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蕩尽する中世 (新潮選書)
蕩尽する中世 (新潮選書)

○著者: 本郷恵子
○出版: 新潮社 (2012/1, 単行本 254ページ)
○定価: 1,365円
○ISBN: 978-4106036965
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中世400年


わが国の中世は、地方から吸いあげた富を蕩尽することから始まった。過剰なまでの消費を支えた政治・経済システムとは一体どんなものだったのか。平氏の物流戦略、知識人の清貧礼讃、鎌倉御家人の複雑極まる金融操作、そして悪党の経済力の本質とは? 「蕩尽」という一見非合理な消費性向に着目し、院政期から応仁の乱に至る400年の流れを見つめ直す。


≪目次: ≫
はじめに

第一章 限りなく消費する――院政期
受領のユートピア
めでたいもの尽くし/不老不死から金の真砂(まさご)へ/受領は倒るるところに土をも掴め/利仁(りじん)将軍の芋粥/白河院と受領/天下の過差
中世はどのように始まったのか
「幽玄の境」から政治の主導者に/荘園整理令――中世的文書(もんじょ)主義のさきがけ/ナンデウ文書カハ候ベキ/延久の宣旨枡/舅と婿/受領と主人/母系から男系へ
後白河院と今様の世界観
後白河院と『梁塵秘抄』/武者の世/遊女・傀儡(くぐつ)・白拍子(しらびょうし)/交錯する視線/蒔絵師宅を訪問する

第二章 財貨をいかに徴収するか――武家社会の始まり
国務と目代
傀儡の目代/『医心方(いしんぼう)』紙背文書/目代の出自――山木兼隆と二階堂行政
下文と財貨
吉祥天女の下文/猫恐(ねこおじ)の富豪/土佐国が主殿寮(とのもりょう)を訴える/第一の争点――国下(こくげ)か京下(きょうげ)か?/第二の争点――宣旨枡か寮枡か?/国下から京下へ
「中央―地方」関係の転換
諸国条事定(しょこくじょうじさだめ)・公家新制/手形化する富/受領から知行国主へ/京庫の消滅
蕩尽から戦争へ
武装化の時代/保元の乱/平氏政権の構想/受領の最終形態としての平氏

第三章 隠遁文学の思想――鎌倉時代(一)
鴨長明と『方丈記』
旱魃・飢饉・地震/『方丈記』の無常観/鴨長明の「家の履歴書」/隠遁の経緯/鎌倉への旅
『徒然草』の世界
何も持たでこそあらまほしき/妻という物こそ、男の持つまじき物なれ/「そして二人は幸せに暮らしました」で終わらない物語/資産の信託/しろうるりと芋頭(いもがしら)/大福長者のモラル/ふたつの経済圏/饒舌な清貧者

第四章 御家人千葉氏を支える人々――鎌倉時代(二)
弱者は訴える
日蓮の紙背文書/日蓮と富木常忍(ときじょうにん)/富木常忍の仕事/人身支配をめぐる葛藤――下総国吉田郷/名主(みょうしゅ)と百姓――下総国寺山郷/主人と下人/自立と隷属のあいだ――伊賀国久吉名(ひさよしみょう)
千葉氏をめぐる金融―閑院内裏・蓮華王院・大番役―
御家人と公事/了行(りょうぎょう)法師の腹立ち/奔走する代官――肥前国小城(おぎ)郷/小城郷の金融事情/拠点としての京都
千葉氏をめぐる金融―法橋長専の奮闘―
鎌倉の公事/長専の嘆き/田舎へ具して下り候はん/御家人領の構成
不条理を支えるもの
金融業者のモラルと文書の尊重/文書の現物主義/冠者(かじゃ)重吉の場合
浄土の希求、現世の蕩尽
撫民政策と在地の現実/北条重時の思想/北条重時の家訓/内省から行動へ

第五章 悪党の肖像――南北朝時代
夜討・強盗・山賊・海賊
悪党=悪い奴?/後鳥羽院の強盗見物/訴訟用語としての「悪党」
跳梁する悪党
矢野荘悪党寺田法念/瀬戸内海の悪党和泉法眼淵信/淵信の財力/浄土寺の再興/尾道の繁栄と長井貞重
富・力・自由
悪党と有徳人/一括請負と料所(りょうしょ)/悪党とはなにか/過差と逸脱/戦乱の時代へ

第六章 蕩尽から再生産へ――室町時代
収奪から贈答へ
実力主義の限界/寄合(よりあい)の論理/贈与依存型財政
八朔とモノの経済圏
八朔(はっさく)の贈答/愛蔵品と目利き/モノの経済圏
モノをめぐる価値意識
蓮華王院の宝物/古いものと新しいもの/座敷飾りと御物(ぎょぶつ)/東山御物と名物(めいぶつ)

おわりに

参考文献
あとがき (二〇一一年十一月二十七日 本郷 恵子)


≪著者: ≫ 本郷恵子 Hongo Keiko 1960年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学史料編纂所教授(専攻は日本中世史)。著書に『中世公家政権の研究』(東京大学出版会)、『京・鎌倉 ふたつの王権』(小学館)、『物語の舞台を歩く 古今著聞集』(山川出版社)、『将軍権力の発見』(講談社)などがあり、共著に『岩波講座 天皇と王権を考える2 統治と権力』(岩波書店)などがある。

本郷恵子 『将軍権力の発見』(選書日本中世史3、講談社選書メチエ、2010年) '10/12/19





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