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天皇と摂政・関白 (天皇の歴史)
天皇と摂政・関白 (天皇の歴史03)

○著者: 佐々木恵介
○出版: 講談社 (2011/2, 単行本 390ページ)
○定価: 2,730円
○ISBN: 978-4062807333




幼帝清和の外祖父、藤原良房から摂関政治は始まった。菅原道真の失脚、醍醐村上天皇の「延喜・天暦の治」、そして道長の栄華。政争の続く平安京内裏を舞台に天皇は「生身の権力者」から「制度」へと変貌していく。王権をめぐる姻戚関係を藤原氏が支配するなかで、天皇のみがなしえたこととは、いったい何かを追究する。


藤原北家はいかにして権力を握ったか? その時、天皇家は?
「天皇の歴史」03巻では、9世紀半ばの文徳天皇から11世紀半ばの後冷泉天皇まで16人の天皇の時代を取り上げます。藤原良房基経の摂政・関白就任から、道長頼通の栄華へと続く藤原北家の全盛時代です。この「摂関政治」は、「藤原氏が天皇の意向を無視して行った恣意的・専制的な政治」と捉えられがちですが、これは「天皇親政」を至上とする戦前の歴史観の影響にほかなりません。本巻では、天皇と摂関を従来のように対立的に捉えるのではなく、天皇と摂関が総体としてどのような王権を形づくっていたのか、そのなかで「天皇のみがなしえたこと」とは何かを見ていきます。

■錯綜する姻戚関係のなかで、皇統が並立するメリットとは?
「皇位継承のルール」が確立していなかったこの時代、藤原氏は「天皇の母方の祖父」すなわち「外戚」の地位を得るために、娘たちを次々と天皇家に入内させました。現代の目から見れば「ここまでやるか!?」というほどの外戚戦略の結果、家系図は複雑になり、皇統は並立します。度重なる謀略と政争の元凶ともいえるこうした危うい状況は、しかし、貴族たちにとっても、天皇家にとっても、実は大きなメリットがあったのです。

■幼帝の誕生と「神器」の継承。現代に連なる「天皇のあり方」。
失脚した菅原道真の怨霊、平将門・藤原純友の乱など、決して「平安」とは言えない、醍醐村上帝の時代は、なぜ後世「延喜・天暦の治」と称されるのでしょうか。また、繁栄を極めたかに見える藤原頼通以後、なぜ摂関政治は衰えるのでしょうか。天皇が「生身の権力者」から「制度」へと変貌し、後の「院政」へと道を開く、約200年間を通観します。


講談社創業100周年記念企画
特集ページ http://www.bookclub.kodansha.co.jp/books/tennou/


≪目次: ≫
カラー口絵・写真
天皇の日常空間 清涼殿/摂関政治と藤原氏の勢威/天皇の御願寺(ごがんじ)

序章 天皇の変貌と摂関政治
摂政・関白と摂関政治/摂関政治への評価/天皇と摂関は対立したか/太上天皇の変質/皇后の変貌/蔵人頭(くろうどのとう)の役割/検非違使(けびいし)の設置/内裏から出なくなった天皇/本書の構成

第一章 摂政・関白の成立と天皇
1 最初の摂政、藤原良房
承和の変/仁明天皇の時代/文徳天皇と良房/太政大臣の性格/太政大臣良房/幼帝清和と外祖父・良房/清和の元服と応天門の変/摂政良房の職務
2 関白基経と阿衡事件
陽成天皇の即位と摂政藤原基経/陽成廃位と光孝擁立/関白の職務「内覧」/宇多天皇と阿衡事件/初期の摂政と関白/天皇個人に直属する摂政・関白
3 光孝皇統の成立と皇太子
皇位継承の方式/群臣の推戴による光孝即位/天皇家と摂関家の「始祖」/皇太子と「藩邸の旧臣」

第二章 「延喜・天暦の治」の時代
1 宇多天皇と「寛平の治」
朝廷・内裏の改革/地方支配と外交政策/藤原時平と菅原道真/『寛平御遺誡(かんぴょうのごゆいかい)』/桓武天皇を指針として/現存最古の天皇の日記/宇多天皇の愛猫
2 道真の怨霊・将門の乱・内裏炎上
菅原道真の失脚/時平から忠平へ/管原道真の怨霊/朱雀天皇と国母穏子/承平・天慶の乱と天皇の軍事大権/村上天皇の宮廷/内裏炎上
3 「延喜・天暦の治」の評価と実態
延喜・天暦聖代観/文人学者の評価/叙位・任官の基準の変化/拠るべき先例の時代

第三章 摂関政治の成熟
1 皇統並立と外戚
冷泉天皇と関白藤原実頼/守平親王立太子と安和の変/円融天皇と師輔の子息たち/雌伏する兼家/内裏の火災の頻発/花山天皇の出家事件/無官の摂政兼家/一条天皇と藤原道隆/一条天皇の成長と道隆の死/皇統並立の「メリット」/摂関と天皇の密着
2 藤原道長と三人の天皇
伊周の失脚/彰子の立后と敦成の誕生/一条天皇と道長/実質的関白としての道長/左大臣との一人二役/一条院内裏/三条天皇と道長の確執/関係悪化し譲位へ/摂関・天皇と生母の関係/後一条天皇と外祖父・道長/東宮の交替と一家三后
3 摂関政治の黄昏
頼通と大殿道長/道長の死とその後の後一条天皇の宮廷/後朱雀天皇と頼通/後冷泉即位と尊仁親王の立太子/外戚政策の破綻/その後の摂政・関白

第四章 王権をめぐる人々
1 太上天皇
王権とは何か/太上天皇の居所と出家/清和太上天皇と陽成太上天皇/宇多太上天皇と朱雀太上天皇/皇統並立期の太上天皇/院政の前提
2 皇后と母后
皇后の不在期/藤原穏子と藤原安子/皇統並立期の皇后/母后と女院/摂関期の内親王/内親王の婚姻の規制緩和
3 蔵人所・殿上人・検非違使
蔵人所の拡充/昇殿制と殿上人/検非違使――王権の警察力/摂関政治全盛期の蔵人/蔵人と太政官/政務処理ルートの変化

第五章 儀式・政務と天皇
1 即位儀礼と「神器」
践祚と即位/譲国儀(じょうこくぎ)と剣璽渡御(けんじとぎょ)/中国風の即位儀/大嘗祭の伝統的要素/皇位継承は前天皇の意思によって/即位儀礼の変化/剣璽の行幸/神器と天孫降臨/神鏡の奇瑞
2 摂関の政務と天皇の政務
除目議の次第/除目議と天皇・摂関/天皇・摂関に人事権が集中/奏上案件の決裁/天皇と定/神鏡改鋳定の議論/内裏再建の御前定/諮問答申型と衆議一決型/政務における天皇と公卿との関係
3 饗宴と君臣関係
節会の種類/節会の構造/十世紀以後の節会/「平座」の増加/饗宴からみた君臣関係の変化

第六章 仏と神と天皇
1 国家の仏事・天皇の仏事
国家的法会/天皇の家の仏事/御願寺(ごがんじ)――仁和寺と醍醐寺/四円寺の建立/僧侶の昇進ルート
2 祭祀と行幸
宮中祭祀と天皇/祈年穀奉幣/臨時祭の成立/神社行幸/行幸行事所と貴族の昇進
3 穢れと怨霊
穢れの観念と平安京/天皇の死と穢れ/浄―穢の構造と天皇/怨霊と御霊会/怨霊に苦しむ天皇

第七章 摂関期の財政と天皇
1 受領のもたらす富
受領と摂関期の財政/受領の人事と天皇/受領の罷申(まかりもうし)と功過定(こうかさだめ)/私費を投じる「国充(くにあて)」/「成功(じょうごう)」による任官
2 蔵人所と天皇の食事・料物
天皇の食事の国風化/料物調達と蔵人所/蔵人所牒と蔵人所領
3 天皇家の財産
後一条天皇の遺領処分/後院と邸宅/「一代限り」と「わたり物」/後院と荘園/後院と動産

終章 天皇像の変容
天皇と学芸/勅撰和歌集と歌合/摂政・関白と天皇との関係/摂関期の王権/政務と天皇/天皇と君臣関係/天皇と仏教・祭祀/天皇のみがなしえたもの/摂関期の天皇と近現代の天皇


主要人物略伝
参考文献
年表 (西暦842・承和九年〜西暦1068・治暦四年)
歴代天皇表
天皇系図
索引


カバー写真: 「紫式部日記絵巻」 第一段より部分 五島美術館蔵、撮影 名鏡勝朗

【編集委員】 大津 透河内祥輔藤井讓治藤田 覚
講談社創業100周年記念企画 「天皇の歴史」 全10巻


≪著者: ≫ 佐々木 恵介 (ささき・けいすけ) 1956年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。聖心女子大学教授。専攻は日本古代史。主な著書に『受領と地方社会』(山川出版社)、主な論文に「9-10世紀の日本――平安京」(『岩波講座日本通史5 古代4』岩波書店、共著)、「古代における任官結果の伝達について」(笹山晴生編『日本律令制の展開』吉川弘文館)などがある。

五味文彦/佐藤信 編著 『日本古代中世史 '11』(佐々木恵介/本郷和人/中島圭一 著、放送大学教材:専門科目 人間と文化コース、放送大学教育振興会、2011年) '11/10/28
佐藤信 編著 『日本の古代 '05』(倉本一宏/佐々木恵介 著、放送大学教材:専門科目 人間と文化コース、放送大学教育振興会、2005年) '11/05/02

倉本一宏 全現代語訳 『藤原道長「御堂関白記」 〈下〉』(講談社学術文庫、2009年) '12/05/27
倉本一宏 全現代語訳 『藤原道長「御堂関白記」 〈中〉』(講談社学術文庫、2009年) '12/05/02
倉本一宏 全現代語訳 『藤原道長「御堂関白記」 〈上〉』(講談社学術文庫、2009年) '12/04/27
倉本一宏 全現代語訳 『藤原行成「権記」 〈下〉』(講談社学術文庫、2012年) '12/03/24
倉本一宏 全現代語訳 『藤原行成「権記」 〈中〉』(講談社学術文庫、2012年) '12/02/17
倉本一宏 全現代語訳 『藤原行成「権記」 〈上〉』(講談社学術文庫、2011年) '12/02/08
古瀬奈津子 『摂関政治』(シリーズ日本古代史6、岩波新書、2011年) '12/02/25
川尻秋生 『平安京遷都』(シリーズ日本古代史5、岩波新書、2011年) '11/07/28
大津透 『道長と宮廷社会』(日本の歴史06、講談社学術文庫、2009年) '11/01/21
坂上康俊 『律令国家の転換と「日本」』(日本の歴史05、講談社学術文庫、2009年) '11/01/12
橋本治 『院政の日本人 (双調平家物語ノートII)』(講談社、2009年) '11/04/27、'09/10/18
橋本治 『権力の日本人 (双調平家物語ノートI)』(講談社、2006年) '11/03/25、'09/09/12

吉川真司 『聖武天皇と仏都平城京』(天皇の歴史02、講談社、2010年) '13/03/24
大津透 『神話から歴史へ』(天皇の歴史01、講談社、2010年) '13/02/03





《主要人物略伝》 p336-350
●天皇および皇族
仁明天皇(にんみょうてんのう、810〜850、在位 天長十・833〜嘉祥三・850)/文徳天皇(もんとくてんのう、827〜858、在位 嘉祥三・850〜天安二・858)/清和天皇(せいわてんのう、850〜880、在位 天安二・858〜貞観十八・876)/陽成天皇(ようぜいてんのう、868〜949、在位 貞観十八・868〜元慶八・949)/光孝天皇(こうこうてんのう、830〜887、在位 元慶八・884〜仁和三・887)/宇多天皇(うだてんのう、867〜931、在位 仁和三・887〜寛平九・897)/醍醐天皇(だいごてんのう、885〜930、在位 寛平九・897〜延長八・930)/朱雀天皇(すざくてんのう、923〜952、在位 延長八・930〜天慶九・946)/村上天皇(むらかみてんのう、926〜967、在位 天慶九・946〜康保四・967)/冷泉天皇(れいぜいてんのう、950〜1011、在位 康保四・967〜安和二・969)/円融天皇(えんゆうてんのう、959〜991、在位 安和二・969〜永観二・984)/花山天皇(かざんてんのう、968〜1008、在位 永観二・984〜寛和二・986)/一条天皇(いちじょうてんのう、980〜1011、在位 寛和二・986〜寛弘八・1011)/三条天皇(さんじょうてんのう、976〜1017、在位 寛弘八・1011〜長和五・1016)/後一条天皇(ごいちじょうてんのう、1008〜1036、在位 長和五・1016〜長元九・1036)/後朱雀天皇(ごすざくてんのう、1009〜1045、在位 長元九・1036〜寛徳二・1045)/後冷泉天皇(ごれいぜいてんのう、1025〜1068、在位 寛徳二・1045〜治暦四・1068)/敦康親王(あつやすしんのう、999〜1018)/敦明親王(あつあきらしんのう、994〜1051)
●后妃
藤原明子(ふじわらのめいし、828〜900)/藤原高子(ふじわらのこうし、842〜910)/藤原穏子(ふじわらのおんし、885〜954)/藤原安子(ふじわらのあんし、927〜964)/藤原詮子(ふじわらのせんし、962〜1001)/藤原定子(ふじわらのていし、976〜1000)/藤原彰子(ふじわらのしょうし、988〜1074)/藤原妍子(ふじわらのけんし、994〜1027)/藤原威子(ふじわらのいし、999〜1036)/禎子内親王(ていしないしんのう、1013〜1094)
●摂関および主な貴族
藤原良房(ふじわらのよしふさ、804〜972)/藤原基経(ふじわらのもとつね、836〜891)/藤原時平(ふじわらのときひら、871〜909)/菅原道真(すがわらのみちざね、845〜903)/藤原忠平(ふじわらのただひら、880〜949)/藤原実頼(ふじわらのさねより、900〜970)/藤原師輔(ふじわらのもろすけ、908〜960)/源高明(みなもとのたかあきら、914〜982)/藤原頼忠(ふじわらのよりただ、924〜989)/藤原伊尹(ふじわらのこれただ、924〜972)/藤原兼通(ふじわらのかねみち、925〜977)/藤原兼家(ふじわらのかねいえ、929〜990)/藤原道隆(ふじわらのみちたか、953〜995)/藤原道兼(ふじわらのみちかね、961〜995)/藤原道長(ふじわらのみちなが、966〜1027)/藤原伊周(ふじわらのこれちか、974〜1010)/藤原実資(ふじわらのさねすけ、957〜1046)/藤原行成(ふじわらのこうぜい、972〜1027)/藤原頼道(ふじわらのよりみち、992〜1074)/藤原教通(ふじわらののりみち、996〜1075)



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