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古代ポンペイの日常生活 (講談社学術文庫)
古代ポンペイの日常生活 (講談社学術文庫1986)

○著者:本村凌二
○出版: 講談社 (2010/3, 文庫 320ページ)
○価格: 1,050円
○ISBN: 978-4062919869
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たとえば、セルバンテスの『ドン・キホーテ』における従者サンチョ・パンサは、文字を読み書きすることはできないのだけれど、ことわざや古くからの言い伝えのたぐいを、運用の正誤を問わずに数多く知っている、ことあるごとに口をつく。もっとも、主人のドン・キホーテにはそのことを咎められるのだが。そう、届いた手紙であったり通達や物語みたいなものは、人びとが集まったところで、文字を読める人に声に出して読み聞かせてもらう(書いてもらう)、みたいな光景は描写は、ロシアの文豪ドストエフスキーあたりにも見うけられる(ハズだ)。逆説的にはなるのだが、果たしてみんながみんな文字を読み書きできる(識字)必要があるのかどうか?!、などと考えるには。もちろん文字の文化?!としての有効性であり、その効用を否定するものではないけれど
古代ポンペイの、およそ2000年前の町の「落書き」たちは、なんだかいまでもときどき公衆便所やらで見かけなくもないような、けっこう下世話なものまで載録されちゃう、日常生活♪


紀元七九年、ヴェスヴィオ山大噴火によって埋もれたポンペイ。剣闘士の死闘に熱狂した闘技場、人口一万の町に百二十軒もあった居酒屋、優雅な邸宅、娼家の小部屋…… その壁や柱に、愛を語らい性を謳歌し、選挙で友を応援して商売敵を罵倒する「落書き」が残されていた。集大成された文字史料の解読から、古代ローマ人の生活風景を鮮やかに再現する。


≪目次: ≫
プロローグ    ヌケリア人の反乱/ポンペイ――都市形成の歴史
第一章 大噴火と発掘の歴史    悲劇の予兆と運命の日/大プリニウスの最期/火砕流の襲来/埋もれた都市の記憶/蘇るポンペイ――ポンペイ発掘史/「王の発掘」の時代/ゲーテと「マダム・ポンペイ」/イタリア統一と科学的発掘の開始――甦る古代の生活/科学的発掘の新段階――探究される町の起源と発展/未来の世代への配慮――発掘から遺跡の保存・修復へ
第二章 友に、公職を!    ポスター代わりの落書き広告/選挙で選ばれた二人委員と造営委員/パトロネジ――親分・子分の関係による支配/同業組合による推薦文/農夫や風呂焚き仲間まで活動を/宗教集団、ファン・クラブに同好会も/飲み仲間のユーモア/「隣人」とは選挙区の住民か/庇護民と居酒屋のマダム、ホステスも/消された応援者の名前
第三章 公務にふさわしい人びと    判断力より品性が卑しくないこと/激しい選挙戦か、形式的な無風選挙か/都市参事会の役割/「参事会の同意」と共和政の理想/財力と弁論術で公職の道へ/専門の職人が描いた選挙ポスター
第四章 民衆は見世物を熱望する    パンの配分から円形闘技場の建設まで/新しい富裕階層の登場/財力と度量で見世物を提供/野獣狩りに香水散布まで/「興行王」ニギディウス/観客を興奮させる演出/よく戦えば敗者でも助命/奴隷や重罪人が剣闘士に/貴婦人の恋人/女心をときめかせる死のエロティシズム
第五章 喜怒哀楽の生活風景    貸家広告を解読する/公共の場所に書かれた落書き/自宅、貸家や寝台にも/家族の無事を願い、仕事仲間に挨拶も/商売繁盛と招福祈願/落書きされた罵詈雑言/同性愛者・無能者への嘲笑/浴場や酒場の憩いの場で/呑助と呼ばれた皇帝/飲んで騒いで今宵もお開き
第六章 愛欲の街角    愛の女神を守護神にして/皇帝ネロに見そめられた悲劇/求愛者のため息、愛の讃歌/二人の逢瀬の印を残す/想像をかきたてる落書き/居酒屋の女給をめぐる言い争い/愛を告白する女性たち/娼家の壁に残る落書き/居酒屋の二階で客をとる/愛欲を叫びながら韻をふむ/嵐が過ぎ去り別れの時が
第七章 文字を学ぶ    野外の仮設教室で/アルファベットからイソップ寓話集へ/声に出して道徳訓や早口言葉を/ローマ建国叙事詩も替え歌に/民衆の心をとらえた愛欲の詩人/修辞学を学ぶ者の深淵な詩句/ギリシア語で回文遊び
第八章 落書きのなかの読み書き能力    ラテン語ばかりかギリシア語の落書きも/読み書き能力の三段階/阻害要因から識字率を推定する/知りうることを前提にしたポスター/視覚に訴える表象として/略号、連結文字を重ね音読する/誤記も方言も音の表記から/確かな読み書き能力がある者も/哀歌もどきの落書き/ローマにこがれる旅人の創作詩/識字能力が最も反映される落書き/売春宿の常連客が残した生の声/親方から職人まで落書きを/民衆の多くがおぼつかないながらも読み書き能力を
エピローグ――人類史のなかの識字率

あとがき
学術文庫版へのあとがき

参考文献

※本書は、二〇〇四年九月、小社より刊行された『優雅でみだらなポンペイ』を改題し、原本としたものです。


≪著者: ≫ 本村凌二 (もとむら りょうじ) 1947年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修了。文学博士(西洋史学)。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授。専攻は古代ローマ史。主な著書に『薄闇のローマ世界』『ローマ人の愛と性』『馬の世界史』『多神教と一神教』『地中海世界とローマ帝国(興亡の世界史)』などがある。欧文学術誌“KODAI:Journal of Ancient History”編集長。






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