ブログネタ
最近読んだ本 に参加中!
帰郷者 (新潮クレスト・ブックス)
帰郷者 DIE HEIMKEHR by Bernhard Schlink (新潮クレスト・ブックス)

○著者: ベルンハルト・シュリンク松永美穂
○出版: 新潮社 (2008/11,単行本 355ページ)
○価格: 2,310円
○ISBN: 978-4105900724
クチコミを見る



通勤時間はぼくの貴重な読書タイムで、本を読みたいがために比較すると空いている各駅停車を選んで乗ったりするんだけど、今朝乗り合わせた車両は(普段は周囲を見回すことなく独り本の世界に入り込むのに)、ふと周囲を見回すとほとんどみんなが本を読んでいた(ビックリ)。たしかに、朝の通勤時間帯の超満員の急行電車では本を読むどころではなく、なにをすることもなくひたすら意識をなくして目的地に運ばれるまで時間が経過するのをただただ耐えるのみだけど、各駅停車は電車2〜3本分の余裕(これを捻出するのは多少の困難を伴う)を持つことによって得られる、ゆとり♪。
新潮クレスト・ブックスは装丁が特徴的で、カチッとしすぎないやわらかい印象があって(ぼくは好きだなぁ)一目でわかる。ぼくの隣で読書に耽る男性が読んでいたのは、チラリと見えた表紙が、タイトル部分だけシンプルなオレンジ色に囲われていたから、あれはきっとジュンパ・ラヒリ『見知らぬ場所 (2008/8)』♪、物語があまり得意ではない(ミステリやサスペンスがまるでダメ)ぼくも、この新潮クレスト・ブックス光文社古典新訳文庫のシリーズは、ときどき読むようにしている(読みたくなる、というほど積極的ではないものの、読んでおこうかなぁ、と)。手の込んだ物語性よりも、物語の形を採用して織り込まれる大切なことであり、メッセージを拾い集める作業(?!)に勤しむ。

・・・どうやって悲しみを消化すればいいのだろう? じっくりと考えることによって? 何について? どれくらいのあいだ家にこもってレコードを聴いたり本を読んだりすればいいのだろう? どれくらい頻繁に友人と、自分の心の痛みや悲しみについて話せばいいんだ? 彼らは困惑しながら耳を傾け、ぼくを傷つけることなくまたすぐにいつもの友だち付き合いに戻れたらいいのに、と願う。愛の喪失を悲しむ作業が、すぐそばにいる人の腕のなかに飛び込むということではないのはわかる。どっちみちぼくはそんな気分ではない。
しかしぼくは、結婚や恋愛が破綻した後ですぐに次の関係をもっと若い女と築き上げてしまう友人や同僚たちが、未消化の過去から立ち直り、それを克服したのだとは考えない。あるいは愛の喪失後に引きこもっていた人間が、その後、より強い人間となって人生を歩み始めるとも思わない。ときには、抑圧と消化が、世代が変わるごとに勧められたり戒められたりしてきた、赤ん坊のうつぶせ寝と仰向け寝のように思えてしまう。・・・  (P.124)

あと数日で、ぼくがひとり暮らしを始めてから丸二年が経過する。ずいぶんとひとりの生活にも慣れて、ひとりの気楽さを心地好く感じていることは確かだけれども、、、寂しくないと言ったら嘘になる。もともと心配性だから不安は少なくない。混乱から脱した、とはとても言える状態にない。それでも、いずれ時間の経過とともに、あのときは、、、などと振り返って語れるときが来るのかもしれないけれど、記憶は徐々に薄れて環境に適応するのであろうが、今は安易に流されたくない気持が強いかな!?


≪著者: ≫ ベルンハルト・シュリンク Bernhard Schlink 1944年ドイツ生まれ。ハイデルベルク大学、ベルリン自由大学で法律を学び、1982年以降、ボン大学などで教鞭をとる。現在フンボルト大学法学部教授。1987年、ヴァルター・ポップとの共著『ゼルプの裁き』で作家デビュー。1992年発表の『ゼルプの欺瞞』でドイツ・ミステリー大賞を受賞。1995年、『朗読者』刊行。2000年には短篇集『逃げてゆく愛』を発表している。『朗読者』は映画化され、2009年に公開予定。
朗読者 Der Vorleser (松永美穂 訳、新潮クレスト・ブックス 2000/4、新潮文庫 2003/5)』
過去の責任と現在の法 ドイツの場合 (岩波書店 2005/2)』

[訳者] 松永美穂 愛知県生れ。東京大学、ハンブルク大学などでドイツ文学を学び、現在は早稲田大学教授。訳書にベルンハルト・シュリンク『朗読者』(毎日出版文化賞特別賞受賞)、ジークフリート・レンツ『遺失物管理所』、マーレーネ・シュトレールヴィッツ『ワイキキ・ビーチ。』などがある。


ろうばい