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町村合併から生まれた日本近代 明治の経験 (講談社選書メチエ)
○著者: 松沢裕作
○定価: 本体1,600円(税別)
○ISBN: 978-4062585668






――近世が解体され、新秩序が生まれる時のドラマ!――
明治七年の町村数約七万八千、明治二二年の町村数一万六千弱。明治の大合併、それは新たな境界線を社会に引く試みだった。あいつぐ町村からの異議申し立て、合併後も紛争を抱える自治体…… 近世の地縁的・身分的共同体というモザイク状の世界から、近代の大字‐市町村‐府県‐国家という同心円状の世界へ。府藩県三治制、大区小区制、そして明治二二年の大合併にいたる「地方制度」の変遷をたどりながら、近代社会そのものを問い直す。


≪目次: ≫
はじめに 境界を持たない社会・境界を持つ権力
「国家」と「市場」/「三大合併」/「三大合併史観」が覆い隠すもの/「中央集権」「地方分権」と村落二重構造論/明治前期の二〇年

第一章 江戸時代の村と町
 1 モザイク状の世界
領国地帯・非領国地帯/村・町と身分/百姓と領主権力
 2 組合村
中間支配機構/多様な組合村
 3 村と土地所有・村請制
直接的共同所持・間接的共同所持/村請と村融通

第二章 維新変革のなかで
 1 「大区小区制」
府藩県三治制/廃藩置県と「大区小区制」/「大区小区制」と中央法令/「大区小区制」の形成過程/改変される「大区小区制」と町村の位置/「大区小区制」とは何だったのか?
 2 明治初年の町村合併
政府の方針と町村数の変化/散発的な合併/政策的な合併/地租改正と合併

第三章 制度改革の模索
 1 区戸長たちのフラストレーション
村請制下の再生産維持/近世後期における救済と備荒貯蓄/明治三年の浦和県「告諭誌」/品川県の社倉金運用/新しい産業/教育/意思決定の仕組み/熊谷県の「県会条例案」
 2 内務省と井上毅
松田道之という人物/明治九年内務省案/井上毅の構想/二つの路線とその交錯

第四章 地方と中央
 1 地方三新法
三新法の制定/府県レベル/郡と町村/三新法の画期性
 2 町村運営の行き詰まりと明治一七年の改革
三新法における町村と戸長/埼玉県の場合/連合化と再分離/問題の発生と対応策/明治一七年の改革

第五章 市場という領域
 1 境界なきものとしての市場
人びとの生を左右する空間
 2 備荒儲蓄法
備荒儲蓄法の制定/公債か米か
 3 道路が結ぶもの
地方利益とはなにか/道路問題と県会/地方利益という抑圧
 4 市場と地方
境界なき市場の上の権力

第六章 町村合併
 1 「自治」の思想
「市制町村制」と町村合併/モッセと「自治」の思想/「自治」の思想と「地方」の現実
 2 合併の遂行
合併の手続き/紛争の発生/モジュール化としての町村合併
 3 行政村と大字
抵抗する村/行政村の機構と大字/行政村-大字関係の安定

むすび 境界的暴力と無境界的暴力
同心円状の世界と「中央-地方関係」/国民国家再考/地域統合と「補完性原理」/帝国/商品と市場


あとがき (二〇一三年九月  松沢 裕作)
索引


※カバー図版: 「埼玉県武蔵国北足立郡川田谷村比企郡表村」(明治前期測量 2万分の1 フランス式彩色地図)


≪著者: ≫ 松沢裕作 (まつざわ・ゆうさく) 1976年東京都生まれ。東京大学文学部卒業、同大学大学院人文社会系研究科博士課程中退。東京大学史料編纂所助教を経て、専修大学経済学部准教授。専門は日本近代史。著書に、『明治地方自治体制の起源――近世社会の危機と制度変容』(東京大学出版会)、『重野安繹と久米邦武――「正史」を夢見た歴史家』(山川出版社)がある。



 ・・・・・・境界を持たない市場と、境界を持つ国民国家はどのような関係にあるか。すでに見てきたように、国民国家とは、あるいはその下部のさまざまな単位は、人びとの暮らしが市場という無境界的なむすびつきにゆだねられているということを前提にしたうえで、その上に便宜的に線を引き、それぞれの持ち場として便宜的に管理するシステムなのである。同心円状の世界は、切れ目のない織物の上に引かれたいくつか線によって形作られている。
 ・・・・・・
 ・・・・・・国民国家という「境界」と、市場経済という「無境界」は、じつは相互依存的なのである。国民国家とその下の単位は、市場経済という無境界のネットワークの管理をそれぞれ受け持つことによって、それ自体は切実な意味を持たない単位であるにもかかわらず、暴力的な力を人びとに対してふるうことが可能となる。
 国民国家の暴力性を指弾したいのであれば、わたしたちが市場に依存しているという現実を、「商品」という抽象的なモノの運動に依存しているということを、まずは見なければならない。
 ・・・・・・   (P206-207、「むすび 境界的暴力と無境界的暴力」)



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