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ドン・キホーテの旅―神に抗う遍歴の騎士 (中公新書)
ドン・キホーテの旅 神に抗う遍歴の騎士 (中公新書1672)

○著者: 牛島信明
○出版: 中央公論新社 (2002/11, 新書 221ページ)
○価格: 798円
○ISBN: 978-4121016720
おすすめ度:4.0
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たとえば、誰か他人に話をすることによって打ち明けて胸のうち(の、わだかまりみたいなもの)を吐露して、みずからがいま抱えている問題や不安、不平や不満を、解消する(放散させる)方法って、イッパンテキによく採用されてるんじゃないかなぁ。本質的な部分として(そこまで根柢まで問うことは多くなであろうとは、みずからをふりかえるに)、どうであるかをともかくとして、目の前にぶらさがって気になって目障りな状態の除去にたいする効果としては、ちいさくないであろう。もっとも、対人関係に不安をいだいているぼくが採用することはないのだが、その心理を理解できないものではない。そう、ぼくには上手く対応できる気がしないのだから、無理をしてまで他者との依存関係を、ギブアンドテイクの関係のバランスに苦心してまで(フツーはそんなことを考えないんだろうけど)採用する気が起きない。結果的に、みずから判断をくだして、だれにも相談することなく(あぁ煩わしいメンドクサイ)



ドン・キホーテといえば、風車に突進するあの騎士かと、誰もがイメージを浮かべることができる。本書は、作品の全体と細部を丹念に読み解きながら、われらが遍歴の騎士の魅力に新たな光を投げかけるものである。従者サンチョ・パンサはもちろん、イエス・キリスト芭蕉フーテンの寅さんらを招き、この、人間の想像力が生みだした最高の果実をより深く味わおうというのである。愉快で斬新なドン・キホーテ入門の決定版。


≪目次: ≫
はじめに
第1章 『ドン・キホーテ』誕生――セルバンテスの異常な生涯    異常な生涯/驚くべき資料の発見/レパントの片手男/アルジェでの虜囚生活/挫折した劇作家/請願書/牢獄で生まれた小説/検閲官による「許可文」/完結した貧窮生活
第2章 どんな小説なのか――食後の会話にふさわしい文体    神が退場した宇宙/四〇〇字詰め原稿用紙三〇〇〇枚/変質してゆく狂気/対話の書/本物の冒険を前にして/「もっとも残忍な書」/同時代の反応/コペルニクス的転回/周到な作意
第3章 何が新しいのか――男性中心主義からの脱却    シデ・ハメーテのアラビア語原典/植字工をも引きずりこむ/メタフィクション性/断固たる批評能力/アイロニーとユーモアに満ちた文学空間/『ドン・キホーテ』におけるフェミニズム/パロディーの機能/性的挿入の暗示/男らしさを欠いた騎士/意識的な女性たち/美貌のマルセーラ/男性中心の社会規範を拒否
第4章 パロディーの饗宴――イエス・キリストとドン・キホーテ    素材としての聖書/『ドン・キホーテ』と福音書/ドン・キホーテ=キリストの構図/書き記されたことを実現するための〈生〉/現実との呪われた関係
第5章 世界大劇場――神々しい狂気    幼児+青年+老人/自作自演の役者/「わしはなんとしても狂人でいるのじゃ」/ふりから本気へ/神々しい狂気/世界大劇場/神をも畏れぬ演技/他者を求める騎士
第6章 サンチョ・パンサの冒険――〈生〉の創出    「夫婦のような関係」/民衆知の化身/魔法の機能/サンチョの重層性/物欲とエゴイズム/主人への愛/ドン・キホーテの臨終におけるサンチョ/意志することのリアリティ/ドン・キホーテのサンチョ化とサンチョのドン・キホーテ化/人間の可変性/相互浸透/主体生成の場
第7章 旅人ドン・キホーテ――全世界を異土とする遍歴の騎士    〈道〉のなかにあったセルバンテス/〈道〉にあって〈道〉を拓く/時空超越の旅/同行二人/郷里からの離脱/遍歴の騎士を擁護する長広舌/全世界を異土とする
第8章 ポエジーに命を賭ける――芭蕉とドン・キホーテ    文学を生きる旅人/古人との出会い/風狂と道狂/幻影を見る力/遊行柳と風車/創造へ向けての旅
第9章 旅浪のアンチ・ヒーロー――フーテンの寅さんとドン・キホーテ    新しい人/アンチ・ヒーローの誕生/寅さんとの類似性/夢見る放浪者/美しい女性にたいする憧憬・崇拝/言語運用の達人/風体・気質/善意に基づくおせっかい/場あたり性/ルネサンス的近代/ポスト・モダンの人、ドン・キホーテ
第10章 題名の謎――人格とは何か    フル・タイトル/郷士+騎士=ドン・キホーテ/機知の機能/いつ騎士になったのか/成就した変身/シミュレーション/意識的擬装/習慣と化した演技、すなわち人格
あとがき (二〇〇九年中秋 牛島信明)


≪著者: ≫ 牛島信明 (うしじま・のぶあき, 1940-2002) 1940年(昭和15年)大阪に生まれる。東京外国語大学スペイン語学科卒業。マドリード大学大学院修了。東京外国語大学外国語学部教授などをへて、琉球大学教授。著書、『スペイン古典文学史』(名古屋大学出版会)、『反ドン・キホーテ論』(弘文堂)。訳書、『ボルヘスとわたし』(ホルへ・ルイス・ボルヘス著、新潮社)、『弓と竪琴』(オクタビオ・パス著、ちくま学芸文庫)、『ドン・キホーテ』(セルバンテス著、岩波文庫)、『スペイン中世・黄金世紀文学選集』(責任編集・訳、図書刊行会)、『血の婚礼』(ガルシーア・ロルカ作、岩波文庫)、『セルバンテスまたは読みの批判』(カルロス・フェンテス著、水声社)、『セルバンテス短篇集』(セルバンテス著、編訳、岩波文庫)、『インカ皇統記』(インカ・ガルシラーソ・デ・ラ・ベーガ著、岩波書店)、『ハーブと影』(アレッホ・カルペンティエール著、新潮社)。





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