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天皇と中世の武家 (天皇の歴史)
天皇と中世の武家 (天皇の歴史04)

○著者: 河内祥輔新田一郎
○出版: 講談社 (2011/3, 単行本 390ページ)
○定価: 2,730円
○ISBN: 978-4062807340




Tenno in Japanese History


源平の争乱に始まる中世に重視されたのは、父子一系で繋がる一筋の皇統=正統(しょうとう)であった。頼朝は正統の天皇を護るために武家を創り、幕府が後鳥羽上皇と戦ったのも朝廷再建のためだった。室町時代、事実上の院政を執った三代将軍義満など、中世の天皇と武家の役割を究明し、古典を鑑として秩序を求めた人々の営為を明らかにする。


■幕府なくして朝廷は立たず、朝廷なくして幕府は立たない
19世紀半ば過ぎに明治維新が起き、幕府は滅亡しました。このとき、幕府とともに朝廷が解体、消滅したという事実を見逃してはいけません。ここまで朝廷は実に1500年も存続してきたわけです。その前半の800年は単独で政治支配し、後半の700年近くは幕府とともに支配しました。幕府は鎌倉幕府、室町幕府、徳川幕府と興亡を重ねても、朝廷は生き続け、最後は幕府とともに消滅した。つまり、幕府なくして朝廷は立たず、朝廷なくして幕府は立たないという朝廷・幕府体制が、中世・近世の日本史の特徴だったのです。

■鶴岡八幡宮を内裏に見立てた頼朝の朝廷・幕府構想とは
1180年、後白河上皇を幽閉した平清盛打倒のために伊豆で挙兵した源頼朝。石橋山で平家に敗れたものの安房に逃れて板東の反清盛勢力を糾合、東京湾岸沿いに進軍して鎌倉に本拠を構えます。頼朝は鎌倉入りと同時に八幡社を北山の麓に移建し、鶴岡八幡宮社殿を造営、南に延びる若宮大路も造ります。当時、八幡神は応神天皇がこの世に現れた神と信じられ、朝廷の守護神として信仰されていました。つまり、頼朝は鶴岡八幡宮を内裏に見立て、遠い都の天皇のかわり八幡神をまつり、朱雀大路のような参詣路を造って鎌倉を朝廷再建の根拠地としたと考えられるのです。これが700年の朝廷・幕府体制の始まりです。

■後醍醐天皇の決断と南北朝を合一させた義満の政治力
父子一系で繋がる一筋の皇統=正統が重視された中世では、天皇は自らの子に譲位することに全精力を傾けました。持明院統と大覚寺統で皇統が対立するなか、後醍醐天皇が鎌倉幕府打倒を決意したのも自らの子の立太子を拒否されたからです。以後、約60年も南北に分裂した朝廷を合一したのは室町幕府三代将軍の足利義満でした。南朝・後亀山天皇から北朝・後小松天皇への譲位という形で合一を実現できた背景には、後小松天皇の准母に自らの夫人を据え、上皇に準ずる待遇を受けていた義満の権勢があったのです。

■乱世だからこそ鑑とされ、追求された「古典の世界」
南北朝時代には『源氏物語』が代表的な古典として重視され、後醍醐天皇の代には『源氏物語』に範をとった催事もありました。後に天皇の准父として権勢をふるった足利義満は光源氏に自己を投影していたともいわれます。乱世こそ古典が鑑とされ、その古典的世界の中心にあったのが天皇と朝廷です。応仁の乱後の混乱で即位礼が出来なかった後柏原天皇が、21年も経て挙行したのも、公事再興によって理想の古典世界を再現しようと執念を燃やしたからにほかなりません。朝廷の行事再興に援助を惜しまなかった戦国大名のなかから、やがて織田信長が台頭してくるのです。

講談社創業100周年記念企画
特集ページ http://bookclub.kodansha.co.jp/books/tennou/


≪目次: ≫
カラー口絵・写真
鶴岡八幡宮を内裏に見立てた源頼朝/武家と闘った天皇・後醍醐/権力者義満、後小松天皇/古典を鑑とする世界

第一部 鎌倉幕府と天皇 (河内祥輔)
はじめに
第一章 平安時代の朝廷とその動揺
 1 再建される朝廷
長い平安な時代/安定期と不安定期の反復/「正統(しょうとう)」の天皇/朝廷再建運動
 2 院政と摂関
後三条天皇の院政/院政とは何か/白河天皇の院政/鳥羽天皇の院政
 3 動揺のはじまり
中世への入り口/近衛天皇の死/鳥羽法皇の死/崇徳上皇の反発/保元の乱へ/乱はなぜ起きたか
 4 平治の乱から後白河院政へ
信西の横死/公教の反白河運動/平治の乱とは何か/摂関家の復帰/朝廷再建運動の変質/後白河院政の成立
第二章 朝廷・幕府体制の成立
 1 治承三年の政変
摂関家をめぐる暗雲/後白河上皇と清盛の関係/清盛の決起/後白河上皇の幽閉/清盛の朝廷再建運動
 2 寺院大衆の「アジール」運動
大衆の後白河救出作戦/「アジール」運動/以仁王事件/「アジール」運動の挫折/以仁の檄文
 3 頼朝勢力の出現
蜂起の奇跡的成功/後白河上皇を護れ/鎌倉の八幡社/鎌倉の都市計画と鶴岡八幡宮/八幡信仰と坂東武士
 4 頼朝勢力の勝利
内乱の展開/後白河上皇との交渉/以仁の檄の破棄/義仲勢力の敗因
 5 幕府への転生
頼朝の摂政更迭要請/義経事件と奥州藤原氏/頼朝の朝廷再建運動/幕府とは何か/御家人制の性格/守護・地頭制度の確立
第三章 後鳥羽院政と承久の乱
 1 後鳥羽天皇の治世
後鳥羽天皇と皇位継承問題/「正統」の確立/親幕府貴族の復活/摂関家の分立/後鳥羽院政体制
 2 承久の乱の勃発
実朝暗殺事件と宮将軍計画の挫折/摂家将軍の実現と暗雲/慈円の歴史論と摂家将軍論/承久の乱の原因/親幕府貴族の分裂/九条道家の懐柔/後鳥羽上皇の幕府再建運動
 3 幕府の勝利
『吾妻鏡』の史料批判/事件勃発時の鎌倉の情況/京攻め作戦の採用/即時出陣作戦の採用/京攻めの成功/天皇の廃位と流罪
 4 幕府の朝廷再建運動
義時の不安と広元の確信/慈円の朝廷再建運動理論/貴族の思想が武士を導く/慈円構想の限界/守貞親王の擁立/朝廷・幕府体制の新段階
第四章 鎌倉時代中・後期の朝廷・幕府体制
 1 承久の乱後の朝廷
近衛家中心の体制/後堀河天皇をめぐる動向/守貞系皇統の脆弱性/後堀河天皇と九条道家の関係/後堀河天皇死後の朝廷
 2 幕府の対朝廷政策
天皇制存続政策と土御門上皇/皇位継承有資格者の確保/三上皇の帰京問題/帰京運動の挫折
 3 後嵯峨天皇の時代
後嵯峨天皇の擁立/貴族と幕府の食い違い/北条泰時の主導的役割とその死/九条道家主導の朝廷/幕府における泰時路線の継承/北条時頼の執権就任/経時の死と道家・頼経の失脚/時頼路線の確立と宮将軍/将軍宗尊の更迭
 4 皇統分裂問題と幕府の倒壊
後嵯峨上皇の死とその遺志/「正統」を決めない事情/亀山上皇「正統」への道/幕府の変質と「正統」の混迷化/大覚寺統による天皇・皇太子の独占/後宇多上皇の皇位継承戦略/後宇多上皇の死と対立の激化/後醍醐天皇の倒幕運動/後醍醐天皇と朝廷・幕府体制

第二部「古典」としての天皇 (新田一郎)
第一章 朝廷の再建と南北朝の争い
 1 朝廷の再建と「室町幕府」の成立
建武式目/朝廷の再建/「武家」を迎える京都社会/武家の再定義と、鎌倉の古典化
 2 古典の再発見
伝統の古典化/正平一統の後の北朝再建/天皇をめぐる儀礼の整備と二条家の位置づけ
 3 幻の内裏空間
内裏の変遷/里内裏の儀礼空間/南朝の存立の困難
 4 南朝代々
後村上天皇/長慶天皇から後亀山天皇へ/「南北朝の争い」の構造
第二章 足利義満の宮廷
 1 公家としての義満
京都人義満/二条良基の思惑/後円融の抵抗と挫折
 2 武家の位置づけ
エージェントとしての武家/京都の地政学的位置
 3 南朝の接収
合一へ向けた交渉/合一の条件と実際/合一の舞台裏事情/合一後の旧南朝方
 4 日本国王と天皇
「日本国王」の登場/日本をめぐる国際環境/三宝院満済の「王」観/政治言語空間の分節へ
第三章 「天皇家」の成立
 1 足利義満の遺産
足利義持の嗣立と義嗣の排除/「室町殿」の再定義/義満と義持/もう一人の遺産相続人
 2 後南朝の影
後南朝のはじまり/天皇の影
 3 伏見宮家の成立
後花園天皇の践祚/直系への収束/後花園天皇の位置づけ/「伏見宮家」の成立と天皇家直系
 4 権威の構造
「将軍」のディレンマ/武家官途の効用/武家故実の形成/「権威」の構造
第四章 古典を鑑とした世界
 1 家業の変質
『公武大体略記』/中世と近世のあいだ/家業の条件変化
 2 公事体制の解体
応仁の乱/武家の解体/朝廷の解体
 3 公家の在国
公家の在国/裸の天皇家
 4 古典の流布と卑俗化
故実の流布/世界を緩やかに同期する仕掛け/古典の流布と卑俗化/異朝の証文
終章 近世国家への展望
 1 繰り返される再生
武家の再建へ向けて/天皇の役割
 2 カミの末裔
賀茂在昌の改宗/現世的存在としての「カミ」

参考文献
年表 (西暦1045年〜西暦1573年)
天皇系図
索引


カバー写真: 錦御旗 永青文庫蔵

【編集委員】 大津 透河内祥輔藤井讓治藤田 覚
講談社創業100周年記念企画 「天皇の歴史」 全10巻


≪著者: ≫ 河内祥輔 (こうち・しょうすけ) 1943年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。北海道大学教授を経て、法政大学教授、北海道大学名誉教授。専攻は日本中世史。主な著書に『日本中世の朝廷・幕府体制』(吉川弘文館)、『保元の乱・平治の乱』(吉川弘文館)、『中世の天皇観』(山川出版社)などがある。本シリーズ編集委員。

≪著者: ≫ 新田一郎 (にった・いちろう) 1960年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専攻は、日本法制史・中世史。東京大学教授。主な著書に『日本中世の社会と法』(東京大学出版会)、『日本の歴史11 太平記の時代』(講談社)、『中世に国家はあったか』(山川出版社)、『相撲の歴史』(講談社学術文庫)などがある。


新田一郎 『相撲の歴史』(講談社学術文庫、2010年) '11/04/14
新田一郎 『太平記の時代』(日本の歴史11、講談社学術文庫、2009年) '11/03/27

佐々木恵介 『天皇と摂政・関白』(天皇の歴史03、講談社、2011年) '13/04/21
吉川真司 『聖武天皇と仏都平城京』(天皇の歴史02、講談社、2010年) '13/03/24
大津透 『神話から歴史へ』(天皇の歴史01、講談社、2010年) '13/02/03



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