書簡文学論 (水声文庫)
著者: 小島信夫
単行本: 181ページ
出版社: 水声社 (2007/11)
価格: 1,890円




小島信夫(1915.2.28-2006.10.26)、同時に刊行された「小説の楽しみ(水声社,2007/11)」に引き続き、読了。Help me!
古今東西の書簡集を「文学」としてとらえ、著者独自の視点で闊達自在に読み解く。
”Nさんへの手紙”に始まる書簡形式の六篇(信?!)。

Wikipediaには、”書簡体小説(epistolary novel)とは、登場人物の書簡を連ねることによってストーリーが展開していく小説の形式。
18世紀からフランスなどで盛んになった。中世フランスにアベラールとエロイーズの往復書簡があり、書簡体小説の一つのモデルになっているようである。”とあった。

そう、表紙に七色の文字で、
タイプライターと電話の時代になって、
手書きの手紙を書くことも少なくなった。

ベンヤミンは、手紙の一つひとつを
手書きで書いた。

そうしてそれらの手紙が〈考古学的な存在〉、

ないしは

〈この世から消え去っていったものの博物誌〉

として残る、

そういう思いで書いていた……。
ん〜

往復書簡体の作品で芝居として舞台化された「チェーホフの手紙」であり「チャリング・クロス街84番地」の舞台化について、いかにも愉しそうに綴られる論説、
同じ舞台の平面のうえで、大西洋をへだてたロンドンとニューヨークに住む両者が、隣にいる者同士であるかのように互いに呼びかけるという面白さのためである。それからもう一つは、手紙というものは、たとえば航空郵便で短い日数のうちに相手の手許に届けられるとしても、電話の場合とはちがって、何日かという時間がたっている。それが舞台の場合には呼びかけがあり、それに対する応答があり、まるで、電話交換の場合のように、両者の会話は継続して行われる。このように時間と空間とを、いっきょに跳びこえてしまうということに、快感をおぼえるのであろう。しかし実際には、私たちは、編集された往復書簡集を読んでいるときには、この舞台をみている観客とよく似た立場で、時空をこえて読んでいるのであり、距離を跳びこえてしまっている。といっても、距離はそのまま放置されているというのではなくて、読者自身が埋めている。(P.106)
なるほど、書簡文学論!?

小島信夫の作品を読んでから読みましょう。
(驚くほどにシンプル、何の解説もありません)


≪目次:≫
 第1信 『アベラールとエロイーズ
 第2信 『模範書簡集』/『パミラ』/『クラリッサ
 第3信 『危険な関係』/『貧しき人々』/『ハーツォグ』/『フェリーツェへの手紙』
 第4信 『チャリング・クロス街84番地』
 第5信 『チェーホフ 妻への手紙』/『ベンヤミン著作集 書簡』
 第6信 『菅野満子の手紙』/『ヒュペーリオン』/『西東詩集』/『ディオティーマの手紙』/『女流』