ブログネタ
最近読んだ本 に参加中!
発言―米同時多発テロと23人の思想家たち
発言 米同時多発テロと23人の思想家たち

○編訳: 中山元
○出版: 朝日出版社 (2002/1,単行本 247ページ)
○価格: 1,680円
○ISBN: 978-4255001418
クチコミを見る



二〇〇一年九月一一日のアメリカ同時多発テロ事件直後の、二三人の思想家たちの二三通りの発言を、中山元による編訳で読む。そう、
この事件がたんにアメリカとイスラム諸国の問題ではなく、ぼくたちのだれもが考え抜くべき思想的な問題 (P.246、編訳者あとがき)
であることには、すでに事件後七年以上の歳月を経た後(何名かはすでに故人)にもなんら変わりはなかろう。


≪目次: ≫
1 西洋とイスラムの対立ではなく (エドワード・サイード オブザーバー、二〇〇一年九月一六日   アメリカ人の「世界」の狭さ/傲慢な権力の代名詞/知識人の責任/安直な思考モデル
2 軍事国家アメリカ (リチャード・ローティ ディ・ツァイト、三九号別冊、二〇〇一年九月   アメリカ民主主義への打撃/民主主義の将来
3 文明の衝突ではない、少なくともまだ…… (サミュエル・ハンティントン ディ・ツァイト、三九号別冊、二〇〇一年九月   新しい戦争/イスラム諸国の協力なくしては、ほんとうに「文明の衝突」が起きる
4 予測が的中して残念だ (ポール・ヴィリリオ フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング、二〇〇一年九月二〇日   映画を引用する現実/メディアはテロの共犯者/グローバリゼーションの最初の戦争
5 秘密の共犯関係 (ジョルジョ・アガンベン フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング、二〇〇一年九月二〇日   死のシステム/民主主義の政治の課題
 6 だれも無実ではない (ジャック・デリダ 南ドイツ新聞、二〇〇一年九月二四日   哲学者の責任/「夢の政治学」
7 まったく新しい戦争 (ドナルド・ラムズフェルド ニューヨーク・タイムズ、二〇〇一年九月二七日   銀行員もプログラマーも兵士
8 妖怪が世界をさまよう……。 (アンドレ・グリュックスマン) ディ・ヴェルト、二〇〇一年九月二八日   「二〇〇一年九月一一日」はつねに起こる/絶対的な戦争の端緒/エロストラート症候群/共通のうぬぼれ/ビンラディンを助けている者
9 「無限の正義」の算術 (アルンダティ・ロイ ガーディアン、二〇〇一年九月二九日   テロの根本の原因/世界の風穴/無限の正義の口やかましい算術/世界最悪の災厄/アフガニスタンのアイロニー/パキスタンとインドの悲惨/不安な夜/幽霊からの招待状/暗い分身(ドッペルゲンガー)
10 ドルのタリバンと石油のタリバンの戦い (アントニオ・ネグリ ル・モンド、二〇〇一年一〇月三日   シェイクスピアの悲劇さながら/戦争のマシン
11 日常の生活に戻ろう (サルマン・ラシュディ ガーディアン、二〇〇一年一〇月六日   友人を作るとき/なになら命を懸けられるか/わたしたちの武器
12 左翼的思考の敗北 (アラン・フィンケルクロート) ル・モンド、二〇〇一年一〇月八−九日   イスラム原理主義者の怒り/反米感情はアメリカの外交政策が生んだのではない
13 西洋の勝利 (フランシス・フクヤマ ガーディアン、二〇〇一年一〇月一一日を参照、初出はWSJ一〇月五日   足による投票/歴史は終焉したままだ
14 宗教の声に耳を傾けよう (ユルゲン・ハーバーマス 南ドイツ新聞、二〇〇一年一〇月一五日   テロのうちで表現されているのもの/コモンセンスの役割/価値の多様性を認める理性/コモンセンスから奪えないもの/多なる声/神の掟と道徳/宗教的な伝統の翻訳
15 複数のグローバリゼーション (サスキア・サッセン 南ドイツ新聞、二〇〇一年一〇月二〇日   新しい非対称性の時代/政治を語る新しい言語
16 半理性主義の極み (ピエール・ルジャンドル ル・モンド、二〇〇一年一〇月二三日   ニヒリズムの到来/ローマ法の遺産/国家の役割の放棄/妄想の啓蒙
17 爆撃のほかに道はある (タリク・アリ) 南ドイツ新聞、二〇〇一年一〇月二三日   爆撃の目的/イスラム世界の若者が絶望する理由
18 パパ、イスラムってなあに (タハール・ベン・ジェルーン) フランクフルター・ルントシャオ、二〇〇一年一〇月二四日   テロがもたらしたもの/イスラムの「死への愛」/テロに故郷はない
19 北京にて、その翌日 (オギュスタン・ベルク) 特別寄稿、モールパにて、二〇〇一年一〇月二八日   テロとはなにか/ビンラディン現象を生んだもの/攻撃されたものはなにか/共生の意志/〈世界システム〉の再生産/長期的な危険
20 地球的な規模のミメーシス的な競争 (ルネ・ジラール ル・モンド、二〇〇一年一一月六日   ミメーシス的な模範としてのアメリカ/殉教のミメーシス/イスラム教とキリスト教の違い/西洋の自己批判
21 近代テロの指標 (ペーター・スローターダイク) フランクフルター・ルントシャオ、二〇〇一年一一月一七日   近代テロの誕生/「大気−兵器」の時代/テロのもたらす不安/新たな国家の時代の到来/テロと遺伝子工学――秘密の結びつき/「どのように機能するか」という問い/宗教と技術
22 イスラムの原理主義が興隆した背景 (ピエール・ブルデュー フランクフルター・ルントシャオ、二〇〇一年一一月二一日   ダブル・スタンダードの論理/アメリカは世界の警察官でも裁判官でもない/社会科学のモデルの重要性
 23 現実の砂漠にようこそ (スラヴォイ・ジジェク   〈現実〉を追い求める帰結/現実とは、現実にもっともよく似たみせかけである/現実のヴァーチャル化/脱現実化した現実/〈球〉に包まれたアメリカ/イメージが現実に侵入した/ブーメランのように戻ってきた暴力/純粋な悪/無能なアクティング・アウト/パラノイア的な戦争の時代/文明の衝突ではなく/民主主義の限界/アメリカの無垢?/テロの教訓/〈より悪い〉二つの物語/罪の意識の卑猥な算術/傷ついたナルシシズム/まやかしの純粋性/真の正義

読書案内(中山元)
初出・クレジット一覧
編訳者あとがき(二〇〇二年一月 中山元)


≪編訳: ≫ 中山元 (なかやま・げん) 1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。哲学者・翻訳家。インターネット上で哲学サイト〈ポリロゴス〉を主宰。著書に『思考の用語辞典』(筑摩書房)、『フーコー入門』『書くためのデジタル技法』(共著)(ちくま新書)、『新しい戦争?』(冬弓舎)がある。また訳書にはジークムント・フロイト『自我論集』『エロス論集』、ミシェル・フーコー『精神疾患とパーソナリティ』、モーリス・メルロ=ポンティ『ポンティ・コレクション』(ちくま学芸文庫)、エマニュエル・レヴィナス『超越と知解可能性』(彩流社)、オギュスタン・ベルク『風土学序説』(筑摩書房)などがある。


!