私のマルクス
著者: 佐藤優
単行本: 333ページ
出版社: 文藝春秋 (2007/12)




う〜ん、ぼくにはちと難しい。
佐藤優が“マルクス主義”と“キリスト教”と、どうやら(?!ぼくにはまだまだ理解不足!?)相反する信仰思想に揺れ、だからこそ神学、そして哲学経済学を究める道程を、埼玉県立浦和高等学校入学から、夏休みのソ連・東欧への共産圏の刺激的な一人旅、そして一浪の後に同志社大学神学部への入学、19歳にしてキリスト教の洗礼を受け(沖縄出身で、戦後すぐに洗礼を受けた母親の影響!?)、学生運動にもまれながら、大学院での神学の研究にいそしむまでに見る。そこには、大きく横たわる思想家マルクスの存在、そしてマルクスと真剣に取り組んだ知識人たちとの、書籍を通じての対話(読書)。
文學界」2006年8月号〜2007年9月号に掲載分(現在も連載中)の書籍化。

ドイツ経済学者哲学者、革命家で、20世紀において最も影響力があったとされる思想 “カール・ハインリヒ・マルクス (Karl Heinrich Marx,1818.5.5-1883.3.14,)”を、名前しか知らないぼくは、分からなくて分からなくて、随分と丁寧に読んだつもりだけど、外国のカタカナの名前や地名、知らない言葉(これが度々出現する!?)が出てくる度に、「うぅ〜、分からない〜♪」と読むスピードを落としながら、それでもやっぱり嬉しくて嬉しくって、分からないままにとりあえず頭に放り込む。たいせつな言葉は何度か出てくるし、残念ながらすべてを理解して記憶することは、脳の機能的にも不可能だから、とにかく頭に放り込んで刻み付けるしかない。ほんとうにたいせつな事柄は、然るべきときに然るべき形で浮かび上がる。
ぼくは“知らない”から「でもだって、知りたかったんだよねぇ〜♪」と、フィロ・ソフィア(知を愛する、愛知)の歓び♪♪

そうそう、松岡正剛「17歳のための世界と日本の見方 −セイゴオ先生の人間文化講義 (文藝春秋,2006.12)」に、体系的に関連づけられて編集された知識が役に立った。
ぼくは、“キリスト教”を“マルクス主義”をもっともっと知って、自分の言葉で語りたい!
学生大会が無事終了したので、室町今出川の「はやし」という居酒屋に大山君、滝田君、米岡君、宇野君たちと飲みに行った。滝田君が「佐藤、俺はマルクスをきちんと読んでみたい。『共産党宣言』や『空想から化学へ』を読んでみたが、意味がさっぱりわからない。『資本論』については、難解な序文を見るだけで読む気がなくなる。果たしてマルクスはほんとうに意味がある思想家なのだろうか。きちんと読んでみて自分で判断したい」という。宇野君は「そんなことをする暇があるならば、デモや集会を組織した方がいい。理屈ばかりこねていても世の中は変わらない」という。米岡君は「世の中なんか変わらなくてもいいじゃないか。世の中が変わるときは、悪い方向にしか変わらない。とにかくマルクスはきちんと読んでみたい。なんでマルクス主義が人々の心をつかむのか、その秘密を知りたい」という。最後に大山君が「なにも義務づけるんじゃなくて、来たい者だけがくればいいんだよ。佐藤、とにかく一緒に本を読もう」という。私は「わかった。どうせやるのなら、体系的にきちんと勉強した方がいいと思う。マルクスだけじゃなくて、ドイツ古典哲学や現代思想、それから神学にも幅を広げよう」と答えた。大山、滝田、米岡の三君は積極的に賛成した。
私は二、三日考えて、次のラインナップを作った。
マルクスエンゲルス『共産党宣言』、
エンゲルス『空想から科学へ』、
マルクス『経済学・哲学草稿』、
ルカーチ『歴史と階級意識』、
ヘーゲル『キリスト教の精神とその運命』、
宇野弘蔵『経済原論』、
宇野弘蔵『経済政策論』、
鎌倉孝夫『スタグフレーション』、
廣松渉『唯物史観の原像』、
廣松渉『マルクス主義の地平』、
バクーニン『連合主義・社会主義および反神学主義』、
ベルジャーエフ『ロシア共産主義の歴史と意味』、
オルテガ『大衆の反逆』
  (P.164-P.165)
ヨセフ・ルクル・フロマートカ (チェコ,1889〜1969)


≪目次: ≫
 1 ユダヤ教の刻印
 2 ブダペシュト
 3 やぶにらみのマルクス像
 4 労農派マルクス主義
 5 同志社大学神学部
 6 組織神学教授・緒方純雄
 7 ロシアレストラン「キエフ」
 8 黒旗の上に描いた魚の絵
 9 極めつけの嫌がらせ
 10 『美学の破壊』
 11 思想家・渡邉雅司
 12 襲撃
 13 『なぜ私は生きているか』
 14 天性の牧師・野本真也