体に属しているわけでもなければ、利害関係があるわけでも
ありません
)。

入山にあたって、龍泉寺の龍王池において清めの行を行います。
その後は、一切の飲食を慎み、入山に臨みます。
入山に際しては、結界門前の不動明王様に行の満願を祈念しま
す。
入山しても、体調だけでなく様々な要素により、断念せざるを
得ない場合も生じます。
中途で登山者にお会いしたなら、「ようお参り」とお声掛をし
その労を労います。
ここで、「好意的であった」などと勘違いをしてはいけま
せん。

大峯奥駈修行は、雑念が入れば、簡単に自然という大きな力に
よって生命の危機に晒されることになるからであって、自己を
防衛する手段にしか過ぎません。
また、途中では手足をかける順番が狂えば昇ることも降りるこ
ともままならぬ数mの断崖絶壁もあります。
そして山頂では、しっかりと合掌していないと何時間もかけて
登った山から数秒で下山ということになります。
雑念から解放されない=生命の危機につながるのが修験道の行
です。
そのような危険な修行は廃止せよなどという短絡的な発想は
お止めください。

修験道は、カルトではありません。
報われない心や境遇を持って修行という道を選択されていらっ
しゃる方々も多くおられ、そういった方々から見れば、観光気
分で、しかも1年ほど学問としての仏教の勉強したからと言っ
て入ってこられては(たとえ意識的ではないにせよ)雑念をば
ら蒔かれて迷惑なのです。
意識しないで雑念や嫌悪をばら蒔いてしまうような行為をされ
正義を唱えられても困ります。

修験道者はセックスやマスターベーションをしないのか・・・
どうでも良いことです。
それを語ることは本末転倒です。
物欲や性欲、支配欲など数々の欲を捨てた向こうに存在する悟
りと光明を見ることが修行の目的だからです。
言うなれば心の解放であり、目指すものは違います。

禁を犯した方のサイトでの言い分を読ませていただいても、確
かに能書きは立派ですがひとつとして説得力を感じません。
無宗教の方がお持ちの独特な雰囲気があります。
そもそも性差はあって当たり前です。
男性には生理がありません。
それは差別でしょうか?
公衆浴場に行けば、男湯と女湯に分かれ、それが露天風呂とな
れば見える景色が違います。
これも差別でしょうか?
最近の女性専用車両は、男性に対しての差別であり、男性専用
車両も作るべきではありませんか?

無選別に「伝統」を縦に拒むことは私の中にはありません。
大峰山に入山され、本当に自然の中で生かされていることの意
味を知り、人を大事にされる意味を悟られるなら、女性が入山
することは大いに結構なことと思っています。
しかし、その論調に奢りがあり、宗教を小馬鹿にした理論が感
じられるのならば、その方のご意見には反対せざるを得ないの
です。
日本に及ばず世界の歴史は、宗教に左右され、利用されてきた
側面を少なからず持っています。
そのために、必要のない血が流されてきたことも事実です。
だからこそ、「世界に平和を」「身近なところに平和を」と叫
びたい。
物や学問では到達しえない世界もあることを知ってください。
そして、何を思って大峰山にターゲットを定めたかはわかりま
せんが、もっと身近にある差別問題を親身になって取り上げら
れたほうがよろしいのではないでしょうか。

11月24日15:22
*追記
件の事件は、私の心をえぐりました。
涙が止まりません。
本山の意向であるなら、これほどのショックを受けることはなかったでしょう。
高野山がかつて女人結界を張っていた頃、女人高野というものが存在し、女性のためには同時に女人堂によりその心を納めるべく配慮がなされていました。
大峰山もまた同じです。


power_sw1 at 11:56│Comments(0)TrackBack(5)この記事をクリップ!

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

5. 続・あなた達が問題  [ 日々思ふこと ]   2005年11月25日 17:19
続報です。 OPEN??EYES ジェンダーとセクシュアリティを考える というところに今回の企画をしたものの記載がありました。 11月3日 大峰山に登ろう 「女人」って誰のこと? (ちなみに炎上中) 元ネタはこちら イダヒロユキのソウル・サーチング ...
4. 女人禁制  [ ねこまんま ]   2005年11月25日 10:25
説得応じ大峰登山中止 性同一性障害の男女ら 性同一性障害の問題にしても、女性差別の問題にしても、他にやることはいくらでもあるでしょうに、どうしてこういう方向で運動をするんでしょうね。立命館大学と聞いただけで苦笑してしまうのは、いじわる過ぎるかもしれないけ...
3. 女人禁制の山に女性が登る  [ 三田典玄の電網解説「だからそれは、さ」 ]   2005年11月24日 21:46
変なニュースを見ちゃったよ。 女人禁制の山に女性が登ったってことがニュースになっていたんだけどね。で、どこでも「伝統・文化」か?それとも「男女平等か?」ってやってる。 ...
2. 女人禁制の大峰山で女性ら3人が登山強行  [ 不細工な不ログ ]   2005年11月24日 16:36
女人禁制が1300年間続く修験道の聖地、奈良県天川村の大峰山への登山を目指すと公表していた性同一性障害を持つ人ら35人のグループが3日、現地を訪れた。女性の立ち入りを禁じる結界門(けっかいもん)の手前で地元住民約100人と議論した結果、改めて話し合いの場
1. 女人禁制の大峰山で女性ら3人が登山強行  [ つらつら日暮らし ]   2005年11月24日 15:06
神戸新聞Web News 説得応じ大峰登山中止 性同一性障害の男女ら asahi.com: 女人禁制の大峰山で女性ら3人が登山強行  - 関西 女人禁制が1300年間続く修験道の聖地、奈良県天川村の大峰山への登山を目指すと公表していた性同一性障害を持つ人ら35人のグループが3...

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
livedoor アバター
「livedoor アバター」ブログパーツは、サービスを終了しました。
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計: