Gori ≒ ppdwy632

〈ぼく〉の思索の一回性の偶然性の実験場。

2013年08月

本「憲法概観 〔第7版〕 (有斐閣双書9)」小嶋和司/大石眞5

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1968年1月30日 初版第1刷発行
1975年11月30日 新版第1刷発行
1986年4月30日 第3版第1刷発行
1993年1月30日 第4版第1刷発行
1998年2月20日 第5版第1刷発行
2001年3月20日 第6版第1刷発行
2011年1月30日 第7版第1刷発行


日本国憲法についてその体系と内在的論理に沿って客観的に解説する入門的教科書。憲法改正手続法などの新立法や近年の重要判例に対応して改訂する。憲法の基礎知識、主要な判例、さらに憲法と関連する現実の制度にも説明を及ぼす。憲法をじっくりと学ぶ1冊。

日本国憲法の体系と論理にそって、その基礎知識を解説した小型教科書。学生、一般市民を問わず、憲法を知りたいすべての読者に向けて。憲法をじっくりと学ぶ一冊。


≪目次: ≫
第七版はしがき (二〇一一年(平成二三)一月五日  大石 眞)
第三版 序 (昭和六一年一月 小嶋和司)
著者紹介

第一章 国家・憲法
 I 憲法
 II 国家
 III 立憲主義
法による行政の原理、立法・執行・司法三機関の分離/責任政治の原理
 IV 憲法秩序
成文憲法と不文憲法/硬憲法と軟憲法
 V 憲法典
規制事項/規定の態様と特殊性

第二章 日本憲法略史
 I 明治憲法
国体と憲法典/政治体制/限定された議会権限/国民の権利
 II 明治憲法の運営
政府の組織/司法部と裁判権/改正手続
 III 現行憲法の成立
ポツダム宣言/マカーサー草案/現行憲法の成立/旧憲法下の法令の執行
 IV 現行憲法成立以後
主権の回復/憲法再検討の動き

第三章 日本国憲法の基本性格
 I 民定憲法性
民定憲法の意味と効果/日本国憲法制定の法理/国民主権
 II 最高法規性
最高法規の意味/合憲性審査制度/法律解釈の態度
 III 憲法改正と国法の諸形式
不文法源/成文法源/同一形式間の効力関係

第四章 日本国憲法の基本目標
 I 自由の確保
基本思想/自由主義的民主制
 II 戦争の放棄
憲法前文/戦争放棄と武力不行使
 III 国際協和

第五章 国民の権利および義務
 I 総説
個人権保障の思想/個人権のカタログと歴史
 II 権利保障の法的効果
権利の主体/権利保障の及ぶ領域/権利保障の態様と限界
 III 包括的人権
個人としての尊重/幸福追求権
 IV 法の下の平等
一般的平等原則/その他の平等保障
 V 自由権
総説/精神的活動の自由(思想・良心の自由/宗教的自由/学問の自由/表現の自由/放送の自由/集会・結社の自由/居住・移転・外国移住の自由/国籍離脱の自由)/経済的自由権(職業の自由/財産権/契約の自由/勤労者の労働三権)/至適生活の不可侵住居等の不可侵/通信の秘密)/人身の自由と憲法的刑事手続(適正手続の保障/刑罰の不遡及/一事不再理・二重処罰の禁止/残虐刑の禁止/人身拘束の要件/自己帰罪供述強要・拷問の禁止/刑事裁判手続についての保障)
 VI 国務請求権
裁判を受ける権利/国家賠償請求権/刑事補償請求権/社会国家的国務請求権
 VII 参政権
決定権的参政権/請願権
 VIII 参政権

第六章 天皇
 I 総説
国家的象徴/現代型君主
 II 皇位の継承
皇位継承/天皇・皇族の身分
 III 天皇の権能
国事行為/公人的行為/権能行使の要件と態様/権能の代行
 IV 皇室経済

第七章 国会
 I 総説
 II 構成と組織
両院制/各議院の組織/議員の職責と特典/補佐機関
 III 権能
憲法改正提案権/立法権/外交統制権/財政統制権/行政統制権/司法監督権
 IV 議院の権能
総説/議院自律権/国政調査権
 V 権能行使の態様
会期/参議院の緊急集会/議院手続/両院間回付手続

第八章 内閣
 I 総説
行政権帰属の意味/内閣の責任
 II 組織
総説/内閣総理大臣/閣僚/補佐機関
 III 権能
行政組織の統轄者としての権能/一般国政上の権能
 IV 権能行使の態様
 V 議院内閣制
基本構造/議会支配制の要素

第九章 裁判所
 I 司法組織
総説/最高裁判所/下級裁判所/裁判管轄
 II 司法権の独立
裁判官の独立/司法部の独立
 III 権能
司法権/合憲性審査権
 IV 活動法

第一〇章 財政
 I 財政立憲主義
総説/財政決定権/収入・支出の原則
 II 財政決定への制約
 III 財政統制制度の態様
予算制度/予備費制度/執行統制制度

第一一章 地方自治
 I 総説
地方自治の本旨/地方公共団体の種類/地方自治特別法
 II 地方公共団体の権能
総説/地方公共団体の事務/条例制定権
 III 地方公共団体の組織
住民/議事機関/首長等の直接選挙制


判例索引
事項・人名索引


≪著者: ≫ 小嶋和司 (こじま かずし) 〈1924年‐1987年〉。山口県生まれ。東京大学卒業後、東京都立大学(1951‐1965)を経て、東北大学法学部教授(1965‐1987)。主著、『憲法学講話』(有斐閣、1982年)、『憲法概説』(良書普及会、1987年)、『憲法と財政制度』(有斐閣、1988年)、『明治典憲体制の成立』(木鐸社、1988年)、『憲法と政治機構』(木鐸社、1988年)、『憲法解釈の諸問題』(木鐸社、1989年)、『日本財政制度の比較法史的研究』(信山社、1996年)など。

≪著者: ≫ 大石 眞 (おおいし まこと) 〈1951年‐ 〉。宮崎県生まれ。東北大学卒業ののち、国学院大学・千葉大学・九州大学を経て、京都大学教授。主著、『議院自律権の構造』(成文堂、1988年)、『議院法制定史の研究』(成文堂、1990年)、『日本憲法史』(有斐閣、1995年)、『日本憲法史の周辺』(成文堂、1995年)、『憲法と宗教制度』(有斐閣、1996年)、『立憲民主制』(信山社、1996年)、『憲法史と憲法解釈』(信山社、2000年)、『議会法』(有斐閣、2001年)、『日本国憲法』(放送大学教育振興会、2005年)、『憲法秩序への展望』(有斐閣、2008年)、『憲法講義I 〔第2版〕』(有斐閣、2009年)など。


伊藤正己 『憲法入門 〔第4版補訂版〕』(有斐閣双書、2006年) '13/08/24
芦部信喜、高橋和之 補訂 『憲法 〔第五版〕』(岩波書店、2011年) '13/08/02
長谷部恭男 『憲法の円環  circus constitutionis 』(岩波書店、2013年) '13/07/22
渋谷秀樹 『憲法への招待』(岩波新書、2001年) '13/07/07
長谷部恭男 『憲法とは何か』(岩波新書、2006年) '13/07/01
長谷部恭男 『憲法のimagination  Écrits imaginatifs de droit constitutionnel 』(羽鳥書店、2010年) '13/06/26
長谷部恭男 『憲法入門  An Introduction to Constitutional Law 』(羽鳥書店、2010年) '13/06/01
長谷部恭男 『続・Interactive憲法  The Life and Opinions of Professor B, the Constitutional Conversationnist, Vol. 2 』(法学教室Library、有斐閣、2011年) '13/05/20
長谷部恭男 『憲法と平和を問いなおす』(ちくま新書、2004年) '13/05/13
大石眞 『日本国憲法 '05』(放送大学教材、一般科目 社会系、放送大学教育振興会、2005年) '13/05/11
長谷部恭男 『Interactive憲法  The Life and Opinions of Professor B, the Constitutional Conversationnist 』(法学教室Library、有斐閣、2006年) '13/05/09
渋谷秀樹/赤坂正浩 『憲法 2 統治 〔第5版〕』(有斐閣アルマ、2013年) '13/04/29
渋谷秀樹/赤坂正浩 『憲法 1 人権 〔第5版〕』(有斐閣アルマ、2013年) '13/04/23




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本「富士山  大自然への道案内 (岩波新書1437)」小山真人5

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――日本で初めてのロードサイド・ジオロジー――

富士山――。美しく弧をえがいて屹立(きつりつ)する、その美麗な姿は、私たち日本人の心をとらえてやまない。荒々しく迫る山肌、清らかに流れる湧水、鬱蒼と生い茂る森林。長年、富士を間近で見つめてきた著者をガイド役に、その豊かな自然を旅する。七つの案内コースをめぐりながら、世界に誇る富士山の魅力を存分に味わう。


≪目次: ≫
カラー口絵14頁
口絵1 宝永火口/口絵2 大沢扇状地/口絵3 柿田川湧水/口絵4 宝永火口縁と赤岩/口絵5 宝永第1火口の内壁/口絵6 「天地返し」の発掘現場/口絵7 貞観噴火の火口列/口絵8 精進湖と岩石流/口絵9 本栖湖と富士山/口絵10 青木ケ原溶岩/口絵11 河口湖と富士山/口絵12 富士山グランドキャニオン/口絵13 崖に刻まれた噴火史1/口絵14 崖に刻まれた噴火史2/口絵15 絶景ポイントで見る富士山/口絵16 大沢崩れ/口絵17 流路を変える潤井川/口絵18 白糸の滝/口絵19 富士川に露出する溶岩/口絵20 山中湖から見た富士山/口絵21 火砕流堆積物/口絵22 「桂川回廊」/口絵23 山頂火口/口絵24 山頂火口
コース案内
宝永噴火コース(第1章)/貞観噴火コース(第2章)/東麓コース(第3章)/南東麓コース(第4章)/西麓〜南西麓コース(第5章)/北麓コース(第6章)/山頂登山コース(第7章)
地図「富士山周辺図」/◎お役立ちサイト

序章 富士山の基礎知識
 1 富士山の生い立ち
火山としての富士山/生い立ちと噴火史
 2 火山の自然を探った人びと
史料からのアプローチ/地質からのアプローチ
 3 富士の恵みと人びとの暮らし
美しく大きな山体/なだらかな高原と平野/火山特有の豊富な湧水
 4 もしも富士山が噴火したら
マグマが起こす地震/さまざまな噴火現象/噴火対策の現状/山体崩壊の予知と防災
 コラム 東日本大震災と富士山

第1章 江戸幕府をゆるがした噴火――宝永噴火コース
宝永噴火コース概説
 1 宝永火口と宝永山
地形からわかること/宝永火口をたずねる/宝永山に登る
 2 消えた森林
雪代がつくった谷/森の化石
 3 埋没した村々
灰に埋もれた富士山信仰の村/幕府と小田原藩の被害調査/幕府、復旧に乗り出す
 4 噴火後もつづく災害
埋もれた山林と農地/くりかえす洪水/復興への長い道のり

第2章 変わる麓のすがた――貞観噴火コース
貞観噴火コース概説
 1 貞観噴火の火口探索
二列の割れ目火口/森に隠された火口列/千円札に描かれた火山
 2 青木ヶ原樹海
迷う理由/溶岩のさまざまな造形/溶岩トンネルと溶岩樹型
 3 湖を埋めた溶岩
本栖湖/精進湖と赤池/西湖と鳴沢/史上最大の噴火
 4 変わりゆく富士五湖
せき止め湖としての河口湖・山中湖/その他にもあった湖
 コラム レーザー測量があばいた火山地形

第3章 土砂に埋もれた原野――東麓コース
東麓コース概説
 1 雪代がつくった大峡谷とその周辺
富士山グランドキャニオン/小富士と「幻の滝」/崖に刻まれた噴火史
 2 地層が語る大地の歴史
九州から来た火山灰/伊豆と本州の衝突現場
 3 二九〇〇年前に起きた富士山の大崩壊
山体崩壊とは何か/日本で起きた山体崩壊/磐梯山一八八八年/セントヘレンズ一九八〇年/御殿場岩屑なだれ/崩壊後もつづいた土石流/もし山体崩壊が起きたら
 コラム ツインピークだった富士山

第4章 火の道、水の道――南東麓コース
南東麓コース
 1 南東山腹の小火山群
二ツ塚/水ケ塚駐車場と鑵子山周辺/印野丸尾溶岩と「樹空の森」
 2 埋もれる愛鷹山
古い火山・愛鷹山/駒門風穴/景ケ島渓谷と五竜の滝
 3 三島まで達した溶岩
交わらない川の謎/鮎壷の滝と稲荷神社/三島駅周辺の溶岩
 4 三島の大地と湧水
三島周辺の湧水群/三島扇状地と河川争奪

第5章 崩れゆく富士山――西麓〜南西麓コース
西麓〜南西麓コース概説
 1 大沢崩れを読み解く
浸食による傷跡/富士山成長の証/大沢扇状地と岩樋/崩壊谷の生成と消滅/裾を広げる富士山
 2 水のカーテン
白糸の滝と音止の滝/田貫湖岩屑なだれ/南西麓の湧水
 3 せめぎあう高原と峡谷
からみ合う河川/後退する滝/隆起する山麓
 4 富士川に達した溶岩
意外な場所の溶岩/河口近くの溶岩
 コラム 活断層と砂防工事が守る白糸の滝

第6章 相模国をおびやかした噴火――北麓コース
北麓コース概説
 1 地下に埋もれた土台
山中湖から見た富士山/小御岳火山の地形と溶岩/四階建てだった富士山
 2 山梨県側の小火山群
北西斜面の火口列/富士山の火砕流
 3 相模平野をめざした溶岩と熱泥流
桂川回廊/富士吉田の溶岩/都留や大月まで流れた溶岩/相模原に達した大泥流/「北の白糸」/遺跡で見る富士山の崩壊
 コラム 延暦噴火は東海道を埋めたか?

第7章 富士山頂――山頂登山コース
山頂登山コース概説
 1 登山道ぞいの見どころ
富士宮口/吉田口
 2 登山のリスク
地震と落石のリスク/噴火のリスク/気象災害と高山病のリスク
 3 富士山頂という異界
山頂火口の風景を読み解く/噴気を発する異形の山頂
 4 絶景に隠された意味
南東側 伊豆と本州の衝突/北東側 丹沢と本州の衝突/北西側 東西日本の境界/南西側 南海への道

あとがき (二〇一三年初夏 著者)


≪著者: ≫ 小山真人 (こやま・まさと) 1959年、静岡県浜松市生まれ。静岡大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。静岡大学教育学部総合科学教室教授防災総合センター副センター長。専攻、火山学、歴史地震学、地震・火山防災。著書、『富士を知る』(集英社、編著)、『ヨーロッパ火山紀行』(ちくま新書)、『富士山大噴火が迫っている』(技術評論社)、『富士山噴火とハザードマップ』(古今書院)、『伊豆の大地の物語』(静岡新聞社)ほかがある。
 ※「富士山周辺ポイント地図


尾池和夫 『四季の地球科学 日本列島の時空を歩く』(岩波新書、2012年) '12/08/18




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本「現代中国経済  Contemporary Chinese Economy (有斐閣アルマ)」丸川知雄5

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――「世界の工場」の過去・現在・未来――
ダイナミックに発展する「世界の工場」中国の多様な側面を、新しい分析やデータを交えて描きます。世界一となった中国の工業力の源泉である労働、資本、技術の現状と将来を分析するとともに、工業の担い手であるさまざまな企業について解説し、中国の成長が持続可能かどうか検討します。

中国経済は急成長し、GDPはいまや世界2位。ダイナミックに発展する「世界の工場」中国の多様な側面を、新しい分析やデータを交えて描く。世界一となった中国の工業力の源泉である労働、資本、技術の現状と将来を分析するとともに、工業の担い手であるさまざまな企業について解説し、中国の成長が持続可能かどうか検討する。

 有斐閣アルマ > Specialized


≪目次: ≫
はじめに
2020年の中国経済/情報の洪水のなかで

第1章 経済成長の過去と将来
 はじめに
 1 中国経済の2000年の歩み
激しい人口の増減/16世紀以降の経済発展
 2 中華帝国の衰亡(1840〜1949年)
清朝の衰退/洋務運動/中華民国期の戦乱と工業発展
 3 中華人民共和国の経済成長(1949〜2011年)
部門別の分析/生産要素別の分析/資本、労働、TFPの寄与
 4 これからの成長(2010〜2030年)
アメリカを抜くのはいつか/就業者数はゆるやかに減少/高い伸びを続ける資本/TFPも伸びを維持/2026年にアメリカを抜く

第2章 計画経済と市場経済
 はじめに
 1 様変わりした経済体制
 2 社会主義と計画経済の採用
 3 計画経済の形成
民間企業の国有化・公有化/農業の集団化/計画経済の制度づくり
 4 計画経済の機能
工業化資金を調達する仕組み/低く抑えられた農産物価格と賃金/農民と労働者のどちらが犠牲を強いられていたか/計画経済の国家財政/なぜ重工業を優先したのか
 5 中国の計画経済の特徴
国防重視の政策/地方分権/分権化の背後にある人間観/地方ごとのフルセット型産業構造/中央政府が統制した範囲/計画体制の外での取引活動
 6 集団農業の解体
リカードの罠/請負制の導入/農業の成長
 7 市場経済への転換
ゆっくりとした市場経済への移行/15年かかった価格の自由化
 8 包括的アプローチ vs. 部分的改革
青写真を持たない改革/部分的な改革/包括的アプローチの問題
 9 部分的改革の限界と制度構築

第3章 労働市場
 はじめに
 1 人口変化からみた中国の経済成長
人口急増がもたらした問題/「1人っ子政策」の効果
 2 計画経済期の労働市場
職業選択の自由の剥奪/人材の非効率な利用/糊塗されていた失業
 3 改革開放期前半の労働市場
自由な労働市場の誕生/余剰人員の問題
 4 国有企業からの大量解雇
国有企業の余剰人員/大量解雇
 5 局地化する失業問題
慢性化する失業問題/失業の地域分布/高失業地域の状況
 6 農村労働力の移動と枯渇
郷鎮企業/農村からの出稼ぎ労働者/無制限労働供給/転換点は来たのか?/余剰労働力が農村から出てこない理由
 7 大学卒業生の労働市場
大卒者が「幹部」だった時代/大学の大衆化/大学生の就職難

第4章 財政と金融――工業化の資金調達装置
 はじめに
 1 財政に依存した計画経済期
工業化を担う国家財政/地方政府の役割/地方政府の「予算外収入」/沿海から内陸への資金の移転
 2 改革開放期前半――地方と金融の役割の拡大
財政から金融への主役交代/地方政府の財政請負制/金融の発達/投資家としての地方政府/地域間格差の拡大/不良債権問題
 3 改革開放期後半――市場経済の制度構築
財政・金融の大改革/不良債権の処理/株式市場の役割と問題点/民間企業の海外上場
 4 資金調達装置の脱工業化
工業以外への支出の増大/社会保険の拡大

第5章 技術――キャッチアップとキャッチダウン
 はじめに
 1 キャッチアップとキャッチダウン
後発の優位性/中間技術・適正技術/中間技術の実例/インドや中国の独特な技術進歩/キャッチダウン型技術進歩
 2 清朝末期から1950年代までのキャッチアップ
欧米に大きく遅れていた清朝/中華民国期の技術進歩/ソ連からの技術移転
 3 計画経済期のキャッチダウンの試み
小規模技術の試み/孤立のなかでの技術進歩
 4 西側からの技術導入によるキャッチアップ
 5 外資導入によるキャッチアップ
技術導入以前の乗用車生産技術/技術レベルの変遷/外資による技術進歩/自主開発を促進すべきか/新興乗用車メーカーの登場
 6 比較優位の形成
 7 中国企業によるキャッチアップ
「自主イノベーション」への期待/活発化する研究開発活動/世界の最前線に立った中国の移動通信技術/国民に受容されない「先端技術」
 8 盛んになるキャッチダウン
ゲリラ携帯電話/電動自転車
 おわりに

第6章 市場経済のなかの国有企業――「負担」か「パワー」か
 はじめに
 1 国有企業改革の構想と限界
経営者の権限の拡大/請負制の実施と効果/請負制の限界
 2 会社制度の導入
会社制度の意義/会社制度の展開:鞍山鋼鉄公司の事例/大型国有企業の資本構造
 3 中小公有企業の民営化
 4 国有企業を管理する制度
新旧が混在する企業制度/旧来の国有企業管理の矛盾/国有企業管理の改革
 5 産業政策の担い手としての国有企業
国有企業の役割の限定/改革の長い停滞/国家戦略の担い手
 6 国有企業の拡大は起きているか
「国進民退」の検証/GDPの10%を握る中央所轄企業/「大家さん」としての国有企業

第7章 外資系企業と対外開放政策
 はじめに
 1 対外開放の発端
外資導入/自主更生を捨てたきっかけ
 2 外資獲得への模索
繊維輸出の仕掛け/為替レートの切り下げ
 3 二重貿易体制の意義
発展途上国のジレンマ/委託加工の広がり/「転廠」制度の意義/委託加工の貢献
 4 外資に期待された役割
技術移転への期待/外国企業の期待と中国の政策のズレ
 5 さらなる技術移転への期待
「市場によって技術を獲得する」/自動車産業での技術獲得策/スピルオーバーの効果
 6 WTO体制のもとでの外資導入
サービス業の開放/自動車産業の急成長/中国経済における外資のウェイト
 おわりに

第8章 民間企業と産業集積
 はじめに
 1 民間企業の広がり
鉱工業に民間企業が占める割合/農業・建設業・サービス業の状況
 2 民間・国有・外資の混在
混在の現状/民業圧迫の構造
 3 民間企業の根絶から容認へ
民間企業の「社会主義改革」/民間企業の復活
 4 民間企業に対する参入規制と参入促進
民間企業に対する制約/民間企業の参入促進
 5 民間企業の活発さに関する国際間・地域間の比較
民間企業と開業の国際比較/民間企業の地域差
 6 温州における産業集積の発生
企業と産業集積/産業集積の構造
 7 長江デルタ地帯の産業集積
 おわりに

終章 中国の前途に待ちかまえる罠
 はじめに
 1 これからの中国経済をみる視点
成長と変動を分析する枠組み/中所得国の罠
 2 国内需要の不足
 3 所得格差
格差緩和の効果/所得格差の拡大/格差拡大の理由/格差縮小への対策
 4 環境問題
世界一のCO2排出国/環境問題が経済に与える影響/北京の大気汚染
 5 対外不均衡問題
 おわりに

あとがき (2013年5月7日  丸川 知雄)
引用・参考文献
中国近現代史年表
索引

Column 一覧
1 工業の基礎知識/2 中国のGDP成長率は過大評価されているのか?/3 文化大革命(1966〜76年)/4 失業率の統計/5 農村からの出稼ぎ労働者の数/6 中国の財政n地方分権が行われたのはいつか?/7 中国の最高権力者/8 鋳造と鍛造/9 連続鋳造、熱間圧延、冷間圧延、電磁鋼板/10 第3世代移動通信技術/11 6.4天安門事件/12 輸出依存度、輸入依存度


≪著者: ≫ 丸川 知雄 (まるかわ ともお) 1964年生まれ、1987年東京大学経済学部卒業。アジア経済研究所を経て、東京大学社会科学研究所教授。主著:『チャイニーズ・ドリーム』筑摩書房、2013年;『現代中国の産業』中央公論新社、2007年;『労働市場の地殻変動』名古屋大学出版会、2002年;『携帯電話産業の進化プロセス』(共編)有斐閣、2010年。

丸川知雄 『チャイニーズ・ドリーム 大衆資本主義が世界を変える』(ちくま新書、2013年) '13/08/09

岡本隆司 『近代中国史』(ちくま新書、2013年) '13/08/18
天児慧 『日中対立 習近平の中国をよむ』(ちくま新書、2013年) '13/08/15
進藤榮一 『アジア力の世紀 どう生き抜くのか』(岩波新書、2013年) '13/08/07
園田茂人 編 『はじめて出会う中国  Understanding China:Textbook for Beginners 』(小嶋華津子/平野聡/谷垣真理子/加茂具樹 執筆、有斐閣アルマ、2013年) '13/07/31
中條誠一 『人民元は覇権を握るか アジア共通通貨の現実性』(中公新書、2013年) '13/07/25
橋爪大三郎/大澤真幸/宮台真司 『おどろきの中国  Astonishiing Chaina 』(講談社現代新書、2013年) '13/07/11



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本「ブリティッシュ・ロック 思想・魂・哲学 (講談社選書メチエ557)」林浩平5

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――TO BE A ROCK AND NOT TO ROLL
 絶対のエイトビートが魂を解放する!!――

ビートルズに始まる「イギリスの侵略」から半世紀――。世界中を熱狂させ、若者の「生の哲学」となったブリティッシュ・ロック。その誕生からの歴史をたどり、未来をさぐる。鼓動するドラムとベース、咆哮するエレキギター、絶叫のヴォーカルが、呼び起こす「ディオニュソス的陶酔」! ニーチェ、ハイデッガー、アガンベンの哲学が提示する、もっと音楽を愉しむための、思想としてのブリティッシュ・ロック。

ハイデッガーの実存の「開け」の概念とロック。「新たな霊性を啓くメディア」としてのロック。テクノロジーとロックの関係、新たな芸術ジャンルとしてのロックなど、思想の側からロックという「現象」を深く読み解く未曾有の論考。


≪目次: ≫
第一章 ロックの歴史
 1 はじめに――ロックとはなにか
 2 ロックの歴史――ロックンロールに始まる
 3 エイトビートの絶対性
 4 アート・ロックの展開
 5 ハード・ロック旋風
 6 プログレッシヴ・ロックの隆盛
 7 プログレ五大バンドの活躍――キング・クリムゾン
 8 ピンク・フロイドとイエス
 9 EL&Pとジェネシス
 10 カンタベリー・ロックとその系譜
 11 パンク・ロックの勃興
 12 ヘヴィ・メタル・ロックの逆襲とパラノイア的心性の問題
 13 ロックの巨大産業化とサブジャンルの複雑化
 14 ロック・ジャンルのトライブ化
第二章 ロックという哲学思想
 1 ニーチェ的経験からはじまる
 2 〈悲劇〉としてのロック
 3 ロックは「意思」の産物である
 4 ロックを歌う「声のきめ」
 5 「声」と「気分」の密接な関わり
 6 自己開示を導くものとしてのロック
 7 ロックを語ることの「自己表出」性
第三章 ロック・霊性を啓くもの
 1 神秘主義思想とロック・ミュージシャン
 2 アレイスター・クロウリーとジミー・ペイジ
 3 ロバート・フィリップとグルジエフ
 4 スピリチュアル志向のロック・ミュージシャンたち
 5 シュタイナーによる音楽本質論
 6 シュタイナーの「音階体験」理論とロック・コード・スケール
 7 ロックとオレクシス(絶対を希求する欲望)との結びつき
第四章 現代アートのなかのロック
 1 ロック的な美意識の誕生
 2 レコード・ジャケットのアート感覚――ヒプノシスの世界
 3 ロジャー・ディーンとマーカス・キーフの仕事
 4 アートスクール出身のロック・ミュージシャンたち
 5 美術家によるロックのジャケット・デザイン
 6 MTVとヴィデオアート
 7 ミュージックヴィデオとMTVの凋落
 8 ブライアン・イーノとヴィデオアート
第五章 ロックの歌詞の世界
 1 歌詞を通してロックを探る
 2 ラブソング
 3 自己存在の確認と肯定
 4 ドラッグ体験を歌う
 5 説話的な歌詞
 6 内省的なメッセージを持つ歌詞――「エピタフ」
 7 「スターレス」をめぐって
 8 「天国への階段」のメッセージ
 9 歌詞の文学性
第六章 ライフスタイルとしてのロック
 1 ヒッピー・カルチャーとロングヘア
 2 異装としてのロングヘア
 3 シルバーアクセサリーとタトゥー
 4 グラム・ロック・ファッションとロンドンブーツ
 5 カーニヴァルとしてのロック
 6 ドラッグ・カルチャーとロック
第七章 ロックは滅んだか
 1 ロックは音楽ではない?
 2 アンチ・ミュージシャンとしてのブライアン・イーノ
 3 自己否定性を内蔵したロック
 4 ロックの終焉
 5 デジタル・テクノロジーがロックに引導を渡したか
第八章 ロックの未来形
 1 ロック・スピリットの帰趨するところ
 2 音楽シーンの衰退?
 3 ロックの未来形?

あとがき (二〇一三年六月 仙川にて  林 浩平)
索引


≪著者: ≫ 林 浩平 (はやし・こうへい) 1954年和歌山県に生まれる。東京大学法学部卒業。NHK勤務を経て早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。詩人。恵泉女学園大学特任教授。文芸評論家。日本文学研究者。詩集『心のどこにもうたが消えたときの哀歌』(書肆山田)、著書『裸形の言ノ葉――吉増剛造を読む』(書肆山田)、『折口信夫 霊性の思索者』(平凡社)、『テクストの思考――日本近現代文学を読む』(春風社)、編著『ロック天狗連』(彩流社)、共編著『やさしい現代詩』(三省堂)ほか。



とつぜんシゴトが入って、あわてた。じっさい、ホッとした。シゴトがないのは、すなわち、お金が入ってくることがないことを意味することから、それはそれで、こまる。もっとも、この暑さがやわらいで、そして、子どもたちの夏休みがあけると、、、そう考えることにしていた、ところだった。パタパタと、たてつづけに、月末ですから。ぼくなんかより、もっともっと、ぼくにシゴトを依頼してくるシャチョウたちのほうが、セツジツなモンダイ、かとも

そう、こないだ、すこしまえ、ゆうがた、なにかの所用のあとママチャリで、近所の畑の野菜の直売所、甲州街道の向こう側、佐須街道のあたりに並んでいるところね、通りかかってチラリと見るには、青いトマトがピクルス用として100円で袋詰めで売られてた。ちょうどその日は、なんとかのひとつおぼえ宜しく手製の甘酢に野菜を漬けようと、ミリンを沸騰させて砂糖を溶かして酢を混ぜ合わせて、その朝にキュウリ(畑で4本100円)を買ってあって、残りのダイコンがあって、、、などと考えていたところだったから、まぁ反応してしまう。小粒なのが17コも入って100円とは、オトクね。1回では食べきれないから、3回くらいに分けて。じつのところ、赤いトマトは割高だから、といっても2〜4コで200円とかなんだけど、躊躇していて気になっていて、やっぱりトマトのフレッシュでジューシーなのは美味しいから。まぁ、お値段なりね、でもでも満足満足


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本「タブーの漢字学 (講談社学術文庫2183)」阿辻哲次5

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――はばかりながら読む漢字の文化史!――
「且」は男性、「也」は女性の何を表す……? 性、死、名前、トイレなどのタブーをめぐる、ゆたかで隠微な漢字の世界。

中国科学院の院長までつとめた郭沫若の「士」=男根説。性器はやはり「陰」と「陽」で表される。「死」という漢字を避ける習慣。「トイレにいく」が「解手」となるわけ。皇帝やその祖先の実名を厳重に避ける「避諱」とは――。日常の話から歴史や逸話まで、幅広く、豊富な話題を紹介しながら、漢字とタブーの関係を鋭く、面白くつづった会心の名篇。


≪目次: ≫
序章 言い換えられることば
「ひだるい」と「ひもじい」/女房言葉と食べること/「ひもじい」を使った料理/「お目もじ」は「おはもじさま」/あたりめとあたり鉢/中国に「箸」はない?/「元来」と「原来」

第一章 「性」にまつわる漢字
 1 タブーの漢字を書かない理由
「士」と「祖」/中国は変わった/草の根レベルの国際化/上海での経験/「王八蛋」の語源/「堕落」した亀
 2 性器を表す漢字
「陽」と「陰」/「大陰」の男/「侌」と「鳥」/洗鳥役人/「ピー屋」ということば/魯迅が名づけた「国罵」/「也」という漢字/日本で作られた「(門也)」/性行為を表す漢字/性行為の雅びな表現

第二章 「死」をめぐる漢字
冥土の旅の一里塚/「死」を表す漢字/「死」を避けるさまざまな表現/天子が崩れる/天皇「崩御」/蕭何は「薨」で、韓信は「死」/家康の「薨去」/「薨」と「夢」/生卒年という言い方/「付禄」とは?/「死」をめぐるその他の言い方/「物故」について/「不在」について/「万歳」ののち/百歳まで生きられる時代ではなかった/喜び事としての死去

第三章 大小便と「月のさわり」
 1 大小便について
糞という漢字/「茅房」と「上一号」/「解手」という言い方/古代のトイレ/残虐きわまりない女/宮殿にはトイレがない/中国の便器/なぜ「恭桶」なのか
 2 月のさわりについて
『平安朝の生活と文学』/月のさわり/古代の女性と月経/熊野詣で/和泉式部の歌の背景/「手なし」と「お馬」/「(女半)」という漢字/「月水」と「月事」/頬紅のルーツ/「いつものお休み」

第四章 名前に関するタブー
ミドルネームという名前/諱と字/「字」のつけ方/避諱という習慣/避諱がもたらすもの/知事の諱で放火?/字書における避諱/避諱を調べるための本/父親の諱のために受験が不許可/あわや同姓同名になりかけた兄弟/避諱で変わった薬材の名前/故宮の神武門/書物の年代鑑定に仕える避諱/写本に見える避諱/民族としての矜持と弾圧/『字貫』事件/『康熙字典』という字書/事件の概要/『字貫』は現存する/二種類の『字貫』

あとがき (二〇〇四年十月 阿辻哲次)


※本書の原本は、二〇〇四年十一月、小社より刊行されました。


≪著者: ≫ 阿辻哲次 (あつじ てつじ) 1951年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。静岡大学助教授等を経て、京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専攻は、中国語学、とりわけ、漢字を中心とする文化史。著書に、『漢字の字源』『漢字道楽』『漢字のはなし』『部首のはなし』『近くて遠い中国語』『漢字再入門』など多数。




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本「民法入門 〔第6版〕 (有斐閣双書69)」幾代通/遠藤浩 編、奥田昌道 補訂5

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民法入門 第6版 (有斐閣双書)
○著者: 幾代 通遠藤 浩 編、奥田昌道 補訂、明石三郎/有地亨/石田喜久夫/泉久雄/伊藤高義/甲斐道太郎川井健篠塚昭次/篠原弘志/高木多喜男/中馬義直/中井美雄/三島宗彦/水本浩/森泉章/良永和隆 執筆
○定価: 1,995円
○ISBN: 978-4641112810





1972年12月25日 初版第1刷発行
1980年2月20日 新版第1刷発行
1996年2月20日 第3版第1刷発行
2000年4月20日 第3版補訂版第1刷発行
2004年4月15日 第4版第1刷発行
2006年4月30日 第5版第1刷発行
2012年6月5日 第6版第1刷発行


――民法はこの1冊から――

本書は、短期間に民法の全容が修得できるように工夫した入門書。ポイントをついた解説と生活に密着した具体的な事例を盛り込んで民法を機能的に理解できるようにしました。

1冊で民法全体を鳥瞰できるように工夫された入門書の決定版。旧版以後の民法の改正(公益法人制度改革、離婚後の子との面会交流、親権制限など)のほか、利息制限法等の関連法改正に対応。簡にして要を得た記述は、法学部以外での入門テキストとしても最適!


≪目次: ≫
第六版はしがき (平成二四年四月 奥田昌道)
第三版補訂版はしがき (平成十二年二月 遠藤 浩)
執筆者紹介
略語

第1章 日常生活と民法
 1 法による日常生活の規律
1 日常生活と規範/2 法という規範と強制力/3 日常生活に対応する法の類型/4 民法の規律の仕方/5 任意規定・強行規定
 2 民法典と特別法
6 民法の意義・慣習法・判例法/7 特別法/8 民法典と商法/9 民法と民事訴訟法・民事執行法
 3 民法の指導原理
10 私的自治の原則/11 財産法の二大支柱/12 所有権絶対の原則・契約自由の原則/13 家族法の指導原理
 4 私権
14 権利の意義/15 私権の分類
 ※執筆者: 遠藤 浩・良永和隆

第2章 契約の成立
 1 契約の締結と契約書
16 諾成契約/17 申込みと承諾についての若干の問題/18 契約書の機能/19 贈与契約と書面/20 要物契約/20の2 電子消費者契約の成立
 2 契約の当事者――能力
21 当事者の判断能力/22 制限行為能力/23 契約の取消し/24 相手方の保護
 3 契約の当事者――代理
25 代理人による契約/26 109条の表見代理/27 110条の表見代理/28 112条の表見代理/29 無権代理・表見代理の相手方
 ※執筆者: 篠原弘志・良永和隆

第3章 契約の効力
 1 契約の有効と無効
30 人と規範(ルール)/31 国家による保障/32 無効の意味
 2 公序良俗違反
33 公序良俗違反の具体例/34 契約自由とその制約/35 強行法規違反/36 取締法規に違反する行為
 3 虚偽表示と錯誤
37 虚偽表示/38 心理留保/39 錯誤
 4 詐欺・強迫による意思表示
40 詐欺による意思表示/41 強迫による意思表示/42 契約締結上の責任
 5 消費者契約法による無効と取消し
42の2 誤認・困惑による取消し/42の3 契約条項の無効
 ※執筆者: 篠原弘志・良永和隆

第4章 売買
 1 現代における売買
43 売買とはなにか/44 不動産の売買と動産の売買/45 不動産の売買/46 公法的規制/47 登記/48 動産の売買/49 現金取引とローン売買/50 現金取引/51 動産のローン売買/52 業者側の保護――割賦販売法/53 解約の制限――消費者の保護/54 特定商取引法/55 不動産のローン売買
 2 所有権の移転の時期
56 大論争は平凡な問題から生ずる/57 売買契約のときに移転するという説/58 登記の時に移転するという説/59 どちらが正しいか/60 所有権留保の問題
 3 売買契約と第三者との関係(対抗要件)
61 一物一権主義/62 不動産登記――登記の手続/63 不動産登記――仮登記/64 不動産登記――中間省略/65 公信の原則/66 動産の特例――即時取得
 4 取引中の事故(危険負担)
67 事故のいろいろ/68 買主が危険を負担する場合/69 売主が危険を負担する場合
 5 アフターサービス(担保責任)
70 担保責任の意味/71 特定物に限るか/72 損害賠償か解除か/72の2 住宅品質確保促進法/73 製造物責任法
 ※執筆者: 篠塚昭次

第5章 物の貸借
 1 物の貸借の種類
74 使用貸借/75 賃貸借は多様である
 2 賃貸借の存続期間
76 存続期間/77 定期借家権・定期借地権/78 存続期間の更新/79 期間の定めのない場合/80 一時使用等の借地・借家
 3 賃貸借の譲渡と貸借物の転貸
81 譲渡転貸の禁止/82 立法による譲渡転貸禁止の緩和/83 解釈による譲渡転貸禁止の緩和
 4 賃借権の対外的効力
84 売買は賃貸借を破る/85 地震売買とその後/86 賃貸借に基づく妨害排除請求
 5 賃貸借の対価
87 賃料/88 敷金と権利金
 ※執筆者: 水本 浩・良永和隆

第6章 金銭の貸借
 1 金銭貸借の意義
89 金銭消費貸借/90 金銭貸借は消費貸借の一種/91 消費寄託との比較
 2 金銭貸借の成立
92 契約書は必要か/93 金銭貸借は要物契約である/94 要物性の緩和――その1/95 要物性の緩和――その2/96 諾成的消費貸借と消費貸借の予約/97 準消費貸借
 3 弁済期など
98 弁済期/99 担保
 4 利息・遅延利息とその制限
100 利息/101 利息の制限――利率の抑制/102 利息の制限――脱法行為の規制/103 利息制限法に違反する約定の効果/104 複利/105 臨時金利調整法/106 遅延利息およびその制限/107 超過支払分の元本充当など
 5 貸金業の規制
 6 前借金
 ※執筆者: 中馬義直・良永和隆

第7章 委任と請負
 1 委任
108 委任とは/109 不動産業者と代理・媒介/110 両当事者の地位
 2 請負
111 請負とは/112 建設業法・住宅品質確保促進法/113 建設請負約款/114 完成した物の所有権の帰属/115 危険負担/116 請負人の瑕疵担保責任
 ※執筆者: 高木多喜男

第8章 債務の履行
 1 序説
117 債務の履行
 2 債務履行の方法
118 はじめに
 3 弁済
119 意義・法律的性質/120 弁済の提供とその基準/121 第三者の弁済/122 弁済受領者
 4 代物弁済
123 代物弁済/124 代物弁済の要件
 5 供託
125 供託の意義/126 供託の有効要件
 6 相殺
127 相殺の意義/128 相殺要件
 7 債務の不履行――序説
 8 現実的履行の強制
129 意義/130 現実的履行の強制方法――はじめに/131 直接強制/132 代替執行/133 間接強制/134 三者の関係
 9 損害賠償
135 意義/136 債務不履行による損害賠償請求権の発生要件/137 損害賠償の範囲/138 損害賠償額の予定・違約金
 10 契約の解除
139 契約の解除/140 法定解除権の発生原因/141 解除の効果
 11 債務者の責任財産の保全
142 はじめに/143 詐害行為取消権の意義・性格/144 詐害行為取消権の要件/145 詐害行為取消権の行使方法・範囲/145の2 債権者代位権
 ※執筆者: 中井美雄・145の2のみ良永和隆

第9章 債権の担保――その1(物的担保(1) 典型担保)
 1 担保物権とは
146 債権者の平等と担保物権/147 担保物権の種類と性質/148 いわゆる優先弁済権能と順位
 2 根抵当
149 付従性の緩和から否定へ/150 根抵当権の基本的性格
 3 利用権との調整
151 価値権と利用権/152 法定地上権/153 短期賃貸借保護の廃止
 ※執筆者: 石田喜久夫・良永和隆

第10章 債権の担保――その2(物的担保(2) 非典型担保)
 1 譲渡担保
154 譲渡担保/155 不動産の譲渡担保/156 動産の譲渡担保/157 集合物の譲渡担保/157の2 債権の譲渡担保
 2 仮登記担保
158 仮登記担保とは/159 仮登記担保法の趣旨/160 仮登記担保法の内容(1) 所有権の移転、清算等/161 仮登記担保法の内容(2) 請戻権・法定借地権等
 ※執筆者: 川井 健

第11章 債権の担保――その3(人的担保)
 1 物的担保と人的担保
 2 保証
162 保証の意義/163 付従性と補充性/164 保証債務の成立要件/165 保証債務の効力/166 保証人の抗弁権/167 保証人の求償権/168 連帯保証/168の2 貸金等根保証/169 身元保証/170 損害担保契約
 3 連帯債務
171 連帯債務の意義/172 発生原因/173 連帯債務の効力/174 連帯債務者相互間の求償関係/175 不真正連帯債務
 4 債務の引受
176 債務の引受の意義/177 免責的債務引受契約/178 履行の引受
 5 不可分債務
 ※執筆者: 明石三郎・良永和隆

第12章 不法行為
 1 序説
179 不法行為の意義/180 民事責任と刑事責任
 2 過失責任
181 注意義務と不可抗力/182 過失責任の強化
 3 責任能力
183 責任能力/184 監督者の責任
 4 権利侵害(加害行為の違法性)
185 序説/186 違法性理論は違法性の成否を/187 違法性判断の基準/188 違法性阻却事由
 ※執筆者: 三島宗彦・良永和隆

第13章 不法行為に対する救済
 1 損害賠償の諸問題
189 損害賠償請求権/190 金銭賠償の原則/191 賠償の範囲と額の算定方法/192 得べかりし利益の賠償
 2 慰謝料の諸問題
193 慰謝料の性質/194 慰謝料の算定と相続性/195 謝罪広告の是非
 3 過失相殺
196 過失の意義/197 過失相殺の効果/197の2 過失相殺の法理の類推適用
 ※執筆者: 三島宗彦・良永和隆

第14章 企業責任と無過失責任
 1 過失責任から無過失責任へ
198 はじめに/199 無過失責任の根拠/200 使用者責任/201 工作物責任
 2 事業災害
202 労働災害/203 鉱害/204 因果関係/205 原子力損害
 3 自動車事故
206 運行供用者責任/207 運行供用者
 4 公害
208 過失責任論から受忍限度論へ
 5 製造物責任
209 商品の欠陥に対する損害賠償責任(契約上の責任と製造物責任)/210 民法の原則的な考え方と実際の適用/211 製造物責任法(無過失責任立法)
 ※執筆者: 伊藤高義

第15章 所有権
 1 所有権とはどのような権利であるか
212 物質を支配する権利=物権/213 物権のさまざまな種類/214 物の全面的・包括的支配権=所有権
 2 現代における所有権の考え方
215 所有権の絶対性/216 絶対性の制限
 3 所有権の保護とその限
217 物権的請求権/218 権利濫用の法理/219 物権的請求権と権利濫用/220 公害と所有権
 ※執筆者: 甲斐道太郎

第16章 団体――法人と組合
 1 法人制度と法人の意義
221 法人制度/222 法人の意義/223 社団法人・財団法人/224 中間法人/225 公益信託
 2 法人の行為能力
226 法人の行為の実現者/227 法人の行為能力の範囲――序説/228 法人の行為能力の範囲――営利法人/229 法人の行為能力の範囲――非営利法人/230 理事の代表権の制限/231 法人の不法行為責任
 3 組合
232 組合の意義/233 組合契約/234 組合の団体性/235 組合と類似の団体
 4 組合の財産関係
236 組合財産/237 組合の債権債務/238 損益分配
 5 組合の業務執行
239 内部的業務執行/240 対外的業務執行(組合代理)
 ※執筆者: 森泉 章・良永和隆

第17章 時間の経過と権利義務
 1 期間
 2 消滅時効
241 消滅時効とは/242 時効にかかる権利と消滅時効期間/243 時効の援用、時効利益の放棄/244 時効の中断/245 時効の停止/246 除斥期間
 3 取得時効
247 取得時効とは/248 所有権の取得時効/249 その他の財産権の取得時効/250 時効の援用、中断など
 ※執筆者: 幾代 通

第18章 夫婦
 1 婚約
 2 内縁
 3 婚姻の成立
251 序説/252 婚姻の形式的要件(届出)/253 婚姻の実質的要件/254 婚姻の無効・取消し
 4 婚姻の効果
255 序説/256 身分関係/257 財産関係
 5 離婚
258 離婚の四方式/259 協議離婚/260 調停離婚・審判離婚/261 裁判離婚/262 離婚と同時に生ずる問題
 ※執筆者: 有地 亨

第19章 親子と扶養
 1 親子法の内容
263 親子法の変遷/264 親子法の問題
 2 実子
265 嫡出子と非嫡出子/266 嫡出推定と嫡出否認/267 人工受精子・体外受精子/268 非嫡出子と認知・準正
 3 養子
269 養子縁組の成立とその効果/270 代諾縁組/271 縁組の解消(離縁)/272 特別養子
 4 親権と扶養
273 親権の内容/274 親権と扶養の問題/275 親族間の扶養
 ※執筆者: 奥田昌道

第20章 相続
 1 相続の基本的な考え方
276 相続の意義と根拠/277 法定相続の形態
 2 相続人と相続財産
278 相続人とその順位/279 相続人の失格/280 相続財産/281 共同相続と相続分
 3 遺産分割
282 遺産分割の自由/283 分割の方法/284 遺産分割の効力/285 相続回復請求
 4 相続の承認と放棄
286 承認放棄の自由
 ※執筆者: 泉 久雄

第21章 遺言
 1 遺言の方式
287 遺言の現代的意義/288 遺言の特質/289 遺言の方式/290 普通方式/291 特別方式/292 遺言の撤回
 2 遺贈
293 遺言の効力発生時期/294 遺贈/295 包括遺贈/296 特定遺贈/297 遺言の執行
 3 遺留分
298 可譲分(自由分)と遺留分/299 遺留分の算定/300 遺留分の減殺
 ※執筆者: 泉 久雄

事項索引


《執筆者: 》
 明石 三郎  (元関西大学教授)
 有地 亨  (元九州大学教授)
 幾代 通  (元東北大学教授)
 石田喜久夫  (元神戸大学教授)
 泉 久雄  (専修大学名誉教授)
 伊藤 高義  (愛知学院大学教授)
 遠藤 浩  (元学習院大学教授)
 奥田 昌道  (京都大学名誉教授)
 甲斐道太郎  (大阪市立大学名誉教授)
 川井 健  (一橋大学名誉教授)
 篠塚 昭次  (早稲田大学名誉教授)
 篠原 弘志  (元日本大学教授)
 高木多喜男  (神戸大学名誉教授)
 中馬 義直  (元筑波大学教授)
 中井 美雄  (立命館大学名誉教授)
 三島 宗彦  (元立命館大学教授)
 水本 浩  (元立教大学教授)
 森泉 章  (元青山学院大学教授)
 良永 和隆  (専修大学教授




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本「規制改革で何が変わるのか (ちくま新書1024)」八代尚宏5

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――保護VS競争
 6つの争点から日本再生のビジョンを示す――

規制改革は「格差を拡大させる」という常識が日本に蔓延している。規制で守られているのは「弱者」であり、市場競争に晒せば弱肉強食の社会になってしまうというイメージがあるためだ。しかし規制は真に「弱者」を守っているのか。特定産業を保護することは、本当に公平なのか。本書は労働、農業、医療、介護・保育、教育、都市・住宅の争点を、肯定派/否定派の対立点から読み解いていく。そこから対立を超えた競争と成長のビジョンを示し、日本の未来を明晰に解き明かす。


≪目次: ≫
はじめに
なぜ規制改革が必要なのか/規制改革は自由放任主義ではない/本書の構成と目的

第1章 労働市場の規制改革――企業への規制は雇用を守るか
労働者派遣法の特異性/有期雇用契約への規制強化/本丸は正社員の解雇規制の改革/解雇に厳しい判例は雇用慣行の問題/定年退職制の改革を/雇用保険の改革/ハローワークの民間開放と人材サービス活用
コラム 「期間の定めのない雇用」とは何か
コラム 人材サービス会社は中間搾取をしているか
コラム 解雇についての金銭補償は妥当か

第2章 農業の規制改革――関税徹廃は日本農業を破壊するか
減反政策は価格カルテル/国家独占貿易の小麦/農業の零細性の要因としての農地問題/株式会社の農地所有禁止/事実上の独占資本としての農協

第3章 医療の規制改革――患者の利益をいかに尊重するか
日本の医療制度改革は不要か――医療費の偏りを考える/薬の価格統制は競争力を阻害する/混合診療はなぜ規制されなければいけないか/株式会社による病院経営禁止の論理は正しいか/医療品のインターネット販売
コラム 医療界はイスラム金融を学ぶべき

第4章 介護・保育の規制改革――社会全体でどう担うか
介護保険とはどういうものか/介護保険の課題とは何か/高齢者の施設介護への対応策/社会福祉法人改革/成長産業としての介護サービス/待機児童の解消は正しい政策目標ではない/保育所改革を問いなおす/「保育保険」の構想/社会福祉の基礎構造改革
コラム 社会福祉法人で儲ける方法

第5章 教育の規制改革――市場競争は教育を阻害するか
教育需要は労働市場の派生需要である/大学数は抑制すべきか/法科大学院の定員割れ問題/大学教育の収益率という指標/大学に対する不動産規制/過当競争としての受験競争/教育機会の均等化政策/義務教育の無償制の意義/「混合教育」の考え方/不登校児童のためのNPO学校/教育切符/公立学校の学校選択制
コラム なぜ大学は三年間で卒業できないのか

第6章 都市・住宅の規制改革――土地の高度利用はどう進むか
都市の再開発と「作らない公共事業」/住宅容積率の引き上げ/固定資産税の有効活用/借地借家法の改正/区分所有権の改革/インフラ建設・管理への民間参入/民間事業者による都市インフラ整備/時代錯誤の車庫規制/駐車違反の民間による取り締まり
コラム 私人間の権利調整ルールと規制

第7章 規制改革を推進するために
規制改革会議/「わかりやすい」規制改革/規制の影響分析の活用/構造改革特区/総合特区/国家戦略特区/政治的なリーダーシップ

あとがき
参考文献


≪著者: ≫ 八代尚宏 (やしろ・なおひろ) 1946年大阪府生まれ。68年国際基督教大学教養学部、70年東京大学経済学部卒業。経済企画庁(現内閣府)、OECD事務局、上智大学国際関係研究所教授、日本経済研究センター理事長等を経て、国際基督教大学客員教授・昭和女子大学特命教授。安倍・福田内閣で経済財政諮問会議議員。メリーランド大学博士(経済学)、労働経済学・日本経済論専攻。著書に『現代日本の病理解明』(東洋経済新報社、1980年/日経・経済図書文化賞)、『日本的雇用慣行の経済学』(日本経済新聞社、1997年/石橋湛山賞)、『新自由主義の復権』(中公新書、2011年/2012年新書大賞2位)、『日本経済入門』(有斐閣、2013年)などがある。




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本「天皇と天下人 (天皇の歴史05)」藤井讓治5

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天皇と天下人 (天皇の歴史)
○著者: 藤井讓治
○定価: 2,730円
○ISBN: 978-4062807357




ヘゲモニー(hegemony、覇権)、、、権威と権力

 Tenno in Japanese History


天下布武を目指す信長正親町天皇の虚々実々の駆け引きとは。本能寺の変後、権力を掌握し、朝鮮出兵に続き皇居の北京移転まで決めた秀吉後陽成天皇はどう思い止まらせようとしたか。家康秀忠の強権に悲憤慷慨した後水尾天皇の胸中など、日記、宸翰の史料を駆使し、天下人と対峙した天皇の実像を克明に描く。


戦乱から洛中をいかに護るか、窮乏する禁裏の儀礼資金をどう調達するか、天皇は苦心し、足利将軍や権力者=天下人の力を頼みとする。一方、天下を掌握するため、自らの権力を誇示し、天皇権威を利用する天下人。両者の探り合い、駆け引きの様相はどのようなものであったか。天下人の力に圧倒されながら、天皇が保持した権威とは何か。宸翰、日記、消息などの史料を駆使して実相を克明に描く。

正親町天皇に聖代の名香「蘭奢待」の切り取りを迫る信長
足利義昭、信長の入京は、天皇にとって脅威であったが、天下布武を掲げ猛進する信長に、一転、天皇は禁裏の警固を申しつけ、さまざまな機会に自らの側に取り込もうとする。信長はその誘いに容易には乗らず、自ら必要な時には朝廷に接し、天皇権威を利用しながらもつかず離れずの態度をとり続けた。ついには、正倉院の名香「蘭奢待」の切り取りを申し出る信長。信長の振る舞いに正親町天皇の心中はいかなるものであったか。天皇と信長の間で展開する駆け引きの様相を描き出す。

■天下人秀吉の朝鮮出兵に後陽成天皇はどう抵抗したか
本能寺の変後、天下を手中にした秀吉は、莫大な禁裏費用を用立て朝廷に接近、財力にものを言わせて、ついに関白の位まで上りつめる。絶頂を極めた秀吉は、その権勢を後陽成天皇の聚楽第行幸という形で誇示した。天皇が臣下の屋敷へ行幸するのは151年ぶりのことであった。さらに、朝鮮出兵では、秀吉は自ら渡海し明まで攻め入り、皇居を北京に移すという構想を打ち上げた。この無謀な戦いに後陽成天皇はどのように抵抗したか、出兵を思い止まるよう切々と訴えた宸翰を解説する。

■天皇により神に祀られた秀吉と家康
勅定によって決められる神号は天皇の権威を示す。秀吉は死を前にして「八幡」神号を望んだが、後陽成天皇はそれを認めず「豊国大明神」と決めた。一方、家康には、秀忠の意向で「東照大権現」と神号が後水尾天皇によって定められた。神号決定の過程から天皇と将軍との関係を詳細に説く。


講談社創業100周年記念企画
特集ページ http://bookclub.kodansha.co.jp/books/tennou/


≪目次: ≫
カラー口絵・写真
信長、正親町天皇に名香「蘭奢待」拝領を迫る/秀吉の絶頂、後陽成天皇の聚楽第行幸/青天の霹靂だった皇居北京移転の構想/天皇により神に祀られた秀吉と家康

プロローグ――正親町天皇のキリシタン禁令

第一章 義昭・信長の入京
 1 義昭・信長入京以前
室町幕府一四代将軍義栄/室町幕府一五代将軍義昭/義昭四品任官を勅許せず/古今無双之名将/親王元服費用の申沙汰
 2 義昭・信長の入京
義昭・信長の入京前夜/敵から味方へ/禁裏警固の綸旨/義栄方公家の出奔
 3 義昭への将軍宣下
将軍宣下に向けて/将軍宣下/義昭を縛る「殿中御掟」/信長、副将軍拒否/禁裏の修造/誠仁親王の元服
 4 領地等の回復
将軍宣下直後の三件の要請/宝菩提院領の訴訟/延暦寺領の還付を命ず/義昭、天皇の意向に反論
 5 禁裏費用の確保
有力大名の献金/後奈良天皇十三回忌法会財源を家康に求む/永禄からの改元難航/義昭へ援助を求む/元亀からの改元延期
 6 戦争と天皇
越前朝倉攻めと正親町天皇/姉川の戦い/石山本願寺への正親町天皇勅書/正親町天皇・義昭による信長と朝倉・浅井の和睦「一和」/比叡山焼き討ち/元亀三年の状勢、信長包囲網
 7 義昭・信長の位置
入京直後の義昭・信長/信長を頼る/禁裏御大工惣官補任をめぐる争論/久我通俊の勅勘を許さず/義昭の参内/禁裏への進上

第二章 正親町天皇と信長
 1 信長の天下掌握
室町幕府の倒壊/天下掌握に向けて宣言/元亀から天正へ
 2 探り合う天皇と信長
信長、正親町天皇に譲位を申し入れる/天正二年の信長宛従五位下・昇殿口宣案写し/正親町天皇の「宸筆御記」と『御湯殿上日記』/信長関白就任の噂/蘭奢待の切り取り
 3 天皇と戦国大名
後奈良天皇経供養/綸旨による領地回復/この時期の禁裏御料
 4 信長の朝廷への攻勢
公家・門跡への徳政/禁裏「五人の奉行」/信長、大納言・右大臣に任官/禁裏・公家・門跡への新地/安土築城/興福寺別当職争論/神泉苑の還付/安土行幸計画――その1
 5 信長の戦いと天皇
浅井・朝倉攻め/三度目の石山本願寺挙兵/上洛する信長への勅使派遣/越前一向一揆攻めに勅使派遣/本願寺より和睦を申し入れる/石山本願寺攻めに際しての勅使派遣と出陣祈禱/内侍所での祈禱/天正六年の信長・石山本願寺の講話/信長・石山本願寺の講話斡旋の再開/石山退城の論理/武田攻め出陣祈禱
 6 禁裏・天皇と距離を置く信長
信長の辞官/誠仁親王に二条屋敷を進献/京都での馬揃え/左大臣推任/安土行幸計画――その2/京暦への挑戦/太政大臣か関白か将軍か/信長の参内/予が国王であり、内裏である

第三章 天下人秀吉の誕生
 1 本能寺の変とその直後
本能寺の変/明智光秀への勅使/信孝・秀吉への勅使/信長の百日忌/御料所丹波国山国庄/秀吉の少将推任/贈太政大臣従一位/公家・門跡領の安堵/信長木像の仏師をめぐる争論/戦勝を祝う勅使
 2 朝廷に接近する秀吉――関白任官
秀吉少将に任官/秀吉の大納言任官/織田信雄の大納言任官/秀吉の内大臣任官/関白職をめぐる近衛・二条の争論/秀吉、関白職を手にする/秀吉関白宣下/親王、准后間の座次/秀吉の参内/正親町天皇の歌と秀吉の返歌
 3 戦いと天皇
紀州攻めにあたっての勅使/秀吉煩いの祈禱/島津への停戦命令/九州出陣/秀吉の北条氏直弾劾状/北条攻めの祈禱と関東出陣

第四章 後陽成天皇と朝鮮出兵
 1 後陽成天皇の即位と聚楽第行幸
誠仁親王の死/正親町天皇の譲位と後陽成天皇の即位/聚楽第行幸/北政所の叙位/鶴松の誕生と八条宮家の成立/豊臣秀吉の病気/鶴松の死去と秀次関白任官/秀次関白宣下
 2 北京への移徙――朝鮮出兵
朝鮮使節の来日/御土居の建設/秀吉、名護屋へ出陣/天皇、北京へ――三国国割構想/所司代玄以への指示/後陽成天皇の対応
 3 対明講和交渉と後陽成天皇
朝鮮情勢の展開/秀吉の名護屋再下向を抑留/正親町上皇の死/対明講和案と明使/対明講和案と天皇/近衛信輔の薩摩左遷/信輔配流の理由
 4 晩年の秀吉と後陽成天皇
秀次追放/公家大臣の消滅/秀吉の病気平癒祈禱/秀吉・秀頼参内と禁裏での能興行/太閤への惣礼/明使節・朝鮮使節/慶長の朝鮮出兵/醍醐の花見/新伏見城における惣礼/秀頼叙爵/秀吉、最後の参内/秀吉の死

第五章 後陽成・後水尾天皇と家康
 1 譲位一件と豊国大明神
後陽成天皇の病/後陽成天皇、譲位の意向を示す/譲位、「御無用」/後陽成天皇、灸治を望む/秀吉、新八幡を望む/豊国大明神
 2 天下人家康
「天下殿」家康/天下人としての参内/関ヶ原の前夜/関ヶ原の戦い/禁裏御料と公家・門跡領の設定/政仁の親王宣下/公家関白・大臣の復活/叙位の再興
 3 家康への将軍宣下
将軍宣下前夜/将軍宣下/将軍任官御礼の参内/家康と秀頼/秀忠への将軍宣下/年頭の礼にみる天皇と秀頼/秀頼への叙任/豊国社への奉幣
 4 後陽成天皇の譲位と後水尾天皇の即位
院御所普請のための屋敷割/官女密通事件/公家・官女の処分/後陽成天皇の譲位の意向/「たゝなきになき申候」/譲位そして即位/秀頼との会見と大名誓紙
 5 後水尾天皇即位後の朝廷
家康への礼/後水尾天皇と秀頼/書物等宝物引渡一件/公家衆法度/公家衆法度と紫衣法度/後水尾天皇、新御所に移る/和子入内、家康・秀忠昇進
 6 豊臣家滅亡と禁中幷公家中諸法度
大坂冬の陣/夏の陣/夏の陣後の参内/元和改元/家康、公家法度制度のため記録を収集/古今礼儀式法/禁中幷公家中諸法度/家康の死

エピローグ――「権現」か「明神」か


参考文献
年表 (西暦1565・永禄八年〜西暦1617・元和三年)
歴代天皇表
天皇系図
索引


カバー写真: 「御所参内・聚楽第行幸図屏風」部分 聚楽第へ向かう後陽成天皇の輿、個人蔵、写真提供 上越私立総合博物館


【編集委員】 大津 透河内祥輔藤井讓治藤田 覚
講談社創業100周年記念企画 「天皇の歴史」 全10巻


≪著者: ≫ 藤井讓治 (ふじい・じょうじ) 1947年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。京都大学教授(2012年定年退任)。専攻は日本近世政治史。主な著書に『江戸幕府老中制形成過程の研究』(校倉書房)、『日本の歴史12 江戸開幕』(集英社)、『徳川家光』(吉川弘文館)、『幕藩領主の権力構造』(岩波書店)、『徳川将軍家領知宛行制の研究』(思文閣出版)などがある。本シリーズ編集委員。


河内祥輔/新田一郎 『天皇と中世の武家』(天皇の歴史04、講談社、2011年) '13/07/24
佐々木恵介 『天皇と摂政・関白』(天皇の歴史03、講談社、2011年) '13/04/21
吉川真司 『聖武天皇と仏都平城京』(天皇の歴史02、講談社、2010年) '13/03/24
大津透 『神話から歴史へ』(天皇の歴史01、講談社、2010年) '13/02/03

池上裕子 『織豊政権と江戸幕府』(日本の歴史15、講談社学術文庫、2009年) '11/05/26



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本「物語 イランの歴史 誇り高きペルシアの系譜 (中公新書1660)」宮田律5

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――王がいて、聖職者がいて、バザール商人がいる――
栄華を極めた古代帝国から、世界唯一の革命によるイスラーム国家へ

日本人はイランに対してどのようなイメージをもっているだろうか。革命、戦争、日本に大挙してやってきた労働者……。しかし、それはイランの「非日常」的な一面に過ぎない。古代に広大な帝国を築き、正倉院へガラス器をもたらしたペルシアは、アラブのイスラーム勢力や欧米諸国の侵入や干渉を受けながらも独自の文化を守り抜いた。不安定な世界情勢のなか、現在も模索を続ける人々の真実の姿を伝える。


≪目次: ≫
序章 イラン人の日常生活と文化
イランの新年――ノウルーズ/イラン人のもてなし/イラン人の食習慣/イラン特有のイスラーム行事/イランの女性たち/イラン人の娯楽/バザールの商法と華麗なイランの工芸/工芸の粋――ペルシア絨毯/イラン文化の復興

第一章 ペルシア帝国の栄光とイラン文化の形成
驚嘆に値するアケメネス朝の機能的な統治/古代イラン人の知恵――カナート/ツァラトゥストラはかく語りき/アケメネス朝の終焉/サーサーン朝ペルシアの興亡/ホスローI世とサーサーン朝最盛期/イスラームとイラン人のプライド

第二章 イラン文明のイスラームとの融合
モンゴルの侵略とイラン文化の爛熟/サファヴィー朝の成立とシーア派イスラームの採用/イスラームの宗教制度と神学の発展/アッバースI世時代の繁栄/サファヴィー朝下における文化の発展/サファヴィー朝の終焉

第三章 西欧帝国主義との出会いと宗教社会
救世主の待望とイスラームの聖職者の台頭/帝国主義勢力との闘争/ヨーロッパへの抵抗意識の芽生え/続発する宗教的反乱/バハーイー教の成立/イランの半植民地化の進行/アフガーニー――反帝国主義の急進的イデオローグ/立憲革命運動(1905-11)パフラヴィー朝の成立とレザー・シャーの軍国主義的近代化

第四章 民族運動の台頭と挫折
石油国有化の光と影/イラン国内の混乱/イギリスとアメリカの策動/ハリール・マレキーの独創的な「第三勢力論」/日章丸事件――石油国有化と日本

第五章 イラン‐アメリカ相互不信の背景
イラン人の対米観/歴史的要因と精神風土/王政のアメリカ「従属化」/国王の「改革」政策とアメリカのジレンマ/高まる反米の潮流

第六章 イランの伝統文化の探求
パフラヴィー朝の映画/パフラヴィー朝のスポーツ/パフラヴィー朝のメディアと社会変動

第七章 模索するイランのイスラーム
ホメイニーはなぜ革命の指導者になったか/イラン革命の高揚/ホメイニーの政治理論に対する反発と混乱/さまざまなイスラーム的規制/自由拡大への欲求/選挙によるイラン社会の変容

終章 イランはどこへ向かうのか?――イスラームからイラン・ナショナリズムへ
ハータミー政権とナショナリズムの台頭/日本にとっての重要性/日本は「イランの脅威」にどう対処するか

あとがき (二〇〇二年八月  宮田 律)
参考文献
イラン略年表


≪著者: ≫ 宮田 律 (みやた・おさむ) 1955年(昭和30年)、山梨県に生まれる。80年、慶応義塾大学文学部史学科卒業。83年、慶応義塾大学大学院文学研究科史学専攻修了。85年、カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)大学院歴史学科修士課程修了。静岡県立大学講師を経て、96年より静岡県立大学国際関係学部助教授(准教授)。著書、『中東政治構造の分析』(学文社)、『イスラム政治運動』(日本経済新聞社)、『イスラム世界と欧米の衝突』(NHKブックス)、『中央アジア資源戦略』(時事通信社)、『イスラム・パワー』(講談社)、『現代イスラムの潮流』(集英社新書)、『「イスラム過激派」をどう見るか』(岩波書店)、『現代イスラムの潮流と原理主義の行方』(集英社)、『いま、なぜ「戦争」なのか?』(新潮社)。


中村廣治郎 『イスラム 思想と歴史 〔新装版〕』(東京大学出版会、2012年) '13/01/28
コーラン 〈下〉』(井筒俊彦 訳、ワイド版岩波文庫、2004年) '12/06/22
コーラン 〈中〉』(井筒俊彦 訳、ワイド版岩波文庫、2004年) '12/06/19
コーラン 〈上〉』(井筒俊彦 訳、ワイド版岩波文庫、2004年) '12/06/12
大川玲子 『聖典「クルアーン」の思想 イスラームの世界観』(講談社現代新書、2004年) '12/02/21
大川玲子 『図説 コーランの世界 写本の歴史と美のすべて』(ふくろうの本・世界の文化、河出書房新社、2005年) '12/02/15
ジル・ケペル 『中東戦記 ポスト9・11時代への政治的ガイド  Chronique d'une guerre d'Orient (automne 2001) suivi de Brève chronique d'Israël et de Palestine (avril-mai 2001) 』(池内恵 訳・解説、講談社選書メチエ、2011年) '11/09/30
青木健 『マニ教』(講談社選書メチエ、2010年) '10/12/09
青木健 『ゾロアスター教』(講談社選書メチエ、2008年) '09/11/21
青木健 『アーリア人』(講談社選書メチエ、2009年) '09/11/15
マリーズ・リズン 『イスラーム  Islam: A Very Short Introduction 』(山内昌之 解説、菊地達也 訳、1冊でわかる・シリーズ、岩波書店、2004年) '09/09/30
菊地達也 『イスラーム教 「異端」と「正統」の思想史』(講談社選書メチエ、2009年) '09/09/26
池内恵 『中東 危機の震源を読む』(新潮選書、2009年) '09/09/10
大川周明 『回教概論』(ちくま学芸文庫、2008年) '09/05/21
サミュエル・ハンチントン 『文明の衝突  The Clash of Civilizations and the Remaking of World Order, 1996 』(鈴木主税訳、集英社、1998年) '09/04/19
中山元 編訳 『発言 米同時多発テロと23人の思想家たち』(朝日出版社、2002年) '09/01/22
バーナード・ルイス 『聖戦と聖ならざるテロリズム イスラームそして世界の岐路  THE CRISIS OF ISLAM, Holy War and Unholy Terror, 2003 』(中山元 訳、紀伊國屋書店、2004年) '09/01/14
片倉もとこ 『ゆとろぎ イスラームのゆたかな時間』(岩波書店、2008年) '08/11/22
コーラン 〈下〉』(井筒俊彦訳、ワイド版岩波文庫、2004年) '08/10/19
コーラン 〈中〉』(井筒俊彦訳、ワイド版岩波文庫、2004年) '08/10/15
コーラン 〈上〉』(井筒俊彦訳、ワイド版岩波文庫、2004年) '08/10/13
片倉もとこ/梅村担/清水芳見 編 『イスラーム世界』(後藤明/大塚和夫/小松久男/中村光男/臼杵陽/私市正年/東長靖/駒井洋/中西久枝/鷹木恵子/佐藤次高 執筆、岩波書店、2004年) '08/10/05
片倉もとこ 『アラビア・ノート アラブの原像を求めて』(ちくま学芸文庫、2002年) '08/10/03
片倉もとこ「イスラームの世界観 「移動文化」を考える」(岩波現代文庫、2008年) '08/09/24
牧野信也 『イスラームとコーラン』(講談社学術文庫、1987年;2005年) '08/09/09
井筒俊彦 『マホメット』(講談社学術文庫、1989年;2006年) '08/09/04
吉田悦章 『イスラム金融入門』(東洋経済新報社、2007年) '08/08/14
井筒俊彦 『イスラーム文化 その根柢にあるもの』(ワイド版岩波文庫、1994年) '08/07/16
ブルース・ローレンス 『コーラン』(池内恵 訳、名著誕生、ポプラ社、2008年) '08/05/09



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本「憲法入門 〔第4版補訂版〕 (有斐閣双書55)」伊藤正己5

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1966年10月30日 初版第1刷発行
1979年5月25日 新版第1刷発行
1993年11月30日 第3版第1刷発行
1998年3月30日 第4版第1刷発行
2006年3月15日 第4版補訂版第1刷発行


身近にある憲法問題を各章の冒頭に入れて解決への架け橋とし、日本国憲法の原理や仕組みを平易に解説した、定評ある入門書の改訂版。明治憲法と現行憲法の双方を見、また最高裁判所裁判官としての経験をももつ著者の一文一文は深くもなおわかりやすい。

最高裁判所裁判官としての経験を踏まえ、充実した内容をコンパクトに解説。長く読み継がれてきたテキストを改訂。学説、判例、立法の展開を織り込んだ。学んだ人にも学び始める人にも好適の書。


≪目次: ≫
第四版補訂版はしがき (二〇〇六年二月 伊藤正己)
第四版はしがき (一九九八年二月 伊藤正己)

第1章 憲法とは何か
問題の提起/実質的意味の憲法/立憲的意味の憲法/近代憲法の原則/形式的意味の憲法/硬性憲法/成文憲法の分類/現代憲法への展開/現代憲法と近代憲法/近代憲法の規制の対象/私人間における憲法の効力
第2章 明治憲法の特質
問題の提起/近代日本の発足/明治憲法の制定/明治憲法の二元性/明治憲法の特色/明治憲法の展開/立憲主義の退潮
第3章 日本国憲法の成立
問題の提起/新憲法制定の動き/憲法改正草案の成立/日本国憲法の成立/憲法改正の動向/日本国憲法制定の法理/明治憲法との連続性/おしつけ憲法論
第4章 憲法の法源と解釈
 1 憲法の法源
問題の提起/成文法源/不文法源
 2 憲法の解釈と運用
問題の提起/憲法の解釈・運用/憲法の変遷
第5章 国民主権
 1 国民主権
問題の提起/国民/主権者としての国民/憲法上の機関としての国民
 2 選挙
問題の提起/選挙の意味/近代選挙法の原則/選挙区/代表制の類型/公正な選挙の保障
 3 象徴天皇制
問題の提起/天皇の地位/天皇の国事行為/内閣の助言と承認/天皇の権能の代行
 4 地方自治
問題の提起/地方自治と民主制/地方自治の本旨/地方公共団体/地方公共団体の機関と権能
第6章 平和国家
問題の提起/平和主義の原理/九条の法的性格/戦争放棄と自衛権/自衛戦争/戦力の不保持/国際協調と平和主義
第7章 基本的人権の保障
 1 人権尊重の原理
問題の提起/人権の歴史/人権の一般原則/公共の福祉/人権を享有する主体/国民の義務
 2 人権の体系
問題の提起/人権の四つの類型/法の下の平等/新しい人権
 3 自由権
問題の提起/自由権の構造/精神の自由/人身の自由/経済活動の自由
 4 社会権
問題の提起/社会権/受益権
第8章 権力分立
 1 国会
問題の提起/国会の地位と性格/両院制/国会議員の地位/国会の会期/国会の議事/国会と財政/議院の権能
 2 内閣
問題の提起/行政権/議院内閣制/内閣の組織/内閣の権能
 3 裁判所
問題の提起/司法権/司法権の独立/裁判所の組織
第9章 憲法の保障
問題の提起/憲法の保障の方法/違憲審査制/緊急事態と憲法
第10章 国法の形式
問題の提起/憲法改正/法律/予算/命令/議院規則/最高裁判所規則/条例/条約

索引(事項索引・判例索引・憲法条文索引)


≪著者: ≫ 伊藤正己 (いとう まさみ) 1919年生。1943年東京大学法学部卒業。東京大学名誉教授。(2010年逝去)


芦部信喜、高橋和之 補訂 『憲法 〔第五版〕』(岩波書店、2011年) '13/08/02
長谷部恭男 『憲法の円環  circus constitutionis 』(岩波書店、2013年) '13/07/22
渋谷秀樹 『憲法への招待』(岩波新書、2001年) '13/07/07
長谷部恭男 『憲法とは何か』(岩波新書、2006年) '13/07/01
長谷部恭男 『憲法のimagination  Écrits imaginatifs de droit constitutionnel 』(羽鳥書店、2010年) '13/06/26
長谷部恭男 『憲法入門  An Introduction to Constitutional Law 』(羽鳥書店、2010年) '13/06/01
長谷部恭男 『続・Interactive憲法  The Life and Opinions of Professor B, the Constitutional Conversationnist, Vol. 2 』(法学教室Library、有斐閣、2011年) '13/05/20
長谷部恭男 『憲法と平和を問いなおす』(ちくま新書、2004年) '13/05/13
大石眞 『日本国憲法 '05』(放送大学教材、一般科目 社会系、放送大学教育振興会、2005年) '13/05/11
長谷部恭男 『Interactive憲法  The Life and Opinions of Professor B, the Constitutional Conversationnist 』(法学教室Library、有斐閣、2006年) '13/05/09
渋谷秀樹/赤坂正浩 『憲法 2 統治 〔第5版〕』(有斐閣アルマ、2013年) '13/04/29
渋谷秀樹/赤坂正浩 『憲法 1 人権 〔第5版〕』(有斐閣アルマ、2013年) '13/04/23



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本「法の哲学 自然法と国家学の要綱 下巻  Grundlinien der Philosophie des Rechts 〈ヘーゲル全集9b〉」ヘーゲル、上妻精/佐藤康邦/山田忠彰 訳5

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さてさて、2012年9月26日 以来の再読であります。

「人倫は、自由の理念であり、生ける善として存在する」 (p308、§142、「第三部 人倫」)

このところの気がかりなコトのひとつとして、大学の卒業研究申請書の提出があった。そう、過去形。提出期限、8月27日必着。すでにぼくの手元を離れて、日本郵便に委ねられている。
よく分からない、とは、ときに、うっかり、注意力が散漫だったりして、肝となるようなトコロが、あらら、抜け落ちてしまっているようなことに、あとから気がついて慌てる、みたいな。まぁしかたがない
たぶん、いろいろなところをめぐりめぐって、お上が、履修可否の仮決定、みたいなものを通知してくださる、のは、手引によると、11月中旬だとか。果報は寝て待て、ということなのかどうなのか


意志は単なる可能性ではなく、思惟する知性として、真に普遍的な意志である。法律、道徳、そして人倫的な有機的社会諸制度が、意志の自由の定在として、意志自身により自覚的に実現されて存在すること、これこそが「法」の自由の理念にほかならない。ヘーゲル体系真の理解のために待望久しい新訳で、論争の書をここにおくる。


≪目次: ≫
凡例

法の哲学 自然法と国家学の要綱』 下巻
Grundlinien der Philosophie des Rechts, 1821)

第三部 人倫(§142‐§360)
 第一章 家族(§158)
  A 婚姻(§161)
  B 家族の資産(§170)
  C 子供の教育と家族の解体(§173)
    家族の市民社会への移行(§181)
 第二章 市民社会(§182)
  A 欲求の体系(システム)(§189)
    a 欲求および満足の様式(§190)
    b 労働の様式(§196)
    c 資産(§199)
  B 司法(§209)
    a 法律としての法(§211)
    b 法律の定在(§215)
    c 裁判(§219)
  C 行政と職業団体(§230)
 第三章 国家(§257)
  A 国内法(§260)
   I 国内体制(§271)
    a 君主権(§272)
    b 統治権(§287)
    c 立法権(§298)
   II 対外主権(§321)
  B 国際法(§330)
  C 世界史(§341)
    1 東洋
    2 ギリシア
    3 ローマ
    4 ゲルマン


訳注
解説
訳者あとがき (二〇〇一年一月 佐藤泰邦 山田忠彰)
索引


ヘーゲル 『法の哲学 自然法と国家学の要綱 上巻    Grundlinien der Philosophie des Rechts, 1821 〈ヘーゲル全集9a〉』(上妻精/佐藤康邦/山田忠彰 訳、岩波書店、2000年) '13/08/20
ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈下〉  Vorlesungen uber die Philosophie der Geschichte 』(長谷川宏 訳、岩波文庫、1994年) '12/11/09 , '08/12/20
ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈上〉』(長谷川宏 訳、岩波文庫、1994年) '12/10/29 , '08/12/12
ヘーゲル 『法の哲学 自然法と国家学の要綱 下巻 〈ヘーゲル全集9b〉』(上妻精/佐藤康邦/山田忠彰 訳、岩波書店、2001年) '12/09/26
ヘーゲル 『法の哲学 自然法と国家学の要綱 上巻 〈ヘーゲル全集9a〉』(上妻精/佐藤康邦/山田忠彰 訳、岩波書店、2000年) '12/09/23

久保陽一 『ドイツ観念論とは何か カント、フィヒテ、ヘルダーリンを中心として』(ちくま学芸文庫、2012年) '13/03/05
岩崎武雄 『カントからヘーゲルへ』(UP選書、東京大学出版会、1997年) '12/12/31
長谷川宏 『ヘーゲルの歴史意識』(講談社学術文庫、1998年) '12/11/06
村岡晋一 『ドイツ観念論 カント・フィヒテ・シェリング・ヘーゲル』(講談社選書メチエ、2012年) '12/09/06
加藤尚武 編著 『ヘーゲル 「精神現象学」入門』(原崎道彦/伊坂青司/栗原隆/松山壽一/座小田豊/滝口清栄/山純 著、講談社学術文庫、2012年) '12/06/11
熊野純彦 『ヘーゲル 〈他なるもの〉をめぐる思考』(筑摩書房、2002年) '09/12/30
長谷川宏 『新しいヘーゲル』(講談社現代新書、1997年) '09/02/02
長谷川宏 『ヘーゲル『精神現象学』入門』(講談社選書メチエ、1999年) '09/01/29
長谷川宏 『格闘する理性 ヘーゲル・ニーチェ・キルケゴール』(洋泉社MC新書、2008年) '09/01/27


佐藤康邦/清水正之/田中久文 編著 『甦る和辻哲郎 人文科学の再生に向けて』(片山洋之介/熊野純彦/高橋文博/窪田高明/李梨花/卞崇道/マーク・ラリモア/湯浅泰雄 執筆、叢書=倫理学のフロンティアV、ナカニシヤ出版、1999年) '13/07/27 , '12/11/16
坂部恵/佐藤康邦 編著 『カント哲学のアクチュアリティー 哲学の原点を求めて  Die Aktualitat der Kantischen Philosophie: Auf der Suche nach dem Anfangspunkt der Philosophie 』(黒崎政男/松山壽一/渋谷治美/小田部胤久/勢力尚雅/山根雄一郎/滝沢正之 著、ナカニシヤ出版、2008年) '12/09/21
佐藤康邦 『カント『判断力批判』と現代 目的論の新たな可能性を求めて』(岩波書店、2005年) '12/09/17
佐藤康邦 『絵画空間の哲学 思想史のなかの遠近法  Philosophie des Raums in der Malerei, 1992. 〔改装版〕』(三元社、2008年) '10/09/11
佐藤康邦 『現代を生きる哲学 '07』(放送大学教材、共通科目・人文系、放送大学教育振興会、2007年) '10/11/28
佐藤康邦 『哲学への誘い '08』(放送大学教材、基礎科目、放送大学教育振興会、2008年) '10/08/01



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本「ナショナリズムの復権 (ちくま新書1017)」先崎彰容5

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ナショナリズムの復権 (ちくま新書)
○著者: 先崎彰容
○定価: 819円
○ISBN: 978-4480067227






現代人の精神構造は、ナショナリズムとは無縁たりえない。アーレント吉本隆明江藤淳丸山眞男らの名著から国家とは何かを考え、戦後日本の精神史を読み解く。

国家を考えることは、人間の根源的なあり方を考えることだ。第二次大戦後のリベラル・デモクラシー体制への違和を表明したアーレントや吉本隆明は「全体主義」の中に何を見て、いかなる国家を構想したのか。江藤淳や橋川文三、丸山眞男らは、ナショナリズムをめぐりいかなる思想的対決をくり広げたか。数々の名著から、ナショナリズムと無縁たりえぬ現代人の精神構造を明らかにし、国家の問題を自らの課題として引き受けることの重要性を提起する。注目の若手思想史家の論考。


≪目次: ≫
はじめに――ナショナリズムの論じ方

第一章 ナショナリズムへの誤解を解く
 1 ナショナリズムをめぐる三つの誤解
三つの誤解/ナショナリズムは「全体主義」か/ナショナリズムは「宗教」か/死から逃げるためのナショナリズム/ナショナリズムは「デモクラシー」か
 2 ナショナリズムは「危険」なのか
ナショナリズムと死/国家について考えることは、人間について考えること

第二章 私の存在は、「無」である――ハナ・アーレント全体主義の起原
 1 人々を全体主義がとらえ始めた
困難な定義/ポール・ヴァレリーの衝撃/テレビを見るような
 2 何が起きているのか、人間の心のなかに
拡散と膨張/異質なものとの出会い/存在が「無」になる
 3 「負い目」の意識は誰にでもある、そこに全体主義が宿る
国内のモッブたち/読解のキーワード 峭睚顕宗彿振竸佑箸蓮¬妓沈の人である/読解のキーワード◆嵌督觜饉腟繊廖拭峽譟廚箸いΤ鞠
 4 そして、全体主義に呑みこまれる……
モッブから大衆へ/大衆、そして全体主義へ/ナショナリズムは全体主義ではない

第三章 独裁者の登場――吉本隆明共同幻想論
 1 吉本隆明とは、何者か
全体主義の基本モデル/吉本隆明の登場/吉本思想の核心/『共同幻想論』
 2 個人幻想は人間を、自殺へ追いこむかもしれない
個人幻想と共同幻想/自殺の論理/宮本顕治とマルクス主義/ロマン主義とは、何か/個人幻想のゆくえ
 3 独裁者はどうやって登場してくるか
「空洞化」する個人/対幻想のゆくえ/独裁者の登場

第四章 「家」を見守るということ――柳田国男『先祖の話』
 1 ハイデガーの「死」に、吉本隆明は疑問をもった
震災と死/第二の誤解/ハイデガーと死/吉本隆明の反論/他界はどこにあるのか
 2 網野善彦と柳田国男は対立する
網野善彦とは、何者か/網野史観の特色/ポスト・モダンと狩猟民/『祖先の話』――家について/見守るナショナリズム

第五章 ナショナリズムは必要である――江藤淳『近代以前』
 1 戦後から江戸時代へ
八月一五日=三月一一日/三つの誤解/江戸時代へ
 2 江戸思想に入門してみる
二冊の書物/留学中の衝動/江藤淳はなぜ江戸儒学に注目したのか/藤原惺窩の危機/藤原惺窩の決意/一六〇〇年=一九四五年
 3 溶け出す社会
崩壊から秩序へ/林羅山の登場/秩序の必要性/時代診断の結論

第六章 戦後民主主義とは何か――丸山眞男『日本政治思想史研究』
 1 丸山眞男は朱子学に、まったく逆の評価を与えた
『日本政治思想史研究』の破壊力/丸山眞男にとっての朱子学/江藤淳 vs. 丸山眞男
 2 安保闘争を通じて、民主主義評価は二つに割れた
江藤・喪失・戦後/安保闘争/丸山眞男の論理/丸山眞男の帰結/政治的季節の中の個人/ナショナリズムは必要である

終章 戦後思想と死の不在――ナショナリズムの「復権」
ある右翼の証言/ナショナリズムの「復権」/戦後思想と死の不在

終わりに――再び、政治の季節を前に (二〇一三年五月 被災者借りあげ住宅を出てから9ヵ月目に  先崎彰容)

主要引用・参考文献一覧


≪著者: ≫ 先崎彰容 (せんざき・あきなか) 1975年生まれ。東京大学文学部倫理学科卒業。東北大学大学院文学研究科日本思想史専攻博士課程単位取得修了。文学博士。東日本国際大学准教授。専攻は近代日本思想史・日本倫理思想史。著書に『個人主義から〈自分らしさ〉へ――福沢諭吉・高山樗牛・和辻哲郎の「近代」体験』(東北大学出版会)、『高山樗牛――美とナショナリズム』(論創社)がある。




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本「おとなが育つ条件 発達心理学から考える (岩波新書1436)」柏木惠子5

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――日本のおとなは、なぜ成長できないのか――
激しい社会変動に対応できず、途方に暮れて立ち往生している――。そんな日本の「おとな」の特徴は、社会が急速に変化しているにもかかわらず旧態依然たる「あるべき」姿に縛られたところにある。いかにそこから脱するか。史上類をみない高齢化社会のなかで、自分らしく生き抜くためのヒントになる一冊。


≪目次: ≫
はじめに――発達するのは子どもだけではない
「発達心理学」は子どもの研究? / おとなも成長/発達する――発達には多様な変化がある / 生涯発達心理学は高齢化社会の産物――社会の中の学術研究

第1章 発達とは何か
発達という変化 / 発達曲線では捉えきれない発達――質的構造的転換 / 消失/衰退も発達――しなくなる/できなくなることも重要 / 「年齢」「時間」の意味――発達曲線の功罪 / 未熟で無能な赤ちゃんの有能さ――人間の発達の進化的基盤 / 発達になぜ環境が重要か?――生理学的早産の場合 / 人間の発達と環境――双生児法研究が明らかにしていること / 発達の方向と特徴を決めるもの――生育する環境/社会の役割 / 社会化という発達を方向づけるメカニズム――職業的社会化 / 人間はみな「時代の子」――いつ/どこで生を受け育ったか / 「初期経験が重要」は絶対か?――後々の教育の力と自ら育つ力 / 社会化を超える――社会化にあらがう / 将来展望する人間は社会化を超える――理想自己を目標とする自律的発達 / 「選択−最適化−補償(SOC)」とは

第2章 おとなの知力とは――子どもの「知能」とおとなの「賢さ」
知力はどのように発達するか――知能検査でわかること / 知力の個人差をどう捉えるか――一般的知能と実践的知能の関係 / 言語の発達とは――「考える葦」であるための言語 / 言語の発達と時代――コミュニケーション・ツールの発達の影響 / おとなの記憶の発達――「選択−焦点化−補償」のメカニズム / 「忘れる」のは意味ある発達――エネルギーの有効活用 / 知能を考え直す――「頭がいい」人とはどのような人か / 実践的(実用的)知能とは――従来の知能検査成績とは無関係 / 熟達化への道――「一芸に秀でる」ということ / 「頭がいい」「賢さ」は文化によって異なる――知情意が渾然としている日本 / 社会化としての知的発達――課題に取り組む姿勢も社会的文化的産物 / 抑制型/熟慮型思考の学校文化――“いい”学校とは? / 知能の働きの質――IQは同じでも知能の働き方に違いがある / 人の能力には可塑性がある――発達の最近接領域と「適性処遇交換作用」 / 違いを認める/個性を知る/個性を生かす意味――自尊を育む / 「個性とチャレンジを!」は可能か?――人との違いと失敗への許容性

第3章 感情と人間関係――おとなを支えるネットワークの発達
進化的基盤をもつ感情と対人関係 / 他者の心を知る/他者と感情を共有する心の発達――「心の理論」 / 感情表出の発達――社会化/文化化としての感情の発達 / 「空気を読む」文化の功罪――行動の自己抑制を阻む / 加齢にともなう感情の成熟――寛容性の獲得 / 子どももおとなも愛情ネットワーク――生存、自立、発達を支えるコンボイ / 配偶者はコンボイか――夫と妻では違う配偶者の位置 / 職業生活の中での発達――「人間的成長」 / 夫と妻のコミュニケーション・ギャップ / コミュニケーション・スタイルの発達は職業的社会化――その偏りを知る / 男性と女性にとってのアサーション・トレーニング / 超高齢化がもたらしたおとなの学習/発達課題 / 退職シニアのネットワーク――増える独居高齢者 / 与えられた関係から選ぶ関係「選択権」へ / 社会参加はおとなの発達の場 / 「絆」の重要性をめぐって / 絆の負の側面――「空気を読め」は絆をしがらみ化する

第4章 家族の中でのおとなの発達 1――結婚と夫婦関係
人類家族の起源と特徴――親密圏の追求 / 見合い結婚から恋愛結婚へ――重要になったコミュニケーション・スキルと男女の対等性 / 今、日本の夫婦は――「心理的安定」は得られているか / 夫婦の結婚満足ギャップの背景 1――夫と妻間のコミュニケーション / 誰に自己開示するか / 夫婦の結婚満足ギャップの背景 2――「家族内ケア」の授受は均衡か? / 互恵性の重要性――家族という親密圏にも / 強まる個人化志向――個人としての生と成長を求めて / しごとと家庭の両立――女性の課題か / ケアする体験が育むもの――養護性と配慮の道徳 / 新しい男性の出現――「男−稼ぎ手」ジェンダーからの離脱 / 稼ぎも家事育児も夫と妻の共同責任――ワークライフバランスはコインの両面 / 社会変動が提起した家族・夫婦の発達課題 / 長期賞味期限に耐える関係へ

第5章 家族の中でのおとなの発達 2――「親になる」こと/「親をする」こと
「子どもをもつと夫婦に何が起こるか」 / 無職母親に強い育児不安 / 少子長命化下のライフコースと労働力女性化のインパクト / 動機づけと達成感を変える――高学歴化・職業体験 / 親資源投資としての育児――資源配分キャリアプラン / 投資戦略の失敗のゆくえ――教育ママと育児放棄/虐待 / 父親の育児の意味――父親の育児不在は少子化の元凶 / 人類の父親は進化の産物――精子提供だけでは人間の父親ではない / 家族観、男女観の問い直し必須――小手先の対策では解決不可能 / 養護性――人間に備わっている子どもを育む力と心 / 子への愛情や世話/育児行動を司るホルモン――女性にも男性にも / 父親と母親は違うのか?――育児の責任と体験の違いが決め手 / 不在の父親は子どもに疎まれる / 「育児は育自」――広範囲にわたるおとなの発達の場 / なぜ育児は育自になるか――エリクソンの「世代性」に匹敵する力と心 / 父親の育児不在は父親の発達の偏りへ / 「諦め時」を逸した弊害――問い直される親子の関係 / 「親孝行」を揺るがす社会変動 / ケアの女性化の限界と男性による介護の問題 / 超高齢化は死の意味を変えた――嘆き惜しまれる死から待たれる死へ / 対立葛藤する母−娘関係――ケアラーとしての女児の価値 / 文化としての親子関係――循環型とリレー型 / 社会変動に最適な親子の関係の構築――日本の家族の発達課題

第6章 私はどう生きるのか――アイデンティティ、生き方、ジェンダー
アイデンティティの再構築――おとなに持ち越された最大の発達課題 / 超長命化とおとなのアイデンティティ / アイデンティティとジェンダー / 今、女性は――社会の変動が伝統的な「女性の幸福」を揺るがせた / 男性のアイデンティティの揺らぎ――「男はしごと」で幸せか / 職業への態度と心理的健康――ワーカホリック人間は危険 / なぜ男性は Karoshi するのか――「しごと一筋」の問題 / 退職という危機にどう対処するか――アイデンティティと生き方の再構築 / 発達とジェンダー――人間の発達環境の一大要素 / ジェンダー化された日本人の発達――社会化の成功? / 「新しい」男性の出現――ジェンダーから解放された生き方を実践する男性 / 何が男性の生き方を変えるか――「男はしごとも家庭も」への転換 / なぜ「女性は元気」なのか――性的社会科にあらがって / 遅きに過ぎた男性の変化――イクメン/カジメンの登場 / カジメン/イクメンは変人か?――ジェンダーの囚われから離脱した主体的な発達者 / 男性と女性のジェンダー・タイプ――アンドロジニーの増加 / 高齢期のジェンダー――強まる「女性性」と脱ジェンダー化 / 自尊感情が高いアンドロジニー――社会が求める脱ジェンダー化 / 「どう生きるか」かあ「どう死ぬか」へ / 社会変動と発達

第7章 幸福感――何がその源泉か
日本人は幸福か?――主観的幸福感の国際比較から / 何が人々を幸福にするか――幸福感の規定因 / 幸福感と文化――何が幸せかは文化によって違う / 文化差とはいうが――文化の変容と多様化 / 人それぞれが「個人文化」を紡ぎ出す / 中高年既婚者の幸福感――健康と収入 / 生き方によって違う妻の幸福感 / 多様な生き方/多様な役割と幸福感 / 個としての発達/かかわりの中での成熟――アイデンティティ確立の二つの相 / 加齢にともなう幸福感の変化――高齢期も低下しない幸福感 / サクセスフル・エイジング――「上手に年をとる」発達の自己制御

結びに代えて (二〇一三年六月 柏木惠子)
参考文献一覧


≪著者: ≫ 柏木惠子 (かしわぎ・けいこ) 1932年、千葉県生まれ。東京女子大学文学部卒業、東京大学大学院教育心理学専攻博士課程修了。教育学博士。東京女子大学名誉教授。専攻、発達心理学、家族心理学。著書、『子どもも育つおとなも育つ 発達の心理学』(萌文書林)、『家族の心はいま――研究と臨床の対話から』(共編著、東京大学出版会)、『子どもが育つ条件――家族心理学から考える』(岩波新書)、『父親になる、父親をする――家族心理学の視点から』(岩波ブックレット)、『親と子の愛情と戦略』(講談社現代新書)、『家族心理学への招待――今、日本の家族は? 家族の未来は?』(共編著、ミネルヴァ書房)。



表6-4 高齢期の男性と女性の「変わったこと」上位5項目(田矢・柏木、2006)
【男性】
 角がとれて丸くなった
 人の立場や気持ちがよくわかるようになった
 季節の移りかわりに敏感になった
 自然の草木、花などを愛するようになった
 人に素直に感謝できるようになった
【女性】
 人に素直に感謝できるようになった
 自然の草木、花などを愛するようになった
 季節の移りかわりに敏感になった
 人の立場や気持ちがよくわかるようになった
 今が一番幸せだと思えるようになった   (p179、「第6章 私はどう生きるのか」)



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本「法学入門 〔第6版〕 (有斐閣双書39)」末川博 編5

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法学入門 (有斐閣双書)
○著者: 末川博 編著、天野和夫井戸田侃乾昭三/窪田隼人/中井美雄/中川淳/松岡正美/山下健次/山手治之/市川正之/上田寛/佐藤敬二/吉田美喜夫/吉村良一 執筆
○定価: 1,575円
○ISBN: 978-4641112766






1967年3月30日 初版第1刷発行
1980年2月20日 新版第1刷発行
1990年2月20日 第3版第1刷発行
1995年2月20日 第4版第1刷発行
2000年4月10日 第5版第1刷発行
2001年2月10日 第5版補訂版第1刷発行
2005年2月20日 第5版補訂2版第1刷発行
2009年4月10日 第6版第1刷発行


2005年以降の法改正や社会の動向を盛り込んだ、法学入門の定番とも言える書の最新版。第6版から新たな世代の研究者5人を執筆陣に迎え、読みやすい筆致で法律学の基礎を解説する。法・政治・社会が抱える課題にも言及し、広がりのある法律学習を可能にする。

初めて法学を学ぶ人のために、各講のプロローグとして著名な文芸作品などを用いながら、法とは何かを平易に解説します。法学の奥深さを伝える一冊。


≪目次: ≫
序 (一九六七年三月  末川 博)
第6版にあたって (二〇〇九年二月 執筆者一同)

序講 法学を学ぶにあたって
社会と法と法学/学問に立ち向かう構え/法学の対象/法学の方法/法学の目的/日本の法における基本的な路線/これからの法学の在り方/結び
第1講 法とは何か
社会と規範/規範と法則/法と社会/法と国家/法と道徳との違い/国内法と国際法
第2講 法の発展
法の発展と社会の発展/社会科学としての法の研究/実定法と自然法/近代法の三原則/夜警国家・法治国家/法の体系
第3講 法と裁判
裁判制度/民事裁判/刑事裁判/裁判の関係者/司法権の独立など/裁判の今日的課題
第4講 裁判の基準
法源/制定法/慣習法/判例法/条理
第5講 法の解釈
法の適用/法の解釈の必要性/裁判と法の解釈/法の解釈と価値判断/法解釈の態度/法解釈学と法社会学
第6講 近代国家と憲法
近代国家の成立と憲法/近代憲法の原理/外見的立憲主義/明治憲法の特色/日本国憲法の成立と原則。現代憲法の特徴
第7講 権力分立
国民主権と選挙権/国会中心主義/両院制/議院内閣制/違憲立法審査権/地方自治の保障
第8講 基本的人権
基本的人権の発展/基本的人権と公共の福祉/法の下の平等/思想・良心・信仰の自由/表現の自由/知る権利/プライバシーの権利/学問の自由/教育を受ける権利/国民相互の間の基本的人権/外国人の基本的人権
第9講 犯罪と刑罰
刑事責任/犯罪/刑罰/犯罪と刑罰に関する考え方/罪刑法定主義/若干の問題
第10講 家族
家族法の近代化/夫婦/親子/扶養と相続
第11講 契約の自由
法律関係の主体/契約自由の原則/契約の履行/契約の成立と効力/契約内容の定型化/締約強制
第12講 財産
さまざまの財産/物権と債権/財産権の保障/財産権とその制約/財産権と公共の福祉
第13講 損害賠償
交通事故とその対策/民事責任と刑事責任/違法行為と過失責任/無過失責任/損害賠償と被害者救済制度
第14講 生存と環境保護
公害とは何か/環境をめぐる法規制/公害防止条例・環境保護条例/公害訴訟と不法行為理論/環境保護政策の展開/循環型社会の形成――循環資源の循環的利用/地球温暖化への対策
第15講 労働者の権利
労働法の出現/社会法の原理/労働法の内容/労働者の権利の発展
第16講 生活の保障
資本主義社会と私的生活維持の責任/わが国の社会保障の歩みと問題状況/社会保障の権利/社会保険法制と社会福祉法制/公的扶助法(生活保護法)/社会福祉サービス法・社会手当法/年金保険法/医療保険法/高齢者医療確保法・介護保険法
第17講 経済社会と国家
近代の自由主義における経済と国家/自由競争から独占へ――独占資本主義の形成/国家的介入の復活/反独占法=独占禁止法とその仕組み/反独占法の理念と現実/独占の民主的規制に向けて
第18講 国際社会と日本
激動する国際社会/憲法第九条と日本の再軍備/日米安全保障条約/九条をめぐる裁判/湾岸戦争と国際貢献論の浮上/周辺事態法およびテロ特措法/国際社会における日本のアイデンティティ/日本経済の国際的地位/ODAの現状と課題

附録: 日本国憲法


《執筆者紹介: 》
末川 博  (元立命館大学総長)
天野和夫  (元立命館大学総長)
井戸田 侃  (立命館大学名誉教授)
乾 昭三  (元立命館大学教授)
窪田隼人  (元立命館大学教授)
中井美雄  (立命館大学名誉教授)
中川 淳  (広島大学名誉教授)
松岡正美  (立命館大学名誉教授)
山下健次  (元立命館大学教授)
山手治之  (立命館大学名誉教授)
市川正之  (立命館大学教授)
上田 寛  (立命館大学教授)
佐藤敬二  (立命館大学教授)
吉田美喜夫  (立命館大学教授)
吉村良一  (立命館大学教授)





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本「法の哲学 自然法と国家学の要綱 上巻  Grundlinien der Philosophie des Rechts 〈ヘーゲル全集9a〉」ヘーゲル、上妻精/佐藤康邦/山田忠彰 訳5

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さて、2012年9月23日 以来の再読であります。
決めました
人倫です。家族、市民社会、国家、について、『法の哲学』であります。

迷い、というか、そもそも、これからおよそ一年先のこと、将来における未知のことがら、というような、意味でも、よく分からない。だから、アピール・トゥ・ヘヴン(テンノカミサマノイウトオリ、ワシャシランベ)
そうして、いったん決めてしまったら、あとはコツコツと努力を怠りなく、ただただ、みずからが決めた目標にむかって、ひたすらに、プラン、ドゥ、やるだけ



エンチクロペディーEnzyklopadie der philosophischen Wissenschaften, 1817)』において哲学体系を完成させたヘーゲルGeorg Wilhelm Friedrich Hegel, 1770-1831)は、本書(Grundlinien der Philosophie des Rechts, 1821)で「客観的精神」のよりいっそう精緻な展開を試みる。後のヘーゲル批判の多くが向けられ、その哲学の誤解という不幸も本書によるところ大であった論争の書を、ヘーゲル体系真の理解のために待望久しい新訳で送る。上巻には「第2部 道徳」までを収録。


≪目次: ≫
凡例

法の哲学 自然法と国家学の要綱』 上巻
Grundlinien der Philosophie des Rechts, 1821)

 序言 (ベルリンにて、一八二〇年六月二十五日)

 緒論(§1-§32)
  区分(§33)

第一部 抽象法(§34‐§104)
 第一章 所有(§41)
  A 占有取得(§54)
  B 物件の使用(§59)
  C 所有物の放棄(§65)
    所有から契約への移行(§71)
 第二章 契約(§72)
 第三章 不法(§82)

第二部 道徳(§105‐§141)
 第一章 故意と責任(§115)
 第二章 意図と利福(§119)
 第三章 善と良心(§129)
    道徳から人倫への移行(§141)


訳注



ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈下〉  Vorlesungen uber die Philosophie der Geschichte 』(長谷川宏 訳、岩波文庫、1994年) '12/11/09 , '08/12/20
ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈上〉』(長谷川宏 訳、岩波文庫、1994年) '12/10/29 , '08/12/12
ヘーゲル 『法の哲学 自然法と国家学の要綱 下巻  Grundlinien der Philosophie des Rechts, 1821 〈ヘーゲル全集9b〉』(上妻精/佐藤康邦/山田忠彰 訳、岩波書店、2001年) '12/09/26
ヘーゲル 『法の哲学 自然法と国家学の要綱 上巻 〈ヘーゲル全集9a〉』(上妻精/佐藤康邦/山田忠彰 訳、岩波書店、2000年) '12/09/23

久保陽一 『ドイツ観念論とは何か カント、フィヒテ、ヘルダーリンを中心として』(ちくま学芸文庫、2012年) '13/03/05
岩崎武雄 『カントからヘーゲルへ』(UP選書、東京大学出版会、1997年) '12/12/31
長谷川宏 『ヘーゲルの歴史意識』(講談社学術文庫、1998年) '12/11/06
村岡晋一 『ドイツ観念論 カント・フィヒテ・シェリング・ヘーゲル』(講談社選書メチエ、2012年) '12/09/06
加藤尚武 編著 『ヘーゲル 「精神現象学」入門』(原崎道彦/伊坂青司/栗原隆/松山壽一/座小田豊/滝口清栄/山純 著、講談社学術文庫、2012年) '12/06/11
熊野純彦 『ヘーゲル 〈他なるもの〉をめぐる思考』(筑摩書房、2002年) '09/12/30
長谷川宏 『新しいヘーゲル』(講談社現代新書、1997年) '09/02/02
長谷川宏 『ヘーゲル『精神現象学』入門』(講談社選書メチエ、1999年) '09/01/29
長谷川宏 『格闘する理性 ヘーゲル・ニーチェ・キルケゴール』(洋泉社MC新書、2008年) '09/01/27


佐藤康邦/清水正之/田中久文 編著 『甦る和辻哲郎 人文科学の再生に向けて』(片山洋之介/熊野純彦/高橋文博/窪田高明/李梨花/卞崇道/マーク・ラリモア/湯浅泰雄 執筆、叢書=倫理学のフロンティアV、ナカニシヤ出版、1999年) '13/07/27 , '12/11/16
坂部恵/佐藤康邦 編著 『カント哲学のアクチュアリティー 哲学の原点を求めて  Die Aktualitat der Kantischen Philosophie: Auf der Suche nach dem Anfangspunkt der Philosophie 』(黒崎政男/松山壽一/渋谷治美/小田部胤久/勢力尚雅/山根雄一郎/滝沢正之 著、ナカニシヤ出版、2008年) '12/09/21
佐藤康邦 『カント『判断力批判』と現代 目的論の新たな可能性を求めて』(岩波書店、2005年) '12/09/17
佐藤康邦 『絵画空間の哲学 思想史のなかの遠近法  Philosophie des Raums in der Malerei, 1992. 〔改装版〕』(三元社、2008年) '10/09/11
佐藤康邦 『現代を生きる哲学 '07』(放送大学教材、共通科目・人文系、放送大学教育振興会、2007年) '10/11/28
佐藤康邦 『哲学への誘い '08』(放送大学教材、基礎科目、放送大学教育振興会、2008年) '10/08/01



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本「日本建築史序説 〔増補第三版〕」太田博太郎5

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1947年9月1日 第1版発行
1969年3月10日 増補新版発行
1989年1月30日 増補第2版発行
2009年3月10日 増補第3版発行


日本建築史の概説書として60年以上親しまれている名著。「I 日本建築の特質」「II 日本建築史序説」、そして最後に資料編として「III 日本建築史の文献」と続く3章立て。平易な文章でつづられ、一般の人でも読みやすい。


≪目次: ≫
はしがき (昭和二十一年十月十七日 太田博太郎)
増補第二版の刊行にあたって (昭和六十三年十月十五日 著者)
増補第三版によせて (平成二十年九月四日 藤井恵介

I 日本建築の特質
  一 日本の自然と社会
  二 外来文化の受容と伝統の維持
  三 日本人の建築観
  四 日本建築の材料と構造
  五 日本建築の意匠

II 日本建築史序説
古代
  一 竪穴と高床
  二 神社建築の発生
  三 仏教建築の伝来
  四 仏教建築の発展
  五 密教建築の特徴
  六 神社建築の発達
  七 浄土教建築の流行
  八 建築様式の日本化
  九 造寺司と木工寮
  一〇 寝殿造の完成 
中世
  一一 大仏様と重源
  一二 禅宗様の伝来
  一三 禅宗建築の発展
  一四 和様の伝統
  一五 新様式と和様
  一六 建築業者の座
  一七 中世建築の構造と意匠
  一八 寝殿造から書院造へ
  一九 地方建築界の興隆
近世
  二〇 新しい建築、新しい生産様式
  二一 城郭建築の勃興
  二二 書院造の発達
  二三 茶室の発生
  二四 書院造の普及
  二五 近世の工匠
  二六 都市の発達
  二七 市民社会の建築
  二八 町家と農家
  二九 洋風建築の伝来

III 日本建築史の文献
  一 論著目録
  二 概説書
  三 シナ・朝鮮との関係
  四 術語解説
  五 建造物の目録と図録
  六 構造と意匠
  七 建築生産
  八 住宅建築(一) 概説、古代
  九 住宅建築(二) 中世および近世
  一〇 茶室と民家
  一一 神社建築
  一二 寺院建築(一) 総説および飛鳥奈良時代
  一三 寺院建築(二) 平安時代
  一四 寺院建築(三) 中世および近世(霊廟建築を含む)
  一五 城郭および都市
  一六 学校・劇場その他
  一七 明治建築
  一八 保存問題
  一九 史料の探し方

IV 続 日本建築史の文献
  一 論著目録
  二 概説書(二分野以上にわたる論文集を含む)
  三 シナ・朝鮮
  四 術語解説
  五 建築物の目録と図録
  六 構造と意匠(建築の部分、木割を含む)
  七 建築生産
  八 住宅建築(一) 概説、古代(宮殿・官衙を含む)
  九 住宅建築(二) 中世および近世
  一〇 茶室と民家
  一一 神社建築(近世社寺建築報告書は省略)
  一二 寺院建築(一) 総説および飛鳥奈良時代)
  一三 寺院建築(二) 平安時代
  一四 寺院建築(三) 中世および近世(霊廟建築を含む。近世社寺建築調査報告書は省略)
  一五 城郭および都市(農村集落も含む。ただし集落町並調査報告書は省略)
  一六 その他
  一七 明治建築
  一八 保存問題
  一九 辞典・年表
  二〇 建築史学史
  二一 国宝・重要文化財建造物修理工事報告書目録補遺(昭和四十四年以降、県別)

写真撮影・提供者


≪著者: ≫ 太田博太郎 (おおた ひろたろう) 1912年 東京に生まれる。1935年 東京大学工学部建築学科卒業。1943年 東京大学助教授。1957年 工学博士。1960年 東京大学教授。1973年 東京大学名誉教授、武蔵野美術大学教授。1974年 九州芸術工科大学長。1978年 武蔵学園長。1992年 (財)文化財建造物保存技術協会理事長。1999年 日本学士院会員。2007年 没。


井上章一 『伊勢神宮と日本美』(講談社学術文庫、2013年) '13/05/12
内藤昌 『江戸と江戸城』(講談社学術文庫、2013年) '13/04/02
内藤昌 『復元安土城』(講談社学術文庫、2006年) '11/10/20
内藤昌 編著 『城の日本史』(河田克博/麓和善/水野耕嗣/油浅耕三 著、講談社学術文庫、2011年) '11/09/10

田中英道 『日本美術全史 世界から見た名作の系譜』(講談社学術文庫、2012年) '12/05/10
辻惟雄 『日本美術の歴史  A History of Japanese Art 』(東京大学出版会 、2005年) '11/11/22
木下直之 編著 『講座日本美術史 第6巻 美術を支えるもの  Studies in the History of Japanese Art 6: What Makes Art Possible 』(五十殿利治/佐藤康宏/蔵屋美香/平瀬礼太/岩切信一郎/北澤憲昭/武笠朗/玉蟲敏子/三浦篤 著、東京大学出版会、2005年) '11/07/20
玉蟲敏子 編著 『講座日本美術史 第5巻 〈かざり〉と〈つくり〉の領分  Studies in the History of Japanese Art 5: The Domains of Decoration and Image-Making 』(藤井恵介/川本重雄/金行信輔/武笠朗/日高薫/荒川正明/泉万里/丸山伸彦/木下直之/山崎剛 著、東京大学出版会、2005年) '11/07/18
長岡龍作 編著 『講座日本美術史 第4巻 造形の場  Studies in the History of Japanese Art 4: Sites of Artistic Production and Reception 』(太田昌子/木下直之/海老根聰郎/高橋範子/榊原悟/根立研介/加須屋誠/奥健夫/大久保純一 著、東京大学出版会、2005年) '11/07/13
佐藤康宏 編著 『講座日本美術史 第3巻 図像の意味  Studies in the History of Japanese Art 3: Iconology 』(長岡龍作/泉武夫/相澤正彦/板倉聖哲/須藤弘敏/中島博/浅野秀剛/奥平俊六/成澤勝嗣 著、東京大学出版会、2005年) '11/06/29
板倉聖哲 編著 『講座日本美術史 第2巻 形態の伝承  Studies in the History of Japanese Art 2: Transmission and Transformation of Froms 』(井手誠之輔/根立研介/河野元昭/藤岡穣/相澤正彦/武田光一/佐藤康宏/島尾新/玉蟲敏子 著、東京大学出版会、2005年) '11/06/26
佐藤康宏 編著 『講座日本美術史 第1巻 物から言葉へ  Studies in the History of Japanese Art 1: From Objects to Words 』(有賀祥隆/田邉三郎助/島尾新/山本勉/林温/川本桂子/松原茂/黒田泰三/塚原晃 著、東京大学出版会、2005年) '11/06/07
橋本治 『ひらがな日本美術史』(全7巻、新潮社、1995〜2007年) '07/10/25〜'10/06/11


平井聖 監修 『図説 城下町 江戸』(浅野伸子/菅井靖雄 執筆、歴史群像シリーズ特別編集、学研マーケティング、2009年) '13/08/16
平井聖 監修 『【決定版】 図説 江戸城 その歴史としくみ』(平井聖/鈴木悦子/相原葉子/伊東龍一/松岡利郎/鈴木賢次/浅野伸子/中西立太 執筆、歴史群像シリーズ特別編集、学研マーケティング、2008年) '13/08/14
平井聖 『日本人の住まいと住まい方』(放送大学叢書、左右社、2013年) '13/08/10


さて、こんど、水曜日(8/21)が満月。このところ、夕立で天候が急変して荒れることもなく、そう考えるには安定している。夜の月が、まるく、あかるい。立秋を過ぎて、こころなしか、吹く風に秋を感じてみたりしないものでもないのだが、いやいやまだまだ暑い、日中にあっては熱風である。
そして、こんど、金曜日(8/23)が処暑



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本「道徳感情論  The Theory of Moral Sentiments (講談社学術文庫2176)」アダム・スミス、高哲男 訳5

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※翻訳の原典は第六版(1790年)である。第四部までが第一巻、それ以降が第二巻として印刷・発行された。(p9-11、「凡例」)
The Theory of Moral Sentiments; or, An Essay toward an Analysis of the Principles by which Men naturally judge concerning the Conduct and Character, first of their Neighbours, and afterwards of themselves. To which is added, A Dissertation on the Origin of Languages. By Adam Smith, LL.D. Fellow of the Royal Societies of London and Edinburgh; One of the Commissioners of his Majesty's Customs in Scotland; and formerly Professor of Moral Philosophy in the University of Glasgow. The sixth Edition, with considerable Additions and Corrections. In two Volumes. London: Printed for A. Strahan; and T. Cadell in the Strand; and W. Greech, and J. Bell & Co. at Edinburgh. MDCCXC [1790].

初版(1759年)] The Theory of Moral Sentiments. By Adam Smith, Professor of Moral Philosophy in the University of Glasgow. London: Printed for A. Millar, in the Strand; And A. Kincaid and J. Bell, in Edinburgh. 1759.
第二版(1761年)] The Theory of Moral Sentiments. By Adam Smith, Professor of Moral Philosophy in the University of Glasgow. The Second Edition. London: Printed for A. Millar, in the Strand; And A. Kincaid and J. Bell, in Edinburgh. 1761.
第三版(1767年)] The Theory of Moral Sentiments. To which is added A Dissertation on the Origin of Languages. By Adam Smith, L.L.D. The Third Edition. London: Printed for A. Millar, A. Kincaid and J. Bell, in Edinburgh; And sold by T. Cadell in the Strand. 1767.
第四版(1774年)] The Theory of Moral Sentiments; or, An Essay toward an Analysis of the Principles by which Men naturally judge concerning the Conduct and Character, first of their Neighbours, and afterwards of themselves. To which is added, A Dissertation on the Origin of Languages. By Adam Smith, LL.D. The Fourth Edition. London: Printed for W. Strahan, J. & F. Rivington, W. Johnston, T. Longman; and T. Cadell in the Strand; and W. Greech at Edinburgh. 1774.
第五版(1781年)] The Theory of Moral Sentiments; or, An Essay toward an Analysis of the Principles by which Men naturally judge concerning the Conduct and Character, first of their Neighbours, and afterwards of themselves. To which is added, A Dissertation on the Origin of Languages. By Adam Smith, LL.D. The Fifth Edition. London: Printed for W. Strahan, J. and F. Rivington, W. Johnston, T. Longman; and T. Cadell in the Strand; and W. Greech at Edinburgh. 1781.



『国富論』より重要なスミスの名著が、読みやすい訳文で登場!
――調和ある社会の原動力とは何か?――
鋭い観察眼・深い洞察力と圧倒的な例証により、個人の心理と社会の関係を解明した傑作!

調和ある社会構成の根幹に、個人の自己愛・自己利益の追求に加えて、「共感」を据えた。そして社会では、適合的な行為が是認され、非適合的な行為が否認されることにより、規則が誕生する。人間が社会的に是認された行為規範を遵守する努力によって、徳のある社会が実現するのだ。最高の啓蒙思想家が、生涯をかけて著した不朽の社会論は今なお光を放つ。


≪目次: ≫
訳者まえがき (二〇一三年四月  高 哲男)
お知らせ
凡例


第一部 行為の適合性(プロプライエティ)について 〔三篇構成〕
第一篇 適合性という感覚について
  第一章 共感(シンパシー)について
  第二章 相互の共感がもつ喜びについて
  第三章 他人の心的傾向(アフェクション)の適合性や不適合性を、我々のものと一致するかしないかによって判断する方法について
  第四章 同じ主題の続き
  第五章 友好的な美徳と尊敬すべき徳について
第二篇 適合性と両立するさまざまな激情(パッション)の程度について
  序論
  第一章 身体に起源をもつ激情について
  第二章 想像力の特別な傾向や習慣に由来する激情(パッション)について
  第三章 非社交的(アンソーシャル)な激情について
  第四章 社交的な激情について
  第五章 利己的な激情について
第三篇 行為の適合性をめぐる人間の判断に及ぼす幸運と不運の影響について――すなわち、後者よりも前者の状態にあるほうが、はるかに人間の是認を得やすくなる理由は何か
  第一章 悲哀に対する我々の共感は、一般に、喜びに対する共感に較べていちだんと鋭くはあるが、主要な当事者が自然に感じる激しさには、遠く及ばないのが普通だということ
  第二章 功名心の起源について、すなわち、身分の区分について
  第三章 富者と高い地位を賞賛する、すなわち、貧しくて卑しい身分の人物を軽蔑し、軽視する我々の習性(ディスポジション)によって引き起こされる道徳感情の腐敗について

第二部 功績(メリット)と欠陥(デメリット)について、すなわち、報奨と罰の対象について 〔三篇構成〕
第一篇 功績(メリット)と欠陥(デメリット)という感覚(センス)について
  序論
  第一章 感謝にふさわしい対象だと思われるものはすべて報奨に値するということ、したがって同様に、憤りにふさわしい対象だと思われるものはすべて罰に値するということ
  第二章 謝意と憤りの適切な対象について
  第三章 恩恵を施す人物の行為が是認されないところでは、それを受け取る人物の謝意に対する共感がほとんど存在しないということ、したがって逆に、災いのもとになる人物の動機が否認されないところでは、災いを被る人物の憤りに対するいかなる共感も存在しないということ
  第四章 前章までの要約
  第五章 功績と欠陥という感覚の分析
第二篇 正義と善行(ベネフィセンス)について
  第一章 このような二つの徳の比較
  第二章 正義という感覚、自責の念、および功績という意識について
  第三章 このような自然(ネイチャー)の成立ちの効用(ユーティリティ)について
第三篇 運(フォーチュン)が人間の感情に及ぼす影響について――行為の功績と欠陥を中心に
  序論
  第一章 運がもつこのような影響の原因について
  第二章 運がもつこのような影響の程度について
  第三章 感情のこのような不規則性の究極の原因について

第三部 我々自身の感情と行為に関する我々の判断の基礎、および義務感について
  第一章 自己是認と自己否定の原理について
  第二章 賞賛への愛について、および賞賛に値するものへの愛について、さらには、非難に対する不安について、および非難に値するものへの不安について
  第三章 良心の影響力(インフルエンス)と支配力(オーソリティー)について
  第四章 自己欺瞞(セルフ・ディシート)の性質、および一般規則の起源と用途について
  第五章 道徳性の一般規則がもつ影響と権威について、および、それが正しく絶対者(ディティ)の法と見なされるということ
  第六章 義務感が我々の行為の唯一の原動力であるのが当然であるのはどのような場合で、また、他の動機といっしょになるのが当然であるのはどのような場合か

第四部 是認という感情に対して効用がもつ効果について 〔一篇構成〕
  第一章 効用という心象(アピアランス)があらゆる技芸の生産物に与える美しさについて、および、この種の美がもつ広範な影響について
  第二章 効用という心象が人間の特徴や行為に付与する魅力について、つまり、この魅力を知覚することが、どの程度まで是認の本源的な原動力の一つと見なせるかについて

第五部 道徳的な是認や否認という感情に対する慣習や流行の影響について 〔一篇構成〕
  第一章 美醜をめぐる我々の観念に対する慣習や流行(ファッション)の影響について
  第二章 慣習と流行が道徳感情に及ぼす影響について

第六部 美徳(ヴァーチュー)の特徴について 〔三篇構成〕
序論
第一篇 本人自身の幸福に影響するかぎりでの個人の特徴について、すなわち賢明(プルーデンス)さについて
第二篇 他人の幸福に影響を及ぼしうるかぎりで見た個人の特徴について
  序論
  第一章 個々人(インディヴィデュアルズ)が自然の女神(ネイチャー)によって我々の配慮と思いやりに任せられる際の道理や理法について
  第二章 そもそも社会が我々の善行(ベネフィセンス)に委ねられる道理(オーダー)について
  第三章 万人に共通する思いやり(ビネヴォランス)について
第三篇 自制心について
  第六部の結論

第七部 道徳哲学の体系について 〔四篇構成〕
第一篇 道徳感情の理論において検討されるべき問題について
第二篇 徳(ヴァーチュー)の性質について与えられてきたさまざまな説明について
  序論
  第一章 徳が適合性にあるという体系について
  第二章 徳は賢明さにあるとする体系について
  第三章 徳は思いやり(ビネヴォランス)にあるとする体系について
  第四章 勝手気ままな体系について
第三篇 是認の原動力をめぐって形成されてきたさまざまな体系について
  序論
  第一章 是認の原動力を自己愛から導きだす体系について
  第二章 是認の原動力は理性にあるという体系について
  第三章 是認の原動力は感情であるとする体系について
第四篇 道徳性に関する実践的規則をさまざまな著者が取り扱った方法について

附論 言語の最初の形成、および本源的ならびに複合的な言語のさまざまな特質に関する考察
   言語の最初の形成に関する考察


訳者解説 (二〇一三年四月二二日  高 哲男)
索引


≪著者: ≫ アダム・スミス (Adam Smith) 1723‐1790。英国の経済学者・道徳哲学者。著書に『国富論』がある。

[訳者: ] 高 哲男 (たか てつお) 1947年生まれ。九州大学経済学部経済学科卒業。九州産業大学大学院教授、九州大学名誉教授。博士(経済学)。著書に『ヴェブレン研究』、『現代アメリカ経済思想の起源』、訳書に『有閑階級の理論』(ヴェブレン)、『競争の倫理』(F・ナイト)などがある。



ヤギ(山羊)さんに、たとえば、手紙を託した、としよう。ヤギさんが、もしもビックリしたような表情をするとしたら、それは、手紙を託されたことにたいしてではなく、人間が近づいてきたことに、であろう。それこそ、餌を、食料を与えられたとよろこびいさんで、なんの疑いもなくムシャムシャと紙の手紙を食べはじめるであろうことに疑いはない。
そう、目的の相手に届かない手紙。
手紙が、相手にむけて発せられるモノであって、だから、伝え届けたいおもいを書き綴る。あくまでもこちらの一方的な、おもいとして、、、

出されることのない手紙


to Y
タイセツなムスメを、厳しく、甘えさせることなくキチンと育ててくれないと、などと言いかけて、んじゃぁ、ぼくが(その傍らに置いて育てようか)、とか考えて、口をつぐむ。ぼくは、だれよりもムスメにたいして甘甘で、デレデレの骨抜き状態だ。
思えば、ぼくが子どものころ、父親は夏休みの課題をすべて仕上げてくれたし、母親は味噌汁が時間が経って汁に味噌が沈殿しているようなら掻き混ぜてくれた。そうしておおむね主体性に欠け、積極性に欠けた、ような部分を色濃くもつ。

ムスメの進路について、高校の担任の先生との三者面談が予定されていることを、ムスメからふとしたキッカケで聞くに及んで、さぁ、ここぞとばかりにしゃしゃり出て行こうと勢いこんだ。ぼくとしては、高校二年生の夏休みには進路、指定校推薦の対象(ターゲット)とする大学の学部を、おおまか決定して、次のステップに、先手必勝、乗り遅れるな、と考えるところがあって、だから、ぼくのなかではバッチリと照準が定まってイメージができあがっているのだが、しかし、肝心のムスメのほうはといえば、どうにもマッタク乗り気ではなく、まるで他人事のよう、時期尚早。
ということもあって、三者面談の、そこに至る経緯であり、状況を把握、確認したくって、、、ちょうどぼくのほうが固定電話を開設したこともあって、すっとぼけて自宅に電話をしてみて、そのことにつき、話をしたっけ。ずいぶん久しぶりのこと、かと
かわらない、のは、ある意味ではアタリマエで、生活を共にした年月を考えるには、同居を解消してからの年月と比較するには、あぁそれでも半分を超えるのかぁ、さらには、これまで生きてきた年月、年齢なんかを考えるには、変わりようなどあるものなのかどうなのか。ところでしかしいろいろいろいろあって、どうにもぼくとしては、同じではないような印象ばかりがつよいのだが、すっかり変わってしまったような感覚はあって、どうなんだろう、よく分からない。

たとえば、吹奏楽部の部活動に朝から夜まであまり休みもなくガンバっているらしいムスメは、その休みの日には、疲れ果ててしまうのであろうか、昼過ぎまで寝ているそうだが。それを咎めようと思って、さて、みずからを振り返るには、今でこそ朝起きをつねとしているぼくにあっても、ひるがえって、20代のころ、結婚したころ、そう、仕事が休みの日には、やっぱり昼過ぎまで起きることなく床についたまま、そうして午後遅くにのそのそと起きあがっては無為にすごしたもの、だったなぁ。いかんいかん

どうにも、いまでこそ、自律、みずからを律して、主体的に生きることを旨としているのだが、、、イッショウケンメイはカッコ悪い、などと思うようなところが、じっさいそう考えるところが、年若いころには、あったのだよなぁ。
ラクして、たのしく。
そうして、そうしたところで、ぼくは、人生をすこしまわりみちをした、ことになるのであろう。なにごとも経験、経験。経験してみなければ分からない。じっさいに経験してみて、そうして、ときにシッパイして痛い思いをして、分かるようなことも、ある。
とくに、後悔は、ない。いまのぼくがあるのは、そういった、よくもわるくも、過去のすべてをことごとく、経てきたからこそ、だから。過去のすべてを経ることがなければ、いまのぼくは、ない、だろう、とも
桃は流れていった。
覆水盆に返らず

ところで、三者面談は、どうだったのだろう。気にならないものでもないのだけれども、気にしてみたところで、どうにもなるものでもなく、ぼくなんかには、窺い知ることのできない次元のこと。訊ねることも、する考えはない。
そう、三者面談は、曰く「仕事とかの都合で、まだセンセイと会ってないから、顔を合わせていないから、だから」ということで、進路については「あなたが、ずいぶんイッショケンメイ提言しているみたいだから、わたしはとくになにも言ってない」とも。とくに具体的な考えは持ちあわせていないようす。
ぼくに、ある意味では危機感があって、それは、ムスメがどちらかといえばボンヤリしていて、それは、ぼくがそうであって、ぼくの父親もどうやらそうだったと聞いているし、進学や就職なんかは、歴然とした競争であって、ときに他人を蹴落としてでもして、イス取りゲーム宜しく、勝ち抜けていかなければならない。
じっさい、国立小学校と都立高等学校の入試にシッパイしている。都立高校の合格発表のあと、降り積もる雪道をトボトボと肩を落として歩きながら「ベンキョウに集中することが、イッショケンメになることできなかった」と。私立高校のテストの点数が良かったと聞くに及んで「試験勉強イッショケンメイ頑張ったのか?」とのぼくの問いには「授業中、先生の話をちゃんと聞いてるから」とは、レベルの高くない低次元の話であって、力なく「よかったね」と返すのが精一杯のところ、だった。
そう、必死になってガンバることもなく、ボンヤリなんかしていたら、あっという間にイスを取られてしまって、それでなくても就職難といわれて久しい世の中にあって、シートポジションを獲得することが叶うとは、ぼくにはとうてい思うことができない。だから、具体的で詳細な戦略を立てて、さらにプランA、プランB、プランC、、、プランn+1と、複数の場面を想定したプランをあれこれと考える。
それでも、プレイするアクターは、ぼくではない。ぼくにできることは、戦略を詳細に伝授することだけで、あくまでも、アクションを起こして、人生というゲームをプレイして、たたかい進むのは、ムスメ本人でしかない。
ところでしかし、不器用であると自覚するぼくは、夏休みの課題を手助けすることも、また、別居していることもあって、傍らに寄り添って味噌汁を掻き混ぜてあげることもできないのだが、だがしかし、もしかしたら、それ以上に、過干渉で過保護である可能性を、あぁ、否定できない



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本「行政法入門 〔第9版〕 (有斐閣双書7)」今村成和、畠山武道 補訂5

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1966年9月25日 初版第1刷発行
1975年2月10日 新版初版第1刷発行
1986年3月20日 第3版第1刷発行
1990年3月30日 第4版第1刷発行
1992年3月20日 第5版第1刷発行
1995年3月30日 第6版第1刷発行
2000年2月15日 第6版補訂版第1刷発行
2002年3月20日 第6版再補訂版第1刷発行
2004年4月5日 第7版第1刷発行
2005年3月30日 第8版第1刷発行
2007年1月20日 第8版補訂版第1刷発行
2012年4月15日 第9版第1刷発行


行政法の基本知識を身に付けるため、「行政法は何のためにあるのか」ということを、市民としての主体的立場から描き出した入門書。旧版刊行後に行われた法改正等に伴う修正を加え、新たに現れた判例の解説を織り込むとともに、記述の全体的な見直しを行った。

行政法の基本をやさしく解説し、制度の現実の機能を斬新な視角から描き出した入門書。旧版刊行後の行政法理論および判例の動向を織り込むとともに、記述の全体的な見直しを行った。


≪目次: ≫
第九版 はしがき (二〇一二年二月 畠山武道)
初版 はしがき (昭和四一年七月 肌寒い雨の夜、札幌にて 著者)

第1章 行政法とは何か
序説
 I 行政法の成立
権力分立/法の両面拘束性/行政法の成立/わが国における行政法の成立
 II 行政法の課題
三つの課題/法律による行政/基本権の保障と行政法規/行政における事前手続
 III 行政法の範囲
行政とは/公法と私法/行政法の範囲

第2章 行政は誰が行うか
序説
 I 行政主体
国/地方公共団体/その他の行政主体
 II 行政機関
行政組織/国の行政組織/行政委員会/地方公共団体の行政組織/二つの機関概念
 III 公務員
公務員制度/公務員関係の特色/人事行政の法的統制/公務員の権利と義務/公務員の責任

第3章 どんな行政が行われているか
序説/規制行政/給付行政/調達行政

第4章 行政はどのようにして行われるか (1)
序説
 I 行政立法
行政立法とは/命令の種類/法規命令の形式/法規命令の効力/行政規制
 II 行政行為 (1)
行政行為とは/行政行為の効力/行政行為の分類/命令的行為/形式的行為/手続的行為/覊束と裁量/行政行為の付款
 III 行政行為 (2)
行政行為の瑕疵/争訟による取消しと無効/職権による取消しと無効/行政行為の撤回
 IV 行政手続
行政手続とは/行政手続法と行政手続/処分行政手続/意見公募手続

第5章 行政はどのようにして行われるか (2)
序説
 I 行政契約
行政契約とは/行政契約の特色/行政契約の可能な範囲/公害防止協定
 II 行政指導
行政指導とは/どういう点が問題か
 III 行政計画
行政計画とは/行政計画と法/行政計画と司法統制
 IV 行政情報の収集と管理
行政情報の扱いとルールの必要性/行政調査/個人情報保護/自己の個人情報の公開

第6章 行政の実効性を確保するためにどのようなことが行われているか
序説
 I 行政上の強制執行
行政上の強制執行とは/代執行/行政上の強制徴収
 II 即時強制
即時強制とは/即時強制の根拠
 III 制裁
制裁とは/行政罰

第7章 行政過程と個人
序説
 I 行政過程における個人の法的位置
行政主体に対する個人の権利/行政過程における個人の行為
 II 行政決定に対する住民意見の反映・情報公開
基本的関係/意見表明の場/情報公開

第8章 行政活動によって受けた損失はどんな場合に償われるか
序説(考え方の基礎)
 I 損失補償
補償を受けうる場合/どういう補償が得られるか
 II 国家賠償
不法行為と国の責任/公権力の行使と国の責任/公の営造物と国の責任/民法の適用/特別法の定めのある場合
 III 結果責任
国家補償の谷間/若干の立法例について

第9章 違法または不当な行政を争う途 (1)
序説
 I 苦情処理
どんな制度があるか/苦情処理制度の機能
 II 不服申立て
不服申立制度/不服申立ての対象/不服申立てをなしうる者/不服申立ての種類/教示/不服申立ての手続と効果/審理手続/裁決

第10章 違法または不当な行政を争う途 (2) ―― 行政事件訴訟
序説
 I 行政事件訴訟の類型
行政事件訴訟の種類/抗告訴訟/当事者訴訟/民衆訴訟/機関訴訟
 II 取消訴訟
処分取消訴訟と裁決取消訴訟/取消訴訟の対象/審査請求と取消訴訟との関係/取消訴訟の提起/取消訴訟の審理/取消訴訟の判決
 III その他の抗告訴訟
無効等確認訴訟/不作為の違法確認訴訟/義務付け訴訟/差止訴訟
 IV 仮処分と執行停止、仮の義務付け・仮の差止め
仮処分の排除/執行停止/内閣総理大臣の異議/仮の義務付け・仮の差止め


憲法条文索引
判例索引
事項索引


≪著者: ≫ 今村成和 (いまむら しげかず) 1913年生。1937年東京大学法学部卒業。元日本学士院会員、北海道大学名誉教授、北海学園大学名誉教授、1996年逝去。

≪著者(補訂): ≫ 畠山武道 (はたけやま たけみち) 1944年生。1967年北海道大学法学部卒業。早稲田大学大学院法務研究科教授


石川敏行/藤原静雄/大貫裕之/大久保規子/下井康史 『はじめての行政法 〔第2版〕』(有斐閣アルマ、2010年) '13/08/12
伊藤塾 編 『うかる! 行政書士 入門ゼミ 2013年度版』(行政書士試験シリーズ、日本経済新聞出版社、2012年) '13/08/07
伊藤真 『伊藤真の行政法入門 講義再現版  The Guide to Administrative Law by Makoto Itoh 』(伊藤真の法律入門シリーズ、日本評論社、2011年) '13/06/21



シマウマのよう、、、
シマウマのイメージを、ステップ(草原)を軽快に疾駆するさま、として、はてしかし、その場面とは、肉食獣の捕食者に追われ、生きるか死ぬか、喰われてしまわないように逃げることに必死。シマウマに、表情というものが人間のようにあるものなのか、冷や汗みたいなものをかくのだろうか。
場面を切り替えて、シマウマが群れて草を食むさま。周囲をうかがいながら、黙々と喰らう。どうなんだろう、ず〜っとずっと食べてる。食べる草がなくなったら、草のあるところに移動する。草のエネルギーは大きくないから、肉食だったらガブッと一気にエネルギーを摂取できるところを、草食は多量を摂取しなければその生命を維持できない。もっとも、草は比較的どこにでもあるが、肉は狩りをしないと食べられない。生存戦略。
さて、食べられる草のほうも、じつは、いつもいつも食べられてばかりではたまらない、とばかりに、たとえば、消化を悪くするような成分をもつ。そのような草を食うシマウマのほうも、それならそうと、一気呵成に多量に摂取することなく、ゆっくり消化をさせるべく、ながい時間をかけて草を食べつづける。そうして、おおむね寝ているとき以外は延々と草を食べていることになる。生きるための活動は、おおむね食べること、食べつづけることが、生命維持活動の時間のほとんどを占める

ところで、ぼくの未解決のモンダイのひとつとして、とくに積極的にその解答を求めることをしていないだが、野良猫とか野鳥とかは、日中その姿を見かける度に思うのだが、夜、どこでどのように寝ているのだろう、というのがある。ぼくはおよそイメージが貧困だから、夜、寝るときは屋根があって壁に囲われた部屋のなかに布団で安眠したいなぁ、などとしか考えられないのだが、彼ら(彼女ら)にそのような家や部屋が、人間の世界のようなものがあるわけがないことは分かって、その先が分からない、どうにもイメージができない

すこしまえから、通勤をやめたぼくには、時間は比較的に余裕があって、お金の余裕は相対的に欠いている。そこで、生命維持活動としての食生活がモンダイとなる。食材を吟味して、朝の畑に出向いて、はたまたスーパーのチラシで特売品をチェックして、買ってきては、それを調理する。ひとりぶんの料理は、じつは、なにかと不経済である。何日分かの分量をまとめて、作り置きをこころがける。そうして、基本的に外食をしない。料理は、うまくいかないことがあって、とってもうまくいくことも、もちろんある。じっさい、料理は、どうなんだろう、およそむつかしいものではない。とくに、ぼくのばあいは、じぶんが食べるだけだから、うまくいかなくても、文句を言われることもなく、気が済むまで、気が済むように、どちらかといえば、たのしんでしまっている。それはそれでモンダイがないわけではない

夏野菜、近所の畑で、枝豆が、豆が枝についたまま束ねて売ってる、200円。豆の入ったサヤを枝からハサミで切り離して、こないだ、茹でる前にハカリで計ってみたら500gもあった。プチンプチンと切り離すのは、じつはメンドウで時間も手間もかかる。それも値段のうち、であろう。
さて、新鮮なうちに茹であげて、ホントは熱々をビールのつまみに、といきたいところだが、残念ながら、ぼくはいろいろ考えて酒を呑むことをやめてしまった。で、サヤから豆を取り出して、豆だけをタッパに入れて冷蔵庫に保存して、何日かにかけて食べる。白米を炊くときに混ぜ入れて、枝豆ご飯とか。
畑はたぶん、低農薬なのだろう、枝豆のなかに青虫がいる。青虫も、豆と一緒に、茹であがることになる。青虫は小さく、かじられた部分は少量だから、あまり見た目も気分もよろしくないのだが、まぁ、青虫も枝豆を食べたいのだろう、生きるのに必死であり、それはぼくもおなじであり、また、青虫も好んで食べたいような新鮮で美味で安全な植物なのであろう、その証しとも、そう考えることにして、茹であがった青虫を選り分ける



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本「近代中国史 (ちくま新書1019)」岡本隆史5

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近代中国史 (ちくま新書)
○著者: 岡本隆司
○定価: 924円
○ISBN: 978-4480067241




巨大な大陸国家、である、「中国」。
中国社会の歴史。とくに「近代」を、現在の状態に直接つながる過去の謂、だから、中国社会のしくみと中国経済の動きを、およそ六百年にわたる歴史のなかで、考える、試み


――矛盾に満ちた中国の原理と構造――
中国とは何か。その原理を理解するための鍵は、近代史に隠されている。この時代に、「幇」とよばれる中国団体をはじめ、貨弊システム・財政制度・市場秩序など、中国固有の構造がつくられたからだ。本書は経済史の視座から一六世紀以降の中国を俯瞰し、その見取り図を明快に描く。かつて世界に先んじた中華帝国は、なぜ近代化に遅れたのか。現代中国の矛盾はどこに由来するのか。グローバル経済の奔流が渦巻きはじめた時代から、激動の歴史を構造的にとらえなおす。


≪目次: ≫
プロローグ――中国経済と近代中国史
成長と謎の中国経済/異形の経済/中国を理解するために

I ステージ stage ――環境と経済
 1 自然環境と開発の歴史
中国という世界/黄河と黄土/黄河流域の灌漑/長江と江南世界/江南の開発/外界との関係/南北の対外関係
 2 人口動態と聚落形態
人口の中国史/人口変動と時期区分――一四世紀まで/人口変動と時期区分――一五世紀以降/「邑」と「村」/「市鎮」とその増加/聚落形態と時代区分/日中の対比

II アクター actor ――社会の編成
 1 政府権力
財政への着眼/財政支出/汚職の慣習/財政収入/清代の納税/権力の位置
 2 科挙と官僚制
「国」と「民」/二重構造/「士」「庶」の分岐/科挙の設立/特権階級の形成/科挙存続のメカニズム/官僚制のありかた/徴税と汚職
 3 民間社会
「官」と「士」/「士」の分化/郷紳の役割/中間団体とその機能/宗族と同郷同業団体/人口増加とその影響/移住民の動向/秘密結社の叢生/一九世紀の世相と社会構造

III パフォーマンス performance ――明清時代と伝統経済
 1 思想と行為
言行不一致の中国/中国の統計/「ものづくり」と中国史/「重農」の虚構/「地大物博」と貿易/商業の位置
 2 明朝の成立と中国経済
唐宋変革からモンゴル帝国へ/明朝のイデオロギーと現物主義/税制・徭役・貨幣/朝貢と海禁
 3 転換と形成
遷都と大運河/銀納化の進展/「湖広熟天下足」――地方間分業の形成/貨幣制度の破綻/通貨の生成
 4 伝統経済の確立
密貿易の盛行/「北虜南倭」/明清交代/明代の「商業革命」/「革命」と伝統経済
 5 伝統経済の特徴
現物主義の残存/中央と地方/原額主義と請負/通貨としての銀/通貨としての銭/内と外/徳川日本との対比/財産・契約の保護――権力の不干渉/中間団体の役割
 6 景気の変動
デフレの時代/「危機」の構造/回復の契機/貿易の発展と「盛世」
 7 経済体制と社会構成の定着
人口の増加と移民/中国のマルサス/零細な生業/貧民の生活/固定的で不安定な重層社会

IV モダニゼーション modernization ――国民経済へ向かって
 1 序曲――一八七〇年代まで
伝統と近代/貿易の旋回/密貿易の位置/買辦の起源/戦争・条約・開港の意味/伝統経済と綿布/貿易の増加と上海の勃興/外國と不平等条約/内乱と秩序の回復/釐金とは何か/督撫重権
 2 胎動――一八九〇年代まで
輸出貿易の変化/地方の分業から分立へ/インド綿糸の流入/変化の様相/保護関税の成否/工業化の動き/企業経営/会社と合股/産業化の挫折/貿易と財政/財政再編の胎動
 3 進展――日中戦争まで
観念の転換/借款・賠償金と中央財政/督撫重権から各省分立へ/「満洲国」の成立へ/軍閥の割拠/中央の挫折/袁世凱の遺産/第一次大戦と財政金融/「黄金時期」/対内凝集/国民政府の登場

エピローグ――中国革命とは何だったのか
限界/崩潰/共産党の登場/革命の展望――「改革開放」へ/現代中国と近代中国史


あとがき (二〇一三年四月 晴れわたった賀茂の畔にて 岡本隆司)
参考文献
索引
関連年表(BC221〜2008)


≪著者: ≫ 岡本隆司 (おかもと・たかし) 1965年生まれ。京都府立大学文学部准教授。著書に『近代中国と海関』『属国と自主のあいだ』(いずれも名古屋大学出版会、前者で大平正芳記念賞、後者でサントリー学芸賞を受賞)、『世界史のなかの日清韓関係史』『中国「反日」の源流』(いずれも講談社メチエ選書)、『李鴻章』(岩波新書)、『ラザフォード・オルコック』(ウェッジ選書)などがある。


岡本隆司 『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書、2011年) '11/12/16
岡本隆司 『中国「反日」の源流』(講談社選書メチエ、2011年) '11/02/10
岡本隆司 『世界のなかの日清韓関係史 交隣と属国、自主と独立』(講談社選書メチエ、2008年) '10/02/09
三谷博/並木頼寿/月脚達彦 編著 『大人のための近現代史 19世紀編』(月脚達彦/遠藤泰生/川島真/櫻井良樹/千葉功/デイヴィッド・ウルフ/松本武祝/茂木敏夫/飯島渉/生田美智子/大谷正/岡本隆司/岸本美緒/木畑洋一/栗原純/小島毅/斎藤修/塩出浩之/杉原薫/鈴木智夫/高橋均/豊見山和行/中見立夫/新村容子/朴薫/古田元夫/松方冬子/宮崎ふみ子/吉野誠 執筆、東京大学出版会、2009年) '09/12/02


天児慧 『日中対立 習近平の中国をよむ』(ちくま新書、2013年) '13/08/15
丸川知雄 『チャイニーズ・ドリーム 大衆資本主義が世界を変える』(ちくま新書、2013年) '13/08/09
進藤榮一 『アジア力の世紀 どう生き抜くのか』(岩波新書、2013年) '13/08/07
園田茂人 編 『はじめて出会う中国  Understanding China:Textbook for Beginners 』(小嶋華津子/平野聡/谷垣真理子/加茂具樹 執筆、有斐閣アルマ、2013年) '13/07/31
中條誠一 『人民元は覇権を握るか アジア共通通貨の現実性』(中公新書、2013年) '13/07/25
橋爪大三郎/大澤真幸/宮台真司 『おどろきの中国  Astonishiing Chaina 』(講談社現代新書、2013年) '13/07/11


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本「オペラ座の怪人  Le Fantome de L'Opera (光文社古典新訳文庫)」ガストン・ルルー、平岡敦 訳5

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Le Fantôme を、幽霊ではなく怪人とし
舞台、光のあたる、ハレの舞台、を支える、必要にして不可欠なる舞台裏、およそ光があてられることのない

L'Opèra オペラ座 Palais Garnier ガルニエ宮
舞台の下、奈落の下の地底湖


――醜いことは罪なのか? オペラ座は怪人の狂おしいほどの愛で「死の迷宮」と化す!――

ノンフィクション風の小説手法の中に、ミステリー、怪奇、ユーモア、ロマンスの要素を見事に織り込み、容貌も能力も人間離れして怪人の人間的な悲劇を描き上げた、20世紀フランス大衆小説の大傑作。

異形の怪人エリックは、愛する歌姫クリスティーヌに秘密の特訓を施して鮮烈なデビューをさせる一方、邪魔者には残忍な手を使うことも厭わない。とうとうクリスティーヌを誘拐し、追っ手を手玉にとったが……幾度も映像化・ミュージカル化されてきた傑作小説の真の「凄さ」を新訳で。


≪目次: ≫
 「オペラ座断面図」 Charles Garnier, "Coupe Longitudinale", Le Nouvel Opèra de Paris
 「オペラ座平面図」 Charles Garnier, "Plan du 1er Etage", Le Nouvel Opèra de Paris

序  いかにしてこの奇妙な物語の語り手は、オペラ座の怪人が実在すると確信するに至ったのか? まずはそれをここで、読者にお話することとしよう。
1  怪人、あらわる?
2  新たなマルガレーテ
3  ここでドゥビエンヌ、ポリーニ両支配人は、オペラ座の新たな支配人アルマン・モンシャルマン、フィルマン・リシャール両氏に、国立音楽アカデミーを去る不可思議な真の理由を初めて内密に打ち明ける。
4  五番ボックス席
5  五番ボックス席(承前)
6  魔法のバイオリン
7  五番ボックス席の点検
8  フィルマン・リシャール、アルマン・モンシャルマン両支配人が恐れ知らずにも呪われたホールで『ファウスト』の上演を決行し、それによって忌まわしい事件が起きたこと。
9  謎の二人乗り箱馬車
10  仮面舞踏会で
11  「男の声」の主の名は、忘れねばならない
12  切り穴の下で
13  アポロンの竪琴(たてごと)
14  切り穴好きの名人芸
15  安全ピンの奇妙な経緯(いきさつ)
16  「クリスティーヌ! クリスティーヌ!」
17  ジリーおばさんが明かした、オペラ座の怪人との驚くべき個人的関係
18  安全ピンの奇妙な経緯(いきさつ)の続き
19  警視と子爵とペルシャ人と
20  子爵とペルシャ人
21  オペラ座の奈落で
22  オペラ座の奈落でペルシャ人が味わった興味深く、示唆に富む苦難
23  責め苦の部屋のなかで
24  責め苦の始まり
25  「樽、樽! お売りになる樽はありませんか?」
26  サソリをまわすべきか、バッタをまわすべきか?
27  怪人の愛の終わり
エピローグ

解説/平岡 敦
ガストン・ルルー年譜
訳者あとがき (二〇一三年六月)


≪著者: ≫ ガストン・ルルー Gaston Leroux [1868-1927] フランスの小説家。パリに生まれ、大学では法学を専攻。弁護士試補としてキャリアを始め、1894年にジャーナリストに転向。新聞の司法記者として活躍する一方で、1897年に小説『夜の男』、1903年には『宝探しの男』をともに「マタン」紙に連載。1907年には『黄色い部屋の謎』の雑誌連載が始まり、新聞社の職を辞す。ニースに転居後、1910年に刊行された『オペラ座の怪人』が好評を博し、一躍人気作家となる。その後は短篇の戯曲化、映画の脚本なども手掛ける。1925年、本作がルパート・ジュリアン監督によって映画化され、翌年ニースでは2万人の観客を集めた。

[訳者: ] 平岡 敦 Hiraoka Atsushi 1955年生まれ。早稲田大学第一文学部卒、中央大学大学院修了。フランス語翻訳家。中央大学講師。主な訳書に『誰がドルンチナを連れ戻したか』(カダレ)、『カービン銃の妖精』(ぺナック)、『クリムゾン・リバー』(グランジェ)、『第四の扉』(アルテ)、『死者の部屋』(ティリエ)、『シンデレラの罠』(ジャプリゾ)、『ルパン、最後の恋』(ルブラン)などがある。




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本「図説 城下町 江戸 (歴史群像シリーズ特別編集)」平井聖 監修5

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図説城下町江戸―古地図と古写真でよみがえる (歴史群像シリーズ)
○著者: 平井聖 監修、浅野伸子/菅井靖雄 執筆
○定価: 1,470円(品切)
○ISBN: 978-4056053586






――古地図と古写真でよみがえる――

日本の首都・東京は城下町として生まれました。しかし、城下町「江戸」ほど大きく変貌した町はありません。この有為転変を遂げた城下町「江戸」を、本誌では古地図と現代地図や古写真と現状写真などを駆使して、その魅力のすべてを追いかけていきます。


≪目次: ≫
監修のことば (平井 聖)
本誌の凡例

日本橋・神田
江戸随一の商業地と職人地/商業地の近代化
 コラム「諸街道の起点、日本橋」
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
日本橋から小伝馬町へ/小伝馬町から秋葉原へ
 コラム「江戸から東京へ 【商家】――百貨店の先駆的経営を行った江戸の老舗」
商家の集中/三越/白木屋・大丸/銀座通り
 コラム「江戸から東京へ 【市場】――流通の中心、日本橋の魚市場と神田の青物市場」
魚市場/青果市場

深川
江戸の拡張/深川の工業地化
 コラム「江戸の火事と木場の変遷」
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
清澄白河から木場へ
 コラム「江戸から東京へ 【花街】――社会の変動により繰り返した繁栄と衰退」
江戸の花街/深川/花街いろいろ/その後の深川

亀戸
江戸近郊農村の亀戸/亀戸の工場化
 コラム「太宰府天満宮を模した亀戸天神」
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
亀戸から大島へ/大島周辺

両国・蔵前
本所の開発/隅田川両岸の変化
 コラム「浅草御蔵と札差」
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
蔵前から両国へ/両国から菊川へ
 コラム「江戸から東京へ 【相撲小屋】――悲願だった屋根をもつ国技館の建設」
江戸時代の相撲興行/明治・大正・昭和前期/昭和中・後期から平成へ

浅草・向島
江戸随一の繁華な遊興地/東京一の観光地となった浅草
 コラム「隅田川と橋」
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
浅草寺周辺/向島周辺
 コラム「江戸から東京へ 【芝居小屋】――江戸の文化を発信し続ける歌舞伎の劇場」
江戸での歌舞伎芝居/猿若町三座/芝居の自由化/歌舞伎座の開設

上野・谷中
将軍家の菩提所、寛永寺/大きく変化した寛永寺寺領
 コラム「琵琶湖を模した不忍池」
 「江戸の事件現場」
上野戦争
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
上野公園へ/上野から日暮里へ

本郷
江戸の北を守る外堀と武家屋敷/大名屋敷のその後
 コラム「神田川の開削」
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
本郷から春日へ/春日から小石川へ

王子
行楽の郷、王子と滝野川/明治の有力者と郊外地
 コラム「江戸の遊山」
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
駒込から巣鴨へ

小石川
小石川と関口の神田上水/大名屋敷跡地の別荘地化と学校化
 コラム「小石川の御薬園」
 「江戸の事件現場」
高田馬場の決闘
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
早稲田から神田川へ/神田川から雑司が谷へ

市谷・四谷
四つの尾張中納言の屋敷/江戸城の名残の住宅地
 コラム「現在の水道のもとである玉川上水」
 「江戸の事件現場」
浄瑠璃坂の仇討ち
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
新宿御苑から四谷三丁目へ/四谷三丁目から早稲田へ

九段
江戸城内郭の変化/旧江戸城とその北側の変化
 コラム「明暦の大火と江戸の都市計画」
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
半蔵門から市谷へ/市谷から飯田橋へ

丸の内・霞が関
江戸城郭内の構成/明治以降の江戸の中心部
 コラム「江戸城と城門」
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
桜田門から東京駅へ/東京駅から数寄屋橋へ
 「江戸の事件現場」
桜田門外の変
 「江戸の事件現場」
坂下門外の変
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
 コラム「江戸から東京へ 【江戸城】――日本政治の中心地として政権の所在を示す」
江戸時代まで/明治時代/昭和・平成時代
 コラム「江戸から東京へ 【武家屋敷】――幕府から与えられていた大名屋敷と侍屋敷」
武家地の割合/大名屋敷/旗本屋敷/明治期以降

築地
埋め立てて造られた武家地/築地の変化
 コラム「石川島と佃島」
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
勝どきから築地へ/佃島・石川島へ渡る


増上寺の繁栄/芝の近代化
 コラム「近代の交通」
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
東銀座から新橋へ/新橋から御成門へ

赤坂
赤坂の武家地/御所となった旧紀伊家本邸
 コラム「赤坂の溜池」
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
四谷から信濃町へ

麻布
麻布の市街化と幕末の善福寺/大使館の集中する地域
 コラム「女学校の開設」
 「江戸の事件現場」
ヒュースケン暗殺
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
広尾から一之橋へ

三田
三田の大名屋敷と寺町/旧大名屋敷のさまざまな用途
 コラム「幕末の黒船来航」
 「江戸の事件現場」
薩摩藩邸焼討事件
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
泉岳寺から三田へ/三田周辺

品川
御殿山と品川宿/宿場から工業の町へ
 コラム「街道と江戸四宿」
 「江戸を歩く〜史跡探訪〜」
高輪台から品川宿へ/品川宿から北品川へ

地図で見る江戸東京の四百年
江戸時代――文久2年(1862)の江戸/明治維新後――大正8年の東京/関東大震災後――昭和7年の東京/太平洋戦争後――平成15年の東京



≪監修: ≫ 平井 聖 (ひらい きよし) 昭和女子大特任教授・東京工業大学名誉教授。江戸時代の建築、とくに武家屋敷を専門とする。日本各地の城跡の整備・復元に関わるほか、NHK大河ドラマの建築考証も永年にわたり行っている。主な著書に『猫の家、その前と後――「吾輩は猫である」を住生活史からみると』(昭和女子大大学近代文化研究所)、『バイリンガル日本人のすまい』(市ヶ谷出版)、『図説 日本住宅の歴史』(学芸出版社)、『日本住宅の歴史』(日本放送出版協会)、『中井家文書の研究』(中央公論美術出版)などがある。

≪執筆者: ≫ 浅野伸子  放送大学非常勤講師、地図解説を担当
≪執筆者: ≫ 菅井靖雄  歴史作家、「江戸から東京へ」、「江戸の事件現場」を担当


平井聖 監修 『【決定版】 図説 江戸城 その歴史としくみ』(平井聖/鈴木悦子/相原葉子/伊東龍一/松岡利郎/鈴木賢次/浅野伸子/中西立太 執筆、歴史群像シリーズ特別編集、学研マーケティング、2008年) '13/08/14
平井聖 『日本人の住まいと住まい方』(放送大学叢書、左右社、2013年) '13/08/10

中沢新一 『アースダイバー  Earth Diver 』(講談社、2005年) '12/11/11
貝塚爽平 『東京の自然史』(講談社学術文庫、2011年) '11/12/09



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本「不動産登記法概論 登記先例のプロムナード」山野目章夫5

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――不動産登記法はおもしろい!――
不動産登記法の基礎知識がまとめられたテキスト。実際の運用をうかがうことのできる重要な先例(通達・回答)を豊富に引用し、さらに、私たちの暮らしとのつながりや民法との関連などにも触れながら、散歩するように(プロムナード)いきいきとした不動産登記法の世界を解説。


≪目次: ≫
はしがき (2013年3月 山野目章夫)
凡例

第1章 序/不動産登記の世界へ
1 ある併用建物で結ばれたカップルの話/2 市民にとっての不動産登記制度のイメージ/3 土地と建物は別の物/4 登記をするということの意味/5 不動産登記制度の発展/6 登記簿とはどのようなものか/7 登記記録の構成――表題部と権利部/8 親父が死んだが相続をしていない/9 意外に楽しい不動産登記

第2章 登記をするということの意味
10 民法と不動産登記法/11 二重譲渡と登記/12 売買を原因とする所有権の移転の登記/13 受付・受理・却下/14 不動産登記制度への民法の貢献/15 登記先例というもの

第3章 不動産登記制度の仕組み
第1節 いくつかの学んでおくことが望まれる概念
16 登記をするということの意味/17 申請人/18 登記申請の代理/19 資格者代理人/20 登記官の概念を知る/21 登記記録はバーチャルな存在/22 不動産登記制度上の不動産の概念/23 登記記録を設ける単位の大原則/24 一つの登記記録を開いて見ると/25 登記の種類/26 登記情報の提供
第2節 建物の表題登記
27 表題登記の意義/28 建物の概念/29 附属建物という附属の話/30 建物の概念の復習クイズ/31 表題登記の申請人/32 建物の表示に関する登記の登記事項/33 建物の表題登記の添付情報/34 表示に関する登記の職権主義/35 建物の滅失の登記
第3節 所有権の保存の登記
36 権利部の意義/37 所有権の保存の登記/38 登記手続の構造/39 登記申請の概念/40 申請情報/41 添付情報/42 登記申請の方法/43 受付と受理/44 登記申請の審査/45 登記の実行/46 登記申請の却下/47 審査請求
第4節 所有権の移転の登記
48 所有権の移転の登記がされる場合/49 申請情報/50 添付情報/51 登記原因証明情報/52 登記原因証明情報の誤った例/53 登記原因証明情報の望ましくない例/54 転々売買の場合の処理/55 登記識別情報――論点の見取図/56 登記識別情報の概念/57 登記識別情報の通知――通知の相手方と時期/58 登記識別情報の失効・不通知申出・有効証明/59 登記識別情報の提供/60 登記識別情報の不提供を許容する正当理由/61 登記識別情報を提供しないでする登記の申請/62 附説/登記官の本人確認
第5節 賃貸借の設定の登記
63 権利部乙区の特徴/64 前提の確認――賃借権の概念/65 賃借権の登記の登記事項/66 賃借権の登記の登記手続
第6節 賃貸借の移転の登記
67 権利部乙区のさらなる展開/68 抵当権と賃借権の優劣が問題となるストーリー/69 付記登記の概念/70 登記の順位/71 設例における抵当権と賃借権の優劣/72 賃借権の変更が問題となるストーリー/73 変更の登記と更生の登記/74 登記上利害の関係を有する第三者とは/75 ひとくちに第三者承諾証明情報というけれど

第4章 表示に関する登記の手続
第1節 分筆の登記
76 筆の概念/77 筆の要件/78 分筆の登記とは何か/79 分筆の登記に添付する地積測量図/80 分筆の登記の実行/81 分筆の登記の職権による実行/82 めがね地の問題
第2節 合筆の登記
83 合筆の意義/84 合筆の登記に対する制限/85 合筆の登記/86 合筆と登記識別情報
第3節 区分建物の登記の手続
87 マンションを考える/88 建物区分所有に関する言葉を知っておく/89 建物区分所有に関する登記の特徴/90 区分建物の表示に関する登記の登記事項/91 共有部分である旨の登記/92 敷地権である旨の登記/93 区分建物の表題登記の申請/94 区分建物の表題部の変更の登記

第5章 権利に関する登記の手続
第1節 地上権の登記
95 地上権の登記/序説/96 地上権の設定の登記
第2節 抵当権の設定の登記
97 抵当権――その権利部乙区の常連としてのシルエット/98 抵当権の登記の登記事項/99 附説/休眠抵当権という困った問題
第3節 根抵当権の設定の登記
100 根抵当権という担保権の特徴/101 根抵当権の設定の登記/102 根抵当権の元本の確定の登記/103 元本の確定を前提とする権利変動と登記
第4節 仮登記
104 代金を半額支払った人の期待と不安/105 仮登記の意義/106 仮登記はどのように役立つか/107 仮登記の手続/108 仮登記の実行/109 仮登記原因
第5節 差押えの登記
110 金銭債権の強制執行という主題/111 債権名義の概念/112 金銭執行の方法/113 差押えの登記/114 換価の具体的方法/115 買受人への所有権の移転/116 買受人への所有権の移転の登記/117 競売の際の買受人のための連件による処理

第6章 各種の権利変動と登記の手続 (1) ――暮らしや取引の諸事象に即して
第1節 財産を相続する
118 あの人にこれを継がせたい/119 遺志を実現するための登記手続/120 単独申請――いわゆる相続登記/121 共同申請――遺贈/122 単独申請――遺産分割方法の指定/123 遺言執行者との共同申請/124 遺留分減殺/125 単独申請――協議による遺産分割/126 遺産分割の内容に分け入って考えると
第2節 アパートで暮らす
127 アパートとは/128 区分所有建物とその登記の基本原則/129 区分建物の登記/130 区分建物の表題部の登記/131 区分建物の権利部の登記/132 アパートに暮らす
第3節 住みやすい街であるために
133 シャンゼリゼ通りのマクドナルド/134 地役権の登記/序説/135 地役権の設定の登記/136 「要役地地役権」の登記/137 地役権の登記のまとめ

第7章 各種の権利変動と登記の手続 (2) ――民法との関連を考える
第1節 自然人
138 不動産登記制度と人の概念/139 登記名義人となることができる自然人/140 胎児が登記名義人となる可能性――問題提起/141 胎児の権利能力の実体的理解/142 胎児を登記名義人とする可能性――登記先例/143 登記名義人である自然人の特定/144 同氏同名で同住所であったならば/145 自然人の権利能力の終期/146 死亡による相続の開始/147 相続人のBも死亡していたならば/148 災害の際の実際的な処理の難しさ/149 外国人であったならば
第2節 法人
150 登記名義人や表題部所有者としての法人/151 取扱店の添記が許容される場合/152 権利能力のない社団/153 外国法人
第3節 時効取得
154 時効取得とは/155 時効取得の典型的なストーリー/156 時効取得の実体的理解/157 民法の推定規定/158 時効の法的構成/159 時効の援用/160 時効取得による権利変動の時期/161 時効による権利取得の性質/162 時効取得の登記手続/163 時効取得の登記原因証明情報
第4節 借地権の対抗力
164 江戸無血開城/165 借地権という主題/166 借地権の対抗要件/167 建物登記による借地権の対抗ということの意味/168 表示に関する登記を軽くみてはならない/169 地番は大切という話/170 地番に拘りすぎることも宜しくないという話/171 地番について楽しい話
第5節 建物の合体
172 寝殿造の建物の悩ましさ/173 建物の合体とは/174 建物の合体の実体関係の理解の第一説――すべての建物が一旦は滅失/175 建物の合体の実体関係の理解の第二説――抵当権は新建物の全体に/176 建物の合体の実体関係の理解の第三説――抵当権は共有持分の上に/177 建物の合体に伴う登記の手続――単純な場面の考察/178 建物の合体に伴う登記の手続――所有権登記名義人が異なったらどうする?/179 存続登記って何?/180 擬制持分って何?/181 共通存続登記というニックネーム/182 合体に伴う権利の消滅の登記
第6節 共有物分割
183 共有物分割の意義/184 現物分割の場合の登記手続/185 換価による分割の場合の登記手続/186 代価支払による分割の場合の登記手続
第7節 債権質
187 債権質の何が公示されるか/188 担保権の随伴性と抵当権の登記/189 債権質権設定の担保権への実体的影響/190 被担保債権に質権が設定された場合の担保権の登記/191 根抵当権の担保する債権の質入れ
第8節 一部抵当
192 抵当権の被担保債権/193 登記事項としての被担保債権/194 外国通貨で債権額を指定する債権/195 利息に関する定めの登記/196 被担保債権の後発的変動と登記
第9節 内縁の解消と財産分与
197 婚姻の前に立ちはだかるもの/198 内縁とは/199 パートナーとのわかれ
第10節 特別縁故者への財産分与
200 第二の性/201 相続人不存在の法律関係処理の原則/202 問題とする二つの例外その1――他の共有者への帰属/203 問題とする二つの例外その2――特別縁故者への財産分与/204 二つの例外の関係/205 他の共有者への帰属が確定するプロセス

第8章 地籍と不動産登記制度
第1節 地籍という問題の意味
206 どうして地籍か
第2節 登記所備付の地図
207 地籍を論ずる際の問題状況の現状/208 成果としての地籍と営みとしての地籍/209 成果としての地籍に要請されるもの/210 営みとしての地籍に要請されるもの/211 地図を作る担い手という問題/212 都市部と山間部という視点/213 都市部を考える際のヒント――街区外周先行という考え方/214 ひとくちに山間部というけれど/215 復習のクイズ
第3節 筆界特定の制度
216 筆界特定――制度立案の経緯/217 筆界特定の制度の概要/218 筆界特定――制度の特徴/219 筆界特定――今後の課題

第9章 訴訟と不動産登記制度
第1節 判決による登記
220 共同申請主義と判決による登記との関係
第2節 債権的登記請求権と判決による登記
221 債権的登記請求権/222 登記手続を命ずる確定判決/223 登記の抹消を命ずる判決についての注意点
第3節 物権的登記請求権と判決による登記
224 物権的登記請求権

第10章 結/不動産登記の世界から
225 ある鉄道沿線の住宅地/226 想像可能である筆の組み合わせ/227 相隣関係上の権利と登記による公示――図2をめぐって/228 地目の考え方の復習――図3と図4を題材として/229 登記簿でわからないこと/230 不動産登記法を学んだ皆さんへ

事項索引
先例索引
判例索引

※ポーズカフェ
登記済証あれこれ/ことば辞典「法務局」「地方法務局」/ことば辞典「登記所」/電子申請の普及阻害要因/要件事実の考え方に習熟しよう/筆の読み方と呼び方/住居表示と地番/神戸の震災とマンション/一棟合一処理の現実の難しさ/遺言でする処分に制限はないか/農地の時効取得/建物の価格の割合に応じ、というけれど/持分券を買う人は誰?/眉山と医王寺/日本の原風景/司法書士の多様な業務とそれらにおける倫理/登記官の審査をめぐる俗説


≪著者: ≫ 山野目 章夫 (やまのめ あきお) 早稲田大学大学院法務研究科教授。1958年に福島市で生まれる。1981年に東北大学法学部を卒業し、同学部助手を経て、1988年に亜細亜大学法学部専任講師、1993年に中央大学法学部助教授、2000年に早稲田大学法学部教授。2004年4月より現職。主著に『初歩からはじめる物権法』(第5版、日本評論社、2007年)、『不動産登記法入門』(日経文庫、2008年)、『不動産登記法』(商事法務、2009年)、『民法 総則・物権』(第5版、有斐閣、2012年)、『物権法』(第5版、日本評論社、2012年)、『不動産登記重要先例集』(編、有斐閣、2013年)。


山野目章夫 『民法 総則・物権 〔第5版〕』(有斐閣アルマ、2012年) '13/04/22
山野目章夫/横山美夏/山下純司 『ひとりで学ぶ民法  Do iti Yourself! Exercise of Civil Law 』(有斐閣、2008年) '10/05/02




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本「日中対立 習近平の中国をよむ (ちくま新書1016)」天児慧5

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――中国とどうつき合うか? 有事のシナリオ分析を所収――

大国主義へと突き進む共産党指導部は何を考えるのか? 内部資料などをもとに、権力構造を細密に分析し、大きな変節点を迎える日中関係を大胆に読み解く。

転機は二〇一〇年だった。この年、中国は「東アジア共同体」構想を放棄し、「中華文明の復興」を掲げて大国主義へと突き進みはじめる。領土問題で周辺国との衝突をためらわず、とりわけ尖閣諸島をめぐって日本との対立が先鋭化した。変化の背景には、共産党内部での権力闘争があった。熾烈な競争を勝ち抜き、権力を掌握したのは習近平。G2時代が現実味を増すなかで、新体制の共産党指導部は何を考えるのか? 権力構造を細密に分析し、大きな変節点を迎える日中関係を大胆に読み解く。内部資料などをもとに、中国の動向を正確に見究める分析レポート。


≪目次: ≫
序章 日中関係の大転換
反日暴動に隠された本当のねらい/主導権を志向する中国――〈日本イニシアチブ〉から〈中国イニシアチブ〉へ/小平の外交指針を捨て、太平洋進出をめざす/制海権の「突破」をもくろむ/中国を動かす原理はどこにあるのか?

第一章 習近平の中国はどこへ向かうか
1 胡錦濤が残した課題とジレンマ
習近平が直面する四つのジレンマ/不平等社会のジレンマ/国際協調と大国主義化のジレンマ/特殊論と普遍主義とのジレンマ/一党体制のジレンマ
2 習近平の指導体制
何を目指すのか/問われるのは信念と行動力/大国主義に傾く外交姿勢/「中国モデル」の実態/シンガポールをモデル化する!?/国家資本主義の意義と限界

第二章 現代の日中関係
1 日中関係の四段階
規模が拡大し、多面的になった日中関係/四つの転換期を経てきた日中関係/第四段階にあたる現代の日中関係――「三つの増大」
2 経済関係の多面化と軍事力の増大――規模の増大
台頭する中国、動揺する日本/二〇二〇年には米国を抜く?/日中経済の拡大/急ピッチで進む軍事力の増強
3 中国と米国の微妙な関係
親密化する米中関係/対立する米中関係
4 「反日」の真実
多様性の増大――身近で巨大な隣人・中国/日中が対立すると論点が「歴史」に飛躍する/多様化する中国人の対日感情/悪化する対日感情/「反日」の心理構造/体制への不満が「反日暴動」としてあらわれる/戦略的反日論/戦略的互恵関係/求められる対中認識の転換

第三章 中国外交の大転換
1 尖閣問題の核心
ターニングポイントは二〇〇九〜一〇年/中国が重視する「核心的利益」/「韜光養晦」の転換/強硬派と柔軟派の確執
2 「反中」と「反日」――二〇一〇年「尖閣問題」の真実
事件の経緯/常識的には考えられない中国の強硬措置/尖閣衝突の真因は東シナ海資源の共同開発/尖閣騒動の背後に透けてみえる中国指導部の意思/反日デモの政治的な意味/燃えあがるナショナリズム
3 権力抗争の争点としての「尖閣」
水面下でのかけひき――日中共同開発に反対する中国勢力/海洋工作の拡大/窮地に立たされる国際協調派グループ

第四章 尖閣の争点
1 再燃した尖閣問題
二〇一二年「尖閣国有化」が引き起こした反日暴動/デモを背後で操った北京政府
2 尖閣の「歴史的事実」と問題化した経緯
一九七一年までは争点ではなかった/領有権をめぐる摩擦を避けていた日中両国/緊迫化する尖閣近海
3 尖閣領有権の論理
中国の論理 崟躋佞脇本帝国主義に奪われた」/中国の論理◆崟躋佞聾罵の領土」/中国側の主張の四つの弱点/なぜ領土紛争がいま燃えあがったのか/鍵を握るのは台湾/台湾という補助線/東アジアの安全保障を再構築せよ/大国ナショナリズムの台頭と「尖閣問題」の不安定化/不気味さを増す保釣運動
4 「海民」の視点から考える
「東シナ海の火薬庫」にしてはならない/「一つの島嶼、各自が表現」(一個島嶼、各自表述)/共生共栄の夢を忘れてはいけない
5 党内権力闘争と日中関係
新指導部と日中関係/共産党の権力分析/権力内部の対立/共青団グループは弱体化していない/内政への対応に追われる北京政府/習近平の政治遍歴/軍部との緊密な関係/王毅の抜擢に隠された政治的意思

第五章 「大国」の自画像
1 肥大化する「大国意識」
ビルドインされている「大国中国」の意識/民衆との温度差
2 中国の大国思想
近代日本の大国思想/中国の近代化思想/中華へのこだわりと西洋の受容/虚としての大国、実としての大国/ソ連をモデルとする社会主義建設/米ソに与しない第三の極――「中間地帯論」/毛沢東時代における「大国」論=「虚としての大国」/小平時代における「大国」論=「実としての大国」へ/よみがえるか、中華帝国の「王道外交」/「G2」として体現した大国中国/「大国中国」の自己認識
3 中国は「大国」たりえるか
伝統へのこだわり/中国モデルを国際社会はどう受けとめるか/「未来の超大国」に求められるもの

終章 歴史のなかの日中関係
「歴史を学ぶ、教訓とする」とはどういうことか/「悪玉論」では歴史を説明できない/日中共同歴史研究/孫文を支えた宮崎滔天と犬養毅/日中友好の懸け橋となった内山完造と岡崎嘉平太/内蒙古自治区の砂漠の緑化に取り組んだ遠山正瑛/不幸な時代に育まれた絆こそが歴史的財産/日中関係は新たな段階へ/日中友好を求める市民/新しい日中関係を築くために/相互不信を解消し、ポジティブな日中の未来を展望する/協調協力構造を再構築せよ

補論 シナリオ分析――20XX年、人民解放軍尖閣上陸
あり得る「問い」/フォークランド紛争という参照事例/西沙諸島をめぐる中越の対立
1 前提条件
「紛争」のトリガー
2 尖閣紛争に絡むアクター
(1) 中国側アクター/(2) 日本側アクター/(3) 米国側アクター/(4) 台湾アクター
3 尖閣上陸の予兆から実践へ
戦闘時のシミュレーション
4 予想される事態悪化のシナリオ
中国軍の尖閣上陸シミュレーション/考えられる日本の対応/紛争処理と今後の展望/現状維持が最善の策

あとがき (二〇一三年初夏  天児 慧)


≪著者: ≫ 天児 慧 (あまこ・さとし) 1947年生まれ。専攻は中国政治、アジア現代史。早稲田大学卒業、一橋大学大学院博士課程修了。社会学博士。外務省専門調査員としての在北京日本大使館勤務などを経て、早稲田大学アジア研究機構現代中国研究所所長。主な著書に『アジア連合への道』(筑摩書房)、『中華人民共和国史』(岩波新書)、『中国 溶変する社会主義大国』『現代中国』(いずれも東京大学出版会)がある。


丸川知雄 『チャイニーズ・ドリーム 大衆資本主義が世界を変える』(ちくま新書、2013年) '13/08/09
進藤榮一 『アジア力の世紀 どう生き抜くのか』(岩波新書、2013年) '13/08/07
園田茂人 編 『はじめて出会う中国  Understanding China:Textbook for Beginners 』(小嶋華津子/平野聡/谷垣真理子/加茂具樹 執筆、有斐閣アルマ、2013年) '13/07/31
中條誠一 『人民元は覇権を握るか アジア共通通貨の現実性』(中公新書、2013年) '13/07/25
橋爪大三郎/大澤真幸/宮台真司 『おどろきの中国  Astonishiing Chaina 』(講談社現代新書、2013年) '13/07/11
塩沢英一 『中国人民解放軍の実力』(ちくま新書、2012年) '13/01/21



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本「言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学 (中公新書2220)」西村義樹/野矢茂樹5

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「雨に降られた」はよくて「財布に落ちられた」がおかしいのは、なぜ? 「西村さんが公園の猫に話しかけてきた」の違和感の正体は? 認知言語学という新しい学問の、奥深い魅力に目覚めた哲学者が、専門家に難問奇問を突きつける。豊富な例文を用いた痛快な議論がくり返されるなかで、次第に明らかになる認知言語学の核心。本書は、日々慣れ親しんだ日本語が揺さぶられる、“知的探検”の生きた記録である。


≪目次: ≫
はじめに (二〇一三年春 野矢茂樹)

第1回 「彼女に泣かれた」――認知言語学の誕生
間接受身/言語学とはどういう学問か/チョムスキーの革命/生成意味論の失敗/言語知識と心の働き/認知言語学ならではの問題

第2回 「太郎が花子に話しかけてきた」――文法は意味と切り離せるか
広義の文法と狭義の文法/語彙項目/文法とは何か/文法は意味から自律しているか/客観主義の意味論/認知主義の意味論/「てくる」の意味/文法化/認知文法と生成文法は対立しているのか

第3回 典型的な鳥と変な鳥がいる――プロトタイプと百科事典的意味論
カテゴリー化/古典的カテゴリー観/新しいカテゴリー観/プロトタイプ意味論/言語習得における見本の重要性/関東と関西では「肉じゃが」の意味は異なる/プロトタイプとは何か/百科事典的意味論/「読む」といってもいろいろある/典型的な犬の走り方/文法項目のプロトタイプ

第4回 「死なれた」のか、「死なせた」のか――使役構文の家族的類似性
言語学で「使役」と呼ばれるもの/自他対応/「太郎が窓を開けた」では何が原因なのか/英語と日本語における自他対応/語彙的使役構文と迂言的使役構文/「死ぬ」・「殺す」・「死なせる」/「この薬があなたの気分をよりよくさせるだろう」/日本語では無生物主語の使役構文は言えないか/道具主語の使役構文/「花子は風で帽子を飛ばしてしまった」/受身と使役/日本人と使役構文/使役構文のプロトタイプ/無生物主語の使役構文とメタファー/道具が行為する/意図しない結果への派生/何もしないことも行為である

第5回 「村上春樹を読んでいる」――メトニミーをどう捉えるか
こんなのもメトニミーなの?/メトニミーと多義性/動詞のメトニミー/参照点理論/所有表現の分析/メトニミーの一方向性と参照点理論/フレームと焦点/パルメニデスなんて指示できません/タフ構文(This book is difficult to read.)/初期の分析/認知言語学からの代表/「パイプが詰まっている」/構文と意味とメトニミー的多義/迷惑受身

第6回 「夜の底が白くなった」――メタファー、そして新しい言語観へ
メタファーの事例/「私たちの生を支えるメタファー」/概念メタファー/言語学なのか哲学なのか/原理なき創造性/メタファーの誕生と死/メタファーとメトニミー/言語はつねに「揺らぎ」をもっている

おわりに (二〇一三年五月 西村義樹)

付録――対談のひとこま
さらに学びたい人のための文献案内(作成:長谷川明香)
索引


イラスト 野矢茂樹


≪著者: ≫ 西村義樹 (にしむら・よしき) 1960(昭和35)年、山口県に生まれる。87年東京大学大学院修士課程修了。同大学教養学部助教授を経て、2007年同大学人文社会系研究科准教授。同研究科教授。専攻は認知言語学。著書『構文と事象構造』(共著、研究社出版)、『認知言語学 I:事象構造』(編著、東京大学出版会)など。訳書、レイコフ『認知意味論』(共訳、紀伊國屋書店)、トマセロ『心とことばの起源を探る』(共訳、勁草書房)など。

≪著者: ≫ 野矢茂樹 (のや・しげき) 1954(昭和29)年、東京都に生まれる。85年東京大学大学院博士課程修了。同大学大学院総合文化研究科教授。専攻は哲学。書書『心と他者』(勁草書房/中公文庫)、『哲学の謎』(講談社現代新書)、『哲学・航海日誌』(春秋社/中公文庫)、『入門! 論理学』(中公新書)、『語りえぬものを語る』(講談社)など。訳書、ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』(岩波文庫)など。

野矢茂樹 『語りえぬものを語る』(講談社、2011年) '12/02/01
野矢茂樹 『大森荘蔵――哲学の見本』(再発見 日本の哲学、講談社、2007年) '11/05/19
野矢茂樹 『哲学・航海日誌 II』(中公文庫、2010年) '10/05/14
野矢茂樹 『哲学・航海日誌 I』(中公文庫、2010年) '10/05/12
野矢茂樹 『入門!論理学』(中公新書、2006年) '10/02/02
ウィトゲンシュタイン 『論理哲学論考  Tractatus Logico-Philosophicus, 1921 』(野矢茂樹訳、岩波文庫、2003年) '10/01/31
ロバート・フォグリン 『理性はどうしたって綱渡りです  Walking the Tightrope of Reason: The Precarious Life of a Rational Animal, 2003 』(野矢茂樹/村上祐子/塩谷賢 訳、春秋社、2005年) '10/01/30
野矢茂樹 『ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む』(ちくま学芸文庫、2006年) '10/01/22




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本「【決定版】 図説 江戸城 その歴史としくみ (歴史群像シリーズ特別編集)」平井聖 監修5

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図説江戸城―その歴史としくみ (歴史群像シリーズ)
○著者: 平井聖 監修、平井聖/鈴木悦子/相原葉子/伊東龍一/松岡利郎/鈴木賢次/浅野伸子/中西立太 執筆
○定価: 1,995円(品切)
○ISBN: 978-4056051308





――超巨大城郭の実像と知られざる内幕に迫る!――

世界最大級の城郭で近世城郭の集大成といえる江戸城。この最高傑作の城郭を失われたハード部分はCG再現を駆使し、実際、城の中ではどのようなしくみになっていたのかというソフト面はイラストなどで徹底図解し、江戸城の魅力に迫る。


≪目次: ≫
よみがえる江戸城本丸御殿
はじめに/平井聖(ひらい・きよし、昭和女子大学特任教授、東京工業大学名誉教授)

第一章 城のしくみ――縄張と建築
 内郭に入る
〜〜町と城が渾然一体となっている外郭に対し、内郭はまさに城そのものといってよい。そしてその中心には壮麗窮める御殿があった。〜〜
大名登城のルール/内郭に並び建つ御殿群
 古写真で見る内郭の門・櫓
〜〜江戸から明治にかわって間もない時に撮られた貴重な写真で内郭を巡る。「かつて」と「いまも」が共存する光景である。〜〜
 外郭を歩く
〜〜典型的な城下町である江戸はすべて城をベースに生まれ発展していった。街道を整備し、町をつくり、都となっていく。〜〜
街道を押さえ八百八町ににらみをきかす
 比較で見る超巨大縄張
〜〜将軍の居城・江戸城は、日本の城郭史上例のない巨大城郭であり、自然の河川と人工堀で巨大な「の」の字を形成していた。〜〜
 三度建てられた天守
〜〜現存しないためか江戸城に天守のイメージは少ない。しかしその天守は日本最大にして最高のもので、しかも三度建てられていた。〜〜
火事で消えた江戸城天守/天守の姿
 築かれなかった幻の天守
〜〜保科正之が取りやめた四度目の天守には大工や絵師が描いたとされる計画図が残る。〜〜
五十年余で消えた江戸城天守
 比較で見る超巨大天守 現存城郭との比較
〜〜江戸城の天守を他の城と比較してみる。将軍家が威信をかけた城ならではの巨大さである。〜〜
 将軍の城の櫓
〜〜巨大な城郭である江戸城では、配備された櫓もその巨大さが目立つ。他の城では天守に相当する櫓が立ち並んでいたのである。〜〜
江戸城の縄張と櫓の配備/江戸城の櫓の構成
 将軍の城の門
〜〜多くの城では大手門などに用いられる枡形門が、江戸城では主要な門すべてに備えられていた。それは高い格式と防御力を誇るものであった。〜〜
将軍家ならではの巨大な門群

第二章 城と城下の歴史
 江戸城の原風景
〜〜勇将太田道灌が再興した江戸城を中心に、家康入府以前の江戸と江戸城の姿を追う。〜〜
江戸氏の江戸城/太田道灌の江戸城
 家康・秀忠・家光 それぞれの江戸普請
〜〜地方の中世城郭から天下人の近世城郭へと大変貌を遂げる。〜〜
家康新天地へ/家康の造営/秀忠の造営/家光の造営
 明暦の大火と江戸城
〜〜火事と喧嘩は江戸の華といわれたように江戸では火事が頻発した。そしてそれは町の姿だけではなく、江戸城の姿も変えていった。〜〜
華の城下町を襲った大火
 惣構を超える城下
〜〜家康が築いた江戸の町もいったん生まれてしまうと為政者の意図とは別に増殖していく。江戸は発展と拡張をつづけていき、ついには世界一の都となった。〜〜
大火後、広がる江戸城下/江戸惣構と武家屋敷/大名屋敷の分布

第三章 御殿のしくみ――表
 本丸御殿に入る
〜〜将軍の家にして幕府の中心でもあった江戸城本丸御殿は表・中奥・大奥からなる広大なものであった。〜〜
表・中奥・大奥で構成された本丸御殿
 大広間に入る
〜〜幕府の公式行事の中心となる空間であり、将軍の威厳と権威を高め、天下に号令するための舞台装置。〜〜
大広間の部屋構成/大広間の外観/大広間の機能/本丸御殿・大広間に入る
 江戸城の乗り物 1
〜〜将軍家や諸大名が使用した絢爛豪華な乗り物にも、厳しい格式による決まりがあった。〜〜
乗り物と駕籠
 能舞台を見る
〜〜武家の祝儀には欠かせない式楽である“能”は江戸城内でもひんぱんに催されていた。〜〜
江戸城の能舞台/町入能
 大名と旗本の装束
〜〜江戸城は巨大な官僚社会でもあった。行事ごとに定められた装束を着ることが格式の第一歩となる。〜〜
殿中における大名の制服
 松の廊下を歩く
〜〜『忠臣蔵』で有名な松の廊下は大広間から白書院へと続く長大な廊下のことであった。〜〜
殿中でござるッ
 白書院に入る
〜〜大広間に次いで格式が高い白書院は、大広間と一体化して使われることもある絢爛豪華な部屋であった。〜〜
大広間と一体化して使用
 黒書院に入る
〜〜表と中奥の機能をあわせもった将軍が表の中で日常を味わう場所。〜〜
落ちついた雰囲気でくつろいだ将軍
 表で執り行われた年中行事
〜〜江戸城内で行われた幕府の公式行事の代表的なものを記した。正月祝から七夕、歳暮まで現代にも共通する行事や武家独特のものが混在する。〜〜
御嘉祥祝い/御具足祝
 幕府の職制
〜〜江戸城内では大名や旗本は格式によってこと細かに定められた規制の中で行動していた。〜〜
大名の種類/江戸城での格/通用門の格と御門警備

第四章 御殿のしくみ――中奥
 中奥に入る
〜〜表とは区別された将軍のプライベート空間で、親族と高位の者しか入ることを許されなかった。〜〜
区切られていた将軍のプライベート
 御座の間に入る
〜〜老中と膝づめ談義で政務を決裁し、専用の庭で花を愛でた、将軍がふだん暮らした御殿。〜〜
中奥・御座の間
 将軍の一日
〜〜徳川家は生活のすべてを決められたスケジュールで過ごした。〜〜
武芸上覧/中奥台所/中奥御湯殿
 江戸城の能
〜〜娯楽の少ない時代、さらに格式が重んじられた江戸城内において、能は武家のたしなみ以上に大きな愉しみであった。〜〜
能好き将軍家宣/町入能

第五章 御殿のしくみ――大奥
 大奥対面所に入る
〜〜将軍夫人である御台所が暮らす大奥で、最高の格式をもち、さまざまな儀式に使われた御殿。〜〜
大奥について/大奥御鈴廊下/大奥対面所
 大奥御座所に入る
〜〜深窓の御殿で暮らす御台所は食事からトイレまで、すべてお供に任せる優雅な生活を送っていた。〜〜
御台所の生活空間
 大奥長局を歩く
〜〜大奥で暮らす女中たちの部屋・長局には、御台所に仕える女中たちに。さらに仕える部屋方女中までが混住していた。〜〜
奥女中たちの生活空間/奥女中たちの贅沢、呉服の間
 歴代の御台所
〜〜大奥の主人・歴代御台所と、その夫である徳川将軍、そしてその将軍に仕えた側室をまとめた江戸城大奥系図である。〜〜
 御台所の一日
〜〜特別な儀式のない日の御台所の一日をクローズアップすると、優雅で退屈な日常が浮かぶ。〜〜
 大奥の服装
〜〜身分によって季節によって大奥の衣装はさまざまに咲き誇った。〜〜
 江戸城の乗り物 2
〜〜格式が物を言う江戸城大奥。最上位の車は、二代将軍秀忠の娘が後水尾天皇に嫁入りしたとき以外に記録がなく、輿と駕籠が一般的であった。〜〜
女性の乗り物
 御殿女中の仕事の給与
〜〜巨大な大奥御殿は、まるでひとつの街のように、多種多様な人々の仕事によって運営されていた。〜〜
厳しい大奥奉公/御殿女中の給与/奥女中の仕事いろいろ/さまざまな給与があった大奥/一生奉公だった奥女中
 大奥を彩った年中行事
〜〜緊張するものから、楽しいものまで、大奥で繰り広げられた儀式や祭などの行事を紹介。〜〜
さまざまな行事を楽しんだ奥女中たち/大奥を彩った年中行事

第六章 御殿のしくみ――西の丸/二の丸/吹上
 西の丸に入る
〜〜本丸御殿の南西部に位置した西の丸御殿は世継や大御所が暮らした格式ある御殿であった。〜〜
本丸に準じた御殿の構成
 二の丸に入る
〜〜将軍の別邸として造られ、茶屋、釣殿、能舞台など遊興を主とした二の丸御殿が設けられた。〜〜
将軍がくつろぐ別邸
 紅葉山に入る
〜〜秋は紅葉が燃える、将軍家代々の霊廟を祀った江戸城内の聖域。〜〜
木々の中に霊廟と蔵が建ち並ぶ
 吹上に入る
〜〜江戸城内にあった広大な庭園には、池と芝と花が配され、自由に城を出られない人々の娯楽の場となった。〜〜
各所にあった茶屋や上覧所

第七章 江戸城を歩く
 皇居東御苑を歩く
〜〜本丸・二の丸・三の丸……威厳を誇った将軍の居城 その中核部を周遊する。〜〜
江戸城の香を強く漂わせる本丸跡
 北の丸を歩く
〜〜巨大な門を、上から下から眺められる北の丸公園はまた都民のやすらぎと娯楽の場所となっている。〜〜
市民公園となった北の丸
 江戸城内堀を巡る
〜〜外郭を巡っているかのような錯覚を引き起こす巨大な内郭部を一周する。〜〜
水の情景が心地いい堀めぐり


参考資料
写真・図版協力
イラスト
執筆者一覧


≪監修・執筆: ≫ 平井 聖 (昭和女子大特任教授)

≪執筆者: ≫ 鈴木悦子 (歴史作家)/相原葉子 (歴史作家)/伊東龍一熊本大学工学部准教授を経て、同教授)/松岡利郎 (大阪府立だいせん高等養護学校教諭)/鈴木賢次日本女子大学教授)/浅野伸子 (昭和女子大学国際文化研究所客員研究員)/中西立太 (歴史考証画家)

≪執筆協力: ≫ 藤田英昭/菅井靖雄/小粥祐子


内藤昌 『江戸と江戸城』(講談社学術文庫、2013年) '13/04/02
内藤昌 編著 『城の日本史』(河田克博/麓和善/水野耕嗣/油浅耕三 著、講談社学術文庫、2011年) '11/09/10

山本博文 『図説 大奥の世界』(ふくろうの本・日本の歴史、河出書房新社、2012年) '13/03/07

平井聖 『日本人の住まいと住まい方』(放送大学叢書、左右社、2013年) '13/08/10



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本「明治国家をつくった人びと (講談社現代新書2212)」瀧井一博5

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当時の指導者は西洋文明をどのように咀嚼し、どのように日本に活かしたか。明治期、国家が制作されるまでのドラマを描き出す群像劇。福沢諭吉宛の世界的大学者からの手紙、幕末の使節団がみたアメリカのデモクラシー、初代帝大総長がヨーロッパで接した知の精神――。伊藤博文、山県有朋、井上毅から旧幕臣知識人まで、この国のかたちを築いた骨太な指導者たちの幕末明治の文明受容の旅を辿りながら、彼らの思想と行動を読む。『本』好評連載、待望の新書化!


≪目次: ≫
はじめに 明治国家の西洋体験
凡例

第一章 ある書物の運命――『時事小言』の媒介する世界
 1 福沢諭吉とシュタイン――東西文明論の出会い
欧州からの手紙/須多因と国体/国家学とは何か――シュタインと国制
 2 国家をつくる――constitution の思想
「国のかたち」としての国制

第二章 幕末の国制見聞
 1 文久使節団が見た英国国制
議会制度と自由/民衆による統治――文久使節団と議会/「生たる器械」と文明のエートス
 2 二人の和製トクヴィル――万延元年遣米使節団の見たアメリカ国制
玉虫左太夫――幕末の異文化探訪者/親密なる権力――幕末日本人の見た「アメリカのデモクラシー」/村垣範正の「遣米使日記」――もうひとりの和製トクヴィル
 3 徳川昭武使節団と一八六七年パリ万博
ヒト、モノ、そして情報/栗本鋤雲の見た西洋の裁判
 4 幕臣知識人の面目――箕作麟祥と加藤弘之
箕作麟祥――翻訳者の維新/加藤弘之――幕末立憲思想の伝承
 5 ジョセフ・ヒコ(アメリカ彦蔵)――はじめてアメリカ大統領と会った日本人
漂流民がみたホワイトハウス/模範国としてのアメリカ――ジョセフ・ヒコの蒔いた種/立憲君主国としてのハワイ――もうひとつの模範国
 6 高杉晋作の上海体験
反面教師としての中国/千歳丸という“Natio”

第三章 明治国制の周辺
 1 伊藤「博文」の誕生
幕臣大鳥圭介の再生――伊藤博文との出会い/伊藤博文とイタリア美術
 2 知の政治家としての山県有朋
文明への冷めた眼差し――山県有朋の見た西洋/小田原市立図書館の『山県公文庫』――知の政治家としての山県有朋
 3 初代帝国大学総長・渡辺洪基
逆賊から「東大」総長へ/萬年会・帝国大学・国家学会
 4 歴史法学と明治日本
民法典論争と歴史法学――バルタザール・ボギシッチの日本民法論/井上毅と日本の歴史法学/法典から忠孝へ――穂積八束の目的法学

第四章 明治国制への道
 1 明治立憲制の隠れた二人のアドバイザー――クルメツキとグナイスト
『クルメツキ文書』との出会い/チェコに残る伊藤博文の手紙/『グナイスト文書』再訪
 2 明治憲法の成立
明治憲法発布式と文明のまなざし/金子堅太郎の議事堂建築意見
 3 陸奥宗光――エートスとしての知
陸奥宗光の女性観/エートスとしての知――陸奥宗光の遍歴
 4 明治大帝――日本型立憲君主の造形
明治憲法の光と影/明治天皇という身体/日清戦争と明治天皇
 5 伊藤博文と井上毅
井上毅――天皇親政と立憲制のあいだ/責任内閣を求めて――伊藤博文と井上毅の岐路

おわりに 伊藤博文の最後の旅

あとがき (二〇一三年五月 瀧井一博)


※本書は、小社PR誌『本』に連載された「明治国家をつくった人びと」(二〇〇八年八月号〜二〇一一年六月号、全三五回)をもとに再編成、加筆したものです。それ以外の初出は次の通りです。
「明治立憲制の隠れた二人のアドバイザー――クルメツキとグナイスト」(第四章第1節)――「チェコに残る伊藤博文の手紙」(1)(2)(有斐閣『書斎の窓』一九九八年六月号、七・八月号)、「『グナイスト文書』再訪」(同『書斎の窓』一九九八年十二月号)
「日清戦争と明治天皇」(第四章第4節三〇七〜三一五ページ)――「大元帥・明治天皇の誕生」(中経出版『歴史読本』二〇一二年十二月号)


≪著者: ≫ 瀧井一博 (たきい ひろかず) 1967年福岡県生まれ。京都大学法学部卒業。同大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。神戸商科大学助教授などを経て、国際日本文化研究センター准教授(総合研究大学院大学准教授を兼任)(を経て、国際日本文化研究センター教授)。専門は国制史、比較法史。著書に『伊藤博文――知の政治家』(中公新書、サントリー学芸賞受賞)、『文明史のなかの明治憲法』(講談社選書メチエ、角川財団学芸賞受賞、大佛次郎論壇賞受賞)、『伊藤博文演説集』(編著、講談社学術文庫)、『ドイツ国家学と明治国制』(ミネルヴァ書房)などがある。

瀧井一博 『文明史のなかの明治憲法 この国のかたちと西洋体験』(講談社選書メチエ、2003年) '11/12/24
瀧井一博 『伊藤博文 知の政治家』(中公新書、2010年) '11/11/30
瀧井一博 編 『伊藤博文演説集』(講談社学術文庫、2011年) '11/10/31


 明治国家とは、明治の立憲君主国家とは、まさに伊藤博文の「芸術作品(Kunstwerk)」だったといえよう。伊藤は国民統合の表象(レプレゼンテーション)たる主権者天皇と制度化された立憲君主としての天皇という「二つの身体」を見事にデザインし、構築した。
 ・・・・・・   (p333、「おわりに 伊藤博文の最後の旅」)



畳を、かたくしぼった雑巾で拭きあげた。
ファックス複合機は既に届いていて、固定電話の開通工事も前日におえて、そうして、ようやく固定留守番電話機が届いた。設置場所を確保するために、機能的な空間とするために、快適な事務環境を整えるべく、大掃除。
新しいモノを手にすることは、といっても中古品ばかりなのだが、たとえば、子どものころなら、新しいオモチャは嬉しかったし、大人になって、車を買ったり、家を買ったり、物欲がモチベーションを上げたようなときも、そういえば、確かにあったっけなぁ、、、などと思いながら、じっさい、煩わしさばかり、だ、どうにも、、、
あぁ残暑見舞いを出した、ようやっと出せた、ホッ♨
そう、畳を雑巾で拭きあげたのは、じつは、足の裏が黒く汚れることが気になっていた、から。考えてみたら、おおむね窓は開けっ放しで、掃除といってもホウキでザッと掃くだけだから。そう考えて、台所のクッションフロアの雑巾がけの前に。畳の目に沿って、腰を屈めて、両膝ついて、小さくなって、ゴシゴシキュッキュ♪


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本「はじめての行政法 〔第2版〕 (有斐閣アルマ)」石川敏行/藤原静雄/大貫裕之/大久保規子/下井康史5

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はじめての行政法 第2版 (有斐閣アルマ)
○著者: 石川敏行/藤原静雄/大貫裕之/大久保規子/下井康史
○定価: 1,890円
○ISBN: 978-4641124134





2007年4月10日 初版第1刷発行
2010年4月30日 第2版第1刷発行


行政法の全体像を示した「見取り図」を片手に「わかりやすさにこだわった解説」を読み進めることができるので、あらゆる疑問が益々楽しく、より深く知りたくなります。第2版では最新の重要判例もきちんとおさえて、内容面は益々充実。基礎固めに最適の1冊。

「行政法という法律はあるのか?」という疑問からスタートし、「行政は誰が行うか」「行政はどのように行われるか」「行政の活動によって権利が侵害された場合どうするか」という順に解説していきます。

 有斐閣アルマ > Basic


≪目次: ≫
第2版はしがき (2010年3月 春まだき東京にて 共著者を代表して 石川敏行)
初版 はしがき (2006年師走の東京にて 共著者を代表して 石川敏行)

著者紹介
本書を読むにあたって

序章 はじめに
1 「試写会」
2 「行政法」とは?
3 形式的意味の行政法がない理由
4 行政法いろはカルタ
5 行政法の「三本柱」
6 「あらまし」のあらまし

第1章 行政は誰が行うか――行政主体・行政機関
1 行政主体とは?
2 行政機関とは?
(1) 「行政機関」は「行政主体」の構成要素/(2) 機関についている「人」はいろいろな顔を持つ(「公務員」そして「私人」)/(3) 行政機関の分類/(4) 裁判と行政機関

第2章 行政法の基本的な考え方――行政作用の一般理論
1 法治主義
2 さまざまなコントロールの方法――透明・公正な行政過程
(1) 法律による行政のコントロール/(2) 手続による行政のコントロール/(3) 情報公開制度/(4) 個人情報保護制度/(5) 救済制度――情報公開・個人情報保護まとめて

第3章 行政はどのように行われるか――行政の行為形式
1 行政処分
(1) 行政処分とは?/(2) 行政処分とはどのように分類されるか/(3) 行政処分にはどのような効力があるか/(4) どのような手続を経て行政処分が下されるか
2 行政指導
(1) 行政指導とは?/(2) 行政指導の長所と短所、そして限界/(3) 行政指導を裁判で争う手段は?/(4) 行政手続法の定め
3 その他の行為形式
(1) 行政立法(行政基準)/(2) 行政計画/(3) 行政契約

第4章 行政活動を実現する手段――行政の実効性確保
(1) 行政活動をどのように実現するか/(2) 義務にもいろいろ/(3) 間接的強制制度/(4) 直接的強制制度/(5) 義務を課している暇のない場合――即時強制

第5章 国民の権利利益の救済方法(1)――行政作用を是正する行政争訟制度
1 行政不服申立て――行政に救済を求める方法
(1) 行政不服申立てとはどのような制度か――意義と種類/(2) 不服申立てはどのように提起すればよいか/(3) 不服申立ての審査はどのように行われるか/(4) 不服申立てに対する判断――裁決・決定
2 行政事件訴訟――裁判所に救済を求める方法
(1) 行政事件訴訟とはどのような制度か――意義と沿革/(2) 行政事件訴訟の守備範囲はどこまでか/(3) 行政事件訴訟にはどのような類型があるか/(4) 抗告訴訟にはどのような類型があるか/(5) 処分取消訴訟はどのように提起されるか/(6) 仮の救済とは何か――訴訟提起と執行停止/(7) 処分取消訴訟の審理はどのように進められるか/(8) 取消訴訟の結論はどのように出されるか――判決

第6章 国民の権利利益の救済方法(2)――金銭によって償う国家補償制度
1 国家賠償――違法な行政活動に対する損害賠償
(1) 国家賠償法1条――公権力責任/(2) 国家賠償法2条――営造物責任
2 損失補償――適法な行政活動に対する損失の補填
3 国家補償の谷間――賠償か補償か

終章 おわりに
1 「行政」とは何か?
2 行政法学における「行政」の把握方法の特徴
3 実質的意味の行政に関する諸説
4 なぜ消極説が多数説なのか――行政の定義の難しさ
5 公法と私法

あとがきに代えて――読者に期待すること
(1) 「大変革」の時代とその要因/(2) 行政法分野への変革の影響/(3) 「古典理論」とその変容――主体の成熟/(4) 「主体の成熟」を前提とする新しい法制度/(5) 中間まとめ――「協動・連携」型社会の出現と完成/(6) 法科大学院の開校と「六法」時代の終わり/(7) 「六法」を越えて――「タテ割り」思考から「ヨコ割り」思考へ

事項索引
判例索引

『はじめての行政法』 全体の見取り図 巻末


Column
1 私人・人民・国民・住民・市民/2 国の行政組織の再編/3 パブリック・コメント/4 公共事業と法/5 行政による情報の収集・管理/6 「処分」の意味/7 行政の透明性と透明人間/8 処分の分類について/9 現代的サンクション/10 行政調査/11 住民訴訟/12 団体訴訟/13 薬害と不作為/14 不許可補償


≪著者: ≫ 石川敏行 (いしかわ としゆき) 東京都生まれ。 運輸安全委員会委員(常勤)、前中央大学法科大学院教授。
主著・主論文: 『はじめて学ぶプロゼミ行政法〔改訂版〕』(実務教育出版・2000)。『基本論点行政法』(法学書院・1997)。「法科大学院と『公法系』教育――創立期2年の体験を踏まえて法学新報112巻11・12号(外間寛古稀記念号)(2006)。Werden Japans Juristen “amerikanisiert”?, in: Grossfeld u, a. (ed.), Probleme d. europ., dt. und jap. Rechts (Festschrift Münster/Chuo), Berlin 2006。「フランス・ドイツの法曹養成における臨床系教育」(法科大学院協会シンポジウム「法科大学院における臨床教育系」報告〔2005年12月3日〕。
 ※執筆分担: 序章、終章、あとがきに代えて、Column 執筆。

≪著者: ≫ 藤原静雄 (ふじわら しずお) 三重県生まれ。筑波大学法科大学院教授(を経て、中央大学大学院法務研究科教授)。
主著・主論文: 『情報公開法制』(弘文堂・1998)、『逐条個人情報保護法』(弘文堂・2003)。「個人情報保護に関する制度の整備――その成果と課題」ジュリスト1287号(2005)。「ドイツ連邦情報自由法の成立」ジュリスト1301号(2005)。「ドイツにおける個人情報保護の実際――わが国の過剰反応問題を考える一視座」筑波大学法科大学院創設記念『融合する法律学(上)』(信山社・2006)。
 ※執筆分担: 第6章 執筆。

≪著者: ≫ 大貫裕之 (おおぬき ひろゆき) 宮城県生まれ。中央大学法科大学院教授
主著・主論文: 「行政訴訟の審判の対象と判決の効力」磯部力ほか編『行政法の新構想 III』(有斐閣・2008)。「取消訴訟の原告適格についての防備録」藤田宙靖先生東北大学退職記念論文集『行政法学の思考形式』(青林書院・2008)。「行政訴訟類型の多様化と今後の課題」ジュリスト1310号(2006)。「原告適格論――はたして原告適格は拡大されるか」法律時報77巻3号(2005)。「土地利用規制立法における『必要最小限規制原則』の克服・再論」法学67巻5号(2004)。
 ※執筆分担: 第1章、第2章、第4章 執筆。

≪著者: ≫ 大久保規子 (おおくぼ のりこ) 北海道生まれ。大阪大学大学院法学研究科教授
主著・主論文: 南博方=大久保規子『要説環境法〔第4版〕』 (有斐閣・2009)。「行政訴訟の原告適格の範囲」ジュリスト1263号(2004)。「処分性をめぐる最高裁判例の展開」ジュリスト1310号(2006)。「環境公益訴訟と行政訴訟の原告適格――EU各国における展開」阪大法学58巻3=4号(2008)。「処分性の拡大論と計画争訟の行方」ジュリスト1373号(2009)。
 ※執筆分担: 第5章 執筆。

≪著者: ≫ 下井康史 (しもい やすし) 熊本県生まれ。新潟大学大学院実務法学研究科教授(を経て、筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授)。
主著・主論文: 『はじめての行政法』(共著、三省堂・2009)。「仮の義務付けおよび仮の差止め」小早川光郎=盒脅∧圈愧隹魏正行政事件訴訟法』(第一法規・2004)。「フランスにおける公務員の不利益処分手続(1・2)――人事記録閲覧手続から防御権の法理へ」北大法学論集54巻1号、4号(2003)。「期限付任用公務員の更新拒否をめぐる行政法上の理論的問題点――『公法』関係論と任用『処分』論の検討」日本労働法学会誌110号(2007)。「公務員の団体交渉権・協約締結権――制度設計における視点の模索」季刊労働法221号(2008)。
 ※執筆分担: 第3章 執筆。索引、全体の見取り図 監修。


伊藤塾 編 『うかる! 行政書士 入門ゼミ 2013年度版』(行政書士試験シリーズ、日本経済新聞出版社、2012年) '13/08/07
伊藤真 『伊藤真の行政法入門 講義再現版  The Guide to Administrative Law by Makoto Itoh 』(伊藤真の法律入門シリーズ、日本評論社、2011年) '13/06/21




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本「さまよえる狂気 精神学からの提言」秋田巌5

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さまよえる狂気: 精神学からの提言
○著者: 秋田 巌
○定価: 2,940円
○ISBN: 978-4422115221





心理学は内面と外とのズレから、精神医学は脳と行動の異常から「狂い」を探るが、本書では「狂うこと」の本質を、人が人たる所以に見て、迷路から逃れ出ることのできぬ様を真正面からとらえようと試みる。《精神学 psychiology 》と銘打った全く新しいアプローチは、人間の物語性を、おとぎ話やマンガ、TVドラマや映画から取材して、正気と狂気の境を縦横にさまよい巡る。なかでも《異形の英雄 Disfigured Hero 》論はユング派の著者「構想十年」の深奥の力作!


≪目次: ≫
まえがき

序章 抱きかかえられた狂気
 その一 神社の狂女をめぐって――「精神医学以前」の田舎町において
 その二 狂女の舞
 その三 原体験、そして自分という存在
 その四 影と舞う精神学

第一章 「なぜ」への問い
 その一 コンステレーション(星座・布置)
 その二 存在因
 その三 星の王子さま
 その四 アルコール依存症「星座」

第二章 「狂気」への問い
 その一 精神障害と狂気
 その二 精神病質
 その三 白雪姫とお后の美
 その四 踊りつづけるお后
 その五 踏みとどまるために
狂気の真逆/「狂気の真逆」の真逆/「毒念」/怨みの門の門番――踏みとどまるために/踏みとどまる者――喜助とラスコリニコフ/Disfigured Therapist

第三章 「客観」の存在不可能性
 その一 観客の三段階
 その二 さまざまな主観
 その三 心、小さき者の絶望

第四章 神格からの脱却――人間はすべて「ボーダー」であり「ボーダー」にある
さまざま、でよい/「状態」として/人間を極める/オーダーが乱された状態/大悪人の自覚/同病相憐れむ/見下さない心
 その一 人格障害の歴史
妄想なき狂気/モノマニー/背徳性/変質論/優秀変質者/精神病質/DSMの多軸診断
 その二 パーソナリティ障害
A群――奇妙で風変わりのクラスター/〔兪枩パーソナリティ障害/統合失調質パーソナリティ障害・シゾイドパーソナリティ障害/E合失調型パーソナリティ障害/B群――演技的・感情的で移り気なクラスター/ゞ界性パーソナリティ障害/⊆己愛性パーソナリティ障害/H深匆饑パーソナリティ障害/け薺酸パーソナリティ障害/C群――不安定で内向的なクラスター/^預言パーソナリティ障害/強迫性パーソナリティ障害/2麋鮴パーソナリティ障害
 その三 境界性人格障害
境界例(ボーダーライン)の歴史/行動化
 その四 堤防・城壁づくり
街並(まちなみ)/行動化と混沌/限界設定ではない/解難の問題/何度でもやりなおす
 その五 ふたたび街並について
希死念慮
 その六 境界例の周辺
精神症と境界例/「うつ」と境界例/統合失調症と境界例/薬物・アルコール依存症と境界例
 その七 境界例の治療をめぐって
人格特性機能不全状態/感謝されることについて/「魔」親和的状態/行為
 その八 ふたたび精神病質性について

第五章 迷路をさまよう者たちへ――ハエとり器からの脱出のために
 その一 象徴化ということ
 その二 迷路というイメージ・象徴
 その三 西洋の迷路
 その四 脱出
 その五 十字架後のキリスト
 その六 ハエとり器からの脱出

終章 精神医学から精神学へ
その一/その二/その三/その四/狂気の居場所

あとがき

文献・註
索引


≪著者: ≫ 秋田 巌 (あきた・いわお) 1957年 高知県生まれ。1985年 高知医科大学卒業、医学博士。 1996年 チューリッヒ・ユング研究所卒業、国際ユング派分析家資格。 2004年 河合隼雄賞(日本箱庭療法学会)受賞。 京都文教大学臨床心理学部教授、同大学人間学研究所所長。 精神科医、臨床心理士、日本ユング心理学会常任理事。 著書に『レクチャー精神科診断学』共著〔新曜社、2007年〕所収などがある。

秋田巌 『人はなぜ傷つくのか 異形の自己と黒い聖痕』(講談社選書メチエ、2013年) '13/08/03


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本「世界を動かす海賊 (ちくま新書1013)」竹田いさみ5

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――狙われた商船 最前線の海上自衛隊、海上保安庁――
海賊の出没ポイントは重要な航路に集中する。資源を海外に頼る日本の死活問題。海自や海保の活躍、国際連携、資源や援助……。国際犯罪の真相を多角的にえぐる。

海賊事件は遠いアフリカだけの出来事ではない。アフリカ大陸はいま資源開発で活況を呈している。資源のほとんどすべてを海外に頼る日本にとって死活問題である。海賊の出没ポイントはソマリアに限らず、重要な航路や地政学でいうチョークポイントに集中する。公海だけでなく国境をまたぐ彼らの取り締まりは一国では対処できないため、国際連携が進められている。海賊問題は、資源開発や援助、国際犯罪の取り締まりと複雑に絡み合って進行している。海賊を考えることは、日本の国益を考えることに直結するのだ。


≪目次: ≫
序章 海は日本の生命線
日本のエアラインと国際シッピング/生命線としての国際シッピング/国際シッピングの航路帯――貿易ルート/国際シッピングを阻むもの/プレス・リリースに見る海賊事件/プレス・リリースが語ること/海洋ガードの必要性

第一章 危険な海
日本にとっての“危険な海”/公船と民間商船、海上という用語/海洋リスク/ロイズの世界リスク一覧/ロイズの世界リスク一覧からわかること/ハイリスク・エリア/なぜハイリスク・エリアなのか/日本関係の船舶は年間五〇〇〇隻が航行/狙われるギニア湾――西アフリカの油田地帯/東南アジアでも危険海域がある/九万隻が通航するマラッカ海峡/中国・南シナ海・ベトナムの海域/南アジアの海域/世界の海賊事件/地理的な拡大――アジアからアフリカへ/アフリカの海賊――ソマリア海賊の出現

第二章 海賊の実態とその正体
第一節 海賊の手口
海賊による襲撃パターン/どのようなタイプの船を狙うのか/海賊チームの編成/口を割らない海賊――血統主義のクラン
第二節 海賊の装備
自動小銃とロケット砲――標準装備その(1)/溢れる中国製の武器/GPSと衛星電話――標準装備その(2)/海賊が使う母船/海流に乗って洋上で襲撃/襲撃用の小型ボート/ロープと梯子/グローブとライフジャケット/水と食料――炭火で焼き魚/人質の乗組員は何を食べているのか
第三節 身代金と資金の還流
一年間で一〇〇億円の身代金/身代金の回収方法/身代金は米ドル/人質解放と交渉人/身代金の還流ルート/海外へ流れる資金/テロ組織へ流れる資金
第四節 “後方支援”のための基地
ドバイ――ソマリアへの物資補給基地/ドバイ・クリーク/積み込む物資――日本製自動車と生活雑貨/ダウ船の持ち主――インド、パキスタン、イラン/ダウ船の修理工場
第五節 海賊の正体
元漁民ではない/密漁摘発で「いちゃもん」ビジネス/海外の民間警備会社と契約/自称コーストガードへの研修/初めての案件がソマリア/クラン会社と民間警備会社との対立/密輸シンジケート/転換期――資金源の枯渇

第三章 国益のための海賊対策
第一節 国際社会の対応
国連の対応――コンタクト・グループの設置/ワーキング・グループの発足/G8プロセス/各国・軍事組織による海賊対策/国際推奨航路帯(IRTC)の設置
第二節 日本の海賊対策
民間商船の海賊対策/日本船主協会――日本政府への要望/全日本海員組合の対応/海上保安庁――海上保安官の眼差し/海上保安庁――練習船の世界一周航海/海上自衛隊――護衛艦の派遣/海上自衛隊――練習艦隊の遠洋航海/海上自衛隊――哨戒機の派遣/外務省――国際的な枠組み作り/内閣官房で定期的な情報交換/海賊裁判
第三節 情報収集・インテリジェンスの強化
世界の海賊情報――国際海事局(IMB)/「危険海域」インド洋の海賊情報/「危険海域」アデン湾での海賊情報/ソマリア本土の海賊情報/ソマリア本土の海賊情報/「危険海域」インド洋沿岸国――海賊情報センター/アジア海域での海賊情報
第四節 求められる民間武装ガード
民間武装ガードの必要性/法的な枠組み/地理的な範囲/武装ガードが乗船・下船するポイント/民間武装ガードの資格要件/英国の民間警備会社/海洋権益を守るために
第五節 国益のための海賊退治――水産業、流通業、天然ガス資源
水産業を整備する/流通基地として整備する/天然ガスの開発
第六章 天然ガスの開発
米英欧の企業群/日本・中国・タイ・ブラジル/東アフリカは「黄金郷」/日米の海洋権益――モザンビーク/タンザニア沖で争奪戦/アフリカのPPP/PPPは傭兵ではない/海賊とガス開発/海賊対策の複雑化――求められる資源開発の視点

あとがき
巻末資料(1) 襲撃された日本関係の商船(プレス・リリース)
巻末資料(2) 企業/団体/政府の海賊対策
参考文献


≪著者: ≫ 竹田いさみ (たけだ・いさみ) 1952年東京生まれ。獨協大学外国語学部教授。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。国際政治史で博士号。専攻は国際政治。著書に『世界史をつくった海賊』(ちくま新書、国際理解促進図書優秀賞)、『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア太平洋賞特別賞受賞)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『物語オーストラリアの歴史』(中公新書)など多数。海洋安全保障、海賊の世界史等では第一人者。海上保安庁政策アドバイザー、防衛省新防衛政策懇談会委員を歴任。衆議院「海賊対処・国際テロ防止特別委員会」にて参考人を務める。



天気予報よりも早い時間、午後三時前、いわゆる大気が不安定な状態、雷さまが大暴れした。はげしい雷雨、ピカピカゴロゴロ、いや、パキッ、ピキッ、ドドン、光と音がほぼ同時、ほとんど悲鳴のよう。
京王線は、落雷による信号設備障害のため、この時間もまだ一部運転見合わせたまま。
じっさい、雷さまのショーは、それがあまりのはげしさからか、呆気なくも長くつづくことなく、やがてなにごともなかったかのように、青空に真夏の太陽。
このところの、連日の猛暑と熱帯夜に、グロッキー気味なのは、ある意味では、弛緩/緊張状態?!、あぁ、ぼくたち人間だけではないのかしら、などと



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本「バチカン近現代史 ローマ教皇たちの「近代」との格闘 (中公新書2221)」松本佐保5

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――自らの生き残りを賭けた200年――
反革命・半共産主義のためには、“独裁者”とも手を結ぶ?

フランス革命以降、「政教分離」を推進する近代国家の登場で、ローマ教皇は領土や権威を失っていく。20世紀に入り、教皇はイタリア政治に介入し続け、ムッソリーニの思惑もあり、バチカン市国が成立する。その後バチカンは、「反宗教」の共産主義を常に敵視。ナチスに秋波を送り、戦後は米国に接近、「人権外交」を繰り広げ、それは「東欧革命」に繋がった。本書は、カトリック総本山バチカンの生き残りを賭けた200年を描く。


≪目次: ≫
はじめに

図表「歴代ローマ教皇(250代以降)」「ローマ市略図」「バチカン市国」

序章 前近代のバチカン――起源から一七世紀まで
ロマ教皇の成立/新教皇選出、低下する権威/三十年戦争

第I章 フランス革命の衝撃――超保守主義の台頭
フランス革命/フランス軍のローマ侵攻と教皇逮捕/ナポレオンとの政教条約/屈辱――フランス皇帝への戴冠式/ウィーン会議とコンサルビ国務長官の手腕/超保守主義の台頭と革命弾圧/バチカン問題をめぐる五大国会議/超保守主義の時代――グレゴリウス16世の治世
 コラム1 コンクラーベ――教皇選出

第II章 ピウス9世の近代化政策と“豹変”――イタリア王国統一への抵抗
「覚醒教皇」の登場/改革の後押し/高揚する教皇支持のナショナリズム/一八四八年革命の伝播――憲法導入と批判/対オーストリア宣戦布告への圧力/ロッシの登場と暗殺/ピウス9世のローマ復権/サルデーニャ王国によるイタリア統一/首都ローマをめぐる教皇対新国王/第一バチカン公会議とローマ陥落/「バチカンの囚人」/イタリア王家の非カトリック化/怨念――サン・ロレンツォ教会への埋葬
 コラム2 マリア信仰I――信仰承認とピウス9世

第III章 イタリア政治への介入――第一次世界大戦下の多角外交
ジョルダーノ・ブルーノ像建立事件/レオ13世の欧米外交/回勅「レールム・ノヴァールム」の意義/教皇ピウス10世の時代/キリスト教民主主義の起源/男子普通選挙法とカトリック票/第一次世界大戦勃発とバチカン外交/三国同盟寄りとの批判――伊墺間の「未回収地」問題/継続的な和平努力――仲介への努力と失敗/パリ講和会議と国際連盟への関与/ベネディクト15世の画期――平和外交とキリスト教政党

第IV章 ムッソリーニ、ヒトラーへの傾斜――バチカン市国成立と第二次世界大戦
ムッソリーニの登場と新教皇即位/共産主義の脅威を知った三人/ムッソリーニの政権奪取、バチカンへの接近/人民党の解体――国民ファシスト党への流入/ラテラノ条約締結――バチカン市国成立/ムッソリーニとの関係/ナチス・ドイツとの政教条約締結/ナチスへの姿勢/「黒い貴族」――ピウス12世の出自/第二次世界大戦とピウス12世/複雑な戦況と対連合国/強めていくソ連批判/「ヒトラーの教皇」との批判/ホロコーストへの認識
 コラム3 満州国承認

第V章 ピウス12世の反共産主義――冷戦下、米国への接近
深まる米国との関係/個人特使マイロン・テイラー/テイラーの働き/テイラー最派遣の意図と米国内カトリック/ピウス12世とトルーマン米大統領との往復書簡/一九四八年イタリア総選挙/バチカン情報網と東側諸国/冷戦下の一九五〇年代
 コラム4 バチカンの統治システム

第VI章 第二バチカン公会議――他宗教との和解と対共産主義・無神論
七六歳の新教皇即位/公会議とは/開催の意図――近代的カトリック神学の影響/会議の構成/第一会期と新教皇選出/第二会期――リベラル派の隆盛/シノドスの立ち上げ/プロテスタントの配慮、正教会との和解/パウロ6世/教皇の移動の自由/ユダヤ教とのエキュメニズム/対無神論/対共産主義/戦争と平和への立場――国連との連携
 コラム5 マリア信仰II――ファティマの承認とその後

第VII章 独自の対共産圏外交の追求――パウロ6世の意図
「東方政策」との連動・支援/ユーゴスラヴィアとの国交正常化/ハンガリー動乱後の妥協/バチカン主導のヘルシンキ会議/「人権」を用いた外交戦略/ベトナム戦争――ジョンソン米大統領からの要請/「解放の神学」というジレンマ/トレス神父カマーラ大司教ヨハネ・パウロ1世の急死

第VIII章 ポーランド人教皇の挑戦――ベルリンの壁崩壊までの道程
ポーランド人教皇の登場/ヨハネ・パウロ2世の経歴/中南米諸国との外交関係/カザローリ国務長官就任/教皇のポーランド訪問/教皇暗殺未遂事件/ポーランド戒厳令布告――米国との連携/戒厳令下のポーランド訪問/「連携」の殉教者/三度目の母国訪問――共産党政権の崩壊/二〇世紀のカノッサの屈辱?/共産党政権崩壊と教皇/対等な外交関係の回復/ヨハネ・パウロ2世の訪日

第IX章 グローバル時代の教皇――宗教・民族紛争への介入
宗教・民族紛争への介入――ユーゴスラヴィア/中南米独裁政権との交渉――ピノチェトの軟化と解放の神学/ミレニアム「大聖年」と中東巡礼――対ユダヤ教/東エルサレム占拠への批判/ロシア正教会との関係改善の模索/同時多発テロ後の対応/ヨハネ・パウロ2世とは/ベネディクト16世の即位/列福――「聖人」への道/「私は恐れない」/歴史的な教皇交代劇

終章 バチカンと国際政治
ソフトパワーとしてのバチカン/冷戦期の大きなプレイヤー/人権外交と人道的介入の源流

あとがき (二〇一三年四月三二日 松本佐保)
参考文献
バチカン近現代史 関連年表


≪著者: ≫ 松本佐保 (まつもと・さほ) 1965年神戸市生まれ。88年聖心女子大学文学部歴史社会学科卒業。90年慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了。97年英国ウォーリック大学社会史研究所博士課程修了。Ph.D.取得。その間イタリア政府給費留学生としてローマのリソルジメント研究所に研究員として滞在。名古屋市立大学人文社会学部教授。専攻は国際関係史(イギリス、イタリア、バチカン政治・外交・文化史)。著書、Britain and the Papacy in the Age of Revolution, 1846-1851, Royal Historical Society, 2003年。共著、『イギリス外交史』(有斐閣アルマ、2005年)、The Diplomat's World, A Cultural History of Diplomacy, Oxford University Press, 2008、 『アジア主義は何を語るのか』(ミネルヴァ書房、2013年)など。


鈴木宣明 『図説 ローマ教皇  A History of the Popes 』(ふくろうの本、河出書房新社、2001年) '12/02/08
藤澤房俊 『「イタリア」誕生の物語』(講談社選書メチエ、2012年) '12/08/27


快眠(深い眠り)のごとくは、熱帯夜(猛暑)がおわってからのオタノシミ、に。明けない夜はない。はじまったものは、いつか、いずれおわりをむかえる。暦のうえでは、立秋をすぎた。すでに、残暑、なのであろう


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主として“本”が織りなす虚構の世界を彷徨う♪

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▲ロスバイク TREK 7.3FX(神金自転車商会 since 2008.8)
写真 Canon IXY900IS(since 2006.12.4) & EOS40D + EF-S17-85mm F4-5.6 IS USM(since 2008.7.23) + EF100mm F2.8 Macro USM(used, since 2008.9.10) + EF-S55-250mm F4-5.6 IS(used, since 2008.9.30) + EF50mm F1.8 供used, since 2009.4.4)

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