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午後の曳航 (新潮文庫)

○著者: 三島由紀夫
○出版: 新潮社 (1968/7 発行;1990/12 54刷改版;2005/11 70刷,文庫 181ページ)
○価格: 380円
○ISBN: 978-4101050157


十三歳の少年の自分(黒田登)、十三歳の首領。
「彼らは危険の定義がわかっていないんだ。危険とは、実体的な世界がちょっと傷つき、ちょっと血が流れ、新聞が大さわぎで書き立てることだと思っている。それが何だというんだ。本当の危険とは、生きているというそのことの他にはありゃしない。生きているということは存在の単なる混乱なんだけど、存在を一瞬毎にもともとの無秩序にまで解体し、その不安を餌にして、一瞬毎に存在を造り変えようという本当にイカれた仕事なんだからな。こんな危険な仕事はどこにもないよ。存在自体の不安というものはないのに、生きることがそれを作り出すんだ。社会はもともと無意味な、男女混浴のローマ風呂だしな。学校はその雛型だし……。それで僕たちは、たえず命令されている。盲らどもが僕たちに命令するんだ。奴らが僕たちの無限の能力をボロボロにしてしまうんだ」  (P.51)
刑法第四十一条、十四歳ニ満タザル者ノ行為ハ之ヲ罰セズ。  (P.159)
・・・
きくうちにみんなも笑わなくなった。事態の重大なことがだんだん呑み込めてきたからだ。彼らはそこに、自分たちの共通の夢の帰結と、おぞましい未来を読んだ。この世界には究極的に何事も起こらないのかもしれぬ!  (P.130)


≪目次: ≫
午後の曳航(えいこう)
第一部 夏
第二部 冬

解説 田中美代子(昭和四十三年七月、文芸評論家)

*この作品は昭和三十八年九月講談社より刊行された。


≪著者: ≫ 三島由紀夫 Mishima Yukio (1925-1970) 東京生れ。本名、平岡公威。1947(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。1949年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、1954年『潮騒』(新潮社文学賞)、1956年『金閣寺』(読売文学賞)、1965年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。1970年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。ミシマ文学は諸外国語に翻訳され、全世界で愛読される。


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