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荻生徂徠「政談」 (講談社学術文庫)
荻生徂徠 「政談」 (講談社学術文庫2149)

○著者: 荻生徂徠尾藤正英 抄訳
○出版: 講談社 (2013/1, 文庫 368ページ)
○定価: 1,155円
○ISBN: 978-4062921497




悪魔の統治術か。近代的思惟の先駆けか。
江戸の〈病理〉に立ち向かった、日本近世思想史の巨人による政策提言集。

開闢(かいびゃく)以来第一の人物と同時代人に称賛された日本近世思想史の巨人、徂徠。将軍吉宗の下問に応えて彼が献上した極秘の政策提言書には悪魔的な統治術の数々がしたためられていた。反自由・反平等思想の表れか。近代的思惟の先駆けか。それは江戸の現実と病理に立ち向かった実践的思索の集積であった。いまも論争を呼ぶ経世の書を平明な現代語で読む。


≪目次: ≫

巻一
国を治める方法の根本/江戸の町中ならびに武家屋敷の取締りのこと/出替り奉公人の取締りのこと/旅人を滞在させるについての取締りのこと/戸籍のこと/路引のこと/浪人ならびに道心者の取締りのこと/遊女と河原者ならびに乞食の取締りのこと/譜代者のこと/武家の旅宿の境界を改めること/海路の取締りのこと

巻二
経済政策の重要性/せわしい風習を改めるべきこと/礼法の制度が現在はないこと/幕府の財政のこと/諸大名の困窮を救うこと/旗本・御家人の困窮を救うこと/物価のこと/金銀の数量が減少したこと/貸借のこと/礼法の制度のこと/武家が米穀を貯蔵すること

巻三
人の処遇、および官位・爵禄・勲階のこと/頭・助・丞・目のこと/諸役人の統属関係や職務分担のこと/諸役人の才徳を見分けること/代官の職のこと/旗本諸役人の人材登用のこと/諸役人には器量ある者を選ぶべきこと/諸役人の勤務に間暇(ひま)があるようにすべきこと/役職に文武の区別があるべきこと

巻四
番衆の行動に対する制約のこと/法令を統一すべきこと/養子のこと/潰れ大名の家来は郷士とすべきこと/大きな大名は分割すべきこと/結婚した女は夫の家風に従うべきこと/貴賤ともに女の仕事のこと/妾を御部屋と称すること/妾を妻とすること/妾を隠し者とすること/密告のこと/喧嘩両成敗のこと/博奕打のこと/強盗のこと/吉利支丹のこと/田地売買のこと/御文庫の書籍のこと/学問のこと/儒者のこと/医者のこと

補注



国家主義の祖型としての徂徠――尾藤正英
1 白石と徂徠
海保青陵の批評/学者と政治/ライバルとしての二人/将軍継嗣問題/政界への進出/思想上の対立/近代精神の起点/丸山真男氏の徂徠研究
2 徂徠の生涯と著書
家系と父祖/上総へ流謫/学界への登場/柳沢家へ出仕/徂徠の不本意藩邸を出る/古文辞学の成立/仁斎に対する批判/徂徠学の完成/吉宗と接近/晩年の徂徠/徂徠の業績/家庭と性行
3 徂徠の思想の特色
「道」とは何か/先王の道/社会制度としての道/道は作為されたもの/「術」としての道/「道」と人の本性/個人と社会/「道」と「徳」/天命への随順/「物」と言葉/教育論としての「物」/道の普遍性/実証的認識/歴史的認識の方法
4 歴史上における徂徠の位置
儒教の日本化/徂徠学の影響力/日本的特質/公と私/祭政一致の思想/国家主義の源流/近代化の二つの側面


年譜 (一六六六年 寛文六年 一歳 〜 一七二八年 享保十三年 六十三歳)

あとがき (二〇一二年一二月 尾藤正英)

解説 「役の体系」の可能性――高山大毅(日本学術振興会特別研究員)
一 「幻の作品」/二 尾藤正英氏の「役の体系」論/三 徂徠の制度観/四 「徳」の培養装置/「土着」/「譜代の奉公人」


※本書の原本は、一九七四年に『日本の名著 16 荻生徂徠』として中央公論社より刊行されました。文庫化にあたっては、中公バックス版の同名書(一九八三年刊)を底本としました。


≪抄訳者: ≫ 尾藤正英 (びとう まさひで) 1923年、大阪市生まれ。1949年、東京大学文学部国史学科卒業。名古屋大学講師、東京大学助教授、教授、千葉大学教授、川村学園女子大学教授を歴任。東京大学名誉教授。日本学士院会員。文学博士(名古屋大学)。専攻は日本近世史。『日本封建思想史研究』『日本思想体系45 安藤昌益』『日本の歴史19 元禄時代』『江戸時代とはなにか』『日本文化の歴史』など著書多数。







※ 『政談』の内容は、巻一で社会に対する全般的な統制の方法を、巻二では主として経済政策を、巻三では幕府の職制や人事をめぐる問題について、それぞれ体系的に論じており、巻四ではその他の諸問題が個別的に論じられている。したがって本書では巻一、巻二、巻三については、ほぼ全文を現代語訳することを原則としたが、ただその中でも幕府の職制などについての煩瑣な議論は、その一部を適宜省略した。なお巻四については、重要と思われる項目を選択して収録した。 (訳者)   (p9、「目次」)


 すべて国を治めるというのは、たとえば碁盤の面の寸法を測って、縦横の筋をつけるように、全体を見渡した計画にもとづいてものごとを進めてゆくことである。筋のついていない碁盤では、いかに上手な人でも碁を打つことができないのと同じように、無計画ではよい政治はできない。また河川の洪水を防ぐためには、地形を考慮して水が流れやすいように川筋を作らなくてはならない。川筋を作らず、ただ洪水を押えようとするばかりでは、かりに禹王のような治水の名人がふたたび現われたとしても、治水に成功することはない。最近の実例として江戸の火災のことがある。……   (p13、「巻一 国を治める方法の根本」)



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