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天皇と天下人 (天皇の歴史)
○著者: 藤井讓治
○定価: 2,730円
○ISBN: 978-4062807357




ヘゲモニー(hegemony、覇権)、、、権威と権力

 Tenno in Japanese History


天下布武を目指す信長正親町天皇の虚々実々の駆け引きとは。本能寺の変後、権力を掌握し、朝鮮出兵に続き皇居の北京移転まで決めた秀吉後陽成天皇はどう思い止まらせようとしたか。家康秀忠の強権に悲憤慷慨した後水尾天皇の胸中など、日記、宸翰の史料を駆使し、天下人と対峙した天皇の実像を克明に描く。


戦乱から洛中をいかに護るか、窮乏する禁裏の儀礼資金をどう調達するか、天皇は苦心し、足利将軍や権力者=天下人の力を頼みとする。一方、天下を掌握するため、自らの権力を誇示し、天皇権威を利用する天下人。両者の探り合い、駆け引きの様相はどのようなものであったか。天下人の力に圧倒されながら、天皇が保持した権威とは何か。宸翰、日記、消息などの史料を駆使して実相を克明に描く。

正親町天皇に聖代の名香「蘭奢待」の切り取りを迫る信長
足利義昭、信長の入京は、天皇にとって脅威であったが、天下布武を掲げ猛進する信長に、一転、天皇は禁裏の警固を申しつけ、さまざまな機会に自らの側に取り込もうとする。信長はその誘いに容易には乗らず、自ら必要な時には朝廷に接し、天皇権威を利用しながらもつかず離れずの態度をとり続けた。ついには、正倉院の名香「蘭奢待」の切り取りを申し出る信長。信長の振る舞いに正親町天皇の心中はいかなるものであったか。天皇と信長の間で展開する駆け引きの様相を描き出す。

■天下人秀吉の朝鮮出兵に後陽成天皇はどう抵抗したか
本能寺の変後、天下を手中にした秀吉は、莫大な禁裏費用を用立て朝廷に接近、財力にものを言わせて、ついに関白の位まで上りつめる。絶頂を極めた秀吉は、その権勢を後陽成天皇の聚楽第行幸という形で誇示した。天皇が臣下の屋敷へ行幸するのは151年ぶりのことであった。さらに、朝鮮出兵では、秀吉は自ら渡海し明まで攻め入り、皇居を北京に移すという構想を打ち上げた。この無謀な戦いに後陽成天皇はどのように抵抗したか、出兵を思い止まるよう切々と訴えた宸翰を解説する。

■天皇により神に祀られた秀吉と家康
勅定によって決められる神号は天皇の権威を示す。秀吉は死を前にして「八幡」神号を望んだが、後陽成天皇はそれを認めず「豊国大明神」と決めた。一方、家康には、秀忠の意向で「東照大権現」と神号が後水尾天皇によって定められた。神号決定の過程から天皇と将軍との関係を詳細に説く。


講談社創業100周年記念企画
特集ページ http://bookclub.kodansha.co.jp/books/tennou/


≪目次: ≫
カラー口絵・写真
信長、正親町天皇に名香「蘭奢待」拝領を迫る/秀吉の絶頂、後陽成天皇の聚楽第行幸/青天の霹靂だった皇居北京移転の構想/天皇により神に祀られた秀吉と家康

プロローグ――正親町天皇のキリシタン禁令

第一章 義昭・信長の入京
 1 義昭・信長入京以前
室町幕府一四代将軍義栄/室町幕府一五代将軍義昭/義昭四品任官を勅許せず/古今無双之名将/親王元服費用の申沙汰
 2 義昭・信長の入京
義昭・信長の入京前夜/敵から味方へ/禁裏警固の綸旨/義栄方公家の出奔
 3 義昭への将軍宣下
将軍宣下に向けて/将軍宣下/義昭を縛る「殿中御掟」/信長、副将軍拒否/禁裏の修造/誠仁親王の元服
 4 領地等の回復
将軍宣下直後の三件の要請/宝菩提院領の訴訟/延暦寺領の還付を命ず/義昭、天皇の意向に反論
 5 禁裏費用の確保
有力大名の献金/後奈良天皇十三回忌法会財源を家康に求む/永禄からの改元難航/義昭へ援助を求む/元亀からの改元延期
 6 戦争と天皇
越前朝倉攻めと正親町天皇/姉川の戦い/石山本願寺への正親町天皇勅書/正親町天皇・義昭による信長と朝倉・浅井の和睦「一和」/比叡山焼き討ち/元亀三年の状勢、信長包囲網
 7 義昭・信長の位置
入京直後の義昭・信長/信長を頼る/禁裏御大工惣官補任をめぐる争論/久我通俊の勅勘を許さず/義昭の参内/禁裏への進上

第二章 正親町天皇と信長
 1 信長の天下掌握
室町幕府の倒壊/天下掌握に向けて宣言/元亀から天正へ
 2 探り合う天皇と信長
信長、正親町天皇に譲位を申し入れる/天正二年の信長宛従五位下・昇殿口宣案写し/正親町天皇の「宸筆御記」と『御湯殿上日記』/信長関白就任の噂/蘭奢待の切り取り
 3 天皇と戦国大名
後奈良天皇経供養/綸旨による領地回復/この時期の禁裏御料
 4 信長の朝廷への攻勢
公家・門跡への徳政/禁裏「五人の奉行」/信長、大納言・右大臣に任官/禁裏・公家・門跡への新地/安土築城/興福寺別当職争論/神泉苑の還付/安土行幸計画――その1
 5 信長の戦いと天皇
浅井・朝倉攻め/三度目の石山本願寺挙兵/上洛する信長への勅使派遣/越前一向一揆攻めに勅使派遣/本願寺より和睦を申し入れる/石山本願寺攻めに際しての勅使派遣と出陣祈禱/内侍所での祈禱/天正六年の信長・石山本願寺の講話/信長・石山本願寺の講話斡旋の再開/石山退城の論理/武田攻め出陣祈禱
 6 禁裏・天皇と距離を置く信長
信長の辞官/誠仁親王に二条屋敷を進献/京都での馬揃え/左大臣推任/安土行幸計画――その2/京暦への挑戦/太政大臣か関白か将軍か/信長の参内/予が国王であり、内裏である

第三章 天下人秀吉の誕生
 1 本能寺の変とその直後
本能寺の変/明智光秀への勅使/信孝・秀吉への勅使/信長の百日忌/御料所丹波国山国庄/秀吉の少将推任/贈太政大臣従一位/公家・門跡領の安堵/信長木像の仏師をめぐる争論/戦勝を祝う勅使
 2 朝廷に接近する秀吉――関白任官
秀吉少将に任官/秀吉の大納言任官/織田信雄の大納言任官/秀吉の内大臣任官/関白職をめぐる近衛・二条の争論/秀吉、関白職を手にする/秀吉関白宣下/親王、准后間の座次/秀吉の参内/正親町天皇の歌と秀吉の返歌
 3 戦いと天皇
紀州攻めにあたっての勅使/秀吉煩いの祈禱/島津への停戦命令/九州出陣/秀吉の北条氏直弾劾状/北条攻めの祈禱と関東出陣

第四章 後陽成天皇と朝鮮出兵
 1 後陽成天皇の即位と聚楽第行幸
誠仁親王の死/正親町天皇の譲位と後陽成天皇の即位/聚楽第行幸/北政所の叙位/鶴松の誕生と八条宮家の成立/豊臣秀吉の病気/鶴松の死去と秀次関白任官/秀次関白宣下
 2 北京への移徙――朝鮮出兵
朝鮮使節の来日/御土居の建設/秀吉、名護屋へ出陣/天皇、北京へ――三国国割構想/所司代玄以への指示/後陽成天皇の対応
 3 対明講和交渉と後陽成天皇
朝鮮情勢の展開/秀吉の名護屋再下向を抑留/正親町上皇の死/対明講和案と明使/対明講和案と天皇/近衛信輔の薩摩左遷/信輔配流の理由
 4 晩年の秀吉と後陽成天皇
秀次追放/公家大臣の消滅/秀吉の病気平癒祈禱/秀吉・秀頼参内と禁裏での能興行/太閤への惣礼/明使節・朝鮮使節/慶長の朝鮮出兵/醍醐の花見/新伏見城における惣礼/秀頼叙爵/秀吉、最後の参内/秀吉の死

第五章 後陽成・後水尾天皇と家康
 1 譲位一件と豊国大明神
後陽成天皇の病/後陽成天皇、譲位の意向を示す/譲位、「御無用」/後陽成天皇、灸治を望む/秀吉、新八幡を望む/豊国大明神
 2 天下人家康
「天下殿」家康/天下人としての参内/関ヶ原の前夜/関ヶ原の戦い/禁裏御料と公家・門跡領の設定/政仁の親王宣下/公家関白・大臣の復活/叙位の再興
 3 家康への将軍宣下
将軍宣下前夜/将軍宣下/将軍任官御礼の参内/家康と秀頼/秀忠への将軍宣下/年頭の礼にみる天皇と秀頼/秀頼への叙任/豊国社への奉幣
 4 後陽成天皇の譲位と後水尾天皇の即位
院御所普請のための屋敷割/官女密通事件/公家・官女の処分/後陽成天皇の譲位の意向/「たゝなきになき申候」/譲位そして即位/秀頼との会見と大名誓紙
 5 後水尾天皇即位後の朝廷
家康への礼/後水尾天皇と秀頼/書物等宝物引渡一件/公家衆法度/公家衆法度と紫衣法度/後水尾天皇、新御所に移る/和子入内、家康・秀忠昇進
 6 豊臣家滅亡と禁中幷公家中諸法度
大坂冬の陣/夏の陣/夏の陣後の参内/元和改元/家康、公家法度制度のため記録を収集/古今礼儀式法/禁中幷公家中諸法度/家康の死

エピローグ――「権現」か「明神」か


参考文献
年表 (西暦1565・永禄八年〜西暦1617・元和三年)
歴代天皇表
天皇系図
索引


カバー写真: 「御所参内・聚楽第行幸図屏風」部分 聚楽第へ向かう後陽成天皇の輿、個人蔵、写真提供 上越私立総合博物館


【編集委員】 大津 透河内祥輔藤井讓治藤田 覚
講談社創業100周年記念企画 「天皇の歴史」 全10巻


≪著者: ≫ 藤井讓治 (ふじい・じょうじ) 1947年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。京都大学教授(2012年定年退任)。専攻は日本近世政治史。主な著書に『江戸幕府老中制形成過程の研究』(校倉書房)、『日本の歴史12 江戸開幕』(集英社)、『徳川家光』(吉川弘文館)、『幕藩領主の権力構造』(岩波書店)、『徳川将軍家領知宛行制の研究』(思文閣出版)などがある。本シリーズ編集委員。


河内祥輔/新田一郎 『天皇と中世の武家』(天皇の歴史04、講談社、2011年) '13/07/24
佐々木恵介 『天皇と摂政・関白』(天皇の歴史03、講談社、2011年) '13/04/21
吉川真司 『聖武天皇と仏都平城京』(天皇の歴史02、講談社、2010年) '13/03/24
大津透 『神話から歴史へ』(天皇の歴史01、講談社、2010年) '13/02/03

池上裕子 『織豊政権と江戸幕府』(日本の歴史15、講談社学術文庫、2009年) '11/05/26



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