Gori ≒ ppdwy632

〈ぼく〉の思索の一回性の偶然性の実験場。

2008年10月

本「〈ぼく〉と世界をつなぐ哲学 (ちくま新書)」中山元5

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<ぼく>と世界をつなぐ哲学

〈ぼく〉と世界をつなぐ哲学 (ちくま新書)

○著者: 中山元
○出版: 筑摩書房 (2004/6,新書 233ページ)
○価格: 756円
○ISBN: 978-4480061751


むむむむむ、これだけの書籍(といっても膨大であるが)を読めば、これだけの論説を展開できるのか!?、などと言ってしまって、地頭(能力)の差異に思い至り、それでも、どこまで辿りつけるのか、果てしない道のりも、まずは一歩を踏み出すことからであり、一歩一歩の積み重ね、などと往生際が悪い♪
社会性を欠いたぼくは、それでも完全に社会との接触を断つことは不可能であり、読書に耽ることを拠りどころとして、サラリーマンとしての社会生活を営む。ときに“愛”なんて、よくわからない、などと言ってみたり、ぼくはひとりで生きていくのかなぁ、などと思ってみたりしながら、、、、

学生の頃、ぼくは自分が宇宙の妖怪の幻ではないかと本気で考えたことがある。〈ぼく〉とは何か、〈ぼく〉とは誰か、なぜほかの違う星や国や場所ではなく、ここに、この〈ぼく〉として生きているのか。そういう問いに悩まされていた。みなれた感じでも、じっとみつめていると、どうしてもおかしい、しらない漢字にみえてくることがある。同じように、ぼくが生まれたときから〈ぼく〉でありつづけたはずのこのぼくについて、考えれば考えるほど、だんだんわからなくなってくるのだ。
あの頃の思いが、この本の源流になっている。〈ぼく〉とは誰だろうか。〈ぼく〉はどのようにして〈ぼく〉となり、〈ぼく〉として維持することができるのだろうか。この問いを投げかけたのは、ぼくだけではなかったらしい。この問題についてこれまで哲学の世界では多くの考察がなされてきた。また、じかにこのテーマを扱ったものでなくても、ぼくたちが考えていくうえで助けになる概念もたくさんある。この本では、〈ぼく〉をめぐって哲学の流れの中で作られてきたさまざまな思考方法を探っている。ぼくと同じような問いを抱える方も多いだろうと思う。本書がこの問題を考えるための手掛かりになればと願っている。
この本はいわば、かつてのぼく自身に対する、いまのぼくからのささやかな回答でもある。考えてみれば、〈ぼく〉とは誰かという素朴な問い、世界とぼくが、どのような絆で結ばれているかという問いが、きわめて複雑な哲学的な問いを呼び寄せたのだった。読者の方々につきあっていただきながら、この問いを探る長い旅に出発したい。   (P.009-P.010、まえがき)


≪目次: ≫
まえがき
第一章 アイデンティティの迷宮
1 可能世界

哲学の夢/可能世界/双子の地球
2 分身の問題系
非対称な分身/影の弁証法/双子のモデル――二者の愛/生の両義性/時間的な分身
第二章 記憶の思想史
1 記憶の力

身体の記憶と自己同一性/アウグスティヌスの問い/デカルトライプニッツ
2 人格の同一性
ロックの方法の新しさ/ヒュームの解決/人間の同一性と人格の同一性/ヒュームの同一性
3 同一性を揺るがすもの
カントの批判――超越論的な哲学/新しい身体、新しい精神/二つのぼくの目覚め/キメラ文の誤謬
4 記憶の「物語」
記憶の作為/記憶と言語
第三章 言語と独我論
1 独我論の諸相

強い独我論/弱い独我論/弱い独我論の正しさと矛盾/ウィトゲンシュタインの独我論
2 他者の心の問題系
他者の心/他者の痛み/私秘的な言語/二つの接ぎ木/翻訳
第四章 言語の起源
1 言語起源論の歴史

アダムの命名
2 言語の起源を考える三つの系
舌の解放/母の不在/言語起源論のアポリア
3 ドイツの言語起源論
民族の言語/国家の内的な境界
4 言語起源論の波紋
言語相対論/思考の私生児
第五章 他者と相互承認
1 近代哲学と他者

〈他なるぼく〉/モナド/カントの道徳論の逆説/カントの思考と公共性
2 ぼくたちを支える他者
フィヒテの他者論/人格の相互承認
3 相互承認論
ヘーゲルの承認論/コジェーヴの相互承認論
4 欲望の理論
ラカンの欲望論/アブジェクトなもの/欲望の両義性/現代の相互承認論
第六章 他者の異貌
1 現象学と存在論の他者論

フッサールの他我論/ハイデガーと共存性
レヴィナスの異論
糧としての世界/イリヤ/時間と他者の弁証法
サルトルの方法
超越的な自我の虚妄/他者という地獄
4 まなざし、顔、正義
他者の還元/超越としての他者/他者の顔/原・他者と正義/他者との約束
第七章 共同体と友愛
1 共同体と自由

無縁の人々の集まり/共同の自由
2 群衆論
群衆の誕生/集団心理
3 共同体と暴力
供犠と共同体/ベンヤミンと大衆の芸術/アドルノの大衆芸術論
4 結社とユートピア
アソシアシオン/フーリエサド/共同性を超える共同性
第八章 共同体の内と外から
1 西洋の世界観

グローバルな時代に/〈前に立てる〉まなざし/像のモデル/西洋文明の「危機」/フランクフルト学派の批判
2 西洋の哲学の伝統から離れて
身体論の伝統/世界の〈肉〉
3 環境の概念
自然の美/橋と扉/アフォーダンス/ハビトゥス/メディア/通態的理性
4 媒介の論理
風土/種的な場所/種の弁証論/制度

あとがき
読書案内


≪著者: ≫ 中山元 (なかやま・げん) 1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。哲学者、翻訳家。主な著書に『思考の用語辞典』『フーコー入門』(いずれも筑摩書房)、『はじめて読むフーコー』(洋泉社・新書y)、訳書としてフーコー『真理とディスクール』、フロイト『自我論集』『エロス論集』、『メルロ=ポンティ・コレクション』(いずれも筑摩書房)、ファーン『考える道具』(角川書店)、『発言 米同時多発テロと23人の思想家たち』などがある。


カマキリ




本「星に降る雪/修道院」池澤夏樹5

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星に降る雪,修道院

星に降る雪/修道院

○著者: 池澤夏樹
○出版: 角川書店 (2008/3,単行本 232ページ)
○価格: 1,470円
○ISBN: 978-4048738385


・・・
やがてもっと明快なメッセージが来る。
それを待てばいいんだ。
・・・   (P.54、「星に降る雪」)

前日にアップする予定が、ライブドアブログのシステム障害により繰り延べに。まあまあ、システムなんてものは、人間の利便性を高めるために開発されるのであろうけれども、それによって高まる利便性は、一方では裏方の人間の人員削減につながり(それを目的として経営者は投資する?!、文句も言わずに休むことなく24時間365日働くシステム!?)、ところが、導入されたシステムは人間がメンテナンスしなければ適正な運用を維持できない、ということは、人間の手に委ねられる(完全に人間が離脱することはない)、システムが運用される24時間365日、って、削減されてしまった人員は?!、さらには残るのも地獄?!、休めないじゃん(怒!)、安息日は何処、、、
おかげ(?!)で、ぼくは安息を獲得♪、じつは次の日が休日で、秋晴れの天気予報とあっては、心はすでに紅葉ツーリング(クロスバイク)♡、「インシャラーアッラー(神の御意志あらば)」♪、ばっちり目覚めて、睡眠たっぷり、お弁当(手作りサンドウィッチ)持って準備万端!、半袖半パン(気合い十分)、いざ多摩川をのぼってのぼって、秋の「奥多摩湖」へ約120km(往復)!!、途中の多摩川サイクリングロードのロード上(府中市四谷近辺)に、白いペイントで手書きされた『クルクルまわせ!』に触発されて、クルクルクルクルペダルを回して、ノンストップ三時間一五分(七時二五分〜一〇時四〇分)、色づきはじめたばかりで、まだまだ緑(ほんの一部黄色と赤色らしきが見えないこともない)の山と木々に、誓っちゃうよ、「リベンジ!、待ってろ、紅葉!、また来ちゃうよん♪」、最後の急勾配を伴走したMTBの男性(運動能力に劣るぼくは最後に抜き去られて、はるかに引き離された)と奥多摩湖を望むベンチでしばし談笑(「奥多摩周遊道路を一緒に走ろう♪」って、「それはムリです、ゴメンナサイ、、、」)し、ぼくはもうひとつの目的、デジイチ(Canon EOS 40D)をデイパックから取り出して(この重量がぼくの体力を奪うと、わかっていながら連れていきたい♡)、山、水、青い空♪♪、「クルクルまわせ!」とばかりに帰路の山(川)くだりは、二時間四五分(一二時二五分〜一五時一〇分)のノンストップ(休んじゃったら二度と立ち上がれないんじゃないかと不安に駆られて)、往復合計六時間(その間に考察したことをそのまま言葉にできたらいいのに、まだまだ書きえない、言い訳)!、クルクルまわしつづけて、、、秋の多摩川♪


初出
「星に降る雪」……『考える人』二〇〇六年春号、夏号
「修道院」……『野性時代』二〇〇七年一月号〜四月号、六月号、八月号


≪著者: ≫ 池澤夏樹 (いけざわ なつき) 1945年北海道生まれ。小説に『スティル・ライフ』『真昼のプリニウス』『南の島のティオ』『マシアス・ギリの失脚』『静かな大地』『きみのためのバラ』、論評・紀行文に『母なる自然のおっぱい』『楽しい終末』『ハワイイ紀行』『言葉の流星群』『叡智の断片』ほか、著作は多数に及ぶ。


Night




本「社会契約論/ジュネーヴ草稿  Title:DU CONTRAT SOCIAL 1762 (PREMIÈRE VERSION, MANUACRIT DE GENÈVE) Author:Jean-Jacques Rousseau (光文社古典新訳文庫)」ルソー、中山元 訳5

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社会契約論,ジュネーヴ草稿 (光文社古典新訳文庫 Bル 1-2)

社会契約論/ジュネーヴ草稿  Title:DU CONTRAT SOCIAL 1762 (PREMIÈRE VERSION, MANUACRIT DE GENÈVE) Author:Jean-Jacques Rousseau (光文社古典新訳文庫)

○著者: ルソー中山元
○出版: 光文社 (2008/9,文庫 575ページ)
○価格: 980円
○ISBN: 978-4334751678


リベンジ♪
すべての社会のうちでもっとも古い社会は家族であり、これだけが自然なものである。ところで子供たちが父親との絆を維持するのは、生存するために父親が必要なあいだだけである。父親の保護が不要になれば、この自然の絆は解消される。子供たちは父親に服従する義務を解かれ、父親は子供たちを世話する義務を解かれる。こうして父親も子供たちも独立した存在に戻るのである。もしそのあとでも親子の絆が保たれるとすれば、それは自然な結びつきによるものではない。両者が結びつきを望んだためである。だから家族そのものも、合意のもとでしか維持されないのである。
・・・   (P.20)
人は自由なものとして生まれたのに、いたるところで鎖につながれている。自分が他人の主人であると思い込んでいる人も、じつはその人々よりもさらに奴隷なのである。この逆転はどのようにして起こったのだろうか。それについては知らない。それではどうしてその逆転を正当化できたのだろう。わたしはこの問いには答えられると思う。
もしも力と、力によって生まれる効果だけについて考えるならば、私は次のように答えるだろう。「ある人民が服従することを強いられて服従するならば、それはそれで仕方のないことだ。人民がその軛(くびき)を振りほどくことができ、実際に振りほどこうとするのなら、それは早ければ早いほどいい。人民は、人民から自由を奪った者と同じ権利をもって、みずからの自由を回復することができる。というのも人民には自由を回復するだけの根拠があるし、そもそも人民から自由を奪うことそのものが根拠のないものだったからである」と。
・・・   (P.18-P.19)


≪目次: ≫
凡例

社会契約論――または政治的な権利の原理(ジャン=ジャック・ルソー ジュネーブの市民)』
はしがき
第一篇
第一章 第一篇の主題

人民が自由を回復するための根拠
第二章 最初の社会
家族という結びつき/支配者の地位
第三章 最強者の権利について
暴力が権利を作るか
第四章 奴隷制度について
奴隷になる利益/自由の放棄/奴隷制から戦争が生まれるという主張/征服によって生まれる権利
第五章 つねに最初の合意に溯るべきこと
第六章 社会契約について

社会契約の課題/社会契約の条項
第七章 主権者について
国民と主権者の関係/自由であることの強制
第八章 社会状態について
社会状態のもたらす変化/社会状態のもたらす利益と不利益
第九章 土地の支配権について

社会契約と所有権/先占権の根拠/土地の所有権の成立
第二篇
第一章 主権は譲渡しえないことについて
第二章 主権は分割できないことについて
第三章 一般意志は過ちうるか

一般意志と全体意思の違い/結社の否定
第四章 主権の限界について
主権とは/一般意思が正しい理由/一般意思が変質する場合/主権者の行為の性格/社会契約で市民が獲得したもの
第五章 生と死の権利について
死の権利について/罪人の死刑/特赦について
第六章 法について
法はなぜ必要か/法の定義/立法の権限/立法の条件
第七章 立法者について
立法者に求められる資格/立法権の根拠/立法の逆説とその解決方法
第八章 人民について
法に適した人民/ロシアの実例
第九章 人民について(続き)
国家の規模
第一〇章 人民について(続き)
領土と人口の関係/地勢の影響/建国の時期/立法に適した人民の特性
第一一章 立法のさまざまな体系について
立法の目的/国の状況にふさわしい制度/環境と法の関係
第一二章 法の分類
基本法、民法、刑法/習俗
第三篇
第一章 政府一般について

政府の定義/政府の比例計算/政府の特殊な位置/政府と国家の関係
第二章 さまざまな形態の政府が作られる原理について
統治者と政府の違い/行政官の三つの意志/政府の規模と国家
第三章 政府の分類
三つの政体/最善の政体
第四章 民主政について
民主政の欠陥/真の民主政
第五章 貴族政について
貴族政の起源/貴族政の類型と利点
第六章 君主政について
君主政の長所と短所/君主政と国家の規模/王の資質/世襲制の問題
第七章 混合政体について
第八章 すべての国にすべての政府形態がふさわしいものだはないこと

課税の原則/風土と政体/奢侈の風土的な違い
第九章 善き政府の特徴について
第一〇章 政府の悪弊と堕落の傾向

政府の堕落の二つの道/政府の縮小/国家の解体
第一一章 政治体の死について
第一二章 主権を維持する方法

人民集会
第一三章 主権を維持する方法(続き)
定期集会/首都の問題
第一四章 主権を維持する方法(続き)
政府権限の停止
第一五章 代議士または代表者
代議士/主権は譲渡されえず、代表されえない/奴隷問題
第一六章 政府の設立は決して契約ではない
立法権と執行権の関係/執行権と契約
第一七章 政府の設立について
民主政体への移行
第一八章 政府の越権を防止する方法
公僕としての為政者/政体の変革/社会契約を確認する二つの議案
第四篇
第一章 一般意思は破壊できないこと

素朴な国家の理想/衰退した国家の状況/個別意志と一般意思
第二章 投票
全員一致/投票方法の原則/一般意思となりうる投票比率
第三章 選挙
選挙と抽籤
第四章 ローマの民会
トリブスとケントゥリア/田園地区と都市地区/二つの地区を区別する原則の弊害/クリア/財産による区分/三つの民会/投票方法
第五章 護民府について
第六章 独裁について

法律の停止/権力を委託する二つの方法
第七章 監察制度について
第八章 公民宗教について

宗教と政治/キリスト教の到来/三つの宗教/真のキリスト教/キリスト教の無世界性/公民宗教/寛容
第九章 結論
訳注

社会契約論――または共和国の形式についての試論(ジュネーブ草稿)』
第一篇  社会体の基本的な概念
第一章 この著作の主題
第二章 人類の一般社会について

社会の絆としての愛他心/自然状態/〈独立した人間〉の問い/ディドロの答え/戦争状態/説得の企て
第三章 基本的な契約について
基本の問題/社会契約/成員の保証/社会状態の恩恵/*土地の支配権について
第四章 主権とは何か、主権を譲渡しえなくするものは何か
主権とは
第五章 社会的な紐帯についての誤った考え方
父権による国家/富者による国家/先占権の条件/戦争による国家/時効による権力/暗黙の同意/究極の問い
第六章 主権者の権利と市民の権利
一般意思と個人/社会契約のもたらす平等
第七章 実定法の必要性
社会的な結合の困難な課題/法の必要性/立法者の必要性
第二篇  法の制定
第一章 立法の目的
第二章 立法者について

神のごとき立法者/人民と立法権/服従契約/法の撤回の可能性/立法の仕事の不可能性
第三章 育成すべき人民について
国家にふさわしい人民/国家の規模/領土と人口の関係/地勢の影響/建国の時期/立法に適した人民の特性
第四章 法の性質について、君主について、社会の正義について
法とは/法の一般性/立法の権限/正義の土台
第五章 法の分類
第六章 立法のさまざまな体系について

立法の目的/国の状況にふさわしい制度/環境と法の関係
第三篇  国家法または政府の制度
第一章 国家の政府とは何か

政府の定義
*公民宗教についての断片[編者による小見出し]
宗教の役割/三つの宗教/真のキリスト教/キリスト教の無世界性/公民宗教/寛容
*プロテスタントの結婚についての断片[編者による小見出し]
*断片[編者による小見出し]
訳注


解説――『社会契約論』の構成……中山元
第一章 ルソーの政治哲学の課題
時代推移論/「独立した人間」との対話
第二章 国家論批判
第三章 政治体の設立――『社会契約論』第一篇
社会契約の締結の時期――未開の革命へ/社会契約の根本原理――自己保存/社会契約の内容/全面譲渡の理論と人民主権/社会状態のもたらした義務/社会状態のもたらした恩恵――三つの弁証法
第四章 主権と一般意思――第二篇第一章〜五章
主権の定義/一般意思の特徴/主権の二つの特徴/一般意思はどのように確認されるか/主権の限界
第五章 法について――第二篇第六章〜一二章
法の普遍性/国民と法律/立法者に必要な資格/習俗
第六章 政府――第三篇
人民主権の原理/根源的な民主政/主権者と統治者の比例関係/政治体制論――民主政、貴族政、君主政/国家の滅亡/国家の死滅を遅らせる道/首都と代議士の問題について
第七章 公民宗教――第四篇
宗教の三類型/キリスト教のもたらす問題/公民宗教と人間の宗教/終りに――ルソーの遺産

ルソー年譜
訳者あとがき


≪著者: ≫ ジャン=ジャック・ルソー [1712-1778] フランスの思想家。スイスのジュネーヴで時計職人の息子として生まれる。16歳でカトリックに改宗。家庭教師等をしながら各地を放浪し、大使秘書を経て、37歳で応募したアカデミーの懸賞論文『学問芸術論』が栄冠を獲得。意欲的な著作活動を始める。『人間不平等起源論』と本書『社会契約論』で人民に主権があると主張し、その思想はのちのフランス革命を導くこととなった。主著に『新エロイーズ』『エミール』『告白』など。

[訳者] 中山元 Nakayama Gen 1949年生まれ。哲学者、翻訳家。主著に『思考のトポス』『フーコー入門』『はじめて読むフーコー』『思考の用語辞典』『<ぼく>と世界をつなぐ哲学』ほか。訳書に『自我論集』『エロス論集』『幻想の未来/文化への不満』『人はなぜ戦争をするのか』(以上、フロイト)『呪われた部分 有用性の限界』(バタイユ)、『パピエ・マシン(上・下)』(デリダ)、『永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編』(カント)、『責任と判断』(アレント)ほか多数。



小河内貯水池




本「武士道  BUSHIDO, THE SOUL OF JAPAN 1899 Inazo Nitobe (ワイド版 岩波文庫 35)」新渡戸稲造 著、矢内原忠雄 訳5

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本「武士道」新渡戸稲造、矢内原忠雄
武士道  BUSHIDO, THE SOUL OF JAPAN 1899 Inazo Nitobe (ワイド版 岩波文庫 35)

○著者: 新渡戸稲造矢内原忠雄
○出版: 岩波書店 (1991/6 ;2002/11 第8刷,文庫 159ページ)
○価格: 1,050円
○ISBN: 978-4000070355


これは先師新渡戸稲造博士著・英文『武士道』の全訳である。始め本書を著述せられしは一八九九年(明治三十二年)病気療養のためアメリカ滞在中であって、博士三十八歳の年である。同年アメリカ(The Leeds and Biddle Company, Philadelphia)にて、翌年日本にて出版せられ(裳華房)、その後版を重ねたが、一九〇五年(明治三十八年)第十版に際し増訂を施し、アメリカ(G.P.Putnam's Sons, New York)および日本(丁未出版社)にて発行された。さらに博士の逝去後、一九三五年(昭和十年)未亡人の序言を付して研究社から新版が発行された。
明治三十二年と言えば日清戦争の四年後、日露戦争の五年前であって、日本に対する世界の認識のなおいまだ極めて幼稚なる時代であった。その時にあたり博士が本書に横溢する愛国の熱情と該博なる学識と雄勁なる文章とをもって日本道徳の価値を広く世界に宣揚せられたことは、その功績、三軍の将に匹敵するものがある。本書が世界の世論を刺激し、広く各国語に翻訳せられたるもまた当然である。じつに博士の数多き著述の中でも、本書は代表的傑作と称するに躊躇しない。
・・・   (P.3、「訳者序」)

橋本治『江戸にフランス革命を! (青土社,1990/1)』読了の影響を受けて手にしたのかどうか、定かではないものの(と言及している時点で、すでに明確に意識していることを否定しない)、ちょっと前までは、すでに戦争を知らない(経験していない)ぼくにとって、“武士”って、“江戸”って、“日本”って、、、、ナニ??!


≪目次: ≫
訳者序  昭和十三年(一九三八年)七月 東京 自由が丘 矢内原忠雄
改版にあたって  一九七四年九月 矢内原伊作

武士道  日本の魂 ――日本思想の解明――』
第一版序  一八九九年十二月 ペンシルヴァニア州マルヴェルンにて 新渡戸稲造
増訂第十版序  一九〇五年一月十日 東京小石川にて 新渡戸稲造
諸言  一九〇五年五月 イタカにて ウィリアム・エリオット・グリッフィス

第一章 道徳体系としての武士道
第二章 武士道の淵源
第三章 義
第四章 勇・敢為堅忍の精神
第五章 仁・惻隠の心
第六章 礼
第七章 誠
第八章 名誉
第九章 忠義
第十章 武士の教育および訓練
第十一章 克己
第十二章 自殺および復仇の制度
第十三章 刀・武士の魂
第十四章 婦人の教育および地位
第十五章 武士道の感化
第十六章 武士道はなお生くるか
第十七章 武士道の将来


人名索引および注


Cortaderia selloana




本「書物の不在  Maurice Blanchot, "L'absence de livre" in L'Ephemere, no.10, 1969, Paris: Edition de la Fondation Maeght. (叢書・エクリチュールの冒険)」モーリス・ブランショ、中山元 訳5

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本「書物の不在」モーリス・ブランショ、中山元
書物の不在 Maurice Blanchot, "L'absence de livre" in L'Ephemere, no.10, 1969, Paris: Edition de la Fondation Maeght. (叢書・エクリチュールの冒険)

○著者: モーリス・ブランショ中山元
○出版: 月曜社 (2007/9,単行本 82ページ)
○価格: 2,625円 (品切重版未定)
○ISBN: 978-4901477369


「書くということ、この気違いじみたゲーム(Ce jeu insensé de l'ériture)」マラルメは書くという行為(エクリチュール)についての文章を、このごく単純な言葉で書き始めている。・・・   (P.8)
文化は書物と切り離せない。書物は知識を蓄え、受容する場所であり、知そのものとみなされる。書物は図書館に収蔵された書物だけではない。図書館とは、さまざまな形、言葉、文字のすべての組み合わせが、書籍という形で展開される迷宮なのである。書物とは〔理念的で絶対的な〕書物である。書物は読むべきものであり、書くべきものであり、つねにすでに書かれたものであり、すべて読むこと(レクチュール)と書くこと(エリクチュール)の可能性の条件となるものである。
・・・   (P.12)


ブランショ生誕百周年記念――二〇〇七年九月二十二日

≪著者: ≫ モーリス・ブランショ (Maurice Blanchot) 1907年9月22日ソーヌ・エ・ ロワール県のカンに生まれ、2003年2月20日イヴリーヌ県に没す。フランスの作家、批評家。主な著書に以下のものがある。『文学空間』(粟津則雄・出口裕弘訳、現代思潮社〔現代思潮新社〕、1962年)、『最後の人/期待 忘却』(豊崎光一訳、白水社、1971年)、『来るべき書物』(粟津則雄訳、筑摩書房、1989年)、『明かしえぬ共同体』(西谷修訳、ちくま学芸文庫、1997年)、『望みのときに』(谷口博史訳、未来社、1998年)、『友愛のために』(清水徹訳、《リキエスタ》の会、2001年)、『問われる知識人』(安原伸一朗訳、月曜社、2002年)、『ブランショ政治論集』(安原伸一朗・西山雄二・郷原佳以訳、月曜社、2005年)、『私についてこなかった男』(谷口博史訳、書肆心水、2005年)、『ブランショ小説選』(菅野昭正・三輪秀彦訳、書肆心水、2005年)、『謎の男トマ(1941年初版本)』(月曜社、近刊)。

[訳者] 中山元 (なかやま・げん) 1949年東京生まれ。東京大学教養学部中退。哲学者・翻訳家。著書に『フーコー入門』(ちくま新書、1996年)、『思考の用語辞典』(筑摩書房、2000年。ちくま学芸文庫、2007年)、『新しい戦争?――9.11テロ事件と思想』(冬弓舎、2001年)、『はじめて読むフーコー』(洋泉社、2004年)、『〈ぼく〉と世界をつなぐ哲学』(ちくま新書、2004年)、『高校生のための評論文キーワード100』(ちくま新書、2005年)、『思考のトポス』(新曜社、2006年)などがある。カント、フロイト、バタイユ、メルロ=ポンティ、アレント、レヴィナス、フーコー、デリダなどの訳書多数。


水玉♪




本「生きることを学ぶ、終に APPRENDRE &Agrave; VIVRE ENFIN Entretien avec Jean Birnbaum 2005 de Jacques Derrida」ジャック・ダリデ、鵜飼哲 訳5

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生きることを学ぶ、終に

生きることを学ぶ、終に APPRENDRE À VIVRE ENFIN Entretien avec Jean Birnbaum 2005 de Jacques Derrida

○著者: ジャック・デリダ鵜飼哲
○出版: みすず書房 (2005/4,単行本 85ページ)
○価格: 1,260円
○ISBN: 978-4622071389


悠々自適な生活ではなくとも、心意気だけでも「晴耕雨読」。
根っからの貧乏症のぼくは、♪、紅葉を愛でに、愛用のクロスバイク(TREK 7.3FX)で、愛用のデジタル一眼レフカメラ(Canon EOS 40D)をデイパックに背負って、朝から出掛けたい、休日。軽快な走行のために一切の無駄(重量物)を排除したクロスバイク(精密機械♪)にはドロヨケがない。カメラだって精密機械だ、雨に濡らしたくない♪、さらには、青い空の下、太陽光を活かしたい、、、なのに、。。。運動能力に劣り、低血圧気味のぼくには、クロスバイクでのランはハードなトレーニング。ちょっと遠出をすると、すぐにヘロヘロになって、他のことは何も手が付けられなくなる。ということ(言い訳)で、心のどこかでは読書量の落ち込みが気になっていたのよねん♪、9月11日の異動以来、溜まる一方のストレスと疲労は、時間であり慣れによって解消することを頭では理解しているものの、それ以外の煩わしい雑事(ホントは私生活のさまざまがメインなんだけどね♡)もあいまって、考えること(考えなきゃいけないこと)は山のようにあって、トレーニング(クロスバイク)で酸欠、頭空っぽにして考えるのもいいけど、、、ときに、恵みの♪♪

哲学したくて、“中山元”の著作を求めに、自室近くT市の中央図書館へ。そうそう、異動のストレスのひとつには、図書館の問題も否めない。これまでは、昼休みに足繁く通える距離に頼れる図書館があったのに、今は皆無(地元民によれば、Y市――K県の県庁所在市――は、図書館力?!に劣る、と)。というわけで、休日にまとめて入手しなければならない煩雑さ。すでに、本は、ぼくにとっての精神安定剤の如きモノなので、絶やすことが怖い(どんな禁断症状があらわれるのかなぁ?!)。
じっくり時間をかけて物色していたら、読んでみたい本がいっぱいあって♡♡


[J・D] ・・・私の年齢になりますと、この点について、もっとも矛盾した仮説を受け入れる用意ができています。私の言うことをどうか信じていただきたいのですが、私は、同時に、次のような二重の感情を抱いています。一方には、笑みを浮かべつつ、そして慎みを欠いた仕方で言うならば、私はいまだ読まれ始めていないという感情、確かに、多くの、とてもよい読者(おそらく世界で数十人の、やはり作家にして思想家であり、詩人である読者)がいるとしても、本当には、あれらすべてが現れるチャンスはもっと後のことなのだという感情があります。しかし、同様に、他方には、つまり、同時にこんな感情もあるのです。私の死の二週間か一月後には、もはや何も残らないだろうという感情も。図書館に法定納本され保管されるものをのぞいて。誓って言いますが、私は本気で、そして同時に、この二つの仮説を信じています。   (P.36、「生きることを学ぶ、終に」)

本書は Jacques Derrida, Apprendre à vivre enfin−Entretien avec Jean Birnbaum, Galilée, 2005 の全訳である。ジャン・ビルンバウムとのこの対談は、対話者による解説(「喪を宿す 子供としてのデリダ」)にある通り、最初すこし割愛された形で二〇〇四年八月一九日、『ル・モンド』紙に、「私は私自身と戦争状態にある」(《Je suis en guerre contre moi-même》)というタイトルで発表された。十月八日から九日にかけての夜に、デリダが世を去る一月あまり前である。そして、その完全版が、本年一月、単行本として出版された。こうしてそれは、二〇〇二年のスリジィ・ラ・サルにおけるコロックの報告書『来るべき民主主義』(La démocratie à venir−Autour de Jacques Derrida, Galilée, 2004)に続く、哲学者没後の二冊目の本となった。
彼とともに、私たちも線を越えてしまったらしい――この対談を翻訳しながら、どういう意味か自分でもはっきりしないまま、そんなことを考え続けた。(略)
妄想はさらに続く。上梓された翻訳を著者に贈る。そしてある日、電話が鳴る。
「こんにちは、私はジャック・ダリデです。本当にありがとう。今回も美しい本にしていただいて。また大変なお仕事だったでしょう……。」
(略)
二〇〇四年八月八日。地下鉄ゴンクール駅近くで花をもとめ、リヨン駅から郊外電車でリス=オランジスへ。ほどなくマルグリット夫人が車で迎えにきてくれる。容態を訊ねると、このところ調子がよくないと言う。検査の数値に特段変化はないのだけれどと、浮かない顔で付け加える。
デリダ家に着き、十数年ぶりにその居間に入ると、白い薄手のジャンパー姿の背中が見えた。ジャック・ダリデは後ろ向きで電話をかけていた。やがて子器を置き、振り返ると、私を見て深いため息をついた。「ありがとう、泣き言ばかり言っているこんな老人に会いに来てくださって」・・・   (P.71-P.73、「リス=オランジス、二〇〇四年八月八日」)


≪目次: ≫
喪を宿す 子供としてのデリダ (ジャン・ビルンバウム)
生きることを学ぶ、終に (対談 ジャック・デリダ×ジャン・ビルンバウム)
リス=オランジス、二〇〇四年八月八日 (鵜飼哲)
デリダ著作目録


≪著者: ≫ ジャック・デリダ (Jacques Derrida,1930-2004) アルジェリア生まれ。フランスの思想家。 高等師範学校卒業。脱構築、散種、グラマトロジー、差延などの概念を作り出し、ポスト構造主義を代表する哲学者と目される。『フッサール哲学における発生の問題』から出発、ニーチェやハイデガーの哲学を批判的に発展させた。「脱構築」は文学理論や法哲学などにも影響をおよぼしている。1985年から社会科学高等研究院の教授としてセミナーを実践した。数多い著作のうち、「割礼告白」を含むベニントンとの共著『ジャック・デリダ』、「最強存在の理性」と「来るべき啓蒙の《世界》」の二編を収めた『ならず者たち』などの翻訳は、みすず書房より近く刊行される。

[訳者] 鵜飼哲 (うかい・さとし) 1955年東京生まれ。京都大学大学院文学研究科卒業。フランス文学・思想専攻。現在、一橋大学大学院教授。著書『償いのアルケオロジー』(河出書房新社)『抵抗への招待』(みすず書房)『応答する力』(青土社)ほか。訳書 ジュネ『恋する虜』(人文書院)『アルベルト・ジャコメッティのアトリエ』(現代企画室)、デリダ『他の岬』(共訳、みすず書房)『盲者の記憶』(みすず書房)『友愛のポリティックス』(共訳、みすず書房)ほか。


カマキリ




本「アメリカン・スクール (新潮文庫)」小島信夫 著5

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アメリカン・スクール 改版 (新潮文庫 こ 7-1)

アメリカン・スクール 改版 (新潮文庫)

○著者: 小島信夫
○出版: 新潮社 (1967/6;改版 2008/1)
○価格: 580円
○ISBN: 978-4101145013


小銃は私の女になった。それも年上の女。しみこんだ創、ふくらんだ銃床、まさに年上の女。知らぬ男の手垢がついて光る小銃。  (P.126、「小銃」)
これだけは外せない。解説で江藤淳も引用している。保坂和志も、自らの他の何かの著作で引用していた(どの著作であったかの記憶が定かではないのだが、フレーズが明確な記憶として残存している)。それを承知で、それでもやっぱり引用せずにはいられない。すごい。すごい。スゴイ。

・・・
「馬鹿! けちで意気地なしで、汚くて、そのくせ物は気前よく盗られる。よくも自分のからだは盗られないわね」
佐野は、実は自分のからだも序(つい)でに盗られてしまえばよかったと思った。かれは、又もや生きていることが、いかにもむだなこととかんじられてくる。さて死ぬのなら、どんな死に方をしてやろうか。死ぬということは未知のことだが、未知のことは世の中にいくらもあるものだ。そうか、それならおさらばしようか。死んでそれっきりになってしまうことは、何か、なるほど淋しいみたいだが、どうせ一秒ながらえたところで、その一秒が、どうせ大した碌(ろく)なことはあるまい。それでは逃げ出して、何もかも、無くなってしまおうか。佐野は、二人の子供のことも、何もかも、遠のいて、乗客や細君の声も姿も別の世界へぼやけて行き、自分が、はかない影のような、もやもやしたものになってしまい、いかにも文字通り無になって行くのだ。  (P.64-P.65、「汽車の中」)



≪目次: ≫
汽車の中
燕京大学部隊
小銃

微笑
アメリカン・スクール



解説/江藤淳
解説/保坂和志


≪著者: ≫ 小島信夫 Kojima Nobuo (1915-2006) 岐阜県生れ。東京大学英文学科卒。1954(昭和29)年「アメリカン・スクール」で芥川賞、1965年『抱擁家族』で谷崎潤一郎賞、1972年『私の作家評伝』で芸術選奨文部大臣賞、1981年『私の作家遍歴』で日本文学大賞、1982年『別れる理由』で野間文芸賞、1997(平成9)年『うるわしき日々』で読売文学賞。その他の著書に『各務原・名古屋・国立』、保坂和志との共著『小説修行』ほか多数。2006年遺作『残光』を発表後、肺炎のため死去。

残光 (新潮社,2006/5)』
保坂和志との共著小説修業 (朝日新聞社,2001/9)』
書簡文学論 (水声文庫,2007/11)』
小説の楽しみ (水声文庫,2007/11)』


Cosmos bipinnatus




本「宝島  Title:TREASURE ISLAND 1883 Author:Robert Louis Stevenson (光文社古典新訳文庫)」スティーヴンスン、村上博基 訳5

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宝島  Title:TREASURE ISLAND Author:Robert Louis Stevenson (光文社古典新訳文庫)
宝島  Title:TREASURE ISLAND 1883 Author:Robert Louis Stevenson (光文社古典新訳文庫)
○著者: スティーヴンスン、村上博基 訳
○出版: 光文社 (2008/2,文庫 413ページ)
○価格: 720円
○ISBN: 978-4334751494


ぶっちゃけ、ぼくが本書『宝島 Treasure Island 1883』を手にしたのは、光文社古典新訳文庫シリーズのラインナップであったから、であり、日々の読書の流れ(?!)の中で気が付いたら(無意識と言いたいところだが、ある側面・時期においては意識している感を否めない)“スティーヴンスン”の著作を二作読了していること、に勝る、などと、ついつい物語に集中できずに、その時代背景や、裏側の物語、問題に着目してしまうことを、言い訳がましく言及してみたりする。
ところで、とどのつまりは、物語の主要な舞台である“宝島”なるものは海賊が盗品を隠し貯めた“お宝”の“島”であり、さらにはその盗品の数々を“宝島”から収奪するしようとする行為であり、そこにはまた、大英帝国の繁栄が、その側面(海賊行為による略奪)を抜きに語りえない、などという言説を目にしたのは、かつて読了したどの著作であったかの記憶も定かでなければ、すでに、その言説の情報元に対する興味を有しない。ぼくの記憶に残る(亡失する記憶の方がはるかに多いにもかかわらず、その中から残り得るに価する!?)情報は、すでに元情報による記憶に止まることなく確立された情報として存在しているのであり、そう考えるに、元情報の存在がなければそれ以降の考察に期することがなかったという意味での感謝の念こそ抱けども、それはすでに過去のものとの念を拭えない。
解説には、そんな時代背景を鑑みて、『帝国主義者になるための重要な訓練 (P.393)』などと記されたりするのだが、帝国主義が主流の時代にあっては、まさか「そんなの単なるドロボウじゃん♡、濡れ手に粟、持続可能性に乏しい」などとは言えまい。

≪目次: ≫
第1部 老いたる海賊
第1章 《ベンボウ提督亭》の老水夫/第2章 ブラック・ドッグあらわれて消える/第3章 黒丸票(ブラック・スポット)/第4章 衣類箱/第5章 盲人の最期/第6章 キャプテンの文書
第2部 船のコック
第7章 ブリストルへ/第8章 《遠眼鏡亭》にて/第9章 火薬と銃/第10章 航海/第11章 りんごの樽のなかできいたこと/第12章 作戦会議
第3部 僕の島での冒険
第13章 島での冒険のはじまり/第14章 最初の一撃/第15章 島の男
第4部 防塞
第16章 ドクターが話のつづきを語る――難船のいきさつ/第17章 ドクターの話のつづき――小ボート最後の力漕/第18章 ドクターの話のつづき――第一日の戦いのおわり/第19章 ふたたびジム・ほーキンスの話――防塞守備軍/第20章 シルヴァーの使命/第21章 襲撃
第5章 僕の海の冒険
第22章 ぼくの海上冒険はどうやってはじまったか/第23章 引き潮/第24章 皮舟(コラクル)の漂流/第25章 海賊旗を引き下ろす/第26章 イズリハル・ハンズ/第27章 「八銀貨」
第6部 キャプテン・シルヴァー
第28章 敵陣で/第29章 ふたたび黒丸票(ブラック・スポット)/第30章 仮釈放/第31章 宝さがし――フリントの標識/第32章 宝さがし――樹間の声/第33章 首領の失脚/第34章 そして終幕

解説……小林章夫(上智大学教授)
 病魔・ロマンス・流転・多作の人生/冒険小説『宝島』の出版/『宝島』の文化的伝統/『宝島』をつくりあげたもの/大人も読むに耐える作品/ポスト・コロニアリズム批評と『宝島』以降/もう一度『宝島』を
スティーヴンスン年譜
訳者あとがき


≪著者: ≫ ロバート・ルイス・スティーヴンスン Robert Louis Balfour Stevenson [1850-1894] イギリスの詩人・小説家・随筆家。エディンバラに生まれ、病弱の身ながら、ヨーロッパ、アメリカ西部、南太平洋の島々を歩き、サモア島で没。冒険小説『宝島』や、二重人格小説『ジキル博士とハイド氏』で大評判を博した。ほかにも歴史ロマン『バラントレイの若殿』や、詩集『子供の詩の園』など。

[訳者] 村上博基 Murakami Hirooki 1936年生まれ。東京外国語大学独語科卒。英米文学翻訳家。訳書に『スマイリーと仲間たち』(ル・カレ)、『女王陛下のユリシーズ号』(マクリーン)、『瞬きよりも速く』(ブラッドベリ、共訳)、『レインボー・シックス』(クランシー)、『勇魚(いさな)』(ニコル)ほか多数。


スティーヴンソン、田中西二郎 訳『ジーキル博士とハイド氏 (新潮文庫,1967/2)』
スティーヴンスン、南條竹則・坂本あおい 訳『新アラビア夜話 (光文社古典新訳文庫,2007/9) 』


Sea




本「江戸にフランス革命を!」橋本治5

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本「江戸にフランス革命を!」橋本治
江戸にフランス革命を!

○著者: 橋本治
○出版: 青土社 (1990/1,単行本 458ページ)
○定価: 2,200円
○ISBN: 978-4791750474


小谷野敦にあって、その著作「すばらしき愚民社会 (新潮文庫,2007/1、単行本 2004/8刊行)」において、珍しく(?!)おススメが与えられていた本作『江戸にフランス革命を!』を、ぼくには読まないという選択がない。著者“橋本治”は、僕が好んで手にする著者のひとりで、ぼくを読書の世界に誘った“村上春樹”(最近読んでないなぁ、47作)に次いで読み込んでいる(34作目)ものの、それでもその旧い著作にあっては、なかなか手を出しづらい、というのが本音。ところが、信頼に足る人物(小谷野敦の情報量は十分に応える)の言説による推薦を得たとあれば、言わずもがな♪
しかし、氷解を得る論考にも、まだまだぼくが自らの言葉で語りえるまでの理解には至らない、自らの不勉強、無能力、あぁぁ。

江戸っていうのは勿論“法人社会”だからさ、一家を構えることによって初めて“一人前”なんだよね。一人前の条件ていうのは、多分これだけだと思う。
今だと、結婚して子ども持って一家を構えてっていう、順序が逆になる倒錯が起こってるけどさ、たとえば、江戸なんかだと、すごくケチな男がいて自分は立派な店を構えてる“ご主人”なんだけど、結婚もしなけりゃ子供も持たないなんてことは、ザラにある。家の中のことは婆やにまかせて、性欲の方は丈夫だけが取り柄の女中に手をつけてすませて、生まれた子供は外の奉公に出して、自分の家の跡継ぎとしては外から持参金つきの養子を取って、その養子に対して“親”としてではなく“主人”として威張りちらすっていうことだって可能なんだもん。これで立派に“一人前の旦那様”だよ。システマチックっていやァとことんシステマチックだけど、“家族”というような幻想をここまで解体しちゃうことだって可能だっていうことね。一人前の条件が“法人の代表者であること”だけなんだから。社内的人格であることを満足させれば、後は当人の自由であるっていうのは、それで寂しいか寂しくないかっていう、個人の感情っていうものが表に現れて来る近代以前のことだから、すべてがいたってシンプルなのね。
「江戸は法人社会である」ってことは、だから従って、「江戸は自立を前提とする」ってことなんだけど、江戸の自立は必ず“家”っていう外枠を必要とする。社会的人格が“家”でしかないっていうところが、前近代なんだけど、近代という時代は、その“家”という枠からの自由を求め、そしてやがて、一切の社会的関係から遮断される“孤立した個人”の現代に至るって訳だけどもさ、だったらそんなの簡単だ。「確立した個がもう一遍、“自分のもの”として社会的人格を取り戻し、それを操作して外界というものを作って行けばいい――支配者抜きの共同作業で」っていうだけの話なんだ。  (P.267-P.268)


≪目次: ≫
呪縛の意匠――過去へ行く為に

古典の時代――もう一度、歌う為に
「集団批評の精髄――あるいは全体を語る個について」
愛嬌――または幻想する肉体
怪――歌舞伎の論理

江戸の“様式(てつがく)”
江戸の段取り
江戸の“総論”

江戸はなぜ難解か?
1 大江戸ローマ帝国説/2 江戸はとっても難解だ/3 江戸は色々に江戸である/4 江戸は漢字の世界でもある/5 江戸はモチロン日本史の中にある/6 明治維新サムライ・クーデター/7 江戸は勿論管理社会だ/8 大奥の論理/9 江戸の治外法権/10 江戸は結局キモノの世界だ/11 行方不明というヘアスタイルはどうして生まれるか/12 江戸の贅沢/13 江戸のワンパターン/14 江戸のデザイン/15 イキとヤボ/16 江戸はなぜ重要か/17 江戸とヨーロッパ/18 騎士とサムライ/19 江戸の開明度/20 江戸の教養メディア/21 江戸のよく分かんない知性/22 江戸の学問/23 江戸の実業/24 江戸の実業じゃない方/25 江戸の近代自我/26 江戸のクオリティライフ/27 江戸の文化小革命/28 江戸のサブカルチャー/29 江戸の町人は余分な存在だ/30 土地問題の由来/31 都市とその後の親不孝/32 農民作家はなぜいない/33 農民という不思議/34 悪代官を必要とする被害者の論理/35 米本位体制は過去の日本の一切の根本である/36 「百姓に学問はいらない」と言って、日本の農村は近代を拒んだ/37 江戸の町は街区じゃない/38 江戸に貴族はいない/39 江戸は勿論、法人社会だ/40 江戸の契約/41 江戸の終身雇用/42 江戸の見習社員/43 江戸の一人前/44 忠義の構造/45 武士の根本/46 近代がやって来た日、武士は突然消滅する/47 江戸の会社員は結婚出来なかった/48 “主人”という制度/49 家族制度は近代の暗黒面だ/50 江戸のシステム/51 江戸の“恋愛”は結婚と並行する/52 自我というのは贅沢だ

明治の芳年
私の江戸ごっこ
安治と国芳――最初の詩人と最後の職人

その後の江戸――または、石川淳のいる制度
立たない源内と『痿陰隠逸傳(ナエマラインイツデン)』、そして国芳の侠気はヤクザの背中に消えて行く

初出一覧


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本「黒猫/モルグ街の殺人  Title: THE BLACK CAT 1843/THE MURDERS IN THE RUE MORGUE 1841  Author: Edgar Allan Poe (光文社古典新訳文庫)」ポー、小川高義 訳5

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黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)

黒猫/モルグ街の殺人  Title: THE BLACK CAT 1843/THE MURDERS IN THE RUE MORGUE 1841  Author: Edgar Allan Poe (光文社古典新訳文庫)

○著者: ポー、小川高義 訳
○出版: 光文社 (2006/10,文庫 219ページ)
○価格: 480円
○ISBN: 978-4334751104


まったく常軌を逸していながら、いつもの暮らしに生じたという話を、いま書き残そうとしている。信じてもらえることはあるまい。信じてくれとも言わない。こんなものが信用されると思ったら、思う私がどうかしている。まさか現実であったとは、当事者たる私の感覚でもおかしいのだ。いや、私自身はおかしくない。夢を見ているはずもない。ただ、あすになれば死ぬ身として、きょうのうちに魂の重荷をなくしておきたい。ともかくも、ありのままに、よけいなことは言わずに、事の次第を語ろう。つまらない日常の出来事だ。そういうものの成り行きが、私の恐怖になり、責苦になり、破滅になった。だが、ことさら言い立てるつもりはない。私には恐怖でしかなかったが、普通に考えれば、恐ろしいというより荒唐無稽であるだろう。いずれの日か、ある鋭利な知性の持ち主が現れて、私が見たものなど幻影にすぎなかったと説き明かすかもしれない。はるかに冷静沈着な論理をたどり、私が畏れ入って語るだけの状況が、じつは原因と結果が連鎖しただけの当然だったと見破るのではなかろうか。  (P.10-P.11、黒猫)

・・・私がしゃべっているのではないかと思いたくなる声を出して、
「さあ、おまえの勝ちだ。おれは負ける。だが、これからは、おまえも死んでいると思うがいい。この世にも、天界にも、希望にも、無縁になったと思え。おれがいたから、おまえも生きた。おれが死ぬところを、ようく見ておけ。この姿でわかるだろう。これがおまえだ。どれだけ己を滅ぼしてしまったか知るがいい」  (P.109-P.110、ウィリアム・ウィルソン)


≪目次: ≫
黒猫 1843 The Black Cat
本能vs.理性――黒い猫について 1840 Instinct vs. Reason――A Black Cat
アモンティリャードの樽 1846 The Cask of Amontillado
告げ口心臓 1843 The Tell-Tale Heart
邪鬼 1845 The Imp of the Perverse
ウィリアム・ウィルソン 1839 William Wilson
早すぎた埋葬 1844 The Premature Burial
モルグ街の殺人 1841 The Murders in the Rue Morgue

解説/小川高義
エドガー・アラン・ポー年譜
訳者あとがき――ポーとコーソン(饗庭篁村


≪著者: ≫ エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe [1809−1849]アメリカの作家、詩人。推理小説の祖とも言われる。計算された恐怖を創作する「理詰め芸術派」。旅役者の両親に早く死なれ、27歳のとき13歳の従妹と結婚するが病気で先立たれ、食に恵まれず酒に溺れる。断酒会に参加したものの40歳で死去。主な作品に「アッシャー家の崩壊」、「黄金虫」、詩集『大鴉』など。

[訳者] 小川高義 Ogawa Takayoshi 1956年生まれ。横浜市立大学準教授。訳書に『永遠を背負う男』(ウィンターソン)、『リリィ、はちみつ色の夏』(キッド)、『調律師の恋』(メイスン)、『灰の庭』(ホック)、『さゆり』(ゴールデン)、『停電の夜に』(ラヒリ)、『第四の手』(アーヴィング)、『骨』(イン)ほか多数。


Dianthus superbus var. longicalycinus




本「小説、世界の奏でる音楽」保坂和志5

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小説、世界の奏でる音楽

小説、世界の奏でる音楽

○著者: 保坂和志
○出版: 新潮社 (2008/9,単行本 471ページ)
○価格: 1,995円
○ISBN: 978-4-10-398207-4


小説家“保坂和志”の『思索』の運動場、小説、小説、小説、、、
「文字(言葉)とはただの記号でしかない」とよくわかっているがために割り切って、それこそただの記号でしかない書き方をしてしまったら、それは読者の気持ちを動かす小説にはならないだろう(こういう風に話が一般論に流れてくると、まるで基準としての小説があるかのような言い方になってしまうから要注意なのだが)(文字を記号以外の何物でもない書き方をしても読者の気持ちに何かを投げ込む小説は書かれうるかもしれない。少なくとも、「ありえない」と断定してしまうわけにはいかないのだが)。
つまり人は、わかっていないようにわかることしかできない。「わかっている」と言うとき、人はほとんどの場合、わかっていない部分を見ていない。だから「わかっている人はよくわかっていない」。この命題は、わかっている人にもわかっていない人にもあてはまる。なんかセミネールの中のラカンの言葉のようになってしまった。
文字(言葉)にどれだけ生命が吹き込まれているように見えようとも、小説はただの記号の連なりでしかない。  (P.128-P.139)


≪目次: ≫
まえがき――真に受ける能力――
1 私たちの生を語る言語
作品世界の法則/ローカルな記憶回路/広域的なアルゴリズム/創作化されざる体験/「取り替えがきかない」という感じの真偽
2 緩さによる自我への距離
ヨーゼフ・ロートの特異性/『偽りの分銅』はどうなっているか/自然を書く難しさ/心理への距離/求心的でない書き方
3 グリグリを売りに来た男の呪文
“緩さ”と“収束”/出来事的おもしろさ/レリス『幻のアフリカ』/翻訳不可能なもの/略奪された思考様式
忘れがたい言葉
小島さんの肉声と文学の不死性
K先生の葬儀実行委員として
4 涙を流さなかった使徒の第一信

小島信夫さんの死/外猫たちの運命/チャッピーのための花/小島信夫の小説家性/『不気味なもの』『砂男』/オリンピアの沈黙/本にすることへの迷信的な怖れ
5 ここにある小説の希望
小説世界の確定――不確定/揺ぎない感じは掴んでおけない/『古事記』の驚くべき読み方/自我を語る言葉と戦争を語る言葉/多対多――意志の不在/一人称小説と三人称小説/自我観・因果関係・小説
6 私は夢見られた
“自我の乗り越え”と“世界五分前仮説”/〈空〉は〈無〉ではない/形而上学の消滅/「熱病的」に語る醒めた語り手/誰かが書くまで書けると思いもしなかったこと/観念論でない“胡蝶の夢”/何が実体か?
7 主体の軸となる現実は……
主体は個体に対して中心をはずれている/自分の思考の根っこ
柴崎友香の書く「貧しさ」/小説と書き手を貫く“倫理”/実加の“決意”/読者を“意味”から連れ出す小説/青木淳悟の特異な身体性と言語
8 われわれは自分自身による以外には、世界への通路を持っていない
書き手は主体ではない/風景――外界と内面/ニーチェの言葉――原因・実体・主体・形式etc./小説の表現と思考/風景の意味を問う無意味/人はなぜ風景に惹かれるのか?/風景と時間の記述法
9 のしかかるような空を見る。すべては垂直に落ちて来る。
実人生のリアリティの源泉/事態の外に出ない/セザンヌの語る自然の「深さ」/知識の身体化/〈1豆〉〈1人間〉〈1鉄〉/若林奮の彫刻のような文章/自然によってもたらされる解
10 遠い地点からの
六〇〇〇フィートの思想/景色と“宇宙の真実”/〈永劫回帰〉への通路/ひとつひとつの情景を読む/“予感”“胎動”――作品の遠く外にある制御/他と通約不可能なもの

引用文献リスト
あとがき
著作一覧


初出
「新潮」二〇〇六年九、十一月号、二〇〇七年一、三、五、七、九月号、二〇〇八年三、五、七月号
小島さんの肉声と文学の不死性「文學界」二〇〇七年一月号
K先生の葬儀委員としての「群像」二〇〇七年一月号


≪著者: ≫ 保坂和志 (ほさか・かずし) 1956年、山梨県生まれ。鎌倉で育つ。早稲田大学政経学部卒業。1990年『プレーンソング』でデビュー。1993年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、1995年『この人の閾(いき)』で芥川賞、1997年『季節の記憶』で平林たい子文学賞、谷崎潤一郎賞を受賞。その他の著書に『生きる歓び』『カンバセイション・ピース』『書きあぐねている人のための小説入門』『小説の自由』『小説の誕生』ほか。


小説の誕生 (新潮社,2006/9)
小説の自由 (新潮社,2005/6)
「三十歳までなんか生きるな」と思っていた (草思社,2007/10)


Halyomorpha halys




本「武器よさらば (下)  Title:A FAREWELL TO ARMS 1929 Author:Ernest Hemingway (光文社古典新訳文庫)」ヘミングウェイ、金原瑞人 訳5

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武器よさらば (下)  Title:A FAREWELL TO ARMS Author:Ernest Hemingway (光文社古典新訳文庫)

武器よさらば (下)  Title:A FAREWELL TO ARMS Author:Ernest Hemingway (光文社古典新訳文庫)"

○著者: アーネスト・ヘミングウェイ金原瑞人
○出版: 光文社 (2007/8,文庫 308ページ)
○価格: 600円
○ISBN: 978-4334751357


・・・人は死ぬものだ。人は死ぬ。それも何がなんだかわからないまま。知る時間もない。人は投げこまれ、ルールを教えられ、一度でも足を踏み外せば、それっきりだ。アイモのようにあっけなく死ぬこともある。リナルディみたいに梅毒にかかることもある。しかし結局、最後は死んでしまう。それだけは確かだ。うろうろしているうちに、死んでいく。  (P.282)
・・・雨が降っていた。  (P.291)

解説より、
一九一四年七月、第一次世界大戦、勃発。
オーストリア・ハンガリーの帝位継承者、フランツ・フェルディナント皇太子夫妻が、セルビア(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)の首都サラエボで暗殺された。オーストリアはドイツのバックアップを期待して、セルビアに宣戦布告する。これに対し、セルビア側についたロシアが動きだすと、ドイツがロシアに宣戦布告、やがてフランス、ベルギーと交戦状態に入る。そしてイギリスが八月四日、ドイツに宣戦布告。瞬く間に広がった戦いはそのうち長期戦にもつれこみ、日本、アメリカ合衆国まで巻きこんでいく。
こうして世界は初めて、信じられないほどの規模の戦争を体験することになった。史上初の「世界大戦」、国をあげての「総力戦」「消耗戦」だった。一九一八年、ドイツが降伏してやっと終わったこの戦争、六千万人以上の兵士が動員され、戦死者は約九百万人に達したといわれる。
さて、『武器よさらば』の舞台になっているのは主にイタリアだが、イタリアは一九一五年五月、オーストリア・ハンガリーと開戦。その戦いの中心になったのが、両国の国境線あたり。イタリア半島の付け根にあるヴェネツィアからさらに北東に進むと、アルプスに源を発するイゾンツォ川が南北に流れている。付近にはゴリツィア、プラーヴァ、カポレット、ウディネといった地名がみられる。そのあたりを中心にイタリア軍とオーストリア・ハンガリー軍が一進一退の戦いを続けていた。
ところが、一九一七年八月一七日、イタリア軍はカポレット北東部に位置するネロ山からイゾンツォ川河口に位置するモンファルコーネまで、一気に八十キロにおよぶ攻撃に出て、イゾンツォ川を渡り、ネロ山周辺やバインジッツア高地を奪い大勝利を収める。
これに危機感を抱いたドイツは、アメリカの参戦が本格化する前に戦争を終わらせようと、ここに大部隊を投入する。
ドイツ軍は、山岳戦に長けた師団にオーストリア軍を加え、一〇月二四日午前二時、霧のたちこめるイゾンツォ川全戦線で一斉砲撃を開始。イタリア第二軍と第三軍の間に位置する、オーストリア軍がかろうじて占拠していた要所トルミノ・サンタルシアの正面に陣取っていたイタリア軍を突破、イゾンツォ川を渡り、その日のうちにカポレットを占領した。ドイツ軍は猛追撃を続行、一〇月三〇日にはタリアメント川まで迫る。
イタリア軍は、一一月三日、タリアメント川防衛線を放棄し、ピアーヴェ川に迫った。だが、英仏軍の援軍を得たピアーヴェ川でのイタリア軍の抵抗は激しく、ドイツ軍は攻撃を中止する。ドイツ・オーストリア軍の勝利で終わったこの戦いは、「カポレットの戦い」と呼ばれている。
イタリア軍の戦死者一万一千人、戦傷者一万九千人、捕虜三十万人、脱走者四十万人に対し、ドイツ・オーストリア軍は戦死者・戦傷者二万人とされる。  (P.292-P.294)



≪著者: ≫ アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Miller Hemingway [1899-1961] アメリカの小説家。行動派の作家で、第一次世界大戦赤十字の一員として従軍し、負傷する。その後、特派員として再び渡欧しスペイン内乱第二次世界大戦にも従軍記者として関わり、その経験を元に『武器よさらば』『誰がために鐘は鳴る』を書き上げる。第二次世界大戦後はキューバに渡り、1952年に発表した『老人と海』でピューリッツアー賞を受賞。1954年にはノーベル文学賞を受賞する。晩年は健康と精神状態が悪化し、散弾銃で自殺。

[訳者] 金原瑞人 Kanehara Mizuhito 1954年生まれ。法政大学社会学部教授。翻訳のほか、エッセイ、評論など幅広く手がけている。訳書に『幸せな王子』(ワイルド)、『タイムマシン』(ウェルズ)、『青空のむこう』(シスラー)、『ブラッカムの爆撃機』(ウェストール)、『プークが丘の妖精パック』(キプリング、共訳)など多数。


小河内貯水池




本「武器よさらば (上)  Title:A FAREWELL TO ARMS 1929 Author:Ernest Hemingway (光文社古典新訳文庫)」ヘミングウェイ、金原瑞人 訳5

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武器よさらば (上)  Title:A FAREWELL TO ARMS Author:Ernest Hemingway (光文社古典新訳文庫)

武器よさらば (上)  Title:A FAREWELL TO ARMS 1929 Author:Ernest Hemingway (光文社古典新訳文庫)

○著者: アーネスト・ヘミングウェイ金原瑞人
○出版: 光文社 (2007/8,文庫 273ページ)
○価格: 600円
○ISBN: 978-4334751340


・・・
「ぼくは、何かを、だれかを心から愛することがないのです」
「いえ、そんなことはありません。あなたがよく話す夜の遊びは愛ではありません。あれは情欲、肉欲です。だれかを心から好きになるとき、人は相手のために何かをしてあげたくなるものです。自ら犠牲になりたいと思うものです。つかえたいと思うものです」
「心から好きになることなんて、ありませんよ」
「これからあるかもしれない。あるに決まっています。そしてあなたは幸せになる」
「いまでも幸せです。いままでずっと幸せでした」
「それは違います。そのときにならないと、わからないものです」
・・・  (P.127-P.128)
・・・
「戦争は終わりません。戦争に終わりはないんです」
「いや、ある」
パッシーニは首を振った。
「敵に勝ったところで、戦争には勝てません。われわれがサン・ガブリエーレ山を落としたら、どうなるんです? カツソやモンファルコーネやトリエステを取ったら、どうなるっていうんです? どうにもなりはしませんよ。今日、遠くの山脈を見ましたか? あれらもすべて手に入れることができると思いますか? オーストリアが戦闘をやめないかぎり、不可能です。どちらかがやめないとね。なぜ、われわれがやめないんです? 敵がイタリアに侵入してくるなら、くるがいい。そのうち疲れて、出ていきますよ。敵には敵の国があるんだから。それなのに、こうやって戦争が続いている」
「ずいぶん演説がうまいな」
「われわれは考えるし、本も読みます。農民じゃありませんからね。われわれは整備兵なんです。だけど、農民にだって、戦争をありがたいと思っているようなばかはいません。みんな、戦争なんて、大嫌いなんです」
「国を支配している階級があって、その連中が愚かで、何もわかっていないし、何も理解できない。だから、この戦争が続いているんだ」
「その連中は、戦争で金をもうけている」
「それは一握りの連中だな」パッシーニがいった。「ほとんどの人間はばかだ。だから金ももらわずに戦争をやっている。ばかばかしいったら、ないよ」
・・・ (P.89-P.90)
・・・
「戦争の話はやめよう」
「それってすごく難しいわ。だって、どこにいっても戦争なんだもの」
・・・  (P.46)
・・・
「思考力のある人間はすべて無神論者になる」少佐がいった。「かといって、フリーメイソンを信じているわけでもないが」
・・・  (P.16)

〈訳者注〉
舞台は第一次世界大戦中の、イタリア軍とオーストリア軍がせめぎ合っている国境近く。
主人公のフレデリック・ヘンリーはアメリカ人だが志願して、このイタリア戦線にきている。正規の兵士ではなく、任務は傷兵運搬車数台を指揮すること。イタリア軍のなかでは、「中尉」扱いになっている。  (P.8)


≪著者: ≫ アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Miller Hemingway [1899-1961] アメリカの小説家。行動派の作家で、第一次世界大戦赤十字の一員として従軍し、負傷する。その後、特派員として再び渡欧しスペイン内乱第二次世界大戦にも従軍記者として関わり、その経験を元に『武器よさらば』『誰がために鐘は鳴る』を書き上げる。第二次世界大戦後はキューバに渡り、1952年に発表した『老人と海』でピューリッツアー賞を受賞。1954年にはノーベル文学賞を受賞する。晩年は健康と精神状態が悪化し、散弾銃で自殺。

[訳者] 金原瑞人 Kanehara Mizuhito 1954年生まれ。法政大学社会学部教授。翻訳のほか、エッセイ、評論など幅広く手がけている。訳書に『幸せな王子』(ワイルド)、『タイムマシン』(ウェルズ)、『青空のむこう』(シスラー)、『ブラッカムの爆撃機』(ウェストール)、『プークが丘の妖精パック』(キプリング、共訳)など多数。


カマキリ




本「コーラン 〈下〉 Qur'ān (ワイド版岩波文庫241)」井筒俊彦 訳5

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コーラン 〈下〉 Qur'ān (ワイド版岩波文庫241)

コーラン 〈下〉 Qur'ān (ワイド版岩波文庫241)

○著者: 井筒俊彦
○出版: 岩波書店 (2004/4,文庫 340ページ)
○価格: 1,260円
○ISBN: 978-4000072410


解説より、
口語訳を試みた僕の第一の願いは、『コーラン』というこの聖典を、何よりまず一個の生きた人間記録(ヒューマン・ドキュメント)として広く一般の読書人に提供して見たいということであった。いかめしい鎧をつけた聖典に表口から近づくのではなく、マホメットという魁偉な人間のこの世に生きた記録として、いわば裏口から、彼の人間性の側面から、この聖典を把握して見たいと思った。そしてまた口語訳という形では、それが唯一つの許された行き方ではないかと思うのである。  (P.335)

慈悲ふかく慈愛あまねきアッラーの御名において……
一 告げよ、「これぞ、アッラー、唯一なる神、
二 もろ人の依りまつるアッラーぞ。
三 子もなく親もなく、
四 ならぶ者なき御神ぞ。」

(P.311、「一一二 信仰ただひと筋 ――メッカ啓示、全四節」)
慈悲ふかく慈愛あまねきアッラーの御名において……
一 絶対(絶対不可避の事、の意で最後の審判を指す)。 二 絶対とはなんぞ。三 絶対とはなんぞとはなんで知る(この一節から三節までの語法はメッカ期の初期、すなわち一番古い天啓に特有の言い方で以下たくさん出て来る。「絶対」の意味は深遠で、とうていお前にはわかるまい、の意)。
・・・

(P.223、「六九 絶対 ――メッカ啓示、全五二節」)


≪目次: ≫
三四  サバア ――メッカ啓示、全五四節/三五  天使 ――メッカ啓示、全四五節/三六  ヤー・スィーン ――メッカ啓示、全八三節/三七  整列者 ――メッカ啓示、全一八二節/三八  サード ――メッカ啓示、全八八節/三九  群なす人々 ――メッカ啓示、全七五節/四〇  信者 ――メッカ啓示、全八五節/四一  わかりやすく ――メッカ啓示、全五四節/四二  相談 ――メッカ啓示、全五三節/四三  光りまばゆい部屋飾り ――メッカ啓示、全八九節/四四  煙 ――メッカ啓示、全五九節/四五  腰抜けども ――メッカ啓示、全三六節/四六  砂丘 ――メッカ啓示、全三五節/四七  ムハンマド(マホメット) ――メディナ啓示、全四〇節/四八  勝利 ――メッカ啓示、全二九節/四九  私宝 ――メッカ啓示、全一八節/五〇  カーフ ――メッカ啓示、全四五節/五一  吹き散らす風 ――メッカ啓示、全六〇節/五二  山 ――メッカ啓示、全四九節/五三  星 ――メッカ啓示、全六二節/五四  月 ――メッカ啓示、全五五節/五五  お情けぶかい御神 ――メッカ啓示、全七八節/五六  恐ろしい出来事 ――メッカ啓示、全節九六節/五七  鉄 ――メディナ啓示、全二九節/五八  言いがかりつける女 ――メディナ啓示、全二二節/五九  追放 ――メディナ啓示、全二四節/六〇  調べられる女 ――メディナ啓示、全一三節/六一  戦列 ――メディナ啓示、全一四節/六二  集会 ――メディナ啓示、全一一節/六三  似非信者ども ――メディナ啓示、全一一節/六四  騙し合い ――メッカ啓示、全一八節/六五  離縁 ――メッカ啓示、全一二節/六六  禁断 ――メッカ啓示、全一二節/六七  主権 ――メッカ啓示、全三〇節/六八  筆 ――メッカ啓示、全五二節/六九  絶対 ――メッカ啓示、全五二節/七〇  階段 ――メッカ啓示、全四四節/七一  ヌーフ ――メッカ啓示、全二九節/七二  妖霊 ――メッカ啓示、全二八節/七三  衣かぶる男 ――メッカ啓示、全二〇節/七四  外衣に身を包んだ男 ――メッカ啓示、全五五節/七五  復活 ――メッカ啓示、全四〇節/七六  人間 ――メッカ啓示、全三一節/七七  放たれるもの ――メッカ啓示、全五〇節/七八  知らせ ――メッカ啓示、全四一節/七九  引っこ抜く者 ――メッカ啓示、全四六節/八〇  眉をひそめて ――メッカ啓示、全四二節/八一  巻きつける ――メッカ啓示、全二九節/八二  裂け割れる ――メッカ啓示、全一九節/八三  量りをごまかす人々 ――メッカ啓示、全三六節/八四  真二つ ――メッカ啓示、全二五節/八五  星の座 ――メッカ啓示、全二三節/八六  明星 ――メッカ啓示、全一七節/八七  いと高き神 ――メッカ啓示、全一九節/八八  蔽塞 ――メッカ啓示、全二六節/八九  暁 ――メッカ啓示、全三〇節/九〇  邑(まち) ――メッカ啓示、全二〇節/九一  太陽 ――メッカ啓示、全一五節/九二  夜 ――メッカ啓示、全二一節/九三  朝 ――メッカ啓示、全一一節/九四  張り拡げる ――メッカ啓示、全八節/九五  無花果(いちじく) ――メッカ啓示、全八節/九六  凝血 ――メッカ啓示、全一九節/九七  定め ――メッカ啓示、全五節/九八  神兆 ――メッカ啓示、全八節/九九  地震 ――メッカ啓示、全八節/一〇〇  駿馬 ――メッカ啓示、全一一節/一〇一  戸を叩く音 ――メッカ啓示、全八節/一〇二  張り合い ――メッカ啓示、全八節/一〇三  日ざし傾く頃 ――メッカ啓示、全三節/一〇四  中傷者 ――メッカ啓示、全九節/一〇五  象 ――メッカ啓示、全五節/一〇六  クライシュ族 ――メッカ啓示、全四節/一〇七  慈善 ――メッカ啓示、全七節/一〇八  カサウル ――メッカ啓示、全三節/一〇九  無信仰者 ――メッカ啓示、全六節/一一〇  助け ――メッカ啓示、全三節/一一一  腐ってしまえ ――メッカ啓示、全五節/一一二  信仰ただひと筋 ――メッカ啓示、全四節/一一三  黎明 ――メッカ啓示、全五節/一一四  人間 ――メッカ啓示、全六節

『コーラン』関係地図
解説  一 メッカとメディナ/二 メッカのマホメット/三 メディナのマホメット (一九五八年四月一日 訳者)
解約『コーラン』後記 (一九六三年十二月二十日 東京にて 井筒俊彦)

コーラン 〈中〉 Qur'ān (ワイド版岩波文庫240)』
コーラン 〈上〉 Qur'ān (ワイド版岩波文庫239)』


空の青の濃さに感じる秋♪




本「善の研究 1911 (ワイド版岩波文庫3)」西田幾多郎 著5

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本「善の研究」西田幾多郎

善の研究 1911 (ワイド版岩波文庫3)

○著者: 西田幾多郎
○出版: 岩波書店 (1991/1;2001/7 第7刷,文庫 254ページ)
○価格: 1,050円
○ISBN: 978-4000070034


汝の隣人に対する“愛”と、男女(とは限られない!?、同性にあっても)の間の“愛 (Love、恋愛?!)”って、、、
ますます、後者の恋愛の感情について、わけがわからなく(理解不能、さらには意義が見出せなく)なる一方、隣人(周囲の人びと、特に弱者)に対する愛、というのか、感情、想いは高まる(とぼくは感じている)。
人間の感情が移ろい易く、不安定極まりないものであり、高まったもの(感情)は、当然の如く冷め(覚め、醒め、褪め)ゆくのは、人の世の常とも。
ぼくは、自らを強者であるとは、ましてや賢者であるとは、到底思えない(書き記してしまうと、すでにその意識を有していることが顕在化され、そのおこがましさに戸惑いを隠せない、などとさらに書き記してしまうぼくは、ますます疑いようもなく確信犯)、さらには、他者に対して「弱者」などと呼称することは、自らと対比して立場の上下を明示することでもあり、そんなことばかりを日常的に考察しているぼくは、歴然とその立場というのか、レベルの差異を認識している、仮に否定したところで否定しきれない。然るに、ますます弱者とそれ以外との差異は明確となり、明確に認識することによって、応対する態度や言動には、自然に差異が生じよう、自然にさしのべられよう、隣人“愛”。そのような行為が、偽善であることにも疑念を抱きつつ、仮に偽善であったとしても、偽善であると他者から指摘されようとも、自らの判断に誤りが生じていようとも、、、はたして、偽善や誤りに相対する“善”とは?

善の研究』は明治四十四年一月に弘道館から出版された。明治の始めに我が国に西洋の哲学思想が受容されて以来始めて出現した我が邦人による最初の独創的な哲学体系である。確かに我が国思想史における劃期的事件であった。のみならずこの書は大正・昭和を通じて、哲学専攻者の間だけでなく一般読者に最も広く愛読され普及した哲学書であった。
尤も『善の哲学』が世に出た当初は、一部の人々の間以外には余り反響がなかったようである。しかし本書の内に籠る力と、深さと、特に既往の我が哲学界の指導的学者に求めて得られなかった真の「思索」、真の「思想」は、やがて新らしき世代の若き魂を強く把えざるを得なかった。  (P.247、解題 下村寅太郎)


≪目次: ≫
序(明治四十四年一月 京都にて 西田幾多郎)
再版の序(大正十年一月 西田幾多郎)
版を新にするに当って(昭和十一年十月 著者)

善の研究
第一編 純粋経験
 第一章 純粋経験
 第二章 思惟
 第三章 意志
 第四章 知的直観
第二編 実在
 第一章 考究の出立点
 第二章 意識現象が唯一の実在である
 第三章 実在の真景
 第四章 真実在は常に同一の形式を有っている
 第五章 真実在の根本的方法
 第六章 唯一実在
 第七章 実在の分化発展
 第八章 自然
 第九章 精神
 第十章 実在としての神
第三編 善
 第一章 行為 上
 第二章 好意 下
 第三章 意志の自由
 第四章 価値的研究
 第五章 倫理学の諸説 その一
 第六章 倫理学の諸説 その二
 第七章 倫理学の諸説 その三
 第八章 倫理学の諸説 その四
 第九章 善(活動説)
 第十章 人格的善
 第十一章 善行為の動機(善の形式)
 第十二章 善行為の目的(善の内容)
 第十三章 完全なる善行
第四編 宗教
 第一章 宗教的要求
 第二章 宗教の本質
 第三章 神
 第四章 神と世界
 第五章 知と愛

解題 (下村寅太郎


Cosmos bipinnatus




本「ジーキル博士とハイド氏  Title:The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde Author:Robert Louis Stevenson (新潮文庫)」スティーヴンソン、田中西二郎 訳5

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ジーキル博士とハイド氏  Title:The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde Author:Robert Louis Stevenson (新潮文庫)
ジーキル博士とハイド氏  Title:The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde Author:Robert Louis Stevenson (新潮文庫)

○著者: スティーヴンソン、田中西二郎 訳
○出版: 新潮社 (1967/2;1989/6 45刷改版;2003/5 72刷,文庫 130ページ)
○価格: 300円
○ISBN: 978-4102003015


新潮文庫の100冊』、“通称:ジキルとハイド”。

この男は(入って来たそもそもから、厭らしい物好きとでも言うより言いようのない感じを、わたしに起こさせたが)普通の人なら噴き出したくなるような恰好の、身なりをしていた。つまりその衣服は、生地こそ贅沢で地味ないいものだが、この男のものにしては、どこの寸法を取ってみても、馬鹿げて大きくだぶついているし、――ズボンはまたズボンで、だぶだぶと足に垂れさがるのを地面に曳きずらぬように捲くり上げ、上衣の胴まわりは臀の下まで来ているし、襟まわりは肩のほうまでぶざまに拡がっているという始末だった。ところが不思議なことに、こんなおどけた服装を見ていながら、笑えるどころではなかったのだ。それどころか、現にわたしに面と向かっているこの男の本性そのものには、何かしら変態的な、間違ってこの世に生まれ落ちたとでもいうような畸形な感じ――見る人の心を捕えてぎょっとさせ、反感を起こさせるような、そんな感じ――があるので、服装のあんな仰々しい不釣合が、かえってこの感じによく似合い、この感じを引き立てているようにさえ思われるのだった。したがってわたしはこの男の人物や性格に興味を感じたばかりか、その素性、生活、運命、社会的な身分に対する好奇心までかき立てられたのであった。
こう書いてみると相当の長さにわたったが、これはたかだか数秒の観察に過ぎないのである。訪問者は、事実、陰気な興奮でじりじり胸を焦がしていたのだった。  (P.84-P.85)

unpleasantness(不愉快)アンプレザントネス (P.126、解説)


≪著者: ≫ ロバート・ルイス・スティーヴンソン Robert Louis Balfour Stevenson (1850-1894) イギリスの詩人・小説家。エディンバラ大学で工学を学ぶが、後に弁護士の資格を取得する。1879年にアメリカへ渡り、翌年結婚し帰国、『宝島』『ジーキル博士とハイド氏』「誘拐されて」等を執筆する。生来健康がすぐれず、1890年よりサモア島に移住するが、4年後に急死した。

[訳者] 田中西二郎 Tanaka Seijiro (1907-1979) 東京生れ。東京商科大卒。出版社、文芸家協会等に勤務する一方、文芸評論家、翻訳家として活躍。メルヴィル『白鯨』を本邦初完訳。

スティーヴンスン、南條竹則・坂本あおい 訳『新アラビア夜話 (光文社古典新訳文庫,2007/9) 』


Tokyo Tower




本(第二読)「人間不平等起源論  Title:Discours sur l'origine et les fondements de l'in&eacute;galit&eacute; parmi les hommes. 1755 Author:Jean-Jacques Rousseau (光文社古典新訳文庫)」ルソー、中山元 訳5

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人間不平等起源論  Title:Discours sur l'origine et les fondements de l'inégalité parmi les hommes. 1755 Author:Jean-Jacques Rousseau (光文社古典新訳文庫)

○著者: ルソー、中山元 訳
○出版: 光文社 (2008/8,文庫 414ページ)
○価格: 780円
○ISBN: 978-4334751623
≫Amazon


あぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあああぁぁぁぁあああああ〜〜〜ありえないありえないありえない〜〜〜〜〜ヤッテシマッタ、、、、、
気付いたときには、すでに322ページ。何の疑いもなく、本書の続刊「社会契約論」のつもりで読んでいて、、、確かにスラスラと読み進められるなぁ(理解はともかくとして)、などと呑気にも。
基本的に再読しない主義を選択していて、精読して理解を深めるよりも、多読による広範な知識を欲する。
ところでしかし、まったく気が付かなかったくらいだから、僕の理解のレベルとはその程度であり、少なからぬショックを受けながら残り100ページ弱もしっかり読んだ。


Cortaderia selloana




本「コーラン 〈中〉 Qur'ān (ワイド版岩波文庫240)」井筒俊彦 訳5

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コーラン 〈中〉 Qur'ān (ワイド版岩波文庫240)

コーラン 〈中〉 Qur'ān (ワイド版岩波文庫240)

○著者: 井筒俊彦
○出版: 岩波書店 (2004/4,文庫 306ページ)
○価格: 1,260円
○ISBN: 978-4000072403


解説より、
この中巻におさめられた部分は、マホメットの預言者活動の全期間から言っても丁度中間にあたる天啓の一群で、形式・内容ともにあらゆる点で中間的、過渡的性格を示している。  (P.301)

「信じます、信じます」と言いさえすればもうそれで試みられることもなかろうと考えておるのか、人間どもは。  (P.255、「二九 蜘蛛 二節」)
言ってやるがよい、「たといお前たち神様のお恵みの全財産を我がものとしていたにしても、それでもやはり、費うのが惜しさに、さぞけちけちすることであろう。」まことに、人間とは吝嗇なもの。  (P.108、「一七 夜の旅 第一〇二節」)



≪目次: ≫
一一  フード ――メッカ啓示、全一二三節
一二  ユースフ(ヨセフ) ――メッカ啓示、全一一一節
一三  雷鳴 ――メッカ啓示、全四三節
一四  イブラーヒーム(アブラハム) ――メッカ啓示、全五二節
一五  アル・ヒジュル ――メッカ啓示、全九九節
一六  蜜蜂 ――メッカ啓示、全一二八節
一七  夜の旅 ――メッカ啓示、全一一一節
一八  洞窟 ――メッカ啓示、全一一〇節
一九  マルヤム(聖母マリア) ――メッカ啓示、全九八節
二〇  ター・ハー ――メッカ啓示、全一三五節
二一  預言者 ――メッカ啓示、全一三五節
二二  巡礼 ――メッカ啓示、全七八節
二三  信仰者 ――メッカ啓示、全一一八節
二四  光り ――メディナ啓示、六四節
二五  天啓 ――メッカ啓示、全七七節
二六  詩人たち ――メッカ啓示、全二二八節
二七  蟻 ――メッカ啓示、全九五(九三)節
二八  物語り ――メッカ啓示、全八八節
二九  蜘蛛 ――メッカ啓示、全六九節
三〇  ギリシア人(びと) ――メッカ啓示、全六〇節
三一  ルクマーン ――メッカ啓示、全三四節
三二  跪拝(きはい) ――メッカ啓示、全三〇節
三三  部族同盟 ――メディナ啓示、全七三節

解説(一九六三年十二月 訳者)


Dianthus superbus var. longicalycinus




本「歎異抄 (ワイド版岩波文庫44)」金子大栄 校注5

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本「歎異抄」金子大栄 校注
歎異抄 (ワイド版岩波文庫44)

○著者: 金子大栄 校注
○出版: 岩波書店 (1991/6;2003/5 第17刷,文庫 94ページ)
○価格: 735円
○ISBN: 978-4000070447


この書は親鸞の語録を本(もと)とし、それによって親鸞の死後に現れた異説を歎きつつ、親鸞の正意を伝えようとしたものである。その作者は、いろいろと考証されて来たが、今日では本文中に現われる(第九章、第十三章)唯円であるということがほぼ定説となっている。  (P.5)

やっぱムリがあるわぁ、『コーラン』(岩波文庫、井筒俊彦 訳)を読み始めていて(全三巻の上巻を読了)、何故か無性に『聖書』が読んでみたくなって、ところが、長大な著作を割り込ませるには根性が足りなくて(へなちょこ)、しかし、即日読み終えられそうな(労力と時間には限りがある)本を物色しているときに、なにげに以前から気になっていた(?!)本書を手にする。読了が目的となっては、本末転倒であることを十分に承知しつつ、それでも、一日一冊の読了を自らに課したい、、、に、果たして何の意義があろうか?!、いや、意義がないことはないであろう!?(意義はないかもしれない、確信は持ち得ない)、仮に意義がないとするならば、単なる自己満足にすぎなくて、ところが、読書という行為のそもそもが自己満足(他人の思想の運動場にすぎない,ショウペンハウエル「読書について」)であるのだから、そう考えるに、意義の有無を問うこと自体に意義を感じず、そしてさらには、自己満足が単に否定されるものでもない。と強がってみせる軟弱。

≪目次: ≫
解題
一、作者/二、組織/三、教義/四、語録/五、歎異/六、異本/七、解釈書(昭和三十二年六月)
例言

歎異抄


Maji





・・・
これさらにわたくしのことばにあらずといへども、経釈のゆくぢもしらず、法文の浅深をこゝろえわけたることもさふらはねば、さだめておかしきことにてこそさふらはめども、古親鸞のおほせごとさふらひしをもむき、百分が一、かたはしばかりをもひいでまいらせて、かきつけさふらふなり。かなしきかなや、さひはひに念仏しながら、直(ぢき)に報土にむまれずして辺地にやどをとらんこと。一室の行者のなかに信心ことなることなからんために、なく〱ふでをそめて、これをしるす。なづけて歎異抄といふべし。外見(ぐわいけん)あるべからず。  (P.89)

本「コーラン 〈上〉 Qur'ān (ワイド版岩波文庫239)」井筒俊彦 訳5

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コーラン 〈上〉 (ワイド版岩波文庫239)

コーラン 〈上〉 Qur'ān (ワイド版岩波文庫239)

○著者: 井筒俊彦
○出版: 岩波書店 (2004/4,文庫 306ページ)
○価格: 1,260円
○ISBN: 978-4000072397


“解説”より、
本書は『コーラン』の口語訳である。はじめ岩波文庫の編集部からこの依頼を受けた時、僕は一応引き受けては見たものの、すっかり考え込んでしまった。現代の日本語の話し言葉では、原文の鳴り響くような、そしてどことなく荘重で、時とすると荘厳でさえある、あの持ち味が到底出せっこないと僕は思った。
『コーラン』の原語「クルアーン」Qur'ānとは、もと読誦を意味した。この聖典は目で読むよりも、文句の意味を理解するよりも、何よりも先にまず声高く朗誦されなければならない。考えて見るともう一昔も前になるが、始めて本格的な「カーリウ」(コーラン読み)の朗誦を聴いた時、僕はやっとこの回教という宗教の秘密がつかめたような気さえしたものだ。オペラのアリアを歌うテノールかソプラノのような張りのある高い声、溢れる音量の魅力、一語一語の末までも沁み渡って行く、いかにもオリエンタルという名の連想にふさわしい深い哀愁の翳り。日常茶飯事を話題としてもどことなく荘重で、悲劇的な色調をともすれば帯びやすいアラビア語こそ、こういう聖典にはまさにうってつけの言葉なのである。  (P.298-P.299)


≪目次: ≫
はしがき
改訳の序(一九六一年一一月)

一 開扉――メッカ啓示、全七節
二 牝牛――メディナ啓示、全二八七(二八六)節
三 イムラーン一家――メディナ啓示、全二〇〇節
四 女――メディナ啓示、全一七五(一七六)節
五 食卓――メディナ啓示、全一二〇節
六 家畜――メッカ啓示、全一六五節
七 胸壁――メッカ啓示、全二〇五(二〇六)節
八 戦利品――メディナ啓示、全七六(七五)節
九 改悛――メディナ啓示、全一三〇(一二九)節
一〇 ユーヌス(平安その上にあれ)――メッカ啓示、全一〇九節

解説(一九五七年九月)


花言葉「円熟の美、子孫の守護」♪




本「第三帝国の興亡 第3巻 第二次世界大戦  THE RISE AND FALL OF THE THIRD REICH :World War 供廛Εリアム.L.シャイラー、松浦伶 訳5

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第三帝国の興亡 第3巻 第二次世界大戦  THE RISE AND FALL OF THE THIRD REICH :World War
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書評/歴史・時代(F)




本が好き!PJ”経由の献本の抽選は、4分の3の確率に落選し、“ミステリサスペンス”を読まないぼく――正しくは、読めない。登場人物を覚えられなくて、そこがミソとなるであろう細かいトリックにまで気がまわらない。それよりも何よりも、人をくったような小細工(そこがミソなのに)が気に障る、ってホント性格悪〜い!?、あぁぁあ――には、縁遠いのかもしれない、東京創元社
ところがぼくには、この全5巻シリーズ「第三帝国の興亡」を読まない理由が、そもそも読まないという選択肢がないから、入手経路の差異でしかない、自腹で参画。欲する原動力は、知への欲求、自らの無知への自覚。

・・・この指令書が示しているように、ヒトラーはまだ英仏がどう出るか確信がなく、自分から攻撃を仕掛けるのを控えようとした。向こうが敵対行為をとったら受けて立とうと思っていたのである。・・・  (P.284)
なんの迷いも躊躇もなかったわけではない。偶然と言ってしまうには、あまりにも連続して重なり続けた偶然!?
・・・長々と話しつづけるヒトラーは念頭からイギリスのことを追い払うことができなかった。
「イギリスは、ドイツに対抗する勢力の駆動力である」と、彼は強調した。そして、その強みと弱みを列挙した。

イギリス人自身は誇り高く、勇敢で、頑健で忍耐づよい、才能豊かな組織者である。新しい発展を利用するすべを心得ている。冒険を愛する心と、北欧ゲルマン系の勇気をそなえている。……
イギリスは、もともと世界の強国である。三百年間、変わらずそうだった。同盟を結ぶたびに強くなってきた。それは有形の力であるだけでなく、全世界を包む心理的な力であると解すべきである。
くわえて計り知れない富と、支払い能力がある。
地政学的安全、強大な海軍と勇気ある空軍に支えられた防備がある。

・・・  (P.68-P.69)
ひとつのことがはっきりしていた――チェンバレン以外のほとんどのひとにとってだが。それはヒトラーの一挙手一投足によって弱まり、よろめいていた英仏外交が、いまや完全に破綻したことであった。一歩また一歩と、ふたつの西欧民主主義国家は後退していった。ヒトラーが徴兵制を敷いた一九三五年、ラインラントに進駐した一九三六年、オーストリアを奪った一九三八年、ついで同年、ズデーデンを要求して奪ったとき、そして一九三九年三月、ヒトラーが残存チェコスロヴァキアを占領したときも、彼らは弱々しく座視するだけだった。ソヴィエト連邦を仲間にすれば、ドイツの独裁者を説いて戦争をやめさせることもできただろうし、たとえ失敗したとしても武力衝突でかなり早い時期に打ち破ることができたかもしれない。しかし彼らは、この最後の機会が手からこぼれ落ちるに任せた。そうして、最悪のときに最悪の状況で、ポーランドが攻撃されたとき援助に飛び込むことにしたのだった。  (P.184-P.185)

ヒトラーのスカンディナヴィア二カ国の電撃的征服からは、軍事的教訓も学ぶことができた。もっとも顕著なことは、空軍力の重要性と、爆撃機、戦闘機の陸上基地が近い場合は海軍力に勝ることである。そして、勝利はしばしば大胆で想像力に富む者に訪れる、という古い教訓も同様に真実であった。ドイツ海軍と空軍はその双方をともにそなえていた。またナルヴィクにおけるディトールは、ドイツ陸軍の機略縦横ぶりを証明したが、連合軍にはそれが欠けていた。
スカンディナヴィアの出来事にはひとつの軍事的結果があったが、ひとはあまり遠い将来のことは見通せないものだからすぐには評価できなかった。ノルウェーにおける人命の損失は、双方ともに軽微だった。ドイツ側は戦士千三百十七、行方不明二千三百七十五、負傷千六百四、計五千二百九十六の死傷者だった。一方、ノルウェー、フランス、イギリス合わせて死傷者は五千足らずである。イギリスは航空母艦一、巡洋艦一、駆逐艦七、ポーランド、フランスはそれぞれ駆逐艦一、という損害だった。ドイツ海軍の損失は比較的大きく、駆逐艦十四隻のうち十、巡洋艦八隻のうち三であった。巡洋戦艦〈シャルンホルスト〉〈グナイゼナウ〉、ポケット戦艦〈リュッツォー〉は被害甚大で、数カ月間、実戦を離れた。ヒトラーは、きたるべき夏の作戦のために語るに足る艦隊を持たなかった。いよいよイギリスに攻め込むときがきたとき、それはまもなくのことだったが、これは克服しがたい弱点だとわかった。
しかし、ドイツ海軍が半身不随の大打撃をこうむったことから起こりうる結果は、長い征服リストにデンマークノルウェーをくわえた五月はじめ、熱心な将軍たちと――前年秋の心配事はまるで忘れていたようだ――こんどこそ最大の征服だと意気込んで作戦計画の仕上げにおおわらわの総統の頭からは、完全に抜け落ちていた。  (P.534-P.535)


≪目次: ≫
第三部 戦争への道(承前)
第十四章 ポーランドの番

ついでにちょっと侵略/ポーランドをめぐる熱気/〈作戦・白〉/ヒトラーのローズヴェルトへの回答/ソ連の介入(一)/鉄鋼条約/ヒトラー、背水の陣を敷く 一九三九年五月二十三日/ソ連の介入(二)/総力戦の計画/ソ連の介入(三)/ドイツ同盟諸国の逡巡/ザルツベルクおよびオーバーザルツベルクにおけるチアーノ 八月十一、十二、十三日
第十五章 ナチ−ソヴィエト条約
オーバーザルツベルクにおける軍事会議 八月十四日/ナチ−ソヴィエト会談 一九三九年八月十五日−二十一日/一九三九年八月二十二日の軍事会議/モスクワにおける連合諸国の手詰まり/モスクワにおけるリッペントロップ 一九三九年八月二十三日
第十六章 平和の最後の日々
ムッソリーニの逃げ腰/「陰謀者たち」の歓喜と混乱/平和の最後の六日間/土壇場のドイツとイギリス/平和の最後の日
第十七章 第二次世界大戦はじまる
ムッソリーニ、最後の瞬間の介入/ポーランド戦争、第二次世界大戦となる

第四部 戦争――初期の勝利、そして転機
第十八章 ポーランドの滅亡

ソ連のポーランド侵入
第十九章 西部の座り込み戦
〈アシーニア〉の沈没/ヒトラーの平和提案/ヒトラー打倒の「ツォッセン陰謀」/ナチの誘拐とビアホールの爆弾/ヒトラー、将軍たちを励ます/ポーランドにおけるナチのテロ――第一段階/全体主義国家間の軋轢
第二十章 デンマークノルウェーの征服
ヴィドクン・クヴィスリングの登場/ヒトラー、サムナー・ウェルズとムッソリーニに会う/陰謀組、またもや挫折/デンマーク、ノルウェー奪取/ノルウェーの抵抗/ノルウェーをめぐる戦い


≪著者: ≫ ウィリアム・L・シャイラー (William L.Shirer) 1904年シカゴ生まれ。ジャーナリスト・歴史家。コー大学卒業後、渡欧。〈シカゴ・トリビューン〉紙の特派員などを経て、CBSのヨーロッパ支局長に。ドイツのオーストリア併合など、数々の歴史的事件の報道に携わる。1940年、戦況の悪化に伴ってアメリカへ帰国し、自身の経験をもとにしたベストセラー『ベルリン日記』(筑摩書房)を発表。1960年に発表した本書では、全米図書賞を受賞する。『フランス第三共和制の興亡』(東京創元社)、『第三帝国の終わり――続ベルリン日記』(筑摩書房)など著書多数。1993年没。

≪訳者: ≫ 松浦伶 1936年島根県生まれ。東京大学文学部卒業後、文藝春秋入社。雑誌・書籍の編集者を経て、翻訳に従事。訳書にジャイルズ・ミルトン『スパイス戦争――大航海時代の冒険者たち』(朝日新聞社)、アル・パチーノ+ローレンス・グローベル『アル・パチーノ』(キネマ旬報社)がある。2007年没。

第三帝国の興亡 第2巻 戦争への道 THE RISE AND FALL OF THE THIRD REICH :The Road to War (2008/6)
第三帝国の興亡 第1巻 アドルフ・ヒトラーの台頭 THE RISE AND FALL OF THE THIRD REICH :The Rise of Adolf Hitler (2008/5)

Lagerstroemia indica




本「トルストイ民話集 人はなんで生きるか 他四篇  Толстой УЕМ ЛЮДИ ЖИВЫ? 1881 (岩波文庫 赤619-1)」トルストイ、中村白葉 訳5

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トルストイ民話集 人はなんで生きるか 他四篇 (岩波文庫)

トルストイ民話集 人はなんで生きるか 他四篇  Толстой УЕМ ЛЮДИ ЖИВЫ? 1881 (岩波文庫 赤619-1)

○著者: トルストイ中村白葉
○出版: 岩波書店 (1932/1 第1刷;1965/1 第30刷改版;2004/10 第83刷,文庫 189ページ)
○価格: 525円
○ISBN: 978-4003261910


・・・天使は言った――
「わたしは、すべてのひとは自分のことを考える心だけではなく、愛によって生きているのだということを知りました。
・・・  (P.52、「人はなんで生きるか」)
ところでぼくは「“愛”なんてわからない。だから、わたしのことを愛しているかと問われても、愛しているかわからない、こたえることができない」と口外して(それ以外の重大な要因もあって)、家庭生活を破綻させている。いまだに“愛”なんてわからない。でも、愛がなければ生きていけないことは、なんとなく思い知った、のかどうかも確信を抱くことができない、、、すでに、自らを筆頭に、誰をも愛することができない(自らを愛することができない者が、他者を愛することなど、どうしてできようか!?)。一方では誰をも嫌悪し憎悪する気持ちが減退し(決して消失はしない)、ある意味では誰をも愛する気持ちが芽生えている、のかどうなのか、こちらもさらに確信を抱くことができない。考察を重ねれば重ねるほどに、結論にいたることなく果てしがない堂々巡り、、、
・・・
老人は溜息をついて、こう言った――
「イワンよ、おまえはひろい世間を歩きまわったり乗りまわったりしているが、わしはこれ、年がら年じゅう暖炉の上にねてばかりいるだけで、おまえは、自分はなんでも見ているが、わしはなんにもはあ見てねえように思っとるだろ。ところが、そうでねえだぞ、はあこれ、おまえにゃなんにも見えねえのだ、おまえは腹立ちのために目がくらんどるだからの。人の罪は目の前だから見えるが、自分の罪は背中だから見えねえのだ。おまえは今、あの男がわるいことをしたと言った! もしあの男ひとりがわるいことをしたのなら、喧嘩の起こるわけがねえ。いったい人間同士の喧嘩が、片方だけから起こるものだろか? 喧嘩はふたりのあいだのものにきまってるだ。おまえにゃ、あの男のわるいところは見えるが、自分のわるいところは見えねえのだ。もしあの男ひとりがわるくて、おまえがええのなら、喧嘩の起こりっこはねえだろ。あの男の顎ひげをむしり取ったなだれだね? 山分けにするはずの草堆をとったなだれだね? あの男を裁判所へ訴えたなだれだね? 何もかもおまえがあの男にかずけてるのだ、自分がよくねえ暮らしをしておればこそ、わるいことも起こるだわい。わしはそんな暮しかたはしなかったぞ、そしておまえたちにもそんなこたあ教えなかったぞ。わしとじいさん――あの男のおやじとは、いったいどんな暮らしかたをしてきたと思う? どんな暮らしかたをしてきたと思う? 隣り同士らしくしてきただよ。あの男のほうに麦粉がなくなりゃ、かみさんがやって来て、フロールおじさんや! ちょっくら粉をほしいだがね! こう言うだ。さあさあ納屋へ行って、いくらでもいるだけ持っていきなされ。また隣りに馬のひき手がねえ時にゃ、――ようワニャートカ、行って馬をひっぱってやれって、おらおまえに言いつけたもんだ。そのかわり、自分のほうに足りねえものがありゃ、さっそく隣りへやっていく。――ゴルデイおじや、おらこれこれのものがほしいだがなって。すると、さあ持っていけや、フロールおじよ! こう言うだ。おらたちあこんなふうにしてやってきただよ。だから、お互いに暮らしも楽だった。それが今はどうだ? ・・・  (P.69-P.70、「火を粗末にすると――消せなくなる」)

「解説」より、
・・・きわめて平俗な物語のうちに、自身全生涯の苦悩をもってあがないえた深遠な真実を注ぎこんでいるので、それが強い力となって読者の心に迫るものとなっている。すなわち、表現形式はきわめて平易かつ簡素な言葉で、あくまでわかり易く、面白く書かれているけれども、その底には、トルストイ自身血みどろな精神的苦闘を経て体得した愛の福音が説かれているので、これらの作品はそれだけでも、大トルストイの思想と宗教の大体をうかがわせるほどの重要さを持っているのである。  (P.181-P.182)


≪目次: ≫
人はなんで生きるか
火を粗末にすると――消せなくなる
愛のあるところに神あり
ろうそく(あるいは善良な百姓がどうして悪い管理人に打ち勝ったかという話)
二老人

解説


玉ボケ♪




本「新アラビア夜話  Title:NEW ARABIAN NIGHTS 1882 Author:Robert Louis Stevenson (光文社古典新訳文庫)」スティーヴンスン、南條竹則・坂本あおい 訳5

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新アラビア夜話 (光文社古典新訳文庫 Aス 2-1)

新アラビア夜話  Title:NEW ARABIAN NIGHTS 1882 Author:Robert Louis Stevenson (光文社古典新訳文庫)

○著者: スティーヴンスン南條竹則・坂本あおい 訳
○出版: 光文社 (2007/9,文庫 303ページ)
○価格: 600円
○ISBN: 978-4334751395


・・・
「自殺クラブ?」王子は言った。「一体何なんだね、それは?」
「聴いてください」若者はこたえた。「当節はよろず便利な世の中になりましたが、文明の利器の究極というべきものについてお話ししなければいけません。われわれはあちらこちらに用事があるので、鉄道というものが発明されました。その鉄道は友人たちとの距離を大きく開けてしまったので、電信が発明されて、遠く離れた場所にいる相手ともすぐにやりとりができるようになりました。ホテルにいても、エレベーターのおかげで何百段もの階段を上がらなくても済むというわけです。さて、御承知のように人生とは、われわれが気の済むまで道化役を演じる舞台にすぎません。快適な現代生活にたった一つ欠けているのは、その舞台から体裁良く、簡単におりられる方法です。自由への裏階段です。あるいはさっき申し上げたように、死神の裏口です。そして、わが叛逆の同志たちよ、これを提供してくれるのが『自殺クラブ』なんです。僕たちが表明する至極まっとうな望みは、僕やあなた方だけが特別に抱いているなんて考えてはいけませんよ。大勢の仲間たちが、毎日毎日、芝居を一生続けるのにホトホト嫌気がさしている――しかし、ほんの一つ二つ理由があって、逃げ出せずにいるんです。ある者は家族がいて、自分が死ねば悲しむだろうし、事が公になったら後ろ指を差されるかもしれない。またある者は気が弱くて、いざ死ぬ場面を考えると二の足を踏んでしまう。僕の場合も、まあそのようなものです。ピストルを頭にあてて、引き金を引くことができないんです。自分の意志よりも強い何かに邪魔されましてね。生きることにはうんざりですが、死神をつかまえて、片付けてしまう力がないんです。僕みたいな男のために――そして悪い評判をあとに残さず、この世からおさらばしたいすべての人間のために、『自殺クラブ』が発足したんです。・・・  (P.22-P.23、「クリームタルトを持った若者の話」)
・・・
「われわれは堕落の話をしたね」王子は言った。「わたしには、この輝く透明な石の塊が、蛆虫がわいて蠢いている腐ったもののように嫌らしい。罪もない人間の血を凝固めたような、おぞましいものに見える。こうして手に載せてみると、地獄の炎で輝いているのがわかるよ。わたしが君に話したことは、この宝石にまつわる歴史の百分の一にすぎない。かつてどんなことがあったか――この石がそのかみの人々をどんな犯罪や裏切りへ誘ったのか、考えただけでもぞっとする。こいつは長年、地獄の魔物たちに忠実に仕えてきた。もうたくさんだ。流血も汚辱も、人の一生や友情が壊されるのも、もうたくさんだ。すべてのものには終わりが来る。悪も善も同じ――悪疫も美しい音楽も同じだ。それで、このダイヤモンドだが――わたしのすることがもし間違っているなら、神よ、どうかお許しを――しかし、こいつの栄華は今宵限りだ」
王子はふいに手を動かした。そして宝石は光る弧を描きながら、川の流れに落ちて飛沫をあげた。
「アーメン」フロリゼルはおごそかに言った。「これで化け物は退治したぞ!」
「神よ、お許しください!」と刑事は叫んだ。「何てことをなさったんです? わたしはもう破滅です」
「たぶんね」王子は笑ってこたえた。「この街の裕福な人々の多くは、君の破滅を羨むことだろう」
「ああ、殿下!」刑事は言った。「やはり殿下は、わたくしを籠絡なさるのですね?」
「他にどうしようもなかったんだ」フロリゼルはこたえた。「さて、警視庁へ行くとしよう」  (P.278-P.279、「フロリゼル王子と刑事の冒険」)


≪目次: ≫
自殺クラブ
クリームタルトを持った若者の話
医者とサラトガトランクの話
二輪馬車の冒険

ラージャのダイヤモンド
丸箱の話
若い聖職者の話
緑の日除けがある家の話
フロリゼル王子と刑事の冒険

解説/南條竹則
スティーヴンスン年譜
訳者あとがき/南條竹則


≪著者: ≫ ロバート・ルイス・スティーヴンスン Robert Louis Stevenson [1850−1894] イギリスの詩人・小説家・随筆家。エディンバラに生まれ、病弱の身ながら、ヨーロッパ、アメリカ西部、南太平洋の島々を渡り歩き、サモア島で没。冒険小説『宝島』や、二重人格小説『ジキル博士とハイド氏』で大評判を博した。ほかにも歴史ロマン『バラントレイの若殿』や、詩集『子供の詩の園』など。

[訳者] 南條竹則 Nanjo Takenori 東京生まれ。小説『酒仙』で第5回ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞。著書に小説『満韓全席』『あくび猫』、エッセイ『恐怖の黄金時代――英国怪奇小説の巨匠たち』『ドリトル先生の英国』、主な訳書にアンソロジー『怪談の悦び』、『ねじの回転』(ジェイムズ、共訳)、『アーネスト・ダウスン作品集』など。

[訳者] 坂本あおい Sakamoto Aoi 東京生まれ。青山学院大学文学部卒業。翻訳家。主な訳書に『アイス・ストーム』(ムーディ)、『ねじの回転』(ジェイムズ、共に共訳)、『熱い指、冷たい唇』(アーサー)など。


Cosmos bipinnatus




本「民主主義の展望 Title:Democratic Vistas, 1871 Author:Walt Whitman (講談社学術文庫)」ウォールト・ホイットマン、佐渡谷重信 訳5

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民主主義の展望 Title:Democratic Vistas, 1871 Author:Walt Whitman (講談社学術文庫)

○著者: ウォールト・ホイットマン、佐渡谷重信 訳
○出版: 講談社 (1992/5,文庫 216ページ)
○価格: 693円
○ISBN: 978-4061590243


解説より、
・・・これは政治的理論の書ではない。ホイットマンによる「魂の文書」「愛の文学」「偉大なる詩人待望論」でもある。かくして、腐敗と堕落に汚染した政界への警告に溢れ、本当の民主主義の神髄を理解しない人びとへの忠告に満ち溢れ、そして、人生を如何に生きるべきか、その《目覚めた魂》の賛美に満ち溢れている。そこにはヘーゲル的精神哲学をしっかりと抱懐、摂取しながら、ホイットマン独自の魂と知性の産み出す直観と実践的精神を吐露していたのである。
ホイットマンが精神的問題を特に重視したのは、南北戦争期における不公正な政策に疑問を感じたからである。まず南部も北部も徴兵令状を受け取った人間は、自分の代りに代理人を雇うことが出来た。あるいは、北部では徴兵令状を受けたものが政府に三〇〇ドル支払えば、兵役から逃れることが出来た。要するに金権主義が横行していたのだ。南部では十五人以上の奴隷を持つ農場主または大家族、あるいは大規模な植栽農場の経営者は、兵役免除の特典が与えられていた。だから、南北戦争は貧乏人同士の戦いだった。そうした所に愛国心など生まれるはずはない。民主主義が政界や民衆の中に浸透することは不可能であった。南北戦争が終わって、北部の産業主義が独裁的権力を振い、鉄道がアメリカの工業化を促進した。一八六〇年における世界の工業生産高は、一位イギリス、二位フランス、三位ドイツであった。一八九四年にはアメリカが一位になった(レオ・ヒューバーマン『アメリカ人民の歴史』)。こうした時代にホイットマンは精神文明の必要を説き、民主主義国家の建設こそアメリカ人の使命だと主張し、そのためには偉大な文学者、予言者としての詩人の出現を期待したのである。
予言者として、アメリカの民衆の心に根ざした生粋のアメリカ詩人、アメリカのみならず、世界の魂たちを奮いたたせ、大地と太陽を愛し、男性と女性と子供たちを愛し、すべての動物も、木立も、その陰で忙しく働く褐色の蟻たちも、ことごとく道連れにして、自らが愛の詩人になることを、ホイットマンは願っていた。そのためには宇宙の秩序を整然と歌い、自由の代弁者となり、不変の真理を語り、未来に身を投じ、生命の自由と政治的自由の理念を断固として守り続けることを使命にしながら、新しい詩を創作して『草の葉』(ボストン版)に加え、一八八一年、ボストンのジェームズ・R・オズグッド社から出版した。  (P.199-P.201)


≪目次: ≫
訳者はしがき

1 多様性と自由の存在
2 詩歌は民族の歌声
3 パーソナリティーの探求
4 民主主義は大地の夢である
5 政党と支配権力
6 人格主義の形成
7 女性の優雅さについて
8 妙なる吟唱詩人の出現
9 民族的文学の使命
10 不滅なる精神文明
11 不朽の国家を築く道
原註・訳註

解説/佐渡谷重信
ウォールト・ホイットマン年譜


≪著者: ≫ ウォールト・ホイットマン Walt Whitman 1819〜1892。アメリカの詩人。ニューヨーク州生まれ。民主主義精神に立脚し、自由・平等・友愛の尊さをうたう。著書に本書『民主主義の展望』のほか、詩集『草の葉』など。

≪訳者: ≫ 佐渡谷重信 (さどや しげのぶ) 1932年、東京生まれ。早稲田大学卒業。現在西南学院大学教授。著書に『ホイットマンと近代日本』『日本近代文学の成立』『漱石と世紀末芸術』など多数、学術文庫に『アメリカ精神と日本文明』、『森の生活』(訳書)がある。

ホイットマンおれにはアメリカの歌声が聴こえる――草の葉(抄)  Title:LEAVES OF GRASS 1855-1892 Author:Walter Whitman (光文社古典新訳文庫、飯野友幸 訳、2007/6) 』

Halyomorpha halys




本「オンディーヌ  Title:ONDINE 1939 Author:Jean Giraudoux (光文社古典新訳文庫)」ジロドゥ、二木麻里 訳5

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オンディーヌ (光文社古典新訳文庫 Aシ 3-1)
オンディーヌ  Title:ONDINE 1939 Author:Jean Giraudoux (光文社古典新訳文庫)
○著者: ジロドゥ、二木麻里 訳
○出版: 光文社 (2008/3,文庫 316ページ)
○価格: 620円
○ISBN: 978-4334751524


・・・
[水の精の王] あいつはおまえを不幸にした。
[オンディーヌ] たしかに。でもそれだって人間の世界のことだから。不幸だということは、だから幸福じゃないということにはならないの。叔父さま、ぜんぜん理解できないでしょう。地上にはすばらしいものがあふれているのに、そのなかでわざわざ、裏切られることを選ぶ。嘘やあいまいさにぶつかるとわかっている状況を選ぶ。そしてそこへ全力で突進する。でもそれは人間にとって、ほんとに幸せなことなのよ。そうしなかったら変に思われるくらい。苦しむほど幸せなの。だからあたしは幸せ。この世でいちばん幸せ。  (P.210-P.211)

[王妃] そなたの名前ですが、オンディーヌ、つまり水の精ということね?
[オンディーヌ] はい、じっさいに水の精です。
[王妃] 年はいくつです、十五?
[オンディーヌ] 十五です。でも生まれたのは年百年もまえです。死ぬということがないんです。  (P.136)


≪目次: ≫
オンディーヌ 全三幕
  フーケのおとぎ話にちなんで

解説 虚構の中世の時空と論理……二木麻里
あらすじと、空間的な構造/主導人物の配置/時間的な構造/フーケの『ウンディーネ』との関係/オンディーヌの源泉/固有名の情報/結び――『オンディーヌ』が現代に伝えるもの/◆作者紹介/劇作家への転機
ジロドゥ年譜
訳者あとがき


≪著者: ≫ ジャン・ジロドゥ Jean Giraudoux [1882−1944] フランスの作家。エリート校の高等師範学校を卒業したが、大学教授資格試験に落第して外務省に転じる。22歳のときに短編小説を発表し、以後外交官として勤務しながら地味な創作活動をつつけた。45歳で最初の戯曲を手がけて大成功をおさめ、『オンディーヌ』を含む一連の戯曲を通して国民的作家になる。他の作品に『トロイ戦争は起こらない』など。

[訳者] 二木麻里 Futaki Mari 1960年生まれ。上智大学外国語学部フランス語学科卒。翻訳家。訳書に『死を生きながらイスラエル1993−2003』(グロスマン)、『ポパーとウィトゲンシュタインとのあいだで交わされた世上名高い一〇分間の大激論の謎』(エドモン&エーディナウ)など多数。


小河内貯水池




本「午後の曳航 (新潮文庫)」三島由紀夫5

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午後の曳航 (新潮文庫)

○著者: 三島由紀夫
○出版: 新潮社 (1968/7 発行;1990/12 54刷改版;2005/11 70刷,文庫 181ページ)
○価格: 380円
○ISBN: 978-4101050157


十三歳の少年の自分(黒田登)、十三歳の首領。
「彼らは危険の定義がわかっていないんだ。危険とは、実体的な世界がちょっと傷つき、ちょっと血が流れ、新聞が大さわぎで書き立てることだと思っている。それが何だというんだ。本当の危険とは、生きているというそのことの他にはありゃしない。生きているということは存在の単なる混乱なんだけど、存在を一瞬毎にもともとの無秩序にまで解体し、その不安を餌にして、一瞬毎に存在を造り変えようという本当にイカれた仕事なんだからな。こんな危険な仕事はどこにもないよ。存在自体の不安というものはないのに、生きることがそれを作り出すんだ。社会はもともと無意味な、男女混浴のローマ風呂だしな。学校はその雛型だし……。それで僕たちは、たえず命令されている。盲らどもが僕たちに命令するんだ。奴らが僕たちの無限の能力をボロボロにしてしまうんだ」  (P.51)
刑法第四十一条、十四歳ニ満タザル者ノ行為ハ之ヲ罰セズ。  (P.159)
・・・
きくうちにみんなも笑わなくなった。事態の重大なことがだんだん呑み込めてきたからだ。彼らはそこに、自分たちの共通の夢の帰結と、おぞましい未来を読んだ。この世界には究極的に何事も起こらないのかもしれぬ!  (P.130)


≪目次: ≫
午後の曳航(えいこう)
第一部 夏
第二部 冬

解説 田中美代子(昭和四十三年七月、文芸評論家)

*この作品は昭和三十八年九月講談社より刊行された。


≪著者: ≫ 三島由紀夫 Mishima Yukio (1925-1970) 東京生れ。本名、平岡公威。1947(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。1949年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、1954年『潮騒』(新潮社文学賞)、1956年『金閣寺』(読売文学賞)、1965年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。1970年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。ミシマ文学は諸外国語に翻訳され、全世界で愛読される。


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本「憲法なんて知らないよ (集英社文庫)」池澤夏樹5

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憲法なんて知らないよ (集英社文庫)

○著者: 池澤夏樹
○出版: 集英社 (2005/4,文庫 213ページ)
○価格: 500円
○ISBN: 978-4087478143


「日本の憲法」の英語のテクストには people という言葉が何度も出てくる。公式の「日本国憲法」ではこれは一様に「日本国民」と訳されている。日本という国の主体であり、主役であり、主人であるこの国の人々のことだから「国民」でいいと普通は考えられている。
しかし、英語の people は本来もっと意味が広い言葉だった。辞書によればこれは、(世間一般の)人々、民族、国民、市民、公民、人民、などと訳し得るのだ。ほんとうに people をぜんぶ国民と訳していいのかどうか。
・・・  (P.120、「翻訳について」)
この「国民」と同じような問題として、英語における nation と state と country の使い分けというのがある。この三つの定義域と日本語における「国」と「国家」と「国民」と「民族」とは重なっていない。どちらかというと state が制度的で、nation が人の集団という印象が強く、残る country では国土の側面がわずかに強調されているだろう。
こんな基本的なところで翻訳には難問がつきまとう。アメリカ人にとっての国と、フランス人にとっての国、それに日本人やインド人にとっての国はそれぞれまったく違う概念であるかもしれない。  (P.123、「翻訳について」)



≪目次: ≫

まえがき、
あるいは「つまり、こういうことなんだ」

新訳「日本の憲法――「私たち日本人は、国を動かす基本の力は国民みなが持ち寄って生まれるものであることを、まず宣言する」
第一章 天皇――「天皇は国のシンボル、まとまって国を作ろうという人々の気持ちのシンボルでなければならない」
第二章 戦争の放棄――「陸軍や海軍、空軍、その他の戦力を持つことはぜったいにしない」
第三章 国民の権利と義務――「国は、国民が人間としての基本的なさまざまの権利を思うとおりに用いることを邪魔してはいけない」
第四章 国会――「国会は国の権力のいちばん上に位置する機関であり、国の法を作るただ一つの機関である」
第五章 内閣――「内閣は統率する総理大臣と、その他の国務大臣からなる。内閣の構成は法律によって決める」
第六章 司法――「最高裁判所はあらゆる法律や命令、規則、行政府の行いが憲法に違反していないかどうかについての最終的な判断を行う場である」
第七章 財政――「国会が認めないかぎり、国はお金を使ったり、また債務を負担したりしてはいけない」
第八章 地方自治――「地方自治体は、それ自身の財産を管理し、事務と行政を進め、法律の範囲内で条例を決める権限を持つ」
第九章 改正――「この憲法を改正する手続きは、まず衆議院と参議院のすべての議員の三分の二ないしそれ以上の賛成によって始められる」
第十章 最高法規――「この憲法は日本の国民に人間としての基本的な権利を保障する」
第十一章 補則

翻訳について
あとがき/文庫版のあとがき

附録 日本国憲法(和文)/日本国憲法(英文) THE CONSTITUTION OFJAPAN

解説――読んでみて分かること  なだ いなだ


*この作品は、二〇〇三年四月、単行本としてホーム社より発行、集英社より発売されました。


≪著者: ≫ 池澤夏樹 (いけざわ・なつき) 1945年北海道生まれ。75年より3年間ギリシャに滞在。詩作、評論から作家活動に入る。「スティル・ライフ」で88年第98回芥川賞、93年『マシアス・ギリの失脚』で第29回谷崎潤一郎賞、2003年『イラクの小さな橋を渡って』『憲法なんて知らないよ――というキミのための「日本の憲法」』『静かな大地』などの著作活動全般について司馬遼太郎賞受賞。04年、フランスに移住。05年『パレオマニア』で第8回桑原武夫学芸賞受賞。
http://www.impala.jp/


Dianthus superbus var. longicalycinus




本「イスラーム世界」片倉もとこ、梅村担、清水芳見 編5

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イスラーム世界

○編者: 片倉もとこ、梅村担、清水芳見
○出版: 岩波書店 (2004/2,単行本 302ページ)
○価格: 2,940円
○ISBN: 978-4000221382


・・・イスラーム地域研究の特徴を一つあげるとすれば、それは、このプロジェクトが現代における「イスラームのグローバル化」を前提にしてスタートしたことである。イスラームやムスリムに関連する問題は、いまや中東社会だけに限定されることはなく、中央アジア、中国、東南アジア、南アジア、ヨーロッパ、アフリカ、さらにはアメリカにも及んでいる。したがって、中東のイスラームだけ研究していれば、満足のいくイスラーム研究ができるという時代ではもはやないように思われる。周知のように、普遍的宗教であるイスラームは、早くから地域や民族の枠を超えて拡大する性格を備えていた。つまり「越境するイスラーム」がその本来の性格であったといえるであろう。

その結果、現代では、たとえばアメリカにおいても、ムスリムの存在は無視することができない重要な要素になってるし、西ヨーロッパ諸国にもムスリムの一大コミュニティーが形成されている。イギリスにはパキスタンバングラデシュから、フランスにはモロッコアルジェリアチュニジアから、またドイツにはトルコからのムスリム移住者が多数存在する。これらの移住者に対して、フランス、イギリス、ドイツなどは、現在はガードを固くしているが、オランダは比較的寛大な態度を維持しているとされる。
このようにムスリム移民の受け入れ方は国によって異なるが、ヨーロッパ諸国は、十字軍の時代からムスリムと隣り合わせに生活し、共存(symbiosis)と対立(conflict)の双方を体験してきた。  (P.271、-1 焦点と未来への展望」)


「イスラーム世界」と題された本書は中央大学の大学院総合政策研究科で開催したフォーラム「イスラーム社会と日本――研究の最先端から――」における連続講演を、まとめなおしたものである。
フォーラムを開催した目的は、第一にイスラーム社会の本質を時間と空間の両軸からさまざまに解きほぐしてイスラーム社会と日本に関する問題点を提起すること、第二に日本社会との相違や相関性を比較分析する手法を取り入れつつ、より正確な世界認識の目を養うこと、第三に日本社会および人間社会そのものへの洞察を深める手がかりを探ることにあった。
日本の社会一般では、資源確保や企業進出の視点から、イスラーム世界を経済的功利的な視点からのみ考えたり、あるいは西欧の論理あるいは西欧の視線(オリエンタリズム)に基づいて紛争の一方的な火種として、または単なる異文化社会のひとつとして捉える傾向がなお強い。しかし、ある種の共通性と普遍性をもったイスラームは、世界中で、国家という枠組みを超えて多くの人びとの生活そのものとかかわっている。こうしたイスラームを理解し、そこから多くの示唆を得ることによって、上記のような視点をここに検証するとともに、現代世界を、さらに日本社会を見通すことができるだろう、というふうに編者つまり企画者一同は考えたのである。  (P.后◆屬呂犬瓩法)



≪目次: ≫

まえがき

イスラームへの招待
1 日本社会とイスラームをめぐって……片倉もとこ

一 イスラームのひろがり
二 日本社会における偏見と無知の原因
明治以降の西洋志向/「非日常」に関する情報の氾濫(「日常」への無関心)/部分の拡大解釈
三 イスラームの根幹思想
タワヒードとホリスティック・アプローチ/都市性、移動と共生の思想/セイフティネット――生産より配分
四 日本におけるイスラーム的社会環境
イスラームの呼称/祈りと祈りの場――日本のモスク/在住ムスリムたちの生活
五 結びにかえて――「イスラーム社会」と「ムスリム社会」

供.ぅ好蕁璽爐箸
1 預言者ムハンマド その歴史といま……後藤明
(東洋大学文学部教授、東京大学名誉教授)
ムハンマドという人名/学問のなかのアジア/パンと乳の文化圏/アラビアの農牧業/西アジアギリシア語文明/一神教ユダヤ教キリスト教/イスラーム/終末/正義の戦い/預言者ムハンマドの時代のキリスト教とユダヤ教/ムハンマドにとってのアッラーマッカ社会の反応/移住(ヒジュラ)/マディーナの奇跡/ユダヤ教徒との論争/儀礼の確立/戦う預言者/新しい社会の建設/街角のムハンマド/参照されるムハンマドの言行/ムハンマドの伝記/理想の社会を求めて/原理主義
2 ムスリムの人生儀礼 命名割礼結婚そして葬送……大塚和夫(東京都立大学人文学部教授)
一 はじめに
人生儀礼とは/フィールドとしてのエジプト/フィールドとしてのスーダン
二 命名式
スブーアとシマー/下エジプトのスブーア/邪視信仰
三 割礼
男子の場合/女子割礼実施の根拠/スーダンの事例/FGMという捉え方
四 結婚
下エジプトでの結婚過程/スーダンでの結婚契約式/宗教的行為としての結婚/女性は差別されているか
五 葬送
スーダンの葬儀/イスラーム的現象の多様性
六 来世について

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中央アジアにおけるイスラーム復興……小松久男
(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
一 はじめに
二 トルコ化とイスラーム化
トルコ化/イスラーム化/イスラーム文明への貢献/タリーカ
三 帝政ロシア植民地
ロシアの中央アジア征服/アンディジャン蜂起/汎イスラーム主義/ジャディード運動
四 ソ連邦の中の中央アジア
革命内戦民族別の共和国編成
五 イスラーム復興の動態
ソ連時代の変化/政治化するイスラーム/タジキスタン内戦/過激派の形式と活動
六 おわりに――今後の展望
2 東南アジアにおけるイスラームと市民社会……中村光男(千葉大学名誉教授)
冷戦の終結と市民社会論の復活/日本におけるNGO/NPOの台頭/アジア太平洋地域における市民社会の発展/「文明の衝突」――イスラームと民主主義・市民社会/市民社会論――定義と二つのアプローチ/イスラーム世界における市民社会の(再)発見/インドネシアにおける民主化と市民社会/都市中間層とイスラーム化/インターネット革命/東南アジアの民主化と市民社会/イスラームの規範と市民社会/ムハマディア運動の拠点/巨大なNGO=ムハマディア/農村基盤のNU/植民地支配への抵抗の系譜/ムハマディアとイスラーム教育/マレーシア=マレー人優遇主義と市民社会の停滞/タイシンガポールのムスリムと市民社会/シンガポールのAMP/一九九七―一九九八年の経済・政治危機と社会的混乱/市民社会の役割――慎重な楽観論
3 パレスティナ問題、イスラーム、そして日本……臼杵陽(国立民族学博物館地域研究企画交流センター教授)
一 ビン・ラーディンがつなげる日本とイスラーム世界
二 「大東亜戦争」における日本とイスラーム世界
三 「大東亜共栄圏」構想の中のパレスティナ問題とユダヤ人問題
四 ビン・ラーディンのパレスティナ問題とイラク問題
五 むすびに代えて
4 地域研究の醍醐味――現代エジプトの民衆イスラーム再考……私市正年(上智大学外国語学部教授)
一 はじめに
二 スーフィズム・聖者崇拝と民衆イスラーム
シャーズィリー教団/死者の街を歩く/マウリド(聖者祭)の熱狂/タンタの町のイスラーム的カーニバル/砂漠の修道院と聖者たち
三 イスラーム復興を担うスーフィー教団
ブルハーミー教団の調査のきっかけ/現代エジプトのスーフィー教団の概要/ブルハーミー教団の歴史的概要/現代のブルハーミー教団/教団員の増加/教団の財源/教団の運営組織/教団員の職業分布/教団員の居住地域と年齢層
四 おわりに

検(僂錣蠅罎イスラーム
1 スーフィズムの歴史と現在……東長靖
(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科助教授)
一 イスラームの二つのベクトル
二 スーフィズムとは何か
1 スーフィズムと法学/2 スーフィズムとは/3 スーフィズムの三極構造
三 イスラーム復興の図式とスーフィズム
1 ムスリム社会/2 イスラーム覚醒/3a イスラーム法の施行/3b 内面的精神性の探究
四 イスラーム史の三段階と古典的イスラーム
五 中世イスラームとスーフィズム
1 中世イスラームとは/2 スーフィズムの拡大(神秘主義哲学/神秘主義詩/タリーカ/聖者信仰)/3 イスラームの地域的拡大とスーフィズム
六 近代イスラームとスーフィズム
1 二つのシナリオ/2 スーフィズムへの批判と弾圧/3 イスラーム復興とスーフィズム
七 新しイスラーム像の構築をめざして
1 二つのイスラーム増/2 「正しイスラーム」とは
八 スーフィズムの未来
2 日本のムスリム社会を歩く……駒井洋(筑波大学社会科学系教授)
一 日本のムスリムの歴史
第二次大戦前/第二次大戦後から外国人労働者の到来まで/外国人労働者の到来以降
二 日本のムスリムの現状
日本の外国人ムスリム人口/出身国別のムスリムの状況/地域別分布
三 宗教施設の活動状況
宗教施設の概要/主要なモスクの現状/ハラール食品店の概況
四 日本のムスリム社会の展望
社会的緊張の相対的不在/日本人ムスリムの少なさ/日本のムスリム社会の今後の展望
3 現代イラン女性の素顔――女性のヴェールエンパワーメント……中西久枝(名古屋大学大学院国際開発研究科教授)
はじめに
一 メディアにおけるムスリム女性のイメージ――ヴェールの政治化・虚像と実像
二 パーレヴィ朝のイランの近代化政策とフェミニズム
三 一九七九年イラン・イスラーム革命後のイラン女性
1 革命後のイラン女性の理想化とヴェール/2 ヴェールの意味と機能の多様性/3 ヴェールの形態とTPO
四 ヴェールとイラン女性のエンパワーメント・社会参加
1 イラン社会の自由化と女性を取り巻く環境/2 家族生活における役割分担/3 守られるべき存在としての女性/4 女性の社会進出(教育分野での進出/女性の就労)
五 革命後のイランの社会変化と女性――イスラーム化と自由化の狭間で
1 現政権のジレンマ――自由化と体制維持/2 イラン映画に見る女性のイメージ
おわりに
4 イスラーム聖者信仰と社会・国家――マグリブ三国の歴史人類学に向けて……鷹木恵子(桜美林大学国際学部教授)
世界宗教となったイスラーム/イスラームの多様な位相と人類学的アプローチ/チュニジアでの村落調査とイスラーム信者信仰/チュニジアの聖者たち/イスラーム聖者の起源・祀られ方・組織集団の多様性/マグリブ三国のイスラーム信者信仰と社会・国家を比較して

后‘本のイスラーム研究
1 焦点と未来への展望……佐藤次高
(早稲田大学教授、東京大学名誉教授、財団法人東洋文庫研究部長)
「イスラーム地域研究」とは何か/イスラーム研究の国際化/共存と対立の問題/イスラーム研究とは何か/アメリカのイスラーム研究/日本のイスラーム学/新世代の登場/現代イスラーム研究の気運/イスラーム地域研究の方法


文献案内
編者紹介・執筆者紹介


≪編者: ≫
片倉もとこ  中央大学総合政策学部教授。国立民族学博物館・総合研究大学院大学各名誉教授。
梅村坦  中央大学総合政策学部教授。
清水芳見  中央大学総合政策学部教授。

アラビア・ノート アラブの原像を求めて (ちくま学芸文庫,2002/10)
イスラームの世界観 「移動文化」を考える (岩波現代文庫,2008/2)

Hydrangea macrophylla




本「川端康成・三島由紀夫 往復書簡 (新潮文庫)」川端康成・三島由紀夫5

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川端康成・三島由紀夫 往復書簡 (新潮文庫)

○著者: 川端康成三島由紀夫
○出版: 新潮社 (2000/10,文庫 254ページ)
○価格: 460円
○ISBN: 978-4101001265


・・・
ここ下田に十六日までゐて、十七日には、又自衛隊へ戻り、二十三日迄自衛隊にゐて、新入会員学生の一ケ月の訓練の成果に立ち会ふ予定であります。ここ四年ばかり、人から笑はれながら、小生はひたすら一九七〇年に向つて、少しづつ準備を整へてまゐりました。あんまり悲壮に思はれるのはイヤですから、漫画のネタで結構なのですが、小生としては、こんな真剣に実際運動に、体と頭と金をつぎ込んで来たことははじめてです。一九七〇年はつまらぬ幻想にすぎぬかもしれません。しかし、百万分の一でも、幻想でないものに賭けてゐるつもりではじめたのです。十一月三日のパレード(*「楯の会」結成一周年記念パレードを国立劇場屋上で挙行。)には、ぜひ御臨席賜はりたいと存じます。

ますますバカなことを言ふとお笑ひでせうが、小生が怖れるのは死ではなくて、死後の家族の名誉です。小生にもしものことがあったら、早速そのことで世間は牙をむき出し、小生のアラをひろひ出し、不名誉でメチヤクチヤにしてしまふやうに思はれるのです。生きてゐる自分が笑はれるのは平気ですが、死後、子供たちが笑はれるのは耐へられません。それを護って下さるのは川端さんだけだと、今からひたすら便(ママ)りにさせていただいてをります。
・・・  (P.199、昭和四十四年八月四日付 下田東急ホテル内三島由紀夫より鎌倉市長谷二六四あて)



≪目次: ≫

はじめに/佐伯彰一

川端康成三島由紀夫 往復書簡

恐るべき計画家・三島由紀夫――魂の対話を読み解く  対談 佐伯彰一川端香男里
往復書簡の系譜/早くも浮かび上がる三島・川端的宇宙空間/深まってゆく師弟関係/文学者、三島由紀夫へ/死の前年、自決を予告した手紙/最後の手紙はもう一通あった

一九六一年度ノーベル文学賞に川端康成を推薦する 三島由紀夫(署名)、佐伯彰一 訳

略年譜  川端康成・三島由紀夫


*この作品は一九九七年十二月新潮社より刊行された。


川端康成 Kawabata Yasunari (1899-1972) 1899(明治32)年、大阪生れ。東京帝国大学国文学科卒業。一高時代の1918(大正7)年の秋に初めて伊豆へ旅行、旅芸人の一行と知り合う。以降約10年間毎年、伊豆湯ヶ島湯本館に長期滞在する。菊池寛の了解を得て1921年、第六次「新思潮」を発刊。新感覚派作家として独自の文学を貫いた。1968(昭和43)年ノーベル文学賞受賞。1972年4月16日、逗子の仕事部屋でガス自殺を遂げた。著書に『伊豆の踊子』『雪国』『古都』『山の音』『眠れる美女』など多数。

三島由紀夫 Mishima Yukio (1925-1970) 東京生れ。本名、平岡公威。1947(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。1949年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、1954年『潮騒』(新潮社文学賞)、1956年『金閣寺』(読売文学賞)、1965年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。1970年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。ミシマ文学は諸外国語に翻訳され、全世界で愛読される。


日本大通




本「アラビア・ノート アラブの原像を求めて (ちくま学芸文庫)」片倉もとこ5

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アラビア・ノート アラブの原像を求めて (ちくま学芸文庫)

○著者: 片倉もとこ
○出版: 筑摩書房 (2002/10,文庫 299ページ)
○価格: 1,260円
○ISBN: 978-4480087263


・・・「アラブ」とは、もともと、遊牧民を指す呼称であった。その後、「アラブ」とよばれる人たちの本体は時代ごとに、地域ごとに変化している。現在、アラビア人あるいはアラブと一般によばれている人たちは、じつに多種多様であり、明確に定義することは不可能に近い。アラブは、人種でもなければ、狭義の民族でもない。アラブの中には、肌の白いシリア人も黒いスーダン人も、アラブ連盟加盟国の国民でありながらアラビア語の話せない人たちもいる。キリスト教徒のアラブもいる。  (P.012)
アラブが大事にする寛容の徳は、アラビアの一角におこったイスラームを、国籍、人種、民族をこえて全世界に普及させたことや、布教の早さが他の宗教に比べておそらく世界一だといわれることも関連する。土着宗教に対する寛容性は、多くの学者が指摘するところである。私のような異教徒を生活の奥にまでかかえこんでしまうようなこともできる。異質なものをそのまま平然と認めてしまうところがある。「右手に剣、左手にコーラン」は十字軍側の作り文句であった。異端に対する絶対的な不寛容はキリスト教の方がはるかに強く、執拗、残忍をきわめたことは、多くの歴史家がみとめるところである。  (P.273)


≪目次: ≫
まえがき
機‘記より――あるアラビアの一日
1 マリアムの憂鬱
2 夜のつどい
3 荒野の朝
4 町のインテリ
供.侫ールド・ノートより――荒野に生きる人々
1 食べること、飲むこと

飲み食いの意味/朝のコーヒー/ベドウィンは菜食主義者?/祈って屠る/食事の作法/食後に手を洗う/食べたら解散
2 伝統衣装、イスラームと沙漠の産物
威風堂々のアラビア服/下ばきははかない/かぶりもの/女性の服装/下着いろいろ/髪型/飾面/最先端をいくファッション/衣服の共通の原理――太陽と砂は大敵
3 住いは女のもの
住居の変遷/間仕切りは同じ/女の間
4 沙漠の喜びと悲しみ
人間の歴史は結婚から/姉さん女房/部族柄の考慮/井戸端でのロマンス/縁談のとりすすめ/ハーリド君の例にみる/宵闇の結婚契約式/カーテンの儀式/前前夜から前夜へ/結婚披露の夜宴/客もお色なおし/初夜を迎える/一夫多妻/離婚と待婚期間/子どもの誕生/名づけの儀式/産児制限/イスラーム教徒にとっての死/沙漠の葬式/墓標のない墓地/服喪/墓参りはしない
5 詩と踊りの世界
生活のなかの詩/手みやげは詩で/乙女のまつり/不意打ちの詩合戦/停戦の輪舞/「かもしか」と「山羊」の舞踊り
6 水とベドウィン
沙漠の水害/サイルの治水/泉の生死/ひよわな地主/水主と地主の分離/企業農園の出現/労働力構造の変化/人口の流動
7 土地とベドウィン
大理石の争奪戦/土地のなわばり意識/ワクフ/アブドル・ワッハーブの古証文/荒地への執着/天水農業/耕作地の近くには住まない
8 むらのなりたち
居住集団の流動性/むらの定義/むらの誕生/アワド、首長となる/モスク建設/静と動の共存/村齢/定住化への動因
9 日々のイスラーム
五回の祈り/祈りと生活が溶け合う/女の祈り/断食/断食解除の夕べ/生涯かけた巡礼/羊のいけにえ/信仰の告白と喜捨
掘〇┻帳より――移動文化を考える
1 町のアラブと沙漠のアラブ

アラブの原像/蔑視と尊敬/沙漠への憧れ
2 アラブのものの見方
労働について「働く」ことの意味/自己主張について/権威について
3 アラブとのつきあい
アラブの「親切」をめぐって/アラブへの接近/違いを楽しむ

参考文献
あとがき
文庫版へのあとがき

*本書は一九七九年十一月二十日、日本放送協会出版社より刊行された。


≪著者: ≫ 片倉もとこ (かたくら・もとこ) 1937年奈良県生まれ。東京大学大学院地理学博士課程修了。理学博士。現在(刊行当時)、中央大学総合政策学部教授。国立民族学博物館名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授。エジプト、サウディアラビア、シリア、イラン、アラブ首長国連邦などの中東地域、東南アジア、北米、南米、地中海、バルト海、カリブ海沿岸地域などで民俗学的調査を行う。Bedowin Village(東京大学出版会)、『人々のイスラーム』(日本放送出版協会)、『沙漠へ、のびやかに』(筑摩書房)、『イスラームの日常世界』『「移動文化」考』(岩波書店)、『イスラーム世界事典』(明石書店)ほか編著書多数。

イスラームの世界観 「移動文化」を考える (岩波現代文庫,2008/2)

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