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ゆらぐ脳
ゆらぐ脳

○著者: 池谷裕二/木村俊介
○出版: 文藝春秋 (2008/7, 単行本 256ページ)
○価格: 1,300円
○ISBN: 978-4163702506
おすすめ度:4.5
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ときどき明確に思い起こす出来事としての、自転車に乗って横断歩道を走行していたぼくが信号無視の自動車にはねられた交通事故。幸いなことに、救急車で運ばれたものの打撲と擦過傷で1日だけ仕事を休んで、翌日からは包帯を巻いてビッコをひいた状態で通院しながらも出勤できる程度のケガだった。ちょうど娘が小学校の入学式の翌日で、ということは、いま娘は中学1年生だから6年前の4月初旬のことで、ということは、いま39歳のぼくが33歳のときの出来事。いまでも根っこの部分では変わっていないとときどき思うんだけど、自己主張がつよくて、チームプレイが苦手で、仕事を抱えこむ傾向にある。一所懸命に仕事に励むことはワルイことではないけれど、ひとりで仕事をしているわけではないし、すべて自分で処理して完結できるわけでもないのだから、そもそもヒトの能力には限界があるし、カンタンにミスを犯すもの(カンペキではない)であることから考えても、仕事を抱えこむことのリスクは避けるべきものでもあろう。そう、交通事故に遭って、それが信号無視の車にはねられるという、ぼくに落ち度がないと言うつもりはないけれど(雨天での傘をさしての走行による不注意?!)、偶然にしては避けることが困難な、「あっ、結構カンタンに事故に遭ってしまうものなんだなぁ」というのがぼくの印象だった。それまでは、ぼくに限って?!は事故に遭うなどということを想像することすらできなかった。いつでも、いつまでもいまある状態が不変のままに継続しつづけて、などと言ったら大袈裟かもしれないけれど。だから、ぼくが仕事を抱えこんで非公開にしていても、誰にも迷惑をかけることがないと信じて疑うことがなかった。いつでも、いつまでもぼくは変わらずありつづけるという前提のもとに。
その前提がカンタンに覆されたのだからショックだった。交通事故に限られず、なんらかの偶然によって生じる出来事は、考えれば考えるほどに否定できず可能性は拡大する。

「スンクス(Suncus murinus)嘔吐」  松木則夫(東京大学大学院薬学系研究科教授)HPより


≪目次: ≫
はじめに (木村俊介)
第一章 脳を分かる
第二章 脳を伝える(サイエンスの評価は論文の成否に左右されます。
第三章 脳はゆらぐ

あとがき (二〇〇八年夏 日本橋にて 池谷裕二)
参考文献 BIBLIOGRAPHY


≪著者: ≫ 池谷裕二 (いけがや・ゆうじ) 1970年、静岡県生まれ。東京大学理科一類に入学するが、「脳に対する薬の作用」に強く惹かれ、同大学薬学部に進学、海馬の研究により薬学博士号を取得。コロンビア大学生物科学講座客員研究員などを経て、現在、東京大学大学院薬学系研究科准教授。著書に『進化しすぎた脳』(講談社)『海馬』(新潮社・糸井重里氏との共著)などがある。

≪著者: ≫ 木村俊介 (きむら・しゅんすけ) 1977年、東京都生まれ。「週刊文春」で「仕事のはなし」を連載中。著書に『奇抜の人』(平凡社)、単行本構成に『海馬』(池谷裕二・糸井重里/新潮文庫)、『イチロー262のメッセージ』(ぴあ)、聞き書きに『調理場という戦場』(斉須政雄/幻冬舎文庫)、『芸術起業論』(村上隆/幻冬舎)などがある。

池谷裕二、糸井重里『海馬 脳は疲れない』(新潮文庫、2005)
池谷裕二『進化しすぎた脳』(ブルーバックス、講談社、2007)