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自閉症スペクトラム障害――療育と対応を考える (岩波新書)
自閉症スペクトラム障害 療育と対応を考える (岩波新書1401)

○著者: 平岩幹男
○出版: 岩波書店 (2012/12, 新書 240ページ)
○定価: 798円
○ISBN: 978-4004314011



高機能自閉症アスペルガー症候群)および言葉の出ないカナー型自閉症は、連続的な一つの障害、自閉症スペクトラム障害と考えられている。発達障害の一つであり、他の発達障害との合併もある。症状の改善をめざす療育の方法と、社会的スキルを上げる訓練方法を解説。就園・就学・思春期から社会人まで、社会適応の道を探る。


≪目次: ≫
まえがき

序 自閉症スペクトラム障害(ASD)とは
診断基準/社会性の障害/コミュニケーションの障害/想像力の障害/こだわり/常同行動・クレーン現象/感覚過敏と感覚鈍麻/発達協調性運動障害(Developmental Coordination Disorder: DCD)

第1部 自閉症発達障害
1 自閉症の診断
乳幼児健診では/さまざまな自閉症の検査/発達検査は必要か/医学的検査は必要か/外来での診断/カナー型自閉症のその後/幼児期の高機能自閉症を疑う/学童期以降の高機能自閉症を疑う/高機能自閉症のその後
2 発達障害
発達障害(developmental disability)とは/発達障害の定義/発達障害の種類/どこまでが発達障害か/セルフ・エスティーム(self-esteem)という目標/障害者自立支援法/発達障害への支援
3 ADHD学習障害――重なりの問題
ADHD(Attention Deficit/Hyperactivity Disorder)とは/二次障害と合併障害/ADHDの治療/将来の職業/高機能自閉症との合併症/学習障害(LD: Learning Disorder)とは/ディスレクシア(dyslexia)/算数障害/将来の職業/高機能自閉症との合併症
◆コラム1「育て方が原因なのでしょうか?」

第2部 療育の基本
4 言葉を話せなくても療育がある
知的障害への個別の対応/子どもをよく見よう/まず考えること/三つのスキル/コミュニケーションは主導権争い
5 療育の考え方
私が療育にめぐり合うまで/療育で大切なこと/サイクルの確立/目線の高さをそろえる/ほめること/とにかく細かく/失敗を少なくすること/指さしできるようにする/言葉を話すということ/発音がはっきりしない/禁止語・命令語をなるべく使わない/無視する、タイムアウト、注意引き/文字を使ってみる/運動のトレーニング/棒のトレーニング/誰が療育するか/家庭での療育的対応の基本/セラピストを使って療育をする/セラピストの選び方
6 さまざまな療育方法
TEACCH/TEACCHとABA/ABA(Applied Behavior Analysis: 応用行動分析)/ABA療育の検証/DTT(Discrete Trial Training: 不連続試行法)/VB(Verbal Behavior: 言語による行動変容法)/PRT(Pivotal Response Training: 基軸反応訓練)/集団への参加――ピア・トレーニング
7 診療の現状
早期発見、早期対応/経過観察ではなく/カナー型の自閉症の診断/診断を受けるリスク、受けないリスク/保護者の気持ち/誰が療育するのか/薬物療法/その他の治療
◆コラム2「ASDは増えているのですか?」

第3部 高機能自閉症への対応
8 社会生活のためのトレーニング
高機能自閉症の診療/SST(Social Skills Training: 社会生活訓練)とは/ほめることは蓄積する/「変な子」「嫌な子」にしない/「ありがとう」ハイタッチ/ほめ上手とほめ下手/SSTの進め方
 (1) 基本的なこと
質問に答える練習/指示は具体的に/問題行動の見方/自分で説明させる/実行のモチベーションを上げる/テンションコントロールとカウントダウン/スケジュールの可視化とごほうび/「まあいいか」
 (2) 会話とあいさつ
あいさつ/声のボリュームコントロール/会話を連続的に/課題を連続的に/音読と独り言への対応/世の中はイエスよりもノーが大切
 (3) いろいろな方法
三行日記/順番とルールの習得/シールを三枚/距離感をつかむ/がまん貯金/計画的にお金を使う/初めての場面/学業的スキルを上げる/資格を取る
9 就園と就学
集団への参加/いつから就園するか/縦割りか横割りか/自由保育か設定保育か/園の規模/「からむ」から「つるむ」へ/話してから入るか、入ってから話すか/【幼稚園に出す手紙の例】/就学への流れ/就学ということ/ABA療育と就学/就学猶予/特別支援教育/事前相談/【学校への手紙の例】/小学校の時代
10 思春期から成人期まで
課題を抱えやすい子、抱えにくい子/才能や適性を見つける/思春期の問題/進路の選択/職業の選択/成人の問題/不登校/不登校の原因/ひきこもり/いじめ/学業不振/性の問題/うつ病/パニック障害/強迫性障害(obsessive and compulsive disorder)/選択性緘黙(selective mutism)
11 そのほかのヒントとまとめ
ASDはその人のすべてではない/障害者手帳/サポートブック/告知と受容/カミングアウト/最終目標/将来の課題
◆コラム3「ASDの遺伝子は見つかっていますか?」

参考図書
自閉性障害およびアスペルガー障害の診断基準
あとがき

用語索引


≪著者: ≫ 平岩幹男 (ひらいわ・みきお) 1951年戸畑市(現北九州市)生まれ、東京大学医学部卒業。医学博士。三井記念病院、帝京大学医学部、戸田市立医療保健センターを経て、2007年 Rabbit Developmental Research 開設。日本小児保健協会理事、日本小児科学会監事、埼玉小児保健協会会長を務める。東京大学医学部非常勤講師。2003年母子保健奨励賞、毎日新聞社賞を受賞。著書に、『みんなに知ってもらいたい発達障害』(診断と治療社)、『幼稚園・保育園での発達障害の考え方と対応:役に立つ実践編』(少年写真新聞社)、『発達障害:子どもを診る医師に知っておいてほしいこと』(金原出版)、『あきらめないで! 自閉症:幼児編』(講談社)など。
著者が代表を務めるサイト:自閉症療育と幼児早期教育の広場(http://autism-park.sunnyday.jp/)






……自閉症の名前の由来は、一九四三年にアメリカのレオ・カナーが最初に報告したときに autism と命名したことによります。autism はギリシャ語の autos(自我)に由来しています。カナーの報告では、自閉的孤立と同一性保持への欲求が障害としての中心とされていましたが、認知能力は比較的よいことも記されています。……
 昭和二〇年代後半から三〇年代初めにかけて、わが国にもこの概念が入ってきました。このときに、「自我に閉じこもる」ということで、「自閉症」という名前がつけられ、現在に至っています。   (pi、「まえがき」)

……発達障害とは何かという……概念的な定義として、私は
 「発達の過程で明らかになる行動やコミュニケーションなどの障害で、現在では根本的な治療はないけれども、適切な対応をすることによって社会生活上の困難は軽減される障害」
と考えています。「困難の軽減」とは、障害を直ちにゼロにできるということを意味しているわけではなく、少しずつ段階を経て減らしていくことができると考えています。子どもたちから成人まで、抱えている社会生活上の困難があれば、それを軽減するために何もできないということは、私の経験ではまずありません。   (p41-42、「2 発達障害」)

 「まあいいか」
 高機能自閉症を抱えていると、勝ち負けにこだわったり、黒白はっきりしないと気がすまなかったりということもよくあります。妥協が苦手で、「まあいいか」と考える発想すらないことがあります。特に負けたときにそれを認めることができないと、しばしば対人関係にひびが入ります。
 まず「じゃんけん」からです。当然勝ったり負けたりしますから、負けたときに「まあいいか」と言う練習です。こちらが負けたときには、すぐに「まあいいか」と言います。「まあいいか」という言葉の意味はわかっているので、数週間かかることが多いものの、そのうちに「まあいいか」が言えるようになってきます。じゃんけんでできるようになったら、トランプやすごろくなどやや複雑なゲームに挑戦し、負けたら「まあいいか」を続けます。こうした練習はできれば就学前にしておきたいものです。学校生活でのトラブルも減ります。
 勝つまでやめないと考えてパチンコを続け、経済的に破綻した成人の方を拝見したことがあります。こうした場合には、やはり「まあいいか」の感覚がないようです。記録をつけてもらい、勝つことも負けることもあることを再認識してもらうことから始めましたが、わかるまで数か月かかりました。   (p140-141、「8 社会生活のためのトレーニング)



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