ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの Sigmund Freud: “Dostojewski und die Vatertötung, 1928/Das Unheimliche, 1919.” (光文社古典新訳文庫122)
○著者: ジークムント・フロイト、中山元 訳
○出版: 光文社 (2011/2, 文庫 340ページ)
○価格: 960円
○ISBN: 978-4334752248
クチコミを見る
花粉症にしては鼻水ばかりが出て止まらず、目はまったく痒くないのだから、たぶん風邪なんだろうとおもう、、、まぁまぁトータルで見るならば、いまの生活はプラスの方向にむかっているとの好印象をぼくは持っていて(期待をこめて、、、それなりに、すこし先を見据えてガンバっているつもり、甘いなぁ)、それでも細かいところでは、モチロン現状は満足できるレヴェルにはないのであって、ときに耐え難きこと少なくなし
『カラマーゾフの兄弟』の父親殺しをテーマに、ドストエフスキーの性格と作品を分析した論文と、ホフマンの「砂男」の分析を中心に考察をすすめる「不気味なもの」。みずからの理論を発展させ、鋭い精神分析的考察で文学を読み解き、以降の文学論に大きな影響を与えた重要論文6編。
≪目次: ≫
凡例
小箱選びのモチーフ (Das Motiv der Kästchenwahl, 1913年) 第一節(『ヴェニスの商人』の小箱選び/『リア王』の三人の娘/神話や伝説の三人の女性/三人目の女性の特徴/運命の女神たち)/第二節(モイラとホーラー/死の女神と愛の女神/選びと宿命/リア王の選択)
精神分析の作業で確認された二、三の性格類型 (Einige Charaktertypen aus der psychoanalytischen Arbeit, 1916年) 精神分析と性格/1 「例外者」の性格(快感原則から現実原則へ/例外の要求の源泉/リチャード三世/自己愛と例外者/女性と例外者)/2 成功の絶頂で破滅する人物(願望の実現と神経症/二つの実例/外的な欲求不満と内的な欲求不満/良心の思いがけない力/マクベス夫人/子供を生めないマクベス夫人/劇の構成の破綻/性格の分割の仮説/イプセン『ロスメルスホルム』粗筋/レベッカの「変心」/良心の覚醒の「理由」/変心の真の理由/近親相姦の罪/罪の意識の源泉)/3 罪の意識から犯罪に走る者(若年期の犯罪の意味/罪の意識による犯罪)
『詩と真実』における幼年時代の記憶について (Eine Kindheitserinnerung aus “Dichtung und Wahrheit”, 1917年) ゲーテの記憶/幼年期の記憶の意味/類似例/ゲーテの弟妹/壊す子供の心理/第二の類似例/フーク=ヘルムート博士の提示した二つの類似例(第一例/第二例)/ゲーテの幸運
不気味なもの (Das Unheimliche, 1919年) 第一節(美学と精神分析/二つの分析方法――語彙論と事例論/知的な不確実さという仮説/外国語の「不気味なもの」/ドイツ語の「不気味なもの」/ハイムリッヒとウンハイムリッヒ)/第二節[事例研究](不確実さという仮説/ナターニエルの少年期の体験/学生ナターニエルの運命/不気味さと「知的な不確実さ」/眼球喪失の不安と去勢コンプレックス/少年の願望と不気味なもの/ドッペルゲンガー(分身)/心的な原始時代に由来するもの/反復と不気味なもの/反復強迫と不気味なもの/不幸な予感の的中/思考の万能/不気味なものについての二つのテーゼ/不気味なものと死者/補足/不気味なものと幼児的な心性)/第三節(童話と不気味さ/第一の源泉――アニミズム/第二の源泉――幼児期のコンプレックス/虚構における不気味なもの/作家の自由/不気味なものが発生しないとき)
ユーモア (Der Humor, 1927年) ユーモアの生まれる道/ユーモアの快感の発生/ユーモアの性格/ユーモラスな態度の逆説/ユーモアと超自我/備給の置き換え/超自我の隠された顔
ドストエフスキーと父親殺し (Dostojewski und die Vatertötung, 1928年) ドストエフスキーの四つの〈顔〉/道徳家の〈顔〉/犯罪者の〈顔〉/ドストエフスキーの人格構造/精神症患者の〈顔〉/癲癇の病理/ドストエフスキーの癲癇/若年の仮死体験/去勢の恐怖/両性的な素質/超自我の審級/両性的な素質と去勢の恐怖/父親殺しの恍惚と悲哀/国家と宗教/父親殺しの三大傑作/『カラマーゾフの兄弟』/犯罪者との同一化/賭博熱/ツヴァイクの小説の賭博熱/幼児期のオナニーと賭博/母親の近親相姦幻想/ドストエフスキーの賭博熱、オナニー、去勢幻想
解説――フロイト晩年の二つの仮説/中山 元 後期のフロイトの思想/「不気味なもの」という文章の位置/不気味なものの三つの系列/第一の系列――幼児期のアニミズム/第二の系列――去勢コンプレックス/ドストエフスキーにおける去勢コンプレックス/「母胎環帰願望」/メドゥーサの首/処女恐怖/男性を去勢する女性/原母/『砂男』の母のモチーフ/死を教える母/他者の欲望の欲望/死の習慣/反復強迫の意味/三人の母親/反復強迫と不気味さ/反復強迫と性格
フロイト年譜 (1856年-1938年)
訳者あとがき
※本書の底本は、Sigmund Freud, Gesammelte Werke, chronologisch geordnet, Imago Publishing Co., Ltd., 1946, 1947, 1948 である。(「凡例」より)
≪著者: ≫ ジークムント・フロイト Sigmund Freud [1856-1939] 東欧のモラビアにユダヤ商人の長男として生まれる。幼くしてウィーンに移住。開業医として神経症の治療から始め、人間の心にある無意識や幼児の性欲などを発見、精神分析の理論を構築した。1938年、ナチスの迫害を逃れ、ロンドンに亡命。'39年、癌のため死去。主著に『夢判断』『精神分析入門』『自我とエス』など。
[訳者] 中山 元 Nakayama Gen 1949年生まれ。哲学者、翻訳家。主著に『思考のトポス』『フーコー入門』『はじめて読むフーコー』『思考の用語辞典』『賢者と羊飼い』『フーコー 生権力と統治性』『フーコー 思想の考古学』ほか。訳書に『自我論集』『エロス論集』『幻想の未来/文化への不満』『人はなぜ戦争をするのか』(以上、フロイト)、『パピエ・マシン(上・下)』(デリダ)、『永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編』『純粋理性批判 1・2・3・4』(共にカント)、『人間不平等起源論』『社会契約論/ジュネーヴ草稿』(共にルソー)、『職業としての政治 職業としての学問』『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(共にウェーバー)、『善悪の彼岸』『道徳の系譜学』(共にニーチェ)ほか多数。
ジークムント・フロイト 『人はなぜ戦争をするのか/エロスとタナトス』(中山元訳、光文社古典新訳文庫、2008年) '09/06/11、'08/08/24
ジークムント・フロイト 『幻想の未来/文化への不満』(中山元訳、光文社古典新訳文庫、2007年) '09/06/04、'08/08/30
ジークムント・フロイト 『エロス論集 Gesammelte Werke, 1940.』(中山元編訳、ちくま学芸文庫、1997年) '08/11/30
ジークムント・フロイト 『自我論集 Gesammelte Werke, 1940.』(竹田青嗣編、中山元訳、ちくま学芸文庫、1996年) '08/11/20
岩永雅也/星薫編著、岡崎友典/森津太子著 『教育と心理の巨人たち '10』(放送大学教材、放送大学教育振興会、2010年) '11/02/23
牛島定信編著、上別府圭子/生地新/平島奈津子/奥寺崇著 『精神分析入門 '07』(放送大学教材、放送大学教育振興会、2007年) '10/09/13
アンソニー・ストー 『フロイト FREUD: A Very Short Introduction, 1989.』(鈴木晶訳、講談社選書メチエ、1994年) '09/10/12