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書評/国内純文学



人生で初めて、あたしはあたしに決まりごとを作った。・・・ それがいいとか悪いとかの問題じゃなく、女としてのプライドとか、人間の尊厳とか、職業蔑視とか、貞操観念とか、そういうことは全部関係なく、とにかくあたしだけのすごく個人的な理由で、あたしはここに踏みとどまることにする。・・・”

あたしみたいにバカで先のことをいくつになっても考えられないような女は、暴走しないかわりに、這い上がることも勝ち上がることも、足場を固めることもできない。ただ、何かにつかまって流れるだけ。・・・”

”「初めて、純のこと、見たときね、あの、学校の前で、見たとき、この女、絶対に、亜咲より、不幸だーって、思ったの」・・・”


流石、第4回「R-18文学賞」大賞受賞作。
あっという間に一気に読み切らせる、ぐいぐいと引きずり込ませる魅力に溢れる。
24歳の、ある意味では大人になりきれていない女性の、その赤裸々な性嗜好の表現描写の部分は、あくまでもその女性の抱える人間的な部分の詳細な描写の内の一部分であり、その表現無くしてここまでの人物描写を成し得ず、ここまでのめり込まされることも無いのであろう。
大人になりきれていないが故に、必要以上に孤独を恐れ、身近な誰かに安易に依存する。 そう言う私も、実は非常に耳が痛いのだが。
そんな誰もが必ずその自身の胸の内に抱いている(抱いていた)、不安定な人間の本質的な部分を、その揺れ動く様を、痛み、傷付き、そしてそれを乗り越えていく様を、丁寧に、時に衝撃的な描写を用い表現されている。

小学生の登場人物にも衝撃を受けるのではあるが、それすらも、その時期が24歳なのか、小学生なのかだけの違いでしかなく、ただその人がおかれた環境や、その状況、全てはその人それぞれの必然に基づき、その必然に導かれる。 ある意味では恐ろしく残酷で、不条理とすら思える現実が、それすら必然なのであろう。

そんな人間普遍の原理原則が織り込まれた小説を、このような手軽な形に表現して、是非ともそれを伝えたい読者層に送る。 そんな意義すら感じられる”文学作品”といったら、言い過ぎであろうか?!

そう考えると、早熟な高校生、いや中学生くらいから(ん?、もっと早くに?!)、この作品を手にして欲しいとすら思う。 表面的な描写にのみ捉われて、本質を見失ったら”もったいない!?”