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政友会と民政党 - 戦前の二大政党制に何を学ぶか (中公新書)
政友会と民政党 戦前の二大政党制に何を学ぶか (中公新書2192)

○著者: 井上寿一
○出版: 中央公論新社 (2012/11, 新書 260ページ)
○定価: 882円
○ISBN: 978-4121021922




ゆきつもどりつもどりつゆきつ


待望の二大政党時代が到来したのにメリットが実感できない。そうした幻滅の声がしばしば聞かれる。だが歴史を振り返ると、二大政党が交互に政権を担うシステムは戦前にも模索されている。大正末年の第二次加藤高明内閣発足から五・一五事件による犬養毅内閣崩壊までである。政友会民政党の二大政党制が七年足らずで終焉を迎えたのはなぜか。その成立・展開・崩壊の軌跡をたどり、日本で二大政党制が機能する条件を探る。


≪目次: ≫
はじめに

I 政友会――保守政党から包括政党へ
1 政友会の成立
政友会の逆説/山県有朋対伊藤博文/最初のつまずき/外交政策の出発点/国内政策の出発点
2 三人の総裁
原敬/高橋是清/田中義一
3 外交政策
対欧米協調外交/ワシントン会議/軍部批判=対欧米協調/日中経済提携
4 国内政策
通商国家路線/生活様式の合理化/第五〇回通常議会

II 民政党――新党の理念と政策
1 反政友会の新党=民政党
民政党の結成/民政党のアイデンティティ/発足時の民政党の構成/総裁選出
2 基本理念
〈進歩〉と〈自由〉/五ヵ条の「政綱」/斎藤隆夫の田中内閣批判/「軍閥外交の再来」/民政党の弱点
3 国内政策
「七大政党」/無産政党への接近/地方議会選挙の洗礼/石橋湛山の評価/緊縮政策
4 外交政策
民政党と近衛文麿/戦後国際秩序――受容と反発/中国をめぐる日米関係/ジュネーヴ海軍軍縮会議/田中外交批判

III 二大政党制の展開
1 民政党の攻勢
普選実施を前に/田中外交の失策/第一回普選の結果/不戦条約問題/床次脱党問題
2 守勢に立つ政友会
田中内閣の初期対応/外交政策/国内政策/石橋湛山の判断/満州某重大事件
3 「憲政の常道」=二大政党制
浜口内閣の成立/幣原外交/井上財政
4 政友会の反転攻勢
総選挙の敗北/原点に戻る/三ヵ条の「新経済政策」/再び立ち向かう政友会

IV 二大政党制下の政策争点
1 協調外交
軍縮問題に対する政友会の立場/板挟みの民政党/統帥権干犯/不平等条約改正問題/幣原外交の勝利
2 恐慌克服政策
世界恐慌下の昭和恐慌/恐慌克服政策の失敗
3 政策論争の基本姿勢
石橋湛山の観察/国会論戦の両面価値/一九三一年に向かって
4 論戦とその帰結
第五九回通常議会と政友会/混乱する議会

V 危機のなかの二大政党制
1 満州事変と二大政党の対応
第二次若槻内閣の対中外交/政友会の批判/民政党内閣=不拡大方針/政友会の対応
2 協力内閣構想から政党内閣の崩壊へ
満州事変の拡大/幣原の反対/協力内閣構想の挫折/協調外交からの逸脱/犬養政友会内閣の成立と民政党/強気の政友会/犬養内閣の崩壊
3 二大政党のファシズム批判
政友会の反ファシズム論/選挙法改正問題/産業五ヵ年計画/政友会の憲政常道論/民政党のファシズム批判/計画経済批判/「挙国一致」内閣の支持
4 対外路線の転換
政友会の対外路線の転換/野党=民政党の対外路線/政友会の対応/民政党の対応/脱退回避のシナリオ/情勢の急転/国際連盟脱退

VI 新しい政党政治システムの模索
1 危機の沈静化と二大政党
政友会の外交政策/政友会のファシズム批判=二大政党制の擁護/民政党の協調外交の修復/挙国一致内閣の擁護/岡田内閣の成立と民政党の対応/「新官僚独裁政治」
2 政民提携論の帰結
二大政党内の二極化/天皇機関説問題/手を切る民政党
3 反ファッショ勢力の再台頭
広田外交の国内基盤/一九三六年二月二〇日総選挙/広田内閣と二大政党
4 近衛内閣の成立
広田内閣の崩壊/一九三七年四月三〇日総選挙/思いがけない結果

VII 二大政党の解党とその後
1 虚構の挙国一致
政友会の党内対立/民政党の対応/近衛内閣と政党勢力の相互誤解/国民健康保険法案/電力国家管理法案/国家総動員法案
2 戦時体制下の「民主」化
政友会の対独接近/政友会の遠心化/民政党の対ドイツ観/戦時体制下の社会の平準化
3 失われた可能性
二つの政友会/斎藤隆夫「反軍演説」の位置/阿部内閣から米内内閣へ
4 政党の解消
政友会正統派の解党/政友会革新派の解党/民政党の解党/大政翼賛会の改組/翼賛選挙

おわりに
二大政党制の過去・現在・未来/第一の類似点/第二の類似点/第三の類似点/歴史の教訓

参考文献リスト
あとがき (二〇一二年一〇月 井上寿一)
関係略年表(1900・明治33年〜1945・昭和20年)


≪著者: ≫ 井上寿一 (いのうえ・としかず) 1956年(昭和31年)、東京都に生まれる。一橋大学社会学部卒業。同大学院法学研究科博士課程、一橋大学助手などを経て、学習院大学法学部教授。法学博士。専攻は日本政治外交史。著書、『危機のなかの協調外交』(山川出版社、吉田茂賞)、『アジア主義を問いなおす』(ちくま新書)、『日中戦争下の日本』(講談社選書メチエ)、『昭和史の逆説』(新潮新書)、『吉田茂と昭和史』(講談社現代新書)、『山県有朋と明治国家』(NHKブックス)、『戦前昭和の社会 1926-1945』(講談社現代新書)、『戦前日本の「グローバリズム」』(新潮選書)、『戦前昭和の国家構想』(講談社選書メチエ)ほか。

井上寿一 『日中戦争下の日本』(講談社選書メチエ、2007年) '12/12/10
井上寿一 『吉田茂と昭和史』(講談社現代新書、2009年) '12/08/21
井上寿一 『戦前日本の「グローバリズム」 一九三〇年代の教訓』(新潮選書、2011年) '12/08/11
井上寿一 『戦前昭和の社会 1926-1945』(講談社現代新書、2011年) '12/07/03
井上寿一 『戦前昭和の国家構想』(講談社選書メチエ、2012年) '12/06/23

坂野潤治 『日本近代史』(ちくま新書、2012年) '12/07/06
瀧井一博 編 『伊藤博文演説集』(講談社学術文庫、2011年) '11/10/31




なぜ戦前の政党政治の歴史と比較するのか――。あらためて以下の三つの理由を確認する。
第一に、日本は二大政党の政治を戦前にしか持っていなかったからである。今は戦後の一党優位体制の歴史よりも戦前政党政治の歴史の方が学ぶべき教訓に満ちている。現在の日本に必要なのは、戦前の二大政党制の歴史的な遺産を継承することである。
 第二に、戦前も今も共通するのが格差拡大社会の問題だからである。戦後の高度経済成長と「一億総中流」意識は、社会の格差縮小をもたらした。しかし今、再び戦前の日本と同様に、社会の格差が拡大している。
 第三に、危機的な状況の類似性である。三・一一東日本大震災後の今の日本は、「非常時」でありながら、「小康」を得ているように見える。この「非常時小康」とは、戦前のある時期の同時代評価である。当時と今を比較することは有用だろう。  (p237-238、「おわりに」)


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