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人生、しょせん気晴らし
人生、しょせん気晴らし

○著者: 中島義道
○出版: 文藝春秋 (2009/4, 単行本 224ページ)
○価格: 1,550円
○ISBN: 978-4163711607
おすすめ度: 4.5
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ちょうど時間論についての考え方というのか向き合い方というのか姿勢というのかについて、どうしたものかと考えあぐね(カンタンにわからないと言及したくない!?)ながら、ぼくが勉強でつまずいたことの情景のひとつとして明確に思い浮かんだ、18歳で高校を卒業して浪人して、父親がすすめるままに(その当時ほとんどのことをぼくは決める必要がなかった)大手予備校の指定された教室に入って最初に受けた授業のチンプンカンプン。大勢の人びと(生徒)の視線のさきにはひとりの講師がホワイトボードに向かってマイクを使って早口でしゃべりながらはげしく書きまくっていて、それまで受験勉強らしきことをちゃんとしてこなかった(ぼんやりのんびりした)ぼくは、その雰囲気に怖気づいたのか、わからない、さっぱり勉強が、なにをやっているのかわからない理解できない、これだけの人たちに勝てる(受験で勝ち残って合格を勝ち取れる)気がしない、ぼくには無理だ、ここはぼくが居るべき場所じゃない?!、ぼくがここに居なくてもなにも変わらない誰も気がつかない、ぼくには無関係な場所だ!?、と思ってしまったのかどうなのか、すでに闘う前から意気消沈して尻尾をまいた負け犬。案の定、すぐに教室から足が遠のいてしまい、そんなへっぴり腰で大学に合格できちゃうほどに世の中は甘くない。どうしていいのかわからなかった。なにがわからないのかわからないままに、わからないままに途方にくれて、誰にも相談することもできないまま、ぼんやりしたままに時間だけは残酷なまでに精確にすぎていった。いまでもそんな状況になんの変わりも進歩もないのかもしれない。

「気晴らし」とは、パスカルの有名な言葉“divertissement”を翻訳したものです(「紛らせること」という翻訳もある)。・・・  (P.223、「あとがき」)



≪目次: ≫
「自由な生き方」という気晴らし
趣味の食卓/半穏遁の美学を貫く/単独者協会/後世に何も残したいものはない/悪が私を生かしてくれる/美しい不幸/おやじの思い出
「読書」という気晴らし
気になる他者、小林秀雄/不遇の時に読む本/私を変えた一冊/私の血となり肉となった三冊
「社会批判」という気晴らし
若者にきれいごとを語るなかれ/「生意気な学生」が絶滅した/テレビよ、さらば!/没落日記
「哲学」という気晴らし
ひきこもりと哲学/「恩師」ではない恩師/生命倫理学への違和感/「統覚」と「私」のあいだ/ショーペンハウアーの時間論
「人生相談」という気晴らし
20の質問と回答――哲学は人生を救えるか?
「対談」という気晴らし
意志は疎通しない(+パックン)/怒りにどう向き合うか?(+宮子あずさ)/騒音撲滅、命がけ(+呉智英
あとがき
初出一覧


≪著者: ≫ 中島義道 (なかじま よしみち) 1946年生まれ。東京大学教養学部・法学部卒業。同大学院人文科学研究科修士課程修了。ウィーン大学基礎総合学部哲学科修了。哲学博士。専門は時間論、自我論。「哲学塾カント」を主宰。著書に『ウィーン愛憎』『哲学の教科書』『時間を哲学する』『人生を〈半分〉降りる』『カントの人間学』『うるさい日本の私』『愛という試練』『悪について』『私の嫌いな10の人びと』『「死」を哲学する』『観念的生活』『カントの読み方』などがある。


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