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マグヌス
マグヌス  Sylvie Germain; “Magnus”, Albin Michel, Paris, 2005.

○著者: シルヴィー・ジェルマン、辻由美
○出版: みすず書房 (2006/11, 単行本 221ページ)
○価格: 2,730円
○ISBN: 978-4622072553
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断片(フラグマン)が、なぜか小説の始まりは「2」からで、終盤で「1」と「0」が登場する「29」までと、さいごを「?」、とすると総計31、などと数学的?!な解釈でいうならば、さいごの「?」は「∞(無限大)」とか「n+1のn」?!とか、数えられない、終わらない、、、そう、小説には、終わりがないものではないけれど(かならず終わりがくる)、たしかに終わりがきて、ひとつにはそこで終わる(The end)。小説が、文字で書き記して本の体裁を成して、読者に読まれるモノである以上は、どうしたって限りがあって、かりに物語を終えないとしたとしても、絶対的な終わりを迎えないわけにはいかない、物質的なひとつの作品(物体、個体)としての有限性?!


マグヌスは、ぬいぐるみのクマの名前。五歳で記憶喪失におちいった男の子は、このクマを肌身離さず持っていた。ナチス党員の父親は、敗戦後も逃げのびて、単身メキシコへ逃亡、自殺を遂げる。そして生活に疲れた母もまた……。しかし、大人の都合で何度か名前を変えさせられた男の子の過去は、嘘とつくり話で塗り固められたものだった。そこから彼の長い旅がはじまる。舞台はドイツからイギリス、さらにメキシコ、アメリカへ。
驚異的な記憶力をもち、数ヶ国語をあやつる彼だが、自分はいったい誰で、どこからきたのかもわからず、本当の名前を知らない。マグヌスだけが唯一の過去の証し。読む者の予想を裏切りながら、ドラマチックに進んでゆく物語の底には、さまざまな小説的興奮が潜んでいて、「小さな本なのに、十冊も読んだようなこの印象はどこからくるのだろう」と評されている。ますます注目される《高校生ゴンクール賞》を2005年に受けた、ベテラン作家シルヴィー・ジェルマンの最新作。


≪目次: ≫
マグヌス  Magnus, 2005.』
序奏(ラヴェルチュール)/断片(フラグマン)2/注記(ノチュール)「マグヌス MAGNUS」/断片3/続唱(セカンス)「森の夜の歌」フランツ・シューベルトの合唱曲、ヨハン・ガブリエル・ザイドル作詩/断片4/注記「フリードリヒスハーフェン市」/断片5/注記「シュヴァルベンコプフ・ヘルムート」/断片6/注記「ドゥンケルタル・クレーメンス」/断片7/注記「シュマルカー家の家系」/断片8/続唱 パウル・ツェラン『死のフーガ』/断片9/注記「熊」「雄羊」/断片10/続唱 フアン・ルルフォペドロ・パラモ』/断片11/注記 ファビエンヌ・ブラデュ『パラモのこだま』/断片1「ソドムとゴモラ」/注記 W・G・ゼーバルト『博物学の要素としての破壊について』、スティーグ・ダーゲルマン『ドイツの秋』/断片12/続唱 フアン・ルルフォペドロ・パラモ』/断片13/こだま/断片14/続唱 マーティン・ルーサー・キングバーミングハム刑務所からの手紙」1963年4月16日、シャルロット・デルボ『無用な知識』/断片15/続唱 トマス・ハーディ「ともに待つ」/断片16/反響(レゾナンス)/断片17/反響/断片18/続唱 ジュール・シュペルヴィエル「太陽」、『無実の囚人』より/断片19/続唱 ウィリアム・シェイクスピア『リア王』第3幕1場、2場/断片20/人物記(エフェメリード)「ディートリッヒ・ボンへッファー」/断片21/続唱 ジュール・シュペルヴィエル「灰色の中国牛が……」、『無実の囚人』より/断片22/反響/断片23/注記/断片24/反響/断片25/こだま/断片26/続唱 マッティアス・ヨハネセン『感触』/断片27/連祷(リタニー)/断片28/挿入記(アンテルカレール)/断片0/重ね書き(パリンプセスト)ブラツラフのラビ・ナハマン、ラビ・シェム・トーヴ・イブン・ガオン、ブラツラフのラビ・ナハマン/断片29/断片?

訳者あとがき (二〇〇六年十月  辻 由美)


≪著者: ≫ シルヴィー・ジェルマン Sylvie Germain 1954年生まれ。フランスの作家。エマニュエル・レヴィナスのもとソルボンヌで哲学を専攻し、哲学博士号を得る。文化省勤務のかたわら創作活動に入る。1985年に発表した処女作『夜の本』は書評家たちの絶賛をあつめ、グレヴィス賞をはじめ六つの文学賞を受賞。1986年から1993年にかけてプラハに住む。作品に『怒りの日々』(1989、フェミナ賞)、『愛うすき人びとの歌』、『無限』など、いずれも高い評価をうけて、20数カ国語に翻訳されている。本書『マグナス』は2005年度の「高校生ゴンクール賞」受賞作として大きな話題となった。

[訳者] 辻 由美 (つじ・ゆみ) 翻訳家・作家。著書『翻訳史のプロムナード』(1993、みすず書房)、『世界の翻訳家たち』(1995、新評論、日本エッセイストクラブ賞)、『カルト教団太陽寺院事件』(1998、みすず書房)、『図書館で遊ぼう』(1999、講談社現代新書)、『若き祖父と老いた孫の物語――東京・ストラスブール・マルセイユ』(2002、新評論)、『火の女シャトレ侯爵夫人――18世紀フランス、希代の科学者の生涯』(2004、新評論)、『街のサンドイッチマン――作詞家宮川哲夫の夢』(2005、筑摩書房)ほか。訳書 ジャコブ『内なる肖像』(1989、みすず書房)、ダルモン『性的不能者裁判』(1990、新評論)、ヴァカン『メアリ・シェリーとフランケンシュタイン』(1991、パピルス)、メイエール『中国女性の歴史』(1995、白水社)ほか。


フィリップ・グランベール 『ある秘密  Philippe Grimbert: “Un secret”, 2004.』(野崎歓訳、新潮クレスト・ブックス、2005年) '10/10/19
ハンナ・アーレント 『イェルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告  Hannah Arendt,: “Eichmann in Jerusalem: A Report on the Banality of Evil”, 1965.』(大久保和郎訳、みすず書房、1994年、1969年) '09/02/19





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