宗教なんかこわくない! -橋本治

宗教なんかこわくない!
著者: 橋本治
単行本(ソフトカバー): 307ページ
出版社: マドラ出版 (1995/07)



ただ単に事実や事柄を知っている、だけでは何も役に立たなくって、”点”でしかない理解を、結び付ける”線”、そして”線”が寄り集まって紡がれる”面”。体系的な知識の形成。

橋本治、第九回新潮学芸賞)受賞作品。307ページもの膨大な文字数を費やして、最後に「カナブンになりたい」とうそぶく。カブトムシだと、つまらないミエが入っているみたいだから。
オウム真理教(2003年2月にアーレフに改称)の事件に始まり、『宗教』を説く。オウム真理教が、あれだけ勢いを得て、あれだけの社会的事件を引き起こしてしまった背景、その必然。当然に偶然などではなく、その必然に導かれて、宗教として支持を得て、多くの信者を獲得して勢力を拡大し、やがて引き起こされる数々の殺人事件、破綻。信者、幹部、尊師 浅原彰晃こと”松本智津夫”の、行動の必然、深層心理。
そこに至る、宗教が必要とされなくなった”現代社会”という現実があって、それは、過去には、何故に宗教が必要とされ、発展してきたのか、という歴史の理解に辿り着く。キリスト教やら仏教やら、豊かな知識から体系的に分かり易く解き明かす。理解し得ない凡人にも、興味を抱いて労(読書に費やす時間)を惜しまなければ、理解できるように易しく解くには、それでもやっぱり307ページが必要なのだ。全篇の理解は得られなくても仕方が無い。知らなかったのだから。知りたい欲求も、簡単に満たされてしまっては、面白味も何も無い。


物語を心の底から愉しむために、世界情勢や文化歴史の理解を必要とする。必要とするのは、理解し得ていない、と自認しているからであり、だからこそ理解したい、と欲するから。文化としての宗教、国家が国家として確立し、機能する以前は、宗教という文化集団が、集団としての権力を有していた。異文化を有する集団との抗争。
歴史、文化。

なるほど、人間の普遍の原理原則。

だから、堂々と言い放つ「宗教なんかこわくない!」