風が強く吹いている
著者: 三浦 しをん
単行本: 512ページ
出版社: 新潮社 (2006/9/21)



ご存知、直木賞作家 三浦しをんが、箱根駅伝を走る、十人の男の子たちを描く、熱い熱い青春小説。
駅伝”が、たすきをつなぐ団体競技であり、一方では、長距離をただただ己の肉体を駆使して走る、原始的でシンプルな競技。走ることの速さだけでなく、強さをも求められる。むしろ、速いことよりも、強いことが求められる厳しい世界。
長い距離を、長い時間をかけて走るという行為の最中に巡る想い。同じ場面を走っている競争相手。たすきをつないで、共に走り抜く仲間。応援して、支えてくれる人々。自らとの対峙。

十人がそれぞれに個性を有したひとりの人間であり、だからこそ、それぞれに異なる想い、境遇。能力や素質だって絶対的に異なる。双子の兄弟だって、どんなに容姿や性格が似ていても、絶対的に異なる存在。完全な一致は有り得ない。

だから、十人の組織としての統制が、自主性に任せられて、強制されることなく、上手く機能する。マネジメントに長けたリーダーの、気配りや心遣いがあって、強固に結びつく関係、高まる士気。
ところが一方では、これが十人の組織ではなくって、勝利を義務付けられた巨大エリート集団だと、なかなかそうはいかない。大勢の人間が集まれば、それぞれの自由は制限される。エリートは、様々な視線に常に晒されて、自由奔放は許されない。


ところで、美しく描かれすぎている感がある”男の子”。
スポーツで鍛え抜かれた体躯から発する汗も、まるで甘いフルーツのような匂いが漂う。スマートに美しく、爽やかに。
異なる姓に対する憧れや、願望、想い。
だから(?!)物語として、面白くもあったりする。