Gori ≒ ppdwy632

〈ぼく〉の思索の一回性の偶然性の実験場。

2013年01月

本「現象学 Phenomenology (講談社学術文庫2153)」新田義弘5

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現象学 (講談社学術文庫)
現象学 Phenomenology (講談社学術文庫2153)

○著者: 新田義弘
○出版: 講談社 (2013/1, 文庫 352ページ)
○定価: 1,155円
○ISBN: 978-4062921534




二十世紀初頭、フッサールEdmund Husserl, 1859-1938)によって創唱された現象学Phänomenologie)。経験のなかに知識の原理として機能する原型を探るこの学問は、ハイデガーサルトルメルロ=ポンティらに多大な影響を与え、思想・哲学の大きな潮流となる。フッサールの哲学を原テクストに則して問い直し、現象学の基本的事象とその本質を解明する、斯界の泰斗の精緻な思索が結晶した珠玉の書。


≪目次: ≫
まえがき (一九七七年 秋 新田義弘)
凡例




第一章 現象学の成立事情
1 現象学の成立と時代の状況
 実証主義とその反対動向/生と知の根源的連関/フッサールの自然主義批判
2 『論理学研究』と純粋現象学の成立
 フッサールの心理主義批判/純粋現象学の方向/記述的現象学の予備的性格

第二章 超越論的現象学の理念と方法
1 超越論的現象学の構想
2 現象学的還元 I
 自然的態度/現象学的エポケー
3 超越論的現象学の課題
 ノエシス・ノエマの分析論/本質一般性と領域存在論/形式論理学と形式存在論
4 現象学的還元 II
 超越論的エポケー/さまざまの道/自然的態度の超越論的規定

第三章 経験、世界、身体の問題
1 発生的現象学の成立
 発生的現象学の成立事情/意識生と真理概念
2 経験の基礎的構造
 経験の根本特性/規定可能な無規定性としての地平
3 世界地平
 絶対的基体/二つの世界概念
4 キネステーゼ的主観性
 キネステーゼの概念/二重感覚における身体の構成/キネステーゼ的体系/自我と世界の根源的共存性

第四章 現象学的科学論
1 極限理念と地平志向性
2 理念化としての科学の方法
3 科学の客観主義と生活世界――『危機』の科学論
 『危機』の科学批判/生活世界への帰還
4 現象学と存在論

第五章 相互主観性の現象学
1 相互主観性の現象学の意図
2 フッサールの他者構成の理論
3 新しい分析への試み
4 相互主観性と世界の問題
5 伝達の現象学

第六章 現象学的反省理論
1 歴史の目的論と哲学の課題性格
2 反省と自己意識
3 方法的反省と絶対的反省

第七章 現象学の諸動向
1 実存論的展開
 ハイデガーと現象学/フランス現象学とフッサール/哲学的人間学との交流
2 現出論的展開
 世界の現象学/差異性の問題/構造の現象学
3 解釈学的展開
 解釈学的循環と地平の問題/影響作用史的意識/科学論への波及/新しい思惟への道

結語



基本文献表

あとがき (二〇一二年 暮 新田義弘)

解説/田口 茂(北海道大学大学院准教授

人名索引


※本書の原本は、一九七八年二月、岩波書店より刊行されました。


≪著者: ≫ 新田義弘 (にった よしひろ) 1929年、石川県生まれ。東北大学文学部哲学科卒業。哲学者、東洋大学名誉教授。専攻は現象学、解釈学。著書に『現象学とは何か』『哲学の歴史』『現象学と解釈学』『現代の問いとしての西田哲学』『世界と生命』『思惟の道としての現象学』などがある。






さて、単位認定試験、今学期(2012年度第2学期)の8科目、おわった。くたびれた。1月26日から31日まで、4日間で8科目。じつはその間に、ぼくの生活の糧(かて)を獲得するためのシゴト、不動産売買契約の立会い(物件調査・契約書類作成)が3件、あった。試験は試験として時間が決まっていることから、カイシャにはその旨をあらかじめ伝達してある。決まっている試験の時間以外の時間で、シゴトをしなければならない。トウゼンのことながら、シゴトをしない選択はない。シゴトは、シゴトとして、有無を言わさず、言い訳無用、シゴトをしなければ報酬を獲得できない。どころか、そのシゴトにおける地位さえもうしないかねない。地位、居場所は、必要だ、タイセツだ、不可欠だ。足場が不安定では、踏ん張ることもできない。で、どうにかこうにか、なにはともあれ、おわった。
そう、おわった、は、うれしい。うれしいは、次のステップへとエネルギーを振り向けられること。はじまり♪、はじめることが叶う♪♪。おわるまでは、キチンとおわらせるために、おわらせることにエネルギーをそそぎこまなければならない。キチンとおわらせて、キモチヨクはじめたい。ただただおわらせるのではなく、キチンとおわらせるのは、キチンとおわらせようと思うと、じつはそれなりの労力(エネルギー)をようする。いろいろ、その都度、優先順位を判別して、優先すべき事柄以外は、おおむね劣後させることをして


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本「政治の精神 (岩波新書1189)」佐々木毅5

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政治の精神 (岩波新書)
政治の精神 (岩波新書1189)

○著者: 佐々木 毅
○出版: 岩波書店 (2009/6, 新書 238ページ)
○定価: 840円
○ISBN: 978-4004311898




複合的な危機のなか、政治が融解している。問題の核心は何か。政治を支える精神的な素地をどこに求めたらよいのか。マキアヴェッリやトクヴィル、ウェーバー、丸山真男らの思索を手がかりに、政治という営みの本質について、原点に立ち返って吟味。政治家のみならず、政治を取り囲む人々の精神、さらには政党政治の条件について考察する。


≪目次: ≫
はじめに (二〇〇九年五月  佐々木 毅)

第一章 政治を考える視点
1 丸山真男、一九四九年の問いかけ――政治的統合をめぐって
考察の起点/政治的統合の脆弱性/明治憲法体制と政治的統合/権力の矮小化と「病理」/政治不信と依存体質/歴史の中の政治的統合
2 政治的統合の基本構造
政治と統合/無為にして治まる/真理と権力の一体化/権力による押さえ込み/人間の条件と政治的統合/権力とその制度化/政治における手続き/政策の争点化/統合の担い手としての政治家/「実現できること」/「実現すべきこと」/「選ぶ」存在としての人間
3 主体の複数性と政治的統合の手続き
主体の複数性/危険とされた多元性/マディソンと党派・派閥/「多数者の専制」を防ぐ/広い共和国の代議政体/権力の分立/権力の制度化/参加と選択
4 政治的統合のメカニズム
統合の担い手としての政党/政党システム/選挙制度のあり方/二院制のあり方/経済問題と統合/アイデンティティと統合/国際環境と統合/戦争と統合
5 政治権力の「魔性」
政治権力と制度/制度を作る権力/全能の権力と革命/マキアヴェッリの新しい君主/恐怖という拠り所/二〇世紀の「新しい君主」/現実を変える権力/「為さざる」という怠慢/実現性への誘惑/結果への責任/ニーキアースの警告/アルキビアーデスの反駁/権力の増殖への誘惑

第二章 政治をする精神
政治家とは何か
1 政治家と権力
政治的統合に関わる主体/権力の維持と管理/ナポレオンの自白/集団による権力掌握/集団内の権力問題/権力という快楽/目的と手段
2 政治家と魂の「大きさ」
矜持ある人間/「大きいこと」へのコミットメント/君子プラトンの哲人王/「狭量の精神」批判/卓越性の条件/変容する政治家像/エリートと大衆/権力の担い手としてのエリート/ウェーバーの「カリスマ的支配」/天職意識とは何か/天職意識の選抜/態勢の整備
3 政治家と権力感情、そして堕落
同感の理論/権力という甘い蜜/権力感情の一人歩き/追従者と権力者/助言者と権力者/虚栄心という敵/ドイツ政治への批判/心情倫理と責任倫理/現実に耐えること/倫理化された権力感情の危険性/倫理的ニヒリズム/自己欺瞞の世界
4 政治家と判断力、そしてスキル
三つの資質/情熱とは/判断力とは/政治的能力としての思慮/経験と学習/目標設定と手順/優先順位/説得性への配慮/弁論術/何を、どう語るのか/頭脳の力/知的な戦略本部
5 政治家と責任問題
結果という問題/忘却の淵/政治の不可予言性/政治の不可逆性/「許し」と罰のメカニズム/約束の力/時勢の激変/時勢との適合性/政治家を見据えて/自覚なき政治家/政治家の質的管理/政党政治のメリット

第三章 政治に関与する精神
1 丸山真男の問題提起――政治的な思考法とは
「政治的判断」/理想と現実の二元論/抽象的なスローガン/政治的な選択とは/厳正中立の新聞報道の問題性/全体配合的思考/保守と革新/市民の自己訓練能力/半世紀後の姿/「モノ」の崩壊
2 政治参加の意味と無意味をめぐって
民主制への楽観主義/民主制への懐疑論/リップマンと幻の公衆/単純化された認識/ステレオタイプ/ナイーヴな民主制論/象徴の動員力/合意・世論の操作性/少数による政治的決定/公衆のささやかな役割/宣伝と大衆/大衆と指導者
3 競争と選択のモデル
シュンペーターの古典的民主主義批判/つくり出された人民の意志/新しい民主主義の定義/リーダーシップと競争的闘争//政治家の支配の条件/人民による政党の選択/競争的闘争と選択/プロ中心の民主主義/「公衆」の覚醒/日本政治の隘路/政治参加と経済的合理性/費用・便益を超えた行為/公的行為の世界/離脱と発言の間
4 「正しく理解された自己利益」からの出発
平等への愛/個人主義と利己主義/孤独と不安感/中央への権力集中/平等化の帰結/新しい専制/「個人主義」の克服へ/正しく理解された自己利益/トクヴィルの予言と日本の現実/昆明と改革/新しい政治への予兆/自ら権力を動かすこと/「無議の習慣」から「衆議の法」へ/政府・市場・社会

終章 政党政治の精神――日本政治のための覚書
1 政党政治はもつのか
政権党の機能停止/リーダーの質の低下か/「人材がいない」/構造的危機の現れ
2 政党政治の独特な構造
合議のプラスとマイナス/政治家と政党/経営感覚と人材/ウェーバーお政党批判/指導者民主制/政党経営と政党間競争
3 政治主導、政治家主導、首相主導
政党政治への不信/政権党内政治/首相主導/政治主導と政治家主導/政治家主導の内実/首相と与党/混乱の政党政治
4 自民党システムの歴史性
利益分配政治と超包括政党/膨大な党内体制/官僚の恒常的関与/党と政府の二元構造/政権中枢の空洞化/統合力の弱体化/日本政治の顕教と密教/政官業構造の破綻/政策中心の組織へ
5 政党改革の一つのツールとしてのマニフェスト
マニュフェストの導入/選挙公約とマニュフェスト/「政権公約」/拘束力/予見可能性を高める/時間の節約/政治的統合の装置/政治の真価/政党の条件

主な引用文献


≪著者: ≫ 佐々木 毅 (ささき・たけし) 1942年秋田県に生まれる。1965年東京大学法学部卒業。東京大学法学部教授、同大総長を経て、学習院大学法学部教授。専攻、政治学史、政治思想。著書、『マキアヴェッリの政治思想』『主権・抵抗・寛容――ジャン・ボダンの国家哲学』(以上、岩波書店)、『近代政治思想の誕生――16世紀における「政治」』(岩波新書)、『プラトンと政治』『政治学講義』(以上、東京大学出版会)、『プラトンの呪縛』(講談社学術文庫)、『政治学は何を考えてきたか』(筑摩書房)ほか多数。


佐々木毅 『学ぶとはどういうことか』(講談社、2012年) '13/01/15
佐々木毅 『民主主義という不思議な仕組み』(ちくまプリマー新書、2007年) '13/01/02
佐々木毅 『政治学講義 [第2版]』(東京大学出版会、2012年) '12/12/29
佐々木毅 『宗教と権力の政治 「哲学と政治」講義II』(講談社学術文庫、2012年) '12/12/15
佐々木毅 『よみがえる古代思想 「哲学と政治」講義I』(講談社学術文庫、2012年) '12/11/01





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本「タックスよ、こんにちは! 茶の間で語らう親子のために」石弘光5

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タックスよ、こんにちは!―茶の間で語らう親子のために
タックスよ、こんにちは! 茶の間で語らう親子のために

○著者: 石 弘光
○出版: 日本評論社 (2006/7, 単行本 203ページ)
○定価: 1,470円(品切)
○ISBN: 978-4535555020





 「タックス」といってぴんとくる人は少ないかも知れません。TAX、つまり税金のことです。
 税金は、払うときには気になるけれども、そのあとどう使われているのかまではなかなか考えないものです。まして、小中学生にとっては、「自分と関係があるの?」と不思議に思うでしょう。そんな若い世代に向けた、いちばんやさしい税金入門が本書です。
 はじめに、日々のくらしにどのように税金が使われているかをチェックします。つぎに、税金のルールについて理解を深めていきます。所得税や法人税などの個別の税の話になると、少しややこしくなりますので、お父さん、お母さんも一緒に読んで、考えてみてください。
 税率が上がる、と聞くと誰でもいやだなあ、と思うものです。でも、無条件に批判するのではなく、その背景にどのような理由があるのか、正確な知識を身に付けて、親子で存分に話し合ってほしい。そんな著者の願いのこもった一冊です。


≪目次: ≫
プロローグ (2006年5月4日 残雪の残る北アルプスの山々を眺めながら 著者)

01 私たちのくらしと公共サービス――なぜ、タックスは必要なのか
1.家族のくらしと家計
私の家族/お父さんの仕事/お母さんの仕事/お祖父さんのこと/私たちと学校
2.公共サービスの費用は?
公共サービスはタダでない/公共サービスとは何か/対価としてのタックス
3.タックスがなかったら?
生活の安全が脅かされる/低下する知的水準/老後や子育てが不安になる/これまでのまとめ

02 タックスってなに?――誰が、どう払うのか
1.タックスは国を支える基盤
国の権限/「納税者」の意識/タックスによる歴史上の事件
2.タックスのモノサシ
公平のモノサシ/水平的公平と垂直的公平/タックスによる「ゆがみ」/簡素というモノサシ
3.どんなタックスがあるのか
タックス漬けの日常生活/タックスの分類/日本のタックス

03 人の懐から支払うタックス――所得税のはなし
1.所得税ってなんだろう?
ベスト・タックスの地位/所得税の算定方法/10種類の所得カテゴリー
2.担税力の調整
課税ベースの算出/課税最低限
3.累進税率の構造
累進課税の効果/累進課税のデメリット/累進課税の仕組み
4.利子・株の儲けとタックス
所得としての特異性/解決策はあるのか

04 会社の儲けから支払うタックス――法人税のはなし
1.性格のあいまいなタックス
法人税の実態/法人とは何か
2.法人税の仕組み
法人税の算定方法/税負担水準の国際比較
3.誰が税負担するのか
狙われる会社/究極的な税負担は?

05 毎日の買い物から支払うタックス――間接税のはなし
1.消費と担税力
君たちも支払うタックス/間接税の諸タイプ/一般消費税の仕組み
2.日本の消費税
消費税の仕組み/外税か内税か/益税とその対策
3.個々の商品にかかるタックス
特別に課税してよい商品/酒税/タバコ税/ガソリン税

06 地域社会のために支払うタックス――地方税のはなし
1.身近な地域社会でのくらし
私たちの地方自治体/地方公共サービスの対価/地方税の課税ベース
2.地方税の仕組み
地方税の現状/生活に密着したタックス/応益原則の強化/固定資産税の現状
3.かたよった税収とその調整
税収の地域格差/4割自治とは/地方交付税とその調整作用

07 明日のタックスのために――皆で支えあう社会を目指して
1.タックスを取り巻く環境の変化
人口減少と少子高齢社会の到来/財政が破綻する!/国と地方の借金と財政再建
2.私たち国民の選択
受益と負担の関係/どんな選択があるのか/タックスか社会保障負担か
3.望ましいタックス・ミックス
2つの基幹税/消費税の税率引き上げ/資産課税の強化


≪著者: ≫ 石 弘光 (いし ひろみつ) 1937年、東京に生まれる。1961年、一橋大学経済学部卒業、その後同大学院を経て、一橋大学教授。一橋大学学長を経て、中央大学特任教授(を経て、一橋大学名誉教授)。財政学専攻、経済学博士。主著、『財政構造の安定効果』(勁草書房、毎日エコノミスト賞)、『租税政策の効果』(東洋経済新報社、日経・図書文化賞)、『財政構造の論理』(日本経済新聞社、サントリー学芸賞)、『税金の論理』『国の借金』(講談社現代新書)、『環境税とは何か』(岩波新書)、『税制ウォッチング』『税の負担をどうするか』(中公新書)、『税制スケッチ帳』(時事通信社)、『政策の現場から』(ぎょうせい)など多数。

石弘光 『増税時代 われわれは、どう向き合うべきか』(ちくま新書、2012年) '13/01/17





……税金は私たちが日常的な生活をするための基盤を作っているもので、もしこれが存在しなければ国や社会は成り立ちません。実は、税金を納めるのは私たち国民の義務なのです。   (pi、「プロローグ」)


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本「イスラム 思想と歴史 〔新装版〕」中村廣治郎5

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新装版 イスラム: 思想と歴史
イスラム 思想と歴史 〔新装版〕

○著者: 中村廣治郎
○出版: 東京大学出版会 (2012/12, 単行本 280ページ)
○定価: 2,625円
○ISBN: 978-4130130288




イスラムはなによりもまず宗教であり、その宗教としての本質を見失っては、イスラム社会の綜合的な把握は出来ない。本書は、聖典、預言者、共同体など宗教上の重要な個々のトピックについて語りながら、イスラムの全体像を浮び上らせようと試みる。新装復刊にあたり、山内昌之氏(東京大学名誉教授)の解説を付す。


≪目次: ≫
まえがき (一九七七年一月 中村廣治郎)

第一章 聖典――コーラン
1 コーランとは
「読誦されるもの」/コーランの形式/書物としてのコーラン/「神の言葉」としてのコーラン
2 コーランの思想(一)――信
神/天使/世界/来世/人間
3 コーランの思想(二)――行(ぎょう)
「行」の二区分/イバーダード/ムアーマラート

第二章 預言者――ムハンマド
1 社会的背景
時代状況/アラブ部族社会/メッカ社会の病弊/ハニーフ
2 メッカのムハンマド
生いたち/召命/最初期の啓示/伝導と迫害/ヒジュラ
3 メディナのムハンマド
メディナの調停者/「メディナ憲章」/メッカ側との対決/預言者の死

第三章 共同体――ウンマ
1 ウンマとは
人類史の中のウンマ/ウンマの本質/「ムハンマドのウンマ」/神とウンマの関係
2 ウンマの構造的特質
「聖なる共同体」/生活共同体/聖と俗/在家の宗教
3 ウンマの現実態
ウンマの動態/ウンマの構造的変容

第四章 「異端」――ハーリジー派とシーア派
1 ハーリジー派
正統と異端/運動の発端/運動発生の史的背景/ハーリジー派の活動/ハーリジー派の思想/ハーリジー思想の特質
2 シーア派
シーア諸派/「シーア」とは/運動の発端/カルバラー事件/ムフタールの反乱/メシア思想/ザイドの反乱/イマーム派の確立/イマーム論/シーア思想の特質

第五章 聖法――シャリーア
1 シャリーアとは
シャリーアの意味/シャリーアと実定法/シャリーアと道徳/事実性の問題/実定法としてのシャリーア/シャリーアと歴史
2 シャリーアの歴史
初期の法解釈/「前法学派」/ハディース学派/シャーフィイーの功績/正統四法学派の成立
3 ハディース
ハディースとは/ハディースの収集/ハディース集の成立/ハディース批判/イスラム的「正統」の確定

第六章 神学――カラーム
1 カラーム発生の基盤
カラームとは/「信仰」の問題/自由意志か予定か/解釈学上の問題/伝統主義の立場/カラームの展開過程
2 ムゥタズィラ派
ムゥタズィラ派の起源/「五つの原則」/神の唯一性/神の正義/啓示の意義/「非存在」の概念
3 アシュアリー派
アシュアリーの回心/神の唯一性/「見神」/神の正義/「獲得」理論

第七章 政治――スィヤーサ
1 イスラムと政治
カリフ制の意味/カリフ制の成立/政治の理念と現実/ウマイヤ朝期の政治/アッバース朝期の政治
2 イスラム政治理論の展開
アッバース朝体制の変質/古典的カリフ論/カリフ制の理念と現実/カリフ論の新しい展開/ウラマーと政治/現代的状況

第八章 神秘主義――スーフィズム
1 スーフィズムの起源
「スーフィー」の語源/禁欲主義/スーフィズム/「起源」をめぐる問題/発生の歴史的基盤
2 スーフィーの修行と目標
神秘階梯/ズィクル/ファナー/ファナーのあと/導師
3 聖者崇拝
聖者/奇蹟/スーフィーとウラマーの対立/対立の克服
4 スーフィー教団
スーフィーの組織/教団の発生/民衆化の要因/中世イスラムの展開とスーフィズム

第九章 むすび――近代への序曲
伝統主義の底流/復古運動/アフガニー

参考文献
解説 (山内昌之)
 内在的理解への姿勢/「目に見える」面と「目に見えない」面/ハワーリジュ派の提起したもの
  ※山内昌之・長崎暢子編 『現代アジア論の名著』(中央公論新社、一九九二年)に所収の文章を、一部修正のうえ解説といたしました。

新装版あとがき (二〇一二年一一月 中村廣治郎)


≪著者: ≫ 中村廣治郎 (なかむら こうじろう) 1936年福岡県に生れる。1960年東京大学文学部宗教学科卒業。1970年米国ハーバード大学大学院博士課程修了、哲学博士(Ph.D.)。1987年東京大学文学部教授。1997年同大学定年退官、桜美林大学国際学部教授。2007年同大学定年退職。東京大学名誉教授、桜美林大学名誉教授。主要著書「ガザーリーの祈禱論」(1982、大明堂)、「イスラームと近代」(1997、岩波書店)、「イスラム教入門」(1998、岩波書店)、“Ghazali and Prayer”, 2001, Kuala lumpur、「イスラムの宗教思想――ガザーリーとその周辺」(2002、岩波書店)。






……イスラムとは何であるのか。それはいかなる宗教であるのか。
 実は、この問に答えることはけっして容易ではない。そればかりか不可能でさえある。なぜならイスラムは、他の宗教についてもいえることであるが、これこれしかじかであると定義づけできるような固定的な実体として存在するものではないからである。これまでしばしば「イスラム」として説明されてきたものは、正確にいえば、特定の時代にできた教義であり、儀礼であり、制度にすぎない。これらはイスラムの一部――しかも周辺的なもの――でしかない。それはやがて変わりゆくものである。重要なのは、それらをつくり出し、あるいは破壊さえしていくもの、すなわち神(超越者)と人間との生きた人格的な関係である。イスラムでは、これはまさに「イスラーム」islām(人間の神への絶対的帰依)として表現されるものである。神とこのような関係を結ぶ人間が現実の具体的な歴史の中に生きている以上、その関係を表わす思想(象徴体系)も歴史の変化と共に変わらざるをえない。われわれにできることは、過去においてこの思想がどうであったか、それを直ちに具体的歴史に短絡するのではなく、神と人間、人間と歴史という関係の中に位置づけ、その変化の意味を理解し跡づけることでしかない。……   (pi-ii、「まえがき」)


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本「ピアニストのノート (講談社選書メチエ540)」ヴァレリー・アファナシエフ、大野英士 訳5

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ピアニストのノート (講談社選書メチエ)
ピアニストのノート  Valeri Afanassiev: “Notes de pianiste”, 2012. (講談社選書メチエ540)

○著者: ヴァレリー・アファナシエフ、大野英士 訳
○出版: 講談社 (2012/12, 単行本 320ページ)
○定価: 1,890円
○ISBN: 978-4062585439





音楽とはなにか? 音楽を演奏するとはどういうことか? 沈黙と時間は音楽と、どのような関係を結ぶのか? 人間と音楽は、どのような関係を結ぶのか? ――クラシック界の世界的鬼才ピアニストが音楽と音楽の演奏について縦横無尽に思考をめぐらせる。選書メチエのための書き下ろし論考!


[本書においてめぐらされる思考]
 創造者=作曲家と解釈者=演奏家の違いについて
 楽譜と演奏者の関係性について
 現代の芸術、および芸術家の堕落について
 シューベルト最晩年のピアノソナタについて
 愛・死など著者の個人的な生と音楽の関わりについて


A Michael Frohnmeyer et Angels Sicilia Herrero


≪著者: ≫ ヴァレリー・アファナシエフ (Valery Afanassiev, Вале́рий Па́влович Афана́сьев) 1947年モスクワ生まれ。モスクワ音楽院においてヤーコブ・ザークエミール・ギレリスに師事。バッハ国際コンクール第1位、エリザベート王妃国際コンクール優勝。1974年ベルギーに亡命、フランス在住。「ブラームス後期ピアノ作品集」でレコード・アカデミー賞器楽曲部門を受賞。詩・小説・評論など、文学方面でも積極的に活動を続ける。日本で翻訳されている著書に『音楽と文学の間』(論創社)、『天空の沈黙』(未知谷)などがある。

[訳者: ] 大野英士 (おおの・ひでし) 1956年東京生まれ。フランス文学者。パリ第七大学大学院で文学博士号取得。早稲田大学非常勤講師。著書に『ユイスマンスとオカルティズム』(新評論)がある。






 私はヴェルサイユの街を散歩している。だが、今日に限っては珍しく、音楽がいっしょにいてくれるような感じがない。それも、音楽はふつう、いつでも、どこにでもあるはずなのにそう思ったのだ。聞こえるのは、音楽とはまったく関係のないものばかり――   (p4、「第一部」)


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本「ルソー (岩波現代文庫G266)」福田歓一5

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ルソー (岩波現代文庫)
ルソー (岩波現代文庫G266)

○著者: 福田歓一
○出版: 岩波書店 (2012/6, 文庫 320ページ)
○定価: 1,239円
○ISBN: 978-4006002664




つきあかるくよそらきよく


……時代の変容にもかかわらず、著者なのルソー論がなお我々に訴えかける力を有しているのは、それが文明社会を生きることの倫理をめぐる考察であるからに他ならない。そしてそのことは同時に、今年生誕三百年を迎えるルソーの思想を古典として読むことの意義を鮮明に浮かび上がらせているのである。 (p306、「解説/吉岡知哉」)

ジャン‐ジャック・ルソーはアッピールの強烈な思想家である。
……  (p2、「I 思想家ルソー、1 ルソーの影響」)


フランス革命に多大な影響を与えた思想家ジャン‐ジャック・ルソー(一九一二〜七八)は、文明批判、歴史哲学、経済理論、教育理論、政治理論、宗教思想、音楽ときわめて多岐におよぶ分野で文筆活動をおこなった。その人と生涯、思想の全体像を政治思想の泰斗が一般向けに平易に語る本書は、ルソー入門の決定版である。付論として「文明の現在――ルソーに引照して」を併載。


≪目次: ≫
まえがき(一九八五年十二月 福田歓一)

I 思想家ルソー
1 ルソーの影響力
2 思想の特質
3 わたくしのルソー研究

II ルソーの人と生涯
1 幼少年時代
2 依存時代
3 思想的立場の確立
4 田園生活
5 著作活動と迫害
6 無実の訴え

III ルソーの著作
1 文明批判
 一 『学問芸術論』から『不平等起源論』まで
 二 『学問芸術論』
 三 『人間不平等起源論』の自然状態
 四 人類史のサイクル
 五 文明社会とその批判
2 秩序と徳性――『新エロイーズ』の世界
 一 ルソーと小説
 二 展開
 三 現実を映した構成
 四 「私的共同体」の構想
 五 秩序補完の徳性とその挫折
3 人間の教育――『エミール』の世界
 一 『エミール』と社会
 二 人間の教育
 三 教育の展開
  (1) 設定と出発/(2) 幼年期/(3) 少年期/(4) 青年期/(5) 結婚
 四 現実に対置されたもの
4 公民の共同体――『社会契約論』の世界
 一 国家の問題
 二 国家の構成
  (1) 社会契約と人民主権/(2) 全面譲渡の意味/(3) 一般意志の条件/(4) 立法の課題
 三 立法と統治
  (1) 立法者と建国の条件/(2) 政府とその諸形態
 四 国家の存立を求めて
  (1) 政府の堕落と主権の維持/(2) 機構より内面へ
 五 人間の正義・人間の秩序

結びに代えて
研究のための文献案内について
ルソー関係年表

付論 文明の現在――ルソーに引照して (一九八〇年一〇月大分市での講演)

解説/吉岡知哉(立教大学総長・政治思想史)


※本書は一九八六年一月講談社より「人類の知的遺産」シリーズの一冊として刊行された。文庫化に際し写真と索引は削除し、「文明の現在」(『世界』一九八一年一月号)を併録した。底本には『福田歓一著作集』第六巻(岩波書店、一九九八年)を用いた。


≪著者: ≫ 福田歓一 (ふくだ かんいち) 1923-2007年。東京大学法学部教授、明治学院大学学長を歴任。東京大学名誉教授。政治哲学。政治学史の深い学識をもって現実政治を批判的・原理的に考察した。『デモクラシーと国民国家』(岩波現代文庫)『近代の政治思想』『近代民主主義とその展望』(岩波新書)ほか。主要な作品は『福田歓一著作集』全10巻(岩波書店)に収録されている。


ジャン=ジャック・ルソー 『孤独な散歩者の夢想  Les Rêveries du promeneur solitaire, 1782 』(永田千奈 訳、光文社古典新訳文庫、2012年) '12/10/13
ルソー 『孤独な散歩者の夢想』(今野一雄 訳、ワイド版岩波文庫、2001年) '08/12/02
ルソー 『社会契約論/ジュネーヴ草稿  Du contrat social, 1762 』(中山元 訳、光文社古典新訳文庫、2008年) '08/10/29
ルソー 『人間不平等起源論  Discours sur l'origine et les fondements de l'inégalité parmi les hommes, 1755 』(中山元 訳、光文社古典新訳文庫、2008年) '08/09/11






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本「倭寇と勘合貿易 〔増補〕 (ちくま学芸文庫)」田中健夫、村井章介 編5

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増補 倭寇と勘合貿易 (ちくま学芸文庫)
増補 倭寇と勘合貿易 (ちくま学芸文庫)

○著者: 田中健夫、村井章介
○出版: 筑摩書房 (2012/12, 文庫 299ページ)
○定価: 1,365円
○ISBN: 978-4480095046



倭寇という言葉はもともと外国語であった。(p019、「第一章 前期倭寇の発生とその活動、一 倭寇の意味」)


14世紀から16世紀にかけて、東アジア各国は激動の時代を迎える。中国ではが成立し、朝鮮半島では李氏朝鮮が誕生、琉球では尚巴志が三山を統一し、日本では南北朝が合一する。さらに諸国間の関係においても、朝鮮軍の対馬襲撃、朝鮮での倭人動乱、ヨーロッパ勢力の進出、秀吉の朝鮮侵略など、数多くの大事件が勃発した。こうした中、真の意味で覇権を手にしえたのは「双嶼」などの貿易基地を押さえ、海を制した者だった。国家間の公貿易である「勘合貿易」や自由商民「倭寇」の活動を通して、海の道でつながる東アジア世界の全体像をはじめて明らかにした、対外関係史の歴史的名著。


≪目次: ≫
はしがき (昭和三十六年九月 田中健夫)

第一章 前期倭寇の発生とその活動
一 倭寇の意味
 倭寇という言葉は外国語/倭寇発生の時期/倭寇という言葉の意味
二 前期倭寇の活動状況
 前期倭寇と後期倭寇/前期倭寇の侵寇回数/倭寇活動の展開/最盛期の倭寇/倭寇勢力の減退
三 前期倭寇の根拠地と組織
 三島の倭寇/三島の経済事情/倭寇の統率組織
四 倭寇発生の原因
 通交関係の断絶/米と奴隷/元寇の影響/高麗の弱体
五 前期倭寇の分解
 外交折衝/軍備の充実/倭寇の内陸深入/投化倭人/使走倭人/興理倭人/倭寇転身の三つの方向
六 中国大陸の倭寇
 日元の通交関係/元への倭寇/明への倭寇とその防備/明と征西将軍との交渉/「不征之国」日本
七 前期倭寇の終息
 望海堝の戦/応永の外寇

第二章 勘合貿易体制の成立
一 足利義満の対明交渉開始
 応永八年の使節派遣/日本国王源道義/銅銭の魅力/義満の異国趣味
二 日明貿易の制度
 勘合貿易はアジアの貿易体制/日明間の勘合制度/勘合符の形状/遣明船と五山の禅僧
三 日鮮通交関係の展開
 日鮮両国の利害関係の合致点/大内氏と朝鮮との通交/朝鮮による通交関係の統制
四 日鮮統制貿易体制の完成
 応永の外寇後の通交関係/通交統制の諸制度/貿易統制強化の諸原因

第三章 遣明船貿易の展開
一 室町幕府の対明交渉
 足利義持の対明交渉拒否/足利義教の通交復活/足利義政時代の遣明船
二 対明貿易における細川・大内二氏の対立
 対明貿易における細川・大内二氏の立場/文明八年の遣明船/文明十五年の遣明船/明応度の遣明船/永正年間の遣明船/大永年間の遣明船と寧波の乱
三 大内氏の遣明船独占
 天文八年の遣明船/堺商人の派船計画/天文十六年の遣明船
四 遣明船の経営
 遣明船派遣に要する費用/遣明船乗組員の構成/遣明船の船舶/遣明船の行程/遣明船の警固
五 遣明船貿易
 進貢貿易/公貿易/私貿易/遣明船の利益

第四章 日鮮貿易の推移
一 通交貿易者
 通交貿易者の地域別構成/時代による通交貿易者の変遷
二 貿易の方法
 浦所の設定/倭館の貿易/使船乗組員の構成/公貿易と私貿易
三 経典の求請と寺院勧進船の派遣
 室町幕府の対鮮態度/大蔵経の輸入/寺院勧進船の派遣
四 朝鮮織物の輸入
 朝鮮における織物の生産/朝鮮における織物の貨幣的機能/日鮮貿易における織物の輸入
五 朝鮮における日本品の需要
 貿易品の種類と需要/貿易品の特質と東アジアの情勢

第五章 南海貿易の盛衰
一 室町初期の南海との関係
 南蛮船の来航/琉球船の海外発展/琉球船の畿内来航/琉球船の九州来航
二 室町後期の南海交通
 堺商人の琉球貿易/島津氏と琉球の特殊関係

第六章 勘合貿易体制の崩壊
一 明における解禁政策の破綻
 朝貢貿易と解禁政策/密貿易者と沿海官豪/東アジア海上の国際貿易関係/国際貿易と銀/日本商船の渡航/明商船の来航/朱紈の解禁強行
二 日鮮交通における貿易権の対馬集中
 授図書・授職制度の変遷/三浦の変/壬申約条/丁未約条/丁巳約条/貿易権の対馬集中

第七章 後期倭寇の消長
一 後期倭寇の活動状況
 嘉靖の大倭寇/倭寇活動の様相/倭寇王王直の登場/鉄砲伝来と王直/徐海と新五郎
二 明の対策と倭寇の終息
 海防責任者の交替/胡宗憲、王直を誘殺/倭寇残類の活動/後期倭寇の終息
三 後期倭寇の特質
 真倭は一〇の三/日本における倭寇の根拠地/倭好/日本認識の拡大

前期倭寇の侵寇回数一覧
後期倭寇の侵寇回数一覧
遣明勘合船一覧
参考文献

付録
 一 倭寇か、和寇か (『東書 高校通信』日本史三、一九六四年八月)
 二 ある日の堺 (『東書 高校通信』日本史一四、一九六五年七月)

解説 対外関係史の初心(村井章介)
索引


※本書は、一九六一年九月二十五日、至文堂により、日本歴史新書『倭寇と勘合貿易』として刊行された(のち、一九六六年十一月十日に、索引に読みがなを付し、日本歴史新書増補版『倭寇と勘合貿易』として同社より刊行)。


≪著者: ≫ 田中健夫 (たなか・たけお) 1923年、群馬県生まれ。東京帝国大学文学部国史学科卒業。東京大学史料編纂所教授、東洋大学教授などを経て、東京大学名誉教授。2009年没。主な著書に、『島井宗室』『中世対外関係史』『倭寇──海の歴史』『対外関係史研究のあゆみ』などがある。

[編者: ] 村井章介 (むらい・しょうすけ) 1949年、大阪府生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学史料編纂所を経て、同大学院人文社会系研究科教授。主な著書に、『世界史のなかの戦国日本』『境界をまたぐ人びと』などがある。

申叔舟 『海東諸国記 朝鮮人の見た中世日本と琉球』(田中健夫 訳注、岩波文庫、1991年) '12/03/04
田中健夫 『倭寇 海の歴史』(村井章介 解説、講談社学術文庫、2012年) '12/02/19






 この書物は、倭寇と勘合貿易の問題に焦点を合わせながら、中世における日本と外国との関係を考察し、その全貌と実情とを明らかにしようとするものである。
 構成と叙述に当たっては、とくに二つの点に注意した。第一は問題をアジア各国の国内事情との関連において把握すること、第二はなるべく広範な国際的視野から検討することである。
 十四世紀から十六世紀に至る時代は、アジアの国々がそれぞれに政治的にも経済的にも大きな変革を経験した時期で、国際的にはこれら諸国の国内事情を反映して多彩である。またこの時代は日本人が積極的に海外に出ていった時代である。……   (p008、「はしがき」)



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本「現代日本の政党デモクラシー (岩波新書1398)」中北浩爾5

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現代日本の政党デモクラシー (岩波新書)
現代日本の政党デモクラシー (岩波新書1398)

○著者: 中北浩爾
○出版: 岩波書店 (2012/12, 新書 256ページ)
○定価: 840円
○ISBN: 978-4004313984




なぜ日本政治は混迷しているのか。一九九四年の小選挙区制の導入から、マニフェスト選挙の開始、二〇〇九年の政権交代を経て、現在にいたる政党政治の構造的変化を、「競争デモクラシー」という概念を鍵に解き明かす。長年積み重ねられてきた政治改革の問題点を検討し、岐路に立つ日本の政治のこれからを考える。


≪目次: ≫
はじめに
 図表「主要政党の変遷」

序章 競争デモクラシーとは何か
1 二つの競争デモクラシー
 マニュフェストという考え方/ダウンズの民主主義モデル/シュンペーターの民主主義モデル/エリート競争型と市場競争型
2 参加から競争へ
 参加デモクラシー/ネットワーク型政党と比例代表制/日本型多元主義と保守復調/競争主義と市場モデルの浸透

第1章 小選挙区制導入への道
1 小選挙区制とエリート競争型デモクラシー
 自民党長期政権のための小選挙区制/自民党「政治改革大綱」の画期性/小沢一郎の『日本改造計画』
2 穏健な多党制という選択肢
 社会党と政治改革/日本新党と新党さきがけ/日本型多元主義と政治改革
3 細川内閣と選挙制度改革の実現
 細川「政治改革政権」の成立/小選挙区制への傾斜/連立の瓦解と新進党の結成

第2章 マニフェスト選挙の始まり
1 自民党の政権復帰と政治改革
 政党助成制度と「三分の二条項」の撤廃/橋本内閣の行政改革自自公政権と小沢のイニシアティヴ
2 民主党の結成と変容
 旧民主党の結成/新進党の解党と新民主党の結成/サポーター制度の失敗と民由合併
3 市場競争型デモクラシーへ
 民間政治臨調による小選挙区比例代表連用制の提案/小選挙区制度支持への転換とその理由/二一世紀臨調によるマニュフェスト選挙の提唱

第3章 政党政治の構造的変容
1 二大政党化の進展と二院制
 デュベルジェの法則/二大政党化の進展/参議院という難問
2 無党派層の増大と政党組織の変化
 増加する無党派層/党員と支持団体の衰退/選挙至上主義的な議員政党へ
3 選挙プロフェッショナル政党へ
 マニュフェストの集権化機能/イギリスと日本のマニュフェスト/選挙プロフェッショナル政党への傾斜

第4章 市場競争型デモクラシーの隘路
1 小泉改革とは何だったのか
 ポピュリストとしての小泉純一郎/民主党の台頭と小泉改革の加速/郵政選挙と自民党の圧勝
2 ポスト小泉と「ねじれ国会」
 安倍晋三の政治戦略とその困難/小沢一郎と民主党の路線転換/「ねじれ国会」と大連立の失敗
3 民主党政権の成立と挫折
 民主党マニュフェストと政権交代/行き詰る鳩山内閣/菅直人の賭けと失敗の代償

終章 岐路に立つ日本の政党政治
1 政党なきエリート競争型デモクラシー
 市場競争型デモクラシーの限界/「決められない政治」と二大政党離れ/橋下徹の「決定できる政治」/政党なきエリート競争型デモクラシー
2 競争から参加へ
 ハーシュマンの議論から考える/参加のためのマニュフェスト/穏健な多党制と「ねじれ」の解消/もう一つの政治改革の系譜

参考文献
あとがき (二〇一二年一一月 中北浩爾)

国会議員選挙の結果
年表 (1988〜2012年)


≪著者: ≫ 中北浩爾 (なかきた・こうじ) 1968年三重県生まれ。1995年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程中退。立教大学法学部教授などを経て、一橋大学大学院社会学研究科教授、博士(法学)。専攻、日本政治外交史、現代日本政治論。著書、『経済復興と戦後政治』(東京大学出版会、1998年)、『一九五五年体制の成立』(同、2002年)、『日本労働政治の国際関係史 1945‐1964』(岩波書店、2008年)ほか。


山口二郎 『政権交代とは何だったのか』(岩波新書、2012年) '12/03/09






 一九五五年に始まる自民党長期政権は、一九九三年の細川護煕内閣の成立によって終わりを迎え、その翌年、衆議院の選挙制度などを変える政治改革が行われた。……   (pi、「はじめに」)


……
 民主主義の歴史は、古代ギリシア以来、はたして一般の人々が政治について合理的に判断する能力を持ち合わせているのか、という疑問との格闘の歴史であった。シュンペーターのモデルは、それへの一つの解答である。すなわち、具体的な政策については判断できないが、誰が判断できるかについては判断できると主張し、一般の人々の参加を政治家の選出に限定することで、この難問を解いてみせたのである。こうしたエリート主義的な競争デモクラシーを批判して台頭したのが、参加デモクラシーであった。そこで示された、一般の人々も十分に参加する機会を獲れば、政治を担う存在になりうるという人間観は、他者との対話によって政治的判断力を高められるとする現在の討議デモクラシーにも引き継がれている。
 ……   (p220、「あとがき」)



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本「無限 その哲学と数学  The Infinite (講談社学術文庫2141)」A. W. ムーア、石村多門 訳5

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無限  その哲学と数学 (講談社学術文庫)
無限 その哲学と数学  A. W. Moore: “The Infinite”, Routledge, 1991 および 2nd Edition “Preface to the Second Edition” 2001 (講談社学術文庫2141)

○著者: A. W. ムーア、石村多門 訳
○出版: 講談社 (2012/11, 文庫 616ページ)
○定価: 1,733円
○ISBN: 978-4062921411




アリストテレスは、無限は可能的には存在するが、現実的には存在しないと述べた。数学的な無限は認めても形而上学的な無限は認めなかったのだ。カントヘーゲルらの哲学的思考、カントールの集合論の衝撃、ゲーデルの定理などを経てヴィトゲンシュタインへ。古代から現代までを通覧し、「無限」と「死」と格闘した人類の思索を跡づける魅惑の名作。


≪目次: ≫
第二版への序文 (A・W・ムーア)
序文

序章 無限のパラドクス
1 無限小のパラドクス
 .▲レスと亀のパラドクス/断続的な走りのパラドクス/神々のパラドクス/な割された棒のパラドクス
2 無限大のパラドクス
 ゞ数のパラドクス/対のパラドクス/E傾颪斑蝋の二人の男のパラドクス/ぅ曠謄襪離僖薀疋ス
3 一と多のパラドクス
4 無限に関する思考のパラドクス

第一部 歴史
第一章 古代ギリシアの思想
1 アナクシマンドロスと〈ト・アペイロン
2 ピュタゴラス学派
 ピュタゴラス学派の証明
3 エレア派
 パルメニデスとメリッソス/ゼノン/〜者のパラドクス/¬陲離僖薀疋ス/ゼノンの議論
4 プラトン
5 古代ギリシアの数学者
 アルキュタスの議論
第二章 アリストテレス
1 予備的考察
2 問題
3 解決 可能的無限と現実的無限
4 解決の適用
 時間と空間が分割によって無限であることのアリストテレスの証明
5 残された問題
第三章 中世とルネサンス
1 ギリシアの遺産 反発と発展
 ピロポヌスの議論
2 トマス・アクィナス
3 後期の発展 数学的無限
 コンセンサス 自義語/共義語(categorema/syncategorema)の区別/ドゥンス・スコトゥスの議論/議論の応酬/グレゴリウスの議論/ガリレオのパラドクス
4 ニコラウス・クザーヌス ルネサンスの終末
第四章 微積分学
1 微積分学の基本原理
2 微積分法小史
 ライプニッツとニュートン/ライプニッツ・ニュートンを越えて
3 現況を点検する
 (a) ランプのパラドクス/(b) 宇宙船のパラドクス
第五章 合理論者と経験論者
1 合理論者
 ライプニッツ以前/ライプニッツ
2 経験論者
第六章 カント
1 背景 カント哲学の概要
2 形而上学的無限と数学的無限
3 世界の無限性 アンチノミー
 (1) 第一アンチノミー
  (a) 世界は無限に古くも、無限に大きくもあり得ないことについての証明/(α) 世界は無限に古くはありえないことに関する証明/(β) 世界が無限に大きくはあり得ないことに関する証明
  (b) 世界の古さや大きさが有限なものではあり得ないことの証明
 (2) 第二アンチノミー
  (a) 合成されたものは際限なく分割可能でありえない、という証明
  (b) 合成体は、単純で分割不能な諸部分を持ち得ない(その分割可能性がある限界で終了するということはあり得ない)ことの証明
 二つのアンチノミーの一般的源泉

4 理性の無限性
第七章 カント以後の無限の形而上学
1 ヘーゲル
2 ヘーゲル以降の無限の形而上学の思想潮流 I 「形而上学的に大きい」
 ロイスの議論
3 ヘーゲル以降の無限の形而上学の思想潮流 II 「無限小」
4 ヘーゲル以降の無限の形而上学の思想潮流 III 実存主義者
5 ニーチェ
第八章 無限の数学 カントールの衝撃
1 ボルツァーノ
 ボルツァーノの議論/デデキントの議論
2 数学の基礎づけに関する一九世紀末前後の仕事
 フレーゲの議論/ラッセルのパラドクス
3 カントール理論の要諦とその最初の受容
 カントールの対角線論法/カントールの未解決問題
4 順序数の理論 ブラリ‐フォルティのパラドクス
 数列化の定義/ブラリ‐フォルティのパラドクス
5 このパラドクスに対するカントールの態度
6 以後の発展 公理化
第九章 カントールの衝撃に対する反応
1 直観主義
2 有限主義
 ヒルベルトのプログラム
3 ヴィトゲンシュタイン
4 現代の思想

第二部 無限を査定する
第一〇章 超限数学
1 集合の反復的概念 「全ての集合の集合」のパラドクス
 あらゆる集合集合のパラドクス
2 集合としての順序数
3 基数 無限集合を測る
 カントールの連続体仮説
4 連続体仮説
5 加算による無限と分割による無限について(再考)
第一一章 レーヴェンハイム‐スコーレムの定理
1 この定理の紹介 反論と反駁
2 スコーレムのパラドクスの解決 懐疑主義と相対主義
3 懐疑主義と相対主義への反駁
4 意味と理解 この定理は最終的に無害化される
5 それでも消えないパラドクス
第一二章 ゲーデルの定理
1 導入 ユークリッドのパラダイム
2 ゲーデルの定理の証明の粗描
3 ヒルベルトのプログラム
4 人間精神とコンピュータ
5 自己意識
6 意味と理解
第一三章 語ることと示されること
1 『論考』における「語ること/示されること」の区別
2 語ること/示されることの区別の概念
3 無限に関するヴィトゲンシュタインの初期の見解
 『論考』 形而上学的無限/数学的無限
4 無限なるものと言表不可能なもの
 仝殿絅リシア数学/▲ント/カントール/ぁ慙盛諭
第一四章 無限を査定する、歴史を見直す
1 無限なるものと言表不可能なもの――古代ギリシア、中世とルネサンス、カント以降の思想における
2 アリストテレスとカント 成功しない妥協?
3 経験論者 非妥協的な成功?
4 ヴィトゲンシュタインの批判 アリストテレスとカントは弁護されたか?
 カント/アリストテレス
5 無限の一致の不可能生徒排中律
6 直観主義の問題
第一五章 人間の有限性
1 人間の有限性の本質
2 時間
3 理性の理念としての無限 語ること/示されることの区別(再論)
 補足と予告
4 人間の有限性の痛み 死
 私の隠れた不死性というお話
5 有限であること


術語一覧
 自然数(natural number)/有理数(rational number / rational)/実数(real number / real)/ト・アペイロン(to apeiron)/ペラス(peras)/算術(arithmetic)/解析学(analysis)/集合N/集合R/べき集合(power-set)/順序数(ordinal number / ordinal)/ω/Ω/整列(well-ordering)/ZF/集合(Set)/可算(countable)/不可算(uncountable)/基数(cardinal number / cardinal)/連続体仮説(continuum hypothesis)
参考文献
索引
訳者あとがき
解説/野矢茂樹(東京大学教授・哲学)


※本書の原本は、一九九六年、東京電機大学出版局より刊行されました。


≪著者: ≫ A. W. ムーア (Adrian William Moore) オックスフォード大学哲学科教授。『諸観点』(Points of View, Oxford University Press, 1997)などの著作がある。

[訳者: ] 石村多門 (いしむら たもん) 東京大学大学院人文科学科博士課程満期退学。東京電機大学理工学部教授

有田正光/石村多門 『ウンコに学べ!』(ちくま新書、2001年) '08/06/26

中村秀吉 『パラドックス Paradox 論理分析への招待』(講談社学術文庫、2012年) '12/12/29






 本書の目的は、無限が、過去二千五百年にわたって、西欧世界の様々な思想家によって、いかに理解されてきたかを理解することを通じて、無限の理解に達しようとすることにある。
 しかし最初に、無限に関して、無味乾燥で本質的な、論争の余地のない定義を与えるというのは、適切なやり方ではないだろう。それには、二つの理由がある。第一に、無限が定義可能であるか否かは、まさに無限に関する中心的な論題であるからである。多くの人々が、定義は不可能だと感じてきた。なぜなら、無限をあれこれ定義しようとすれば、そのあれやこれやであることは既に、一種の限界づけられ条件づけられた在り方になるという事実に突き当たってしまうからである(したがって、無限とは、あたかも定義上、「定義され得ないもの」として定義されるようなものでもある。これもまた、無限をめぐるパラドクスの一つであり、本章の後半で検討したい)。にもかかわらず、無限を定義しようという試み、あるいは、無限が定義不能であるとするなら、なぜそれは定義不能なのかを説明しようとする試みが、無限の思想史を通じて幾度となく行われてきた。そして、この事実が、無限の定義を本研究の冒頭で与えることが適切でないと考える第二の理由になる。……   (p40-41、「序章 無限のパラドクス」


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本「日本国はいくら借金できるのか? 国債破綻ドミノ (文春新書849)」川北隆雄5

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日本国はいくら借金できるのか?―国債破綻ドミノ (文春新書)
日本国はいくら借金できるのか? 国債破綻ドミノ (文春新書849)

○著者: 川北隆雄
○出版: 文藝春秋 (2012/2, 新書 233ページ)
○定価: 819円
○ISBN: 978-4166608492




政府債務残高の対GDP比200%


欧州の金融危機は対岸の火事ではない。ギリシャよりはるかに深刻な財政状況を年に約30兆円増える借金がさらに圧迫。早ければ7年後には、国の借金が、個人金融資産1500兆円を上回る事態が生じかねないのだ。日本破綻の「Xデー」は近い――。


≪目次: ≫
はじめに

プロローグ 戦慄の近未来図
神田カルチェ・ラタン」再び/国債の未達から財政破綻へ/破壊される国民生活/情け容赦がないIMF官僚

第1章 ギリシャ発ユーロ圏へ・危機の連鎖
破綻の瀬戸際・ギリシャ危機/国家ぐるみの「粉飾経理」/ユーロ防衛に結束/救済策はなぜ遅れたか/薄氷の支援機能強化/危機は飛び火する/南欧四カ国で政権交代/「名誉の孤立」を選んだ英国/国債価格が下がると、なぜ金利が上がる?/中央銀行は長期金利を制御できない/ユーロが抱えた構造的欠陥/欧州の盟主の座/ユーロは「ドイツ封じ込め」が目的

第2章 米国債格下げの衝撃
米国債が初の格下げ/米議会は必死に反論/G7協調綻びで日本孤立/なぜか買われた米国債/債務削減をめぐる政治的思惑/ニクソンが断ち切った金の呪縛/金・ドル本位制からドル本位制に/ドル本位制の終わりの始まり/国債とは何か/格付けは信用できるのか/格付け会社は何を重視するか

第3章 国債は「絶対安全」ではない――ロシアとアルゼンチンで起きたこと
超大国・ロシアでデフォルト/旧ソ連崩壊後の超インフレ/投機筋の餌食になったアジア諸国/IMF進駐軍の苛烈な政策/泡と消えた「ラプラタの奇跡」/アルゼンチン危機の教訓

第4章 「火車」の上の日本財政――ギリシャ危機どころではない
日本もIMF管理下に?/世界で最悪の日本財政/国の借金はどれだけある?/大震災で財政はさらに悪化/「日本国債は危なくない」!?/個人金融資産は国債の担保か/「個人金融資産一千五百兆円」の虚実/貿易赤字は一時的か/経常赤字転落は近い?

第5章 「デン助」と呼ばれた男
よみがえった過去の亡霊/「壊れた人形」を操ったのは……/剛腕・デン助 失敗の本質/財政再建至上主義/郵政トップに旧大蔵OBの謎/財務省は「ネバー・ギブアップ」/リーマン・ショックで暗転/プライマリーバランス黒字化の意味/目標は債務残高の対GDP比

第6章 「未達」から破綻へ
「X-dayプロジェクト」/「未達」の衝撃/未達を起こした要因/国債売りは小さなきっかけで/国債発行額は毎年百数十兆円/個人向け国債は「亡国」への道?/海外頼みは「ギリシャ化」への道/個人貯蓄を食いつぶす国の借金/Xデーは明日かもしれない

あとがき (二〇一二年一月三十一日  川北 隆雄)


≪著者: ≫ 川北隆雄 (かわきた たかお) 1948年大阪生まれ。72年、東京大学法学部卒業後、中日新聞社入社。同東京本社(東京新聞)経済部記者、デスク、論説委員など、20年以上にわたり財務省および財政担当。編集委員、専修大学非常勤講師。政府税制調査会専門委員などを歴任。著書に『財政の正体』(講談社現代新書)、『経済論戦 いま何が問われているのか』(岩波新書)など。


石弘光 『増税時代 われわれは、どう向き合うべきか』(ちくま新書、2012年) '13/01/17






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本「中国人民解放軍の実力 (ちくま新書985)」塩沢英一5

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中国人民解放軍の実力 (ちくま新書)
中国人民解放軍の実力 (ちくま新書985)

○著者: 塩沢英一
○出版: 筑摩書房 (2012/11, 新書 222ページ)
○定価: 798円
○ISBN: 978-4480066886



中国は大国だ


中国の軍事力に対する警戒感が高まっている。空母の建造、対艦弾道ミサイルや次世代ステルス戦闘機の開発……など、経済成長を背景に、軍備も膨張し続けている。領土・領海への野心も小さくない。けれど、その実力は未知数である。他国に比べて情報が少ないため、専門家でも評価が極端に異なるのだ。パワーを得た彼らが暴発することはないのか。そもそもどんな思想のもと、彼らは何を目指しているか。特派員として現地を取材し、数々のスクープを上げたジャーナリストが、不透明な中国軍の裏側をえぐる。軍幹部の証言や、独自入手した資料で浮かび上がった、人民解放軍の実像とは。


≪目次: ≫
はじめに

第一章 カジノが空母に化ける――海洋戦力
大連に巨大な船/空母買わないと明言/民間の観光会社が購入/海軍と同じ塗装/〇四八弁公室/メディアを操作/空母の父が推進/国力の象徴/目立つコピー装備/上海で国産化/「現役0、退役3、建造中1」で世界一一位/目指すは海洋国家

第二章 先制不使用は絶対ではない――核戦略
コンクリートで埋められた核関連施設/蘭州に濃縮ウラン工場/巨大な地下基地/国家主席の黒いアタッシュケース/日本も照準/核政策は調整する/やるときは本気でやる/先制不使用の建前と本音/作戦には制約か/非先制攻撃/最小限核抑止戦略

第三章 目指すは制天権――宇宙開発
平和利用を強調/天を制する/空天一体化戦略/スターウォーズが触発/ミサイル迎撃システム/宇宙ステーションへ

第四章 外国兵器は特別枠――国防費
お決まり会見/財政省に別枠予算/二つのラインで管理/消えた大使館のウェブページ/実質は一・五倍/詳細な日本の予算公表/把握が不可能?/自給自足していた軍隊/米国の五分の一

第五章 攻撃は最大の防御――国防政策
積極防御理論/近海は攻撃的に/台湾の位置付けも変化/「接近阻止・領域拒否」戦略/尖閣への長期戦略/尖閣奪還の強硬論も/沿岸警備隊構想/利益辺疆の思想/西太平洋を視野

第六章 党の軍隊――文民統制
主席も知らない軍事行動/虚構の国防省/特殊な党軍関係/軍人の政治力/暗黙の棲み分け/党への絶対的忠誠/外務省も建前だけ

第七章 無駄と腐敗――闇の軍組織
親の七光り/太子党天下/陸軍への不満/空軍も巻き返し/内部の利権対立/効率も低下/賄賂が横行/巨大組織民兵/増える一人っ子/職責と給与

第八章 自らまいた種――中国脅威論
脅威で抑止/孫子の兵法/世論戦で揺さぶる/心理戦の恐怖/日中交渉でも実践/虚実を織り交ぜ/超秘密主義/国内でも懸念の声

第九章 米国が目標――安全保障観
既成の国際秩序に不満/歴史の呪縛/日本を軽蔑/北朝鮮は緩衝地帯/南シナ海に焦り/武力解決には慎重/主張する外交に変化/アジアの大国志向/覇は唱えない/分岐点に立つ中国

あとがき
参考文献


≪著者: ≫ 塩沢英一 (しおざわ・えいいち) 1963年東京生まれ。慶應大学文学部卒。1987年共同通信入社。佐賀支局、札幌支社、社会部、外信部、ジャカルタ特派員、中国特派員などを経て、外信部次長。特派員として長く中国を取材。党や軍の幹部を追及してスクープをものにしながら、各地を歩いて市民と触れ合うなど、多面的な視点からの報道で定評がある。著書には『インドネシア烈々』(社会評論社)、共著に『中国に生きる』(共同通信社)、『東アジア交錯するナショナリズム』(社会評論社)、『香港軍票と戦後補償』(明石書店)、『旅行ガイドにないアジアを歩く・香港』(梨の木舎)などがある。






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本「神聖ローマ帝国 (講談社現代新書1673)」菊池良生5

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神聖ローマ帝国 (講談社現代新書)
神聖ローマ帝国 (講談社現代新書1673)

○著者: 菊池良生
○出版: 講談社 (2003/7, 新書 264ページ)
○定価: 777円
○ISBN: 978-4061496736



神聖ローマ帝国って何なのだ?」という問いを続けることでドイツを中心としたヨーロッパの歴史を辿ることになる   (p23、「序章 神聖ローマ帝国とは何か」)

ぼくが手にしている(図書館から借りて読んだ)のは、第10刷(2008年2月20日発行)版



この国にフランスは嫉妬し、イタリアは畏怖し、ローマ教皇は、愛し、かつ憎んだ。
中欧に存在した不思議な「帝国」に一千年史。ドイツはじめ中欧諸国の母胎となったこの帝国は、教皇や周辺諸国、諸侯と合従連衡と抗争を繰り返しながら、中世史の一極をなし続けた。その実体を解き明かす。


≪目次: ≫
序章 神聖ローマ帝国とは何か
ゲーテが見た帝国の最期/百年後に復活/ドイツ歴史学派による神聖ローマ帝国ルネッサンス/何が「神聖」で何が「ローマ」なのか

第一章 西ローマ帝国の復活
王権と教権の利害が一致/フランクカールの皇帝戴冠/古代ローマこそヨーロッパ人の理想/戴冠による教皇権の確立/「帝国」の中心はあくまでもローマ

第二章 オットー大帝の即位
カールの帝国の分裂/世襲選挙王制だったゲルマン王国/オットー一世による帝国教会政策/皇帝と教会の立場が逆転/イタリア支配のために諸侯に権限を与える

第三章 カノッサの屈辱
「ローマ帝国」が公式文書の初登場/コンラート二世によるドイツ国内の王権強化策/ローマ教皇庁の堕落とクリュニー修道院の改革運動/ハインリッヒ三世の早世と教皇庁の皇帝支配からの脱却/イルデブランドの策略/孤立無援の皇帝権再建/グレゴリウス七世による皇帝破門/「屈辱」後も続く皇帝と教皇の争い

第四章 バルバロッサ――真の世界帝国を夢見て
皇帝党対教皇党/皇帝による世界支配を追い求める/ロンバルディア都市同盟との争い/教皇神権政治の否定と「神聖帝国」の命名

第五章 フリードリッヒ二世――「諸侯の利益のための協定」
早熟の天才/教皇インノケンティウス三世のドイツ−シチリア離反策/シチリア両王国の再建に取り組む/宗教を超えた古代ローマ帝国復活を希求/ドイツは属州のひとつ/臨終までイタリア各地を転戦/「皇帝らしい皇帝」の時代の終焉

第六章 「大空位時代」と天下は回り持ち
実体なき帝国/教皇も憂慮する帝国の乱れ/ルドルフ・フォン・ハプスブルク/イタリアより王家の家領政策/王位はめぐる/フランス王家の教皇庁進出/フランス・アヴィニョン教皇庁時代

第七章 金印勅書
カール四世の現実路線/勅書により諸侯の特権広がる/つかの間の平和とルクセンブルク家の皇帝世襲戦略/ハプスブルク・建設候ルドルフの偽書/カール四世のつまずき

第八章 カール五世と幻のハプスブルク世界帝国
帝国議会と領邦議会/神聖ローマ帝国の大愚図/帝国の版図をドイツのみに画定/当たりに当たったハプスブルクの結婚政策/皇帝選挙でハプスブルクとフランス王が激突/神聖ローマ帝国を超えるたまゆらの世界帝国

第九章 神聖ローマ帝国の死亡診断書
ドイツ国民感情の高まりと分裂の加速/「第三のドイツ」の帝国離脱/プロテスタント諸侯対カトリック諸侯/ドイツ三十年戦争ウエストファリア条約と三百諸侯の主権確立

終章 埋葬許可証が出されるまでの百五十年間
ヨーロッパ普遍主義の崩壊/トルコ戦勝利とウィーン・バロック/スペイン継承戦争プロイセン王国の誕生/オーストリア・ハプスブルクをめぐる国際紛争/名称だけの帝国/フランス皇帝とオーストリア皇帝/幻想の帝国

あとがき
神聖ローマ帝国関連略年表
参考文献


≪著者: ≫ 菊池良生 (きくち よしお) 1948年生まれ。早稲田大学大学院博士課程に学ぶ。明治大学教授。専攻はオーストリア文学。著書に『イカロスの失墜』(新人物往来社)、『犬死』(小学館)、『ハプスブルク家の光芒』(作品社)、『戦うハプスブルク家』『傭兵の二千年史』『ハプスブルクをつくった男』(いずれも講談社現代新書)などがある。

菊池良生 『図説 神聖ローマ帝国』(ふくろうの本・世界の歴史、河出書房新社、2009年) '11/10/26





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本「よく生きる (ちくま新書564)」岩田靖夫5

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よく生きる (ちくま新書)
よく生きる (ちくま新書564)

○著者: 岩田靖夫
○出版: 筑摩書房 (2005/11, 新書 286ページ)
○定価: 903円
○ISBN: 978-4480062680



……ソクラテスが言うには、私たちは長いあいだ哲学してきたが、その哲学の原則は「もっとも大切にしなければならないことは、生きることではなくて、善く生きることである」(『クリトン』48B)というのではなかったか、と。ただ生きること、なにがなんでも生にしがみつくこと、なんの理想も意味づけもなしに、動物のように生存欲のままに生きつづけることが人間の生なのであろうか。それとも「人間の生」は「人間らしい生」でなければならず、それが「善く生きる」ということではないのか。……   (p007、「はじめに」)


「よく生きる」。これは、時と所を問わず、人間にとって究極の問いである。人は強くて、同時に弱くなければならない。人は強くなければ自分の存在を守れない。しかし、それは動物としての生存の維持である。人は、弱くなったとき、他者の心を理解し、他者と真の交わりに入り、存在の根源に帰入する。それが人の幸せである。古今東西の哲学、宗教、文学を通して、人間のこの真実を明らかにする。


≪目次: ≫
はじめに

第一章 幸福
1 生きる
 ※初出: (『仙台白百合女子大学カトリック研究所論集』 第8号、2003年3月、93-114頁)、2003年度仙台白百合女子大学卒業記念講演

2 幸福とはなにか
 ※初出: (『仙台白百合女子大学カトリック研究所論集』 第7号、2002年3月、103-116頁)、2002年度仙台白百合短期大学卒業記念講演

3 ソクラテスにおける「生」と「生のかなた」
善の探究/死と希望
 ※初出: (岩田靖夫、塚本啓祥共編 『人間 その生と死』 平楽寺書店、1993年、3-19頁)、1992年度東北大学解放講座(東北放送ラジオ講演)


第二章 他者
1 孤独の突破
 ※初出: (『仙台白百合女子大学カトリック研究所論集』 第7号、87-102頁)、2001年度仙台白百合短期大学新入生講演

2 人間の高さ
 ※初出: (『清泉女子大学キリスト教文化研究所年報』 第9巻、77-101頁)、第18回清泉女子大学公開講座「土曜自由大学」講演


第三章 神
1 ギリシア人の神
ホメロスとギリシア悲劇における神/自然哲学における神/ホメロス、ヘシオドスの神々に対する批判
 ※初出: (『宗教と文化』 第19号、聖心女子大学キリスト教文化研究所、1999年3月、1-17頁)

2 ソクラテスの神
ソクラテスの信仰の特徴/ソクラテスの神学の骨格/善なるもの/無神の者ソクラテス
 ※初出: (『仙台白百合女子大学カトリック研究所論集』 創刊号、1995年3月、9-19頁)、カトリック研究所開所式講演

3 妙好人と絶対他力
 ※初出: (『仙台白百合女子大学カトリック研究所論集』 第9号、2005年3月、37-64頁、原題「希望」)、2004年度仙台白百合女子大学卒業記念講演

4 他者を求める神
 ※初出: (『仙台白百合女子大学カトリック研究所論集』 第8号、2003年3月、115-120頁)

5 神の高さと低さ
 ※初出: (『仙台白百合女子大学カトリック研究所論集』 第8号、2003年3月、121-126頁)


第四章 社会
1 市民の概念と人間の平等
 ※初出: (『思想』 第901号、岩波書店、1999年7月、1-3頁 〔思想の言葉〕)

2 デモクラシーの基礎と未来
日本人の政治意識/なぜデモクラシーなのか/プラトンの考え方の問題点/アリストテレスのプラトン批判――哲人王など現実には存在しない/少数のきわめて優れた人の判断より、多くの人々が是認する考え方の方が優れている/政治は特殊な技術ではなく常識である/中間の国制が良い国制である/市民とは何か/現代の政治哲学者ロールズとアリストテレス/グローバリゼーション、世界の平和、寛容の精神/自由と平等はすべての人が守らなければならない公理
 ※初出: (『人間会議』 第2巻 「政治に哲学を」、宣伝会議、2001年7月、160-168頁、原題「哲学者はこう考える」)

3 現代の政治哲学
アリストテレスの理想的国制の原則/ロールズの国家論の基本的構造/ノジックの国家論の要点/共同体論者テイラーの立場/
 ※初出: (『中世思想研究』 42号、創文社、2000年9月、143-152頁)。第41回中世哲学会シンポジウム「中世哲学と現代――国家と正義」提題論文、原題「現代の政治哲学における主要な論点と問題点」


あとがき (二〇〇五年一〇月 亘理にて 岩田靖夫)

読書案内
初出一覧


≪著者: ≫ 岩田靖夫 (いわた・やすお) 1932年東京生まれ。1961年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。その後、北海道大学助教授、東北大学教授、聖心女子大学教授を経て、仙台白百合女子大学教授(名誉教授)・東北大学名誉教授。文化功労者。古代ギリシア哲学専攻。著書に『アリストテレスの倫理思想』『神の痕跡』『倫理の復権』『神なき時代の神』(いずれも岩波書店)、『ヨーロッパ思想入門』(岩波ジュニア新書)、『ソクラテス』(勁草書房)などがある。

岩田靖夫 『いま哲学とはなにか』(岩波新書、2008年) '13/01/11
岩田靖夫 『ギリシア哲学入門』(ちくま新書、2011年) '13/01/07
岩田靖夫 『ギリシア思想入門  Introduction to Greek Thought 』(東京大学出版会、2012年) '12/09/16





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本「エスペラント 異端の言語 (岩波新書1077)」田中克彦5

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エスペラント―異端の言語 (岩波新書)
エスペラント 異端の言語  TANAKA Kacuhiko: “ESPERANTO: La lingvo hereza”, Tokio, 2007 (岩波新書1077)

○著者: 田中克彦
○出版: 岩波書店 (2007/6, 新書 220ページ)
○定価: 777円
○ISBN: 978-4004310778




 フランス語のエスポワール(希望)、スペイン語のエスペランサなどと同源の「希望する人、物」という意味のエスペラントの単語。人類の希望の言語という意味がこめられている。「国際人工語」のひとつ。国境をこえ民族をこえ、ことばのちがう諸民族を結びつける言語となった。

 ことばは決してものごとを正しく把握するようにはうまくできておらず、むしろ事実をゆがめ、ごまかすためにこそ役立っていると、、、


誕生して一二〇年、国家の枠を超えようとする「危険な言語」、正統派言語学者たちにとっては「異端の言語」――国際共用語・エスペラントのたどった道のりは劇的で険しいものだった。この言語の構造と特性、受容と反発の歴史の生き生きとした紹介から、「言語は人類にとっていかなる意味をもつか」という根本問題が呈示される。


≪目次: ≫
はじめに

第一章 人間は言語を批判してはならない――それは神のつくりたもうたものだから
ことばは神がつくった/ヘルダーが言語神授説をしりぞける/神に代わって「自然」が入る――生物学モデル/ソシュールの役割/言語を維持するのは大衆/それでも言語は批判される――ア・プリオリ言語の探求/「それじたいとしての言語」の発見/言語の改造と新言語の製造への試み/「深層構造」という擬似ア・プリオリ言語/民族語の時代/ア・ポステリオリ言語のさまざま/簡略英語――ベイシック/ドイツ語は譲歩し、日本語は譲歩せず/言語差別をつくり出す簡略言語/計画された新言語/計画言語の必然性/学びやすさの基準/ヴォラピューク

第二章 エスペラントはどんな言語か――その簡単なスケッチ
文字と発音/文法/女性形をつくる -ino について/mal- /屈折と膠着/膠着型への収斂/屈折への美学/体系性が規範を破って進む!/文法部門と語彙部門

第三章 エスペラントの批判者・批判言語
民族語は批判できないし、してはならない/計画言語は批判できる/さまざまなエスペラント改革案/イェスペルセンの例/エスペラントは美しいか/エスペラントはやさしいか/エスペラントの使用――翻訳/「主の祈り」も『日本書紀』も/ユダヤ人とエスペラント――ザメンホフの母語について/あえてシオニズムを選ばず/国家をもたない言語の道/ジョージ・オーウェルとエスペラント/茶化されたエスペラント文法/作家の言語的保守主義/ランティ――オーウェルがともに暮らした人/ランティの死

第四章 アジアのエスペラント
アジアでこそ希望の言語/日本への普及/大杉栄からアナーキストへ/上海に「世界語伝習所」/二葉亭と日本初の入門書『世界語』/放浪の奇人 二葉亭/ワシーリイ・エロシェンコ/エロシェンコとその交友圏/新宿中村屋とエロシェンコ/ラムステット公使/ラムステットのモンゴル旅行/エスペランチスト・ラムステット/柳田国男/国際連盟における新渡戸、柳田の尽力/宮沢賢治とラムステット/エスペラント地名――イーハトーヴォ/エスペラントの思わぬ分野への展開――大本教とエスペラント/エスペラントによる国際的布教/国家主義者、北一輝とエスペラント/アナーキスト、国家主義者を感服させる/中国におけるエスペラント運動運動の展開/日中共用語としてのエスペラント/北京大学にエスペラントの講座が!/北京に現われたエロシェンコ/エスペラントのモンゴルへの普及/僧院からエスペランチストへ/モンゴル語によるエスペラント入門書、日本人の援助で復刊/エスペラントの方言分化、もしくは民族語的文体

終章 ことばを人間の手に!
エスペラント誕生の時代/言語学者のエスペラントぎらい/エスペラントに関心を持ち、支持した言語学者たち/すすんでエスペラントをおとしめる言語学者たち/理解し、賛成する言語学者たち――アントワーヌ・メイエ/言語は運命ではなく意志によって選ばれる!/既存の民族語で話すときのおびえ/エスペラント――ヨーロッパ語の宝石箱/エスペラントを学ぶことの効果

あとがき (二〇〇七年四月 田中克彦)
参照した文献とそれへの謝辞


≪著者: ≫ 田中克彦 (たなか・かつひこ) 1934年兵庫県に生まれる。1963年一橋大学大学院社会学研究科修了。一橋大学名誉教授。専攻、言語学、モンゴル学。著書、『ことばと国家』『言語学とは何か』 『名前と人間』 『現代ヨーロッパの言語』(共著)(以上、岩波新書)、『「スターリン言語学」精読』 『言語からみた民族と国家』 『チョムスキー』 『法廷にたつ言語』 『言語の思想』(以上、岩波現代文庫)、『国家語を超えて』 『ことばとは何か』(筑摩書房)、『草原の革命家たち』(中公新書)ほか。

田中克彦 『ことばとは何か 言語学という冒険』(講談社学術文庫、2009年) '10/09/23





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本「増税時代 われわれは、どう向き合うべきか (ちくま新書991)」石弘光5

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増税時代: われわれは、どう向き合うべきか (ちくま新書)
増税時代 われわれは、どう向き合うべきか (ちくま新書991)

○著者: 石 弘光
○出版: 筑摩書房 (2012/12, 新書 266ページ)
○定価: 882円
○ISBN: 978-4480066930



たとえば、およそ年収が400万円くらいしかないのに、支出が1000万円とか900万円くらいある、と


政治の無策により、日本の財政赤字はGDPの2倍にも及ぶ深刻な額になった。このままでは国債の利払いもままならず、ギリシャの経済破綻も他人事ではない。マイナス成長が続き、企業が生産拠点を海外に移す中、税収の自然増は期待できない。事業仕分けが一段落し、霞ヶ関埋蔵金もあらかた掘り尽くされた今、少子高齢化によって増大する社会保障財源はどこから捻り出せばよいのか。それともアメリカ型の低負担・低福祉国家を目指すべきなのか? 国民の生活水準の維持と、社会的公平性を軸に、日本の税財政を考える。


≪目次: ≫
プロローグ (2012年10月 次第に秋の深まりゆく中で 著者)

第1章 低い租税負担志向とその限界――長年の間に醸成された環境
1 戦後わが国税制の特徴
戦後税制の流れ――素描/低い租税負担率/課税ベースの広い間接税に依存しない税制
2 成長と減税の恩恵
高度成長の実現/大規模な自然増収の発生/実現した減税時代/政策税制の活用
3 「増税なき財政再建」と行政改革
財政赤字の深刻化と財政再建/臨調方式のスタート/税収の中立性/低い租税負担の功罪

第2章 政府の関与する分野の拡大――何故、歳出規模は増大しやすいのか
1 政府規模と「純粋でない」公共財
「純粋でない」公共財とは何か/「純粋でない」公共財の実態
2 政府の介入の根拠
財の性格による判断基準/社会価値・国益の規準/資源の浪費とその防止
3 跋扈するバラマキ政策
「純粋でない」公共財のバラマキ体質/人気取りのバラマキ政策/ムダの象徴・子ども手当/財源なくして政策なし

第3章 財政赤字累増の実態――財政破綻の危機
1 財政赤字累積の現状
ワニの絵/債務残高の対GDP比率/政策ミス
2 財政破綻はありうるのか
財政破綻の条件/基礎的財政収支のバランス/真の財政再建目標/日本国債を取り巻く環境悪化/財政破綻の悪夢
3 外国の経験から学ぶ
カナダの財政再建/欧州の財政危機/何を学ぶべきか

第4章 増税回避の背景――「何も決められない日本」の姿
1 歳出削減と剰余金などによる財源捻出
「増税なき財政再建」は成功したか/民主党政権下の事業仕分け/霞が関埋蔵金の発掘とは
2 成長で十分、税収確保できるのか
成長頼みの財政再建/財政再建と成長は両立しうるのか/財政再建は成長を阻害するのか
3 良好な景気局面が大前提なのか
消費税のデフレ懸念/1997年のトラウマ/諸外国の経験
4 政策決定と政治の貧困
「何も決められない政治」の背景/議会制民主政治の限界

第5章 増税時代の到来――社会保障と財政再建のための財源確保
1 どんな経費が増大するのか
過去の傾向/1つの試算/歳出削減の重要性
2 社会保障をどう維持するのか
社会保障給付の将来見通し/社会保障の安定財源/社会保障と税の一体改革/「一体改革」の結末/政策協定が決め手
3 新たな財政再建への挑戦
財政再建目標の設定/どれだけの財源が必要か/税収の使途と財政再建
4 ポピュリズム政治からの脱却
増税のための政治基盤/民意と政治的判断

第6章 消費税との共存――不可避な選択
1 何故、消費税なのか
欧州の経験に学ぶ/安定財源の確保/負担は「広く」「公平に」/市場との対応
2 消費税に対する国民意識の変遷
導入前後の国民の反発/社会保障の財源として浮上/3度目の消費税引き上げを巡って
3 消費税改革――次の局面
消費税の引き上げ/給付付き税額控除/軽減税率/インボイス
4 消費税増税の経済的な影響
消費税の価格転嫁/景気弾力条項の是非

第7章 税制改革その他の諸問題――これからの税制の姿
1 税制改革を審議する場
税制改革のプロセス/民主党による税制調査会の改組/専門的知識の活用を
2 現行税制とその改革の方向――その1
わが国税制のタックス・ミックス/所得税改革/法人税率引き上げ
3 現行税制とその改革の方向――その2
消費課税のあり方/資産課税の強化/消費税の地方税化
4 共通番号制度
納税者番号の検討/共通番号とは
5 むすびに代えて

エピローグ

参考文献


≪著者: ≫ 石 弘光 (いし・ひろみつ) 1937年東京生まれ。一橋大学経済学部卒業。同大学院博士課程修了。経済学博士。専門は財政学。一橋大学経済学部教授を経て、同大学学長(1998年〜2004年)。退職後、2007年〜11年の間、放送大学学長を務める。一橋大学ならびに中国人民大学名誉教授。その間、政府税制調査会会長(2000〜06年)、財政制度等審議会、経済審議会、金融制度調査会などの委員を歴任。税制に関する主な著書として、『財政構造の安定効果』(勁草書房、毎日エコノミスト賞)、『租税政策の効果』(東洋経済新報社、日経・経済図書文化賞)、『財政改革の論理』(日本経済新聞社、サントリー学芸賞)、『現代税制改革史』(東洋経済新報社、租税資料館賞)がある。







 ……書名に用いた「増税時代」をどう考えるかが、重要となる。私は、日本が当面している財政危機などの状況を救うために、何が何でも増税しか選択肢がないといっているのではない。財政健全化のためにまた社会保障制度の維持のために、より一層の歳出削減や税収増につながる成長戦略も依然必要であるが、これまでと同じように、これらが増税回避の口実となることは日本の将来にとって良くないと考えている。増税という方法も今後重要な政策手段として国民全体で受け入れるべきであり、これが他の選択肢より日本の将来にとって望ましいと考えているからに他ならない。
 ……   (p259、「第7章 5.むすびに代えて」)


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本「古代ローマとの対話 「歴史感」のすすめ (岩波現代文庫G267)」本村凌二5

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古代ローマとの対話――「歴史感」のすすめ (岩波現代文庫)
古代ローマとの対話 「歴史感」のすすめ (岩波現代文庫G267)

○著者: 本村凌二
○出版: 岩波書店 (2012/6, 文庫 224ページ)
○定価: 1,008円
○ISBN: 978-4006002671





現代も歴史の一齣にすぎないという感覚は過去を振り返る眼差しをとぎすませる。二千年の時を隔ててローマ人と現代人が交錯し、歴史を実感する。これが「歴史感」の意味である。著者はローマ帝国を中心に古代地中海世界の様々のエピソードを時代順に紹介し、ローマ人の教訓や思想を現代人の視点で学び、古代ローマと対話することを提唱する。岩波現代文庫オリジナル版。


≪目次: ≫
序章 ぶどう色の地中海に浮かぶ島

第1章 古代地中海世界の文明史
1 オリエント世界と一神教(前2千年紀)
神の登場/エジプト社会とユダヤ教
2 ペルシアの出現(アケメネス朝 前1千年紀前半)
ペルシア王の快楽/ペルシア人の堕落
3 古代ギリシアのオリンピック(前8世紀)
金星の魔法/オリンピックと政治
4 古代ギリシアの文字文化(前5・4世紀)
大哲人ソクラテスの言説/詩人プラトンと科学者アリストテレス/盲目の吟唱詩人ホメロス/識字率
5 インダス文明と仏教(マウリア朝 前4世紀)
アショーカ王の改悛/仏教とイエス
6 ヘレニズム文明と科学(前4世紀〜前1世紀)
世界最古のロボット/古代科学の祖ヘロン

第2章 共和政ローマからローマ帝国へ
1 都市国家ローマの成立(前5〜前1世紀)
建国ローマの礎と予見/ローマ人の精神「父祖の遺風」
2 ローマ社会の軋轢(前5〜前1世紀) 
頽廃への戒め/英雄スキピオと偉人の嫉妬(ザマの戦い 前202年)/理想の英雄像
3 スパルタクスの反乱(前73〜前71)
ローマ軍対奴隷軍/祖国帰還の悲願
4 ローマ帝国の形成
統率者カエサルの登場/「賽は投げられた」

第3章 ローマ帝国の成立
1 皇帝時代の幕開け
初代皇帝アウグストゥス/皇帝の娘ユリア
2 初代皇帝一族の世襲
国民的アイドル、ゲルマニクスの死/ティベリウス帝の嫉妬/歴史の皮肉
3 権威ある統治者の不在
愚者クラウディウス帝/兄ゲルマニクスの幻影
4 哲学者たちのローマ
ネロ帝の師セネカ/ストア哲学のすすめ/熱狂する大衆と剣闘士の死

第4章 ローマ帝国の全盛期
1 ローマ五賢帝時代
ハドリアヌス帝の属州めぐり/皇帝別荘の秘密
2 パックス・ローマーナ(ローマの平和)
「パンとサーカス」の時代/為政者マルクス帝と愚帝コモドゥス/血祭りの享楽、剣闘士の闘い
3 属州国ブリテン島のケルト人
ローマ人とケルト人の対立/蜂起軍の要塞と戦車競走場/チェスターとエプソムの由来
4 軍人皇帝の時代
黒人皇帝セウェルス帝/軍人皇帝の時代/ローマ文明の変質(1)――ローマ市民権という幻想/ローマ文明の変質(2)――異民族の流入と盛衰

第5章 地中海世界の危機と古代末期
1 ローマ帝国の新時代の扉
ディオクレティアヌス帝/正帝副帝・四分治制
2 ローマ帝国からビザンツ帝国(東ローマ帝国)へ
コンスタンティヌス帝――悪貨は良貨を駆逐する/通貨制度と帝国の再建/内部分裂の典型としてのローマ帝国の東西分割
3 西ローマ帝国の苦悩
アッティラの侵攻
4 ビザンツ帝国(東ローマ帝国)とその後の世界
ビザンツ帝国の諸相/「すべての道はコンスタンティノープルから出ずる」/宮廷政治の宦官制度/ヨーロッパとイスラム世界/世界史における最強国

あとがき (二〇一二年五月吉日 本村凌二)
参考文献
年表
人名索引


※本書は岩波現代文庫のために編集されたオリジナル版である。


≪著者: ≫ 本村凌二 (もとむら りょうじ) 1947年熊本県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学名誉教授。文学博士。古代ローマ史専攻。著書は『薄闇のローマ世界』(東京大学出版会/サントリー学芸賞受賞)、『古代ポンペイの日常生活』(講談社学術文庫)、『ローマ人の愛と性』(講談社現代新書)、『馬の世界史』(同/JRA賞馬事文化賞受賞)、『多神教と一神教』(岩波新書)、『地中海世界とローマ帝国』(講談社)、『ローマ人に学ぶ』(集英社新書)など多数。

本村凌二 『ローマ人に学ぶ』(集英社新書、2012年) '13/01/10
本村凌二/中村るい 『古代地中海世界の歴史』(ちくま学芸文庫、2012年) '12/12/02
本村凌二 『多神教と一神教 古代地中海世界の宗教ドラマ』(岩波新書、2005年) '11/08/20
本村凌二/高山博 編著 『地中海世界の歴史 古代から近世 '09』(放送大学教材、共通科目;一般科目・人文系、放送大学教育振興会、2009年) '10/12/28
本村凌二 『古代ポンペイの日常生活』(講談社学術文庫、2010年) '10/11/02





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本「学ぶとはどういうことか」佐々木毅5

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学ぶとはどういうことか
学ぶとはどういうことか

○著者: 佐々木 毅
○出版: 講談社 (2012/3, 単行本 218ページ)
○定価: 1,260円
○ISBN: 978-4062821209



「勉強」だけで満足できますか?
「学ぶ」とは人生を何度も生きるために「学び続ける」ことである。 現代の碩学が大学生から勉強し直し世代にまで贈る「知のアリーナ」への招待状。

学ぶといっても作法がある。たんに情報を「知る」段階から、「理解する」「疑う」「超える」という段階を経て、はじめて「勉強」は「学び」に発展するのだが、通常、人は「知る」「理解する」段階で学んだと思って自己満足している。しかしこれは、その時々のデータを更新する繰り返しの作業にすぎない。受験秀才や能吏になれても、現在のような激しい時代の変化に対応できる人材になることはできない。
本書は「学びの塔」である東大の総長を務め、かつ政治思想史の碩学で政治という「歴史の中で人間を動かす学問」を研究と現実とで行ってきた著者が、長年の教育実践をもとに、福沢諭吉、アリストテレス、ヘーゲルやマルクスの知の軌跡に分け入りつつ示す、「勉強」を超えて到達する「学び」の境地。旧来の常識や手本を学び、それを超えて自由になることは、人生の可能性を大きく切り開く。「学び方=生き方」なのだ。だから本書は、長寿時代の生き方ガイドでもある。


≪目次: ≫
第一章 東日本大震災と「学ぶ」ということ――「想定」の呪縛
人間は「学ぶ」動物
「学び」による自然の脅威との闘い
「想定外」の連続
想定の枠内での「学び」、想定の枠を超える「学び」

第二章 『学問のすゝめ』から「学び」を読み解く――「学び」の歴史的定式化
「学び」は人生と歴史の構成要素
野蛮、半開、文明
専制から文明への条件
「私徳」から「智恵」へ

第三章 変革の武器としての「学び」――「変えられないもの」を「作り変えられるもの」に
人智が自然を「使役」する
アリストテレスの学の三分類
学問の目的は「人間の便益」のためへ
自ら「作ったもの」に取り囲まれる人間

第四章 「学び」の四段階――「勉強」で到達できないもの
「知る」
「理解する」
「疑う」
「超える」
個人と歴史・社会との交錯

第五章 何を「学ぶ」のか――学ぶ人のあり方
人生を生きるための「勉強」
「勉強」と「学び」の関係
いわゆる知育偏重批判について
偽智者と偽君子
出来合いの色眼鏡で「見たいものを見る」

第六章 「学ぶ」ことの限界をめぐって――真の「学び」は「可能性の束」として現実にこだわること
「従僕の目に英雄なし」
「究極」「絶対」への誘惑
「プラトン、レーニンと出会う」
「より適切なもの」を求めて

第七章 専門性と「学ぶ」こと――プロフェッショナルの魂を求めて
専門的知識とそのスピリット
科学的問題解決モデルの死角
「考える専門家」と「考えない専門家」
「見立て」の技法
賢慮・知慮

第八章 政治に見る「学び」の姿――「学ぶ」ことに終わりはあるか?
学ばない政治の災禍
絶対的に「良い政治」があるのか
何が王で何が飛車かが問題
「コンクリートから人へ」に見られる過去の影
精神的エネルギーの枯渇
賢慮は学べるか

あとがき 「学び」は人生の可能性へのチャレンジ (二〇一二年三月 大震災後一年を前にして  佐々木 毅)


≪著者: ≫ 佐々木 毅 (ささき・たけし) 1942年生まれ。今も旺盛な評論活動を続ける政治思想史の重鎮。1965年東京大学法学部卒業後、法学部助手、助教授を経て1978年に教授。2001年に第27代東京大学総長、2005年に退任し、学習院大学法学部教授、東京大学名誉教授、日本学士院会員。著書に『政治学講義』(東京大学出版会)、『政治学の名著30』(ちくま新書)、『マキアヴェッリと「君主論」』『プラトンの呪縛』(講談社学術文庫)、『民主主義という不思議な仕組み』(ちくまプリマー新書)『現代政治学の名著』(中公新書)ほか多数。

佐々木毅 『民主主義という不思議な仕組み』(ちくまプリマー新書、2007年) '13/01/02
佐々木毅 『政治学講義 [第2版]』(東京大学出版会、2012年) '12/12/29
佐々木毅 『宗教と権力の政治 「哲学と政治」講義II』(講談社学術文庫、2012年) '12/12/15
佐々木毅 『よみがえる古代思想 「哲学と政治」講義I』(講談社学術文庫、2012年) '12/11/01





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本「アレクサンドロスとオリュンピアス 大王の母、光輝と波乱の生涯 (ちくま学芸文庫)」森谷公俊5

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アレクサンドロスとオリュンピアス: 大王の母、光輝と波乱の生涯 (ちくま学芸文庫 モ 15-1)
アレクサンドロスとオリュンピアス 大王の母、光輝と波乱の生涯 (ちくま学芸文庫)

○著者: 森谷公俊
○出版: 筑摩書房 (2012/4, 文庫 251ページ)
○定価: 1,155円
○ISBN: 978-4480094490




彼女は怪しい密儀に没頭し、残忍に邪魔者を殺す悪女なのか、息子を陰で支え続けた賢母なのか。大王母の激動の生涯を追う。


≪目次: ≫
プロローグ

第一章 密儀
密儀の島サモトラケ/バッカイの狂乱/オリュンピアスの誕生/モロッソイ王家の意図/聖地ドドナと幼年時代

第二章 同盟
マケドニア王家の系図/マケドニアとギリシア世界/苦境に立つマケドニア王国/若き王フィリッポス二世/モロッソイ王国との同盟/フィリッポスとオリュンピアスの結婚

第三章 王子
アレクサンドロスの誕生/生誕伝説――獅子のイメージ/生誕伝説――蛇のイメージ/もう一人の息子アリダイオス/アレクサンドロスの初等教育/弟アレクサンドロスとの再会

第四章 宮廷
フィリッポスの七人の妻/マケドニア王家の一夫多妻制/妻たちの見えざる争い/息子と弟――二人のアレクサンドロス

第五章 亀裂
婚礼の祝宴での騒動/一体何が起きたのか/父と息子の思惑のズレ/七番目の妻を迎えた動機/オリュンピアスの怒りと反発

第六章 暗殺
フィリッポス暗殺/暗殺者パウサニアス/アレクサンドロスと暗殺事件/オリュンピアスと暗殺事件/一夫多妻の深い闇

第七章 情愛
アレクサンドロスの即位/クレオパトラ母子の殺害/東方遠征の開始/母と子の往復書簡/無二の親友ヘファイスティオン/母の情愛

第八章 抗争
オリュンピアスのまなざし/本国でのオリュンピアスの地位/将軍アンティパトロスとの争い/激しさを増す抗争/アレクサンドロスの決断

第九章 故国
モロッソイ王の死/大王の妹クレオパトラ/エペイロスの国家再編

第十章 動乱
アレクサンドロス大王の死/生き残りを賭けて/フィリッポス二世の娘たちの行動/摂政ペルディッカスの二人の婚約者/新しい摂政アンティパトロス/クレオパトラの賭け/女には王国を支配させてはならぬ

第十一章 決戦
分裂の兆し/カッサンドロスの野心/オリュンピアスとエウリュディケ――宿命のライバルの対決/女性と軍隊/エウリュディケの自殺/憎まれるオリュンピアス/孤立するオリュンピアス/万策尽きて

第十二章 断絶
死刑判決/実権を掌握したカッサンドロス/フィリッポス三世とエウリュディケの墓/王族の血統の断絶/ヘレニズム諸王国時代の幕開け

エピローグ

オリュンピアス年譜

文庫版あとがき (二〇一二年三月一日 森谷公俊)
 古代マケドニア女性史/フィリッポス二世暗殺事件/ヴェルギナ王室墳墓の被葬者/アレクサンドロス大王伝/アレクサンドロス・マケドニア関連文献

解説 オリュンピアスの「魅力」 澤田典子千葉大学准教授


※本書は一九九八年二月、筑摩書房より刊行された。


≪著者: ≫ 森谷公俊 (もりたに・きみとし) 1956年徳島県生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業。同大学院博士課程、東京都立大学助手を経て、帝京大学文学部史学科教授。専攻は古代ギリシア史・マケドニア史、研究テーマはアレクサンドロス大王など。著書に『王宮炎上――アレクサンドロス大王とペルセポリス』(2000年 吉川弘文館)、『アレクサンドロス大王――「世界征服者」の虚像と実像』(2000年 講談社)、『アレクサンドロスの征服と神話』(2007年 講談社)、『学生をやる気にさせる歴史の授業』 (2008年 青木書店)など。






 紀元前三三四年の春、マケドニア王アレクサンドロス三世、いわゆるアレクサンドロス大王は約四万七〇〇〇の兵を率いて東方遠征に出発した。それから一一年後、彼は空前の大征服を成し遂げた後、二度とマケドニア本国に還ることなくバビロンの地で没した。
 大王が東へ向かったのとほぼ同じくして、もう一人のアレクサンドロスが西方への遠征に出発する。彼はバルカン半島西側に位置するモロッソイ王国の王、行き先はイタリア半島であった。それからわずか四年後、このアレクサンドロスもまた二度と故国を見ることなく、イタリアで戦死した。
 前四世紀末のバルカン半島に現れた二人のアレクサンドロスのうち、一方は世界史上に輝かしい名を残し、もう一人は歴史のかなたに忘れ去られた。ところがこの二人は、実は深い血縁の絆で結ばれていたのである。アレクサンドロス大王の母親は、モロッソイ王国のアレクサンドロスの実の姉であり、しかもモロッソイ王は大王の妹を妻にしていた。すなわちモロッソイ王のアレクサンドロスにとって、大王は甥であると同時に義理の兄でもあったのだ。そしてこそ二人を結ぶ女性こそ、本書の主人公オリュンピアスである。
 ……   (p011-012、「プロローグ」


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本「大聖堂・製鉄・水車 中世ヨーロッパのテクノロジー (講談社学術文庫2146)」ジョゼフ・ギース/フランシス・ギース、栗原泉 訳5

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大聖堂・製鉄・水車―中世ヨーロッパのテクノロジー (講談社学術文庫)
大聖堂・製鉄・水車 中世ヨーロッパのテクノロジー  Joseph & Frances Gies: “Cathedral, Forge, And Waterwheel: Technology and Invention in the Middle Ages”, HarperCollins Publishers, Inc. New York, 1994 (講談社学術文庫2146)

○著者: ジョゼフ・ギース/フランシス・ギース、栗原泉 訳
○出版: 講談社 (2012/12, 文庫 384ページ)
○定価: 1,208円
○ISBN: 978-4062921466




「暗闇の中世」は、実は技術革新の時代だった!
建築・武器・農具・織機・印刷……直観を働かせ、失敗と挑戦を繰り返した職人や聖職者、芸術家たちが世界を変えた。

西洋中世の新たな実像を描いて定評ある著者による、テクノロジーの中世史。軍事、建築、交通から、織機や農具など、あらゆる具体的なモノの変遷と、社会や暮らしの変化をたどる。「停滞の元凶」とされる教会や修道院が時に技術革新の推進力となり、また、東方の文化を吸収しつつ千年にわたって緩やかに進行した技術革新が、近代の「革命」を用意していく。


≪目次: ≫
第一章 バベルの塔・ノアの箱舟――キリスト教とテクノロジー

第二章 古代のテクノロジー――功績と限界
  ヨーロッパ――西暦五〇〇年

第三章 それほど暗くはなかった暗黒時代――西暦五〇〇〜九〇〇年
  農業革命
  布作り――女性の仕事
  「鉄の人」
  剣と犂の刃
  ロマネスク様式の教会
  河川、道路、橋
  航海――大三角帆とロングシップ
  「自然に秘められた原因」の探究
  ヨーロッパ――西暦九〇〇年

第四章 アジアとのつながり
  伝播のルート
  公共事業としてのテクノロジー
  中国の技術輸出
  インド、ペルシャの技術
  アラブ人――伝搬者、発明家

第五章 商業革命の技術――西暦九〇〇〜一二〇〇年
  開放耕地制と水力
  都市の工芸、村の工芸
  ガラスや石に描かれた聖書
  城、投石機、石弓
  橋の兄弟団
  コグ船、羅針儀、方向舵
  一二世紀ルネサンス
  ヨーロッパ――西暦一二〇〇年

第六章 中世盛期――西暦一二〇〇〜一四〇〇年
  農村――荘園経営と黒死病
  布、神、金融
  中世の都市
  ゴシック建築の技術者――ヴィラール・ド・オヌクール
  冶金――水力高炉
  「最も有害な技術」――中国から伝わった火器
  「すばらしい時計」
  旅の発展、商業の発展
  航海――羅針儀の発達
  「原因の追究」――科学的態度
  ヨーロッパ――西暦一四〇〇年

第七章 レオナルドとコロンブス――中世の終わり
  「見事な活版印刷の技術」
  銃と国家
  芸術家−工学者――レオナルド・ダ・ヴィンチと仲間たち
  一五世紀のテクノロジー――漸進的進歩
  大洋へ漕ぎ出す船
  西暦一五〇〇年以降――「西洋文明」

訳者あとがき (二〇一二年一〇月  栗原 泉)


≪著者: ≫ ジョゼフ・ギース/フランシス・ギース (Joseph & Frances Gies) 30年間にわたり中世の歴史の本を書きつづけ、共作、あるいは単独で発表した著作は20冊以上。主著に『中世ヨーロッパの城の生活』『中世ヨーロッパの都市の生活』『中世ヨーロッパの農村の生活』など。

[訳者: ] 栗原 泉 (くりはら いずみ) 翻訳家。主な訳書にギース『中世ヨーロッパの城の生活』のほか、N・ウォーバートン『哲学の基礎』、P・ヘスラー『疾走中国』、D・L・ロード『キレイならいいのか』など。






 中世とは「暗闇のような」時代で、社会は停滞し、人類の歴史は「完全に止まっていた」――中世に続く数百年の間、ヨーロッパの啓蒙思想家たちはこう考えていた。中世を通して広がった無気力の根底には、浮世離れした雰囲気や神学への没頭があったともいわれた。こうした史観の提唱者のなかで最も影響力があったのはイギリスの歴史家エドワード・ギボンであろう。ギボンは大作『ローマ帝国衰亡史』で中世社会を「野蛮と宗教の勝利」として描いている。
 二〇世紀に入ってかなりたってもなお、中世には沈滞と停滞のイメージがついてまわった。今日でも、中世とは「何事も起きなかった」暗黒の一〇〇〇年だったという印象が根強く広まっている。中世のテクノロジーと聞いて一般読者が最も意外に思うのは、そもそも中世にテクノロジーがあったという事実であろう。
 ……   (p11、「第一章 バベルの塔・ノアの箱舟」)


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本「方丈記 (ちくま学芸文庫)」鴨長明 著、浅見和彦 校訂・訳5

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方丈記 (ちくま学芸文庫)
方丈記 (ちくま学芸文庫)

○著者: 鴨長明浅見和彦 校訂・訳
○出版: 筑摩書房 (2011/11, 文庫 253ページ)
○定価: 1,050円
○ISBN: 978-4480094070




日本古典文学中屈指の名文『方丈記』。著者鴨長明が見聞し体験した、大火、大風、遷都、飢饉、大地震などが迫真の描写で記録され、その天災、人災、有為転変から逃がれられない人間の苦悩、世の無常が語られる。やがて長明は俗界から離れ、方丈の庵での閑居生活に入りその生活を楽しむ。しかし、本当の心の安らぎは得ることができず、深く自己の内面を凝視し、人はいかに生きるべきかを省察する。本書は、この永遠の古典を、混迷する時代に生きる現代人ゆえに共鳴できる作品ととらえ、『方丈記』研究第一人者による新校訂原文とわかりやすい現代語訳、理解を深める評言によって構成した決定版。


≪目次: ≫
はじめに
 方丈の広さ/日本人と建物/初めての災害文学
凡例
地図
 「大火と辻風発生場所」/「日野近郊図」/「京都近郊図」

方丈記 原文

方丈記 訳・評
一 序章
  (一) ゆく河のながれ
  (二) たましきの都のうちに
  (三) 朝顔の露にことならず
二 安元の大火
  (一) 予、ものの心を知れりしより
  (二) 火元は樋口富の小路とかや
  (三) そのたび、公卿の家、十六焼けたり
三 治承の辻風
  (一) また、治承四年卯月のころ
  (二) 辻風は常に吹くものなれど
四 福原への遷都
  (一) 治承四年水無月のころ
  (二) されど、とかくいふかひなくて
  (三) その時、おのづから事のたよりありて
  (四) 古京はすでに荒れて
  (五) 世の乱るる瑞相とかきけるも
五 養和の飢饉
  (一) 世の中飢渇して、あさましき事侍りき
  (二) あまりさへ疫癘うちそひて
  (三) あやしき賤、山がつも力尽きて
  (四) 母の命尽きたるを知らずして
  (五) 仁和寺に隆暁法印といふ人
六 元暦の大地震
  (一) おびただしく大地震振ること侍りき
  (二) そのなごり、しばしは絶えず
七 住みにくき世
  (一) すべて、世の中のありにくく
  (二) 世に従へば、身、苦し
八 あられぬ世
  (一) 父かたの祖母の家
  (二) 五十の春をむかへて
九 仮の庵のありよう
  (一) 六十の露消えがたに及びて
  (二) 日野山の奥に
  (三) その所のさまをいはば
十 草庵の生活
  (一) ひとり調べ、ひとり詠じて
  (二) ふもとに一の柴の庵あり
  (三) もし、うららかなれば
  (四) もし、夜、静かなれば
十一 仮の庵もふるさとなり
  (一) 仮の庵のみ、のどけくして
  (二) 世の人の住みか
十二 手の奴、足の乗り物
  (一) 人の友たるものは
  (二) つねに歩き、つねにはたらくは
十三 終章
  (一) 三界はただ心ひとつ
  (二) 一期の月かげ傾きて
  (三) 静かなる暁

鴨長明関連年表 (1155・久寿2年〜1216・建保4年)
主要参考文献
解説/浅見和彦
 『方丈記』の世界/鴨長明の生い立ち


※本書は「ちくま学芸文庫」のために書き下ろされたものである。


≪著者: ≫ 鴨 長明 (かもの・ちょうめい) 1155年ごろ‐1216年。京都下鴨神社の神職の家に生まれる。大火、竜巻、戦乱、飢饉、大地震を体験、そのもようを精細に『方丈記』に書き記す。のち出家して日野に隠棲、方丈の庵を建て、時代と人生を省察した。歌人、音楽家としても活躍。鎌倉をはじめ、各地を旅する。著書に『無名抄』『発心集』など。

[校訂・訳者] 浅見和彦 (あさみ・かずひこ) 1947年生まれ。東京大学文学部卒業。成蹊大学文学部教授。主要編著書に『宇治拾遺物語』(共著、岩波書店)、『十訓抄』(小学館)、『壊れゆく景観』(共著、慶應義塾大学出版会)、『日本古典文学・旅百景』(NHK出版)、『新注古事談』(共著、笠間書院)など。






 ゆく河のながれは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつむすびて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と栖(すみか)と、またかくのごとし。
……
 静かなる暁(あかつき)、このことわりを思ひつづけて、みずから、心に問ひていはく、世をのがれて、山林にまじはるは、心を修(をさ)めて、道を行はむとなり。しかるを、汝(なんぢ)、姿は聖人(ひじり)にて、心は濁りに染(し)めり。住みかはすなはち、浄名居士(じやうみやうこじ)のあとをけがせりといへども、たもつところは、わづかに周梨槃特(しゆりはんどく)が行にだにおよばず。もし、これ貧賤(ひんせん)の報のみづからなやますか。はたまた、妄心のいたりて狂せるか。その時、心、さらにこたふる事なし。ただ、かたはらに舌根(ぜつこん)をやとひて、不請阿弥陀仏(ふしやうあみだぶつ)、両三遍(りやうさんべん)申してやみぬ。
 干時(ときに)、建暦(けんりやく)の二年(ふたとせ)、弥生(やよひ)のつごもりころ、桑門(さうもん)の蓮胤(れんいん)、外山(とやま)の庵(いほり)にして、これをしるす。



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本「いま哲学とはなにか (岩波新書1137)」岩田靖夫5

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いま哲学とはなにか (岩波新書)
いま哲学とはなにか (岩波新書1137)

○著者: 岩田靖夫
○出版: 岩波書店 (2008/6, 新書 212ページ)
○定価: 735円
○ISBN: 978-4004311379




「人はいかに生きるべきか」。ソクラテスの発した問いは、その後の哲学において、どのように引き継がれ、深化してきたのか。そして、なおも戦争や復讐が続く現代において、私たちは、この問いにどう向き合うべきか。存在の根源、他者との交わり、平和への道など、生きる上で普遍的な課題を、哲学的な思考から追究する。哲学と現代との対話。


≪目次: ≫
はじめに

序章 哲学のはじめ――ソクラテスの問い
万物の根源への問い/自然から人間へ/反駁的対話/無知の知
 ※初出: 『書斎の窓』 561号、2007年1・2月号、有斐閣

第I章 人はいかに生きるべきか
1 自己実現――アレテーに即した生命の活動
行為の究極目的としての幸福/存在者の本来的活動/アレテーに即した生命の活動
 ※初出: 『書斎の窓』 563号、2007年4月号、有斐閣
2 交わり――フィリアー
友がなければだれも生きようとはしない/フィリアーの成立根拠/善に基づく愛/他なる自己(同一性としての愛)/アリストテレスのフィリアー論の限界
 ※初出: 『書斎の窓』 564号、2007年5月号、有斐閣

第II章 人はいかなる共同体をつくるべきか
1 哲人王の逆説
正義の探究/「自分自身のことを行う」/金銀銅の種族という神話(高貴な嘘)/幸福と不幸の位置の逆転/倫理的・政治的自律性なき大衆/逆説的国家論の真の意味
 ※初出: 『書斎の窓』 562号、2007年3月号、有斐閣
2 デモクラシー成立の基礎
デモクラシーの誕生/市民の概念/プラトンとの対比/多くの人々の是認する考え(エンドクサ)/中間の国制
 ※初出: 『書斎の窓』 565号、2007年6月号、有斐閣
3 理性と法――アリストテレス政治思想の基本原理
理想国家の基礎/理性原理の貫徹/教育による理性化の浸透/理性の支配的活動/政治における理性支配/民衆の合意と責任/個人と国家のアナロジー/富と倫理/安定した国家/国民全体の利益を目指す国制/国制への教育
 ※初出: 書き下ろし新稿
4 正義の原型――アリストテレスの正義論
正義論成立の前夜/ポリスの法的秩序/一般的正義(遵法という意味での正義)/特殊的正義(平等という意味での正義)/配分的正義/匡正(きょうせい)的正義/交換的正義
 ※初出: 『書斎の窓』 571号、2008年1・2月号、有斐閣

第III章 究極根拠への問い
1 存在への問い――存在・神学の成立
パルメニデスという根本前提/アリストテレスによる存在論の定礎/実体の探究/完全現実態としての神/存在・神学の成立
 ※初出: 『書斎の窓』 566号、2007年7・8月号、有斐閣
2 われ考う――超越論的主観性という運命とその外
デカルトという出発点/われ考う、故に、われ在り/万物の存在根拠としての思惟する自己/超越論的主観性という運命とその外
 ※初出: 『書斎の窓』 567号、2007年9月号、有斐閣
3 エルアイグニス――詩人の境涯
ハイデガー哲学の革命性/現存在とはなにか/無性/世界の滑落/エルアイグニス/詩人の境涯/神性の目くばせ/恩寵への応答
 ※初出: 『書斎の窓』 568号、2007年10月号、有斐閣

第IV章 他者という謎
1 「知を超える者」への関わり
理性の哲学/知を拒否するもの/地平の曲折/「他者とともにある」という根源的状況/報いを要求しない善意の奉献
 ※初出: 『書斎の窓』 569号、2007年11月号、有斐閣
2 苦しみ――「かなた」への突破
なぜ、苦しみがあるのか/弁神論という試み/弁神論の終焉/地獄の中の閃光/無益な苦しみ/苦しみの有意味化/ア・デュー
 ※初出: 『書斎の窓』 570号、2007年12月号、有斐閣
3 他者とことば――根源への回帰
呼びかけ/プシシスム/現象と「ことば」/謎(文脈的には無意味な自己意味)/不在の痕跡/「かれ性」/「近さ」と根源の「ことば」/志向性以前の憑依/なんのためでもない同盟/対格である私/根源的受動性/受動性の二つの局面/疚しさの意識と「近さ」/根源への回帰/根源への回帰と直面する他者への関わり/迫害/根源の自己と仏(東西における普遍的真実)
 ※初出: 哲学会編 『哲学雑誌』 793号〔特集レヴィナス〕、2006年9月号、有斐閣

終章 差別と戦争と復讐のかなたへ
1 正義論の現在――多文化共存の地平
現代の精神的状況/ロールズ哲学の基本公理/重なり合う合意/自由の原理/配分の原理/理由なく与えられた能力/「原初状態」という仮定の意味/国際関係/〈民衆という基盤〉/〈自由で平等な民衆の社会〉/〈階層的ではあるが秩序ある社会〉/〈正義の戦争〉/戦争の廃絶
 ※初出: 『書斎の窓』 572号、2008年3月号、有斐閣
2 世界平和の哲学的・宗教的基盤
人生の意味/人はなぜ戦争をするか/正義の問題/法秩序の建設と遵守/国際関係を律する原理/運命的な不公平への償い/国際連合政府の樹立と軍備の撤廃へ向けて/ソクラテスの信条――復讐の放棄
 ※初出: 野家啓一、卞宗道、尾崎周二 編 『現代に挑む哲学』 学文社、2007年11月。日中哲学会〔2006年11月、杭州樹人大學〕における講演

あとがき (二〇〇八年五月 亘理にて 岩田靖夫)
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初出一覧


≪著者: ≫ 岩田靖夫 (いわた・やすお) 1932年生まれ。1961年東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。北海道大学助教授、東北大学教授、聖心女子大学教授、仙台白百合女子大学教授を経て、東北大学名誉教授、仙台白百合女子大学名誉教授。文化功労者。専攻、哲学。著書、『アリストテレスの倫理思想』 『神の痕跡』 『倫理の復権』 『神なき時代の神』(以上、岩波書店)、『ヨーロッパ思想入門』(岩波ジュニア新書)、『三人の求道者』(創文社)、『よく生きる』(ちくま新書)、『ソクラテス』(勁草書房)など多数。

岩田靖夫 『ギリシア哲学入門』(ちくま新書、2011年) '13/01/07
岩田靖夫 『ギリシア思想入門  Introduction to Greek Thought 』(東京大学出版会、2012年) '12/09/16





「友情の神ゼウスにかけて、カリクレスよ、君自身も私に対して冗談半分のいい加減な言葉を吐いてはならない、と考えてくれたまえ。また、自分の思っていることとは違うようなその場その場の思いつきを答えるようなこともしないでくれたまえ。さらに、私があたかも冗談を言っているかのように、私の言葉を受け取らないでくれたまえ。なぜなら、よく承知してほしい、われわれが関わっている言説〔ロゴス〕は、少しでも理性をもっている人間ならば誰でも、それ以上に真剣になることはありえないような言説であるからだ。すなわち、それは「人はいかに生きるべきか」であるからだ」
  (プラトン 『ゴルギアス』 500B5-C4)

 本書において、筆者が取り組んだのは、ソクラテスのこの問いである。この問いは、発端である古代ギリシア哲学においてどのように展開されたか。それを精神的基盤として継承しながら、不測の破局的様相を見せはじめている現代においては、どのように応えられるべきか。これが、本書の問題である。  (pi-ii、「はじめに」)


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本「ローマ人に学ぶ (集英社新書0627D)」本村凌二5

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ローマ人に学ぶ (集英社新書)
ローマ人に学ぶ (集英社新書0627D)

○著者: 本村凌二
○出版: 集英社 (2012/1, 新書 208ページ)
○定価: 756円
○ISBN: 978-4087206272




紀元二世紀頃、地球上の人類の三分の一はローマ帝国の領土に生きていた。帝国の領土は、北は氷海から南は砂漠まで広がり、多様な自然環境のもとで、さまざまな人種や民族が住んでいた。この人類史上例をみない巨大な帝国を築いたローマ人とは、どのような人びとであったのか。彼らの歴史から、現代人は何を学びうるのか――。伝説上の建国(前753年)から西ローマ帝国皇帝の廃位(476年)まで、千二百年以上の長きにわたって続いた空前絶後の帝国。そこで活躍した人びとに着目しつつ、古代ローマ史の第一人者が分かりやすく論じていく。


≪目次: ≫
はじめに〜世界史のなかのローマ人

「ローマ史」略年表(前753〜476年)
地図「ローマ帝国の最大版図」

1  共和政という祖国
2  カウディウムの頸木
3  王者の集い
4  「ローマの楯」と「ローマの剣」
5  父祖の遺風
6  カエサルという経験
7  ローマ人の死生観
8  「棲みわけ」のための哲人と粋人
9  諧謔と批判の精神
10 賢帝と愚帝
11 ローマ帝国の精神的傑作
12 歴史の宿命とローマ人


おわりに
主要参考文献


※初出/「青春と読書」 2010年2月号〜2011年3月号


≪著者: ≫ 本村凌二 (もとむら りょうじ) 1947年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授(を経て、東京大学名誉教授)。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。博士(文学)。『薄闇のローマ世界』(東京大学出版会)でサントリー学芸賞、『馬の世界史』(講談社現代新書)でJRA賞馬事文化賞、一連の研究・編集活動で地中海学会賞を受賞。主な著書に『多神教と一神教』(岩波新書)、『ローマ人の愛と性』(講談社現代新書)、『興亡の世界史4 地中海世界とローマ帝国』(講談社)、『古代ポンペイの日常生活』(講談社学術文庫)、『帝国を魅せる剣闘士』(山川出版社)など。

本村凌二/中村るい 『古代地中海世界の歴史』(ちくま学芸文庫、2012年) '12/12/02
本村凌二 『多神教と一神教 古代地中海世界の宗教ドラマ』(岩波新書、2005年) '11/08/20
本村凌二/高山博 編著 『地中海世界の歴史 古代から近世 '09』(放送大学教材、共通科目;一般科目・人文系、放送大学教育振興会、2009年) '10/12/28
本村凌二 『古代ポンペイの日常生活』(講談社学術文庫、2010年) '10/11/02





……歴史とは、ある意味では、祖先の小言や説教をなにもかもひっくるめたようなものではないだろうか。そこには人類の経験が積み重なっているのだ。いわば人間の経験知の宝庫でもある。でも、それを開いてみる気になるかどうか。……  (p6、「はじめに〜世界史のなかのローマ人」)


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本「マルコムX 人権への闘い (岩波新書1224)」荒このみ5

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マルコムX (岩波新書)
マルコムX 人権への闘い (岩波新書1224)

○著者: 荒このみ
○出版: 岩波書店 (2009/12, 新書 250ページ)
○定価: 798円
○ISBN: 978-4004312246





アメリカの「ネイション・オブ・イスラム」の伝道師として熱烈な説教で人気があったマルコムXMalcolm X, 1925-1965)。彼はキング牧師の「公民権運動」を批判しつつ、より普遍的な人権の獲得を主張して、一九五〇〜六〇年代黒人運動の指導者として活躍した。その生涯と言説をたどり、誤解・歪曲されることの多かった言動を分析して、実像を明らかにする。


≪目次: ≫
はじめに
歴史に残る大統領選挙/オバマの自伝『父親からの夢』とマルコムX/五分の三だった黒人奴隷/A・F・ランドルフと「ワシントン大行進」/ブラック・パワーとブラック・パンサー党/ブラック・スタディーズ(黒人研究)の奨励/黒人の精神的遺産/「オバマ現象」の原動力/本書の構成

第一章 マルコム少年――家族の背景とガーヴィー主義
ボストンの家を探す/デイル通り七二番地/甥ロドネル・P・コリンズ/エラに引き取られてボストンへ/ボストンのキング牧師とマルコム/国際的な町ロックスベリー/ロドネルの母親エラ/マルコムXを創った女たち・異母姉エラ/スモールタウンから大都会へ/祖父パ・ジョンの魂/「誇りと気力」のエラ/エラの商才/ガーヴィー主義者エラ/エラは「女モーセ」/リトル家の自覚/窃盗罪で逮捕/「グレート・マザー」のエラ/マルコムXを創った女たち・母親ルイーズ/性的搾取の苦悩。ガーヴィー主義者の両親/リトル家のルーツ/ジョージア州タルボット郡/苗字リトルの由来/ネブラスカ州オハマ生まれ/マーカス・ガーヴィーと「アフリカへ帰ろう」運動/日本人と黒人解放運動/『日米戦争夢物語』の中のガーヴィー/サトハタ・タカハシと「ネイション・オブ・イスラム」/黒龍会と黒人社会/真珠湾攻撃は黒人を解放する

第二章 「ネイション・オブ・イスラム」の伝道師
服役囚マルコムの手紙/兄弟の改宗/ショーティ・もう一人のマルコム/「ネイション・オブ・イスラム」の誕生/創立者ファードは黒人か/イスラムの世界戦略/近代化とグレイト・マイグレーション(大移動)/ハーレム・ルネサンス/創立者ファードの失踪/創造神話と「巨頭の科学者ヤクブ」/白人悪魔説/「天国」はここに築かれる/統合主義と分離主義/黒人国家をカリフォルニアに/刑務所で読書生活/Xへの改名/伝道師マルコムXの誕生/聴衆の心をつかむ/文明は東から/黒人大衆を魅了/自然(ナチュラル)な宗教/アメリカの「隠れムスリム」/「女らしさの神話」批判/ドキュメンタリー番組「憎悪が生み出した憎悪」/白人と黒人の恐怖/ヤヌス的メディアの権力と暴力/高まる「黒い回教徒」への関心

第三章 言葉の人間・その演説
キプリングの詩「イフ(そうできたなら)」/不器用な男マルコムX/言葉の人間・預言者/刑務所での哲学論議/語源の勉強/神とは「あんたの魂」/エマソンの自己信頼と魂の響き/「ニグロ」の解釈/語源のトリック/星条旗の新解釈/言葉を操るカリスマ/「いわゆるニグロ(so-called Negroes)」――決まり文句その1/「必要なあらゆる手段を使って(by all means necessary)」――決まり文句その2/警察暴力には自己防衛/「ニワトリは故郷に帰って雛を孵す」――決まり文句その3/六〇年代暗殺事件/暴力構造がケネディを殺した/ムハマドによる活動停止命令/渦巻く嫉妬/キング牧師との相違点/「統合」「分離」「隔離」の定義/「シットイン」と「フリーダム・ライダーズ」/「社会的平等」は論外/公民権ではなく人権を/「リトルロックの九人」のトラウマ/隔離学校は消えたのか/重要な四つの公式演説/公式演説「草の根へのメッセージ」/統一戦線の強調/公式演説「登票権か弾丸か」/公民権法の成立/公式演説「オックスフォード討論」/パワー(権力)こそ相手/革命の時代・変化の時代/公式演説「最後のメッセージ」/権力の暴力への警戒/組織の運営は不得手

第四章 アフリカの鼓動を共有する
父親代わりのムハマド/ムハマド宛の赤裸々な手紙/百戦錬磨のムハマド/ムハマドの婚外子問題/コインテルプロの破壊工作/弟分ルイス・ファラカン/「ネイション・オブ・イスラム」との決別/MMIOAAU設立/アフリカ・サミット会議/遅れた報道/連帯への姿勢/一九六四年は飛躍の年/アフリカ・中東旅行とハジ(メッカ巡礼)成就/伝道師(エヴァンジェリスト)として/ムハマド弾劾/暗殺の危機/アメリカニズムの犠牲者/人権分離のアメリカ社会/平和部隊はスパイ/シャーリー・G・デュボイス夫人に会う/アフリカの隠れた富/植民地的心理からの脱皮/世界的視野をもつ活動家へ/白人が捏造する否定的黒人像/黒人が「人間」になること/M・アンジェロウが語るパン・アフリカニスト国家/若い世代への期待/黒人差別は「犯罪」/「暴動」ではなく正しい主張を/六五年はどう展開するか

終章 マルコムXの遺産
マルコムX暗殺計画/暗殺現場オーデュボン・ボールルーム/活動家ユリ・コーチヤマの記憶/真犯人はだれか/マルコムXの精神的遺産/マルコムXは「希望の象徴」/歴史を学ぶ重要性/ブラック・スタディーズの浸透/表現できない怒りを言葉に/黒人の「預言者」マルコムX/オバマの心に響いたマルコムXの言葉/オバマの複眼的思考/地球市民の連帯を望むマルコムXとオバマ

あとがき (二〇〇九年一一月  荒 このみ)


引用文献/参考文献
マルコムX年譜


≪著者: ≫ 荒このみ (あら・このみ) 1946年埼玉県に生まれる。1976年東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。博士(文学)。立命館大学客員教授、東京外国語大学名誉教授。専攻、アメリカ文学、アフリカン・アメリカン・スタディーズ。著書、『女のアメリカ』(花伝社)、『西への衝動』(NTT出版)、『黒人のアメリカ』(筑摩書房)、『アフリカン・アメリカンの文学』(平凡社)、『アフリカン・アメリカン文学論』(東京大学出版会)、『歌姫あるいは闘士 ジョセフィン・ベイカー』(講談社)。編訳書、『トニ・モリスン事典』『マルコムX事典』(以上、雄松堂)、『アメリカの黒人演説集』(岩波書店)ほか。






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本「近代ヨーロッパ史 世界を変えた19世紀 (ちくま学芸文庫)」福井憲彦5

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近代ヨーロッパ史 (ちくま学芸文庫)
近代ヨーロッパ史 世界を変えた19世紀 (ちくま学芸文庫)

○著者: 福井憲彦
○出版: 筑摩書房 (2010/6, 文庫 284ページ)
○定価: 1,155円
○ISBN: 978-4480092991




ヨーロッパの近代は、その後の世界を決定づけた。現代の繁栄も混迷もここに発し、21世紀になってなお世界が解決に苦闘する難題もまた、ここに源をもっている。では、なぜそのようなことになったのだろうか。教科書で習った近代ヨーロッパの重大事件、アメリカ合衆国の独立や、フランス革命、産業革命などは、私たちの生きる現代世界にどのような影響を与えているのだろうか。複雑で多様な要素からなる歴史を解きほぐし、個々の出来事の知識だけからは計り知れない近代ヨーロッパのインパクトの意味と深さを、平明かつ総合的に考える。


≪目次: ≫
はじめに (二〇〇四年十一月 福井憲彦)

1 ヨーロッパによる海外進出の開始
  1 ポルトガルのアジア交易参入
  2 スペインによるアメリカ占領とアジアへの進出
  3 ヨーロッパ対外進出の不幸な船出

2 世界交易における覇権争い
  1 東インド会社設立とオランダのアジア進出
  2 イギリス・フランスの大西洋海域への進出
  3 イギリスとフランスによる覇権抗争

3 一八世紀における社会経済と政治
  1 北西ヨーロッパにおける経済成長の開始
  2 イギリスにおける立憲王政の安定化
  3 一八世紀の啓蒙専制政治

4 「啓蒙の光」と近代思想の誕生
  1 フランスの思想家たち
  2 先駆者としてのジョン・ロック
  3 有効性と目的合理性の追求

5 人口増加の開始から「移動の世紀」へ
  1 世界の総人口の趨勢
  2 ヨーロッパの総人口の推移
  3 ヨーロッパからの大量移民

6 革命に揺れる大西洋世界
  1 出来事とその意味の確認
  2 アメリカ独立の意味とインパクト
  3 フランス革命

7 ウィーン体制と四八年諸革命
  1 ウィーン体制とはなにか
  2 一九世紀前半ヨーロッパにおける革命運動
  3 四八年諸革命への展開

8 工業化と社会の変容
  1 イギリスにおける産業革命の開始
  2 大規模工業の発展
  3 輸送革命

9 農村のヨーロッパと都市のヨーロッパ
  1 農村世界の持続と変貌
  2 農業経済と産業経済
  3 農村習俗の最後の輝き

10 科学技術の実用化と産業文明の成立
  1 科学技術の進歩と応用
  2 見えないものを見る
  3 変わりゆく生活の情景

11 国民国家とナショナリズム
  1 国民、国家、そしてナショナリズム
  2 フランス革命と国民国家
  3 ナショナリズムの変容

12 植民地帝国という野望の衝突
  1 一九世紀なかばまでのヨーロッパの海外膨張
  2 一九世紀後半の植民地争奪
  3 イギリス、フランスの植民地帝国

13 さまざまな帝国主義
  1 経済帝国主義
  2 文明の拡大という論理
  3 社会帝国主義

14 第一次世界大戦という激震
  1 戦争勃発から予期せぬ塹壕戦へ
  2 長期戦における被害の拡大
  3 長期化にともなう総力戦体制

15 歴史文化の継承と芸術的創造
  1 歴史の底流としてのロマン主義
  2 歴史的なものごとへのこだわり
  3 新しい芸術活動の叢生

終章 近代ヨーロッパの光と陰

文庫版へのあとがき (二〇一〇年五月、新緑を眺めながら 著者)

参考文献
索引


※カバー装画: ドラクロワ民衆を導く自由の女神」(ルーヴル美術館;部分)

※本書は二〇〇五年三月二〇日、放送大学教育振興会から刊行された放送大学教材『近代ヨーロッパ史――一八・一九世紀の世界のなかで』に終章を増補したものである。


≪著者: ≫ 福井憲彦 (ふくい・のりひこ) 1946年東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。学習院大学長。フランス近現代史専攻。主な著書に『時間と習俗の社会史』(ちくま学芸文庫)、『鏡としての歴史』(日本エディタースクール出版部)、『歴史の愉しみ・歴史家への道』(新曜社)、『フランス史』(編著、山川出版社)、『近代ヨーロッパの覇権』(「興亡の世界史」13、講談社)、『歴史学入門』『ヨーロッパ近代の社会史』(岩波書店)などがある。






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本「ギリシア哲学入門 (ちくま新書901)」岩田靖夫5

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ギリシア哲学入門 (ちくま新書)
ギリシア哲学入門 (ちくま新書901)

○著者: 岩田靖夫
○出版: 筑摩書房 (2011/4, 新書 317ページ)
○定価: 945円
○ISBN: 978-4480066046



ソクラテスが哲学の真の主題だと言った「いかに生きるべきか」という問  (p309、「あとがき」)


幸福は二つの次元から成立する。一つは、生きるための基本的物財の確保、言論、集会、行動その他の自由、そして、諸権利の平等の実現である。これを可能にしうる社会構造がデモクラシーであり、それは古代ギリシア人の創造に始まり、現代においても、歴史を動かしている起動力である。他は、心の安らぎであり、それは、偶然と運命に翻弄される人間が、存在の根源に帰ることにより、達せられる。現代が直面している問題を、ギリシア哲学が切り開いた視野から考える。


≪目次: ≫
第1章 哲学のはじめ――人はいかに生きるべきか
1 驚く
コスモス/存在の不思議/タレス/アナクサゴラス/ハイデガー/不安と深淵/存在という贈り物/祈りと受諾/詩人として生きる
2 働く
自己実現/啓蒙とは何か/紀元前五世紀のギリシア/一八世紀のヨーロッパ/『啓蒙とはなにか』という書物/福沢諭吉/蘭学/言論の自由/『学問のすすめ』/競争(アゴーン)/「共有財産」としての能力/ジョン・ロールズ/家族関係/同船者の比喩/葡萄園の労働者/南ドイツの養老院(シュピタール)
3 交わる
武器を捨てる/良寛/他者による肯定/「こんにちは」/善意の一方性/奴隷化/奇跡/贈られた生命/最大の他者即真の自己/老荘の思想/他者との関係の中で/報酬を求めない善意の奉献
 ※初出: 仙台向山高等学校における講演(2009年6月24日)

第2章 ポリス的生の成立とその限界――自己実現としての幸福とその「かなた」
アリストテレスの倫理・政治思想/中間の国制/社会の階層構造/幸福概念のコペルニクス的転回
1 アリストテレスの最善の国制
絶対王制擁護論の二義性/デモクラシー擁護論の二義性
2 「中間の国制」とは何か
凡人の国家/中間の意味/政治権力の形
3 「中間の国制」を是認するアリストテレスの思想的根底
(a) 哲人王の批判
絶対王政擁護の議論/人間の本性としてのエゴイズム/コインの両面としての絶対王制と奴隷制
(b) 「中間の国制」を擁護する諸論点
役職の交代/専門家の技術/大衆の知恵/使用者が最良の判断者/理性による衝動の制御/中間層の理性的性格/平等と友愛/安定と尺度

4 エピステーメーではなくフロネーシス
多くの人々の合意(エンドクサ)
5 社会の階層的構造――だれが幸福になりうるのか
(a) 歴史的現実
ポリスの構成員/公共的理性の所有者/幸福になりうる者/幸福になりえない者
(b) 国家有機体論
全体は部分よりも先である/国家の諸部分は固有の働きと位置をもつ/構成員の二つの層/アレテーの活動と生の不可欠条件担当との矛盾/幸福はアレテーの活動か

6 他者――人間はなんのために生きているか
社会の階層的構造の必然性
(a) 無限なる者
他者を求める存在/全体と無限/理性による整理統合/他者への直面/無限の経験/超越、絶対、不在/遠くて近き者
(b) 報いなき善意の奉献
デジール/私と他者との不均衡/一方的な善意の奉献/「汝の敵を愛せ」/宮沢賢治/死にさらされた弱者/受動性の受動性/やましさの意識/プシシスム

7 弱さの秘密
無と無の出会い/ジャン・ヴァニエ/心の交流/無力の神秘/武装解除
 ※初出: 「デモクラシーと幸福――自己実現と自己奉献 幸福の二つの次元」、『公共哲学の古典と将来』(1-37頁)、東京大学出版会、2005年1月

第3章 精神革命としてのソクラテス哲学――反駁的対話と無知の知
1 敬虔
神からの贈り物/ソクラテスの罪状/ギリシア人の宗教性/「万物は神々に充ちている」/不敬虔の意味/ギリシア神話の神々に対する批判/敬虔とはなにか
2 ダイモニオン
禁止命令としてのダイモニオン/理性による基礎づけの限界/カントの定言命法/果てしなき批判の道/神の内面化
3 生き方の吟味
「ソクラテス以上の賢者なし」/神への奉仕
4 反駁的対話
ロゴスによる基礎づけの追及/各人の信念の吟味/反駁的対話の論理構造/無限に続く対話/ドクサの圏域での死闘/結論のない吟味
5 無知の知
思考の永久革命/死についての無知/二つの可能性/善き神々のもとへ/根拠についての無知/プラトンの仮説弁証法/自己についての無知/知の届かない闇
 ※初出: 『比較文明研究』第11号(89-104頁)、2006年3月、麗澤大学
 ※長崎純真レクチャーズとして同趣旨の講演を行い、『三人の求道者』の第一章「ソクラテスの神」としても公刊、創文社、2006年。


第4章 プラトンの『国家』における正義――哲人王と平民
1 正義の意味
国家形成の基本原理/自分自身のことを為す/仕事の本性的適性/仕事をしない生は死と同じである/働きの相互性/能力主義の正義論/自然的素質のみが仕事を決める/最初のフェミニスト/「自分自身のものを持つ」と「自分自身のことを為す」
2 国家の基本的構造
国家を構成する三階級/本務への専念が正義/プラトンの全体主義/人間の生の基本的構造/人間の内なる怪獣/独裁者とは何者か/あるべき人間/国家における類似の構造/理性なき者は理性ある者の支配に服すべし/本性的奴隷論/本性的奴隷論の矛盾点/万人に理性あり
3 逆比例の幸福
禁欲的独裁者/配分的正義の逆転/私利私欲の放下/常識的な意味で幸福な労働者/権力と幸福の逆比例/常識逆転の正義論
4 哲人王の幸福
ギュゲスの物語/外見と真実/魂の調和と混乱/権力とエロスの極限的無抑制/不断の恐怖と不安の生/イデアとの一体化に努める人/闇の洞窟への降下
5 プラトンからアリストテレスへ
ソクラテスとプラトン/ドストエフスキーの「大審問官」/倫理的自律性と人格の尊厳/自由な公共的理性の所有/大衆の合意
 ※初出: 『思想』第868号(78-98頁)、1996年10月、岩波書店

第5章 アリストテレス政治思想の現代的意義――デモクラシー成立の基礎
1 プラトンの政治思想の基本的骨格
人々を有徳にするために国家は存在する/凡人の性(さが)/哲人王国家/自分の仕事から逸脱してはならない/凡人は政治に口出しをしてはならない/人間の尊厳の剥奪/哲人王とは人間ではない/哲人王国家という理論の自己矛盾
2 アリストテレスの政治思想の基本的骨格
政治と倫理は同一の原理に基づく/「理性的動物」の含蓄の理論的展開/支配権力の定期的交代/デモクラシーの基礎は遵法精神/公教育の必然性/巨人の知恵/多くの人々の合意(エンドクサ)の含意
3 現代の政治思想とアリストテレス
人々を有徳にすること/「戦争の根絶」という未曾有の視界/国際連邦政府の樹立
 ※初出: 『学術の動向 ‘箪I プラトン哲学の現代的意義』(28-35頁)、2011年1月、日本学術協力財団

第6章 人はなぜ戦争をするか――「世界平和実現」への理念と方途
1 人はなぜ戦争をするか
戦いは万物の父/生の必然的条件の確保/強さは美徳
2 戦争を止めるための根拠
人間は自由で平等である/人間の尊厳の自覚/支配権力の定期的交代/遵法精神の確立/法治と平和/差異は偶然の結果である
3 永遠平和を祈願する者(戦争の廃絶を主張する者)の資格
厳しい倫理的要請/道徳は本質的に一方通行/信頼と善意のみによって生きる
4 戦争を止めるための方策
全世界的に法治国家の成立を実現する/国際関係を規制する法秩序の確立/世界連邦政府の樹立
5 希望のそよ風
オバマ大統領の誕生/コペンハーゲン会議/初めての支配権力の交代/理想によって進む
 ※初出: 『戦争を総合人間学から考える』(89-100頁)、2010年6月、学文社

第7章 根源への還帰――仏教とキリスト教における霊性
1 霊性とはなにか
根源への帰依/根源は存在者ではない/ハイデガーの「存在忘却」/根源への帰還
2 仏教の霊性
(a) 現成公案
自己をわすれる/本当の自己/万法に証せらるる/二元論的構図の脱落/ありのままの世界
(b) 浄土真宗
すでに救われている/悪人正機の逆説
(c) 絶対他力
念仏に神通力があるのではない/心をすてよ/信心おこらずともうけ給へ/信不信をえらばず/安心をもすてよ
(d) 妙好人
空念仏/「おさしつかえなし、ご注文なし」

3 キリスト教の霊性
(a) 神の国
神は人の中におり、人は神の中にいる/愛の働きとしての神
(b) 大地と自然
自然本性の働き/誓うな/絶対無差別の善意
(c) 祈り
帰依の叫び/空/生きていることが祈り/苦しみに耐えることも祈り
(d) 愛の業
イエスを見る/自由な絶対者への呼びかけ/復讐の禁止/常不軽菩薩/赦す/赦したのに、首を絞められる王/奴隷となって、他者の足を洗う/支配者は給仕になれ/愛は貧しい者の特権である

 ※初出: 『福音宣教』2009年10月号(27-34頁)、11月号(27-34頁)、12月号(25-32頁)、オリエンス宗教研究所



あとがき (二〇一一年二月 亘理にて 岩田靖夫)
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≪著者: ≫ 岩田靖夫 (いわた・やすお) 1932年東京生まれ。61年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。東北大学名誉教授。仙台白百合女子大学名誉教授。2003年、文化功労者。古代ギリシア哲学のほか、ハイデガー、ロールズ、レヴィナスの研究で知られる。主な著書に『よく生きる』(ちくま新書)、『ヨーロッパ思想入門』(岩波ジュニア新書)、『いま哲学とはなにか』(岩波新書)、『アリストテレスの倫理思想』『神の痕跡』『倫理の復権』『神なき時代の神』『アリストテレスの政治思想』(いずれも岩波書店)、『ソクラテス』(勁草書房)などがある。


岩田靖夫 『ギリシア思想入門  Introduction to Greek Thought 』(東京大学出版会、2012年) '12/09/16





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本「戦いの日本史 武士の時代を読み直す (角川選書515)」本郷和人5

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戦いの日本史  武士の時代を読み直す (角川選書)
戦いの日本史  武士の時代を読み直す (角川選書515)

○著者: 本郷和人
○出版: 角川学芸出版 (2012/11, 単行本 244ページ)
○定価: 1,680円
○ISBN: 978-4047035157



武士の時代、戦いの、中世日本史


武士の登場から天下統一まで、中世は8つの「対立」で作られた!
武士の時代、その闘争、そして武家政権とは何だったのか? 平清盛源頼朝の対立から、鎌倉南北朝室町戦国の世を経て、織田信長豊臣秀吉徳川家康の進めた天下統一事業まで。鎌倉幕府・北条家による撫民(ぶみん)の思想と謡曲「鉢木(はちのき)の真実、山名宗全の復讐(リベンジ)劇に始まった応仁の大乱、戦国における「天下」の意味と信長の思想……史実の刮目すべき新解釈を鮮やかに示す。


≪目次: ≫
はじめに

第一章 平清盛源頼朝――治承・寿永の内乱
一 清盛落胤説と武力
   「武家の、平家の、清盛」/見えなくなる歴史のダイナミズム
二 清盛と「平家」の本質とは
   苦心の人事/平家にあらずんば人にあらず/在地領主の独立戦争
三 東の源氏と西の平氏
   強いヤツこそボス/みんなそろって
四 関東こそは約束の地
   我らの地、鎌倉に帰ろう/本領の安堵、新恩の給与
五 京と鎌倉と
   関東の価値/鎌倉殿との深い絆
六 朝廷の「中から」と「外から」
   武士たちのための政権誕生

第二章 後鳥羽上皇北条義時――承久の乱
一 正当性を求める武士たち
   門葉、家の子、侍/貴種のもとに集まる武士
二 果てしなき内部抗争の末に
   景時失脚の顚末/北条氏のお家芸
三 七つの守護をもつ源氏
   守護という役人/大内惟義はどんな人物か
四 後鳥羽上皇の挑戦
   豊富な財源による専制的院政/新しい武家の棟梁を創出
五 実力と権威の戦い
   京都に近づきすぎた実朝/地に足の着いた武士の存在意義

第三章 安達泰盛平頼綱――霜月騒動
一 謡曲「鉢木
   霜月騒動/「鉢木」の舞台・佐野
二 御家人でありながら、御内人
   佐野源左衛門常世のモデル/御家人と御内人
三 「統治派」と「権益派」の出現と対立
   社会のリーダーとなる武士/「統治派」と「権益派」の衝突
四 「易しい教え」と「やさしい政治」
   民を慈しむ存在となる武士/浄土の教えとは何か
五 経済状況の変化がもたらしたもの
   動産世界の急成長/「撫民」の系譜の断絶

第四章 足利尊氏後醍醐天皇――南北朝内乱
一 建武政権の評価
   譜代の否定はコップの中の嵐/後醍醐天皇の本質
二 鎌倉幕府が滅びた理由は
   後醍醐天皇は武士を味方にできたか/自ら倒れた鎌倉幕府
三 新しい武家勢力の台頭
   狙いは京の銭/バサラたちの挑戦的な振る舞い
四 分裂しながらも存続する天皇制
   天皇制はなぜ必要か/天皇の権威とは
五 将軍権力とはなんだろうか
   二つの要素をもつ将軍権力/支配圏が狭められていく中央政権

第五章 細川勝元山名宗全――応仁の乱
一 戦いの歴史
   戦いの実態とは/将軍の働きは軍事と政治
二 応仁の乱とは何か
   日本の歴史の分水嶺/キーワードはリベンジ
三 それぞれの守護家の動向
   明徳の乱南北朝合一/圧倒的な富の蓄積
四 嘉吉の変から応仁の乱へ
   型式より実力重視/地元で苦戦する守護大名

第六章 今川義元北条氏康――駿東地域の争奪戦
一 日本を二つに分けると
   「都鄙の界」/下克上のストーリー
二 河東の乱河越夜戦
   今川氏と北条氏の奪い合う「川中島」/河越の夜戦
三 「戦いと同盟」の実態を観察してみる
   戦いは生きもの/信用が家の命運になる
四 桶狭間の戦いとは何か
   歴史解釈に必要な常識/勝敗は人知を超えて決する

第七章 三好長慶織田信長――戦国の畿内争奪の諸相
一 京都の政体の位置づけ
   「三好政権」の三好氏/戦略的な「上洛」とは/「天下の覇権を握るために上洛する」?
二 それは政権なのか
   「政権」とは何か/長慶は天下統一を目指したか
三 長慶と信長の差異
   「天下」ということば/国人領主とは/「守護大名」から「戦国大名」へ
四 信長は分かり易いのか
   信長の惨い命令/信長の新しさ

第八章 豊臣秀吉徳川家康――小牧・長久手の戦い
一 信長の「分かりにくさ」をもう少しだけ
   日本仏教の総本山を焼いた信長/天皇と同格?/天皇を必要としなかった信長
二 秀吉と家康の戦い
   「我々跡目、くれぐれいやにて候」/小牧・長久手の戦いへ
三 秀吉の日本統一事業
   家康との全面戦争の回避/「秀吉王権」を作る
四 秀吉による天皇の奉戴
   カンタベリー大司教としての天皇/関白あっての天皇
五 家康の選択
   天下人・徳川家康/徳川家の政権確定の権威づけ

おわりにとあとがきを併せて


≪著者: ≫ 本郷和人 (ほんごう・かずと) 1960年、東京都生まれ。東京大学文学部・同大学院で日本中世史を学ぶ。専攻は中世政治史と古文書学。東京大学史料編纂所の助手・助教授などを経て、東京大学史料編纂所教授。『大日本史料』第五編の編纂にあたる。主な著書は『天皇はなぜ万世一系なのか』(文春新書)、『天皇はなぜ生き残ったか』(新潮新書)、『武力による政治の誕生』(講談社選書メチエ)など多数。


本郷和人 『謎とき平清盛』(文春新書、2011年) '12/01/04
五味文彦/佐藤信 編著、佐々木恵介/本郷和人/中島圭一 著 『日本古代中世史 '11』(放送大学教材:専門科目 人間と文化コース、放送大学教育振興会、2011年) '11/10/28
五味文彦 編著、本郷和人/中島圭一 著 『日本の中世 '07』(放送大学教材:専門科目 人間と文化コース、放送大学教育振興会、2007年) '11/05/12
本郷和人 『天皇はなぜ万世一系なのか』(文春新書、2010年) '11/03/03
本郷和人 『天皇はなぜ生き残ったか』(新潮新書、2009年) '10/07/13
本郷和人 『武士から王へ お上の物語』(ちくま新書、2007年) '10/07/10
本郷和人 『人物を読む 日本中世史  頼朝から信長へ』(講談社選書メチエ、2006年) '10/07/06
本郷和人 『新・中世王権論 武門の覇者の系譜』(新人物往来社、2004年) '10/07/03
本郷和人 『天皇の思想 闘う貴族 北畠親房の思惑』(山川出版社、2010年) '10/06/27
本郷和人 『武力による政治の誕生』(選書日本中世史、講談社選書メチエ、2010年) '10/06/12





……たしかに天皇家は千年を超える命脈を保っている。そうした例は世界にない。けれども天皇家が特別に神々しい存在であったから、万世一系が実現しているわけではないのです。秀吉には、それに他の覇者たちにも、天皇を必要とする具体的な事情があった。それが連続した結果として現在の天皇家がある。それゆえに、天皇家を日本の歴史の象徴とするのはまことに正しい認識だと思いますが、唯一無二のものとか、何か神秘的なものと崇めるのは、当を得ていないのではないでしょうか。  (p235-236、「第八章 豊臣秀吉と徳川家康」)


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本「伝統都市・江戸  Edo: The City in Tradition 」吉田伸之5

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伝統都市・江戸
伝統都市・江戸  Nobuyuki Yoshida: “Edo: The City in Tradition”, University of Tokyo Press, 2012

○著者: 吉田伸之
○出版: 東京大学出版会 (2012/6, 単行本 328ページ)
○定価: 6,300円
○ISBN: 978-4130201490




日本近世の都市社会をいかに構造的にとらえるか。都城や城下町をめぐる諸論考から「伝統都市」の比較類型的分析を展開し、名主や職人、問屋や商人など社会集団の実態を丹念な史料分析から明らかにする。日本近世史の第一人者による都市史研究の集大成。


≪目次: ≫
序章
はじめに
一 本書の方法と視角
(1) 都市史の時期区分と伝統都市/(2) 城下町論・補説/(3) 分節的把握、分節構造
二 都市史をめぐる研究動向と課題
(1) 都市史研究の方法的基盤/(2) 近世都市史研究の動向/I 都市社会=空間の構造把握/ 分節構造/ 社会的権力/ 社会集団と身分的周縁/ 空間構造/II 比較類型把握/II-1 日本近世都市間の類型比較/ 大坂/ 中小規模の伝統都市/II-2 日本の他時代における都市との類型比較/II-3 海外・同時期の都市史との類型比較
三 各部・各章の概略


第I部 城下町論

第1章 城下町の類型と構造
一 都市史の方法
(1) 近世都市の諸類型と城下町/(2) ウェーバーの都市論から/(3) 前近代の都市/(4) 都市のイデア/(5) 伝統都市
二 城下町
(1) 小野均らの城下町論/(2) 城下町論ノート
三 城下町の類型論
(1) 城下町の類型区分/(2) 陣屋元村/(3) 京都
四 城下町の即自的な分節構造
(1) 都市社会の分節構造/(2) 足軽町/(3) 職人町/(4) 皮多町村
五 城下町の対自的な分節構造
(1) 単位社会構造(分節構造β)/(2) 対抗的社会構造
六 城下町研究の課題
(1) 「首都性」/(2) 宗教都市との比較/(3) 城下町の近代化
 ※初出: (佐藤信・吉田伸之編 『新体系日本史6 都市社会史』 山川出版社、2001年)

第2章 近世都市の成立と展開
はじめに
一 近世都市の成立
(1) 中世末の都市の到達点/(2) 近世都市の形成と町
二 近世都市の展開
(1) 諸変化の前提/(2) 都市社会の変容/(3) 都市社会のあらたな段階と存在構造
 ※初出: 「近世都市の成立」・「近世都市の展開」、タイトル変更、(『日本歴史大系 近世』 山川出版社、1988年)

第3章 巨大都市・江戸の空間構成と社会構造
はじめに
一 都市空間の三つの構成要件
二 武家屋敷
三 神社・仏閣
四 町家
五 裏店と民衆世界
 ※初出: (1989年8月成稿。「イスラムの都市性」 国際会議での報告(英文)原稿の原版。未発表)

第4章 都市の近世
一 都市史の現在
(1) メガロポリス・東京の二つの歴史的現在/(2) 汐入――都市集落の死/(3) 死者の都市、最適都市
二 都市史の方法
(1) 都市の骨格/(2) イスラームの都市性/(3) 都市の発展段階論
三 「都市の時代」としての近世
(1) 日本の伝統都市――城下町/(2) 城下町の基本要素/ 城郭と領主の館/ 武家地(家中屋敷)/ 足軽町/ 寺社地/ 町人地/(3) 巨大城下町、三都
 ※初出: (吉田伸之編 『日本の近世9 都市の時代』 中央公論社、1992年)

補論1 都市社会=空間構造の分節的把握
一 都市の社会=空間構造論について
二 都市社会=空間構造の分節的把握をめぐって
 ※初出: 「編集に参加して」、タイトル変更、(塚田孝・吉田伸之編 『近世大坂の都市空間と社会構造』 山川出版社、2001年)


第II部 名主と役

第5章 近世前期江戸の名主と「行政・自治」
はじめに
一 江戸町方の拡大
(1) 「古町三百町」/(2) 寛文二年(1662)十一月〜/(3) 正徳三年(1713)閏五月〜/(4) 延享二年(1745)閏十二月以降
二 町の名主
三 支配名主の成立
四 名主番組
おわりに
 ※初出: 「おさめる:行政・自治」、タイトル変更、(大谷幸夫・羽田正・和田清美編 『シリーズ・都市のアナトミー1 都市のフィロソフィー』 こうち書房、2004年)

第6章 近世前期江戸町人地・内・地域の分節構造
はじめに
一 南伝馬町と周辺町々
二 名主=道中伝馬役・高野氏
(1) 由緒と家系/(2) 経営
三 地域の諸要素と分節構造
補説 行倒れ・無宿と賤民組織
四 江戸町人地・内・地域社会
 ※初出: (井上徹・塚田孝編 『新体系日本史6 都市社会史』 山川出版社、2001年)

第7章 江戸町触と「承知」システム
はじめに
一 町触請状の位相
二 町触札
三 町触の深度
 ※初出: (佐藤信・吉田伸之編 『東アジア近世都市における社会的結合』 山川出版社、2001年)

第8章 江戸の桶樽職人と役
はじめに
一 「桶樽職役銭取立書留」について
二 「古来」の樽桶職人役徴発システム
三 「天和度」以降の役銭徴発システム
四 寛政期「役銭納方仕法」
おわりに
 ※初出: 「江戸の桶樽職人と役システム」、タイトル変更、(小泉和子編 『桶と樽――脇役の日本史』 法政大学出版局、2000年)


第III部 問屋と商人

第9章 描かれた「売り」の諸相――「熙代勝覧」を素材として
はじめに
一 通町筋の空間諸要素
町/ 町屋敷/ 表店/ 庇下/ 道路/ 広場/ 橋台・橋下/ 川・堀と河岸地
二 表店と大店
三 商番屋
四 市場
(1) 魚市場/(2) 青物市場
五 家台の食類商人
六 振売・振買
(1) 古着売/(2) 紙屑買
七 「売り」の諸相
(1) 常設店舗/(2) 仮設店舗・売場
 ※初出: 「描かれた売りの諸相」、タイトル変更、(文部科学省中核的研究拠点COEプログラム報告書[1999-2003年] 『象形文化の継承と創成に関する研究』 東京大学大学院人文社会系研究科象形文化研究拠点、2004年)

第10章 食類商人
はじめに
一 描かれた食類商人
二 表店食類商人
三 荷い家台と振売
四 商番屋
おわりに
 ※初出: 「食類商人について」、タイトル変更、(『和菓子』 17、2010年)

第11章 伝統都市の終焉
はじめに
一 十七世紀中後期の仲間と組合
(1) 明暦三年(1657)町触の再考/(2) 十仲間
二 享保期の仲間・組合
(1) 享保六年(1721)の商売人組合/(2) 地廻り十二品問屋/(3) 十仲間・十二品問屋体制
三 株仲間体制とその解体
(1) 「文化度」/(2) 株仲間解散
四 諸問屋再興
(1) 空白の一〇年/(2) 古復
五 仲間・組合の展開と伝統都市の終焉
 ※初出: (『日本史講座』 7巻 「近世の解体」、東京大学出版会、2005年)

補論2 寛永期・金沢の魚問屋について
 ※初出: (『金沢市史会報』 9、2002年)


索引


≪著者: ≫ 吉田伸之 (よしだ のぶゆき) 1947年東京に生まれる。1972年東京大学文学部卒業。2012年東京大学退職。主要著作:『近世巨大都市の社会構造』(東京大学出版会、1991年)、『近世都市社会の身分構造』(東京大学出版会、1998年)、『身分的周縁と社会=文化構造』(部落問題研究所、2003年)。

吉田伸之 『成熟する江戸』(日本の歴史17、講談社学術文庫、2009年) '11/07/12





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本「永楽帝 華夷秩序の完成 (講談社学術文庫2148)」檀上寛5

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永楽帝――華夷秩序の完成 (講談社学術文庫)
永楽帝 華夷秩序の完成 (講談社学術文庫2148)

○著者: 檀上 寛
○出版: 講談社 (2012/12, 文庫 320ページ)
○定価: 1,050円
○ISBN: 978-4062921480





朝第三代、永楽帝。甥である建文帝から皇位を簒奪し、執拗なまでに粛清と殺戮を繰り返し、歴史を書き換えて政敵が存在した事実まで消し去ろうとした破格の皇帝。その執念と権勢はとどまるところを知らず、中華の威光のもと朝貢国六〇余をかぞえる「華夷秩序」を築き上げた。それは前近代東アジアを律しつづけた中華の〈世界システム〉であった。


≪目次: ≫
はじめに

第一章 中華という名の世界
1 中華と夷狄
中華ということば/普遍性に富んだ世界観/天命思想/「五服図」は示す/突きつめれば
2 中華世界の変転
大唐帝国/羈縻(きび)政策/政治力のたまもの/驚天動地の大事件――モンゴル族が擡頭/クビライの盛時/商品の取りもつ世界/元朝の衰退――大動乱の呼び水

第二章 大明帝国の誕生
1 中華の回復
洪水・疫病・倭寇/天下大乱、弥勒仏下生――紅巾の乱/大別すれば二つ/朱元璋の成功の秘密/ライバル――陳友諒と張士誠/洪(おお)いなる武――大明帝国の誕生
2 元から明へ
元・明革命は民族革命か/世にも奇妙な解釈/北伐は、民族革命でもなんでもない/知らず知らず/宋・元と明・清――時代区分の問題/宮崎市定の卓見――元・明の連続性/新たな枠組みの構築に向けて
3 明初体制の意味するもの
固定化された秩序/残虐刑と「三跪九叩頭」――皇帝権威を高めるために/儒教の論理が現実世界に具現化したとき/ニーズはあった/「科挙」の変化/戸別把握・区分支配/北元と倭寇/海禁/市舶司の廃止/中国史を通しての大きな謎/「勘合制度」の意味/華夷秩序の理念型――中国社会の体制的帰結

第三章 皇統のゆくえ
1 燕王の事蹟
正式の名前があたえられなかった/「公式の」真実/嫡子ではない!/捏造のわけ/首都問題と北方防衛――つきつけられた大きな難問/南京は北辺からあまりにも遠すぎた/諸王分封/九名の「塞王」/葉伯巨、逆鱗に触れる/集権と分権の狭間/諸王教育/燕王の北平就藩
2 暗闘
朕に北願の憂いなし/人となり友愛――皇太子の気性/隠蔽された部分はあまりにも多い/とはいえ……/確執と葛藤/皇太子の死――揺れる朱元璋/これは事実/気がかりなのは/尊属と卑属――燕王と皇太孫の微妙な関係/もはや気兼ねなし――二人の兄の死/太祖崩ず

第四章 奪権への階梯
 1 南人朝廷
建文新政/「書生亡国」――黄子澄、斉泰、方孝孺/両者は性格が違う/浙東学派の理念/時至れり/絶対矛盾・自己撞着/太祖の遺詔/野史のスタンス/燕王は上京したか――『朝鮮王朝実録』は語る/対立は決定的に
 2 挙兵前夜
「重兵」を擁す/削藩/告発者は十歳の息子――フレーム・アップか/軍事力を骨抜き/隠密の操練、葛誠の裏切り/燕王来朝の怪/清朝による公式見解にもかかわらず/やはりおかしい/史料上のすり替え/来朝伝説の完成

第五章 歴史の翻転
1 靖難の変
一大ストーリー/明快な起承転結/史実と虚構/幸田露伴の『運命』/一世一代の大芝居/落ちた瓦――決断の時/もはや挙兵の他なし/一切れの西瓜――クーデターの発端/君主の難を靖(やす)んず/本音は奪権/まさに幸運
2 理念の末路
法か徳か/まさかの敗北/致命的選択――李景隆を大将軍に/迷走する朝廷/方孝孺が陣頭に/人心の帰趨は金陵の成敗にあり――燕王、南京へ/大勢決す――霊璧の戦い/南京陥落/宮中に火起こり、帝、終わるところを知らず

第六章 失われた時のなかで
1 建文出亡
焚死か出亡か/荒唐無稽ともいえない/『明史』の混乱/疑案の顛末/日中の「感覚」の差/其の説を両存するを妨げず
2 滅びゆく者たち
四つのパターン/奸臣狩りとオポチュニスト/すべて洪武時代の旧に/変節と殉節の間際/壬午殉難/瓜蔓抄(かまんしょう)/女たちの悲劇/燕賊簒位――方孝孺の最期/「十族」という語――理念の抹殺/皇帝の原罪

第七章 天命の所在
1 聖王の御代
革除(かくじょ)/『太祖実録』三度の編纂/正当化の布石/非合法な即位を合法化するには/盛世のあかし――『永楽大典』の大編纂事業/「制作者」としての永楽帝/その後の運命
2 徳治の実体
『聖学心法』/『大全』井でてより経説亡ぶ/刊行の意義/内閣の創出/明初であればこそ/宦官の跋扈――「東廠」の恐怖/内廷と外廷をつなぐ者/専制皇帝の影

第八章 クビライを越えて
1 四夷朝貢
穏便かつ平和的に/オイラトを通じてタタルを牽制/朝貢奨励に手段を選ばず/甦る華夷秩序/日本との関係/日本国王源道義――ふたたび冊封体制の一員に/持ちつ持たれつ――永楽帝と義満/「屈辱外交」ではない/父も息子も/モデルとすべきは/新しい中華のために
2 拡大する中華
鄭和、南海を行く/貿易は二の次/およそ舟車の通うところ/「五服図」さながら――明的華夷秩序の完成/国書さえ携えておれば/中国物資に対する需要を逆手にとって/クビライを越えた――中華「世界システム」の創出

第九章 華夷秩序を統べる者
1 順逆の理
安南出兵/なぜ安南に/一輪の徒花/モンゴル親征/五出三犂/見果てぬ夢
2 天子の都
首都のダイナミクス/経済と軍事のねじれ/まずは副都に格上げ/北京遷都/洪武から永楽へ/歴史の必然

第十章 永楽帝の遺産
1 盛世の翳り
多病の果てに/「魚・呂の乱」/母さん、私はまいります/紫禁城炎上――不満が噴出/聞く耳なし/最後の親征/臨終の地・楡木川/帰還
2 中国史の転換点
逆流/洪熙帝急死/いつしか沙汰やみ/固い体制/時代の邂逅


参考文献
あとがき (一九九七年 秋  檀上 寛)
文庫版あとがき (二〇一二年十一月  檀上 寛)


※本書の原本は、一九九七年、小社より刊行されました。


≪著者: ≫ 檀上 寛 (だんじょう ひろし) 1950年生まれ。神戸市出身。京都大学文学部卒業、京都大学大学院博士課程修了。京都女子大学教授。文学博士(京都大学)。専攻は中国近世史。単著に『明の太祖 朱元璋』『明朝専制支配の史的構造』など、共編著に『東アジア海洋域圏の史的研究』『中国人物列伝――第三講・第四講』などがある。


田中健夫 『倭寇 海の歴史』(講談社学術文庫、2012年) '12/02/19
杉山正明 『クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回』(講談社学術文庫、2010年) '10/11/17





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本「日中歴史認識 「田中上奏文」をめぐる相剋 1927-2010  Understanding Sino-Japanese History: Conflict over Tanaka Memorial, 1927-2010 」服部龍二5

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日中歴史認識―「田中上奏文」をめぐる相剋 1927‐2010
日中歴史認識 「田中上奏文」をめぐる相剋 1927‐2010  Ryuji HATTORI: “Understanding Sino-Japanese History: Conflict over Tanaka Memorial, 1927-2010”, University of Tokyo Press, 2010

○著者: 服部龍二
○出版: 東京大学出版会 (2010/2, 単行本 348ページ)
○定価: 3,360円
○ISBN: 978-4130230599



「支那を征服せんと欲せば、先づ満蒙を征せざるべからず。世界を征服せんと欲せば、必ず先づ支那を征服せざるべからず。(中略)之乃(すなわ)ち明治大帝の遺策にして、亦(また)我が日本帝国の存立上必要事たるなり。」(p2)



日中歴史共同研究報告書の執筆者が贈る、日中問題の総決算――日本版『我が闘争』として知られ、時代の荒波に翻弄された怪文書「田中上奏文」を主題に、今日に至るまでの日中関係と歴史認識問題の全体像を描く。蒋介石ローズヴェルトトロツキー松岡洋右、そして戦後の東京裁判・国際検察局、フルシチョフ江沢民など、多彩な人物が繰り広げる群像劇を通じ、歴史の真相と本質に迫る。


≪目次: ≫
はしがき

序章 「田中上奏文」とは何か
 一 二一項目の怪文書
 二 「田中上奏文」への眼差しI――アメリカとロシア
   アメリカ/ロシアなど
 三 「田中上奏文」への眼差しII――一九七〇年代までの日本、中国、台湾
   日本/中国と台湾
 四 「田中上奏文」への眼差しIII――一九七〇年代以降の日本、中国、台湾
   日本/中国と台湾
 五 実存説と偽造説の間

第一章 昭和初期の日中関係――1927-1931
 一 「田中上奏文」の起源――東方会議前後
   流通と抑制――四つの視角/蔡智堪床次竹二郎牧野伸顕/東方会議との不整合/新聞報道/王家
 二 「田中上奏文」の流通
   太平洋問題調査会/新東北学会と東北学会/『時事月報』/『支那人の観た日本の満蒙政策』/アメリカ国務省知日派
 三 駐華日本公使館と国民政府外交部
   偽書と知っていた中国/『中央日報』国際面
 四 中国東北の排日運動
   蔡智堪・王家呂販貿省政府/遼寧省国民外交協会と新聞/満州事変前

第二章 満州事変後の日中宣伝外交――1931-1937
 一 満州事変
   宣伝外交とメディア――二つの視角/『チャイナ・クリティク』誌/Japan and the Next World War
 二 中国国民党と反日宣伝
   上海日本商工会議所/多様な怪文書/中国国民党
 三 上海事変と「田中上奏文」の流布
   日中宣伝外交とアメリカ/東南アジアとヨーロッパ
 四 リットン調査団と日中論戦
   五人の委員/日本の抗弁/上海の松岡洋右/リットン汪兆銘/不可侵条約の模索/北平から満州へ
 五 リットン報告書と日中「協力」
   顧維鈞と満州国外交部/リットン報告書/日中「協力」
 六 国際連盟――松岡洋右・顧維鈞論争
   松岡・顧維鈞論争/顧維鈞と国民政府外交部/宣伝と報道/ジュネーヴの王芃生/衰えぬ影響力/コミンテルンと中国共産党

第三章 情報戦としての日中戦争、太平洋戦争――1937-1945
 一 日中開戦前後の宣伝
   宣伝と流通――二つの視角/日中開戦前/「立憲国」日本のジレンマ/日中開戦と対外宣伝
 二 「田中上奏文」をめぐる情報戦
   「田中上奏文」の再登場/蒋介石ローズヴェルトタウンゼント/トロツキー論文/中国国民党中央宣伝部国際宣伝処
 三 太平洋戦争におけるラジオと映画
   開戦後のアメリカ/プロパガンダ映画/娯楽映画とアメリカ海軍/ソ連の対日参戦と終戦

第四章 日本占領と東京裁判――1945-1951
 一 占領統治と「田中上奏文」の残像
   終戦後の「田中上奏文」――三つの視角/アメリカの報道/GHQと昭和天皇/鳩山一郎公職追放/「マッカーサーは『田中メモリアル』を採用するのか」/映画『日本の悲劇』
 二 国際検察局と日本外務省
   戦犯起訴状/外務省の憤慨/弁護団の見解/国際検察局の「田中上奏文」観(1)――木戸幸一への尋問/国際検察局の「田中上奏文」観(2)――広田弘毅小磯国昭吉田茂らへの尋問
 三 東京裁判の迷走
   岡田啓介の出廷/秦徳純の証言/ウェッブ裁判長の問い/ウェッブの真意/ソ連の追求とセミョーノフ宣誓口供書/弁護側冒頭陳述/岡田忠彦久原房之助/判決における共同謀議

第五章 冷戦と歴史問題――1951-1989
 一 台湾――中国国民党と国府
   冷戦期の「田中上奏文」――四つの視角/羅家倫と蔡智堪/蔡智堪の談話/国府への請願
 二 冷戦下の「田中上奏文」
   朝鮮戦争から中ソ対立まで――一九五〇年代/日米安保改定とその後――一九六〇年代〜一九七〇年代
 三 歴史問題の顕在化
   第一次歴史教科書問題と宮澤談話――一九八二年/第二次歴史教科書問題――一九八六年

第六章 歴史問題の再燃と日中歴史共同研究――1989-2010
 一 天皇訪中前後――歴史問題の沈静化
   「田中上奏文」の行方――三つの視角/天安門事件から天皇訪中へ――一九八〇年代末から一九九〇年代初頭/村山談話――一九九五年
 二 歴史問題の再燃――江沢民訪日後
   江沢民訪日と歴史問題の再燃――一九九八年/小泉首相の登場――二〇〇〇年代前半/対中広報
 三 反日デモから日中歴史共同研究へ
   第一次町村李肇星会談――二〇〇五年四月/第二次町村・李肇星会談――二〇〇五年五月/日中歴史共同研究――二〇〇六―二〇一〇年
 四 「田中上奏文」問題の行方
   報告書に見る「田中上奏文」/「田中上奏文」問題の出口

終章 日中関係と歴史認識
   「田中上奏文」の戦前と戦後/二つの謎/情報戦としての国際政治

読書案内――歴史認識問題

あとがき (二〇一〇年二月 服部龍二)
索引(人名・事項)


≪著者: ≫ 服部龍二 (はっとり りゅうじ) 1968年東京都生まれ。京都大学法学部卒、神戸大学大学院法学研究科単位取得退学。博士(政治学)。中央大学総合政策学部准教授(を経て、同教授)。主要編著書、『東アジア国際環境の変動と日本外交 1918-1931』(有斐閣、2001年)、『幣原喜重郎と二十世紀の日本――外交と民主主義』(有斐閣、2006年)、『広田弘毅』(中央公論新社、2008年)、『満州事変と重光駐華公使報告書――外務省記録「支那ノ対外政策関係雑纂『革命外交』に寄せて』(編著、日本図書センター、2002年)、『王正廷回顧録 Looking Back and Looking Forward』(編著、中央大学出版部、2008年)

服部龍二 『広田弘毅 「悲劇の宰相」の実像』(中公新書、2008年) '12/02/09
服部龍二 『日中国交正常化 田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦』(中公新書、2011年) '12/01/24

川島真/清水麗/松田康博/楊永明 『日台関係史 1945-2008』(東京大学出版会、2009年) '12/11/25
下斗米伸夫 『アジア冷戦史』(中公新書、2004年) '12/11/24
神田豊隆 『冷戦構造の変容と日本の対中外交 二つの秩序観 1960-1972』(岩波書店、2012年) '12/11/ 17
田中明彦 『日中関係 1945‐1990』(UP選書、東京大学出版会、1991年) '12/09/22
袖井林二郎 編訳 『吉田茂=マッカーサー往復書簡集 [1945-1951] 』(講談社学術文庫、2012年) '12/08/17






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本「日本の産業革命 日清・日露戦争から考える (講談社学術文庫2147)」石井寛治5

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日本の産業革命――日清・日露戦争から考える (講談社学術文庫)
日本の産業革命 日清・日露戦争から考える (講談社学術文庫2147)

○著者: 石井寛治
○出版: 講談社 (2012/12, 文庫 320ページ)
○定価: 1,050円
○ISBN: 978-4062921473




 「日本の産業革命は、一八八〇年代前半のいわゆる松方デフレによる激しい資本の本源的蓄積(資本・賃労働関係の創出)の一時期をへて、一八八六年ごろにはじまり、日清・日露の二大戦争を経験したのち、一九〇七年恐慌前後にひとまず完了する。これが歴史学界の通説であり、本書の基本的筋書きもそうした通説に沿うものであった。」(p271、終章 産業革命から情報革命へ)


製糸・紡績、鉄道、鉱山、金融。日本の近代化を支えたものは戦争と侵略だったのか? 本書は日清・日露両戦争と産業革命の関係を軸に、構造を変革する主体の姿を解明、新たな歴史像を描出する。明治の国家目標「殖産興業」が「強兵」へと転換する過程を追い、十九世紀末から二十世紀初頭にかけて世界経済の中で日本が選択した道を鮮やかに活写する。


≪目次: ≫
序章 今なぜ産業革命か?
パラダイム転換への模索/近代社会と市場経済/産業革命の否定論/日本の産業革命をどう分析するか

第一章 外資排除のもとでの民業育成――日本産業革命の前提(一八七三〜一八八五)
1 一九世紀末大不況のなかの日本経済
「外圧」に抗しての維新変革/一八七三年恐慌と先進国の大不況/アジアの銀本位国/幕藩営工業と明治官営事業
2 民間産業の育成策
岩倉使節団の海外視察/「征韓論の西郷」対「殖産論の大久保」/「国の強弱」は「人民の貧富」による/外資排除の殖産資金
3 活躍する商人
貿易商人の資金蓄積/為替取引のネットワーク/平民資金で発展する金融業/製糸業にみる「企業勃興」/輸入圧力にさらされた従来織物業
4 世界恐慌と松方デフレ
紙幣整理と軍拡の同時遂行/豪農の没落、政商の躍進/没落小生産者が賃金労働候補者に/有力ベンチャー企業、出現する

第二章 対外恐怖からの対外侵略――産業革命の開始と日清戦争(一八八六〜一八九五)
1 増加する輸出
欧米への生糸・米穀の輸出/アジア市場向けの銅と石炭
2 資本制企業の勃興
巨大株式会社、鉄道資本の始動/追い出される輸入綿糸/鉱山業が守り立てる財閥/拡大する生糸・織物の国内市場/一八九〇年恐慌と日本
3 日清戦争へ野路
変化する政府と民党の対立点/内地雑居尚早論と現行条約励行論/欧米商人・中国商人への恐怖/日清戦争開始への道
4 戦争を支えた経済力
日本銀行が資金をばらまく/日本軍の兵器と戦闘力/鉄道と汽船で兵員をスピード輸送

第三章 帝国の利権をめぐる日露対決――産業革命の展開と日露戦争(一八九六〜一九〇五)
1 東アジアの帝国主義
露独仏三国による干渉/韓国で深まる日本の経済支配/韓国単独支配の方針へ/最初の植民地台湾の経営/軍拡に偏した戦後財政
2 資本制企業の展開
日本も金本位国へ/資本輸入を解禁したものの/日清戦後の企業勃興/整備される間接金融体制/運輸・通信システムの近代化/綿業での工場制と問屋制/絹業でのマニュファクチュア/大小さまざまな機械工業/中国大冶鉄山に頼る八幡製鉄所/恐慌で始まる企業集中
3 階層分化と出世回路
農村地域を巻き込む産業革命/近代都市での人口漸増/拡大する地主制と巨大地主の欠如/「田舎紳士」でも「富豪専制」でもなく/階層を貫く出世回路=教育
4 総力をあげての戦い
京都無鄰庵での政府首脳の決断/英米と独仏のための代理戦争/開発される近代軍事技術/兵士と資金の大動員体制/戦場としての韓国と中国

第四章 無賠償のかわりに朝鮮・満州を――産業革命の終了とアジア侵略(一九〇六〜一九一四)
1 累積する外債
一九〇七年恐慌――初の全般的過剰生産恐慌/織物業ですすむ機械化/機械と鉄鋼の自給見通し/普及する電灯と電動機/貿易赤字のもとで累積する外債
2 揺らぐ天皇制国家
財閥を頂点とする富豪たち/急成長する三井物産と三菱造船/富豪の日常生活――三井家と島津家/労働運動の「冬の時代」/変わる農村、揺らぐ天皇制国家
3 近代日本史の分岐点
分岐点としての日露戦後処理/「同化主義」による韓国支配/満鉄投資――ハリマン事件の謎/植民地を拠点に台頭する軍部

終章 産業革命から情報革命へ
相つぐ戦争と日本産業革命/日本人のアジア認識の変容/問われる日本人の価値体系



原本あとがき (一九九七年六月 東京世田谷の寓居にて 石井寛治)
文庫版あとがき (二〇一二年一〇月 石井寛治)


※本書の原本は、一九九七年八月、朝日新聞社より刊行されました。


≪著者: ≫ 石井寛治 (いしい かんじ) 1938年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。東京大学大学院経済学研究科教授、東京経済大学経営学部教授を経て、東京大学名誉教授、日本学士院会員。経済学博士(東京大学)。専門は日本経済史。著書に『日本経済史』『開国と維新』『日本の産業化と財閥』『近代日本金融史序説』『帝国主義日本の対外戦略』ほか多数。


宮本又郎 編著 『図説 明治の企業家』(ふくろうの本・日本の歴史、河出書房新社、2012年) '12/09/09






結婚指輪を、ぼくはこれまでそのまま左手の薬指にしつづけてきたんだけれども、正月二日におやきょうだいらのあつまりのときに、むすめにとられた。すこしまえ、ふゆになるまえ、あきのころだったかしら、ほねっぽいゆびからすぽすぽとぬけるようになって、そろそろはずそうかと思ったのだが、はずしてどうしようか、しまっておくのも、ましてや処分するのも、そんなことを考えることじたいわずらわしく思って、みぎてのくすりゆびにしてみたりしているうちに、またいつのまにかひだりてのくすりゆびにおとなしくおさまりつづけていた。なんでだろう、さけのんでよっぱらって、むすめがどうして、ぼくのひだりてのくすりゆびからはずしたのか、いまぼくのひだりてのくすりゆびは、手の10本のすべてのゆびはフリーだ。かたちのあるモノいつかはうしなわれる。いつかうしなわれるもの、そのうしなわれる時期タイミングは、いつ何時であってもフシギはない。そのときが、そのときだったのであろうか、そのときであったのであろう。あるものがないことの違和感はあって、その違和感も時間の経過とともにうすれ、やがてうしなわれるだろう


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写真 Canon IXY900IS(since 2006.12.4) & EOS40D + EF-S17-85mm F4-5.6 IS USM(since 2008.7.23) + EF100mm F2.8 Macro USM(used, since 2008.9.10) + EF-S55-250mm F4-5.6 IS(used, since 2008.9.30) + EF50mm F1.8 供used, since 2009.4.4)

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