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建築家 安藤忠雄
建築家 安藤忠雄  Tadao Ando ARCHITECT

○著者: 安藤忠雄
○出版: 新潮社 (2008/10,単行本 383ページ)
○価格: 1,995円
○ISBN: 978-4103090519
おすすめ度: 5.0
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かっちょえぇなぁ♪
建築とは本来的に、環境に負荷を与えざるを得ない行為である。真面目に考えれば考えるほどそのジレンマがあって、余り理念を追いすぎると、“何もつくれない”という状況にも陥りかねない。それゆえ建築の分野の環境配慮というと、とかく「設定された目標数値をクリアする」というような、消極的な方向に進みがちだ。
だが根本において、「自身を取り巻く空間がどうであってほしいか」と建築を考えることは、環境を考えることと同義である。建築単体で、環境に働きかけるのが難しくても、例えばその建築が立地する地域、システムにまで視野を広げ、ソフトも含めて総合的に考えることで、見えてくるものはあるはずだ。
環境問題を新しい創造の機会とするような気概と発想力を、建築のつくり手は持つべきである。その挑戦をときに受け止められるような勇気を、社会には期待したい。  (P.313、「建築の世紀に向かって」)

都市の豊かさとは、そこに流れた人間の歴史の豊かさであり、その時間を刻む空間の豊かさだ。人間が集まって生きるその場所が、商品として消費されるものであってはならない。旧同潤会青山アパートは、建物が時間に耐えて建ち続ける中で、閑静な住宅地から徐々に手を加えられて、新旧の入り混じる魅力的な場所へと姿を変えて都市に生き続けた。
この社会の変化を受け止める許容力、そして時間をつないでいける強さこそが、消費文化に浸されきった現代の建築に、今もっとも必要なものだろう。旧アパートの跡につくった〈表参道ヒルズ〉は、その課題に対する、私なりの一つの解答だった。  (P.144、「都市に挑む建築」)

そう、みずからを“ゲリラ”と謳うほどに烈しく情熱的、対話というのか、なにごとにも真摯に向き合う姿勢に圧倒される、ビジュアル自伝。 ⇒ 特設ページ(新潮社)


≪目次: ≫
序章 ゲリラの活動拠点  安藤忠雄の活動拠点/「ゲリラ集団」安藤忠雄建築研究所/ボスとスタッフ、1対1のシンプルな関係/新人研修「サマースクール」/ゲリラの海外進出
第1章 建築家を志すまで  祖母の教え/遊び場は木工所/プロボクサーから建築の道へ
第2章 旅/独学で学ぶ  独学で建築を学ぶ/日本一周、TeamURへの参加/初めての世界/1960年代に20代を生きたこと
第3章 建築の原点、住まい  住吉の長屋――批難を浴びたデビュー作/モダンリビングの流行、下町の人々の暮らし/都市ゲリラ住居/住まうとは何か/都市ゲリラの新たな展開/コンクリート打ち放しの大邸宅〈小篠邸〉/社会とのズレ/家づくりを続ける意味
第4章 都市に挑む建築
表参道ヒルズ〉と〈住吉の長屋〉/都市への眼差し/見捨てられた商業建築から/レンガの壁の向こうに/都市の広場/失われた都市の水際空間を取り戻す/“バブル期”の建築/表参道ヒルズ/“時間”をつなげるための仕掛け/対話で乗り越えたプロセス/建築から都市へ
第5章 なぜコンクリートか  アントニオ・ガウディの建築/コンクリートにこだわる理由/自分なりのコンクリートを探す/次の時代のコンクリート
第6章 断崖の建築、限界への挑戦  現代の懸造り/死地につくる建築/法規制の壁/ギリギリの建築/命がけの工事/集合住宅の理想、ル・コルビュジエの構想力/二度目の挑戦、六甲の集合住宅兇離好拭璽函唇貳屬いい箸海蹐鬟僖屮螢奪スペースに/終わらない建築/集まって住む豊かさ
第7章 継続の力、建築を育てる  日没閉館/原点から問い直す/文化による島の再生/地中美術館/文化を創るのは個人の情熱
第8章 大阪に育てられた建築家  大阪から通え/建築家とクライアント/大阪人の反骨精神/考える自由を失わない/無謀な挑戦/地元に育てられた建築家
第9章 グローバリズムの時代に  灼熱の地に挑む/大阪から世界へ/海外で学べること/対話を通じて、共生する世界へ/多様な豊かさを求めて
第10章 子供のための建築  空き地と放課後/こどもの館/ほったらかしの場所をつくる
第11章 環境の世紀に向かって  新しい渋谷の地下駅/経済の世紀から環境の世紀へ/環境のために、建築が出来ること/建築の再生、再利用/逆転の発想――大谷地下劇場計画/つくらないという都市戦略――東京の再編計画/海の森プロジェクト/なぜ木を植えるか
第12章 日本人のスピリット  阪神淡路大震災淡路島蓮池の下にお堂をつくる/伝統の精神/もう一つの日本文化/新しい日本の力――淡路夢舞台の再生
終章 光と影  60年代を駆け抜けた表現者/夢の前に立ちふさがる、厳しい現実/究極のローコスト建築――光の教会/モノづくりの誇りが完成させた建築/光と影


≪著者: ≫ 安藤忠雄 (あんどう・ただお) 1941年大阪生まれ。建築家。世界各国を旅した後、独学で建築を学び、1969年に安藤忠雄建築研究所を設立。イェール大、コロンビア大、ハーバード大の客員教授を務め、1997年東京大学教授、2003年から名誉教授に。作品に〈住吉の長屋〉〈セビリア万博日本政府館〉〈光の教会〉〈大阪府立近つ飛鳥博物館〉〈淡路夢舞台〉〈兵庫県立美術館〉〈フォートワース現代美術館〉など多数。1979年に〈住吉の長屋〉で日本建築学会賞、2002年に米国建築家協会(AIA)金メダルほか受賞歴多数。著書に『建築を語る』『連戦連敗』(いずれも東京大学出版会)『ル・コルビュジエの勇気ある住宅』(新潮社)など。


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