Gori ≒ ppdwy632

〈ぼく〉の思索の一回性の偶然性の実験場。

2008年12月

本「地質学者が見た風景」坂幸恭5

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地質学者が見た風景
地質学者が見た風景

○著者: 坂幸恭
○出版: 築地書館 (2008/5,大型本 256ページ)
○価格: 5,880円
○ISBN: 978-4806713685
おすすめ度: 5.0
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地質学者が見た風景のスケッチ 全218点+@、ステキ♪
クロスバイク(TREK 7.3FX)を駆り、デジイチ(Canon EOS 40D)背負って山登り(?!)を好むぼくの愉しみが、視覚(絵心がないのでもっぱらカメラ頼り)の幅が拡がる?!
さすが“築地書館”、その個性が光る秀作♪、お値段(金5,880円)けっしてお安いとは言えないけれど、価格に見合う高い満足度(著者の労力を考えるに納得!)、しかしぼくが図書館で無償貸借により入手していることを黙しているわけにはいくまいが、、、
丁寧な“解説”で、基礎的な知識を身につければ、無知な僕でもわかりやすい、ステキなスケッチ画を、世界地図(P.10-P.11、「スケッチ地点索引地図」)とニラメッコしながら、さながら世界旅行、約46億年の地球の歴史探検♪
“序文”より、
景色とは,地形(地殻表面の起伏),植生と水,それに人間の営み,この3者が織りなす景観です。1つだけが卓越して他の要素が希薄な景観も,3者がほどよく混交している景観もあります。空は重要な舞台装置です。 (P.7)



≪目次: ≫
序文 (2007年12月 坂幸恭
スケッチ地点索引地図
日本地質概略図・地質年代図

解説

機|狼紊陵橡討斑羶
1.固体地球の構成/2.地球の表層
供.泪鵐肇襪涼罎蚤侘が起こっている
1.地球は発熱している/ばらばらに割れている岩石圏――プレート
掘.廛譟璽箸つくられるところ
1.大陸の下では対流が湧き上がってくると…/2.裂けつつあるアフリカ大陸/3.海洋の下で対流が湧き上がってくると…/4.大西洋の臍――アイスランド
検.廛譟璽箸ぶつかるところ
1.マントル対流が沈み込むところ/2.大陸プレート同士が衝突するところ/3.地中海に押し出されているトルコ/4.変転極まりない海と陸の配置
后‖臙呂梁し
1.大地に取り組む彫刻家/2.大地彫刻の技法(重力・氷河・河川・風)/3.‘さざれ石の巌となりて…’

スケッチ
機[けていく大陸――アフリカ大陸
a 東アフリカ大地溝帯

1 グレゴリー・リフトを限る断層崖1/2 グレゴリー・リフトを限る断層崖2/3 雁行するリフトの断層/4 マラウイ・リフトの西側を限る断層崖/5 マラウイ・リフトの東側を限るリビングストーン山脈/6 東アフリカ・リフトバレーの南端――チョロ・リフト/7 チョロ・リフトを流れるシレ川/8 妍を競うリフトの火山1:ロンゴノット火山/9 妍を競うリフトの火山2:ススワ山/10 妍を競うリフトの火山3:メネンガイ山の火口/11 引き裂かれている火山/12 キリマンジャロ/13 キリマンジャロ山頂/14 リフトを彩る湖1:エルメンテイタ湖/15 リフトを彩る湖2:マガディ湖/16 リフトを彩る湖3:ナイバシャ湖/17 マラウイ湖の朝/18 マラウイ湖畔1/19 マラウイ湖畔2/20 マラウイ湖畔3/21 マラウイ湖畔4/22 マラウイ湖畔5/23 マロンベ湖/24 温泉が湧出/25 インド洋に浮かぶ微小大陸――セイシェル,マヘ島
b 大地溝帯の外側
26 ビクトリア湖/27 ビクトリア湖遠望/28 動物の大移動/29 雨季末期/30 マラウイ/ザンビア国境/31 マラウイ/モザンビーク国境/32 花崗岩ドーム――ムボニ丘/33 ムボニ丘頂上/34 ムボニの里/35 ムボニ丘斜面の耕作/36 熱帯で冬枯れ?1/37 熱帯で冬枯れ?2/38 大草原を汽車は行く/39 愛でられることもない景勝/40 ムランジェ山/41 ムランジェ・クレーター/42 バオバブ/43 リビングストニア教会/44 サンゴ礁海岸の貝殻採り/45 浮き橋/46 モンバサ港/47 驟雨/48 ジーザス砦
供ヽ搬腓靴討い訛臉祥痢宗愁▲ぅ好薀鵐
49 プレートの境界/50 溶岩台地を引き裂くギャオ/51 クラプラ火山/52 偽火山/53 溶岩原――エルトブラウン(燃える溶岩)/54 真新しい溶岩流/55 火山噴火で洪水が起こる――ヨクトルラウプ/56 溶岩台地1/57 溶岩台地2/58 溶岩台地3/59 温泉/60 地熱発電のおまけ
掘…戮気譴襯肇襯
61 北上を続けるアラビア半島/62 北アナトリア断層/63 北アナトリア断層の断層線/64 北アナトリア断層のトレンチ調査/65 東アナトリア断層/66 断層がずれてできる盆地1(北アナトリア断層)/67 断層がずれてできる盆地2(北アナトリア断層)/68 断層がずれてできる盆地3(東アナトリア断層)/69 北アナトリア断層直上の民家1/70 北アナトリア断層直上の民家2/71 ネムル−ト巨大墳墓/72 パムッカレ/73 アナトリア高原/74 カッパドキア/75 潅漑/76 アナトリア高原南麓/77 テチス海の名残り1:黒海/78 テチス海の名残り2:ボスポラス海峡/79 テチス海の名残り3:ダールダネス海峡
検‖舂Δ罰ね里龍拘
a 海底変じて陸となる

80 陸上に現れた海洋地殻1/81 陸上に現れた海洋地殻2/82 層状岩脈群/83 ヤイラ火山/84 陸上に現れた海洋地殻3/85 陸上に現れた海洋地殻4/86 石灰岩の山稜1:高床住居/87 石灰岩の山稜2:並走する盆地/88 石灰岩の山稜3:盆地に広がる田園/89 石灰岩の山稜4:谷間の耕作/90 石灰岩の山稜5:ハロン湾/91 石灰岩の山稜6:桂林1/92 石灰岩の山稜7:桂林2/93 鼠返しのある納屋 (アルプス山脈93〜96)/94 ワーレン湖/95 石灰岩アルプス1/96 石灰岩アルプス2 /97 海溝の堆積物――タービダイト1/98 海溝の堆積物――タービダイト2/99 タービダイトの褶曲/100 海底地すべりによる褶曲/101 プランクトンの殻からできた岩石――チャート/102 海洋に堆積した順序1/103 海洋に堆積した順序2/104 変身したサンゴ礁――石灰岩/105 海底地すべり岩塊1/106 海底地すべり岩塊2/107 海底地すべり岩塊3/108 山中地溝帯/109 五ヶ所――安楽島構造線/110 仏像構造線/111 深く沈み込みすぎた付加堆積物
b 火山と地震
112 レーニエ火山/113 磐梯山/114 洞爺湖と昭和新山/115 1977年有珠山噴火の火口/116 1977年有珠山噴火の爪跡/117 2000年有珠山噴火の爪跡/118 爆裂火口/119 キタキツネ/120 層雲峡俯瞰/121 火山泥流/122 兵庫県南部地震――野島断層1:断層察痕/123 兵庫県南部地震――野島断層2:雁行割れ目/124 兵庫県南部地震――野島断層3:ずれた用水路
c 地殻変動の産物
125 古城 (世界の屋根――チベット125〜131)/126 傾斜する地層1/127 傾斜する地層2/128 左右対称的な褶曲/129 倒れ込んでいる褶曲/130 横倒しとなっている褶曲/131 地層の落丁/132 めくり上げられた地層1/133 めくり上げられた地層2/134 地層の段差/135 恐竜が眠る里/136 ライン地溝/137 スコットランドを横断する断層1:ネス湖/138 スコットランドを横断する断層2:ロッカイ湖/139 中央構造線1/140 中央構造線2/141 本州の食い違い痕――諏訪湖/142 地表に現れたマントルの岩石
后‖臙呂梁し
a 重力

143 落石の通り道/144 火山の斜面145 岩盤の崩落/146 崖錐/147 覆道/148 地すべりの置きみやげ
b 氷河
149 氷舌/150 氷冠/151 マッターホルン/152 カール(圏谷)氷河/153 氷河の合流/154 氷河末端/155 氷河末端湖/156 U字谷/157 氷河が研いだ刃――アレート/158 ヨセミテ峡谷/159 フィヨルド/160 浅いフィヨルド/161 氷食谷湖――グラスミア湖/162 終堆石/163 側堆石/164 氷河が引っ掻いた痕/165 氷河の置きみやげ――迷子石/166 氷河がつくった平原/167 融氷河水流/168 融氷河水流の氾濫源(サンドゥル)1/169 融氷河水流の氾濫源(サンドゥル)2
c 雨水
170 花崗岩の風化/171 石灰岩の風化/172 石灰岩の溶食地形――ドリーネ/173 雨水がうがった溝――ガリ1/174 雨水がうがった溝――ガリ2/175 雨水がうがった溝――ガリ3/176 雨水の彫刻1/177 雨水の彫刻2
d 河川
178 グランドキャニオン/179 リトル・コロラド川/180 河岸侵食/181 山間を流れる川/182 モニュメント・バレー/183 流れがつくる砂模様――リップル1/184 メコン川/185 流れがつくる砂模様――リップル2/186 リップルが残した地層/187 イラワジ川の河口/188 網状河道/189 トラバーチンの帯/190 トラバーチンの棚田/191 トラバーチンの積もり方/192 全面結氷も間近のウスリー川
e 海
193 波による研磨/194 ドーバー海崖/195 海食崖と海食洞門/196 馬の背洞門/197 離れ岩/198 砂州と離れ岩/199 海底面転じて高台をなす/200 かつての山稜がなす岬/201 大陸はどこに?
f 風
202 メキシカン・ハット/203 茸岩/204 砂丘/205 砂丘群/206 砂丘からできた地層1/207 砂丘からできた地層2
g 侵食作用の果て
208 欧州大陸東部の分水界――モラビア門/209 浸食作用の果て
h 地形の人工改変
210 鳥形山/211 武甲山1/212 武甲山2/213 採石場跡/214 平原の採石場/215 ボタ山/216 石炭列車/217 締め切り堤防/218 万里の長城

地名・地層名索引


≪著者: ≫ 坂幸恭 (さか ゆきやす) 1939年奈良県生まれ。1961年名古屋大学理学部地球科学科卒業,1965年同大学院理学研究科博士課程を中退。1965年名古屋大学理学部助手。1967年早稲田大学教育学部助手を経て,1979年同教授。2008年同退職。1985〜1997年度日本地質学会評議員。1998,1999年度同副会長。現在,早稲田大学名誉教授,理学博士。著書に,『基礎地質図学』(前野書店),『地質調査と地質図』(朝倉書店),『オックスフォード地球科学辞典』(監訳;朝倉書店),『ヨーロッパの地形(上,下)』(監訳;大明堂),『地球環境システム』(学文社),『地球・環境・資源』(共立出版)など。


天気予報依存症♪




コミック「テラ・ルネッサンス機^貎佑劼箸蠅北ね茲鯀呂詢呂ある (『心を育てる』感動コミック VOL.3)」田原実 作、西原大太郎 画5

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テラ・ルネッサンス 一人ひとりに未来を創る力がある (『心を育てる』感動コミック VOL.3)
Amazonで購入
書評/



そう、「私たちは、無力ではないのですから。 (P.181-P.182)」
なんらか事(行動)を起こすことが大切で、一所懸命であれば、なんらかの道はひらける!、ぼくは信じて疑わない♪

インフィニティ「感動コミック」第三弾、“本が好き!PJ”経由で献本、御礼!
第一弾第二弾では「愛と感動の美容室『バグジー』」が、第三段の本作では特定非営利活動法人 テラ・ルネッサンス』が採りあげられる、『機戮辰討海箸蓮◆忰供戮あるということかしら?、確かにもう少し詳しく活動内容、その他を知りたくて、ウェブサイトや、理事長“鬼丸昌也”のブログ『代表の独りごと』を見たりしたんだけど、、、

ぼくは理解能力に劣ると自負していて、人の話を聞いてもなかなか一回で理解できた気がしなくて、自分でも口にして反復してみたりして、ときに質問をして、それでも不安を覚えるときがあったりするのは、神経質にすぎるから?!、その理解できない、理解できた気がしない不安から、さらには深い理解を得たい、真意を理解したい、と希求するからこそ、ぼくはなにごとにも(とくに読書に)一所懸命になれるのだから、それはある意味でのぼくの個性。その一所懸命は、一方では思い込みの激しさにもあらわれて、これが的外れなことが少なくない。恥ずかしい思いをすることが少なくなくて、しかしこれもまたぼくの個性。
本書においても、ぶっちゃけた話が第一読では、軽々しく指名献本を受諾してしまったことを後悔(?!)する、「世界の平和を目指すNPO法人って、、、で、なにができるというのか?!、偽善だ!、戦争も貧困もこの世の中からなくならない!」と不快感を抱いて、軽い怒りまで感じたことを隠すことをしない、人間性に問題アリ。しかし困った。これでは書評など書き記せない(苦笑)。頭を冷やして、もう一度ちゃんと読む。まぁ、ぼくの根柢にあるものは、そう簡単には変わりえないのだけれども、表現に配慮が必要であろう。ちなみに、駅前などの街頭で行われる募金等の活動のうち、「あしながおじさん(?!)」の高校生の生の声には、正直なところこみあげてきちゃうものを感じないわけではないんだけれども(実際に金銭的な支援を受けた者の訴え・想いは本気だ)、それでもぼくは自分自身が生き(生活する)ことに精一杯で、そのことを多少悲しく(非人間的であると)感じないこともないのだけれども、それでもぼくは恥ずかしいくらいに経済的な余裕がなくて、そして、世の中には経済的な心配をすることなく生活している人の方が多い現実が絶対的にあって、だからぼくなんかが募金しちゃうと、かえってぼくは不公平感に苛まれて、どうにも気持ち好くなれない。そもそも募金行為は、経済的な余力のある者が、弱者に対して施しを与えるという側面を有するものであろうから、施しを与える者の自己満足(気持ち好さ)が得られることは当然のことであろうし、ときに純真無垢な少年少女が、少ない(少なからぬ?!)お小遣いから募金を拠出するのだって、それはそれで自己満足を得る対価と捉えたら、間違いであろうか?!、ときに赤い羽根募金などは、これ見よがしに赤い羽根を胸にしている紳士淑女を見るに、「わたしは好いこと(募金)をしている素晴らしい人間である」とアピールしているようにしか見えないし、また「もう募金したんだから、これ以上の拠出は勘弁してくれ」と訴えているように見える、と言ったら言いすぎであろうか。しかし、多くの人はそのようには感じないのであろう(と、ぼくはそう理解している)し、そう穿った見方をしてしまうぼくの人間性が疑われることは仕方がないことで、まったく否定も弁解をもする気がない。
しかし、「戦争や貧困がなくならない現実について」、その自説を明快に展開するには、まだまだ理論構成が脆弱にすぎるんだよなぁ、、、

冒頭、「現在 世界には―――、6000万〜7000万個の地雷と、約30万人の子ども兵が存在している (P.7-P.10)」と。
オビには、「ウガンダやコンゴでの元・子ども兵支援や、カンボジアでの地雷除去支援・日本国内での平和啓蒙活動を行っているテラ・ルネッサンス」とある。

そんなわけで、ぼくが啓蒙活動や支援活動に自らがすすんで参画することはないけれど、それらの活動に賛同を表明しないことはない。戦争と貧困の世界からの根絶は、ぼくだって願ってやまない。ただ、ぼくにはそのことに人生の多くの時間を費やすことができない(信じて一所懸命になることができない)、というだけで、それを強く願って、さらには生涯を懸けた行動にうつすことができる者を、ある意味では羨ましく、(その豊かな?!人間性を)妬ましく思っているのかもしれない。

作: 田原 実  1965年広島県広島市生まれ。関東学院大学経済学部経営学科卒業。1992年に株式会社インフィニティ代表取締役に就任。志の確立と実現を通じた企業の経営革新と人財育成に取り組んでいる。

画: 西原 大太郎  1971年広島県広島市生まれ。広島県瀬戸内高等学校卒業。1991年に、第8回月刊ジャンプ少年漫画大賞佳作受賞。2000年に、第46回小学館新人コミック大賞佳作受賞。主な連載作品、『筋肉番付外伝 怪傑! 金剛くん』『劇場版ポケットモンスター 七夜の願い星 ジラーチ』など。

愛と感謝の美容室 バグジー (『心を育てる』感動コミック VOL.2、田原実 作・山上幸二 画、2007/10)』
愛と感謝の美容室 バグジー (『心を育てる』感動コミック VOL.1、田原実 作・山上幸二 画、2007/3)』

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本「嘘つき映画館 シネマほらセット」橋本治5

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嘘つき映画館 シネマほらセット
嘘つき映画館 シネマほらセット

○著者: 橋本治
○出版: 河出書房新社 (2004/3,単行本 253ページ)
○価格: 1,680円
○ISBN: 978-4309016184
おすすめ度: 5.0
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読み始めてすぐに、映画の知識が皆無なことに気がついたけれど、そもそも、ぼくは「なにも知らない♪」から、それを原動力として日々本を読み進める(読み耽る、読み乱す?!)のであり、然るべき時間を費やして読了♪
キッカケは、橋本治と内田樹 (筑摩書房、2008/11)』
ホントに短い一時期、映画館に毎月のように通った時期があった(その理由をいずれ近いうちに明確にして整理して記録したい)んだけど、元来映画を見る習慣がなく、映画作品をその監督や役者が意図する深いところや裏側(のホントに愉しむべきところ、文化的背景などを含めて)まで愉しむには、ぼくには基本的な知識や情報が著しく欠落していて(だから、それを補うべく本を読むことを常とする)、さらには、上映時間とその前後の数時間を費やす意義を見出せないと感じるようになった(本への依存度の上昇)からか、映画への興味を失して久しい。自室で映像を見る習慣も設備もないことも、その一因であろうか?!、そのうちに知識量に自信が抱けるようになった時(果たしていつなんどき来ることやら)、自室で「見たい」と思うものなのかどうなのか(見ておきたい名作がないことはない)。

雑誌『キネマ旬報』一九九八年十月下旬号から二〇〇二年十二月下旬号まで、月に一回のペースでに連載されたコラムの書籍化。
あとがきに、
この四年の間、「どうしてこういう映画ってないのかなァ」と自家中毒的になりながら原稿を書いて、気がついたらろくに映画を見なくなってしまった。VTRの時代はDVDの時代に変わって、VTRはやたらと買っていた私も、DVDは買わなくなった。私にとって、いつの間にか映画は「どうでもいいもの」になってしまったという寂しい結果を迎えたのは、ろくでもないウソばかりついていた報いでしょう。
まァ、私は古い活字の人間なので、それでもかまわないのですが。 (P.253)
と、橋本治はうそぶいてみたりする♪

≪目次: ≫
1 ブロードウェイの弥次喜多娘 1995
2 アメリカン・クイーン 1990
3 マタ=ハリ 1988
4 ジム・キャリーのエデンの東 1998
5 多羅尾伴内 二十四の瞳 1949
6 ロドニー・ピッブスの幸福 1994
7 007/毒蛇の微笑(仮) 1998
8 赤垣源蔵/孤独の晩餐 1999
9 TACKY IN LOVE 1999
10 藤原紀香のエロチカ28号 1999
11 ギャングの花道 1956
12 フューネラル・フラワーズ 1992
13 くノ一忍法帖 1999
14 鉄腕アトム 1991
15 へび 1988
16 巨人の星 1962
17 ハムレット=ジャパン 1999
18 あんみつ姫 2000
19 ブラピの天下の一大事 1999
20 クラリス 2000
21 丹下左膳 2000
22 サイコ5 カンサスの二輪車 1993
23 出撃!! 叶姉妹! 2000
24 TATOO NOIR 2000
25 長江非情 1999
26 バットマン・フォーエヴァー/シークレット・ヴァージョン 1995
27 バトル・ロワイヤルPTA 2001
28 しあわせ道中 オズの魔法使い 1982
29 隠し砦の三悪人 2001
30 笑う用心棒 2001
31 プリンセス・プリンセス 2001
32 さいころコロ助 2001
33 サイコ祭り2 1997〜2000
34 プリンセス・テンホー危機脱出 2001
35 忍法魔界転生 2001
36 絢爛豪華 2001
37 源氏物語 1964
38 浪花の町に雪が降る 2001
39 ウディ・アレンの砂漠の踊り子 2001
40 ガラスの仮面 2002
41 宇野小路家の夏――麗しのタッキー 2002
42 ゴジラ vs 金日成 1978
43 冬のサッカーボール 1967
44 お笑い七福神のニコニコ大合戦 1952
45 御先祖様萬歳 1959
46 秋桜狂詩曲 2002
47 忠臣蔵 2002
48 七人の侍 episode2 野武士の復讐  
あとがき

*本書は『キネマ旬報』一九九八年十月下旬号から二〇〇二年十二月下旬号に連載されたものです。


≪著者: ≫ 橋本治 (はしもと・おさむ) 1948年3月東京生。東京大学文学部国文学科卒。1977年「桃尻娘」で講談社小説現代新人賞佳作。以降、小説・評論・古典の現代語訳・エッセイなど、あらゆるジャンルにおいて執筆活動を行う。2002年『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』で小林秀雄賞受賞。近著に「双調平家物語11」(中央公論新社)、「百人一首 桃尻語訳」(海竜社)、「ひらがな日本美術史5」(新潮社)、「橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻〈1〉仮名手本忠臣蔵」(ポプラ社)など多数。


Mt.Fuji




本「パピエ・マシン 〈上〉 物質と記憶 Jacques DERRIDA, PAPIER MACHINE, Galilée, 2001 (ちくま学芸文庫)」ジャック・デリダ、中山元 訳5

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パピエ・マシン 〈上〉 物質と記憶 Jacques DERRIDA, PAPIER MACHINE, Galilée, 2001 (ちくま学芸文庫)
パピエ・マシン 〈上〉 物質と記憶 Jacques DERRIDA, PAPIER MACHINE, Galilée, 2001 (ちくま学芸文庫)

○著者: ジャック・デリダ中山元
○出版: 筑摩書房 (2005/2,文庫 394ページ)
○価格: 1,470円
○ISBN: 978-4480088895
おすすめ度: 5.0
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〈おそかれはやかれ〉♪
パピエ・マシン。本書のタイトルはこうして、ある〈場〉に、ある比喩に、そして実際には一つの比喩である以上のものに向かう身ぶりを示すのである。
さて「パピエ・マシン」という表現の通例の用法を動かして、その分節に力を加えてみよう。ハイフンを抜かして、二つの語を同じ資格で並べてみよう(パピエとマシン、マシンあるいはパピエのように。この二つの語の片方が残りの語の属性になることも、主語となることもありえないように)。このタイトルは、ある特異な配置を名づけようとするものとなろう。隣接を、隠喩と比喩と換喩の規則の総体を名づけようとするのである。ここで「パピエ」という語は何を言おうとしているのだろうか。「マシン」という語はどんな意味なのだろうか。主語なしで、パピエとマシンを組み合わせた仮説(イポテーズ)、この人工の装置(プロテーズ)は、何を意味するのだろうか。
このタイトルの根拠は、本書に集められた文書の時刻のうちに、「パピエ・マシン」の「思想」とでもいうものを、パピエとマシンのあいだの可視のあるいは不可視のハイフンともいうべき思想を、労苦のうちで、ゆっくりと目覚めさせ、告げ、準備することによってしか明らかにならないだろう。それは思弁的な思想でも、哲学でもなく、理論ですらない。書くこと(エクリチュール)の経験であり、危険にさらされた疎通(フラヤージュ)であり、まさに一連の政治的な身ぶりなのである。本書の核心で、文学的かつ比喩的な複数の審級において、これほどのマシンにおし潰された「サンパピエ」たちの問いが、「わたしたちの誰もがいま存在する場所で、すでに〈サンパピエ〉であること」の問いが、鳴り響いているのが聞こえるはずだ。  (P.010-P.011、「マシンとサンパピエ」)



≪目次: ≫
マシンと「サンパピエ」

物質と記憶
来るべき書物
書物の問題とは/書物(ビブリオン)の名/来るべき図書館/「来るべき書物」の問題/『骰子一擲(とうしいってき)』の深淵/書物の聖性/世界としての書物/四本の逃走線
(この文章は、一九九七年三月二〇日にロジェ・シャルティエとベルナール・スティグレールとともに、フランス国立図書館で開催された討論のはじめに語られた講義のテクストである。)
タイプライターのリボン 有限責任会社
■最後の言葉の前の言葉――告白のアーカイブ
盗みという出来事/マシンと出来事の矛盾/最初のお詫びの言葉/ア・プロポの語用論/オースティンとド・マンの〈お詫び〉/マシンとテクストの出来事/告白の系譜/アウグスティヌスの盗み/ルソーの一六歳の盗み/盗みの常習犯/盗みの真実/『孤独な夢想者の散歩』でのアウグスティヌス/ルソーのマシン/有罪性と無辜の確信/ルソーの棄教/ポール・ド・マンの解釈/改宗の無用性/排除の論理/二つの論拠/夫人の二つの最後の言葉/ルソーの最後の言葉/生涯を決めた年/最後の言葉の終末論
■リボンと名付けられた出来事――力と無力
二つの最後の言葉の違い最後の一つ前の言葉/罪が消えない二つの理由/マシンとマリオネット/二つの仮説/告白と弁解の区別/嘘の不可能性/嘘の可能性/告白の黄昏/テクストの出来事/テクストの出来事の観念の違い/遺産相続と〈置き換え〉の論理/故意の言い落とし/歴史の概念/「もう古くなった」リボン/タイプライターのリボン/マリオンの受胎/スピーチ・アクトの二つの様式/考察の三つの前提/〈わたし〉の裏切り/オースティンによる「遂行的」の語の定義
■「唯一の確実な記念物について」。あるいは物質のない物質性について
近親相姦のような交わり/琥珀のアーカイブ/『告白』の二つの始まり/作品の両義性/赦しと弁解のアポリア/出来事とマシン/ド・マンのお詫び/ド・マンの「誤訳」/ルソーの誓い/挑戦の論理と嘆願の言葉/嘆願の戦略/賭けの論理/ちぎれたページ/遂行的な発話論の限界/二つのお詫びの違い/二つの時間についての仮説/テクストの物質性/テクストの文法/物質のない唯物論/物質性の概念/脅威のモチーフ/切断のモチーフ/精神分析のモチーフ/恣意性のモチーフ/出来事の出来事性/ポール・ド・マンへの挨拶
(このテクストの最初の版は、一九九八年四月二三日にデーヴィスのカリフォルニア大学で、「文化と物質性――新しい千年紀を迎える会議 ポール・ド・マンの『美のイデオロギー』をめぐって、理論、カルチュラル・スタディーズ、マルクス主義的な批判の終焉のあとに、『唯物論的な』思想の軌跡を考える」という会議で行った講演である。(中略)ここに掲載した版は、二〇〇一年一月二二日、二四日、二五日にフランス国立図書館で行った三回の講義のテクストである。)

パピエ・ジャーナル
ワードプロセッサー

機械と手仕事/〈他なる手〉/活人画/コンピュータのわかりにくさ/他なる無意識/出版のリズム/画面の劇場/マシンのドラマトゥルギー/テクスト処理の功罪/プロンプター/外部の消滅/中断の審級/新しいフェティシズム/マシンと権力/テクストの幻想性/マシンと哲学/肉筆のフェティシズム/出版とインターネット
(『ラ・ケンゼーヌ・リテレール』誌の一九九六年八月号に「テクスト処理に関するジャック・デリダとの対話」というタイトルで掲載された。対話の相手であり、テクスト採録者となったのは、ベアトリス・セガンとルイ・セガンである。)
紙かそれともわたしか。ご存じのように…(貧者の贅沢についての新しい考察)
紙のテーマ/紙の構造/媒体(シュポール)の歴史/紙の二面性/紙の無力/紙と線形性/紙とコンピュータ/紙の好機/マジック・メモの装置と紙/マジック・メモの意味/紙と文字圏(グラフオソフエール)/トポロジーのモデル/紙の背景/脱紙化/身分証明書/書物の歴史と文化/紙の亡霊/サンパピエ/紙のノスタルジー/書物のために/紙の憂鬱(スプリーン)
(『カイエ・ド・メディオロジー』第四号「紙の権力」特集号(一九九七年後半)に掲載。インタビュアーはマルク・ギヨームとダニエル・ブーニュー。)

訳者あとがき(二〇〇四年師走 中山元


≪著者: ≫ ジャック・デリダ (Jacques Derrida) 1930-2004年。アルジェリア生まれ。エコール・ノルマル卒業。西洋形而上学のロゴス中心主義の脱構築を企てた哲学者。著書に『声と現象』『グラマトロジーについて』『エクリチュールと差異』『死を与える』ほか多数。

[訳者] 中山元 (なかやま・げん) 1949年生まれ。東京大学教養学部中退。思想家・翻訳家。『フーコー入門』『思想の用語辞典』『〈ぼく〉と世界をつなぐ哲学』『新しい戦争?』などの著書のほか、多数の翻訳書がある。インターネットの哲学サイト『ポリロゴス』を主宰。


Larus canus (Seagull)




本「「人間嫌い」のルール (PHP新書468)」中島義道5

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「人間嫌い」のルール (PHP新書468)
「人間嫌い」のルール (PHP新書468)

○著者: 中島義道
○出版: PHP研究所 (2007/7,新書 200ページ)
○価格: 735円
○ISBN: 978-4569693613
おすすめ度: 4.0
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付箋だらけ♪、前半の論説に少なからぬ違和を感じながらも、そこは最近ぼくが好む“中島義道”先生♪、そもそもが個性を有する人格である人間同士(ぼくの人格が大したことがなかったとしても!?)が、完全な一致を得ることは有り得ない?!、軽い違和感を抱くくらいの方が自然とも。ぼくは理解に劣ると自負しちゃっているから、もう少し読み進めよう、読み込もう♪(ちょっと簡単には書き記し得ない)

≪目次: ≫
はじめに
1 さまざまな人間嫌い

人間嫌いの発生/自他に対する誠実さに過敏な人/誠実さと思いやり/人間嫌いにならない「おとな」/他人に無関心な人/人間嫌いの分類学/社交的人間嫌い/ラ・ロシュフコー/「人間嫌い」という格律/他人に親切にするという格律/人間嫌いを「超えた」人
2 共感ゲームから降りる
感情教育/共感理論/現代の魔女裁判/共感ゲームと誠実さ/共感の押しつけに対抗する/共感と同情/カントの「善意志」/他人との関係における自分が嫌いになる/他人の信念を侵害しない/故郷喪失者
3 ひとりでできる仕事を見つける
人間嫌いに見合った仕事/私はいかにして物書きになったか/私が死ぬということ/「おたく」はなぜ軽蔑されるのか?/フリーターという生き方/ルージン/好きなことを仕事にする辛さ/組織の中で「ひとり」を貫く/「働くかたち」を探り当てた人々
4 他人に何も期待しない
二種類の期待/信頼と誠実さ/信頼による支配/善人の暴力/信頼することは自体善でも悪でもない/他人の評価に振り回されない/他人に無視されることに慣れる/相互扶助から脱する/人は変わる/人間嫌いと社会的成功
5 家族を遠ざける
人間嫌いと結婚/漱石荷風/家族という信仰/虚栄の家/コロンブスの卵/シングルライフ?
6 人間嫌いの共同体
人間嫌いのルール 第1 なるべくひとりでいる訓練をする
人間嫌いのルール 第2 したくないことはなるべくしない
人間嫌いのルール 第3 したいことは徹底的にする
人間嫌いのルール 第4 自分の信念にどこまでも忠実に生きる
人間嫌いのルール 第5 自分の感受性を大切にする
人間嫌いのルール 第6 心にもないことは語らない
人間嫌いのルール 第7 いかに人が困窮していても(頼まれなければ)何もしない
人間嫌いのルール 第8 非人間嫌い(一般人)との「接触事故」を起こさない
人間嫌いのルール 第9 自分を「正しい」と思ってはならない
人間嫌いのルール 第10 いつでも死ぬ準備をしている
おわりに


≪著者: ≫ 中島義道 (なかじま・よしみち) 一九四六年福岡県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了、ウィーン大学基礎総合学部修了。哲学博士。現在、電気通信大学教授。専門は時間論、自我論、コミュニケーション論。おもな著作に『ウィーン愛憎』『続・ウィーン愛憎』(以上、中公新書)、『孤独について』(文春新書)『悪について』(岩波新書)、『「時間」を哲学する』『カントの人間学』(以上、講談社現代新書)、『哲学の道場』(ちくま新書)、『うるさい日本の私』『私の嫌いな10の言葉』『働くことがイヤな人のための本』『カイン』(以上、新潮文庫)、『ひとを〈嫌う〉ということ』『怒る技術』(以上、角川文庫)、『哲学の教科書』(講談社学術文庫)、『「私」の秘密』(講談社選書メチエ)、『醜い日本の私』(新潮選書)、『後悔と自責の哲学』(河出書房新書)、『哲学者というならず者がいる』(新潮社)、『〈対話〉のない社会』『不幸論』(以上、PHP新書)などが多数ある。


カマキリ




本「先生はえらい (ちくまプリマー新書002)」内田樹5

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先生はえらい (ちくまプリマー新書002)
先生はえらい (ちくまプリマー新書002)

○著者: 内田樹
○出版: 筑摩書房 (2005/1,新書 175ページ)
○価格: 798円
○ISBN: 978-4480687029
おすすめ度: 4.0
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ふふふふ、、、「先生はえらい」!
編集者の方に、「どんなことをいま、いちばん中学生や高校生に伝えたいですか?」と訊ねられました。コーヒーをスプーンでくるくるかき回しながらしばらく考えて、こう答えました。
「『先生はえらい』、かな。」  (P.7、「はじめに」)
ぼくは三十八歳にしておとなになりきれていない子ども♪


≪目次: ≫
はじめに

先生は既製品ではありません
恋愛と学び
教習所とF‐1ドライバー
学びの主体性
なんでも根源的に考える
オチのない話
他我
前未来形で語られる過去
うなぎ
原因と結果
沈黙交易
交換とサッカー
大航海時代とアマゾン・ドットコム
話は最初に戻って
あべこべことば
誤解の幅
誤解のコミュニケーション
聴き手のいないことば
口ごもる文章
誤読する自由
あなたは何を言いたいのですか?
謎の先生
誤解者としてのアイデンティティ
沓を落とす人
先生はえらい


≪著者: ≫ 内田樹 (うちだ・たつる) 1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程(仏文専攻)中退。現在、神戸女学院大学文学部総合文化学科教授。専門はフランス現代思想、映画論、武道論。著書に『「おじさん」的思考』『映画の構造分析』(晶文社)、『ためらいの倫理学』(角川文庫)、『レヴィナスと愛の現象学』(せりか書房)、『子どもは判ってくれない』(洋泉社)、『寝ながら学べる構造主義』(文春新書)、『私の身体は頭がいい』(新曜社)、『街場の現代思想』(NTT出版)、『他者と死者』(海鳥社)ほか多数。

橋本治と内田樹 (筑摩書房、2008/11)』


クルクル回わせ!!




本「ウィーン愛憎 ヨーロッパ精神との格闘 (中公新書956)」中島義道5

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ウィーン愛憎 ヨーロッパ精神との格闘 (中公新書956)
ウィーン愛憎 ヨーロッパ精神との格闘 (中公新書956)

○著者: 中島義道
○出版: 中央公論社 (1990/1,新書 202ページ)
○価格: 756円
○ISBN: 978-4121009562
おすすめ度: 4.5
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愛と憎しみ♪、相反する感情は容易く両立し得る♡
時代は流れて(およそ19年、たかだか19年)、日本の情勢も、ヨーロッパの情勢も、少なからぬ変化を遂げてはいるものの、、、

≪目次: ≫
一、黄昏のウィーン
ウィーンへ/最初の下宿、アウマンプラッツ
二、日本人学校教師として
英語の講師に採用される/あなたは英語ができない!/ヨーロッパ人との喧嘩のしかた/派遣教師と現地採用教師/いきいきした子供たち/父兄たちの過剰な要求/現地採用教師の厳しさ
三、ウィーンの日本人社会
日本人を避ける?/日本人社会の階級性/大森先生との出会い/東大紛争のころ/予備校教師から私費留学へ/戦闘的な日本人/はたして日本人だけが傲慢か?/知的水準発言をめぐって/ヨーロッパ人の高慢と偏見/エーデルワイスの会/真に対等な議論を!
四、ウィーン人とは
言われたら言い返す/精神病にならないために/チャンチュンチョン!/アメリカ人の無作法を咎めない日本人/時速一五キロのタクシー/ウィーンで物を置き忘れると/他人の席に勝手に座る少女たち/マラソン大会に対する冷たい態度/泣き叫ぶ管理人/スマートなアメリカ人家族の対応/ウィーンの住宅地の序列
五、永遠の学生
非能率的な大学事務局/入学に必要なもの/ドイツ語資格試験/入学手続き Immartrikulation/受講手続き Inskription/大学の外で/規則は破るもの?/個人的な理由を訴え続ける/堂々とまちがえる/ラテン語試験の重圧/ラテン語試験場の雰囲気/学位取得に関する数々の幸運/学位論文の完成まで/論文タイプのアルバイトの杜撰さ/プロモツィオーン直前の大混乱/日本の物は好きだが日本人は嫌い?/平衡感覚を麻痺させてはならない/学生たちの傲慢な授業態度/ヤバノロギーの学生たちの学力
六、家主との闘い
頑固な家主たち/この手に二万シリングを!/危険な通訳と悪質な周旋屋/あなたを職権にて即刻逮捕する!/ヨーロッパ人と結婚した日本女性の苦境/ヴェルヘイム・ブッシュ通りの家/鬱積する家主への不満/ウィーンで家を探すには/日本人学校教師住居求む!/不動産屋の紹介によって/シュムット一族との戦闘
七、ウィーンでの結婚
ウィーンで結婚するには/安あがりの披露宴/区役所での結婚式/男女不平等の原則/流産の経験/胎動

あとがき(一九八九年 初秋 中島義道)


≪著者: ≫ 中島義道 (まかじま・よしみち) 1946年(昭和21年)福岡県に生まれる.1971年東京大学教養学部教養学科卒業.76年東京大学法学部卒業,77年東京大学大学院人文学科学研究科修士課程修了.83年ウィーン大学哲学博士.現在(刊行当時),帝京技術科学大学助教授(哲学専攻).編著『カントの時間構成の理論』(理想社),『現代カント研究 超越論的哲学とはなにか』(理想社)


夕刻・・・




本「記憶に残っていること (新潮クレスト・ブックス 短篇小説ベスト・コレクション)」堀江敏幸 編5

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記憶に残っていること (新潮クレスト・ブックス 短篇小説ベスト・コレクション)
記憶に残っていること (新潮クレスト・ブックス 短篇小説ベスト・コレクション)

○編者: 堀江敏幸
○出版: 新潮社 (2008/8,単行本 254ページ)
○価格: 1,995円
○ISBN: 978-4105900700
おすすめ度: 5.0
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新潮クレスト・ブックス創刊10周年特別企画】アンソロジー
The Best Short Stories from Shincho Crest Books
 edited by Horie Toshiyuki

≪目次: ≫
マッサージ療法士ロマン・バーマン/デイヴィッド・ベズモーズギス
 Roman Berman, Massage Therapist/David Bezmozgis (1973- )
 (『ナターシャ』より、小竹由美子 訳)
もつれた糸/アンソニー・ドーア
 A Tangle by the Rapid River/Anthony Doerr (1973- )
 (『シェル・コレクター』より、岩本正恵 訳)
エルクの言葉/エリザベス・ギルバート
 Elk Talk/Elizabeth Gilbert (1969- )
 (『巡礼者』より、岩本正恵 訳)
献身的な愛/アダム・ヘイズリット
 Devotion/Adam Haslett (1970- )
 (『あなたはひとりぼっちじゃない』より、古屋美登里 訳)
ピルザダさんが食事に来たころジュンパ・ラヒリ
 When Mr. Pirzada came to Dine/Jhumpa Lahiri (1967- )
 (『停電の夜に』より、小川高義 訳)
あまりもの/イーユン・リー
 Extra/Yiyun Li (1972- )
 (『千年の祈り』より、篠森ゆりこ 訳)
/アリステア・マクラウド
 Island/Alistair MacLeod (1936- )
 (『冬の犬』より、中野恵津子 訳)
記憶に残っていること/アリス・マンロー
 What is Remembered/Alice Munro (1931- )
 (『イラクサ』より、小竹由美子 訳)
息子ベルンハルト・シュリンク
 Der Sohn/Bernhard Schlink (1944- )
 (『逃げていく愛』より、松永美穂 訳)
死者とともにウィリアム・トレヴァー
 Sitting with the Dead/William Trevor (1928- )
 (『密会』より、中野恵津子 訳)

人はなにかを失わずになにかを得ることはできない堀江敏幸(二〇〇八年七月)


≪編者: ≫ 堀江敏幸 1964年、岐阜県生まれ。早稲田大学教授。1999年『おぱらばん』で三島由紀夫賞を、2001年「熊の敷石」で芥川賞を、2003年「スタンス・ドット」で川端康成文学賞を、2004年、同作収録の『雪沼とその周辺』で谷崎潤一郎賞、木山捷平文学賞を、2006年『河岸忘日抄』で読売文学賞を受賞。著書に『郊外へ』『いつか王子駅で』『めぐらし屋』『バン・マリーへの手紙』『アイロンと朝の詩人―回送電車III―』など。訳書にジャック・レダ『パリの廃墟』、パトリック・モディアノ『八月の日曜日』、フィリップ・ソレルス『神秘のモーツァルト』ほか。


玉ボケ♪




本「生きにくい・・・ 私は哲学病。 (角川文庫)」中島義道5

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生きにくい・・・ 私は哲学病。 (角川文庫)
生きにくい・・・ 私は哲学病。 (角川文庫)

○著者: 中島義道
○出版: 角川書店 (2004/12,文庫 227ページ)
○価格: 500円
○ISBN: 978-4043496037
おすすめ度: 4.0
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そろそろ二〇〇八年も終わるのかしら(12月24日)、そう考えて気が付いた、忘年会なるものに一度も参加することなく終われる幸福♪、ぼくにはアルコールの力を借りてストレスを解消する意義を見出すことができない(呑んでしまったら本が読めない)し、さらには、吞みニュケーション(飲み会)の有用性に否定的(完全に否定することはできないが、どうあっても有用性を見出しえない)でもある。不景気バンザイ♪(とばかりも言ってられない現実はさておいて・・・)
少し前に、しばらく考え続けていたことがあって、だからなんなんだ!?、ってことなんだろうけれど、「ぼくは間違ってないけど、だからといって正しくない」って。それなりに(たかだか38年だけど)人生の経験を経て、さらには世の中から距離を置いた(隔絶した位置に在って)客観的な判断から、ぼくの言説が間違っていないとの確信を得ている(と自負している)のだけれども、世間に一般の大多数の、いわゆる世論というのか、無難な当たり障りのない一般論からすると、きっと違和感を覚える(人の方が多い)んだろうなぁ、、、などと考えることがあって、そう考えるに、語るべきか語らざるべきか熟慮したうえで、状況に応じて、自己責任において、過激に発言を重ねた時期があって、、、、(かつてそうであった時期があった、と口外している時点で、すでに現時点においては、その時点とは異なる現実が明確なわけで、そに時点においての自己責任における言説には、何の後悔をも残していない!?、が)今は黙する、、、
「哲学病」と言うとみんな笑うが、じつは恐ろしい病気なのである。「ほんとうのこと」が見えてしまう病気なのだから。いや、正確に言い直せば「ほんとうのこと」に至る道が微かに見え、そしてその道をたどってもけっして終点に行き着かないことが見えてしまう病気なのだから。  (P.121、「大森荘蔵と漱石」)
世の中は、口先だけで真実は大事だと語る。幸福にもなりたいと願う。そして、幸福が保証される限りで真実を求める。カントは、それは虫がよすぎると断罪するのだ。真実こそが第一の価値でなければならない。その結果すべての人が不幸になろうとも、真実を目指すことは、それほど危険なことなのだ。だから価値あることなのだ。
哲学に目覚めるとは、真実が幸福よりも絶対的に優先することを学ぶことである。人を傷つけても身の危険があっても。なぜなら、それが真実だから。  (P.192、「普通人たちへ」)

表紙絵「若い従弟」アメデオ・モディリアーニ、今春(2008年3月26日〜6月9日)、国立新美術館(六本木)『モディリアーニ展 Modigliani et le Primitivisme』が開催されて(結局、足を運ぶことはなかった)、橋本治・宮下規久朗 共著『モディリアーニと恋人モディリアーニの恋人(とんぼの本、新潮社、2008/3)』が刊行されて、、、瞳を描かなかった(描くことができなかった?!)画家♪

≪目次: ≫
1 哲学童話
イマヌエルちゃん/この童話を読んでもわからない(ニブイ)人のための解説
2 神経症的時間論
みんな死んでしまった(ル・クレジオ『愛する大地』)/時間という知恵の木の実/「時の流れ」という錯覚/「待つ」ということ/未来は存在しない/異邦人論/「死」を突き抜けて/ミレニアム騒ぎの虚しさ
3 哲学者と文学者
三島由紀夫が自決した日の思い出/非哲学的な卓越した知性/大森荘蔵漱石/なぜ女の哲学者はいないのか
4 生きにくさをかみしめる
個人語・世間語・機械語/騒音倫理学の可能性/京の音環境/合理性の病/管理標語社会/情報の洪水から身を守る/普通人たちへ
5 哲学病的読書案内
神を離れた個人の尊厳とは(フロム『自由からの逃走』、カミュ『異邦人』、フランクル『夜と霧』)/理不尽を生き抜くために(『ソクラテスの弁明』、パスカルパンセ』、ヒルティー『眠られぬ夜のために』) 孤独であった私(中島義道『人生を〈半分〉降りる』『孤独について』)

あとがき(二〇〇一年四月九日 中島義道
解説(香山リカ
初出一覧

*本書は、二〇〇一年七月に小社より刊行された単行本を文庫化したものです。


≪著者: ≫ 中島義道 (なかじま よしみち) 一九四六年、福岡県生まれ。東大教養学部並びに東大法学部を卒業。一九七七年、東大人文科学大学院修士課程修了。一九八三年、ウィーン大学哲学科修了。哲学博士。電気通信大学教授。専攻は時間論、自我論、コミュニケーション論。著書に『うるさい日本の私』『孤独について』『哲学の教科書』『人生を〈半分〉降りる』『愛という試練』『ウィーン愛憎』(正・続)などがある。

悪について (岩波新書、2005/2)」
「私」の秘密 哲学的自我論への誘い (講談社選書メチエ、2002/11)」
孤独について 生きるのが困難な人々へ (文春新書、1998/10)

Tokyo Tower




本「橋本治と内田樹」橋本治、内田樹5

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橋本治と内田樹
橋本治と内田樹

○著者: 橋本治内田樹
○出版: 筑摩書房 (2008/11,単行本 334ページ)
○価格: 1,890円
○ISBN: 978-4480814982
おすすめ度: 5.0
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ますます好きになっちゃう“橋本治”♡
すでに三年以上前の二〇〇四年の冬と二〇〇五年の春の二回に分けて、神田の山の上ホテルで行われた対談の書籍化。“あとがき”で橋本治も思わずもらす、「なぜ三年以上の歳月を要するのか?」。確かに歳月の経過を感じさせる出来事(記述)は少なくない。「小林秀雄の恵み」が刊行されたのはすでに一年前(2007年12月)のこと。それでも、賞味期限切れ(?!)なんて心配は一切無用。対談者同士、オリジナルに確立されたパーソナリティが歴然と違うから、互いに相容れないものであることを絶対的な前提(互いに相容れる必要さえも感じない)として展開される、そこはある意味“大人”の対談、聞き上手を掲げる“内田樹”は、さすがに橋本治が「対談してもいいかなかぁ」と重い腰を上げた(左肩が反応した?!)だけあって、橋本治を大いに語らせる♪、ところが、その語られる言葉を、そのまま鵜呑みにはできないよね。そこは商売人と芸者の血を引く“橋本治”、表と裏が歴然と存在していて、綺麗ごとだけでは片付かなくって、しっかり演じて、キッチリ商売をしていかなくちゃ!?、と考えるのかどうかは別にしたとしても、ハレの部分や祝祭を大衆が欲していて、そこに何らかの需要がある!、って、本能的に反応するのかしら?!、幸福だよん♪


≪目次: ≫
まえがき (二〇〇八年六月 内田樹

#1 くだらないことに命懸けるところあるんですよね。
東大入試中止、前と後/いま自分が子供や高校生だったら、つらすぎる/小説は何かが足りないから佳作だった/処女作は戯曲/橋本さんは「パブリックの人」/まず承認から入る人間関係/『桃尻娘』秘話――「……。」というセリフ/純文学と中間小説/くだらないことに命を懸ける/絵は心理を描く。小説は立体的な絵
#2 うっかりするとね、「美しい」の上に「とても幸福だ」があるんですよ。それはあえてやってる。
五〇年代の原風景――六〇年代が前近代との断裂線/人工的な都市環境で残る自然は身体だけ――野つぼの恐怖/小津映画の既視感、平安時代のバーチャルな一体感/中村伸郎の息――観客や読者がリアリティーを感じる瞬間/自然すぎて訳せない/テクニックは芸人の本能みたいなもの/「、」と「……。」のタメ/本願寺桂離宮の職人の遊び心/「ああ気持ちいい!」という子どものころの原体験/共同体には呼ばれないと参加できない/「不幸」を凝視して抱え込まない限り……
#3 メルロ・ポンティは知らないけど、カルロ・ポンティなら知ってる。
頭と手で考えることを分業している/日本では貧しい職業が隠蔽されているからフリーターにリアルが見えない/勉強は本来楽しいはずのもの――学校以外のフィールドでの勉強/学校じゃないところにも教育がある/先生はえらい/期間限定で「民主主義」が輝いていた/一対一で教授から言われた「たしかな目を持っていますね」/ヤな奴は小説の主人公にならない
#4 議論とか論争がわかんないんですよ。闘犬や闘牛をはたで見てるようなもんじゃないかっていう……。
小林秀雄賞――「お話」と「評論」/伝説のおばさん/橋本家は大家族/森進一の発声は義太夫の直系/自分を存在させない代わりに本を存在させる/四十一歳でおやじキャラ挫折とベルサーチ七百万円/いきなり“YES”

#5 「本を読むときに眼鏡をかけると、なんかインテリになったみたいな気がして」「先生、それ中学生ですよ(笑)」
禁煙ファシズム/年寄りになるのは素敵/若いうちはカミソリ、老熟してナタで彫刻をする/人に会うと仕事をさせられる/社会の壁/「参考にする」がなくなってから人は本を読まなくなった
#6 「あっ、君の中にすばらしい“バカ”があるね」と言って、ピンとくる人ってどれだけいる?
共有されたピンクレディーと、所有された宇多田ヒカル/橋本流「タイトル論」/「セーターの本」で写生文の練習/人は死んだあとじゃないと論じられない/抽象概念がわからない/メカニズムがわからないから、自動車も乗らない/自分がわからない(内田)×他人がわからない(橋本)/独り言もダイアローグ/他人がわからないから他人が書ける/引き算の人物造形/お洒落とは自分を消すこと。若者は自分がないからお洒落が上手/自分の中にすばらしい“バカ”がある
#7 人間の話は全部講談だから、講談が扱ってないことに関して、日本人は何も知らないんですよ。
泰平の世の共和主義/国家は家。歴史はホームドラマ/『桃尻語訳 枕草子』は、完璧に逐語訳/パブリックとは仕事を分担すること/「ここに光り輝く太陽がある」と仮定する体力/日本人はいい方向にも付和雷同する/裏地に凝る美意識がなくなった/エスタブリッシュメントは武器にもなる/キャラクターグッズという俗物信仰
#8 光源氏がセクハラ親父になって孤立していくあたりが、すごく哀しくてね……。
「橋本治」と「内田樹」の違い/橋本治的本の読み方/『源氏物語』はおじさんこそ今読むべき/なにもかも大衆化/テレビに出るということ/ブログ一日七千ヒット、文芸誌月三千部/全員参加型の社会
#9 竹垣の向こうに人が住んでるから、秋になると秋刀魚をくれるんですよ。
なぜ子どもたちは叱られても謝らなくなったか/掃除をする身体/可愛げのない奴/本なんて読まないほうがいい?/活字で変なことをやるやる場がなくなってきた/「私の最大の破壊は建設である」/距離がないと関係は深まらない
#10 ちゃんとした紹介が、最大の批評だと思うんです。
芸談が絶えた/三島由紀夫の描写はなぜすごいか/ギュッとわしづかみにした文体/ちゃんとした紹介が最大の批評/「あらすじ」論/役者の顔まで見えてくる鶴屋南北の当て書き/音と絵を感じないものはダメ/ストックとは体で覚えたもの
#11 アメリカの不幸は土地の神様がいないこと。ジャパニーズ・ホラーで「祟りなす神」まで輸入している。
日本人はなぜ平気で「神仏混淆」できるのか/アメリカの不幸は「土地の神様」がいないこと/グローバリゼーションと、アメリカと中国の崩壊/こんなものにまで実用性を求めるのか!

あとがき (橋本治


≪著者: ≫ 橋本治 (はしもと・おさむ) 一九四八年東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説、戯曲、舞台演出、評論、古典の現代語訳ほか、ジャンルを超えて活躍。著書に『桃尻娘』(小説現代新人賞佳作)、『宗教なんかこわくない!』(新潮学芸賞)、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『蝶のゆくえ』(柴田錬三郎賞)、『双調 平家物語』(毎日出版文化賞)、『窯変 源氏物語』、『ひらがな日本美術史』、『』、『人はなぜ「美しい」がわかるのか』、『ちゃんと話すための敬語の本』ほか多数。

≪著者: ≫ 内田樹 (うちだ・たつる) 一九五〇年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。神戸女学院大学文学部教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論。多田塾甲南合気会師範。著書に『ためらいの倫理学』、『他者と死者』、『レヴィナスと愛の現象学』、『街場の中国論』、『村上春樹にご用心』、『下流志向』、『先生はえらい』、『私家版 ユダヤ文化論』(第六回小林秀雄賞)ほか。訳書に『困難な自由――ユダヤ教についての試論』(E・レヴィナス)など。


Cosmos bipinnatus




本「世界初!マグロ完全養殖  波乱に富んだ32年の軌跡 (DOJIN選書021)」林宏樹5

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世界初!マグロ完全養殖  波乱に富んだ32年の軌跡 (DOJIN選書021)
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書評/サイエンス



魚飼い“熊井英水”♪、近畿大学水産研究所元所長。
マグロの興味深い生態として、生まれてから死ぬまで泳ぎ続けなければならない宿命がある。
ふつう魚は、えらを動かして水を取り込むことによって呼吸を行う。ところが、マグロにはえらを動かす能力がないのだ。そのため口をあけて泳ぎ続けることでしか呼吸のための酸素を取り込むことができない。休息時も、口をあけて泳がなければ窒息してしまう。  (P.20)

じつは最近、にわかに地中海に着目している(と、意識している時点で、関連するさまざまな知識を欲しているのであり、現段階においては何も知りえない)ぼくは、クロマグロに、太平洋クロマグロ(本書においては当然にこちらが採用されている)と、大西洋クロマグロが別種(交流がない)として存在していて、大西洋クロマグロの産卵海域が、メキシコ湾と地中海(マジョルカ島からシチリア島)との解説に、「さすが地中海♡、なんだかわからないけど、スゴイ!?」♪

本が好き!PJ”経由の献本が“化学同人”からあったけど、この“DOJIN選書シリーズ”は大人気(高倍率)だから、自腹(といっても図書館で無償貸借)で読んじゃうぼくは、万が一にも当選しちゃったら他のメンバーが手にする機会を奪うことになってしまう(あぁ〜おこがましい)から、あえて応募することなく、我が道を行く♪
献本を受けていないことをいいことに、「魚飼い“熊井英水”のナマ(直接)の言葉で読みたかった」などと口外したら、そりゃワガママかしら??!

≪目次: ≫ 
挑戦のはじまり〜まえがきにかえて
国家プロジェクト/昭和四五年という時代
第1章 クロマグロ養殖に向いた魚か
一生泳ぎ続けるクロマグロ/クロマグロはどこにいるのか/クロマグロの漁法/日本で生まれた延縄漁/畜養の欠点を解決する完全養殖
第2章 魚飼いの精神――近畿大学水産研究所
海を耕す/海への憧れ/運命のいたずら/ハマチを売って研究費を稼ぐ/家魚化をめざして――新たな挑戦
第3章 ヨコワ捕獲作戦
水産庁「マグロ類養殖技術開発企業化試験」/第一の壁――ヨコワの活け獲り/第二の壁 ――捕獲したヨコワの全滅/困難の克服 一度は諦めたケンケン釣りに活路
第4章 はじめての産卵からの長い道程
挑戦から一〇年、はじめての産卵/空白の一一年と指揮官の死/強まるクロマグロに対する規制/「不可能を可能にするのが研究」/待ちに待った産卵再開/ようやくたどり着いた、 はじめての沖出し/突然の停電が問題解決の糸口に/一尾でも多くの成魚を育てるために
第5章 三二年目の偉業
世界初の完全養殖/世界的研究拠点として/はじめての出荷と市場での評価/クロマグロの安全性/魚で起業する――養殖のノウハウの販売も視野に
第6章 完全養殖のめざすもの
安定した産卵/衝突死やパニック行動を抑える技術/「家魚化」に向けて/成長を早めるための「選抜育種」/人工飼料開発の必要性/完全養殖による種苗用稚魚の出荷が開始/生簀の中のクロマグロ/輸入に頼るクロマグロの消費/世界的なマグロ消費の増加が意味すること/最終目標は天然資源の保護
終章 完全養殖を支えたもの
忍耐/観察眼/愛情/「私学」であることの誇りと反骨精神/学会からの各賞贈呈/教育者としての一面/四七歳での学位取得/マグロと熊井の隠れた関係

おもな参考資料
あとがき(平成二〇年一〇月吉日 林宏樹)


≪著者: ≫ 林 宏樹 (はやし ひろき) 1969年京都生まれ。同志社大学商学部卒業。大手食品メーカーに5年間勤務後、東京農業大学農学部農芸化学科入学。同卒業後、同大学院博士前期課程中退。現在、フリーランスライターとして、関西を中心に書籍、雑誌、広告と広く活動。著書に、『京都極楽銭湯案内』(淡交社)、『京の銭湯 本日あります』(コトコト)、共著に『京都の近代化遺跡』(淡交社)などがある。


Boat





『ヒト』の興味深い生態として、生まれてから死ぬまで『考え』続けなければならない宿命がある!?

本「メルロ=ポンティ・コレクション (ちくま学芸文庫)」モーリス・メルロ=ポンティ、中山元 編訳5

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本「メルロ=ポンティ・コレクション」中山元
メルロ=ポンティ・コレクション (ちくま学芸文庫)

○著者: モーリス・メルロ=ポンティ中山元 編訳
○出版: 筑摩書房 (1999/3,文庫 305ページ)
○価格: 998円
○ISBN: 978-4480084682
おすすめ度: 4.0
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・・・哲学の問い掛けとは、ある意味を探すこと、欠けていた意味をただ待っているようなものではない。「世界とは何か」という問い、あるいはむしろ「存在とは何か」という問いが哲学の問いとなるのは、ある種の〈複視〉によってである。この〈複視〉としての問いは、事実の状態を目指すとともに、問いそのものに向かう問いであり、「存在」の意味とともに、意味の存在、「存在」における意味の場所を問う問いである。自らに立ち戻り、問うというのはどういうことか、答えるというのはどういうことかと問うこと、これが哲学の問いというものである。この自乗された問いは、一度問われた後では、取り消すことはできない。何ものも、この問いがなかったかのように振る舞うことはできないだろう。問いを忘却すること、措定されたものに回帰することが可能であるのは、欠如している意味についての問い掛けである場合、それ自体が何ものでもない無のうちに後退する問い掛けである場合だろう。しかし問い掛ける者は、何ものでもないものではない。問い掛ける者は、まったく別のもの、自らに問う者である。問い掛ける者のもつ否定的なものは、存在の下部構造に支えられているのであり、考慮しなくてもよい無のようなものではない。・・・  (P.096-P.097、「問い掛けと直観」)


≪目次: ≫
言語について
●表現としての身体と言葉
(『知覚の現象学』から)Phénoménologie de la perception, Gallimard, Collection TEL, pp. 203-232.
失語症における経験主義と主知主義――どちらも十分な説明ではない/言語は意味をもつ/言語は思考を前提するのではなく、これを実現する/言葉の中の思考/思考は表現である/身振りの了解/言語的な身振り――自然な記号というもの、規約だけに基づいた記号というものはない/言語における超越性/失語症の現代理論による検証/言語と世界における表現の奇蹟/身体とデカルトの分析
●言葉の問題(『コレージュ・ド・フランス講義要録』から)Résumés de cours, Gallimard, Collection TEL, pp. 33-42.

身体について
●問い掛けと直観
(『見えるものと見えないもの』から)Le visible et l'invisible, Gallimard, Collection TEL, pp.142-171.
●絡み合い――キアスム(『見えるものと見えないもの』から)Le visible et l'invisible, Gallimard, Collection TEL, pp.172-204.

自然について
●自然の概念
(『コレージュ・ド・フランス講義要録』から)Résumés de cours, Gallimard, Collection TEL, pp. 91-121.
わたしたちの自然の概念の諸要素/ 現代科学と自然の新しい概念の指標

政治と歴史について
●プロレタリアから人民委員へ
(『ヒューマニズムとテロル』から)Humanisme et terreur, Gallimard, Collection TEL, pp. 91-121.
●歴史の理論のための資料(『コレージュ・ド・フランス講義要録』から)Résumés de cours, Gallimard, Collection TEL, pp. 43-56.
●個人の歴史と公共の歴史における「制度」(『コレージュ・ド・フランス講義要録』から)Résumés de cours, Gallimard, Collection TEL, pp. 59-65.

芸術について
セザンヌの疑い
(『意味と無意味』から)Sens et non-sens, Gallimard, pp. 13-33.


メルロ=ポンティの〈身体〉の思想……中山元
言葉という〈身体〉/歴史としての〈身体〉/〈身体〉を描く芸術/自然と〈身体〉/〈肉〉の思想
凡例
読書案内――訳者あとがきに代えて


≪著者: ≫ モーリス・メルロ=ポンティ Maurice Merleau-Ponty 1908年生まれ。フランスの哲学者。1945年、サルトルらと「レ・タン・モデルヌ」刊行。後期のフッサールとハイデガーの思想を引き継ぎながら、人間の行動、身体、歴史、芸術などについて深い洞察を示した。『行動の構造』『知覚の現象学』『見えるものと見えないもの』など著書多数。1961年急逝。

[編訳] 中山元 (なかやま・げん) 1949年生まれ。思想家、翻訳家。著書に『フーコー入門』など。訳書に『自我論集』『エロス論集』、フーコー『精神疾患とパーソナリティ』などがある。


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本「歴史哲学講義 〈下〉 VORLESUNGEN ÜBER DIE PHILOSOPHIE DER GESCHICHTE , G.W.F.Hegel (ワイド版岩波文庫226)」ヘーゲル、長谷川宏 訳5

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歴史哲学講義 (下) (ワイド版岩波文庫 (226))
歴史哲学講義 〈下〉 VORLESUNGEN ÜBER DIE PHILOSOPHIE DER GESCHICHTE , G.W.F.Hegel (ワイド版岩波文庫226)

○著者: ヘーゲル長谷川宏
○出版: 岩波書店 (2003/5,文庫 381ページ)
○価格: 1,365円 (品切重版未定)
○ISBN: 978-4000072267
おすすめ度: 5.0
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ヘーゲルはベルリン大学で「世界史の哲学」と題する半年単位の講義を、計五回おこなっている。いずれも冬学期(十月下旬開講・三月下旬閉講)の講義で、一八二二―二三年、二四―二五年、二六―二七年、二八―二九年、三〇―三一年の五回である。
この講義はヘーゲルの生前は活字になることがなく、ヘーゲルの死後、弟子のE・ガンスがヘーゲル自身の草稿と聴講者のノートをもとに編集した『歴史哲学講座』がまず一八三七年に出版され、三年後の一八四〇年、ガンス版を改訂増補した第二版が息子K・ヘーゲルの編集のもとに出版された。本書の底本としたグロックナー版ヘーゲル全集第十一巻は、K・ヘーゲル編集の第二版をそのまま採用している。  (P.375、「解説」)



≪目次: ≫
第二部 ギリシャ世界
第一篇 ギリシャ精神の諸要素
第二篇 美しき個人の形成

第一章 主観的芸術作品
第二章 客観的芸術作品
第三章 政治的芸術作品
第三篇 外交の時代
第一章 ペルシャ戦争
第二章 アテネ
第三章 スパルタ
第四章 ペロポネソス戦争
第五章 マケドニア王国
第四篇 ギリシャ精神の没落

第三部 ローマ世界
第一篇 第二回ポエニ戦争以前のローマ

第一章 ローマ精神の諸要素
第二章 第二回ポエニ戦争以前のローマ史
第二篇 第二回ポエニ戦争から帝制成立までのローマ
第三篇 帝制の時代

第一章 帝制期のローマ
第二章 キリスト教
第三章 東ローマ帝国

第四部 ゲルマン世界
第一篇 キリスト教=ゲルマン世界の諸要素

第一章 民族大移動
第二章 イスラム教
第三章 カール大帝フランク王国
第二篇 中世
第一章 封建制と位階組織
第二章 十字軍の遠征
第三章 封建支配から君主制
第四章 中世のおわりを告げる芸術と学問
第三篇 近代
第一章 宗教改革
第二章 宗教改革が国家形成におよぼした影響
第三章 啓蒙思想フランス革命

解説 (一九九四年六月十三日 長谷川宏


歴史哲学講義 〈上〉 (ワイド版岩波文庫225、ヘーゲル 著、長谷川宏 訳、2003/5)
芸術の体系 (光文社古典新訳文庫、アラン・ポー 著、長谷川宏 訳、2008/1)』

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本「孤独について 生きるのが困難な人々へ (文春新書005)」中島義道5

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孤独について 生きるのが困難な人々へ (文春新書005)
孤独について 生きるのが困難な人々へ (文春新書005)

○著者: 中島義道
○出版: 文藝春秋 (1998/10,新書 198ページ)
○価格: 693ページ
○ISB: 978-4166600052
おすすめ度: 3.5
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「『パパは人間嫌いだから』ってママが言っていた・・・」と娘(12歳、別居中)に言われたのは、この前の日曜日に久しぶりに会ったとき、なんのキッカケがあったかを思い出すことができないし、またその意義を見出せないので思い出す努力をすることはしないのではあるが、確かにその通り「ぼくは人間嫌い」であり、もっと言えば「自分が嫌い」でもあるのだから、反論の余地が一切ない。力なくハハハハハァと笑ってごまかすのが精一杯で、きっと顔は少なからずひきつっていただろうなぁ、、、
他者と相対することを苦手として、どうにもうまく立ち回ることができなくなることが少なくない。最近ではますますその傾向が強くなってきていて、独りで居ることに安心感を覚える。本来的には、依存心が強く、自立が果たされていない幼稚な部分があるから、独りで居ることに覚える不安感を否定しない。ところが、依存心が強すぎるがゆえに、独占欲(?!)に駆られて、適度な距離感を保つことができなくて、結果的にぼくは自らが抱く相手に対する不快感を、自らがコントロールすることができなくなって、ぼくの攻撃的な本能が過剰に反応して、相手に不快な思いをさせてしまう。そんな自らに対する自己嫌悪が生じて、悪循環。ぼくは、誰にも不快な思いをさせたくないし、ましてやきずつけたくない、そんな相手の姿を見るのも苦痛だ。あらそいは避けたい。そう考えるに、究極的には、ぼくの存在なんか、この世の中からなくすしかないんじゃないか?!、とも。
だから、とりあえずのところ、他者との関わりを積極的に意識して断つことによってしか、ぼくの言動に起因して、相手に不快感を抱かせたり、きずつけてしまう心配を払拭することができない。そうして、他者と距離をおいて独りで居ることによって覚える安心感を抱くようになってからは、ますます独りの心地好さ、気楽さに耽る♪
できることならば、仕事だってしたくない、会社になんて行きたくない。自室から外に出れば、どうしたって他者との関わりを完全に断つことは不可能で、たとえヘッドフォンをして他者の会話を閉ざして、本を読み耽って顔をあげずにいたとしても、絶対的に他者の存在を感じないことはない。
だからと言って、この世の中や、自らが生きることを否定するものでもなく、「捨てたもんじゃない♪」でしょ?!


≪目次: ≫
序章 孤独に生きたい
他人を警戒する/小さなうめき声をあげている人々/孤独になる技術/運命愛
第1章 ずっと孤独だった
封建的な父母の家/父、カリフォルニアで生まれる/七歳までに五度の引っ越し/川崎と世田谷/東大法学部病/哲学がしたい!/クラスで一人だけ留年する/授業についてゆけない/「美しい敗者」になりたい!/何もしない青春/「風」が吹いてくる
第2章 孤独な少年時代
母の怨念/虚栄の家/死ぬのが怖い!/離人症体験/小便を漏らす/リアルで矮小な悩み/人間恐怖症/カインアベル
第3章 孤独な青年時代
ふたたび留年する/「社会復帰」をめざす/八方塞がり/自殺しようと思う/法学部学士入学/そうだ、ウィーンへ行こう!/背水の陣/日本人学校の英語講師に採用される/東大助手になる
第4章 孤独を選びとる
世間嫌いの完成/Y教授による「いじめ」のはじまり/私は狡い/職がないのはおまえのせいだ!/「きみ、髭を剃ったらどうだ?」/おじきはこうするのだ!/「うちの芝生を刈ってくれないか?」/お金を渡すべきか?/学科長に訴える/そして私は助教授になった/人生を〈半分〉降りる
第5章 孤独を楽しむ
孤独な最近の生活/孤独と結婚/ゆきずりの関係がいい/孤独の実験場/孤独の条件/書くこと/書いて刊行すること/故郷喪失者
終章 孤独に死にたい
あとがき


≪著者: ≫ 中島義道 (なかじま よしみち) 一九四六年、福岡県生まれ。一九七七年、東京大学大学院修士課程修了。一九八三年、ウィーン大学基礎総合科学部哲学科修了、哲学博士。電気通信大学教授。専攻はドイツ哲学、時間論、自我論。著書に『カントの人間学』『時間を哲学する』(講談社現代新書)、『うるさい日本の私』(洋泉社)、『〈対話〉のない社会』(PHP新書)などがある。

悪について (岩波新書、2005/2)」
「私」の秘密 哲学的自我論への誘い (講談社選書メチエ、2002/11)」

ダムダムダムダムダ、、、、、




本「鞦韆 (ぶらんこ) 橋本治短篇小説コレクション (ちくま文庫)」橋本治5

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鞦韆 (ぶらんこ) 橋本治短篇小説コレクション (ちくま文庫)
鞦韆 (ぶらんこ) 橋本治短篇小説コレクション (ちくま文庫)

○著者: 橋本治
○出版: 筑摩書房 (2006/4,文庫 346ページ)
○価格: 924円
○ISBN: 978-4480421937
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ウチなんかだとね、そういう訳でショック療法やっちゃうんですよ。今なんかだと、女性の方は開放的になってますけどね、男の意識は古い。どうもストイックになりすぎるというか、どっかで罪の意識があるんでしょうねェ。私なんかは、管理社会の弊害だと思ってますけども、自由っていうのになれないんですねェ。
自分の肉体を客観的に見るっていうんですかねェ。
だからウチなんか、いきなり縛っちゃう。騙してね。
騙されるってことは重要ですね。
私なんかそう思うなァ。
騙されたっていいじゃないかって、私なんかそう思うなァ。
そういうねェ、肉体が転覆するっていうようなねェ、そういうこと経験しとかないと、どうしても独善的になりますねェ。
そうでしょう?
騙されまい、騙されまいってするからねェ。真面目な人ほどそうなんだ。
ガードが堅くてねェ。
また、そういう人ほど崩れると極端だからねェ。
そうでしょ?

そうなんだなァ。

そうそう。

あなたまだ、半信半疑でしょ?

どうもそうだな。

真面目っていうのはね、自由っていうことに対するイマジネーションの不足ね。
そうそうそう。    (P.260-P.261、「笑」)

自作解説より、
本作の第一作『魔』は、不定期のミニマガジン『綺譚』の一九八一年発行の第四号に掲載された。二作目の『陣』は、翌年五月に発売された『月刊PLAYBOY』の七月号に掲載され、三作目の『媚』は九月になって『告白マガジン11月15日増刊・トゥナイト第二号』に掲載された。白夜書房から『鞦韆 (ぶらんこ)』のタイトルで刊行されたのは一九八八年四月――その際に四作目の『笑』と五作目の『鬼』が書き下ろされた。文庫化されて新潮文庫の一冊になったのは、昭和が終わった後の一九九一年五月である。この履歴を並べても、もしかしたらなんの意味もないかもしれない。こういう並べ方をされると、『鞦韆』が実験的な前衛狙いのものかと誤解されてしまうかもしれない。
(中略)当人は、「ワイセツな言葉が一つもないくせにいやらしい」という、皮膚感覚を狙っていただけで、「前衛」とか「実験的作品」という気はなかった。 (P.335-P.336)


≪目次: ≫


陣・2



一人称のトリック――自作解説/橋本治

*この作品は昭和六十三年四月、白夜書房から刊行され、平成三年五月、新潮文庫に収録された。


≪著者: ≫ 橋本治 (はしもと・おさむ) 1948年3月東京生まれ。東京大学文学部国文科卒業。'77年『桃尻娘』で講談社小説現代新人賞佳作。以後、小説・評論・戯曲・古典の現代語訳・エッセイなど、精力的に執筆活動中。'02年『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』で小林秀雄賞、'05年『蝶のゆくえ』で柴田錬三郎賞を受賞した。著書に『桃尻語訳枕草子』『絵本徒然草』『窯変源氏物語』など。ちくま文庫収録作に『これも男の生きる道』『宗教なんかこわくない!』『これで古典がよくわかる』『二十世紀』(上・下)『大江戸歌舞伎はこんなもの』など。


Dianthus superbus var. longicalycinus




本「ロシア・アヴァンギャルド (岩波新書450)」亀山郁夫5

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ロシア・アヴァンギャルド (岩波新書450)
ロシア・アヴァンギャルド (岩波新書450)

○著者: 亀山郁夫
○出版: 岩波書店 (1996/6,新書 246ページ)
○価格: 650円 (品切重版未定)
○ISBN: 978-4004304500
おすすめ度: 4.0
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ロシア・アヴァンギャルド авангард ♪

≪目次: ≫
序 レーニン廟にて
「聖ゲオルギーの竜退治」/赤の広場で/一つの仮説/死者復活の思想/レーニン廟改築/レーニン廟のモデル/永遠の立方体

1 知られざる前衛

二つの芸術革命/アヴァンギャルドの定義/時代区分/知られざる天才たち
2 「終末」を超えて
終末の幻想/観念の崩壊/原始回帰と手法
3 原始回帰
アヴァンギャルド美術の誕生/光線主義(ルチーズム)/『春の祭典』/ロシア・バレエ団の活躍
4 言葉の神々の風
『笑いの呪文』――ロシア未来派のシュプレヒコール/鶴――事物の蜂起/複雑きわまる手法

1 ギレヤ・立体未来派

『裁判官の生贄』/『社会の興味への平手打ち』/詩と絵画/ザーウミ
2 四次元か、悲劇的道化か
『悲劇ウラジーミル・マヤコフスキー』/『太陽の征服』/ザーウミと四次元/マリネッティ来る
3 無対象芸術の誕生
「0,10」展/スプレマティズム/現代のイコン/反レリーフ
4 革命――熱狂の時空間
二つの革命/「ぼくの革命」/地球のヴェリミール化

1 精神と物質

白い進化/ヴィテプスク/「アルヒテクトン」/『第三インターナショナル記念塔モデル』/『ザンゲジ』上演
2 構成主義
ネップ導入/美術機関の再編/構成主義の誕生/ネップ文化の現実/左翼文化の危機
3 レフ、そして異化
レフ(芸術左翼戦線)/ロシア・フォルマリズム/異化(オストラネーニエ)/詩的言語
4 宇宙主義、またはプロレトクリトの実験
『一五〇〇〇〇〇〇〇』/プロレトクリト/機械化された集団性/鍛冶場

1 演劇の十月

『冬宮襲撃』/アジテーション演劇/フェックスの実験/トラム(労働者青年劇場)/タイーロフの総合演劇/メイエルホリドの悲劇/ビオメハニカ
2 モンタージュ、モンタージュ
ロシア映画の曙/モンタージュ、モンタージュ/ジガ・ヴェルトフ/エイゼンシテイン
3 屹立するイメージ
変貌するロトチェンコ/プロゾジェージダ
4 革命の耳
革命の音楽/ルリエー/スクリャービンか、ストラヴィンスキーか/モソローフの登場/構成主義と音楽

1 運命の克服、飛行の夢

不死と飛行/タートリン――レタートリン/「素材の文化」
2 至高の有機体
表面から深層へ/分析主義への道/マチューシン――「有機的全体」としての世界
3 腐蝕する革命
新レフ/「事実の文学」『南京虫』と『風呂』/風刺は必要か?/オベリウー
4 幻想の建築
救世主キリスト大寺院/ユートピア建築の源泉/ソビエト宮殿コンペティション/重工業省コンペ

1 絶たれた疾走

農業集団化と第一次五カ年計画/マヤコフスキーの自殺/終幕/社会主義リアリズム――第一回作家大会
2 全体主義の影
顔のない農民/フィローノフの運命/演劇/音楽/映画
3 亡命とラーゲリの彼方へ
カンディンスキー/シャガール/ガボとペヴズネル/『疾走を絶たれたアヴァンギャルド』/クルジーンとルイセンコ
4 ロシア・アヴァンギャルドと現代
復権の道/ペレストロイカ、国家崩壊/生誕一〇〇年の明暗/ロシア・アヴァンギャルドをどう見るか/アヴァンギャルドと権力/圧殺か、枯渇か、完遂か

ロシア・アヴァンギャルド小事典
主要参考文献一覧
あとがき(一九九六年五月十五日 亀山郁夫)


≪著者: ≫ 亀山郁夫 1949年栃木県に生まれる。1972年東京外語大学外国語学部卒業。1977年東京大学大学院人文学科研究科博士課程修了。専攻―ロシア文学。現在(刊行当時)―東京外語大学外国語学部教授。著書―「甦えるフレーブニコフ」(晶文社)、「終末と革命のロシア・ルネサンス」(岩波書店)ほか。編訳―「ロシア・アヴァンギャルド5 ポエジア」(国書刊行会)。訳書―カーリンスキー「知られざるマリーナ・ツヴェターエワ」(晶文社)、ドーリン「約束の地の奴隷」(中央公論社)、ケドロフ「星の書物」(共訳,岩波書店)ほか。
 

カマキリ




本「消え去ったアルベルチーヌ  ALBERTINE DISPARUE by Marcel Proust (光文社古典新訳文庫)」プルースト、高遠弘美 訳5

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消え去ったアルベルチーヌ  ALBERTINE DISPARUE by Marcel Proust (光文社古典新訳文庫)
消え去ったアルベルチーヌ  ALBERTINE DISPARUE by Marcel Proust (光文社古典新訳文庫)

○著者: プルースト、高遠弘美 訳
○出版: 光文社 (2008/5,文庫 388ページ)
○価格: 740円
○ISBN: 978-4334751562
おすすめ度: 4.0
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たしかに、かつて私はアルベルチーヌに「ぼくはあなたを愛してはいない」と言ったけれど、それは彼女に愛して欲しいからだった。同様に、「会わなくなった人のことは忘れるのです」と言ったのは、しょっちゅう会って欲しいからであり、「あなたと別れる決心をした」は別れるかもしれないという考えを払拭したかったがゆえの言葉だった。そしていま、何があっても一週間後には戻ってきてほしいと願う私は「お別れです、永遠に」と言い、また会いたいと思うからこそ「あなたに会うのは危険でしょうね」と言い、彼女と離れて暮らすことは死ぬよりも悪いと考えて「あなたの言うとおりでした。一緒にいればぼくたちは不幸になるでしょう」と書いたのだった。悲しいかな、あの偽りの手紙を書いたのは、彼女に執着していないふりをするためであり(ジルベルトに対する昔の恋からアルベルチーヌへの恋にいたるまで消えずに残った唯一の自尊心)、彼女ではなく私だけを感動させるような言葉をつらねることで甘い思いに浸るためだったが、結果として私の言葉どおり、つまりは否定的な返事が返ってくることがありうるどころか、そうなる確率が高いことをあらかじめ予見すべきだったのだ。・・・  (P.118-P.119)


≪目次: ≫
訳者前口上
全訳への道しるべ/「完」と「未完」の間で/『失われた時を求めて』の生成と刊行/『失われた時を求めて』の構成/大伽藍を支える女主人公アルベルチーヌ/第二篇「花咲く乙女たちのかげに」のアルベルチーヌ/第三篇「ゲルマントのほう」のアルベルチーヌ/第四篇「ソドムとゴモラ」のアルベルチーヌ/第五篇「囚われの女」のアルベルチーヌ/そして「消え去ったアルベルチーヌ」へ

『失われた時を求めて』第六篇
「消え去ったアルベルチーヌ」


グラッセ版の編者解説
グラッセ版の「はじめに」(ナタリー・モーリヤック)
グラッセ版の「緒言」
グラッセ版の「附録」(一 「消え去ったアルベルチーヌ」の予告/二 初版出版の準備段階/三 文学集成(ア・ラ・ジェルブ)版)
グラッセ版の「註」

プルースト年譜
訳者あとがき(二〇〇八年春 高遠弘美)


≪著者: ≫ マルセル・プルースト Marcel Proust [1871-1922] フランスの作家。パリ郊外オートゥイユで生まれる。9歳のとき喘息の発作を起こし、以来、生涯を通じて宿痾となる。十代は母親の愛情を一身に受けて育ち、パリ大学進学後は社交界へ出入りするかたわら文学に励む。三十代の初めに両親と死別、このころから本格的にエッセイやラスキンの翻訳を手がけるようになる。1912年、『失われた時を求めて』の原型ができあがり、1913年第一篇「スワン家のほうへ」を自費出版。その後もシリーズは続き、1922年第四篇「ソドムとゴモラII」が刊行されるが、気管支炎が悪化し、全七篇の刊行を見ることなく死去。

[訳者] 高遠弘美 Hiromi Takato 1952年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。明治大学教授、フランス文学者。著書に『プルースト研究』『乳いろの花の庭から』。訳書に『突飛なるものの歴史』『悪食大全』『乳房の神話学』(以上ロミ)、『珍説愚説辞典』(カリエール&ベシュテル)など多数。


津久井湖




本「ソーネチカ  Сонечка 1992 Людмила Улицкая (新潮クレスト・ブックス)」リュドミラ・ウリツカヤ、沼野恭子 訳5

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ソーネチカ  Сонечка 1992 Людмила Улицкая (新潮クレスト・ブックス)
ソーネチカ  Сонечка 1992 Людмила Улицкая (新潮クレスト・ブックス)

○著者: リュドミラ・ウリツカヤ沼野恭子
○出版: 新潮社 (2002/12,単行本 142ページ)
○価格: 1,680円
○ISBN: 978-4105900335
おすすめ度: 4.5
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ソーネチカは自分の家へ、自分の愛する幸せな家へ向かったが、その家は、なぜだか解体して丸太んぼうにしてしまわなければいけないという。涙が皺だらけの長い頬を伝ったが、たちまち乾いて、かさかさの唇で彼女はつぶやいた。
「とっくの昔に起こってもおかしくなかった、とっくの昔に……。ずっとわかっていたんだもの、こんなこと、ありえないって……こんなこと、あるはずなかったんだ……」
そして家に帰るまでののこの一〇分のあいだに、ソーネチカは、十七年続いた幸福な結婚生活がこれで幕をとじたということをはっきり理解し、もう今となっては自分には何もないということを悟った。ロベルト・ヴィクトロヴィチも自分のものではないし(でも彼がいったいいつ、だれのものだったというのか)、ターニャも自分のものではなく(何から何までまったく異質で、父親似なのだか、祖父似なのだか、ともかくソーネチカのようなおとなしいタイプではない)、家だってそうで、老人が年々、自分の体を自分のものでないように感じていくみたいに、ソーネチカは夜な夜な家の溜め息やうめき声を感じとっていた……。「あの人のそばに、若くて、きれいで、やさしくて、上品なあの子がいてくれたら、こんなにいいことはない。優れているところも非凡なところも、あの人と釣り合っているもの。人生ってなんてうまくできているんだろう、老年にさしかかったあの人にこんな奇跡がおとずれて、あの人のなかの一番大事なもの、絵の仕事にもう一度立ち戻らせてくらたなんて」と、ソーネチカは考えた。
すっかり空っぽになり、軽くなったソーネチカは、澄んだ耳鳴りを聞きながら自分の部屋にはいり、本棚に近づいて、あてずっぽうに本を抜き、真ん中あたりを開いて横になった。それは、プーシキンの短編「百姓娘になりすました令嬢」だった。耳たぶにまで白粉をぬって、家庭教師の老嬢ジャクソンよりも濃く眉墨をひいた令嬢リーザが、ちょうど食卓にやってきた場面で、アレクセイ・ベレストフは、遊び人で物思わしげな青年の役どころを演じている。「百姓娘になりすました令嬢」を何ページか読み、プーシキンの研ぎすまされた言葉やこの上なく気品あふれる表現を味わっているうちに、ソーネチカは静かな幸福感に満たされてきた。 (P.106-P.107)



≪著者: ≫ リュドミラ・ウリツカヤ Людмила Улицкая 1943年生まれ。モスクワ大学(遺伝学専攻)卒業。『ソーネチカ』で一躍脚光を浴び、1996年、フランスのメディシス賞及びイタリアのジュゼッペ・アツェルビ賞を受賞。2001年『クコツキーの事例』でロシア・ブッカー賞を受賞。ロシアでは、ポストモダンの小説がもてはやされる一方で、ウリツカヤのような伝統的ともいえる力強いリアリズム小説の評判は高く、多くの読者を獲得している。フランス、ドイツでも作品が出版される、今ロシアで最も活躍する人気作家の一人である。

バーデン・バーデンの夏 (新潮クレスト・ブックス、レオニード・ツィプキン 著、沼野恭子 訳、2008/5)』
初恋 (光文社古典新訳文庫、トゥルゲーネフ 著、沼野恭子 訳、2006/9)』

Mt.Fuji




本「「私」の秘密 哲学的自我論への誘い (講談社選書メチエ253)」中島義道5

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「私」の秘密 哲学的自我論への誘い (講談社選書メチエ253)
「私」の秘密 哲学的自我論への誘い (講談社選書メチエ253)

○著者: 中島義道
○出版: 講談社 (2002/11,単行本 190ページ)
○価格: 1,470円
○ISBN: 978-4062582537
おすすめ度: 4.5
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いかなる過去事象を想起しようとしても、そこには根源的な無化作用が先行している。それは、「現在は過去ではなく過去は現在ではない」という否定です。
この否定は、根源的な無化なのですから、物理的作用ではない。すなわち「現在は過去ではなく、過去は現在ではない」という現在と過去との相互否定的関係は、物理的関係ではなく、物理的自然に私がそのつど二次的にもち込む関係であって、言語的な否定関係です。
物理学に代表される自然科学は(大脳生理学も心理学も含めて)世界がいかに「ある」かのみを記述する。それは、世界がいかに「ない」かを記述することはできない。だが、私の住む世界は否定に満ちています。
私の頭上に広がるどんよりした空は抜けるように青くはなく、合格名簿の中に私の名前はなく、私は幸せではなく、ポケットの中には金もなく、恋人もなく、自殺する気力もない。こうした否定は自然現象ではなく、私が世界に導き入れたものです。
だが、私は、才能もなく、金もなく、恋人もなく、自殺する気力もない者にすぎないのではない。こうした現在の否定的属性の束にすぎないのではない。私は、今までの乏しい人生をたどってきたものであり、それらが「もはやない」というかたちで「あった」ことを知っている者です。私は、かつてあった希望がもはやない者であり、かつてなかった妻子がいまある者です。
私とは、ことごとくその通りに「ある」自然現象のうえに、否定の束としての新しい世界を言語的に形成することができる者のことであり、なかんずく「もはやない」過去を言語的に形成できる者のことです。
過去を形成するとは、あくまでも現在に生きながら、もはや現在ではない時を、その時は現在であった時として了解することです。過去とは現在にとっての過去なのですから、現在を生きていない者は過去を形成することもできない。私が死んでしまったとき、私は現在を生きていないがゆえに、過去形成することもできないのです。  (P.82-P.84、「第四章 想起とその主体としての私」)


≪目次: ≫
第一章 「私とは何か」という問いの特殊性
「私というあり方」とはどのようなあり方か/カントが徹底的に考察したこと/開かれた問題/超越論的統覚/発話に権利上伴うコギト/私というあり方と過去/想起モデル/「私」とは「私とは何か」と問う者である
第二章 知覚の現場に私はいない
「私」を安直に前提してはならない/沈黙するコギト/「私は〜であるように思われる」/絶対に確実なこと/両立不可能なあり方を「つなぐ」者/独特のパースペクティヴの成立/ライプニッツモナド/身体感覚/大森荘蔵の「立ち現われ一元論」/四つの分類――いつ「この」パースぺクティヴは「私の」パースペクティヴになるのか/ヒュームの考え方/あの夢が私の夢になるとき――権利上の意識作用/総合的に統一する者/難解きわまりない無駄話/壮大なおとぎ話からの解放
第三章 見えるものと見えさせるもの
見える世界と見えない世界/残りの全世界が見えないことが、微小な眼前の世界を見えさせている/知覚の対象から視覚中枢までの見えないところ/クオリアには特別な問題はない/空間的=時間的隔たりも見えない/心身問題と想起/心身問題は時間問題である/想起が呼ぶアポリア――過去事象とそのコピー/フッサールと大森の場合/想起は自然科学的世界像から駆逐される
第四章 想起とその主体としての私
想起とは現在と過去を結ぶ「糸」ではない/複数の〈いま〉の成立/測定機能としての時間順序と〈いま〉の意味/〈いま〉の幅/関係概念としての〈いま〉/過去の真理性/的中している感じ/過去を了解する能力/想起している時としての現在/想起と時間の成立/概念的に世界をとらえなおす/否定としての過去/「もはやない」というかたちで「あった」ことを知っている者/私は、(明確に)知覚しないことをも(明確に)想起することができる/私の夢/「立ち現われ一元論」と想起/そのとき忽然として「私」は登場する/概念としての未来/思考し知覚する者も想起しなければ「私」ではない
第五章 観念に対する者としての私
刺激から観念への移行/観念としての痛み/ファイヒンガーの「虚構主義」/大森荘蔵の「痛み=ふるまい」論/大森荘蔵の「痛み=制作」論/「いま私は痛い」と語ることは不自然/私の痛みはまちがいえないか/疑似物体としての観念/一人称問題/二つの批判点/内的関係/誤りの上塗り/過去の私と現在の私の同一性/ふたたびトートロジカルな答えに至る/自己触発/「根源的自我」への旅は虚しい
第六章 「この」身体から「私の」身体への転換
見える世界とその背後/物体としての私の身体/私の場所/意志する物体としての私の身体/意志と行為/「この」身体/過去における「あの」身体/超越論的身体/「私が悲しかったこと」の想起/私は「この」身体の「うち」に住んでいる?/「うち」と「そと」という概念のずらし/過去への唯一の「抜け穴」
第七章 他者たちの成立
他者の成立/他者とは過去形を体系的に使える者である/私の過去と私の他者の類比/私と他者とは同時発生しない/「他の私」の身体/不在としての他者/他者の身体と他者の記憶/まなざし
第八章 不在としての私
想起されるのは首のない身体ではない/直観と概念の二重写し/あらたに構成されたあの特有の身体/私は読書に没頭していた/現在形と過去形/睡眠と覚醒/私は失神していた/間接的な承認/「あるべきもの」としての私/壮大な後悔と自己欺瞞/私は気がつくべきだった/「不在」としての他者
エピローグ 私の死
私はなぜ死ぬと無くなるのか/死と夢
あとがき(二〇〇二年一〇月一〇日 芦花公園近くの牢獄のような新居で、ひきこもりつつ  中島義道
索引


≪著者: ≫ 中島義道 (なかじま・よしみち) 一九四六年生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院人文科学研究科修士課程修了。ウィーン大学哲学科卒業。哲学博士。東京大学助手、帝京技術科学大学助教授を経て、現在、電気通信大学教授。著書に、『「時間」を哲学する』『カントの人間学』(講談社現代新書)、『たまたま地上にぼくは生まれた』『カイン』『哲学の教科書』(講談社)、『哲学の道場』(ちくま新書)、『カントの時間論』(岩波現代文庫)、『働くことがイヤな人のための本』(日本経済新聞社)、『孤独について』(文春新書)、『時間論』(ちくま学芸文庫)、など多数ある。

悪について (岩波新書、2005/2)』

Halyomorpha halys




本「ギリシア・ローマの奇人たち 風変わりな哲学入門  FOUS COMME DES SAGES : Scènes grecques et romaines 2002 Roger‐Pol DROIT, Jean‐Philippe de TONNAC」ロジェ=ポル・ドロワ 著、ジャン=フィリップ・ド・トナック 著、中山元 訳5

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ギリシア・ローマの奇人たち 風変わりな哲学入門  FOUS COMME DES SAGES : Scènes grecques et romaines 2002 Roger‐Pol DROIT, Jean‐Philippe de TONNAC
ギリシア・ローマの奇人たち 風変わりな哲学入門  FOUS COMME DES SAGES : Scènes grecques et romaines 2002 Roger‐Pol DROIT, Jean‐Philippe de TONNAC

○著者: ロジェ=ポル・ドロワ 著、ジャン=フィリップ・ド・トナック 著、中山元
○出版: 紀伊国屋書店 (2003/12,単行本 228ページ)
○価格: 1,890円
○ISBN: 978-4314009539
おすすめ度:4.5
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・・・鼠にとっては、あらゆる貨幣は偽造であり、人為的で無益なしきたりだろう。考えられないほど無意味なものに違いない。鼠にとって、富とか、法律とか、仕事とか、明日のことなど、ごくわずかな心配の種にもならないものだろう。休息がほしいとも思っていないだろう。鼠は動き続ける。ほとんど止まらずに動き続ける。闇も、疲労も、飢えも心配していない。ただ動き続けるだけ。鼠は存在し続け、頑固に、そして勇敢に、存在のうちに歩み続ける。生きる目的など、これっぽっちも考えていない。 (P.78、「13 鼠の自由」)

本書はほぼ、哲学の端緒の時代、古典古代、そして古代哲学の衰退期の三つの部分で構成されている。古典古代については、ソクラテスキュニコス派の哲学者の物語と、学派の成立と対立についての物語を、分けてまとめてある。 (P.20、「序 本書の使い方」)

“訳者あとがき”より、
この書物は、哲学の祖と呼ばれるタレス)の時代から、アカデメイアが閉鎖される五二九年頃まで。四〇人におよぶさまざまな古代の哲学者の姿を、小説の情景として描き出している。これらの哲学者たち多くは、著作によってではなく、その生き方によって、みずからの哲学的な発見を人々に語りかけた。このような哲学者たちの生に結晶した哲学的な思考を復活させるには、著作の文章の引用によってではなく、その生の現場を描き出すしかない。この書物はみじかい情景のうちに、古代の哲学者たちが自分の生そのものによって訴えかけようとしたものを、巧みに描き出している。 (P.221)


≪目次: ≫
序――哲学の王国へようこそ
逸話が示すもの/あまりにも人間的な……/かつて哲学はこんなだった/本書の使い方

機‥学の黎明――驚くべき賢者たち
01 哲学者の金儲け(タレス
02 生と死の違い(タレス)
03 痕跡をくらます(ペリアンドロス)
04 謎の娘(クレオブゥリネ)
05 地獄での生(ピュタゴラス
06 一言も語らず(ヘラクレイトス
07 湿気を追い払え(ヘラクレイトス)
08 藪の学校(デモクリトス
09 最後の歩み(エンペドクレス
10 遊ぶ子供たち(アナクサゴラス

ソクラテスとその弟子たち
11 太陽が燦々と輝く夜(ソクラテス)
12 外套の穴が自慢(ソクラテスとアンティステネス
13 鼠の自由(ディオゲネス
14 自分の主人を買いたい人はいないか(ディオゲネス)
15 死ぬときの友(アンティステネス)
16 わが子とて、死ぬべき者の一人だ……(クセノポン
17 不幸にそなえる(ディオゲネス)
18 衣服の下にあるのは……(ヒッパルキアクラテス
19 ひらまめのスープ(キティオンのゼノン

掘ヽ愬匹涼太
20 航海している人たち
21 論より証拠(エレアのゼノンアンティステネス
22 ピュタゴラスの理論を求めて(プラトン
23 男装の娘(プレイウスのアクシオテア)
24 師の妬み(プラトンとアリストテレス
25 眠らぬ工夫(アリストテレス)
26 裸体行者を訪ねて(オネシクリトス)
27 火に油をくべて(アレクサンドロス大王
28 泥まみれの発見(アナクサルコスとピュロン
29 不可能な挑戦(ディオドロス
30 幻の学校(アレクシノス)
31 快楽の記憶(エピクロス
32 運命の気まぐれ(アリストン)
33 笑いすぎて……(クリュシッポス
34 教師を渡り歩いて(ヘラクレイアのディオニュシオス)

検)盻囘な信念の復活
35 中断された食事(セネカ
36 奴隷だが自由に生きる(エピクテトス
37 予告された自殺(ペリグリヌス・プロテウス)
38 肉も空豆も禁じて(ボルピュリオスの弟子たち)
39 死体の通った道(イアンブリコス)
40 幻視の娘(ソシパトラ)
41 僧侶たちの虐殺(ヒュパティア
42 太陽に祈りを(プロクロス)
43 哲学の終焉(ダマスキオス)

出典一覧
訳者あとがき(二〇〇三年一〇月 中山元
日本の読者のためのブックガイド(中山元


≪著者: ≫ ロジェ=ポル・ドロワ Roger-Pol Droit フランスの哲学者。国立科学研究センター研究員。ル・モンド紙にて人文書の書評担当を長年務めている。邦訳された著書に、『暮らしの哲学――気楽にできる101の方法』(ソニー・マガジンズ)、『虚無の信仰――西欧はなぜ仏教を怖れたか』(トランスビュー)、『娘と話す宗教ってなに?』(現代企画室)などがある。

≪著者: ≫ ジャン=フィリップ・ド・トナック Jean-Philippe de Tonnac フランスの小説家。生命科学や宇宙論など、さまざまな分野でジャーナリストとしても活躍している。

[訳者] 中山元 1949年生まれ。思想家・翻訳家。万人のための哲学サイト「ポリロゴス」を主宰している。著書に、『思考の用語辞典』(筑摩書房)、『フーコー入門』(ちくま新書)など、訳書に、フーコー『真理とディスクール』、ベルク『風土学序説』(以上、筑摩書房)、バタイユ『呪われた部分 有用性の限界』フロイト『エロス論集』(以上、ちくま学芸文庫)、レヴィナス『超越と知解可能性』(彩流社)、ファーン『考える道具』(角川書店)、『発言――米同時多発テロと23人の思想家たち』(編訳、朝日出版社)などがある。


標高933m




本「歴史哲学講義 〈上〉 VORLESUNGEN ÜBER DIE PHILOSOPHIE DER GESCHICHTE , G.W.F.Hegel (ワイド版岩波文庫225)」ヘーゲル、長谷川宏 訳5

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歴史哲学講義 〈上〉 VORLESUNGEN ÜBER DIE PHILOSOPHIE DER GESCHICHTE , G.W.F.Hegel (ワイド版岩波文庫225)
歴史哲学講義 〈上〉 VORLESUNGEN ÜBER DIE PHILOSOPHIE DER GESCHICHTE , G.W.F.Hegel (ワイド版岩波文庫225)

○著者: ヘーゲル長谷川宏
○出版: 岩波書店 (2003/5,文庫 363ページ)
○価格: 1,365円 (品切重版未定)
○ISBN: 978-4000072250
おすすめ度:4.5
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地理的な概観によって、世界史の一般的な特徴があきらかになりました。光をもたらす太陽は東方から昇ります。が、光は単純に自分と関係します。自分の内部にあって四方を照らす光は、同時に、主体として太陽のうちにある。日の出の情景は、盲人が突然目が見えるようになって、夜明けの光の生成と燃えあがる太陽をながめる場面として、しばしば思いえがかれます。純粋な明るさのなかですっかりわれをわすれてしまうというのが、最初にやってくる心からの感嘆のありさまです。が、太陽は上にむかい、感嘆の情はしだいに弱まります。まわりのものに目がいき、そこからさらにおのれの内面が見つめられて、ここに、外界と内面との関係があらわれてくる。人間は、なにもしないでただおどろいている状態から、なにかにはたらきかける状態へと移行し、夕方には、自分の内面の太陽にうながされて、建造物をつくりあげる。そして、夕方になってこの建造物をながめたとき、それは、朝早く遠くに見た太陽よりもすぐれたものに思える。建造物を見ることは、自分の精神と関係することであり、自由に関係することだからです。わたしたちがこのイメージをしっかりと保持すれば、そこにはすでに、精神の偉大な日々の労苦である世界史のあゆみがこめられています。
世界史は東から西へとむかいます。ヨーロッパな文句なく世界史のおわりであり、アジアははじまりなのですから。東それ自体はまったく相対的なものですが、世界史には絶対の東が存在する。というのも、地球は球形だが、歴史はそのまわりを円をえがいて回るわけではなく、むしろ、特定の東を出発点とするからで、それがアジアです。外界の物体である太陽はアジアに昇り、西に沈みます。とともに、自己意識という内面の太陽もアジアに昇り、高度なかがやきを広く行きわたらせます。世界死は野放図な自然のままの意志を訓練して、普遍的で主体的な自由へといたらしめる過程です。東洋は過去から現在にいたるまで、ひとりが自由であることを認識するにすぎず、ギリシャとローマの世界は特定の人びとが自由だと認識し、ゲルマン世界は万人が自由であることを認識します。したがって、世界史に見られる第一の政治形態は専制政治であり、第二が民主制および貴族制、第三が君主制です。 (P.175-P.176、序論「E世界史の時代区分」)


≪目次: ≫
凡例

序論
A 歴史のとらえかた

(a)事実そのままの歴史/(b)反省をくわえた歴史/(c)哲学的な歴史
B 歴史における理性とはなにか
(a)精神の抽象的定義/(b)自由を実現する手段/(c)自由の実現体たる国家
C 世界史のあゆみ
(a)発展の原理/(b)歴史のはじまり/(c)世界史のすすみかた
D 世界史の地理的基礎
(a)新世界/(b)地理的条件/(c)旧世界
E 世界史の時代区分

第一部 東洋世界
第一篇 中国
第二篇 インド

(付録)仏教について
第三篇 ペルシャ
第一章 ゼンド民族
第二章 アッシリアバビロニアメディア、ペルシャ
第三章 ペルシャ帝国と帝国内の各地域
一 ペルシャ/二 シリアセム族の住む小アジア/三 ユダヤ
第四章 エジプト
第五章 ギリシャ世界への移行


≪著者: ≫ ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル Georg Wilhelm Friedrich Hegel (1770-1831) ドイツの哲学者。ドイツ観念論を代表する思想家。

芸術の体系 (光文社古典新訳文庫、アラン・ポー 著、長谷川宏 訳、2008/1)』

at dawn




本「カモメに飛ぶことを教えた猫 HISTORIA DE UNA GAVIOTA Y DEL GATO QUE LE ENSEÑO A VOLAR 1996 by Luis Sepúlveda (白水Uブックス151)」ルイス・セプルベダ、河野万里子 訳5

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カモメに飛ぶことを教えた猫 HISTORIA DE UNA GAVIOTA Y DEL GATO QUE LE ENSEÑO A VOLAR 1996 by Luis Sepúlveda (白水Uブックス151)
カモメに飛ぶことを教えた猫 HISTORIA DE UNA GAVIOTA Y DEL GATO QUE LE ENSEÑO A VOLAR 1996 by Luis Sepúlveda (白水Uブックス151)

○著者: ルイス・セプルベダ、河野万里子 訳
○出版: 白水社 (2005/11,新書 174ページ)
○価格: 840円
○ISBN: 978-4560071519
おすすめ度:4.5
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「飛ぶんだ、フォルトゥナータ。さあ、深呼吸をして。雨にさわってごらん。雨を感じてごらん。きみの好きな水だよ。きみには好きなものや、幸せを感じるものが、たくさんあるだろう。そのひとつが、水と呼ばれているものなんだ。もうひとつは風、そしてもうひとつは、太陽だよ。雨の後、ごほうびのように現れる太陽だ。雨は気持ちがいいかい? さあ、つばさを広げて」ゾルバが言う。 (P.163)
「きみはカモメだ。だがチンパンジーが言ったことで正しいのは、それだけだ。ぼくたちはみんな、きみを愛している、フォルトゥナータ。たとえきみがカモメでも、いや、カモメだからこそ、美しいすてきなカモメだからこそ、愛しているんだよ。これまできみが、自分を猫だと言うのを黙って聞いていたのは、きみがぼくたちのようになりたいと思ってくれることが、うれしかったからだ。でもほんとうは、きみは猫じゃない。きみはぼくたちとは違っていて、だからこそぼくたちは、きみを愛している。ぼくたちは、きみのおかあさんの力になることはできなかった。でもきみの力になることなら、できる。ぼくたちは、きみが卵から出てきてから、ずっときみのことを守ってきた。きみのことを猫にしようなどとは一度も考えずに、心の底から愛情をそそいできた。ぼくたちはきみを、カモメとして愛しているんだよ。そうしてきみのほうも、ぼくたちを愛してくれていると思っている。ぼくたちはきみの、友だちだ、家族だ、と思っている。そのうえきみはぼくたちに、誇らしい気持でいっぱいになるようなことをひとつ、教えてくれた。きみのおかげでぼくたちは、自分とは違っている者を認め、尊重し、愛することを、知ったんだ。自分と似た者を認めたり愛したりすることは簡単だけれど、違っている者の場合は、とてもむずかしい。でもきみといっしょに過ごすうちに、ぼくたちにはそれが、できるようになった。いいかい、きみは、カモメだ。そして、カモメとしての運命を、まっとうしなくてはならないんだ。だからきみは、飛ばなくてはならない。飛ぶことができたときこそ、フォルトゥナータ、きみはきっと、ほんとうに幸せになれる。そうしてぼくたちに対するきみの気持ちも、きみに対するぼくたちの気持ちも、今よりもっと強く、かけがえのないものになるはずだ。だってそれは、まったく異なる者どうしの愛だから」 (P.122-P.123)
「このひなが、われわれのもとへやってきて幸運だったと考えるなら、フォルトゥナータという名はどうじゃろう。幸運な者という意味じゃ」大佐が言った。 (P.114)


≪目次: ≫
第1部
1 北の海
2 ふとった真っ黒な猫
3 ハンブルクの海
4 猫が誓った三つの約束
5 助けを求めに
6 奇妙な館
7 百科事典を読む猫
8 ゾルバ、卵をあたためる
9 悲しみの夜
第2部
1 ひな鳥のママはオス猫
2 ママは大変
3 ピンチ、またピンチ
4 またまたピンチ
5 オスかメスか
6 幸運のフォルトゥナータ
7 飛ぶ練習開始
8 猫たち、タブーを破る
9 人間に力を借りるとき
10 猫と詩人
11 大空へ

訳者あとがき……河野万里子
Uブックス版に寄せて……二〇〇五年九月 河野万里子

*本書は1998年に単行本として小社から刊行された。


≪著者: ≫ ルイス・セプルベダ (Luis Sepúlveda) 1949年、南米のチリに生まれる。アジェンデ政権がクーデターによって倒れた際に、投獄され、およそ二年半の刑務所暮らしを余儀なくされる。その後アムネスティの働きかけで解放されたあとは、各地を旅してまわり、1980年からはドイツのハンブルクを拠点に、作家活動をはじめる。『パタゴニア・エキスプレス』、『ラブ・ストーリーを読む老人』などの作品で注目を集め、本書はヨーロッパで大ベストセラーとなっている。


大垂水峠(標高392m)




本「蟹工船・党生活者 (新潮文庫)」小林多喜二5

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蟹工船・党生活者 (新潮文庫)
蟹工船・党生活者 (新潮文庫)

○著者: 小林多喜二
○出版: 新潮社 (1954/6;2003/6改版、文庫 217ページ)
○価格: 420円
○ISBN: 978-4101084015
おすすめ度:4.0
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「俺達には、俺達しか味方が無えんだ。」 (P.135)

――蟹工船はどれもボロ船だった。労働者が北オホツックの海で死ぬことなどは、丸ビルにいる重役には、どうでもいゝ事だった。資本主義がきまりきった所だけの利潤では行き詰まり、金利が下がって、金がダブついてくると、、「文字通り」どんな事でもするし、どんな所へでも、死物狂いで血路を求め出してくる。そこへもってきて、船一艘でマンマと何拾萬円が手に入る蟹工船、――彼等の夢中になるのは無理がない。
蟹工船は「工船」(工場船)であって、「航船」ではない。だから航海法は適用されなかった。二十年の間も繋ぎッ放しになって、沈没させることしかどうにもならないヨロヽな「梅毒患者」のような船が、恥かしげもなく、上べだけの濃化粧をほどこされて、函館へ廻ってきた。日露戦争で、「名誉にも」ビッコされ、魚のハラワタのように放って置かれた病院船や運送船が、幽霊よりも影のうすい姿を現わした。――少し蒸気を強くすると、パイプが破れて、吹いた。露国の監視船に追われて、スピードをかけると、(そんな時は何度もあった。)船のどの部分もメリヽ鳴って、今にもその一つ、一つがバラヽに解ぐれそうだった。中風患者のように身体をふるわした。
然し、それでも全くかまわない。何故なら、日本帝国のためどんなものでも立ち上げるべき「秋(とき)」だったから。――それに、蟹工船は純然たる「工場」だった。然し工場法の適用もうけていない。それで、これ位都合のいゝ、勝手に出来るところはなかった。
利口な重役はこの仕事を「日本帝国のため」と結びつけてしまった。嘘のような金が、そしてゴッソリ重役の懐に入ってくる。彼は然しそれをモット確実なものにするために、「代議士」に出馬することを、自動車をドライヴしながら考えている。――が、恐らく、それとカッキリ一分も異わない同じ時に、秩父丸の労働者が、何千里も離れた北の暗い海で、割れた硝子屑のように鋭い波と風に向って、死の戦いを戦っているのだ! (P.34-P.35)

――この一篇は、「植民地に於ける資本主義侵略史」の一頁である。 (P.139)


≪目次: ≫
蟹工船(一九二九・三・三〇)
党生活者(一九三二・八・二五)

解説蔵原惟人(昭和二十八年六月、文芸評論家)


≪著者: ≫ 小林多喜二 Kobayashi Takiji (1903-1933) 1903(明治36)年、秋田県生れ。小樽高商卒。北海道拓殖銀行に就職し、1929(昭和4)年解雇されるまで勤務した。志賀直哉に傾倒してリアリズムを学び、その後、プロレタリア文学に目覚め、労働運動にもかかわる。雑誌「戦旗」に中編が紹介され注目を浴び、「蟹工船」で支持を得る。以後、非合法下の共産党に入党し、左翼文学運動に力を注ぐが、1933年逮捕され、築地署で拷問により殺された。


Night




本「秘密の花園  Title:THE SECRET GARDEN 1909 Author:Frances Hodgson Burnett (光文社古典新訳文庫)」バーネット、土屋京子 訳5

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秘密の花園  Title:THE SECRET GARDEN 1909 Author:Frances Hodgson Burnett (光文社古典新訳文庫)
秘密の花園  Title:THE SECRET GARDEN 1909 Author:Frances Hodgson Burnett (光文社古典新訳文庫)

○著者: バーネット、土屋京子 訳
○出版: 光文社 (2007/5,文庫 507ページ)
○価格: 840円
○ISBN: 978-4334751289
おすすめ度: 5.0
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「魔法はぼくの中にある!」コリンは、その言葉をずっとつぶやいていた。「魔法はぼくを強くする! 魔法の力を感じている! 魔法の力を感じている!」 (P.390)

“訳者あとがき”より、
バーネットの『秘密の花園』は児童文学作品として位置づけられることが多く、実際に、これまで少年少女向けの翻訳が数多く出版されてきた。しかし、原書を読んでみると、これが意外なほどにそっけない文章なのだ。
冒頭からして、When Mary Lennox was sent to Misselthwaite Manor to live with her uncle everybody said she was the mostdisagreeable-looking child ever seen. と、身も蓋もない。この辛辣な一文に導かれて登場する主人公メアリは、母親からも父親からも愛された記憶がなく、いつも不機嫌な仏頂面をしていて、性格は横柄でわがまま、気の強さだけが取り柄といえば取り柄、という最悪なお嬢さまぶりだ。
もうひとりの主人公コリンも、親の愛情を知らぬまま屋敷の奥にひきこもって暮し、自分は病気でもうすぐ死ぬのだと思いこんでいて、ことあるごとに激しいかんしゃくを起こして使用人たちを困らせる。
バーネットは、だれからも愛情を注がれず痛ましいほど歪んで育った二人の子供たちを主役に配する、という少年少女向けの作品ではあまりお目にかからない仕掛けをしたうえに、満たされぬ思いに手足をばたつかせながらその苛立ちの原因が何のか自分でも理解できぬまま荒れるしかない子供たちの姿をそっけないほど淡々とした筆で描いている。・・・ (P.502-P.503)


≪目次: ≫
秘密の花園  The Secret Garden 1909
第1章 だれもいなくなってしまった
第2章 つむじまがりのメアリ様
第3章 ムーアのはて
第4章 マーサ
第5章 だれかが泣いている
第6章 「だれかの泣き声よ――絶対に!」
第7章 「あのお庭の鍵だわ!」
第8章 コマドリに導かれて
第9章 「ほんと、へんなお屋敷……」
第10章 ディコン
第11章 ヤドリギツグミの巣
第12章 「地面を少しいただきたいのです」
第13章 「ぼくはコリンだ」
第14章 若きラージャ
第15章 巣作り
第16章 「絶対にお断りよ!」
第17章 ヒステリー
第18章 「思いついたら、早いがいいさ!」
第19章 春が来た!
第20章 「ずっと、ずっと生きるんだ!」
第21章 ベン・ウェザースタッフ
第22章 太陽が沈むとき
第23章 魔法
第24章 「笑いは、おおいにけっこう」
第25章 カーテン
第26章 「母ちゃんだ!」
第27章 花園に……


解説……松本朗(上智大学専任講師)
フランシス・ホジソン・バーネットの生涯/イギリス文学における自然観と子ども観/『秘密の花園』の受容――過去、現在、未来/
バーネット年譜
訳者あとがき (二〇〇七年 バラのつぼみがふくらむ季節に 土屋京子)


≪著者: ≫ フランシス・ホジソン・バーネット Frances Hodgson Burnett [1849−1924] アメリカの小説家、劇作家。イギリスに生まれたが、早くに父親を亡くし、16歳のとき一家でテネシー州へ移住。貧しい家計を助けるため、雑誌に寄稿した小説が人気に。1886年発表の『小公子』が大ヒットし、主人公のファッションが大人の間で流行するなど、一躍ベストセラー作家となる。イギリスの伝統社会の価値観と、アメリカの大衆消費文化を併せ持つ作家として、その後も『小公女』『秘密の花園』などを発表する。

[訳者] 土屋京子 Tuchiya Kyoko 1956年生まれ。東京大学教養学部卒。翻訳家。訳書に『ワイルド・スワン』(ユン・チアン)、『マオ 誰も知らなかった毛沢東』(ユン・チアン、ジョン・ハリディ)、『ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密』(ウェルズ)、『EQ〜こころの知能指数』(ゴールマン)、『ブルックフィールドの小さな家』(ウィルクス)、『匿名口座』(ライク)ほか多数。


カマキリ




本「大学・中庸 (ワイド版岩波文庫228)」金谷治 訳注5

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大学・中庸 (ワイド版岩波文庫228)
大学・中庸 (ワイド版岩波文庫228)

訳注: 金谷治
出版: 岩波書店 (2003/7,文庫 237ページ)
価格: 1,050円
ISBN: 978-4000072281
おすすめ度: 5.0
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大学』と『中庸』とは、『論語』と『孟子』に合わせて「四書」とされ、儒教の代表的な経典としてひろく読まれてきた。『大学』は孔子の門人の曾子の作、『中庸』は曾子の門人の子思の作、そして子思の門人に学んだのが孟子であったとして、「四書」を学ぶことによって儒教の正統的な血脈がそのままに体得できると説明された。・・・ (P.3、「はしがき」)
儒教は一般に「修己治人(しゅうこちじん)」の教えだといわれる。「己れ自身を修める」道徳説と「人を治める」民衆統治の政治説とを兼ねた教説が、儒教だというわけである。確かに『論語』を読んでも『孟子』を読んでも、儒学思想というものは現実の社会的人間を第一の問題としていて、要するに道徳と政治を中心とする思想である。そして、ここに取りあげた『大学』こそは、そのことを最も端的に、しかも組織的に、簡素平明な文章で表現した書物である。『大学』は、その意味で、儒学思想の概要をとらえるのに最も手ごろな入門書だといってよいであろう。 (P.11、『大学』解説)
思うに、人間がはじめてこの世界に生み出されたその当初から、すでにだれもが〔平等に〕といった本性を与えられていた。〔いわゆる性は善なりである。〕・・・ (P.85、「『大学章句』序」)

中庸」ということばは、書名として有名であるだけでなく、一つの徳目ないしは生活態度をあらわすことばとして、今も生きている。このごろでは「中道」という方がわかりやすいのかも知れないが、人の処世のうえで、極端に走らぬほどよい中ほどをとっていくことをいうのである。『論語』のなかで、「中庸の徳たるや、それ至れるかな」と孔子に賛嘆されたのがその最初の出典で、それから儒学の伝統として長く尊重されてきた。中国だけでなく古代ギリシャでも、アリストテレスは「メソテス」ということばでそれを尊重している。そうした「中庸」の徳をくわしく解説したとされるのが『中庸』という書物である。書名はその限りではその内容と一致している。 (P.125、「『中庸』解説」)


≪目次: ≫
はしがき (一九九七年九月 伊賀の里にて 金谷治

“大学”
『大学』解説
内容の概観/「四書」としての成立/原本の成立/『大学』の伝承
大学(旧本)本文
大学章句(朱熹)序・本文

“中庸”
『中庸』解説
内容の概観/成立と伝承/本書の立場
中庸本文
中庸章句(朱熹)序

索引



奥多摩湖いこいの路




本「第三帝国の興亡 第4巻 ヨーロッパ征服  THE RISE AND FALL OF THE THIRD REICH :The Conquest of Europe」ウィリアム.L.シャイラー、松浦伶 訳5

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第三帝国の興亡 第4巻 ヨーロッパ征服  THE RISE AND FALL OF THE THIRD REICH :The Conquest of Europe
Amazonで購入
書評/歴史・時代(F)



東京創元社より、“本が好き!PJ”経由で献本、御礼!
ちょっと緊張?!、八月七日以来、四カ月ぶりのアップ。全五巻の“第一級の歴史ノンフィクション”シリーズ第三帝国の興亡』の第四巻の本書の献本は、第一巻「アドルフ・ヒトラーの台頭」第二巻「戦争への道」に続いてのこと(第三巻「第二次世界大戦」は献本の抽選に落選して図書館で貸借)なんだけど、、、じつは複雑な気持ちだったりする。とにかくぼくは無知で不勉強で、歴史にもまったく詳しくなくて、本シリーズ第一巻を手にするまで、かの“第三帝国”のなんたるかを知らなかった。だから、本書の概要を要約して他者に本書の興味を抱かせる!、などという“書評”なるものをどうして書きえようか、などと言い訳しても、その責を逃れられようはずもないのだけれども、、、しかし、その責はぼく以外の優秀なメンバーに委ねて(もっとも、概要はさまざまな紹介ページが充実しているから、その責は負わない?!、とも)、第一級の歴史ノンフィクションの長大な調べ(濃密な時間の流れ)を愉しむ♪
オビに記される、“征服を重ね、頂点へ達した総統。しかし、大いなる転機が訪れる。”
第四巻のタイトルは『ヨーロッパ征服』、
地図で見ると、一九四二年九月までにヒトラーが成し遂げた制服は気も遠くなるほどだった。地中海はまるで枢軸国の池のようになり、北岸はスペインからトルコまでのほとんど、南岸はチュニジアからナイルに一〇〇キロ足らずの地点までドイツとイタリアで押さえていた。実際、いまやドイツ軍は北極海に挑むノルウェーのノールカップからエジプトまで、大西洋のブレストからヴォルガ川下流の中央アジアに接するあたりまで哨戒にあたっていた。 (P.414)
(ぼくの頭の中には地図が描けなくて、どんだけスゴイことなのか映像では認識できないのだけれど、スゴそうな雰囲気だけはヒシヒシと感じる!?)、一九四二年、スターリングラード攻防戦(敗北)まで。

≪目次: ≫
第四部 戦争――初期の勝利と転機(承前)
第二十一章 西部の勝利

対立するさまざまの作戦計画/一九四〇年五月十日―六月二十五日/オランダの征服/ベルギー陥落と英仏軍に罠をかける/レオポルド国王の降伏/ダンケルクの奇跡/フランスの崩壊/ドゥーチェ、フランスの背中に短剣を突き刺す/コンピエーニュにおける二度目の休戦/ヒトラー、平和をもてあそぶ
第二十二章 〈アシカ作戦〉――阻まれたイギリス侵攻
バトル・オブ・ブリテン〉/侵攻が成功していたら/追記 ナチのウィンザー公夫妻誘拐計画
第二十三章 バルバロッサ ソ連の番
ベルリンのモロトフ/挫折の六カ月/「世界は固唾をのむだろう」/バルカン前奏曲/テロの立案/ルドルフ・ヘスの高飛び/窮地に立ったクレムリン
第二十四章 風向き変わる
モスクワ大進撃
第二十五章 アメリカの番
「アメリカと事を構えるのは避けよ」/わが道を行く日本/パール・ハーバー前夜/ヒトラー、宣戦す/十二月十一日――議会におけるヒトラー
第二十六章 大いなる転機 一九四二年――スターリングラードエル・アラメイン
息を吹き返した陰謀者たち/ドイツ最後の大攻勢/ソ連におけるドイツの夏季攻勢 一九四二年/最後の一撃――エル・アラメインと英米軍の上陸/スターリングラードの大敗


≪著者: ≫ ウィリアム.L.シャイラー (William L.Shirer) 1904年シカゴ生まれ。ジャーナリスト・歴史家。コー大学卒業後、渡欧。〈シカゴ・トリビューン〉紙の特派員などを経て、CBSのヨーロッパ支局長に。ドイツのオーストリア併合など、数々の歴史的事件の報道に携わる。1940年、戦況の悪化に伴ってアメリカへ帰国し、自身の経験をもとにしたベストセラー『ベルリン日記』(筑摩書房)を発表。1960年に発表した本書では、全米図書賞を受賞する。『フランス第三共和制の興亡』(東京創元社)、『第三帝国の終わり――続ベルリン日記』(筑摩書房)など著書多数。1993年没。

≪訳者: ≫ 松浦伶 1936年島根県生まれ。東京大学文学部卒業後、文藝春秋入社。雑誌・書籍の編集者を経て、翻訳に従事。訳書にジャイルズ・ミルトン『スパイス戦争――大航海時代の冒険者たち』(朝日新聞社)、アル・パチーノ+ローレンス・グローベル『アル・パチーノ』(キネマ旬報社)がある。2007年没。


第三帝国の興亡 第3巻 第二次世界大戦  THE RISE AND FALL OF THE THIRD REICH :World War (2008/8)』
第三帝国の興亡 第2巻 戦争への道 THE RISE AND FALL OF THE THIRD REICH :The Road to War (2008/6)』
第三帝国の興亡 第1巻 アドルフ・ヒトラーの台頭 THE RISE AND FALL OF THE THIRD REICH :The Rise of Adolf Hitler (2008/5)』

津久井湖





ところで、本書を“受け取って一言”という書き込み(の義務)があって、ついつい調子に乗って、そこに『“No More!”とだけは簡単に言えないよねぇ〜』などと書き記してしまった(意図して!?)んだけど、ぼくは意識しておかないと簡単に、「悲惨な歴史(戦争)を繰り返すな!」、みたいなステロタイプで書き記してしまう、これまでも無意識に書き記してきた。当然にその段階を経て、それを動機として、その先があるのであって、決して咎められるものではあるまい(と、自己防衛?!)。
最近になって、いろいろな本を読む機会を得て、中途半端な知識(ぼくの無能力ゆえに)でしかないのだけれど、知れば知るほど中途半端には語りえない、との思いが高まって、とにかく言葉を失う、ますます語りえない。そんな一方では、“知”への興味は高まりを覚えるばかりで、「う〜、わからない〜♪」などと、ある意味でのマゾヒズム。「これも、エロス(=生の欲動、フロイト)か?!」、などと、わかったようなわからないような(きっとわかってない)ひとりごとが増す。そんなこんな(かなり強引だけど)でひきこもり傾向にあり、ますます他者との隔たりを強く抱くようになり、さらには“生き辛さ”(のようなもの)を感じないではいられない。そもそも、ぼくの生き辛さ(のようなもの)は、今に始まったものでもなくて、最近になってようやく認識して、そういうものだと受け容れるよう心掛けている(完全に受け容れることはできていない!?)が、気がついたときからず〜っとそう。破綻しちゃった結婚生活だって、そもそもが無理があって(と、最近では認識するようにしている)、ぼくは依存癖が強いものの、他者と絶対的に相容れない不寛容(過度に潔癖)な部分を有していて、共同生活に不向きであるにもかかわらず、それまでの育成の過程における甘えからの自立不適格を理由に、勘違い(若さゆえ)した、と。相手に、その当時どのような理由があったのかは、すでに知る由もないが、彼女は強い。その強さに、自立不適格で弱いぼくは惹かれた(と、分析する)。何度も「わたしはあなたのお母さんじゃない」と言われたことを、先日娘に会った時に、娘の口からも聞かされて思い起こした。娘の養育の問題もあって、表面的な経済力に勝るぼく(それでも二重生活に耐える資力に欠ける)は、経済的を理由にして共同生活を提案するのだけれど、何度も何度も明確に断られて「考えたこともないし、絶対にありえない」とまで断言されても、いまだにどこかで諦めきれていない。しかし、考えれば考えるほどに、ぼくは共同生活に不向きで、どう考えても新たな人間関係を築くことが想像できなくて、その負担ともいうべき、ぼくの不安(寂しさ)を紛らわす依存先を、手近なところで、という意図を否定できない。生きる力(強さ。経済力とは限られない)を有しない相手(どちらかと言えば、女性には少なくない?!)であったならば、状況は違っていたであろうが、彼女は強い、ある意味ではひとりで生きていくべき(強すぎるがゆえに)側面をも有していて、そう考えるに、ますます結婚した当時に何があったのかと、人生の(出逢いや縁の)不思議を思い、さらには下世話な想像(彼女は著しく詮索や干渉を嫌う、ぼくは細かいことに気が付いてしまい気が付いたら知らずにはいられない)をしてしまうのだが、返す返すもすでにぼくには知る由もない。ぼくはやっぱり、ひとりで生きていくべきだろうなぁ、、、と、そんなことばかり考え続けているぼくは、〈ぼく〉がなにものであるのか、なんで生きてこの世に存在しちゃっているのかを知りたい。なんだかぼくには、生き辛い(と感じることが少なくない)世の中だけど、だからといって、決して嫌悪してはいない、悪くない。嫌悪したところで、どんな世の中だったらいいのか?、と問われても回答できない、という自らの無能力もあるけれど、絶対的な完璧なものなど世の中にはない、存在しえない、と考えるから、現実の“今”を否定して嫌悪することに意義を見出すことができず、そのことに思い煩うことの無益さ(貧乏症)を考えるに、さらには、自然の力学というのか、なにごとも然るべき方向におさまる、持続可能性がないものは継続しえない、自然淘汰のような作用を理解するにいたっては、ますます今現在を否定することができない。絶対的に矛盾は消失することなく存在しえるわけだから、しかし、自然の大きな力に導かれて悪いようにはならない!?、現にぼくたちは今、この世の中に存在している。
もしも(非現実的ではあるがあえて)、ナチス・ドイツの時代にそこに生きていたら、それでもぼくはきっとグズグズと生き辛いと思い煩って、もしかしたら戦争で死んでしまうのかもしれないけれど、じゃぁ戦争がない(平和ボケした)現代社会が、素晴らしい(正しい)か?、と問われても、回答に窮する。死ぬことに恐怖を感じないといったらウソになるけれど、じゃぁ漫然とただただ生きることが、そんなに素晴らしい(正しい)ことなのか?、との疑問を呈さずにはいられない。

本「悪について (岩波新書935)」中島義道5

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悪について (岩波新書935)
悪について (岩波新書935)

○著者: 中島義道
○出版: 岩波書店 (2005/2,新書 216ページ)
○価格: 735円
○ISBN: 978-4004309352
おすすめ度:5.0
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つい先日乗り合わせた昼間(仕事で移動中)の路線バス内でのこと、制服姿の中学生と思しき学生たちが大勢乗っていて(乗客は男女の学生たちと老人たちばかり)、バスは思いのほか混雑していて、途中のバス停から乗り込んだぼくは、「座りたいなぁ」と思うも吊革につかまって立っていた。座席を占めて、ゲームに興じたり、おしゃべりをする学生たちに、うるさいなぁ、目障りだなぁ、と思ったことは事実で、そのうちに途中の停留所で、足元がおぼつかないおじいちゃんが乗りこんできた。よろよろしながらバスに乗りこんできたのに、おじいちゃんが目の前に現われても、座席を譲ろうとしないでしゃべっている男子中学生。おばあちゃんも立っている。おもわずぼくは、男子学生のひとりの頭を叩いて、「立て!、おじいちゃんに席を譲れ!」と怒鳴っていた。かわいそうに、3人組の男子学生のうち、ぼくに頭を叩かれた少年はポカンとするも、「おまえらみんな立て!」とぼくに怒鳴られて、おずおずとしながらも3人とも立ち上がった。「さぁ、おじいちゃん、おばあちゃん、座って座って!」と言うぼくは明らかに偽善者だ。その後に乗り合わせた電車では、座席に座っていたぼくは初老の女性を見掛けて「腰掛けますか?」と声を掛けたところで、そこで座席を譲ってみても、これもまた偽善だ。ぼくは、何の疑いもなく“悪”。

出口はないのだ。いかにしても、われわれは道徳的に善くはなれないのである。私にはたえず「道徳的に善い行為をせよ!」という命令だけが聞こえる。しかし、私はみずからそれを実現することができない位置にいることも知っている。
定言命法は、道徳的に善い行為を絶対的に命じるのであって、そうした行為を全体的に実現させるのではない。定言命法は、(いわば)地面に石が落下するように、必然的にわれわれを道徳的に善い行為へと導くのではない。それは、ただ道徳的に善い行為へと向かう指針をわれわれに与えるだけである。
われわれは、この世に人間として生きるかぎり、自分の名誉を守るために、家族を守るために、他人の幸福を守るために、知人を傷つけたくないために、つまり幾重もの自己愛から(自他の幸福を求めて)嘘をつかざるをえない。われわれは、生きるかぎり、何をなそうと、自己愛の臭みを消すことはできない。
われわれは、自己愛の動機を道徳法則に対する尊敬の動機より優先させることしかできない。われわれはこの「転倒」をするように運命づけられている。それがわれわれに与えられた状況なのであり、つまりわれわれの自然的な性癖なのであり、ここに根本悪が潜むのである。
しかし、それでもなお、われわれはみずからを「正しくない」と断罪することができる。自己を告発することができる。われわれは、理性によってこの命令が課せられていることを知っているからこそ、それを実現できないこと、みずからが「正しくない」ことを知るのだ。こうして、われわれは何を実現しても悩むべきである。「われわれは悩むべきであるから、悩むことができる」のでなければならない。われわれは道徳法則からの“Achtung!”という信号を無視できず、それに尊敬(Achtung)を抱いているからである。 (P.202-P.203)


≪目次: ≫
はじめに
第一章 「道徳的善さ」とは何か
ラスコーリニコフ/思索によってではなく行為によってはじめて道徳的世界が開かれる/道徳的センス/善意志/「義務に適った行為」と「義務からの行為」/道徳法則と定言命法/格律と性格/命法と行為のあいだ/目的としての人間性/形式としての悪/肥沃な低地
第二章 自己愛
誰も自己愛の引力圏から抜け出すことはできない/「うぬぼれ」というもの/自己愛と定言命法/自殺について/より完全になろうとする義務/社会的功績は負い目である/賢さの原理/世間的な賢さと私的な賢さ/道徳的善さと純粋さ/善を求めると悪に陥るという構造/幸福の追求/幸福を受けるに値する/苦行の否定/他人に同情すべきか/自己犠牲的行為
第三章 嘘
適法的行為を器用にこなす人々/道徳法則に対する尊敬/真実性の原則/真実性と友の生命/窮余の嘘/愛と嘘
第四章 この世の掟との闘争
適法的行為と非適法的行為/義務の衝突/何が適法的な行為であるか/迫害されている者たち/道徳性と世間のしがらみ/漱石は道徳的である/息子を殺さねばならない
第五章 意志の自律と悪への自由
意志の自律と他律/「文字」と「精神」/自己愛以外の意志の他律/アブラハム/私は貝になりたい/「文字」が「精神」を獲得するとき/アイヒマン/私が誤っていないという保証はどこにもない/堕胎について、プランテラの場合/良心の法廷/ウィーンでの出来事/悪への自由
第六章 文化の悪徳
意志(Wille)と意思(Willkühr)/動物と悪魔のあいだ/悪の場所/動物性の素質と人間性の素質/実践理性と人類の発展史/悪への性癖
第七章 根本悪
人間心情の悪性/悪性の格律を選択する性癖/道徳秩序の転倒/根本悪はあらゆる格律の根拠を腐らせる/出口なし/課せられているが答えることができない問い/ふたたびプランテラの場合/根本悪と最高善

あとがき(二〇〇四年 師走 中島義道


≪著者: ≫ 中島義道 (なかじま・よしみち) 1946年福岡県生まれ。1977年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1983年ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士)。現在、電気通信大学教授。著書、『ウィーン愛憎』『続・ウィーン愛憎』(中公新書)、『哲学の教科書』(講談社学術文庫)、『「時間」を哲学する』(講談社現代新書)、『うるさい日本の私』(新潮文庫)、『カントの人間学』(講談社現代新書)、『孤独について』(文春新書)、『ひとを〈嫌う〉ということ』(角川文庫)、『働くことがイヤな人のための本』(新潮文庫)、『時間論』(ちくま学芸文庫)、『カントの時間論』(岩波現代文庫)、『不幸論』(PHP新書)、『カイン』(講談社)、『「私」の秘密』(講談社選書メチエ)、『カントの自我論』(日本評論社)ほか。


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本「老人と海  Title:THE OLD MAN AND THE SEA 1952 Author:Ernest Hemingway (新潮文庫)」ヘミングウェイ、福田恆存 訳5

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老人と海  Title:THE OLD MAN AND THE SEA 1952 Author:Ernest Hemingway (新潮文庫)
老人と海  Title:THE OLD MAN AND THE SEA 1952 Author:Ernest Hemingway (新潮文庫)

著者: ヘミングウェイ福田恆存
出版: 新潮社 (1966/6;改版版,文庫 134ページ)
価格: 420円
ISBN: 978-4102100042
おすすめ度: 4.5
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サメと少年とライオンの夢と、、、

ぼくの記憶が正しければ、イスラーム文化に精しい“片倉もとこ”著『ゆとろぎ イスラームのゆたかな時間 (岩波書店、2008/5)』の冒頭で採用されていたのが、この『老人と海 The Old Man and the Sea』だったかと。まるで「みんな知ってるでしょ、わかるでしょ」と言わんばかりに書き記されてしまっては、「読んでないからわかりません」とはなかなか言いだせない。『沙漠』の“水へん(さんずい)”が気になって、さらに『老人と海』の引用とあって、、、
すでに記憶力に自信を失しているぼくは、そこになにがどのように表記されていたのか記憶にない。とにかく最近ではボンヤリすることが少なくなく、むしろなにかを記憶しようという意欲がないのだから、記憶できないことは当然で、そんな中でも(無理に記憶しようとしないでも)記憶に残っていることだけでも、じゅうぶんにやっていける、毎日読む本には事欠かないし、なんとか日常生活をおくることはできている。

キューバの老漁師サンチャゴ、
かれは年をとっていた。メキシコ湾流に小舟を浮べ、ひとりで魚をとって日をおくっていたが、一匹も釣れない日が八十四日もつづいた。・・・ (P.5)

海のことを考えるばあい、老人はいつもラ・マルということばを思いうかべた。それは、愛情をこめて海を呼ぶときに、この地方の人々が口にするスペイン語だった。海を愛するものも、ときにはそを悪しざまにののしることもある。が、そのときすら、海が女性であるという感じはかれの語調から失われたためしがない。もっとも、若い漁師たちのあるもの、釣綱につける浮きのかわりにブイを使ったり、鮫の肝臓で大もうけした金でモーターボートを買いこんだりする連中は、海をエル・マルというふうに男性あつかいしている。かれらにとって、海は闘争の相手であり、仕事場であり、あるいは敵でさえあった。しかし、老人はいつも海を女性と考えていた。それは大きな恵みを、ときに与え、ときにはお預けにするなにものかだ。たとえ荒々しくふるまい、禍いをもたらすことがあったにしても、それは海みずからどうにもしようのないことじゃないか。月が海を支配しているんだ、それが人間の女たちを支配するように。老人はそう考えている。 (P.24-P.25)


≪著者: ≫ アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway (1899-1961) シカゴ近郊生れ。1918年第一次大戦に赤十字要員として従軍、負傷する。1921年より1928年までパリに住み、『われらの時代』『日はまた昇る』『男だけの世界』などを刊行。その後『武器よさらば』、短編「キリマンジャロの雪」などを発表。スペイン内戦、第二次大戦にも従軍記者として参加。1952年『老人と海』を発表、ピューリッツア賞を受賞。1954年、ノーベル文学賞を受賞。1961年、猟銃で自裁。

[訳者] 福田恆存 フクダ・ツネアリ (1912-1994) 東京本郷に生まれる。東京大学英文科を卒業。中学教師、編集者などを経て、日本語教育振興会に勤める傍らロレンスの『アポカリプス』の翻訳や芥川龍之介論などの文芸評論を手がける。戦後は、評論『近代の宿命』『小説の運命』『藝術とはなにか』『人間・この劇的なるもの』『私の幸福論』『平和の理念』等を刊行。また、国語問題に関して歴史的仮名遣い擁護の立場で論じた『私の國語教室』がある。訳業に『シェイクスピア全集』(読売文学賞受賞)の他、ワイルド、ロレンス、エリオット、ヘミングウェイ作品等がある。劇作家、演出家として劇団「昴」を主宰し、演劇活動も行なう。全集に『福田恆存全集』『福田恆存翻訳全集』がある。

武器よさらば〈上〉 (光文社古典新訳文庫、アーネスト・ヘミングウェイ 著、金原瑞人 訳、2007/8)』
武器よさらば〈下〉 (光文社古典新訳文庫、アーネスト・ヘミングウェイ 著、金原瑞人 訳、2007/8)』


cloudy



本「チェーホフ (岩波新書926)」浦雅春5

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チェーホフ (岩波新書)
チェーホフ (岩波新書926)

著者: 浦雅春
出版: 岩波書店 (2004/12,新書 216ページ)
価格: 735円
ISBN: 978-4004309260
おすすめ度:4.5
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ロシアを代表する劇作家・小説家“アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ (Антон Павлович Чехов , 1860-1904)”♪

「読者や自分のことなどお構いなしに書き散らしてきました……。書き散らしながらも、自分にとって大切なイメージや情景をなんとしても短篇には使うまいとしてきたのです。なぜだかわかりませんが、それらを後生大事に私は隠しこんできたのです。」 (P.58)

ひょっとして彼は泣くことができなかったのではないか。チェーホフと「非情」。チェーホフは感情に溺れ、感情をおもてに出すことを極度におそれただけではない。そうした感情をすら持ち得なかったのではないか。 (P.78)
表題になっている「冷たい血」は「冷血」という意味ではない。熱狂することもなければ、何かに並々ならぬ好奇心を示すわけでもない、無関心、無関与的な姿勢をあらわしている。(中略)おそらくこの若者は抵抗することもなく、受け入れるだろう。それほど彼はまわりの出来事にたいして関心がない。感動することもなければ、激しく何かに反発し、怒ることもない。まさしく「魂の無力」「こころの麻痺」なのである。 (P.86)
・・・電文を読んで彼は愕然とする。娘の行為にたいしてではない。自分が怒りも動揺も覚えないことにたいしてだ。ぽっかりとこころに開いた「無関心」。いささかも「動じぬこころ(無関心)」を目の当たりにして、こう彼は手記に書きつける――「哲学者や真の賢人は何事につけ動じぬこころをもっているという。それは嘘だ。動じぬこころというのは、精神の麻痺であり、時ならぬ死である」と。 (P.105)


≪目次: ≫
はしがき
第一章 作家チェーホフの誕生
1 チェーホフとその時代

生地タガンローグ/近代化のとば口で/「空白の時代」/「希望の哲学」のゆらぎ/革命思想の退潮/ミニマリズムの波/変質する文芸誌/十九世紀末のメディア革命
2 ひそかな父親殺し
未発表の戯曲/恐るべき早熟/『父なし子』の意味/不在の父親/父親への嫌悪/家長チェーホフの誕生/もうひとつの父親殺し
3 届かない手紙
デビュー作/届くはずのない手紙/文学に見る手紙/届いてしまう手紙/多忙な駆け出し作家/笑われる小役人/不条理な現実
4 カメレオンとペンネーム
ペンネームへの固執/グリゴローヴィチの手紙/チェーホフの返書/高まる名声/チェーホフの憂鬱/『広野』での試み
第二章 サハリンへの旅
1 感情からの逃避

パトスへのおそれ/不可解な行動/変わる死のあつかい/モノとしての死/感情の切断
2 石と化したこころ
チェーホフの「非情」/内部に巣くう「冷静さ」/『たわむれ』/顕在化するアパシー/ミハイロフスキーの慧眼/否定の論理/ゆがんだ瞳
3 「退屈」と意味
苦しい言い訳/『ともしび』/作家の使命/ロシアにおける文学の地位/『退屈な話』/崩壊する「意味」/作者と主人公の切断/「絶望の主人公」
4 仮死と再生の旅――サハリン
流刑地サハリン/旅立ち/目をおおう現実/サハリン旅行の謎/「内」と「外」/ロシア全体がサハリン/「中心の喪失」/『かわいい女』/「ここではないどこか」
第三章 コミュニケーションへの渇き
1 ナンセンスな世界

チェーホフの「ネタ帖」/荒唐無稽な発想/過剰なナンセンス/ドタバタ劇/「日常」の侵犯/不具合の身体
2 主人公の消失――『イワーノフ』から『かもめ』へ
初の本格的戯曲/理解されない意図/改作に着手/イワーノフに同化/主人公とは何か/『かもめ』の飛翔/主人公の解体/「景」の消失
3 小説の文体、戯曲の構造
散文の極致/列挙する文体/並列的思考/映画的思考から演劇へ/チェーホフ劇の構造/舞台裏の悲劇/孤独な対話/無化される科白/『桜の園』の白
4 呼びかけと応答
『往診中の出来事』/最後の作品/あふれる「音」/「音」の謎/呼びかけ/抱きしめること/「無意味」のはての光

あとがき(二〇〇四年十一月 浦 雅春
主要参考文献一覧
チェーホフ略年譜


≪著者: ≫ 浦 雅春 (うら・まさはる) 1948年大阪府生まれ。神戸市外国語大学外国語学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士課程中退。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻はロシア文学、表象文化論。訳書に、ブローン『メイエルホリドの全体像』(晶文社)、イスカンデル『牛山羊の星座』(群像社)、『ロシア・アヴァンギャルド I・II』(編訳、国書刊行会)、『メイエルホリド・ベストセレクション』(共訳、作品社)、イスカンデル『チェゲムのサンドロおじさん』(共訳、国書刊行会)など。

鼻/外套/査察官 (光文社古典新訳文庫、ゴーゴリ 著、浦雅春 訳、2006/11)』


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本「デカルト『方法序説』を読む (岩波セミナーブックス86)」谷川多佳子5

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デカルト『方法序説』を読む (岩波セミナーブックス)
デカルト『方法序説』を読む (岩波セミナーブックス86)
○著者: 谷川多佳子
○出版: 岩波書店 (2002/6,単行本 176ページ)
○価格: 2,730円(品切重版未定)
○ISBN: 978-4000266062
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一九九九年十月に行われた「岩波市民セミナー」の四回の講演をもとにしています。さらに類似のテーマと内容について、やや専門的な角度から、この二年間にお茶の水女子大学文教育学部と筑波大学人文学類で、講義や演習をする機会を持ちました。(中略)大学の卒論でデカルトをとりあげて以来二十数年、研究上の時間のかなりの部分をデカルトとその周辺に費やし、結果としてデカルトについての学位論文や著書などを出してきました。・・・  (P.175、「あとがき」)

デカルトはこうして、「コギト・エルゴ・スム」(Cogito, ergo sum)を哲学の第一原理とします。これはラテン語で、コギトは“I think”「わたしは考える」、エルゴが「ゆえに」、スムが“I am”「わたしは存在する」です。ただし原文はフランス語で、このラテン語はフランス語からの訳で、デカルト哲学の標語として有名になったものです。
今回の岩波文庫訳は、「わたしは考える、ゆえにわたしは存在する」という日本語で通しました。「わたし」は日本語だと、「われ」になったり「ぼく」になったりで、日本語の一人称は多様で複雑です。これに対して、英語は“I”、フランス語は“Je”、ドイツ語は“Ich”、ラテン語も動詞の語尾変化で人称は一つです。そこにはある種の同一性と恒常性がみとめられるのではないでしょうか。  (P.108-P.109)



≪目次: ≫
第一章 デカルトの生涯と『方法序説
デカルトの生涯/『世界論』の刊行中止と『方法序説』/デカルトの主要著作とデカルト哲学の見取図/スウェーデンでの客死と遺骨
二章 『方法序説』の読まれ方、魅力
『方法序説』の翻訳/『方法序説』の魅力、デカルト主義、反デカルト主義 (1) ヨーロッパ、(2) 日本/『方法序説』と伝記
第三章 書物の学問を捨てて、旅に出る
『方法序説』の概要/良識と学問[第一部]/世界という大きな書物
第四章 学問の方法と生き方のモラル――炉部屋の思索
炉部屋の思索と学問の方法[第二部]/モラルの問題[第三部]/コギトへの歩み
第五章 コギト、二元論、自然
コギト・エルゴ・スムと神の存在[第四部]/機械論的自然学の構想[第五部]/人体と機械論/自然の研究と学問の展望[第六部]
補遺 『方法序説』と現代哲学
意識/二元論心身問題/デカルトとデカルト主義、反デカルト主義
おわりに

参考文献
あとがき


情念論 (岩波文庫、デカルト 著、谷川多佳子 訳、2008/1)』
方法序説 (ワイド版岩波文庫、デカルト 著、谷川多佳子 訳、2001/1、文庫版 1997/7)』

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