ライディング・ロケット RIDING ROCKETS −ぶっとび宇宙飛行士、スペースシャトルのすべてを語る (上)
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書評/サイエンス



恥ずかしながら、実はかつて“化学同人”から“本が好き!PJ”経由の献本を受けるチャンス(公開募集)があったのに、全360ページ超の上・下巻、合計すると700ページを超える大著に、思わず尻込みをしてしまって献本を申し込むことさえもできなかった、へなちょこ。
献本受けたメンバーの書評を拝見するに、募る後悔、あぁぁ。もぅ〜、ばかばかばか。「あんたって豚ね (P.133)」、トホホホホ。
ディスカバリーは、夜明け直前に、、非の打ちどころのない着陸で砂漠に接地した。ハリウッドも、これ以上のエンディングは考えつかなかっただろう。
「ヒューストン、車輪停止」とハンクが報告した。
「了解、ディスカバリー。お帰りなさい」
歓声をあげたほとんどつぎの瞬間、わたしたちはみな考えていた。こんどはいつ、また飛べるんだろう? (P.337)
幼少の頃からの夢を叶え、三度の宇宙ミッションを完遂した宇宙飛行士“マイク・ミュレイン Mike Mullane”は、1945年9月10日、テキサス州にカトリック家庭の第二子(男5女1の6人兄弟)として生まれた。1957年10月4日のスプートニクで宇宙に憧れ、1967年に陸軍士官学校を卒業して空軍に入隊し、ベトナムで134回の戦闘任務に従事した後に、1978年2月1日にジョンソン宇宙センター2号館の講堂の壇上から正式に世界に紹介されて、スペースシャトル時代初の宇宙飛行士候補者35名のうちのひとりに名を連ねる。
宇宙飛行士選抜過程を受けた208名の中から選ばれた精鋭たち。
1967年組宇宙飛行士
パイロット宇宙飛行士
  ダニエル・ブランデンスタイン、海軍少佐、34歳
  マイケル・コーツ、海軍少佐、32歳
  リチャード・コヴィー、空軍少佐、31歳
  ジョン・“J・O”・クライトン、海軍少佐、34歳
  ロバート・“フート”・ギブソン、海軍大尉、31歳
  フレデリック・グレゴリー、海軍少佐、37歳
  デイヴィッド・グリッグス、民間人、38歳
  フレデリック、ホーク、海軍中佐、36歳
  ジョン・マクブライド、海軍少佐、34歳
  スティーブン・ナーゲル、空軍大尉、31歳
  フランシス・“ディック”・スコビー、空軍少佐、38歳
  ブルースター・ショー、空軍大尉、32歳
  ローレン・シュライヴァー、空軍大尉、33歳
  デイヴィッド・ウォーカー、海軍少佐、33歳
  ドナルド・ウィリアムズ、海軍少佐、35歳
軍人ミッションスペシャリスト宇宙飛行士
  ギオン・“ガイ”・ブルフォード、空軍少佐、35歳
  ジェームス・ブチュリ、海兵隊大尉、32歳
  ジョン・ファビアン、空軍少佐、38歳
  デイル・ガードナー、海軍大尉、29歳
  R・マイケル・ミュレイン、空軍大尉、32歳
  エリソン・オニヅカ、空軍大尉、31歳
  ロバート・スチュアート、陸軍少佐、35歳
民間人ミッションスペシャリスト宇宙飛行士
  アンナ・フィッシャー、28歳
  テリー・ハート、28歳
  スティーブン・ホーリー、31歳
  ジェフリー・ホフマン、31歳
  シャノン・ルシッド、35歳
  ロナルド・マクネイア、27歳
  ジョージ・“ピンキー”・ネルソン、27歳
  ジュディス・レズニック、28歳
  サリー・ライド、26歳
  マーガレット・“レイ”・セドン、30歳
  キャスリン・サリヴァン、26歳
  ノーマン・サガード、34歳
  ジェームズ・“オックス”・ヴァン・ホフテン、33歳
   (P.48-P.51) 

なるほど、死と隣り合わせの危険を常に覚悟して、それでも挑む宇宙の魅力。
実際に、著者と共に第1回目のミッションに搭乗し、個人的にも親交を深め、女性として世界で2人目に宇宙に飛び立った“ジュディス・レズニック”は、自身の2度目となる1986年1月28日の宇宙ミッションでチャレンジャーに搭乗して死亡している。彼女は、“女性”ということで、世間の注目を浴び、常に緊張を強いられた。
著者は、その成長過程において“フェミニズム”をも何ら意識することなく、勉学にのみ励んできた、自称“AD(発育不全、世間知らず,Arrested Development)”だからこそ、姑息に小手先で上手に立ち回ることなく、女性をセックスの対象としてしか見ることができなかった一方、宗教(カトリック)的な側面からは忌避すべき存在(!?)にも、ウイットに富んだジョークを忘れることなく正面からぶつかっていったからこそ知り得た、その華美な外見からは窺い知ることができない、彼女の内に強く秘めたものに触れている。
どうしても男と女の関係、特に宇宙飛行士という特殊で閉鎖的で羨望や嫉妬などの強い関心に晒される職にあっては、ベッドを共にしたか否かの周囲の下世話な関心から逃れることができない。
それは、人間の男と女が、とどのつまりは動物のオスとメスであり、生殖(種の保存)目的以外に、快楽を得る手段としてのセックスに励む。
既に事の善悪を問う意義さえ失わせるほどの現実として!?

著者自らにして奇跡的(?!)とも語る“宇宙飛行士”への道程は、妻であり、生涯の伴侶“ドナ”との運命的な出逢いがあってこそ成し得た。それでも、まったくの世間知らずのチェリーボーイだった著者をして、結婚に到らしめた運命の悪戯。
わたしたちは、あわせて三日間と100通の手紙で知っているだけの相手と婚約した。わたしはセックスのために結婚しようとしていた。ドナは両親からのがれるために結婚しようとしていた。いやはや、長続きしそうな結婚だ。 (P.245)


≪目次: ≫
【上巻】
 第1章 腸と脳
 第2章 冒険
 第3章 急性灰白髄炎
 第4章 スプートニク
 第5章 選抜
 第6章 スペースシャトル
 第7章 発育不全
 第8章 歓迎
 第9章 酒池肉林
 第10章 歴史の殿堂
 第11章 新人ども
 第12章 スピード
 第13章 訓練
 第14章 スピーチの冒険
 第15章 コロンビア
 第16章 序列
 第17章 プライムクルー
 第18章 ドナ
 第19章 中止
 第20章 MECO
 第21章 軌道
 第22章 帰郷


薄紫色の花
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