ブログネタ
読んだ本♪♪ に参加中!
小さな建築 (岩波新書)
小さな建築 (岩波新書1410)

○著者: 隈 研吾
○出版: 岩波書店 (2013/1, 新書 224ページ)
○定価: 756円
○ISBN: 978-4004314103



強く合理的で、大きなシステム


強さをめざして進化してきた大きなシステムは、大災害の前にもろくも崩れ去る。大きな建築にかわる小さく自立した「小さな建築」は、人間と世界とを再びつなげられるだろうか。小さな単位を「積む」、大地に「もたれかかる」、ゆるやかに「織る」、空間を「ふくらます」。歴史を振り返りつつ最新作を語り、斬新な発想から建築の根源を問う。


≪目次: ≫
はじめに――悲劇から始まる建築史
リスボン大地震/ヴィジオネールからモダニズムへ/ロンドン大火とナポレオン三世のパリ/シカゴ大火と高層ビル/シカゴ派と大きな建築/関東大震災と東京の変貌/3・11と小さな建築/予兆

積む
小さな単位
大きなシステムへの疑い/小さな単位/中華料理のサイズコントロール/レンガという単位
水のレンガ
単位をつなぐ方法/取り返しのつくシステム/デンタルショー/待っていても何も起こらない/初代ウォーターブロック/民家の再生
小さな住宅――ウォーターブランチ
ニューヨーク近代美術館から/一九三二年モダン・アーキテクチュア展/住宅問題/住宅ローンの発明からリーマン・ショックまで/ハウス・ディリバリー展/ウォーターブランチ/ウォーターブランチに水を流す
流れ、自立する建築
生きている建築/生物は機械ではない/機械としての二〇世紀建築/建築の縦割りを壊す/3・11とインフラに依存する建築/自立する建築/小さいほど世界は大きい

もたれかかる
強い大地にもたれかかる
建築の寄生的本質/建築の弱さと依存/ラメラ構造対カルテジアングリッド
生物的建築――アルミと石の「もたれかけ」
メタボリズム運動/大きすぎたカプセル/逃げが作るゆるい形/フィレンツェの薄い石の「もたれかけ」/高岡金屋町のアルミのもたれかけ/アルミだけでできた「小さな建築」
蜂の秘密――ハニカムが生み出す空間
無骨でたくましい韓流建築/建築構造の肥大化/韓流の時代/ハニカムの韓流障子/ペーパースネーク/アルミのハニカム/銀座ティファニーの改修/やどり木でビルを覆う/グラナダ・オペラハウス/屋根の秘密

織る
木を織る――「千鳥」のミュージアム
ゼンバーと民俗学/原型としての織物/「積む」から「織る」へ/ミラノ・サローネ/飛騨高山に伝わる「千鳥」/スフォルツァ家の中庭/千鳥で作った「小さなミュージアム」/現代の大仏様/太宰府のスターバックス/「斜め」だけの空間
雲のような建築――タイルを織る
イタリアでタイルを織る/雲のような建築/上海の三軸織/三軸織の布
カサ・ペル・トゥッティ――フラードームから傘のドームへ
大災害の時代/フラーが夢見た民主的建築/フラー・ハウスという大きな商品/イームズの通販型の「小さな建築」/ドームの夢/傘のドーム/魔法の構造体/フラーのテンセグリティー

ふくらます
フランクフルトのふくらむ茶室
フランクフルト工芸美術館/自然素材を使わない茶室/セキュリティと開放性のはざま/利休の「小さな」待庵
空間を回転し、開く
膜の建築の三つのタイプ/二重の膜で建築を支える/茶室空間の二重性/待庵の水屋/ユニバーサル・スペース/ポストモダニズム/回転する建築/開かれた洞窟

あとがき

図版出典・写真撮影者一覧

≪著者: ≫ 隈 研吾 (くま・けんご) 1954年、神奈川県生まれ。東京大学大学院建築学専攻修了。コロンビア大学建築・都市計画学科客員研究員などを経て、1990年、隈研吾建築都市設計事務所設立。東京大学工学部建築学科教授。著書に、『10宅論』(トーソー出版、ちくま文庫)、『建築的欲望の終焉』(新曜社)、『新・建築入門』(ちくま新書)、『反オブジェクト』(筑摩書房)、『負ける建築』 『対談集 つなぐ建築』(岩波書店)、『場所原論』(市ヶ谷出版社)など。







 建築をゼロから考え直してみようと思った。
 きっかけは東日本大震災である。あらためて歴史を振り返ると、今まで気がつかなかった、重要なことに気がついた。大きな災害が建築の世界を転換させてきたという事実である。建築史を動かしてきたのは、画期的な発明や、技術の進歩などの幸福な出来事ではなかった。大きな災害に遭い、生命の危険を感じたとき、人間という生物は、頑丈な巣に頼ろうとする習性がある。人間の身体が華奢で、動きが遅いこととも関係がある。鳥や魚のように動きが速いものは、巣への依存が低い。しかし人間は弱く、遅かった。だから巣に頼る癖があった。建築に依存する癖があった。
 幸福なときの人間は、過去の行動を繰り返しているだけで先に進もうとしないが、災害に遭ったとき、悲劇にうちのめされたとき、人間は過去の自分を捨てて前へと歩きはじめる。……   (p1、「はじめに――悲劇から始まる建築史」)



人気ブログランキングへ